JP2001074952A - 保護層を備えた樹脂製光導波路、その製造方法および光部品 - Google Patents

保護層を備えた樹脂製光導波路、その製造方法および光部品

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JP2001074952A
JP2001074952A JP25097899A JP25097899A JP2001074952A JP 2001074952 A JP2001074952 A JP 2001074952A JP 25097899 A JP25097899 A JP 25097899A JP 25097899 A JP25097899 A JP 25097899A JP 2001074952 A JP2001074952 A JP 2001074952A
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optical waveguide
protective layer
polyimide
resin
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Toru Takahashi
亨 高橋
Nobuo Miyadera
信生 宮寺
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Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低屈折率のポリイミド製上部クラッドを有しな
がら、耐溶剤性の高い光導波路を提供する。 【解決手段】基板14と、基板14上に順に積層され
た、下部クラッド層15とコア層16と上部クラッド層
20と、上部クラッド層20の上に配置された保護層2
4とを有する。上部クラッド層20は、フッ素を含む樹
脂からなり、保護層24は、上部クラッド層20よりも
フッ素の含有量が少ないか、もしくは、フッ素を含有し
ていない樹脂からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光導波路に関し、
特に、クラッドおよびコアが樹脂製の光導波路に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年のパソコンやインターネットの普及
に伴い、情報伝送需要が急激に増大している。このた
め、伝送速度の速い光伝送を、パソコン等の末端の情報
処理装置まで普及させることが望まれている。これを実
現するには、光インターコネクション用に、高性能な光
導波路を、安価かつ大量に製造することが必要がある。
【0003】光導波路の材料としては、ガラスや半導体
材料等の無機材料と、ポリマ材料が知られている。無機
材料により光導波路を製造する場合には、真空蒸着装置
やスパッタ装置等の成膜装置により無機材料膜を成膜
し、これを所望の導波路形状にエッチングすることによ
り製造する方法が用いられる。しかしながら、真空蒸着
装置やスパッタ装置は、真空排気設備が必要であるた
め、装置が大型で高価である。また、真空排気工程が必
要であるため工程が複雑になる。
【0004】これに対し、ポリマ材料によって光導波路
を製造する場合には、成膜工程を、塗布と加熱により大
気圧で行うことができるため、装置および工程が簡単で
あるという利点がある。例えば、特開平9−40774
号公報には、ポリイミドにより光導波路を製造する方法
が開示されている。
【0005】上記公報に記載されている光導波路の製造
方法は、まず、シリコン等の基板の上に、ポリアミド酸
溶液をスピン塗布し、これを加熱して乾燥・硬化させる
ことにより、ポリイミド膜を得て、これを下部クラッド
層とする。つぎに、同様の手順で、下部クラッドよりも
屈折率の高いポリイミド膜を形成し、これをコア層とす
る。このコア層の上に、レジストにより所定のマスクを
形成して、リアクティブイオンエッチング(RIE)等
により、所望のコアの形状に加工する。つぎに、このコ
アの上にさらに、ポリアミド酸溶液をスピン塗布し、こ
れを加熱乾燥させた後、さらに加熱して硬化させること
により、コアよりも屈折率の低いポリイミド膜を得て、
これを上部クラッド層とする。
【0006】また、光導波路のコア層やクラッド層を構
成する光学ポリマとしては、従来よりポリメチルメタク
リレートが用いられているが、ガラス転移温度(Tg)
が比較的低いため、信頼性に不安がある。また、Tgが
低いため、高温工程に耐えることができず、光導波路上
に電気回路を半田付けする等ができない。そのため、T
gが高く、耐熱性に優れるポリイミドが光導波路用のポ
リマ材料として期待されている。ポリイミドにより光導
波路を形成した場合、長期信頼性が期待でき、半田付け
にも耐えることができる。しかしながら、ポリイミドは
化学構造に芳香環を含むために屈折率が高く、屈折率が
比較的低い光ファイバと高効率で結合することのできる
光導波路を得にくい。また、ポリイミドは、光の吸収端
が長波長側にシフトしているため、吸収による伝搬損失
が大きい。そこで、フッ素原子を導入することにより、
屈折率を下げ、かつ、吸収端を短波長側にシフトさせた
ポリイミドが開発されている。例えば、特開平4−23
9037号公報、特開平4−328504号公報、特開
平4−328127号公報、特開平9−40774号公
報等にフッ素を導入したポリイミドが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、フッ素
を導入したポリイミドは、屈折率が低く、吸収端も短い
いため、光学的には高性能で、光ファイバと結合しやす
い光導波路を形成可能である。しかしながら、フッ素を
導入したポリイミドは、耐溶剤性が低く、信頼性に問題
が生じる。また、フッ素を導入したポリイミドは、フッ
素の特性により接着性が低く、光導波路の上に他の光学
部品等を接着するのが難しいという問題もある。
【0008】本発明は、低屈折率のポリイミド製上部ク
ラッドを有しながら、耐溶剤性の高い光導波路を提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明によれば、以下のような光導波路が提供され
る。すなわち、基板と、前記基板上に順に積層された、
下部クラッド層とコア層と上部クラッド層と、前記上部
クラッド層の上に配置された保護層とを有し、前記上部
クラッド層は、フッ素を含む樹脂からなり、前記保護層
は、前記上部クラッド層よりもフッ素の含有量が少ない
か、もしくは、フッ素を含有していない樹脂からなるこ
とを特徴とする光導波路である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の一実施の形態の光導波路
について、図面を用いて説明する。
【0011】本実施の形態の光導波路は、図4(o)の
ように、シリコンウエハ基板14の上に、下部クラッド
層15を備え、下部クラッド層15の上にはパターニン
グされたコア層16が配置されている。コア層16は、
上部クラッド層20により覆われている。上部クラッド
層20の上面は、保護層24により覆われている。下部
クラッド層15および上部クラッド層20は、光ファイ
バとの結合効率を高めるために、光ファイバと同程度の
屈折率を有する、フッ素を導入したポリイミドから構成
されている。一方、保護層24は、フッ素を含有してい
ないポリイミドから形成されている。
【0012】具体的には、下部クラッド層15および上
部クラッド層20は、いずれも、日立化成工業株式会社
製OPI−N1005(商品名)を用いて形成したポリ
イミド膜である。このポリイミドは、フッ素を含有して
おり、その含有量は、約19mol%である。下部クラ
ッド層15および上部クラッド層20の屈折率は、1.
52〜1.53である。下部クラッド層15の膜厚は、
約7μm、上部クラッド層20の膜厚は、約15μmで
ある。コア層16は、日立化成工業株式会社製OPI−
N3205(商品名)を用いて形成したポリイミド膜で
あり、膜厚は約8μmであり、幅も約8μmにパターニ
ングされている。コア層16の屈折率は、下部および上
部クラッド層15、20よりも約0.5%大きい。
【0013】保護層24は、日立化成デュポンマイクロ
システムズ株式会社製PIX−6400(商品名)を用
いて形成したポリイミド膜である。このポリイミドは、
フッ素を含有していない。膜厚は、コア層16から離れ
た端部の部分で約7μmである。
【0014】つぎに、図4(o)の光導波路の製造方法
について説明する。
【0015】まず、図1(a)のシリコンウエハ基板1
4の上面に、下部クラッド層15との接着性を高めるた
めの極薄い接着層(不図示)を形成する。その上に、上
述のOPI−N1005(樹脂分濃度15重量%)をス
ピン塗布して材料溶液膜を形成する。その後、乾燥器で
100℃で30分、次いで、200℃で30分加熱する
ことにより溶媒を蒸発させ、続けて370℃で60分加
熱することにより硬化を行い、膜厚約7μmのポリイミ
ド膜を形成した。これにより、下部クラッド層15を形
成した。
【0016】この下部クラッド層15の上に、上述のO
PI−N3205(樹脂分濃度15重量%)をスピン塗
布して材料溶液膜を形成する。その後、乾燥器で100
℃で30分、次いで、200℃で30分加熱することに
より溶媒を蒸発させ、続けて350℃で60分加熱する
ことにより硬化を行い、膜厚約8μmのポリイミド膜を
形成し、コア層16を形成した(図1(b))。
【0017】次に、コア層16の上にレジストとして、
RU−1600P(日立化成工業株式会社製)をスピン
塗布し、100℃で乾燥後、水銀ランプで露光、現像す
ることにより、レジストパターン層17を形成した(図
1(c))。このレジストパターン層17を、マスクと
して、酸素でリアクティブイオンエッチング(02−R
1E)を行い、コア層16を所望の光導波路の形状にパ
ターニングした。(図1(d))。その後、レジストを
剥離した(図1(e))。
【0018】さらに、この上に、上述のOPI−N10
05(樹脂分濃度25重量%)をスピン塗布して材料溶
液膜18を形成した(図2(f))。この材料溶液膜1
8の上面は、図2(f)のように平坦であったが、乾燥
器で100℃で30分、次いで、200℃で30分加熱
して溶媒を蒸発させ、前駆体膜19にしたところ、膜厚
がほぼ一定の縮小率で縮小したために、前駆体膜19の
上面は、コア層16の形状に沿った凸形状になった(図
2(g))。この乾燥工程に続けて、350℃で60分
加熱することにより前駆体膜19中のポリアミド酸をイ
ミド化させることにより、硬化させ、厚さ15μmのポ
リイミド膜の上部クラッド層20を形成した(図2
(h))。上部クラッド層20は、前駆体膜19の形状
をほぼ維持しており、上面がコア層16の形状に沿った
凸形状であった。
【0019】つぎに、本実施の形態では、上部クラッド
層20の上面に、フッ素を含有していないポリイミド膜
の保護層24を形成する。
【0020】まず、上部クラッド層20の上に、上述の
PIX−6400(樹脂分濃度35.5重量%)をスピ
ン塗布して材料溶液膜21を形成した(図2(i))。
材料溶液膜21の上面は、スピン塗布のため、図2
(i)のように平坦であった。その後、乾燥器で100
℃で30分、次いで、200℃で30分加熱し、溶媒を
蒸発させ前駆体膜23を得たところ、前駆体膜23の形
状は、上部クラッド層20の上面形状に沿った凸形状に
なった(図3(j))。しかしながら、この乾燥工程に
続けて、350℃で60分加熱して、前駆体膜23中の
ポリアミド酸をイミド化して硬化させたところ、図3
(k)のように上面がほぼ平坦な、厚さ7μmのポリイ
ミド膜の保護層24が得られた。
【0021】つぎに、保護層24の上に、スピンオング
ラス(SOG)工程により酸化珪素膜25を形成する
(図3(l))。次に、レジスト膜として、日立化成工
業株式会社製RU−1600Pをスピン塗布し、100
℃で乾燥後、水銀ランプで露光、現像を行い、レジスト
パターン層26を形成した(図4(m))。このレジス
トパターン層26をマスクとして、フッ素ガスでリアク
ティブイオンエッチング(F−RIE)を行い、酸化珪
素膜25をパターニングした(図4(n))。さらに、
この酸化珪素膜25をマスクとして酸素でリアクティブ
イオンエッチング(O2−RlE)を行い、下部および
上部クラッド層20、21を所望の形状に加工した。そ
の後、酸化珪素膜25を除去した(図4(o))。これ
により、本実施の形態の保護層24を備えた光導波路
(図4(o))が得られた。
【0022】このように、本実施の形態の光導波路は、
フッ素を含有しない保護層24を備えているため、保護
層24により上部クラッド層20の上面を被覆すること
ができる。これにより、フッ素を含有する低接着性およ
び低耐溶剤性の上部クラッド層20が上面に露出されな
いため、溶媒を使った接着剤等で、強い接着強度で上部
に光部品を接着することができる。また、上部クラッド
層20が外部に曝されないため、耐食性が向上し、光導
波路の信頼性が高まる。
【0023】一方で、上部および下部クラッド層20、
15には、フッ素を含有するポリイミドを用いているた
め、屈折率を1.52〜1.53と低くでき、光ファイ
バ並みの開口数等の入出射特性を実現できる。よって、
本実施の形態の光導波路は、光ファイバと高効率で結合
可能である。また、上部および下部クラッド層20、1
5として、フッ素を含有するポリイミドを用いているた
め、吸収端が400nm付近と非常に短く、可視光から
赤外まで広い波長範囲にわたって透過率が高い。よっ
て、広い波長範囲で伝搬損失の低い光導波路を提供でき
る。
【0024】また、本実施の形態の光導波路は、下部ク
ラッド層15から保護層24まで全ての層をポリイミド
で形成しているため、ポリメチルメタクリレート等と比
較してTgが高く、半田付け等の高温工程にも耐えるこ
とができる。また、本実施の形態の光導波路は、上部お
よび下部クラッド20、15とコア層16の光の伝搬に
関わる層を、Tgが270℃以上のポリイミドで形成し
ている。このため、これらは特に耐熱性にすぐれ、高温
になっても伝搬特性を維持できる。
【0025】また、上述の製造工程では、図4(o)の
ように上部クラッド層20および下部クラッド層15を
エッチングしているが、エッチングせずに、図5のよう
にコア層16を平板状のクラッド層20、15で埋め込
んだ平板状の光導波路として用いることができる。この
平板状の光導波路の場合、上部クラッド層20を上面の
面積が大きいが、図5の構成では、高耐溶剤性および高
接着性の保護層24で上部クラッド層20を覆うことが
できるため、高耐溶剤性および高接着性の光導波路とな
る。また、図4(o)の構成の場合、上部および下部ク
ラッド20、15の上面のみならず側面も保護膜24が
覆う形状にすることもできる。この場合、保護膜24
が、側面からも上部および下部クラッド20、15を保
護できるため、光導波路の耐溶剤性がより一層向上す
る。
【0026】また、上部クラッド層20のポリイミドと
保護層24のポリイミドは、接着性がよいため、上部ク
ラッド層20がフッ素を含んでいても保護層24に膜剥
がれを生じにくい。ただし、上部クラッド層20として
フッ素含有量が19mol%を越えるポリイミドを用い
ると、ポリイミドの耐溶剤性が低くなりすぎ、上記図2
(i)の工程で保護層24の材料溶液膜21を形成する
際に、材料溶液膜21中の溶媒で上部クラッド層20が
溶解てしまう。このため、上部クラッド層20のフッ素
含有量は、19mol%以下であることが望ましい。
【0027】また、本実施の形態では、保護層24とし
てフッ素を含有しないポリイミドを用いているが、保護
層24のポリイミドは、上部クラッド層20よりもフッ
素含有量が小さければ、保護層24としての機能を果た
す。しかしながら、実用的な耐溶剤性、接着性を考慮す
ると、保護層24のフッ素含有量が11mol%を越え
ると、実用的な保護層24としては十分ではないため、
保護層24を構成するポリイミドとしてはフッ素含有量
11mol%以下のものを用いることが望ましい。一
方、上部クラッド層20を構成するポリイミドは、フッ
素含有量が多いほど屈折率が小さく抑制できる。よっ
て、屈折率を光ファイバ並みに抑え、光吸収による損失
を低下させるために、フッ素含有量14mol%以上の
ものを用いることが望ましい。したがって、上部クラッ
ド層20のフッ素含有量の好ましい範囲は、14mol
%以上19mol%以下である。
【0028】また、本実施の形態の光導波路は、図4
(o)、図5のように、保護層24が、上部クラッド2
0の凸形状を埋め込んで、上面が平坦な形状になってい
る。これにより、保護層24上に、光部品を接着した
り、他の光導波路を積層したり、配線パターンを形成す
る場合に、平面基板と同様に扱うことができる。これに
より、良好な接着特性が得られ、また、積層する光導波
路を良好に成膜できる。また、段差により、配線パター
ンに断線等を生じさせる恐れもない。なお、本実施の形
態の保護層24の表面段差を接触段差計で測定したとこ
ろ1μm以下であった。
【0029】このように上面が平坦な保護層24が得ら
れたのは、次のような理由による。上部クラッド層20
も保護層24も、ポリイミドであるが両者は構造式が異
なり、OPI−N1005から形成した上部クラッド層
20のポリイミドは、ガラス転移温度(Tg)が325
℃であるのに対し、PIX−6400から形成した保護
層24は、ガラス転移温度(Tg)が270℃と、上部
クラッド層20よりも低い。本実施の形態の製造工程で
は、上部クラッド層20の前駆体膜19を硬化させてポ
リイミド膜にする際も、保護層24の前駆体膜23を硬
化させてポリイミド膜にする際も、加熱温度は同じ35
0℃にしている。よって、上部クラッド層20は、ポリ
イミド膜がガラス転移温度(Tg)+25℃で加熱され
るのに対し、保護層24は、ポリイミド膜がガラス転移
温度(Tg)+80℃に加熱される。一般的に、ポリイ
ミド等の樹脂は、ガラス転移温度(Tg)以上の温度で
流動性をもち、ガラス転移温度との温度差が大きくなる
ほど流動性が高くなる。そのため、同じ350℃に加熱
された場合、上部クラッド層20よりも、保護層24の
方が流動性が高く流れやすくなるために、盛り上がった
部分からより低い部分に流れ、上面が平坦になる。
【0030】また、保護層24の流動性が大きい理由
は、ガラス転移温度(Tg)と加熱温度との温度差のみ
ではなく、PIX−6400から形成したポリイミド
と、OPI−N1005から形成したポリイミドとの化
学構成の違いも影響していると考えられる。
【0031】また、保護層24は、材料溶液であるPI
X−6400の樹脂分濃度が35.5%であり、上部ク
ラッド層20の材料溶液のOPI−N1005(樹脂分
濃度25重量%)よりも濃度が高い。このため、保護層
24の材料溶液膜21が乾燥により前駆体膜23に変化
する際の縮小の度合いは、上部クラッド層20の材料溶
液膜18が前駆体膜19に変化の際の縮小の度合いほど
大きくない。したがって、前駆体膜23が形成された時
点で、その段差は、上部クラッド層20の上面の段差よ
りも小さくなっている。このように、材料溶液の濃度が
上部クラッド層20よりも大きい材料を保護層24に用
いていることも、効果的に上部クラッド層20の段差を
低減できる要因になっていると思われる。
【0032】なお、本実施の形態の図4(o)の光導波
路や図5の光導波路は、光モジュールと光ファイバとの
間を接続する光インターコネクション用光部品として用
いることが可能である。また、本実施の形態の光導波路
のコア層16のパターン形状を所定の形状にすることに
より、光路変換素子、光路分岐素子、方向性結合器等の
光部品を構成することができる。
【0033】また、本実施の形態の光導波路の製造方法
では、下部クラッド層15、コア層16、上部クラッド
層20および保護層24の全ての層を、スピン塗布と乾
燥・硬化という簡単な工程で大気圧で成膜できるため、
安価に大量に光導波路を製造する方法として適してい
る。また、この光導波路の構成では、保護層24は、コ
ア層16の光の伝搬には、ほとんど影響を与えないた
め、屈折率等を考慮することなく、フッ素含有量から材
料を選択することができる。
【0034】なお、上述の実施の形態では、図4(o)
の工程で酸化珪素膜25を除去しているが、酸化珪素膜
25は光の伝搬に影響を与えないため、そのまま残して
おくことも可能である。
【0035】また、上述の実施の形態では、上部クラッ
ド層20を硬化させるための加熱温度と、保護層24を
硬化させるための加熱温度とを同じ温度にしているが、
必ず同じ温度にしなければならないわけではない。加熱
時の樹脂の流動性を考慮して、加熱温度を定めることが
できる。
【0036】また、上述の実施の形態では、上述したよ
うに構造の異なるポリイミド膜により、コア層16、上
部および下部クラッド層15、20、保護層24を形成
したが、本実施の形態の光導波路に用いることのできる
材料は、ポリイミドに限定されるものではない。ポリイ
ミドに限らず、フッ素を導入したポリマは、導入してい
ないポリマよりも低耐溶剤性、低接着性となる傾向にあ
る。したがって、保護層24の材料としては、上部クラ
ッド層20よりもフッ素含有量が少ないか、もしくはフ
ッ素を含有しないポリマを用いることができる。例え
ば、上部クラッド層20をフッ素化ポリイミドにより形
成し、保護層24をフッ素を含有しない樹脂(例えば、
ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネイト、ポリス
チレン、スチレン共重合体、スチレン・アクリロニトリ
ル共重合体、塩化ビニル、エポキシ樹脂、ポリオレフィ
ン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、シリ
コーン樹脂、ポリアミド、脂環式アクリル樹脂を含むア
クリル樹脂、脂環式オレフィン樹脂を含むオレフィン樹
脂)等により形成することができる。
【0037】なお、保護層24は、上述してきた樹脂に
限らず、例えばSiO2等の無機材料により形成するこ
ともできる。無機膜として保護層24を形成する場合に
は、保護層24をCVD法、蒸着法などの公知の成膜方
法により形成することができる。また、SOGのように
溶液塗布法によっても形成することができる。
【0038】
【発明の効果】上述してきたように、本発明によれば、
低屈折率のポリイミド製上部クラッドを有しながら、耐
溶剤性の高い光導波路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)本発明の一実施の形態の光導波
路を製造する工程を示す断面図。
【図2】(f)〜(i)本発明の一実施の形態の光導波
路を製造する工程を示す断面図。
【図3】(j)〜(l)本発明の一実施の形態の光導波
路を製造する工程を示す断面図。
【図4】(m)〜(n)本発明の一実施の形態の光導波
路を製造する工程を示す断面図、(o)本発明の一実施
の形態の光導波路の断面図。
【図5】本発明の一実施の形態の、上部および下部クラ
ッド20、15を加工しない場合の光導波路の形状を示
す断面図。
【符号の説明】
14・・・シリコンウエハ基板、15・・・下部クラッ
ド層、16・・・コア層、17・・・レジストパターン
層、18・・・材料溶液膜、19・・・前駆体膜、20
・・・上部クラッド層、21・・・材料溶液膜、23・
・・前駆体膜、24・・・保護層、25・・・酸化珪素
膜、26・・・レジストパターン層。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年9月7日(1999.9.7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】明細書
【発明の名称】保護層を備えた樹脂製光導波路、その製
造方法および光部品
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光導波路に関し、
特に、クラッドおよびコアが樹脂製の光導波路に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年のパソコンやインターネットの普及
に伴い、情報伝送需要が急激に増大している。このた
め、伝送速度の速い光伝送を、パソコン等の末端の情報
処理装置まで普及させることが望まれている。これを実
現するには、光インターコネクション用に、高性能な光
導波路を、安価かつ大量に製造することが必要がある。
【0003】光導波路の材料としては、ガラスや半導体
材料等の無機材料と、ポリマ材料が知られている。無機
材料により光導波路を製造する場合には、真空蒸着装置
やスパッタ装置等の成膜装置により無機材料膜を成膜
し、これを所望の導波路形状にエッチングすることによ
り製造する方法が用いられる。しかしながら、真空蒸着
装置やスパッタ装置は、真空排気設備が必要であるた
め、装置が大型で高価である。また、真空排気工程が必
要であるため工程が複雑になる。
【0004】これに対し、ポリマ材料によって光導波路
を製造する場合には、成膜工程を、塗布と加熱により大
気圧で行うことができるため、装置および工程が簡単で
あるという利点がある。例えば、特開平9−40774
号公報には、ポリイミドにより光導波路を製造する方法
が開示されている。
【0005】上記公報に記載されている光導波路の製造
方法は、まず、シリコン等の基板の上に、ポリアミド酸
溶液をスピン塗布し、これを加熱して乾燥・硬化させる
ことにより、ポリイミド膜を得て、これを下部クラッド
層とする。つぎに、同様の手順で、下部クラッドよりも
屈折率の高いポリイミド膜を形成し、これをコア層とす
る。このコア層の上に、レジストにより所定のマスクを
形成して、リアクティブイオンエッチング(RIE)等
により、所望のコアの形状に加工する。つぎに、このコ
アの上にさらに、ポリアミド酸溶液をスピン塗布し、こ
れを加熱乾燥させた後、さらに加熱して硬化させること
により、コアよりも屈折率の低いポリイミド膜を得て、
これを上部クラッド層とする。
【0006】また、光導波路のコア層やクラッド層を構
成する光学ポリマとしては、従来よりポリメチルメタク
リレートが用いられているが、ガラス転移温度(Tg)
が比較的低いため、信頼性に不安がある。また、Tgが
低いため、高温工程に耐えることができず、光導波路上
に電気回路を半田付けする等ができない。そのため、T
gが高く、耐熱性に優れるポリイミドが光導波路用のポ
リマ材料として期待されている。ポリイミドにより光導
波路を形成した場合、長期信頼性が期待でき、半田付け
にも耐えることができる。しかしながら、ポリイミドは
化学構造に芳香環を含むために屈折率が高く、屈折率が
比較的低い光ファイバと高効率で結合することのできる
光導波路を得にくい。また、ポリイミドは、光の吸収端
が長波長側にシフトしているため、吸収による伝搬損失
が大きい。そこで、フッ素原子を導入することにより、
屈折率を下げ、かつ、吸収端を短波長側にシフトさせた
ポリイミドが開発されている。例えば、特開平4−23
9037号公報、特開平4−328504号公報、特開
平4−328127号公報、特開平9−40774号公
報等にフッ素を導入したポリイミドが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、フッ素
を導入したポリイミドは、屈折率が低く、吸収端も短い
いため、光学的には高性能で、光ファイバと結合しやす
い光導波路を形成可能である。しかしながら、フッ素を
導入したポリイミドは、耐溶剤性が低く、信頼性に問題
が生じる。また、フッ素を導入したポリイミドは、フッ
素の特性により接着性が低く、光導波路の上に他の光学
部品等を接着するのが難しいという問題もある。
【0008】本発明は、低屈折率のポリイミド製上部ク
ラッドを有しながら、耐溶剤性の高い光導波路を提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明によれば、以下のような光導波路が提供され
る。すなわち、基板と、前記基板上に順に積層された、
下部クラッド層とコア層と上部クラッド層と、前記上部
クラッド層の上に配置された保護層とを有し、前記上部
クラッド層は、フッ素を含む樹脂からなり、前記保護層
は、前記上部クラッド層よりもフッ素の含有量が少ない
か、もしくは、フッ素を含有していない材料からなるこ
とを特徴とする光導波路である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の一実施の形態の光導波路
について、図面を用いて説明する。
【0011】本実施の形態の光導波路は、図4(o)の
ように、シリコンウエハ基板14の上に、下部クラッド
層15を備え、下部クラッド層15の上にはパターニン
グされたコア層16が配置されている。コア層16は、
上部クラッド層20により覆われている。上部クラッド
層20の上面は、保護層24により覆われている。下部
クラッド層15および上部クラッド層20は、光ファイ
バとの結合効率を高めるために、光ファイバと同程度の
屈折率を有する、フッ素を導入したポリイミドから構成
されている。一方、保護層24は、フッ素を含有してい
ないポリイミドから形成されている。
【0012】具体的には、下部クラッド層15および上
部クラッド層20は、いずれも、日立化成工業株式会社
製OPI−N1005(商品名)を用いて形成したポリ
イミド膜である。このポリイミドは、フッ素を含有して
おり、その含有量は、約19mol%である。下部クラ
ッド層15および上部クラッド層20の屈折率は、1.
52〜1.53である。下部クラッド層15の膜厚は、
約7μm、上部クラッド層20の膜厚は、約15μmで
ある。コア層16は、日立化成工業株式会社製OPI−
N3205(商品名)を用いて形成したポリイミド膜で
あり、膜厚は約8μmであり、幅も約8μmにパターニ
ングされている。コア層16の屈折率は、下部および上
部クラッド層15、20よりも約0.5%大きい。
【0013】保護層24は、日立化成デュポンマイクロ
システムズ株式会社製PIX−6400(商品名)を用
いて形成したポリイミド膜である。このポリイミドは、
フッ素を含有していない。膜厚は、コア層16から離れ
た端部の部分で約7μmである。
【0014】つぎに、図4(o)の光導波路の製造方法
について説明する。
【0015】まず、図1(a)のシリコンウエハ基板1
4の上面に、下部クラッド層15との接着性を高めるた
めの極薄い接着層(不図示)を形成する。その上に、上
述のOPI−N1005(樹脂分濃度15重量%)をス
ピン塗布して材料溶液膜を形成する。その後、乾燥器で
100℃で30分、次いで、200℃で30分加熱する
ことにより溶媒を蒸発させ、続けて370℃で60分加
熱することにより硬化を行い、膜厚約7μmのポリイミ
ド膜を形成した。これにより、下部クラッド層15を形
成した。
【0016】この下部クラッド層15の上に、上述のO
PI−N3205(樹脂分濃度15重量%)をスピン塗
布して材料溶液膜を形成する。その後、乾燥器で100
℃で30分、次いで、200℃で30分加熱することに
より溶媒を蒸発させ、続けて350℃で60分加熱する
ことにより硬化を行い、膜厚約8μmのポリイミド膜を
形成し、コア層16を形成した(図1(b))。
【0017】次に、コア層16の上にレジストとして、
RU−1600P(日立化成工業株式会社製)をスピン
塗布し、100℃で乾燥後、水銀ランプで露光、現像す
ることにより、レジストパターン層17を形成した(図
1(c))。このレジストパターン層17を、マスクと
して、酸素でリアクティブイオンエッチング(02−R
1E)を行い、コア層16を所望の光導波路の形状にパ
ターニングした。(図1(d))。その後、レジストを
剥離した(図1(e))。
【0018】さらに、この上に、上述のOPI−N10
05(樹脂分濃度25重量%)をスピン塗布して材料溶
液膜18を形成した(図2(f))。この材料溶液膜1
8の上面は、図2(f)のように平坦であったが、乾燥
器で100℃で30分、次いで、200℃で30分加熱
して溶媒を蒸発させ、前駆体膜19にしたところ、膜厚
がほぼ一定の縮小率で縮小したために、前駆体膜19の
上面は、コア層16の形状に沿った凸形状になった(図
2(g))。この乾燥工程に続けて、350℃で60分
加熱することにより前駆体膜19中のポリアミド酸をイ
ミド化させることにより、硬化させ、厚さ15μmのポ
リイミド膜の上部クラッド層20を形成した(図2
(h))。上部クラッド層20は、前駆体膜19の形状
をほぼ維持しており、上面がコア層16の形状に沿った
凸形状であった。
【0019】つぎに、本実施の形態では、上部クラッド
層20の上面に、フッ素を含有していないポリイミド膜
の保護層24を形成する。
【0020】まず、上部クラッド層20の上に、上述の
PIX−6400(樹脂分濃度35.5重量%)をスピ
ン塗布して材料溶液膜21を形成した(図2(i))。
材料溶液膜21の上面は、スピン塗布のため、図2
(i)のように平坦であった。その後、乾燥器で100
℃で30分、次いで、200℃で30分加熱し、溶媒を
蒸発させ前駆体膜23を得たところ、前駆体膜23の形
状は、上部クラッド層20の上面形状に沿った凸形状に
なった(図3(j))。しかしながら、この乾燥工程に
続けて、350℃で60分加熱して、前駆体膜23中の
ポリアミド酸をイミド化して硬化させたところ、図3
(k)のように上面がほぼ平坦な、厚さ7μmのポリイ
ミド膜の保護層24が得られた。
【0021】つぎに、保護層24の上に、スピンオング
ラス(SOG)工程により酸化珪素膜25を形成する
(図3(l))。次に、レジスト膜として、日立化成工
業株式会社製RU−1600Pをスピン塗布し、100
℃で乾燥後、水銀ランプで露光、現像を行い、レジスト
パターン層26を形成した(図4(m))。このレジス
トパターン層26をマスクとして、フッ素ガスでリアク
ティブイオンエッチング(F−RIE)を行い、酸化珪
素膜25をパターニングした(図4(n))。さらに、
この酸化珪素膜25をマスクとして酸素でリアクティブ
イオンエッチング(O2−RlE)を行い、下部および
上部クラッド層20、15および保護層24を所望の形
状に加工した。その後、酸化珪素膜25を除去した(図
4(o))。これにより、本実施の形態の保護層24を
備えた光導波路(図4(o))が得られた。
【0022】このように、本実施の形態の光導波路は、
フッ素を含有しない保護層24を備えているため、保護
層24により上部クラッド層20の上面を被覆すること
ができる。これにより、フッ素を含有する低接着性およ
び低耐溶剤性の上部クラッド層20が上面に露出されな
いため、溶媒を使った接着剤等で、強い接着強度で上部
に光部品を接着することができる。また、上部クラッド
層20が外部に曝されないため、耐食性が向上し、光導
波路の信頼性が高まる。
【0023】一方で、上部および下部クラッド層20、
15には、フッ素を含有するポリイミドを用いているた
め、屈折率を1.52〜1.53と低くでき、光ファイ
バ並みの開口数等の入出射特性を実現できる。よって、
本実施の形態の光導波路は、光ファイバと高効率で結合
可能である。また、上部および下部クラッド層20、1
5として、フッ素を含有するポリイミドを用いているた
め、吸収端が400nm付近と非常に短く、可視光から
赤外まで広い波長範囲にわたって透過率が高い。よっ
て、広い波長範囲で伝搬損失の低い光導波路を提供でき
る。
【0024】また、本実施の形態の光導波路は、下部ク
ラッド層15から保護層24まで全ての層をポリイミド
で形成しているため、ポリメチルメタクリレート等と比
較してTgが高く、半田付け等の高温工程にも耐えるこ
とができる。また、本実施の形態の光導波路は、上部お
よび下部クラッド20、15とコア層16の光の伝搬に
関わる層を、Tgが270℃以上のポリイミドで形成し
ている。このため、これらは特に耐熱性にすぐれ、高温
になっても伝搬特性を維持できる。
【0025】また、上述の製造工程では、図4(o)の
ように上部クラッド層20および下部クラッド層15を
エッチングしているが、エッチングせずに、図5のよう
にコア層16を平板状のクラッド層20、15で埋め込
んだ平板状の光導波路として用いることができる。この
平板状の光導波路の場合、上部クラッド層20上面の
面積が大きいが、図5の構成では、高耐溶剤性および高
接着性の保護層24で上部クラッド層20を覆うことが
できるため、高耐溶剤性および高接着性の光導波路とな
る。また、図4(o)の構成の場合、上部および下部ク
ラッド20、15の上面のみならず側面も保護膜24が
覆う形状にすることもできる。この場合、保護膜24
が、側面からも上部および下部クラッド20、15を保
護できるため、光導波路の耐溶剤性がより一層向上す
る。
【0026】また、上部クラッド層20のポリイミドと
保護層24のポリイミドは、接着性がよいため、上部ク
ラッド層20がフッ素を含んでいても保護層24に膜剥
がれを生じにくい。ただし、上部クラッド層20として
フッ素含有量が19mol%を越えるポリイミドを用い
ると、ポリイミドの耐溶剤性が低くなりすぎ、上記図2
(i)の工程で保護層24の材料溶液膜21を形成する
際に、材料溶液膜21中の溶媒で上部クラッド層20が
溶解てしまう。このため、上部クラッド層20のフッ素
含有量は、19mol%以下であることが望ましい。
【0027】また、本実施の形態では、保護層24とし
てフッ素を含有しないポリイミドを用いているが、保護
層24のポリイミドは、上部クラッド層20よりもフッ
素含有量が小さければ、保護層24としての機能を果た
す。しかしながら、実用的な耐溶剤性、接着性を考慮す
ると、保護層24のフッ素含有量が11mol%を越え
ると、実用的な保護層24としては十分ではないため、
保護層24を構成するポリイミドとしてはフッ素含有量
11mol%以下のものを用いることが望ましい。一
方、上部クラッド層20を構成するポリイミドは、フッ
素含有量が多いほど屈折率が小さく抑制できる。よっ
て、屈折率を光ファイバ並みに抑え、光吸収による損失
を低下させるために、フッ素含有量14mol%以上の
ものを用いることが望ましい。したがって、上部クラッ
ド層20のフッ素含有量の好ましい範囲は、14mol
%以上19mol%以下である。
【0028】また、本実施の形態の光導波路は、図4
(o)、図5のように、保護層24が、上部クラッド2
0の凸形状を埋め込んで、上面が平坦な形状になってい
る。これにより、保護層24上に、光部品を接着した
り、他の光導波路を積層したり、配線パターンを形成す
る場合に、平面基板と同様に扱うことができる。これに
より、良好な接着特性が得られ、また、積層する光導波
路を良好に成膜できる。また、段差により、配線パター
ンに断線等を生じさせる恐れもない。なお、本実施の形
態の保護層24の表面段差を接触段差計で測定したとこ
ろ1μm以下であった。
【0029】このように上面が平坦な保護層24が得ら
れたのは、次のような理由による。上部クラッド層20
も保護層24も、ポリイミドであるが両者は構造式が異
なり、OPI−N1005から形成した上部クラッド層
20のポリイミドは、ガラス転移温度(Tg)が325
℃であるのに対し、PIX−6400から形成した保護
層24は、ガラス転移温度(Tg)が270℃と、上部
クラッド層20よりも低い。本実施の形態の製造工程で
は、上部クラッド層20の前駆体膜19を硬化させてポ
リイミド膜にする際も、保護層24の前駆体膜23を硬
化させてポリイミド膜にする際も、加熱温度は同じ35
0℃にしている。よって、上部クラッド層20は、ポリ
イミド膜がガラス転移温度(Tg)+25℃で加熱され
るのに対し、保護層24は、ポリイミド膜がガラス転移
温度(Tg)+80℃に加熱される。一般的に、ポリイ
ミド等の樹脂は、ガラス転移温度(Tg)以上の温度で
流動性をもち、ガラス転移温度との温度差が大きくなる
ほど流動性が高くなる。そのため、同じ350℃に加熱
された場合、上部クラッド層20よりも、保護層24の
方が流動性が高く流れやすくなるために、盛り上がった
部分からより低い部分に流れ、上面が平坦になる。
【0030】また、保護層24の流動性が大きい理由
は、ガラス転移温度(Tg)と加熱温度との温度差のみ
ではなく、PIX−6400から形成したポリイミド
と、OPI−N1005から形成したポリイミドとの化
学構成の違いも影響していると考えられる。
【0031】また、保護層24は、材料溶液であるPI
X−6400の樹脂分濃度が35.5重量%であり、上
部クラッド層20の材料溶液のOPI−N1005(樹
脂分濃度25重量%)よりも濃度が高い。このため、保
護層24の材料溶液膜21が乾燥により前駆体膜23に
変化する際の縮小の度合いは、上部クラッド層20の材
料溶液膜18が前駆体膜19に変化の際の縮小の度合い
ほど大きくない。したがって、前駆体膜23が形成され
た時点で、その段差は、上部クラッド層20の上面の段
差よりも小さくなっている。このように、材料溶液の濃
度が上部クラッド層20よりも大きい材料を保護層24
に用いていることも、効果的に上部クラッド層20の段
差を低減できる要因になっていると思われる。
【0032】なお、本実施の形態の図4(o)の光導波
路や図5の光導波路は、光モジュールと光ファイバとの
間を接続する光インターコネクション用光部品として用
いることが可能である。また、本実施の形態の光導波路
のコア層16のパターン形状を所定の形状にすることに
より、光路変換素子、光路分岐素子、方向性結合器等の
光部品を構成することができる。
【0033】また、本実施の形態の光導波路の製造方法
では、下部クラッド層15、コア層16、上部クラッド
層20および保護層24の全ての層を、スピン塗布と乾
燥・硬化という簡単な工程で大気圧で成膜できるため、
安価に大量に光導波路を製造する方法として適してい
る。また、この光導波路の構成では、保護層24は、コ
ア層16の光の伝搬には、ほとんど影響を与えないた
め、屈折率等を考慮することなく、フッ素含有量から材
料を選択することができる。
【0034】なお、上述の実施の形態では、図4(o)
の工程で酸化珪素膜25を除去しているが、酸化珪素膜
25は光の伝搬に影響を与えないため、そのまま残して
おくことも可能である。
【0035】また、上述の実施の形態では、上部クラッ
ド層20を硬化させるための加熱温度と、保護層24を
硬化させるための加熱温度とを同じ温度にしているが、
必ず同じ温度にしなければならないわけではない。加熱
時の樹脂の流動性を考慮して、加熱温度を定めることが
できる。
【0036】また、上述の実施の形態では、上述したよ
うに構造の異なるポリイミド膜により、コア層16、上
部および下部クラッド層15、20、保護層24を形成
したが、本実施の形態の光導波路に用いることのできる
材料は、ポリイミドに限定されるものではない。ポリイ
ミドに限らず、フッ素を導入したポリマは、導入してい
ないポリマよりも低耐溶剤性、低接着性となる傾向にあ
る。したがって、保護層24の材料としては、上部クラ
ッド層20よりもフッ素含有量が少ないか、もしくはフ
ッ素を含有しないポリマを用いることができる。例え
ば、上部クラッド層20をフッ素化ポリイミドにより形
成し、保護層24をフッ素を含有しない樹脂(例えば、
ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネイト、ポリス
チレン、スチレン共重合体、スチレン・アクリロニトリ
ル共重合体、塩化ビニル、エポキシ樹脂、ポリオレフィ
ン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、シリ
コーン樹脂、ポリアミド、脂環式アクリル樹脂を含むア
クリル樹脂、脂環式オレフィン樹脂を含むオレフィン樹
脂)等により形成することができる。
【0037】なお、保護層24は、上述してきた樹脂に
限らず、例えばSiO2等の無機材料により形成するこ
ともできる。無機膜として保護層24を形成する場合に
は、保護層24をCVD法、蒸着法などの公知の成膜方
法により形成することができる。また、SOGのように
溶液塗布法によっても形成することができる。
【0038】
【発明の効果】上述してきたように、本発明によれば、
低屈折率のポリイミド製上部クラッドを有しながら、耐
溶剤性の高い光導波路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)本発明の一実施の形態の光導波
路を製造する工程を示す断面図。
【図2】(f)〜(i)本発明の一実施の形態の光導波
路を製造する工程を示す断面図。
【図3】(j)〜(l)本発明の一実施の形態の光導波
路を製造する工程を示す断面図。
【図4】(m)〜(n)本発明の一実施の形態の光導波
路を製造する工程を示す断面図、(o)本発明の一実施
の形態の光導波路の断面図。
【図5】本発明の一実施の形態の、上部および下部クラ
ッド20、15を加工しない場合の光導波路の形状を示
す断面図。
【符号の説明】 14・・・シリコンウエハ基板、15・・・下部クラッ
ド層、16・・・コア層、17・・・レジストパターン
層、18・・・材料溶液膜、19・・・前駆体膜、20
・・・上部クラッド層、21・・・材料溶液膜、23・
・・前駆体膜、24・・・保護層、25・・・酸化珪素
膜、26・・・レジストパターン層。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板と、前記基板上に順に積層された、下
    部クラッド層とコア層と上部クラッド層と、前記上部ク
    ラッド層の上に配置された保護層とを有し、 前記上部クラッド層は、フッ素を含む樹脂からなり、前
    記保護層は、前記上部クラッド層よりもフッ素の含有量
    が少ないか、もしくは、フッ素を含有していない材料か
    らなることを特徴とする光導波路。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の光導波路において、前記
    保護層を構成する前記材料は、樹脂であることを特徴と
    する光導波路。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の光導波路において、前記
    保護層を構成する樹脂のフッ素含有量は、11mol%
    以下であることを特徴とする光導波路。
  4. 【請求項4】請求項1、2または3に記載の光導波路に
    おいて、前記上部クラッド層は、フッ素含有量が、14
    mol%以上であることを特徴とする光導波路。
  5. 【請求項5】請求項1、2、3または4に記載の光導波
    路において、前記上部クラッド層は、フッ素含有量が、
    19mol%以下であることを特徴とする光導波路。
  6. 【請求項6】請求項1に記載の光導波路において、前記
    上部クラッド層は、ポリイミドからなることを特徴とす
    る光導波路。
  7. 【請求項7】請求項2に記載の光導波路において、前記
    保護層は、ポリイミドからなることを特徴とする光導波
    路。
  8. 【請求項8】請求項1に記載の光導波路において、前記
    上部クラッド層を構成する樹脂および前記保護層を構成
    する樹脂は、いずれもポリイミドであることを特徴とす
    る光導波路。
  9. 【請求項9】請求項1に記載の光導波路において、前記
    コア層は、前記下部クラッド層の一部にのみ配置され、
    前記上部クラッド層は、上面に前記コア層の形状に沿う
    凸形状を備え、前記保護層は、前記上部クラッド層の上
    面の凸形状を埋め込み、平坦な上面を有することを特徴
    とする光導波路。
  10. 【請求項10】請求項9に記載の光導波路において、前
    記保護層を構成する樹脂は、前記上部クラッド層を構成
    する樹脂よりも、ガラス転移温度が低いことを特徴とす
    る光導波路。
  11. 【請求項11】請求項1、2、3、9または10に記載
    の光導波路を用いた光部品。
  12. 【請求項12】基板上に、下部クラッド層、コア層を順
    に積層する第1の工程と、 前記コア層の上に、第1の樹脂材料溶液を塗布し、乾
    燥、硬化させて、樹脂膜からなる上部クラッド層を形成
    する第2の工程と、 前記上部クラッド層の上に保護層を形成する第3の工程
    とを有し、 前記保護層を構成する材料は、前記上部クラッド層より
    もフッ素の含有量が少ないか、もしくは、フッ素を含有
    しない材料であることを特徴とする光導波路の製造方
    法。
  13. 【請求項13】請求項12に記載の光導波路の製造方法
    において、前記第3の工程は、前記保護層として、第2
    の樹脂材料により樹脂膜を形成することを特徴とする光
    導波路の製造方法。
  14. 【請求項14】請求項13に記載の光導波路の製造方法
    において、前記第2の樹脂材料として、硬化後の前記樹
    脂膜のフッ素含有量が11mol%以下となる材料を用
    い、前記第1の樹脂材料として、硬化後の前記樹脂膜の
    フッ素含有量が14mol%以上19mol%以下とな
    る材料を用いることを特徴とする光導波路の製造方法。
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