JP2008203687A - フィルム状光導波路の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明のフィルム状光導波路の製造方法は、クラッド層及びコア部分を含む光導波路本体と、コア部分が露出している面を除く、上記クラッド層の外表面の全領域に形成された被覆層とを有するフィルム状光導波路の製造方法であって、複数個の光導波路本体が、光導波路本体の相互間に空隙が形成されるように適当な間隔で並列して配置された状態で、当該複数個の光導波路本体の上面及び下面に、一対の被覆層形成用の樹脂フィルムを、これらの樹脂フィルムが上記光導波路本体の相互間の空隙内で当接して積層部分を形成するように、積層させる工程を含む。
【選択図】図1
Description
光導波路としては、製造効率等の観点から、従来代表的であった石英系導波路に代えて、ポリマー系光導波路が注目されている。そして、ポリマー系光導波路に対して耐食性等の優れた特性を付与するために、下部クラッド層、コア部分及び上部クラッド層を有するポリマー系光導波路の上面などに保護層を設けることが提案されている。
また、高分子のみで構成され、少なくともコア及び該コアより屈折率の低い上部クラッド及び下部クラッドを有する高分子光導波路フィルムにおいて、該上部クラッドの上部及び該下部クラッドの下部に紫外線吸収層を有することを特徴とする高分子光導波路フィルムが提案されている(特許文献2)。
なお、従来より、耐屈曲性等に優れたフィルム状光導波路の材料の一例として、(メタ)アクリル系の光硬化性組成物が知られている(特許文献3)。また、他の例として、エポキシ系の光硬化性組成物が知られている(特許文献4)。
ここで、耐食性、紫外線耐久性等のさらなる向上や、難燃性の付与等を目的として、光導波路の上面及び下面に加えて、側面にも保護層(被覆層)を形成することが考えられる。しかし、特許文献1及び2には、光導波路の側面に保護層を形成することは記載されていない。仮に、光導波路の側面に保護層を形成する場合、光導波路の製造工程が複雑化し、製造コストの増大を招くという問題がある。
なお、難燃性の付与を目的とした場合、光導波路を構成する各部(クラッド層及びコア部)の材料を難燃性の樹脂で形成することも考えられる。しかし、難燃性の樹脂を用いると、フィルム状光導波路を作製した場合に耐屈曲性が劣るなどの問題がある。
また、難燃性を付与するために、難燃性には劣るが耐屈曲性に優れた樹脂を用いて光導波路本体を形成するとともに、この樹脂に難燃剤を配合することによって難燃性を付与することも考えられる。しかし、この場合、難燃剤の配合によって光導波路の伝送特性が低下するなどの問題がある。
そこで、本発明は、すべての外表面(上面、下面及び側面;但し、コア部分が露出している面を除く。)に被覆層(特に難燃性に優れた材料からなるもの)が形成されたフィルム状光導波路を、簡易な製造手段で効率的に製造することのできる方法を提供することを目的とする。
[1] クラッド層及びコア部分を含む光導波路本体と、コア部分が露出している面を除く、上記クラッド層の外表面の全領域に形成された被覆層とを有するフィルム状光導波路の製造方法であって、複数個の光導波路本体が、光導波路本体の相互間に空隙が形成されるように適当な間隔で並列して配置された状態で、当該複数個の光導波路本体の上面及び下面に、一対の被覆層形成用の樹脂フィルムを、これらの樹脂フィルムが上記光導波路本体の相互間の空隙内で当接して積層部分を形成するように、積層させる工程を含むことを特徴とするフィルム状光導波路の製造方法。
[2] 上記一対の被覆層形成用の樹脂フィルムの積層部分を切断して、複数個のフィルム状光導波路を得る工程を含む上記[1]に記載のフィルム状光導波路の製造方法。
[3] 上記樹脂フィルムが、ポリイミド及び/又はポリアミック酸からなるフィルム本体と、該フィルム本体の片面に形成された接着層とからなる上記[1]又は[2]に記載のフィルム状光導波路の製造方法。
[4] 上記ポリイミド及び/又はポリアミック酸が、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを反応させて得られたものである上記[3]に記載のフィルム状光導波路の製造方法。
[5] 上記クラッド層及びコア部分の材料として、(メタ)アクリル系またはエポキシ系の光硬化性組成物を用いる上記[1]〜[4]のいずれかに記載のフィルム状光導波路の製造方法。
また、本発明のフィルム状光導波路の製造方法によると、光導波路の被覆層の形成用材料として、ポリイミド及び/又はポリアミック酸を主体とする樹脂フィルムを用いることで、優れた難燃性を有するフィルム状光導波路を、簡易な製造設備及び製造工程で効率良く製造することができる。この場合、光導波路本体の材料として、難燃性には劣るが耐屈曲性に優れた光硬化性組成物(例えば、(メタ)アクリル系やエポキシ系の光硬化性組成物)を選択することができ、それによって、難燃性に加えて耐屈曲性の向上を図ることもできる。
図1は、本発明のフィルム状光導波路の製造方法の一例を示すフロー図である。
図1中、本発明のフィルム状光導波路の製造方法は、下部クラッド層2、コア部分3及び上部クラッド層4を有し、かつ、コア部分3が露出している面を除く、下部クラッド層2及び上部クラッド層4の各々の外表面の全領域に被覆層5,8を有するフィルム状光導波路14(図1中の(f)参照)の製造方法であって、下部クラッド層2、コア部分3及び上部クラッド層4を有する光導波路本体1を複数個準備する工程(A)(図1中の(a)、(b)参照)と、樹脂フィルム本体6の片面に接着層7を積層させてなる被覆層形成用の樹脂フィルム5、及び、樹脂フィルム本体9の片面に接着層10を積層させてなる被覆層形成用の樹脂フィルム8を準備する工程(B)(図1中の(c)、(d)参照)と、複数個の光導波路本体1が、光導波路本体1の相互間に空隙11が形成されるように適当な間隔で並列して配置された状態で、当該複数個の光導波路本体1の上面及び下面に、工程(B)で準備した一対の被覆層形成用の樹脂フィルム5,8を、これらの樹脂フィルム5,8が上記光導波路本体1の相互間の空隙11内で当接して積層部分12を形成するように、積層させる工程(C)(図1中の(d)、(e)参照)と、工程(C)によって形成された一対の樹脂フィルム5,8の積層部分12を、切断箇所13(通常、隣り合う光導波路本体の間の中央の線)にて切断して、複数個のフィルム状光導波路14を得る工程(D)(図1中の(e)、(f)参照)を含む。
以下、本発明の製造方法の各工程(A)〜(D)について詳しく説明する。
工程(A)は、下部クラッド層2、コア部分3及び上部クラッド層4を有する光導波路本体1を複数個準備する工程である。
具体的には、シリコンウェハやガラス基板等の平坦な表面を有する基板(図示せず)の上面に、下部クラッド層形成用の樹脂組成物を塗布し、乾燥またはプリベークして下層用薄膜を形成する。この下層用薄膜に光を照射して硬化させ、硬化体である下部クラッド層2を形成する(図1中の(a)参照)。
次に、下部クラッド層2の上面に、コア部分形成用の樹脂組成物を塗布し、乾燥またはプリベークしてコア用薄膜を形成する。その後、コア用薄膜の上面に対して、所定のパターンに従って、例えば所定のラインパターンを有するフォトマスクを介して光の照射(露光)を行う。これにより、コア用薄膜のうち、光が照射された箇所のみが硬化するので、それ以外の未硬化の部分を現像処理して除去することにより、下部クラッド層2上に、パターニングされた硬化膜からなる複数のコア部分3を形成することができる。
その後、コア部分3及び下部クラッド層2の上面に、上部クラッド層形成用の樹脂組成物を塗布し、乾燥またはプリベークして上層用薄膜を形成する。この上層用薄膜に対し、光を照射して硬化させると、上部クラッド層4が形成される。
以上のようにして、下部クラッド層2と、下部クラッド層2の上に並列して形成された、ライン状の形状を有する複数個のコア部分3と、複数個のコア部分3及び下部クラッド層2上に積層して形成された上部クラッド層4とからなる、光導波路本体1の集合体であるフィルム1’を得る(図1中の(a))。
フィルム1’の切断方法としては、例えば、レーザーカッタ、丸刃転動式カッタ、丸刃ナイフ刃の引き切り式カッタ、トムソン刃による油圧又はモータークランクによるギロチン方式カッタ等が挙げられる。
なお、図1中の(b)には、光導波路本体1が1個のコア部分3を含む場合を示しているが、光導波路本体1中のコア部分の数は、特に限定されず、所望の数(単数または複数)のコア部分を含むことができる。
コア部分3の屈折率は、下部クラッド層2及び上部クラッド層4のいずれの屈折率よりも大きいものであることが必要である。例えば、波長400〜1,600nmの光に対して、コア部分3の屈折率が1.420〜1.650、下部クラッド層2及び上部クラッド層4の屈折率が1.400〜1.648であり、かつ、コア部分3の屈折率が、2つのクラッド層2,4のいずれの屈折率よりも少なくとも0.1%大きな値であることが好ましい。
光導波路本体1における下部クラッド層2、コア部分3及び上部クラッド層4の各部を形成するための材料としては、光硬化性または熱硬化性の材料が挙げられる。
中でも、耐屈曲性、製造効率等の観点から、(メタ)アクリル系またはエポキシ系の光硬化性組成物等が好ましく用いられる。ここで、(メタ)アクリル系の光硬化性組成物としては、例えば、上述の「背景技術」の欄で説明した特開2003−195079号公報に記載されたものが挙げられる。また、エポキシ系の光硬化性組成物としては、例えば、上述の「背景技術」の欄で説明した特開2005−274664号公報に記載されたものが挙げられる。
工程(B)は、樹脂フィルム本体6の片面に接着層7を積層させてなる被覆層形成用の樹脂フィルム5、及び、樹脂フィルム本体9の片面に接着層10を積層させてなる被覆層形成用の樹脂フィルム8を準備する工程である。なお、一対の樹脂フィルム(樹脂フィルム5、樹脂フィルム8)としては、同一の二枚のフィルムを用いてもよいし、異なる二枚のフィルムを用いてもよい。
まず、樹脂フィルム本体6,9について説明する。樹脂フィルム本体6,9としては、難燃性樹脂フィルムが好適に用いられる。難燃性樹脂フィルムの好適な例としては、例えば、ポリイミド及び/又はポリアミック酸からなるフィルムが挙げられる。
上記ポリイミド及び/又はポリアミック酸の一例としては、芳香族ポリイミド及び/又は芳香族ポリアミック酸が挙げられる。芳香族ポリイミド及び/又は芳香族ポリアミック酸の一例としては、下記の成分(A)と成分(B)を反応させてなるものが挙げられる。
[成分(A)]
成分(A)は、下記一般式(1)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物である。
ここで、一般式(1)中のX(2価の基)は、例えば、−O−、−SO2−、−CO−、−S−、−C(CH3)2−、−Si(CH3)2−または−Si(Ph)2−であり、好ましくは、−O−、−SO2−、より好ましくは−O−である。
成分(A)の具体的な化合物名としては、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(オルトジフェニルフタル酸二無水物)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物等が挙げられる。
成分(B)は、芳香族ジアミンである。
成分(B)として用いられる芳香族ジアミンの例としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、1,5−ジアミノナフタレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−(p−ビフェニレンジオキシ)ジアニリン等が挙げられる。
下記の式(2)で表される成分(A)(4,4’−オキシジフタル酸二無水物)と下記の式(3)で表される成分(B)(4,4’−(p−ビフェニレンジオキシ)ジアニリン)を反応させて芳香族ポリイミドを製造する場合を例にして、反応機構を説明する。
成分(A)及び成分(B)の配合割合は、成分(B)のアミノ基1当量に対して、成分(A)の酸無水物基が0.8〜1.2当量となる割合が好ましく、1.0〜1.1当量となる割合がより好ましい。成分(B)のアミノ基1当量に対して、成分(A)の酸無水物基の量が0.8当量未満、若しくは1.2当量を超えると、基材に塗布し乾燥させた後にフィルム本体が形成されない場合がある。
本発明で使用される有機溶媒の例としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミド等の非プロトン系極性溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、しゅう酸ジエチル、マロン酸ジエチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸n−ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;フェノール、m−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール等のフェノール類等を挙げることができる。
中でも、溶解性の観点からN−メチルピロリドン(NMP)が、好ましく用いられる。
反応時の圧力は特に限定されず、通常、常圧でよい。反応時間は、通常、1〜10時間である。
式(5)で示される芳香族ポリアミック酸は、基材に塗布し乾燥させて形成されたフィルム状態で加熱することによってイミド化が進み、式(6)で示される芳香族ポリイミドになる。
芳香族ポリアミック酸のイミド化の割合は、0〜100%の間で特に限定されるものではないが、好ましくは50〜100%、より好ましくは80〜100%である。該割合が50%未満では、ポリイミドフィルムの耐水性が低下することがある。
芳香族ポリイミド及び芳香族ポリアミック酸の数平均分子量は、GPC法で測定されたポリスチレン換算値として、機械的強度の観点から、好ましくは3,000以上である。
芳香族ポリイミド及び芳香族ポリアミック酸の数平均分子量の上限値は、特に限定されないが、通常、500,000以下である。
まず、ガラス基板やシリコンウェハ等の平坦な表面を有する基板(図示せず)を準備し、該基板の上面に、ポリアミック酸の有機溶媒溶液を均一な厚さの塗布層を形成するように塗布した後、乾燥または上述の温度で加熱してイミド化を進行させて、樹脂フィルム本体6(図1中の(c)参照)を形成させる。
ポリアミック酸の有機溶媒溶液の塗布方法としては、スピンコート法、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、インクジェット法等のいずれかの方法を用いることができる。中でも、均一な厚さの薄膜が得られることから、スピンコート法を採用することが好ましい。
次に、樹脂フィルム本体6の上面に、接着層用の樹脂組成物を塗布し、加熱により硬化させて接着層7を形成させる。
接着層用の樹脂組成物の塗布方法としては、ポリアミック酸の有機溶媒溶液の塗布方法と同様のものが挙げられる。また、接着層用の樹脂組成物の加熱条件は、通常50〜200℃、好ましくは50〜150℃である。
接着層用の樹脂組成物としては、熱硬化性樹脂組成物が好ましく、例えば、熱硬化性エポキシ樹脂が挙げられる。
最後に、樹脂フィルム本体6と接着層7との積層体を、基板から剥離すると、樹脂フィルム本体6と接着層7との積層体からなる樹脂フィルム5が得られる(図1中の(c))。
樹脂フィルム5の樹脂フィルム本体6の厚さは、特に限定されないが、難燃性等の観点から、好ましくは3〜300μm、より好ましくは5〜100μmである。
樹脂フィルム5の接着層7の厚さは、特に限定されないが、接着性の確保等の観点から、好ましくは3〜100μm、より好ましくは5〜50μmである。
工程(C)は、複数個の光導波路本体1が、光導波路本体1の相互間に空隙11が形成されるように適当な間隔で並列して配置された状態で、当該複数個の光導波路本体1の上面及び下面に、工程(B)で準備した一対の被覆層形成用の樹脂フィルム5,8を、これらの樹脂フィルム5,8が上記光導波路本体1の相互間の空隙11内で当接して積層部分12を形成するように、積層させる工程である。
具体的には、まず、樹脂フィルム5を、接着層7が上になるように配置する。次いで、樹脂フィルム5の接着層7の上に、複数個の光導波路本体1を、光導波路本体1相互間に適当な空隙が形成されるように、互いに平行に並列して載置する。その後、樹脂フィルム5と同様の樹脂フィルム8(フィルム本体9と接着層10との積層体)を、接着層10が下になるようにして、複数個の光導波路本体1の上に載置する(図1中の(d))。そして、樹脂フィルム5と樹脂フィルム8とを圧着し、樹脂フィルム5と樹脂フィルム8との積層部分12を形成させる(図1中の(e))。
積層部分12を形成させる際の圧着は、例えば、熱ラミネートによって行なうことができる。熱ラミネートは、100℃〜200℃、好ましくは130℃〜180℃で行われる。
後述の工程(D)により切断して得られるフィルム状光導波路14の長手方向の両端を、UV硬化性の接着剤を用いてVCSEL等の発光素子やフォトダイオード等の受光素子と接合させるために、光導波路本体の長手方向の両端の端面は、被覆層を形成させずに、露出させてもよい。あるいは、光導波路本体の長手方向の両端の端面に、難燃性の被覆層を圧着してもよい。
工程(D)は、工程(C)によって形成された一対の被覆層形成用の樹脂フィルム5,8の積層部分12を、切断箇所13にて切断(ダイシング)して、複数個のフィルム状光導波路14を得る工程である(図1中の(e)、(f))。
切断の手段としては、例えば、レーザーカッタ、丸刃転動式カッタ、丸刃ナイフ刃の引き切り式カッタ、トムソン刃による油圧又はモータークランクによるギロチン方式カッタ等が挙げられる。
このように、積層部分12を切断することによって、光導波路本体1の上面及び下面のみならず、側面(ただし、コア部分が露出している面を除く。)についても難燃性の被覆層を有するフィルム状光導波路14を得ることができる。
フィルム状光導波路14の長手方向の両端を、UV硬化性の接着剤を用いてVCSEL等の発光素子やフォトダイオード等の受光素子と接合させるために、光導波路本体の長手方向の両端の端面は、被覆層を形成させずに、露出させてもよい。あるいは、光導波路本体の長手方向の両端の端面に、難燃性の被覆層を圧着してもよい。
フィルム状光導波路14は、受発光素子と接合して、電気/光信号を変換するインターフェースを形成するのに、好適に用いられる。
[1.光導波路用樹脂組成物の用意]
光導波路本体の各部(下部クラッド層、コア部分及び上部クラッド層)の材料として、以下の材料を用意した。
下部クラッド層及び上部クラッド層形成用の光硬化性樹脂組成物として、オプスターPJ3075(JSR社製)を用いた。また、コア形成用の光硬化性樹脂組成物としてオプスターPJ3074(JSR社製)を用いた。
下部クラッド層形成用の光硬化性樹脂組成物(オプスターPJ3075;JSR社製)をシリコン基板上にスピンコータで塗布し、ホットプレートを用いて100℃、10分間の条件でプリベークして、塗膜を形成した。次いで、この塗膜に、波長365nm、照度20mW/cm2の紫外線を75秒間照射して、光硬化させた。そして、この硬化膜を150℃、1時間の条件で、ポストベークをすることにより、厚さ10μmの下部クラッド層を形成した。
次に、コア部分形成用の光硬化性樹脂組成物(オプスターPJ3074;JSR社製)を下部クラッド層上に、スピンコータで塗布し、100℃、10分間の条件でプリベークした。次いで、コア部分形成用の光硬化性樹脂組成物からなる厚さ50μmの塗膜に、幅50μmの複数のライン状パターンを有するフォトマスクを介して、波長365nm、照度20mW/cm2の紫外線を75秒間照射して、光硬化させた。そして、硬化させた塗膜を有する基板をアセトンからなる現像液中に浸漬して、塗膜の未露光部を溶解させた。その後、150℃、1時間の条件で、ポストベークをすることにより、幅50μmのライン状パターンを有する、厚さが50μmの複数のコア部分を形成した。
コア部分を有する下部クラッド層の上面に、上部クラッド層形成用の光硬化性樹脂組成物(オプスターPJ3075;JSR社製)をスピンコータで塗布し、ホットプレートを用いて100℃、10分間の条件でプリベークした。その後、上部クラッド層形成用の光硬化性樹脂組成物からなる塗膜に、波長365nm、照度20mW/cm2の紫外線を75秒間照射して光硬化させ、コア部分の上面からの厚さ10μmの上部クラッド層を形成し、下部クラッド層、複数のコア部分及び上部クラッド層からなるフィルム(幅100mm、長さ100mm、厚さ70μm)を得た。次いで、このフィルムを所望の実装形状(コア部分の数:1個)に切断し、複数の光導波路本体(幅2mm、長さ100mm、厚さ100μm)を作製した。
[実施例1]
N2ガス雰囲気下で、4,4’−(p−ビフェニレンジオキシ)ジアニリン(和光純薬社製)5.4gを脱水N−メチルピロピドン(NMP)80g中に溶解させた。次いで、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(マナック社製、ODPA−M)4.6gを添加し、室温で4時間攪拌し、ポリアミック酸ワニス(ポリアミック酸の有機溶媒溶液)を得た。
次いで、このポリアミック酸ワニスをシリコンウェハ上に塗布し、120℃で5分間乾燥させた後、更に200℃で5分間乾燥させた。次いで300℃で1時間加熱することによりイミド化を行い、厚さ12μmのポリイミドからなるフィルム本体を得た。
このフィルム本体の上面に、接着層用の樹脂組成物として、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート828)95質量部とイミダゾール系硬化剤(四国化成社製、キュアゾール2E4MZ)5質量部とからなる混合物を、厚さが15μmになるように塗布した後、100℃で2分間加熱することにより、接着層を形成させ、被覆層を有するポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムを、当該ポリイミドフィルムの接着層が、前記の作製済みの光導波路本体(幅2mm、長さ100mm、厚み70μm)の下部クラッド層の下面及び上部クラッド層の上面の各々に対峙するようにして、光導波路本体の両面に、150℃にて熱ラミネートで積層し、ポリイミドフィルム同士の積層部分を形成させた後、150℃にて1時間加熱し、次いで、ダイシングソー(ディスコ社製)を用いて、光導波路本体1の相互間に形成されている前記のポリイミドフィルムの積層部分を切断(ダイシング)し、複数のフィルム状光導波路を得た。
なお、フィルム状光導波路において、光導波路本体の側面と、ポリイミドフィルムの積層部分の切断面の距離は、1mmであった。フィルム状光導波路の長手方向の両端部は、発光素子や受光素子を接合させるために、光導波路本体が露出するようにした。
[比較例1]
光導波路本体の下面及び上面にポリイミドフィルムを積層させ、光導波路本体の側面にポリイミドフィルムを積層させなかったこと以外は実施例1と同様にして、フィルム状光導波路を作製した。
フィルム状光導波路(実施例1、比較例1)を次のようにして評価した。
[難燃性]
作製したフィルム状光導波路(実施例1、比較例1)を垂直に固定し、下端からバーナーの炎(ブタンガス、流量5cc/分、炎の長さ12mm)を5秒間接炎した。その結果、実施例1のフィルム状光導波路は、焼失せず、比較例1のフィルム状光導波路は、ポリイミドフィルムを除いて消失した。
1’ 光導波路本体の集合体であるフィルム
2 下部クラッド層
3 コア部分
4 上部クラッド層
5,8 被覆層形成用の樹脂フィルム
6,9 樹脂フィルム本体
7,10 接着層
11 空隙
12 積層部分
13 切断箇所
14 フィルム状光導波路
Claims (5)
- クラッド層及びコア部分を含む光導波路本体と、コア部分が露出している面を除く、上記クラッド層の外表面の全領域に形成された被覆層とを有するフィルム状光導波路の製造方法であって、複数個の光導波路本体が、光導波路本体の相互間に空隙が形成されるように適当な間隔で並列して配置された状態で、当該複数個の光導波路本体の上面及び下面に、一対の被覆層形成用の樹脂フィルムを、これらの樹脂フィルムが上記光導波路本体の相互間の空隙内で当接して積層部分を形成するように、積層させる工程を含むことを特徴とするフィルム状光導波路の製造方法。
- 上記一対の被覆層形成用の樹脂フィルムの積層部分を切断して、複数個のフィルム状光導波路を得る工程を含む請求項1に記載のフィルム状光導波路の製造方法。
- 上記樹脂フィルムが、ポリイミド及び/又はポリアミック酸からなるフィルム本体と、該フィルム本体の片面に形成された接着層とからなる請求項1又は2に記載のフィルム状光導波路の製造方法。
- 上記ポリイミド及び/又はポリアミック酸が、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを反応させて得られるものである請求項3に記載のフィルム状光導波路の製造方法。
- 上記クラッド層及びコア部分の材料として、(メタ)アクリル系またはエポキシ系の光硬化性組成物を用いる請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルム状光導波路の製造方法。
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