JP2004053789A - 光回路基板とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複雑な行程を経ることなく、さらに従来の溶媒蒸発に伴う沈降を利用した自己組織化法では作製困難であった欠陥部を有する光導波路の形成を可能にする方法を提供することを目的としている。
【解決手段】光導波路を有する積層フォトニック結晶構造体7をポリエチレンフィルム1枚で包み込むように被覆し、積層フォトニック結晶構造体とポリエチレンフィルム15との接触界面を熱融着させることで、1枚のポリエチレンフィルムで被覆したフィルム状光回路シート8を形成できる。
【選択図】 図6
【解決手段】光導波路を有する積層フォトニック結晶構造体7をポリエチレンフィルム1枚で包み込むように被覆し、積層フォトニック結晶構造体とポリエチレンフィルム15との接触界面を熱融着させることで、1枚のポリエチレンフィルムで被覆したフィルム状光回路シート8を形成できる。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信分野における、光導波路からなる、または光導波路と方向性結合器型光スイッチング素子、マッハツェンダー型光スイチング素子、波長フィルター、偏光分離フィルター等の光素子からなる光回路基板であり、機械的強度に優れ、設計の自由度が大きい光回路基板とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、通信情報量の増大及び情報の高速処理の要請から、現在の電気信号処理による限界を打破する上で、光信号による通信がいよいよ現実味を帯びてきた。いわゆる“光インターコネクション”と呼ばれる分野である。
【0003】
光インターコネクションにおいては適用領域の観点から大きく分けて4世代に分類されており、世代ごとに様々な通信配線方法が考えられている。特に、第3世代と呼ばれる集積回路内のチップ−チップ間配線には、光導波路の利用が考えられている。しかし、従来の全反射現象を利用したコアークラッド型の光導波路では、急峻な曲げ部分では伝搬する光の損失が大きく、損失を抑えるには曲がり部分の曲率半径を大きくて配線しなくてはならず、これにより回路内の集積密度に限界が生じる。
【0004】
一方、光の波長程度の屈折率の周期性を有するフォトニック結晶は、ある特定の周波数領域の光に対して光の伝搬が禁じられる、いわゆるフォトニックバンドギャップと呼ばれる光に対する禁制帯を形成することから、これまでにない光機能性材料として様々な応用が期待されている。
【0005】
従来、ミラーや波長選択フィルターとして利用されてきた誘電体多層膜は1次元フォトニック結晶として位置づけられ、このような1軸方向のみに屈折率周期性を有する構造体は、その方向にのみフォトニックバンドギャップが形成される。一方、2軸方向或いは3軸方向に光の波長程度の屈折率周期構造を持つ構造体は、2次元或いは3次元フォトニック結晶と呼ばれ、近年、精力的に研究開発が行われている。
【0006】
特に、3次元フォトニック結晶においては、屈折率差、及び結晶構造の最適化により、全方向にフォトニックバンドギャップが形成されることから、このような3次元フォトニック結晶に導波路を形成した場合、急峻な曲がり導波路でも損失することなく光が伝搬することが知られている。このように、回路の集積密度向上の観点から、完全バンドギャップを有する3次元フォトニック結晶の急峻な曲がり導波路への応用が期待されている。
【0007】
このような3次元系のフォトニック結晶を製造する方法としては、種々の方法が提案されている。リソグラフィーにより半導体基板に2次元の凹凸周期構造を作製しておき、この基板上に半導体多層膜をバイアスパッターで積層することで、3次元の周期構造を作製する方法(S.Kawakami, Electron. Lett., vol.34, p.1260, 1997)、或いは、2つの基板上にそれぞれ半導体の角材を周期的に並べた構造を形成し、半導体の角材が直交するように、精密な位置合わせをしながら、積層接着し、片方の基板をエッチングで除去することを繰り返すことで角材が多層に積み上げられた3次元の周期構造を作製する方法がある(S.Noda et.al.,Jpn.J.Appl.Phys., vol.35 ,L909, 1996)。
【0008】
しかし、これらの手法では、大掛かりな装置による成膜や、エッチングの繰り返し、正確な位置合わせ等、行程が複雑であり、さらに光回路を形成するとなるとさらに行程が複雑となる。また、Si系や化合物系の半導体を材料として利用しているため、機械的強度に乏しい。
【0009】
一方、光の波長程度の大きさの球状粒子を規則的に配列させ3次元のフォトニック結晶を作製する方法も提案されている。
【0010】
例えば、ポリスチレンやSiO2等の球状粒子の懸濁溶液を、溶媒の蒸発によって自己組織的に配列させる方法がある(K.Fukuda,et.al., Jpn.J.Appl.Phys., vol.37, p.L508, 1998; H.Miguez,et.al.,Appl.Phys.Lett., vol71, p.1148, 1997)。
【0011】
しかし、懸濁溶液から溶媒を蒸発させ、沈降させるだけで球状粒子を配列させる自己組織化法では、フォトニック結晶内に球状粒子が抜けているいわゆる欠陥部を形成させるには困難を極める。
【0012】
別の方法による配列手法で、この問題を解決する方法が提案されている。2次元配列させた球状粒子を原盤として、これにスタンパ材料を堆積させ、凹形状の半円が2次元に並んだスタンパを作製する。このスタンパを2枚張り合わせることで形成される、球状の空洞の部分に光硬化性樹脂を充填した後、一部分を光非透過としたマスクを用いて、未硬化の部分を形成させることで、欠陥や光導波路部を有する2次元の球状粒子配列物を作製する。さらに、これらを積層させることで3次元周期のフォトニック結晶構造体を作製する方法が提案されている(特開2001−296442)。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スタンパ材を使用する方法は行程が複雑であることや、スタンパ材同士を張り合わせる際の位置合わせ、或いは欠陥や光導波路を含む2次元球状粒子配列物を作製する際の、マスクとスタンパ材との位置合わせの精密なアライメントが要求される。
【0014】
本発明は、上記従来技術の課題を解決すべくなされたものであり、複雑な行程を経ることなく、さらに従来の溶媒蒸発に伴う沈降を利用した自己組織化法では作製困難であった欠陥部を有する光導波路の形成を可能にする方法を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するものとして、球状粒子配列により形成される光導波路と前記球状粒子配列を含むフォトニック結晶構造体の少なくとも1つの面がポリマーフィルムで被覆されている光回路基板である。
【0016】
また本発明は、前記フォトニック結晶構造体が凸部を有するテンプレートを使用して製造されることを特徴とする光回路基板の製造方法である。光導波路そのものあるいは光導波路と光素子からなる光回路基板の形成のために、凸部を有するテンプレートを使用することで、溶媒蒸発に伴う沈降を利用した自己組織化の配列方法でも光導波路を形成することが可能となる。
【0017】
また本発明は、前記テンププレートの前記凸部以外の領域が、球状粒子配列を容易にする微細な凹凸の周期構造を有することを特徴とする請求項2に記載の光回路基板の製造方法である。テンプレートが光導波路の形成を可能とする凸部以外の領域に、微細な凹凸の周期構造を有する構造のテンプレートを使用することで、さらに球状粒子配列を容易にすることが可能となる。
【0018】
上記基本構成を、以下に具体的に記述する。
【0019】
前記光導波路とは、チップ−チップ間配線、あるいは光入出力用に使用されるものであり、目的に応じて直線状或いは曲がり導波路、さらにその組み合わせとして得られる。
【0020】
前記光回路基板とは、光導波路そのもの、あるいは光導波路と光素子からなるものをいう。光素子としては方向性結合器型光スイッチング素子、マッハツェンダー型等光スイッチング素子、波長フィルター、偏光分離フィルター等が挙げられる。この光回路基板は必要に応じて電極等、用途に応じて機能を発現させる手段が設けられても良いし、設けられる前の状態でも良い。
【0021】
前記光導波路及び光素子は目的に応じて組み合わされて、光回路基板として使用される。
【0022】
前記球状粒子の材料は、高分子、金属、無機物質、生物体、酸化物、両親媒性コロイドなどであり、特に限定されるものではない。
【0023】
フォトニック結晶構造体を被覆するポリマーフィルムとは、シート状で屈曲性のものであればよい。
【0024】
前記テンプレートの材質は、ガラス基板や、Si基板、あるいはIII−V族化合物系のGaAsやInP基板などであり、特に限定されるものではない。
【0025】
前記懸濁溶液の溶媒は、水、油、有機溶媒などである。
【0026】
前記テンプレートにおける凸部は、エッチング技術やフォトリソグラフィ技術によって、目的に応じた光回路を形成できるような凸部を有するテンプレートが形成できる。
【0027】
前記テンプレートにおける凸部の形状は、台形であることが望ましい。これは、90°の角度を持つ断面構造を有するテンプレートを使用した場合、この急峻な角での電界集中の影響により、球状粒子が規則正しく配列しないことに起因する(特開2001−162157)。さらに、凸部の高さHは、球状粒子の直径をDとし、凸部がn個分の高さの大きさの光導波路を形成する場合、H=0.83nDにすることが望ましい。これは、凸部の高さを、配列しようとする球状粒子の直径Dとその個数の積nDに等しくすると、台形である凸部の上辺に堆積する球状粒子が、上辺以外の部分に堆積する粒子に比べて位置的に高くなってしまうからである。この部分が周期構造の乱れとなり、フォトニックバンドギャップが形成されなくなることの原因となるからである。これにより、球状粒子は配列を乱すことなく積層方向に対して六法最密あるいは立方最密充填で配列することとなる。前記テンプレートにおいては、凸部以外の部分が、周期構造を有する凹部構造を有するテンプレートであることを特徴とする。
【0028】
ここで、凹部の形状はV溝であることが望ましい。しかし、V溝の谷の深さdが深くなると、V溝の山の部分が急峻な角となり、前記した現象と同様な配列の乱れを生じるため、球状粒子の直径Dに対して、0.1D<d<0.25Dの範囲にあることが望ましい。ここで、V溝の周期は、配列しようとする球状粒子の直径Dに等しい。
【0029】
凹部の形成は、フォトリソグラフィー技術やエッチング技術により作製される。特に、ウエットエッチングの場合、テンプレートに使用される材質によって、最適なエッチング溶液を使用することで、V溝の形状が形成される。
【0030】
前記で形成した光導波路を有するフォトニック結晶構造体と、光導波路を含まないフォトニック結晶構造体を積層することで、光導波路に相当する空孔部分が3次元周期構造で覆われた積層フォトニック結晶構造体を製造できる。
【0031】
前記光導波路を含まないフォトニック結晶構造体は、溶媒蒸発により平坦な面上に自己組織化で形成される。
【0032】
このように積層して得られた光導波路を有するフォトニック結晶構造体を、ポリマーフィルムで被覆することで光回路基板が形成される。このときフォトニック結晶構造体の少なくとも一面がポリマーフィルムで被覆されるが、両面が被覆されていることが構造を安定化させるので好ましい。
【0033】
ここで、ポリマーフィルムで被覆する方法としては、1枚のポリマーフィルムで積層フォトニック結晶構造体の周囲を巻き込むか、或いは2枚のポリマーフィルムで上下方向から挟み込む方法があり、目的に応じて最適な方法がとられる。
【0034】
さらに、ポリマーフィルムで被覆する方法としては、1枚のポリマーフィルム上に光導波路を有するフォトニック結晶構造体と、光導波路を含まないフォトニック結晶構造体を所定の位置に固定しておき、これを折り重ねることでも形成される。
【0035】
さらに、光導波路を有するフォトニック結晶構造体と光導波路を含まないフォトニック結晶構造体を2枚のポリマーフィルムにそれぞれ固定しておき、これを重ね合わせることでも形成される。
【0036】
ここで、フォトニック結晶構造体或いは積層フォトニック結晶構造体と被覆用ポリマーフィルムとの接着、及び積層フォトニック結晶構造体を内包しているポリマーフィルム同士の接着は、熱融着、溶剤接着、接着剤による接着等があり、使用する球状粒子の材質と被覆用ポリマーフィルムとの関係により最適な方法がとられる。
【0037】
さらに光回路基板はフィルム状光回路シートであってもよい。これは様々な形状をした複数個の光導波路同士を組み合わせた後、この集合体をポリマーフィルムで被覆し形成することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0039】
凸部を有するテンプレート及び、凸部と凹部を有するテンプレートは、ウエットエッチングやドライエッチングにより作製できる。
【0040】
より具体的に説明する。まず初めに、図1に示す、90°の曲がり角度を有するマッハツエンダー型光分岐配線を形成するための凸部テンプレート1の作製について説明する。ここでは、光導波路は球状粒子1個分の大きさであるが、目的に応じて選定される。
【0041】
ガラス基板上にレジスト溶液を塗布する。あらかじめ作製しておいたマッハツェンダー型のマスクを用いてフォトリソグラフィーによりパターンを転写する。レジスト膜を剥離した後、フッ酸水溶液でウエットエッチングすることにより、台形の凸部を形成する。ここで、凸部の高さHは、配列しようとする球状粒子の直径D、凸部がn個分の高さの大きさの光導波路を形成する場合に対して、H=0.83nDの高さに成るようにエッチング時間を調整する。本実施例では、直径0.6μmのポリスチレン球状粒子1個分なので、H=0.498μmとなる。最後に、アセトンでレジスト膜を剥離することで、90°の曲がり角度を有するマッハツエンダー型光分岐配線を形成する凸部を有するテンプレート1が完成する。
【0042】
次に、図2に示す、直線状の光導波路を形成する凸部と凹部を有するテンプレート2は以下の方法により作製される。まず、凸部は前記した手順で、直線状の光導波路を形成するマスクを使用してフォトリソグラフィーによりパターン転写する。フッ酸水溶液によるウエットエッチングにより凸部を形成した後、レジストは残したまま、この上にさらにレジスト溶液を塗布する。ここで、配列しようとする球状粒子の直径Dに等しい周期を有する1次元の周期構造形状のマスクを用いてフォトリソグラフィーによりパターンを転写する。本実施例では、直径0.6μmのポリスチレン球状粒子を使用するので周期は0.6μmとなる。レジスト膜を剥離した後、フッ酸+フッ化アンモニウム水溶液でウエットエッチングを施す。これによりV溝状の凹部が形成される。ここで、V溝の深さdは、球状粒子の直径Dに対して、0.1D<d<0.25Dの範囲になるようにエッチング時間を調整する。本実施例では、直径0.6μmのポリスチレン球状粒子を使用するので、0.06μm<d<0.15μmとなる。アセトンによるレジスト剥離を行なって直線状光導波路を形成する凸凹部を有するテンプレート2が完成する。
【0043】
次に、エッチング技術やフォトリソグラフィ技術により作製した図3に示す凹部形状の容器3の底に凸凹部を有するテンプレート2を設置し、球状粒子が分散した懸濁溶液を滴下し溶媒を蒸発させることで、直線状の光導波路を有するフォトニック結晶構造体4が形成される。
【0044】
より具体的に説明する。ガラスをフッ酸水溶液でエッチングすることで凹部容器3を作製する。ここで、凹部容器3の底面の面積は、使用するテンプレートの面積と等しい。図3(a)に示すように、凹部容器3の底に、凸凹部を有するテンプレート2を設置し、直径0.6μmのポリスチレン球状粒子が分散した懸濁水溶液を滴下し、温度及び湿度を制御しながら、徐々に水を蒸発させることで光導波路を有するフォトニック結晶構造体4が凸凹部を有するテンプレート2を設置した凹部容器3の底に形成される。フォトニック結晶構造体をテンプレートから取り出すには、例えばフッ酸水溶液でテンプレートのガラスを溶解させれば良い。
【0045】
ここでは、一例として4層分のフォトニック結晶構造体を形成しているが、これに限定されることはなく、目的に応じて層数、いわゆる繰り返しの周期数を決定する。ここで、周期数は、使用する凸凹部を有するテンプレート2と凹部容器3の形状及び大きさ、球状粒子の直径が決定されれば、懸濁溶液中に含まれる球状粒子の濃度と溶液の滴下量により制御できる。
【0046】
上述した同様の手順により、テンプレート1を使用することで、図4に示すマッハツェンダー型光分岐配線球状粒子配列物5を形成できる。ここでは、球状粒子配列物は一例として1層分のみを示しているが、多層でも良い。
【0047】
次に、直線状の光導波路を有するフォトニック結晶構造体と、光導波路を含まないフォトニック結晶構造体を積層し、これをポリマーフィルムで被覆することで、フィルム状光回路シートが形成できる。
【0048】
図5を用いて説明する。光導波路を有するフォトニック結晶構造体4を一定時間ポリスチレンが熱融着する温度に保つと、ポリスチレン球状粒子同士が接触界面で接着する。これを凹部容器3から取り出し、さらに、図5(a)に示す、別に作製しておいた光導波路を含まないフォトニック結晶構造体6と積層し、同様に熱融着させることで図5(b)に示す、光導波路を有する積層フォトニック結晶構造体7が作製できる。ここでは、1本の直線状の光導波路を有するフォトニック結晶構造体を形成しているが、これに限定されることはなく、複数の曲がり光導波路を含むフォトニック結晶構造体を形成することもできる。
【0049】
この光導波路を有する積層フォトニック結晶構造体7をポリエチレンフィルム1枚で包み込むように被覆し、積層フォトニック結晶構造体とポリエチレンフィルム15との接触界面を熱融着させることで、図6(a)に示す1枚のポリエチレンフィルムで被覆したフィルム状光回路シート8を形成できる。或いは図6(b)に示す、2枚のポリエチレンフィルムで被覆することで、2枚のポリエチレンフィルム16a,16bで被覆したフィルム状光回路シート9を形成することができる。
【0050】
さらに、次の方法でもフィルム状光回路シートは作製できる。図7(a)に示すように、ポリエチレンフィルム10の上に光導波路を有するフォトニック結晶構造体4と光導波路を含まないフォトニック結晶構造体6を所定の位置に配置し、熱融着により、フォトニック結晶構造体をポリエチレンフィルムに固定する。これを折り返し、さらに熱融着することで、図7(b)に示すフィルム状光回路シート11を作製できる。
【0051】
あるいは、図8(a)に示す、2枚のポリエチレンフィルム12及び13の上に、光導波路を有するフォトニック結晶構造体4と光導波路を含まないフォトニック結晶構造体6をそれぞれのフィルム上の所定の位置に配置し、熱融着によりそれぞれをポリエチレンフィルムに固定する。これらを重ね合わせ、さらに熱融着させることでも図8(b)に示すフィルム状光回路シート14が作製できる。
【0052】
【発明の効果】
上述したように、本発明により、従来技術の課題が解決され、機械的強度に優れたフィルム状光回路シートの形成可能となり、さらにこれらの簡易な製造方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】マッハツェンダー型光分岐配線を形成する凸部を有するテンプレートの例を示す斜視図である。
【図2】直線状光導波路を形成する凸部と凹部を有するテンプレートの例を示す斜視図である。
【図3】(a)は、凸と凹部を有するテンプレートを凹部容器の底に設置した断面図である。(b)は、球状粒子分散懸濁液を滴下した後、水を蒸発させて配列した直線状の光導波路を有するフォトニック結晶構造体の一例を示す断面図である。
【図4】マッハツェンダー型光分岐配線型球状粒子配列物の一例を示す斜視図である。
【図5】積層フォトニック結晶構造体を作成するための概念図である。
【図6】(a)積層フォトニック結晶構造体を1枚のポリスチレンフィルムで被覆したフィルム状光回路シートの一例を示す断面図である。
(b)積層フォトニック結晶構造体を2枚のポリスチレンフィルムで被覆したフィルム状光回路シートの一例を示す断面図である。
【図7】フィルムで被覆された積層フォトニック結晶構造体を作成する1例を示す断面図である。
【図8】フィルムで被覆された積層フォトニック結晶構造体を作成する別の1例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・テンプレート、 2・・凸凹部を有するテンプレート、3・・凹部容器
4・・光導波路を有するフォトニック結晶構造体
5・・マッハツェンダー型光分岐配線球状粒子配列物
6・・光導波路を含まないフォトニック結晶構造体
7・・積層フォトニック結晶構造体
8・・フィルム状光回路シート、 9・・フィルム状光回路シート
10・・ポリエチレンフィルム、11・・フィルム状光回路シート
12、13・・ポリエチレンフィルム、14・・フィルム状光回路シート
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信分野における、光導波路からなる、または光導波路と方向性結合器型光スイッチング素子、マッハツェンダー型光スイチング素子、波長フィルター、偏光分離フィルター等の光素子からなる光回路基板であり、機械的強度に優れ、設計の自由度が大きい光回路基板とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、通信情報量の増大及び情報の高速処理の要請から、現在の電気信号処理による限界を打破する上で、光信号による通信がいよいよ現実味を帯びてきた。いわゆる“光インターコネクション”と呼ばれる分野である。
【0003】
光インターコネクションにおいては適用領域の観点から大きく分けて4世代に分類されており、世代ごとに様々な通信配線方法が考えられている。特に、第3世代と呼ばれる集積回路内のチップ−チップ間配線には、光導波路の利用が考えられている。しかし、従来の全反射現象を利用したコアークラッド型の光導波路では、急峻な曲げ部分では伝搬する光の損失が大きく、損失を抑えるには曲がり部分の曲率半径を大きくて配線しなくてはならず、これにより回路内の集積密度に限界が生じる。
【0004】
一方、光の波長程度の屈折率の周期性を有するフォトニック結晶は、ある特定の周波数領域の光に対して光の伝搬が禁じられる、いわゆるフォトニックバンドギャップと呼ばれる光に対する禁制帯を形成することから、これまでにない光機能性材料として様々な応用が期待されている。
【0005】
従来、ミラーや波長選択フィルターとして利用されてきた誘電体多層膜は1次元フォトニック結晶として位置づけられ、このような1軸方向のみに屈折率周期性を有する構造体は、その方向にのみフォトニックバンドギャップが形成される。一方、2軸方向或いは3軸方向に光の波長程度の屈折率周期構造を持つ構造体は、2次元或いは3次元フォトニック結晶と呼ばれ、近年、精力的に研究開発が行われている。
【0006】
特に、3次元フォトニック結晶においては、屈折率差、及び結晶構造の最適化により、全方向にフォトニックバンドギャップが形成されることから、このような3次元フォトニック結晶に導波路を形成した場合、急峻な曲がり導波路でも損失することなく光が伝搬することが知られている。このように、回路の集積密度向上の観点から、完全バンドギャップを有する3次元フォトニック結晶の急峻な曲がり導波路への応用が期待されている。
【0007】
このような3次元系のフォトニック結晶を製造する方法としては、種々の方法が提案されている。リソグラフィーにより半導体基板に2次元の凹凸周期構造を作製しておき、この基板上に半導体多層膜をバイアスパッターで積層することで、3次元の周期構造を作製する方法(S.Kawakami, Electron. Lett., vol.34, p.1260, 1997)、或いは、2つの基板上にそれぞれ半導体の角材を周期的に並べた構造を形成し、半導体の角材が直交するように、精密な位置合わせをしながら、積層接着し、片方の基板をエッチングで除去することを繰り返すことで角材が多層に積み上げられた3次元の周期構造を作製する方法がある(S.Noda et.al.,Jpn.J.Appl.Phys., vol.35 ,L909, 1996)。
【0008】
しかし、これらの手法では、大掛かりな装置による成膜や、エッチングの繰り返し、正確な位置合わせ等、行程が複雑であり、さらに光回路を形成するとなるとさらに行程が複雑となる。また、Si系や化合物系の半導体を材料として利用しているため、機械的強度に乏しい。
【0009】
一方、光の波長程度の大きさの球状粒子を規則的に配列させ3次元のフォトニック結晶を作製する方法も提案されている。
【0010】
例えば、ポリスチレンやSiO2等の球状粒子の懸濁溶液を、溶媒の蒸発によって自己組織的に配列させる方法がある(K.Fukuda,et.al., Jpn.J.Appl.Phys., vol.37, p.L508, 1998; H.Miguez,et.al.,Appl.Phys.Lett., vol71, p.1148, 1997)。
【0011】
しかし、懸濁溶液から溶媒を蒸発させ、沈降させるだけで球状粒子を配列させる自己組織化法では、フォトニック結晶内に球状粒子が抜けているいわゆる欠陥部を形成させるには困難を極める。
【0012】
別の方法による配列手法で、この問題を解決する方法が提案されている。2次元配列させた球状粒子を原盤として、これにスタンパ材料を堆積させ、凹形状の半円が2次元に並んだスタンパを作製する。このスタンパを2枚張り合わせることで形成される、球状の空洞の部分に光硬化性樹脂を充填した後、一部分を光非透過としたマスクを用いて、未硬化の部分を形成させることで、欠陥や光導波路部を有する2次元の球状粒子配列物を作製する。さらに、これらを積層させることで3次元周期のフォトニック結晶構造体を作製する方法が提案されている(特開2001−296442)。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スタンパ材を使用する方法は行程が複雑であることや、スタンパ材同士を張り合わせる際の位置合わせ、或いは欠陥や光導波路を含む2次元球状粒子配列物を作製する際の、マスクとスタンパ材との位置合わせの精密なアライメントが要求される。
【0014】
本発明は、上記従来技術の課題を解決すべくなされたものであり、複雑な行程を経ることなく、さらに従来の溶媒蒸発に伴う沈降を利用した自己組織化法では作製困難であった欠陥部を有する光導波路の形成を可能にする方法を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するものとして、球状粒子配列により形成される光導波路と前記球状粒子配列を含むフォトニック結晶構造体の少なくとも1つの面がポリマーフィルムで被覆されている光回路基板である。
【0016】
また本発明は、前記フォトニック結晶構造体が凸部を有するテンプレートを使用して製造されることを特徴とする光回路基板の製造方法である。光導波路そのものあるいは光導波路と光素子からなる光回路基板の形成のために、凸部を有するテンプレートを使用することで、溶媒蒸発に伴う沈降を利用した自己組織化の配列方法でも光導波路を形成することが可能となる。
【0017】
また本発明は、前記テンププレートの前記凸部以外の領域が、球状粒子配列を容易にする微細な凹凸の周期構造を有することを特徴とする請求項2に記載の光回路基板の製造方法である。テンプレートが光導波路の形成を可能とする凸部以外の領域に、微細な凹凸の周期構造を有する構造のテンプレートを使用することで、さらに球状粒子配列を容易にすることが可能となる。
【0018】
上記基本構成を、以下に具体的に記述する。
【0019】
前記光導波路とは、チップ−チップ間配線、あるいは光入出力用に使用されるものであり、目的に応じて直線状或いは曲がり導波路、さらにその組み合わせとして得られる。
【0020】
前記光回路基板とは、光導波路そのもの、あるいは光導波路と光素子からなるものをいう。光素子としては方向性結合器型光スイッチング素子、マッハツェンダー型等光スイッチング素子、波長フィルター、偏光分離フィルター等が挙げられる。この光回路基板は必要に応じて電極等、用途に応じて機能を発現させる手段が設けられても良いし、設けられる前の状態でも良い。
【0021】
前記光導波路及び光素子は目的に応じて組み合わされて、光回路基板として使用される。
【0022】
前記球状粒子の材料は、高分子、金属、無機物質、生物体、酸化物、両親媒性コロイドなどであり、特に限定されるものではない。
【0023】
フォトニック結晶構造体を被覆するポリマーフィルムとは、シート状で屈曲性のものであればよい。
【0024】
前記テンプレートの材質は、ガラス基板や、Si基板、あるいはIII−V族化合物系のGaAsやInP基板などであり、特に限定されるものではない。
【0025】
前記懸濁溶液の溶媒は、水、油、有機溶媒などである。
【0026】
前記テンプレートにおける凸部は、エッチング技術やフォトリソグラフィ技術によって、目的に応じた光回路を形成できるような凸部を有するテンプレートが形成できる。
【0027】
前記テンプレートにおける凸部の形状は、台形であることが望ましい。これは、90°の角度を持つ断面構造を有するテンプレートを使用した場合、この急峻な角での電界集中の影響により、球状粒子が規則正しく配列しないことに起因する(特開2001−162157)。さらに、凸部の高さHは、球状粒子の直径をDとし、凸部がn個分の高さの大きさの光導波路を形成する場合、H=0.83nDにすることが望ましい。これは、凸部の高さを、配列しようとする球状粒子の直径Dとその個数の積nDに等しくすると、台形である凸部の上辺に堆積する球状粒子が、上辺以外の部分に堆積する粒子に比べて位置的に高くなってしまうからである。この部分が周期構造の乱れとなり、フォトニックバンドギャップが形成されなくなることの原因となるからである。これにより、球状粒子は配列を乱すことなく積層方向に対して六法最密あるいは立方最密充填で配列することとなる。前記テンプレートにおいては、凸部以外の部分が、周期構造を有する凹部構造を有するテンプレートであることを特徴とする。
【0028】
ここで、凹部の形状はV溝であることが望ましい。しかし、V溝の谷の深さdが深くなると、V溝の山の部分が急峻な角となり、前記した現象と同様な配列の乱れを生じるため、球状粒子の直径Dに対して、0.1D<d<0.25Dの範囲にあることが望ましい。ここで、V溝の周期は、配列しようとする球状粒子の直径Dに等しい。
【0029】
凹部の形成は、フォトリソグラフィー技術やエッチング技術により作製される。特に、ウエットエッチングの場合、テンプレートに使用される材質によって、最適なエッチング溶液を使用することで、V溝の形状が形成される。
【0030】
前記で形成した光導波路を有するフォトニック結晶構造体と、光導波路を含まないフォトニック結晶構造体を積層することで、光導波路に相当する空孔部分が3次元周期構造で覆われた積層フォトニック結晶構造体を製造できる。
【0031】
前記光導波路を含まないフォトニック結晶構造体は、溶媒蒸発により平坦な面上に自己組織化で形成される。
【0032】
このように積層して得られた光導波路を有するフォトニック結晶構造体を、ポリマーフィルムで被覆することで光回路基板が形成される。このときフォトニック結晶構造体の少なくとも一面がポリマーフィルムで被覆されるが、両面が被覆されていることが構造を安定化させるので好ましい。
【0033】
ここで、ポリマーフィルムで被覆する方法としては、1枚のポリマーフィルムで積層フォトニック結晶構造体の周囲を巻き込むか、或いは2枚のポリマーフィルムで上下方向から挟み込む方法があり、目的に応じて最適な方法がとられる。
【0034】
さらに、ポリマーフィルムで被覆する方法としては、1枚のポリマーフィルム上に光導波路を有するフォトニック結晶構造体と、光導波路を含まないフォトニック結晶構造体を所定の位置に固定しておき、これを折り重ねることでも形成される。
【0035】
さらに、光導波路を有するフォトニック結晶構造体と光導波路を含まないフォトニック結晶構造体を2枚のポリマーフィルムにそれぞれ固定しておき、これを重ね合わせることでも形成される。
【0036】
ここで、フォトニック結晶構造体或いは積層フォトニック結晶構造体と被覆用ポリマーフィルムとの接着、及び積層フォトニック結晶構造体を内包しているポリマーフィルム同士の接着は、熱融着、溶剤接着、接着剤による接着等があり、使用する球状粒子の材質と被覆用ポリマーフィルムとの関係により最適な方法がとられる。
【0037】
さらに光回路基板はフィルム状光回路シートであってもよい。これは様々な形状をした複数個の光導波路同士を組み合わせた後、この集合体をポリマーフィルムで被覆し形成することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0039】
凸部を有するテンプレート及び、凸部と凹部を有するテンプレートは、ウエットエッチングやドライエッチングにより作製できる。
【0040】
より具体的に説明する。まず初めに、図1に示す、90°の曲がり角度を有するマッハツエンダー型光分岐配線を形成するための凸部テンプレート1の作製について説明する。ここでは、光導波路は球状粒子1個分の大きさであるが、目的に応じて選定される。
【0041】
ガラス基板上にレジスト溶液を塗布する。あらかじめ作製しておいたマッハツェンダー型のマスクを用いてフォトリソグラフィーによりパターンを転写する。レジスト膜を剥離した後、フッ酸水溶液でウエットエッチングすることにより、台形の凸部を形成する。ここで、凸部の高さHは、配列しようとする球状粒子の直径D、凸部がn個分の高さの大きさの光導波路を形成する場合に対して、H=0.83nDの高さに成るようにエッチング時間を調整する。本実施例では、直径0.6μmのポリスチレン球状粒子1個分なので、H=0.498μmとなる。最後に、アセトンでレジスト膜を剥離することで、90°の曲がり角度を有するマッハツエンダー型光分岐配線を形成する凸部を有するテンプレート1が完成する。
【0042】
次に、図2に示す、直線状の光導波路を形成する凸部と凹部を有するテンプレート2は以下の方法により作製される。まず、凸部は前記した手順で、直線状の光導波路を形成するマスクを使用してフォトリソグラフィーによりパターン転写する。フッ酸水溶液によるウエットエッチングにより凸部を形成した後、レジストは残したまま、この上にさらにレジスト溶液を塗布する。ここで、配列しようとする球状粒子の直径Dに等しい周期を有する1次元の周期構造形状のマスクを用いてフォトリソグラフィーによりパターンを転写する。本実施例では、直径0.6μmのポリスチレン球状粒子を使用するので周期は0.6μmとなる。レジスト膜を剥離した後、フッ酸+フッ化アンモニウム水溶液でウエットエッチングを施す。これによりV溝状の凹部が形成される。ここで、V溝の深さdは、球状粒子の直径Dに対して、0.1D<d<0.25Dの範囲になるようにエッチング時間を調整する。本実施例では、直径0.6μmのポリスチレン球状粒子を使用するので、0.06μm<d<0.15μmとなる。アセトンによるレジスト剥離を行なって直線状光導波路を形成する凸凹部を有するテンプレート2が完成する。
【0043】
次に、エッチング技術やフォトリソグラフィ技術により作製した図3に示す凹部形状の容器3の底に凸凹部を有するテンプレート2を設置し、球状粒子が分散した懸濁溶液を滴下し溶媒を蒸発させることで、直線状の光導波路を有するフォトニック結晶構造体4が形成される。
【0044】
より具体的に説明する。ガラスをフッ酸水溶液でエッチングすることで凹部容器3を作製する。ここで、凹部容器3の底面の面積は、使用するテンプレートの面積と等しい。図3(a)に示すように、凹部容器3の底に、凸凹部を有するテンプレート2を設置し、直径0.6μmのポリスチレン球状粒子が分散した懸濁水溶液を滴下し、温度及び湿度を制御しながら、徐々に水を蒸発させることで光導波路を有するフォトニック結晶構造体4が凸凹部を有するテンプレート2を設置した凹部容器3の底に形成される。フォトニック結晶構造体をテンプレートから取り出すには、例えばフッ酸水溶液でテンプレートのガラスを溶解させれば良い。
【0045】
ここでは、一例として4層分のフォトニック結晶構造体を形成しているが、これに限定されることはなく、目的に応じて層数、いわゆる繰り返しの周期数を決定する。ここで、周期数は、使用する凸凹部を有するテンプレート2と凹部容器3の形状及び大きさ、球状粒子の直径が決定されれば、懸濁溶液中に含まれる球状粒子の濃度と溶液の滴下量により制御できる。
【0046】
上述した同様の手順により、テンプレート1を使用することで、図4に示すマッハツェンダー型光分岐配線球状粒子配列物5を形成できる。ここでは、球状粒子配列物は一例として1層分のみを示しているが、多層でも良い。
【0047】
次に、直線状の光導波路を有するフォトニック結晶構造体と、光導波路を含まないフォトニック結晶構造体を積層し、これをポリマーフィルムで被覆することで、フィルム状光回路シートが形成できる。
【0048】
図5を用いて説明する。光導波路を有するフォトニック結晶構造体4を一定時間ポリスチレンが熱融着する温度に保つと、ポリスチレン球状粒子同士が接触界面で接着する。これを凹部容器3から取り出し、さらに、図5(a)に示す、別に作製しておいた光導波路を含まないフォトニック結晶構造体6と積層し、同様に熱融着させることで図5(b)に示す、光導波路を有する積層フォトニック結晶構造体7が作製できる。ここでは、1本の直線状の光導波路を有するフォトニック結晶構造体を形成しているが、これに限定されることはなく、複数の曲がり光導波路を含むフォトニック結晶構造体を形成することもできる。
【0049】
この光導波路を有する積層フォトニック結晶構造体7をポリエチレンフィルム1枚で包み込むように被覆し、積層フォトニック結晶構造体とポリエチレンフィルム15との接触界面を熱融着させることで、図6(a)に示す1枚のポリエチレンフィルムで被覆したフィルム状光回路シート8を形成できる。或いは図6(b)に示す、2枚のポリエチレンフィルムで被覆することで、2枚のポリエチレンフィルム16a,16bで被覆したフィルム状光回路シート9を形成することができる。
【0050】
さらに、次の方法でもフィルム状光回路シートは作製できる。図7(a)に示すように、ポリエチレンフィルム10の上に光導波路を有するフォトニック結晶構造体4と光導波路を含まないフォトニック結晶構造体6を所定の位置に配置し、熱融着により、フォトニック結晶構造体をポリエチレンフィルムに固定する。これを折り返し、さらに熱融着することで、図7(b)に示すフィルム状光回路シート11を作製できる。
【0051】
あるいは、図8(a)に示す、2枚のポリエチレンフィルム12及び13の上に、光導波路を有するフォトニック結晶構造体4と光導波路を含まないフォトニック結晶構造体6をそれぞれのフィルム上の所定の位置に配置し、熱融着によりそれぞれをポリエチレンフィルムに固定する。これらを重ね合わせ、さらに熱融着させることでも図8(b)に示すフィルム状光回路シート14が作製できる。
【0052】
【発明の効果】
上述したように、本発明により、従来技術の課題が解決され、機械的強度に優れたフィルム状光回路シートの形成可能となり、さらにこれらの簡易な製造方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】マッハツェンダー型光分岐配線を形成する凸部を有するテンプレートの例を示す斜視図である。
【図2】直線状光導波路を形成する凸部と凹部を有するテンプレートの例を示す斜視図である。
【図3】(a)は、凸と凹部を有するテンプレートを凹部容器の底に設置した断面図である。(b)は、球状粒子分散懸濁液を滴下した後、水を蒸発させて配列した直線状の光導波路を有するフォトニック結晶構造体の一例を示す断面図である。
【図4】マッハツェンダー型光分岐配線型球状粒子配列物の一例を示す斜視図である。
【図5】積層フォトニック結晶構造体を作成するための概念図である。
【図6】(a)積層フォトニック結晶構造体を1枚のポリスチレンフィルムで被覆したフィルム状光回路シートの一例を示す断面図である。
(b)積層フォトニック結晶構造体を2枚のポリスチレンフィルムで被覆したフィルム状光回路シートの一例を示す断面図である。
【図7】フィルムで被覆された積層フォトニック結晶構造体を作成する1例を示す断面図である。
【図8】フィルムで被覆された積層フォトニック結晶構造体を作成する別の1例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・テンプレート、 2・・凸凹部を有するテンプレート、3・・凹部容器
4・・光導波路を有するフォトニック結晶構造体
5・・マッハツェンダー型光分岐配線球状粒子配列物
6・・光導波路を含まないフォトニック結晶構造体
7・・積層フォトニック結晶構造体
8・・フィルム状光回路シート、 9・・フィルム状光回路シート
10・・ポリエチレンフィルム、11・・フィルム状光回路シート
12、13・・ポリエチレンフィルム、14・・フィルム状光回路シート
Claims (3)
- 球状粒子配列により形成される光導波路と前記球状粒子配列を含むフォトニック結晶構造体の少なくとも1つの面がポリマーフィルムで被覆されていることを特徴とする光回路基板。
- 請求項1の光回路基板の製造方法において、前記フォトニック結晶構造体が凸部を有するテンプレートを使用して形成されることを特徴とする光回路基板の製造方法。
- 前記テンププレートの前記凸部以外の領域が、球状粒子配列を容易にする微細な凹凸の周期構造を有することを特徴とする請求項2に記載の光回路基板の製造方法。
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JP2002209187A JP2004053789A (ja) | 2002-07-18 | 2002-07-18 | 光回路基板とその製造方法 |
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JP2007310038A (ja) * | 2006-05-17 | 2007-11-29 | Hokkaido Univ | 3次元フォトニック結晶の製造方法 |
JP2008008931A (ja) * | 2006-06-27 | 2008-01-17 | Hokkaido Univ | 3次元フォトニック結晶の製造方法 |
JP2008203687A (ja) * | 2007-02-22 | 2008-09-04 | Jsr Corp | フィルム状光導波路の製造方法 |
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- 2002-07-18 JP JP2002209187A patent/JP2004053789A/ja active Pending
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