JP2008201956A5 - - Google Patents

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紫外線吸収性樹脂組成物、および該紫外線吸収性樹脂組成物を用いた積層体
本発明は、紫外線によるプラスチック基材の黄変を有効に防止することができ、かつ耐汚染性に優れる紫外線吸収層を形成するための紫外線吸収性樹脂組成物、及び、該紫外線吸収性樹脂組成物から得られる紫外線吸収層がプラスチック基材表面に形成された積層体に関する。
様々な用途に用いられているプラスチック基材は、全般的に紫外線に弱く、太陽光に曝露され続けると次第にポリマー主鎖の断裂などが起こり、基材としての強度が低下するという問題がある。特に、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と言う場合がある。)に代表されるポリエステル系フィルムは、寸法安定性、耐熱性、透明性、強度などに優れることから光学用途にも多用されているものの、ポリエステル系フィルムは通常芳香族ジカルボン酸を原料としているため、ポリエステル系フィルムは、その骨格中に芳香環を含むこととなって、この芳香環が紫外線によって劣化・着色(黄変)するという問題がある。
そこで、プラスチック基材の表面に紫外線を吸収する層(以下、単に「紫外線吸収層」と言う場合がある。)を設けて、プラスチック基材を紫外線から保護する方法が従来から行われている(例えば、特許文献1から3参照)。また、本発明者においても、これまでにプラスチック基材表面に設ける紫外線吸収層を形成するための紫外線吸収性重合体を開示しており(例えば、特許文献4参照)、所定の構造を有する単量体組成物を重合して得られる紫外線吸収性重合体が有用であることを見出している。
ところで、近年、かかる紫外線吸収層を、農業用グリーンハウスなどの屋外で使用されるプラスチック基材や、薄型ディスプレイや携帯電話などの電子機器に使用されるプラスチック基材に対して用いる場合に、耐光性や耐黄変性などの耐候性のみならず、耐指紋性や耐雨だれ汚染性などの耐汚染性に関する特性が要求されている。
ここで、紫外線吸収層に耐汚染性を付与する方法の一つとして、紫外線吸収性重合体に界面活性剤を混合する方法が挙げられる。しかしながら、界面活性剤としてこれまでに種々のものが開発されているものの(例えば、非特許文献1参照)、これらの界面活性剤は、紫外線吸収層の透明性を損ねたり、紫外線吸収層に十分な耐汚染性を付与することができなかった。
特開平11−40833号公報 特開2003−107690号公報 特開2004−126345号公報 特開平11−348199号公報 「花王の界面活性剤」、花王株式会社化学品事業本部、2005年8月、p1−20
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明者が鋭意検討した結果、特定の構造を有する界面活性剤が、紫外線吸収層の透明性を損ねることなく紫外線吸収層に有効に耐汚染性を付与できることを見出したものである。すなわち、本発明の目的は、優れた透明性と耐候性と耐汚染性とを併せ持つ紫外線吸収層、及び該紫外線吸収層を形成し得る紫外線吸収性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の紫外線吸収性樹脂組成物は、下記式(1)
[式中、R1は炭素数8〜18のアルキル基を表し、X1は、対イオンがアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、またはアミンイオンであるスルホン酸塩またはリン酸塩を表す。nは0〜12の整数を表す。]で表される溶剤系の界面活性剤と、下記式(2)から(5)で表される紫外線吸収性単量体から選ばれる少なくとも一種を含む単量体組成物を重合した紫外線吸収性重合体と、を含有することを特徴とする。
[式中、R2は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜6のアルキレン基を表し、R4は水素原子またはメチル基を表し、X2は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基を表す。]
[式中、R5はR2と、R6はR4と同じ意味を表し、R7は水素原子または水酸基を表し、R8は水素原子または炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、R9は炭素数1〜10のアルキレン基、または炭素数1〜10のオキシアルキレン基を表し、X3はエステル結合、アミド結合、エーテル結合、またはウレタン結合を表す。mは0または1を表す。]
[式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17は、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、または、炭素数1〜10のアルコキシ基を表し、X4は水素原子またはメチル基を表し、Aは、−(CH2CH2O)p−、−CH2CH(OH)−CH2O−、−(CH2p−O−、−CH2CH(CH2OR18)−O−、−CH2CH(R18)−O−、または、−CH2(CH2qCOO−B−O−を表し、R18は炭素数1〜10のアルキル基を表し、Bはメチレン基、エチレン基、または、−CH2CH(OH)CH2−を表し、pは1〜20の整数を表し、qは0または1を表す。]
[式中、R19は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基を表し、R20は水素結合を形成し得る元素を有する基を表し、R21は水素原子またはメチル基を表し、R22は水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を表す。]
本発明を構成する紫外線吸収性重合体は溶剤系であるところ、本発明を構成する界面活性剤も溶剤系とすることにより、紫外線吸収性重合体と界面活性剤との相溶性が優れるものとなって、これらを混合して得られる紫外線吸収性樹脂組成物の溶液が層分離したり白濁したりすることを防ぐことができる。また、界面活性剤がR1として適度な長さのアルキル鎖を有することにより、かかるR1がアンカーとなって、界面活性剤が紫外線吸収性重合体に保持され易くなる。さらに、界面活性剤を紫外線吸収性重合体に対する添加剤として用いることにより、紫外線吸収性樹脂組成物から得られる紫外線吸収層の表面に界面活性剤を配置することが容易になる。
なお、本明細書において「溶剤系の界面活性剤」とは、本発明で用いる(2)から(5)で表される紫外線吸収性単量体から紫外線吸収性重合体を合成する際に使用する有機溶媒、あるいは使用することのできる有機溶媒(これらの有機溶媒の詳細については後述する)を用いて、25℃下で5質量%の界面活性剤の有機溶媒溶液を作成した場合に、目視で透明な溶液を形成し得る界面活性剤をいう。
本発明の紫外線吸収性樹脂組成物は、前記単量体組成物が、下記式(6)及び(7)で表される単量体から選ばれる少なくとも1種をさらに含んで構成されてもよい。
[式中、R23は水素原子またはシアノ基を表し、R24、R25はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、R26は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、または炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、X5は酸素原子またはイミノ基を表す。]
[式中、R27は水素原子またはメチル基を表し、X6は炭素数が1以上の炭化水素基を表す。]
前記単量体組成物を、上記式(6)で表される単量体をさらに含んで構成することにより、得られる紫外線吸収性重合体は紫外線吸収性能のみならず紫外線安定性能をも併せ持つこととなる。また、前記単量体組成物を、上記式(7)で表される単量体をさらに含んで構成することにより、耐候性に優れた紫外線吸収性重合体を合成することができる。
本発明の紫外線吸収性樹脂組成物は、前記界面活性剤の数平均分子量(Mn)が350〜2000であることが好ましい実施態様である。
かかる構成により、本発明で用いる界面活性剤は紫外線吸収性重合体との相溶性に優れたものとなる。
本発明の紫外線吸収性樹脂組成物は、前記界面活性剤の含有量が、前記紫外線吸収性重合体100質量部に対して0.8〜5質量部であることが好ましい実施態様である。
本発明には、プラスチック基材の表面に、上記の紫外線吸収性樹脂組成物から得られる紫外線吸収層を設けたことを特徴とする積層体が包含される。
本発明によれば、紫外線吸収性樹脂組成物の溶液(樹脂液)は層分離したり白濁したりすることがないことから、かかる樹脂液を用いることによって、耐候性(耐黄変性など)や耐汚染性(耐指紋性や耐雨だれ汚染性など)のみならず、透明性や塗膜外観性(塗膜平滑性や光沢性など)にも優れる紫外線吸収層を得ることができた。具体的には、ヘイズが1%未満の透明性に優れる紫外線吸収層を得ることができた。
また、式(1)で表される界面活性剤は、式(2)から式(5)で表される紫外線吸収性単量体を用いて得られる紫外線吸収性重合体に保持され易いことから、本発明の紫外線吸収層は上記効果を長期に亘って発揮できた。
本発明の紫外線吸収性樹脂組成物は、下記式(1)
[式中、R1、X1、およびnは前記と同じ意味である。]で表される溶剤系の界面活性剤と、下記式(2)から(5)で表される紫外線吸収性単量体から選ばれる少なくとも一種を含む単量体組成物を重合した紫外線吸収性重合体とを含有することを特徴とする。
[式中、R2、R3、R4、およびX2は、前記と同じ意味である。]
[式中、R5、R6、R7、R8、R9 3 、およびmは前記と同じ意味である。]
[式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、X4およびAは前記と同じ意味である。]
[式中、R19、R20、R21、R22は前記と同じ意味である。]
以下、本発明の紫外線吸収性樹脂組成物について説明する。
<界面活性剤>
本発明で用いる界面活性剤は、上記式(1)で表されるものであれば特に限定されず、これらの界面活性剤を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよいが、溶剤系の界面活性剤であることを要する。本発明で用いる界面活性剤が溶剤系でない場合には、本発明で用いる式(2)から(5)で表される紫外線吸収性単量体から得られる紫外線吸収性重合体が溶剤系(有機溶剤に溶解するもの)であるため、界面活性剤と紫外線吸収性重合体とを混合して紫外線吸収性樹脂組成物の溶液(樹脂液)を得ても、両成分が相溶せず層分離したり白濁したりすることとなる。このため、この樹脂液をプラスチック基材の表面に塗工して乾燥しても、透明性及び塗膜外観性に優れた紫外線吸収層を得ることができない場合がある。
上記式(1)において、R1は炭素数8〜18のアルキル基である。R1が炭素数7以下のアルキル基である場合には、紫外線吸収性重合体によって界面活性剤が保持され難いことから、これらを混合して得られる紫外線吸収性樹脂組成物を用いて形成した紫外線吸収層から界面活性剤がブリードアウトし易くなって、耐ブロッキング性が悪くなったり、紫外線吸収層が長期に亘って優れた耐汚染性を発揮できない場合がある。また、R1が炭素数19以上のアルキル基である場合には、紫外線吸収性重合体中に含まれる水酸基に起因して、界面活性剤と紫外線吸収性重合体との相溶性が低下することから、紫外線吸収性樹脂組成物の溶液(樹脂液)が白濁する場合がある。その結果、この樹脂液を用いて形成した紫外線吸収層の透明性や塗膜外観性が低下する虞がある。また、界面活性剤がブリードアウトし易く、紫外線吸収層表面が粘着性を帯びるために、耐ブロッキング性が悪くなる場合がある。さらに、紫外線吸収層が長期に亘って優れた耐汚染性を発揮できない場合がある。
上記式(1)において、R1で表される炭素数8〜18のアルキル基としては、例えば、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基などを挙げることができる。
界面活性剤には、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及びノニオン性界面活性剤があるが、紫外線吸収層の耐汚染性や耐候性を向上させるために、本発明で用いる界面活性剤はアニオン性界面活性剤であることを要する。中でも、上記式(1)におけるX1が、対イオンがアンモニウムイオン、あるいはアミンイオンであるスルホン酸塩またはリン酸塩が好ましい。とりわけ、対イオンがアンモニウムイオン、あるいはアミンイオンであるスルホン酸塩が特に好ましい。かかる構成により、本発明の紫外線吸収性樹脂組成物を用いて得られる紫外線吸収層の耐汚染性や耐候性をより一層向上することができる。
上記式(1)において、nは0〜12の整数であることが好ましく、0〜10であることがより好ましい。nが13以上の整数である場合には、紫外線吸収性重合体と界面活性剤との相溶性が低下する場合がある。なお、本発明で用いる界面活性剤は、上記式(1)におけるnが単一(例えばnが4)の均一物から構成されてもよいが、nが0〜12の混合物から構成されてもよい。
本発明で用いる界面活性剤の数平均分子量(Mn)は、350以上であることが好ましく、2000以下であることが好ましく、1500以下であることがより好ましく、1000以下であることがさらに好ましい。界面活性剤のMnが350未満の場合には、紫外線吸収性重合体が界面活性剤を保持し難くなる。また、界面活性剤のMnが2000を超える場合には、紫外線吸収性重合体と界面活性剤との相溶性が低下する。
なお、界面活性剤の数平均分子量(Mn)は、後述する紫外線吸収性重合体の重量平均分子量(Mw)の算出方法と同様にして、ポリスチレン換算の分子量で求めることができる。
本発明で用いる界面活性剤の含有量は、紫外線吸収性重合体100質量部に対して0.8質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、2質量部以上であることがさらに好ましく、5質量部以下であることが好ましく、4質量部以下であることがより好ましく、3質量部以下であることがさらに好ましい。界面活性剤の含有量が0.8質量部未満の場合には、紫外線吸収層が界面活性剤に由来する耐汚染性を発揮し難い。また、かかる耐汚染性を長期間持続して発揮することもできない。また、界面活性剤の含有量が5質量部を超える場合には、紫外線吸収性重合体と界面活性剤との相溶性が低下する場合がある。また、紫外線吸収層から界面活性剤がブリードアウトし易くなって紫外線吸収層の表面が粘着性を帯びるために、耐ブロッキング性や塗膜外観性が低下する場合がある。
<紫外線吸収性単量体>
本発明で用いる紫外線吸収性単量体は、上記式(2)〜(5)で表されるものである。これらの紫外線吸収性単量体は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。以下、式(2)〜(5)について詳細に説明する。
上記式(2)において、R2で表される炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などの鎖式アルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの脂環式アルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基、フェネチル基などの芳香族アルキル基;などを挙げることができる。
上記式(2)において、R3で表される炭素数1〜6のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などの直鎖状アルキレン基;イソプロピレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、t−ブチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基などの分枝鎖状アルキレン基;などを挙げることができる。
上記式(2)において、X2で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。X2で表される炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などの鎖式アルキル基:シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの脂環式アルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基、フェネチル基などの芳香族アルキル基;などを挙げることができる。X2で表される炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などを挙げることができる。
上記式(2)で表される紫外線吸収性単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチル−3’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記式(3)において、R8で表される炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、X2で表される炭素数1〜6のアルコキシ基として列挙した上記の置換基などを挙げることができる。
上記式(3)において、R9で表される炭素数1〜10のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基などを挙げることができる。好ましくは、炭素数1〜6のアルキレン基を挙げることができる。炭素数1〜6のアルキレン基としては、R3で表される炭素数1〜6のアルキレン基として列挙した上記の置換基などを挙げることができる。また、R9で表される炭素数1〜10のオキシアルキレン基としては、例えば、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基などを挙げることができる。
上記式(3)で表される紫外線吸収性単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、2−ヒドロキシ−4−(メタ)アクロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]ブトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エトキシ−4'−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]ブトキシベンゾフェノンなどを挙げることができる。これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記式(4)において、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16またはR17で表される炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、2−エチルヘキシル基などの直鎖状または分枝状アルキル基;シクロヘキシル基などの脂環式アルキル基;などを挙げることができる。R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16またはR17で表される炭素数2〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘプテニル基、4−メチル−3−ペンテニル基、2,4−ジメチル−3−ペンテニル基、6−メチル−5−ヘプテニル基、2,6−ジメチル−5−ヘプテニル基などを挙げることができる。R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16またはR17で表される炭素数1〜10のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基などを挙げることができる。
上記式(4)において、Aの中の18で表される炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16またはR17で表される炭素数1〜10のアルキル基として列挙した上記の置換基などを挙げることができる。
上記式(4)で表される紫外線吸収性単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、2,4−ジフェニル−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−メチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−メトキシフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−エチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−エトキシフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−メチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−メトキシフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−エチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−エトキシフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメトキシフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジエトキシフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジエチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(11−アクリロイルオキシ−ウンデシルオキシ)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(11−メタクリロイルオキシ−ウンデシルオキシ)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(11−アクリロイルオキシ−ウンデシルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(11−メタクロイルオキシウンデシルオキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−メタクロイルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジンなどを挙げることができる。これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの単量体のうち、式(4−1)

で示される単量体、式(4−2)

で示される単量体、式(4−3)

で示される単量体が好適である。
上記式(5)において、R19で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。R19で表される炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、2−エチルヘキシル基などの直鎖状または分枝状アルキル基;シクロヘキシル基などの脂環式アルキル基;などを挙げることができる。R19で表される炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などを挙げることができる。
上記式(5)において、R20で表される、水素結合を形成し得る元素を有する基としては、例えば、−NH−、−CH2NH−、−OCH2CH(OH)CH2O−、−CH2CH2COOCH2CH(OH)CH2O−などを挙げることができる。これらの基のうち、活性水素を有する窒素原子が含まれている点で、−NH−、−CH2NH−が好適であり、−CH2NH−が特に好適である。
上記式(5)において、R22で表される炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、R19で表される炭素数1〜8のアルキル基として列挙した上記の置換基に加えて、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などの直鎖状または分枝状アルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基、フェネチル基などの芳香族アルキル基;などを挙げることができる。これらの置換基のうち、炭素数4〜12の直鎖状または分岐状アルキル基が好適であり、1,1,3,3−テトラメチルブチル基などの嵩高い分岐状アルキル基(またはこれらを有している基)が特に好適である。
上記式(5)で表される紫外線吸収性単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(メタ)アクリロイルアミノフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(メタ)アクリロイルアミノメチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(メタ)アクリロイルアミノ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(メタ)アクリロイルアミノメチル−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、これらの単量体のうち、嵩高い置換基R22が5位に結合している、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(メタ)アクリロイルアミノ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、および、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(メタ)アクリロイルアミノメチル−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾールが好適である。
上記式(2)または(5)で示されるベンゾトリアゾール系単量体は、例えば、対応するベンゾトリアゾール(紫外線吸収剤として市販されている)に(メタ)アクリル酸クロライドやN−メチロールアクリルアミドまたはそのアルキルエーテルを反応させるなどの方法で合成することができる。例えば、2−[2’−ヒドロキシ−3’−メタクリロイルアミノ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾールは、2−[2’−ヒドロキシ−3’−アミノ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−ベンゾトリアゾールとメタクリル酸クロライドを反応させて得ることができる。また、2−[2’−ヒドロキシ−3’−メタクリロイルアミノメチル−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾールは、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−ベンゾトリアゾール(例えば、CYASORB(登録商標) UV−5411、CYTEC社製)にN−メチロールアクリルアミド(例えば、日東化学工業株式会社製など)を反応させて得ることができる。
<紫外線吸収性重合体>
本発明で用いる紫外線吸収性重合体は、上記紫外線吸収性単量体から選ばれる少なくとも一種を含む単量体組成物を重合することによって得ることができる。なお、単量体組成物に含まれ得る他の単量体については後述する。
本発明で用いる紫外線吸収性重合体を合成するにあたって、上記紫外線吸収性単量体の含有量は、単量体組成物100質量%中5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。この範囲であれば、紫外線吸収層の紫外線吸収能が充分となり、プラスチック基材、とりわけポリエステル系フィルムの黄変を長期に亘って抑制することができる。紫外線吸収性単量体の含有量が5質量%未満の場合には、紫外線吸収層に十分な耐候性を付与できない場合がある。また、紫外線吸収性重合体中における紫外線吸収性単量体由来のフェノール性水酸基量が低下して、かかるフェノール性水酸基と式(1)で表される界面活性剤中の−(CH2CH2O)−との相互作用が小さくなるため、式(1)で表される界面活性剤のうち特定構造の界面活性剤と紫外線吸収性重合体との相溶性が低下して、紫外線吸収層の透明性や塗膜外観性が低下する場合がある。また、紫外線吸収性単量体の含有量が60質量%を超える場合には、紫外線吸収性重合体中における紫外線吸収性単量体由来のフェノール性水酸基量が多くなりすぎて、かかるフェノール性水酸基と式(1)で表される界面活性剤中のR1とに起因して、紫外線吸収性重合体と式(1)で表される界面活性剤との相互作用が小さくなるため、式(1)で表される界面活性剤のうち特定構造の界面活性剤と紫外線吸収性重合体との相溶性が却って低下して、紫外線吸収層の透明性や塗膜外観性が低下する場合がある。また、式(1)で表される界面活性剤がブリードアウトし易いことから、紫外線吸収層の耐汚染性を長期に亘って維持できない場合がある。
紫外線吸収性重合体を合成する際の重合方法には格別の制限はなく、公知の重合法、例えば溶液重合法、塊状重合法、水溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などを使用することができる。特に、溶液重合法は、得られた反応生成物をそのままあるいは希釈するだけで本発明の紫外線吸収性樹脂組成物として用いることができることから好ましい。
溶液重合の際に用いる有機溶媒としては、トルエン、キシレン、その他の芳香族系溶媒;n−ブチルアルコール、プロピレングリコールメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、エチルセロソルブなどのアルコール系溶媒;酢酸ブチル、酢酸エチル、セロソルブアセテートなどのエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;ジメチルホルムアミドなどを使用することができる。使用する有機溶媒の種類はこれらに限定されるものではない。これらの有機溶媒は1種のみを使用してもよいし、2種以上を混合溶媒として使用してもよい。有機溶媒の使用量は、単量体濃度や、重合体の所望の分子量、あるいは重合体溶液濃度などを考慮して適宜定めればよい。
溶液重合に用いることのできる重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイドなどの公知のラジカル重合開始剤を挙げることができる。重合開始剤の使用量は、特に限定はないが、全単量体組成物100質量部に対し0.01質量部以上が好ましく、0.05質量部以上がより好ましく、30質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。また必要に応じて、例えば、n−ドデシルメルカプタンのような連鎖移動剤を1種以上添加し、紫外線吸収性重合体の分子量を調整してもよい。
重合反応の温度も特に限定されないが、室温以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、200℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましい。なお反応時間は、用いる単量体組成物の組成や重合開始剤の種類などに応じて、重合反応が効率よく完結し得るように適宜設定すればよい。
紫外線吸収性重合体の分子量は、重量平均分子量(Mw)で、1万以上が好ましく、5万以上がより好ましく、40万以下が好ましく、20万以下がより好ましい。紫外線吸収性重合体のMwが1万未満であると、紫外線吸収層の基材密着性が不充分となる場合がある。また、紫外線吸収性重合体のMwが40万を超えると、式(1)で表される界面活性剤との相溶性が低下し、また後述する架橋剤を配合した場合に紫外線吸収性樹脂組成物の溶液の安定性が低下する場合がある。
<単量体組成物>
本発明で用いる紫外線吸収性重合体は、上記紫外線吸収性単量体に加えて、さらに以下に列挙する他の単量体を含む単量体組成物を共重合することによって合成してもよい。本発明の単量体組成物に含まれる他の単量体の種類と量を選択することにより、本発明の紫外線吸収性重合体の特性を種々変化させることができる。
(紫外線安定性基を有する単量体)
本発明で用いる単量体組成物には、紫外線安定性基を有する単量体(以下、単に「紫外線安定性単量体」と言う場合がある。)が含まれてもよい。特に、紫外線吸収性単量体と紫外線安定性単量体とを併用すると、得られる重合体は紫外線吸収性に加えて紫外線安定性をも有することから、紫外線吸収層の耐候性が長期間持続することとなる。紫外線安定性単量体とは、分子中に重合性二重結合と紫外線安定性基を同時に有するものであれば特にその種類は限定されないが、中でも、下記式(6)で表される紫外線安定性単量体が好ましい。
[式中、R23は水素原子またはシアノ基を表し、R24、R25はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、R26は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、または炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、X5は酸素原子またはイミノ基を表す。]
上記式(6)において、R26で表される炭素数1〜18のアルキル基としては、例えば、R2で表される炭素数1〜8のアルキル基として列挙した上記の置換基に加えて、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基などの鎖式アルキル基を挙げることができる。R26で表される炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などを挙げることができる。
上記式(6)で表される単量体の具体例としては、特に限定されるものではないが、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(例えば、旭電化工業社製「アデカスタブ(登録商標)LA87」)、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン(例えば、旭電化工業社製「アデカスタブLA−82」)、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどを挙げることができる。これらの紫外線安定性単量体は、単独で、必要により2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
紫外線安定性単量体の含有量は、単量体組成物100質量%中0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
次に、本発明で用いる紫外線吸収性重合体を合成する際に用いることができる、上記紫外線吸収性単量体、及び紫外線安定性単量体以外の単量体について説明するが、下記の単量体の含有量は、単量体組成物100質量%中、上記紫外線吸収性単量体、及び紫外線安定性単量体の残部である。
((メタ)アクリレート類)
本発明で用いる単量体組成物には、下記式(7)で表される(メタ)アクリレート類が含まれてもよい。かかる(メタ)アクリレート類は、上記紫外線吸収性単量体との共重合性が良好で、耐候性に優れた紫外線吸収性重合体を合成することができる。
[式中、R27は水素原子またはメチル基を表し、X6は炭素数が1以上の炭化水素基を表す。]
上記式(7)において、X6で表される、炭素数が1以上の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキレン基、芳香環などを挙げることができる。
上記式(7)で表される単量体の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート(例えば、イーストマン社製「Eastman AAEM」)、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらの(メタ)アクリレート類は、単独で、必要により2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート、及びアクリレートのいずれであってもよい。
(水酸基含有単量体)
本発明で用いる単量体組成物には、後述する架橋剤との架橋点を紫外線吸収性重合体に導入するために、水酸基含有単量体が含まれてもよい。
具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートや、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン付加物(例えば、ダイセル化学工業社製の「プラクセル(登録商標)FM1D」や「プラクセルFM2D」など)などを挙げることができる。これらの水酸基含有単量体は、単独で、必要により2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
(その他)
本発明で用いる単量体組成物には、さらに以下の各種単量体が含まれてもよい。
酢酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、アジピン酸ジビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどのビニルエステル類。
ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレートなどの珪素含有単量体類。
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、へプタドデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、β−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリブロモフェノールのエチレンオキサイド付加(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレートなどのハロゲン含有単量体類。
(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート硫酸塩、モルホリンのエチレンオキサイド付加(メタ)アクリレート、N−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルサクシンイミド、N−ビニルメチルカルバメート、N,N−メチルビニルアセトアミド、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンなどの窒素含有単量体類。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの多官能単量体類。
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソプロピルエーテル、ビニル−n−プロピルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニル−n−ブチルエーテル、ビニル−n−アミルエーテル、ビニルイソアミルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニル−n−オクタデシルエーテル、シアノメチルビニルエーテル、2,2−ジメチルアミノエチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、β−ジフルオロメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ジビニルエーテル、ジビニルアセタールなどのビニルエーテル類。
グリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジルアクリレート、α−メチルグリシジルメタクリレート(例えば、ダイセル化学工業社製の「MGMA」)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(例えば、ダイセル化学工業社製の「サイクロマー(登録商標)A400」など)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(例えば、ダイセル化学工業社製の「サイクロマーM100」など)などのエポキシ基含有単量体類。
スルホエチル(メタ)アクリレート、4−スルホ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェートなどの酸性官能基含有単量体類およびその塩類。
<紫外線吸収性樹脂組成物>
本発明の紫外線吸収性樹脂組成物は、上記式(1)で表される溶剤系の界面活性剤と、上記紫外線吸収性重合体とを含有するものであれば、その態様は特に限定されるものではなく、さらに、必要に応じて架橋剤や、溶媒、添加剤、その他の樹脂を含んで構成されてもよい。
(架橋剤)
本発明の紫外線吸収性樹脂組成物に含まれる架橋剤は、特に限定されるものではないが、ポリイソシアネート系架橋剤であることが好ましい。ポリイソシアネート系架橋剤は、紫外線吸収性重合体中に導入された水酸基と架橋反応を起こすことによって、紫外線吸収性樹脂組成物を用いて形成される紫外線吸収層の耐候性や強度、及び耐薬品性を高めることができる。なお、メラミン樹脂などの他の架橋剤では、架橋反応の完結までに高温および/または長時間を要するため好ましくない上に、紫外線吸収層が黄変し易くなる。
ポリイソシアネート系架橋剤としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有している化合物であれば特に限定されず、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)などの公知のジイソシアネート化合物;「スミジュール(登録商標)N」などのビュレットポリイソシアネート化合物;「デスモジュール(登録商標)IL」、「デスモジュールHL」(いずれも住化バイエルウレタン社製)、「コロネート(登録商標)EH」(日本ポリウレタン工業社製)などとして知られるイソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物;「スミジュールL」(住化バイエルウレタン社製)などのアダクトポリイソシアネート化合物;「コロネートL」および「コロネートL−55E」(いずれも日本ポリウレタン社製)などのアダクトポリイソシアネート化合物;「タケネート(登録商標)D110N」(三井武田ケミカル社製)などの芳香環を有するポリイソシアネート化合物などを挙げることができる。これらは、単独でも、2種以上を併用することもできる。また、これらの化合物のイソシアネート基を活性水素を有するマスク剤と反応させて不活性化したいわゆるブロックイソシアネートも使用可能である。
ポリイソシアネート系架橋剤の配合量は、紫外線吸収性重合体100質量部に対し、0.1質量部(ドライ)以上が好ましく、30質量部(ドライ)以下が好ましく、20質量部(ドライ)以下がより好ましい。架橋剤の配合量が0.1質量部より少ないと紫外線吸収層の基材密着性が低下する場合がある。また、架橋剤の配合量が30質量部を超えると、架橋剤配合後の紫外線吸収性樹脂組成物溶液(樹脂液)の安定性が低下する場合がある。
(溶媒)
本発明の紫外線吸収性樹脂組成物は、さらに適宜溶媒が混合されてもよい。
溶媒としては、紫外線吸収性重合体の合成の際に用いた溶媒、あるいは使用できる溶媒として例示した溶媒を挙げることができる。
(添加剤)
本発明の紫外線吸収性樹脂組成物には、さらに以下の添加剤が含まれていてもよい。
添加剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、インドール系などの有機系紫外線吸収剤や酸化亜鉛などの無機系紫外線吸収剤;立体障害ピペリジン化合物(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の「チヌビン(登録商標)123」、「チヌビン144」、「チヌビン765」など)などの添加型の紫外線安定剤;レベリング剤、酸化防止剤、タルクなどの充填剤、防錆剤、蛍光性増白剤、酸化防止剤、界面活性剤系やリチウム系、あるいは有機ホウ素系などの帯電防止剤、顔料、染料、増粘剤、コロイダルシリカ、アルミナゾルなどの無機微粒子やポリメチルメタクリレート系のアクリル系微粒子などの塗料分野で一般的な添加剤を挙げることができる。これらの添加剤を使用する場合は、本発明の紫外線吸収性樹脂組成物における紫外線吸収性重合体の含有量が50質量%以上(より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上)になるように使用することが望ましい。
(その他の樹脂)
本発明の紫外線吸収性樹脂組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲において、その他の樹脂が含まれてもよい。その他の樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂や、樹脂自身の作用あるいは硬化剤によって架橋硬化する熱硬化性樹脂を挙げることができる。より具体的には、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂などの熱可塑性樹脂;ウレタン系樹脂、アミノプラスト系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂などの単独硬化型の熱・紫外線・電子線硬化性樹脂;ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂などの硬化剤によって硬化する熱硬化性樹脂などを挙げることができる。これらその他の樹脂の種類や使用量は、本発明の紫外線吸収性樹脂組成物から形成される紫外線吸収層の用途や要求特性などに応じて適宜決定すればよい。
特に、本発明の紫外線吸収性樹脂組成物に飽和ポリエステル系樹脂を配合することによって、紫外線吸収層とプラスチック基材との優れた密着性を確保することができる。また、本発明の紫外線吸収性樹脂組成物に単独硬化型の紫外線・電子線硬化性樹脂を配合すれば、高硬度の紫外線吸収層を形成することができる。
以上、本発明の紫外線吸収性樹脂組成物について説明したが、かかる紫外線吸収性樹脂組成物を用いて構成される紫外線吸収層を、プラスチック基材の表面上に形成してなる積層体について以下説明する。
<積層体>
本発明の積層体は、上記紫外線吸収性樹脂組成物の溶液(樹脂液)を、プラスチック基材の表面に、浸漬、吹き付け、刷毛塗り、カーテンフローコート、グラビアコート、ロールコート、スピンコート、バーコート、静電塗装などの公知の塗工方法で塗工し、次いで乾燥して紫外線吸収層を形成することにより製造することができる。乾燥は、樹脂液に含まれる溶媒に適した温度で行えばよい。
紫外線吸収層の厚さは、Lambert−Beerの法則により、重合体に導入されている紫外線吸収性基の量、すなわち重合の際の紫外線吸収性単量体の使用量に依存する。したがって、紫外線吸収層の厚さは、重合体中の紫外線吸収性基の量と、紫外線吸収層に要求される耐候性を勘案して決定すればよく、通常、0.5〜15μmの範囲内である。厚さが15μmを超えると、塗膜の乾燥に時間がかかり、耐カール性も低下する。逆に厚さが0.5μm未満では、基材上へ均一に塗工するのが困難であり、紫外線吸収性能も不充分になるおそれがある。より好ましい厚さの下限は1.0μm、より好ましい厚さの上限は10μmである。
本発明で用いるプラスチック基材は、主として、ポリエステル系フィルムである。このポリエステル系フィルムは、黄変の原因となる芳香環をその骨格中に有しているポリエステルを原料として得られたフィルムである。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのホモポリエステルフィルムの他、これら以外の飽和ポリエステル樹脂のフィルムも含まれる。本発明の積層体を構成するプラスチック基材は、一軸延伸または二軸延伸フィルムであってもよい。二軸延伸のPETフィルムとしては、例えば、カネボウ社製「O−PET」などが入手可能である。
また、ポリエステル系のフィルム以外も、本発明の積層体のプラスチック基材として用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、トリアセチルセルロース、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、セロファン、芳香族ポリアミド、ポリビニルアルコール、ABS、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂フィルムなどのプラスチック基材フィルムを挙げることができる。「ARTON(登録商標)」(JSR社製)、「ZEONEX(登録商標)」(日本ゼオン社製)、「OPTREZ(登録商標)」(日立化成社製)などの光学用樹脂フィルムも使用可能である。さらに、下記式(8)
[式中、R28、R29およびR30は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。]
で示されるラクトン構造を有するポリマーのフィルムであってもよい。上記有機残基としては、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキレン基、芳香環などを挙げることができる。これらの基材フィルム(板状も含む)には、従来公知の添加剤が添加されていてもよい。
本発明の積層体を構成するプラスチック基材は、その表面が易接着化処理されていることが好ましい。かかる易接着化処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、アルカリ金属化合物溶液による処理、高周波スパッタエッチング処理、易接着剤層(下塗層)の形成などを挙げることができる。
以下、実験例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更して実施することが可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお下記実験例において「部」および「%」とあるのは、質量部または質量%を表す。
<評価方法>
先ず、実験例によって作成された積層体の評価方法について、以下説明する。
(初期の紫外線吸収層の透明性(ヘイズ))
JIS K7105に準拠して、日本電色工業社製の濁度計「NDH300A」を用いて、プラスチック基材と積層体の透明性をそれぞれ測定し、プラスチック基材と積層体の透明性(ヘイズ)の差を測定し、初期の(すなわち、耐候性試験前の)紫外線吸収層の透明性(ヘイズ)を以下の基準で評価した。
○;ヘイズ1%未満
△;ヘイズ1%以上2%未満
×;ヘイズ2%以上
(耐ブロッキング性)
100℃で2分間乾燥後の積層体の紫外線吸収層面にガーゼを5枚重ねておき、250g/cm2の圧力となるように分銅を載せ、50℃で24時間放置後、また48時間放置後の紫外線吸収層の状態を観察し、以下の基準で評価した。
○;ガーゼ痕なし
△;ガーゼ痕ややあり
×;ガーゼ痕あり
(耐指紋性)
初期(すなわち50℃、90%RHで48時間放置前)の積層体と、50℃、90%RHで48時間放置後の積層体に、それぞれ実指紋を付着させ、各積層体の指紋の付着度を以下の基準で評価した。
○;ほとんど付着しないか、視認できない
△;僅かに付着、または視認可能なレベル
×;付着多い
(耐雨だれ汚染性)
積層体を大阪府吹田市において、3ヶ月間及び6ヶ月間、屋外の雨だれ試験装置に設置して、以下の基準で評価した。なお、雨だれ試験装置は、建築用外壁材料の汚染を対象とした屋外曝露試験方法(JSTM J7601−1992)に記載される曝露A法に基づいて、積層体を地面と略鉛直方向に配置するとともに、かかる積層体の上方に、地面との傾斜角度を10°としたプラスチック製の波板を設け、降雨水がプラスチック製の波板の端から積層体の紫外線吸収層表面に直接滴り落ちるようにして行った。
○;ほとんど雨だれ汚染なし
△;やや雨だれ汚染がある
×;明らかに雨だれ汚染がある
(耐候性)
紫外線劣化促進試験機(「アイスーパーUVテスター UV−W131」;岩崎電機社製)を用いて、70℃、60%RH(相対湿度)の雰囲気下で、積層体の紫外線吸収層側から80mW/cm2の紫外線を240時間照射し、照射前と照射後のb値と紫外線吸収層の透明性(ヘイズ)とを測定し、以下の基準で評価した。
なお、b値は、分光色差計(「SE−2000」;日本電色工業社製)で、JIS K 7105(2004年度版)に従って反射法で測定し、照射前後のb値の差を黄変度Δbとした。また、紫外線吸収層の透明性(ヘイズ)は、前記と同様の方法で測定した。
耐黄変性
○;Δbが2未満
△;Δbが2以上4未満
×;Δbが4以上
耐候性試験後の紫外線吸収層の透明性(ヘイズ)
○;ヘイズ1%未満
△;ヘイズ1%以上2%未満
×;ヘイズ2%以上
<紫外線吸収性重合体の合成例1>
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入口を備えた500mlフラスコに、紫外線吸収性単量体として、式(2)で表される2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(商品名「RUVA93」:大塚化学社製:UVA1とする)25部、他の単量体として、式(7)で表されるメチルメタクリレート(MMA)54部、n−ブチルアクリレート(BA)11部、水酸基含有単量体として2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)10部、溶媒として酢酸エチル120部を仕込み、窒素ガスを流入して撹拌しながら還流温度まで昇温した。一方、滴下槽に酢酸エチル10部と、重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)1部との混合物を仕込み、2時間かけて滴下した。滴下終了後も還流反応を続け、滴下開始から6時間後に冷却し、不揮発分が40%溶液となるよう酢酸エチルで希釈して、紫外線吸収性重合体1の溶液を得た。
得られた紫外線吸収性重合体1の重量平均分子量(Mw)を、GPC(東ソー社製の「HLC8120」)で、カラムとして「TSK−GEL GMHXL−L」(東ソー社製)を用いて、ポリスチレン換算の分子量として求めた。
使用した単量体組成物の混合量と、合成した紫外線吸収性重合体1の重量平均分子量Mwを表1に示す。
<紫外線吸収性重合体の合成例2〜5>
単量体組成、及び不揮発分を表1に示すように変更した以外は合成例1と同様にして、紫外線吸収性重合体2〜5を合成した。
使用した単量体組成物の混合量と、合成した紫外線吸収性重合体2〜5の重量平均分子量Mwを表1に示す。
なお、表1中
UVA2は、式(5)で表される2−[2’−ヒドロキシ−3’−メタクリロイルアミノメチル−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、
UVA3は、式(4)で表される2−[2−ヒドロキシ−4−(11−メタクリロイルオキシ−ウンデシルオキシ)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン
である。
「HALS」は式(6)で表される4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン(商品名「アデカスタブLA82」:旭電化工業社製)を意味する。
<積層体の作成>
実験例1
合成例1で得た紫外線吸収性重合体1の溶液を100部、ポリイソシアネート系架橋剤(「デスモジュール(登録商標)N3200」;住化バイエルウレタン社製)を6部、界面活性剤C1225O(CH2CH2O)SO3NH(CH2CH2OH)3(nは0〜8の混合物)を1部それぞれ容器に入れ、さらにメチルエチルケトンで不揮発分が20%になるまで希釈して、紫外線吸収性樹脂組成物の溶液(樹脂液)を調製した。
上記樹脂液を、基材として片面が易接着化処理された厚さ188μmのPETフィルム(東洋紡績株式会社製「A−4100」)に、バーコーターで塗布し、100℃で2分間乾燥して、乾燥後の膜厚が5μmの紫外線吸収層を形成し、PETフィルム上に紫外線吸収層が配された積層体を得た。
この積層体について、前記の方法で紫外線吸収層の透明性(ヘイズ)、耐ブロッキング性、耐指紋性、耐雨だれ汚染性、耐候性をそれぞれ評価した。各評価結果を表2に示す。
実験例2〜16
表2に示したように配合組成を変更した以外は実験例1と同様にして、PETフィルム上に紫外線吸収層を配した積層体を得た。
得られた積層体について、前述の方法で紫外線吸収層の透明性(ヘイズ)、耐ブロッキング性、耐指紋性、耐雨だれ汚染性、耐候性をそれぞれ評価した。各評価結果を表2に示す。なお、耐候性試験前の紫外線吸収層の透明性が悪い(すなわち、評価が×となる)場合には、耐ブロッキング性などの他の特性については評価を中止した。
なお、表2中
界面活性剤2は、CXX+1O(CH2CH2O)3SO3Na(Xは12〜16の混合物)、
界面活性剤3は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアミン塩(商品名「フォスファノール(登録商標)RS−710M」:東邦化学工業社製)、
界面活性剤4は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルNa塩(商品名「フォスファノールGB−520」:東邦化学工業社製)、
界面活性剤5は、脂肪族アルキル第4級アンモニウム塩(商品名「カチオーゲン(登録商標)ES−L−9」:第一工業製薬株式会社製)、
界面活性剤6は、モノオレイン酸ソルビタン(商品名「ゾルゲン40V」:第一工業製薬株式会社製)、
界面活性剤7は、p−スチレンスルホン酸ナトリウム塩(40%)/ポリエチレングリコールモノメタクリレート(60%)の重合体(数平均分子量(Mn)が3000、ポリエチレングリコールモノメタクリレートはアルキレンオキサイドユニットが4〜5連鎖のものを使用)、
界面活性剤8は、ブチルリン酸ナトリウム
である。
表2に基づけば、実験例1から8のように、紫外線吸収性樹脂組成物に含まれる界面活性剤が式(1)で表される場合(詳細には、アニオン性界面活性剤である場合)には、得られる積層体は耐候性及び耐汚染性に優れるのに対し、実験例11や12のように、カチオン性界面活性剤やノニオン性界面活性剤である場合には、耐黄変性や耐汚染性が悪いことが分かった。なお、実験例1から8のうちでも、特に式(1)中のX1について、対イオンがアミンイオンであるスルホン酸塩である場合(実験例1)に、積層体の耐候性及び耐汚染性が最も優れることが分かった。
また、実験例13の結果から、界面活性剤(添加剤)として、側鎖にアルキレンオキサイドとスルホン酸ナトリウム塩基とを有する重合体を用いた場合には、初期の紫外線吸収層の透明性(ヘイズ)が悪いことが分かった。また、実験例14の結果から、数平均分子量(Mn)195の低分子型の界面活性剤を用いた場合には、初期の紫外線吸収層の透明性(ヘイズ)には優れるものの、耐ブロッキング性や耐候性、および耐汚染性が悪いことが分かった。
実験例1から8と実験例9および10の結果から、紫外線吸収性樹脂組成物に含まれる界面活性剤の含有量が、紫外線吸収性重合体100質量部に対して0.8〜5質量部である場合には、得られる積層体は耐候性及び耐汚染性に優れるのに対し、0.8質量部未満(0.5質量部)である場合(実験例9)には耐汚染性が悪くなり、また、5質量部を超える(6質量部)場合(実験例10)には初期の紫外線吸収層の透明性(ヘイズ)が悪いことが分かった。
また、実験例4および5と実験例15および16の結果から、単量体組成物100質量%中における紫外線吸収性単量体(UVA)の含有量が5〜60質量%である場合には、得られる積層体は耐候性及び耐汚染性に優れるのに対し、5質量%未満(3質量%)である場合(実験例15)には初期の紫外線吸収層の透明性(ヘイズ)や耐黄変性が悪く、また、60質量%を超える(70質量%)場合(実験例16)には、初期の紫外線吸収層の透明性(ヘイズ)が悪いことが分かった。
本発明の紫外線吸収性樹脂組成物は、内容物や基材を紫外線から保護するための劣化保護用途、例えば、薬品・食品などを包装する材料やガラス瓶などに紫外線吸収層を形成するためのコーティング剤として利用可能である。また、染料などの色素の退色防止用コーティング剤としてや、フッ素樹脂フィルムなどのプラスチック基材同士を貼り合わせする際の粘着剤や接着剤、あるいはシリコーン系やアクリル系のハードコート層用のプライマーとしても使用できる。さらには、耐候性記録液、繊維処理剤、絶縁素子や表示素子の絶縁用コーティング剤としても用い得る。
本発明の積層体(「フィルム」と表現される積層体も含む)は、記録材料(可逆性感熱用、溶融転写用、昇華転写用、インクジェット用、感熱用、ICカード、ICタグなど)、薬品・食品などの包装材、太陽電池用バックシート、マーキングフィルム、感光性樹脂板、粘着シート、色素増感型太陽電池、高分子固体電解質、紫外線吸収絶縁膜、各種光学フィルム(偏光板保護フィルム、光拡散フィルムなど)、建築材料用フィルム(ガラス飛散防止フィルム、化粧シート、窓用フィルム)、屋内外のオーバーレイ用フィルム(表示材料、電飾看板)、シュリンクフィルムなどとして利用可能である。
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