JP2008201713A - フィルムコーティング用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】糖衣を施さなくても、高い光沢性のある表面を有するフィルムコーティング製剤の提供。
【解決手段】(A)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、(B)ポリエチレングリコール及び(C)タルクを含有し、成分(A)と(B)との質量比(A:B)が1:0.22〜1.25であり、且つ成分(A)と(C)との質量比(A:C)が1:0.8〜3.8であることを特徴とするフィルムコーティング用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明はフィルムコーティング用組成物に関し、さらに詳細には、固形製剤のコーティング剤として用いられるフィルムコーティング用組成物に関する。
フィルムコーティングや糖衣は、原薬の光や湿度に対する安定性を向上させたり、にがみ、臭い、刺激などを防いだり、ウィスカーの発生を防止したり、或いは、製品としての美観を向上させるなどの目的で錠剤に施されている。しかし、商品としての美観、特に表面の光沢やつやにおいては、従来のフィルムコーティングは糖衣に比べて劣っていた。その一方で、糖衣を施した錠剤の表面は高い光沢性を有するが、糖衣工程は多大な時間を必要とするため製造コストが上昇するばかりでなく、製剤が糖衣により大きく重くなることで携帯性が悪くなり、さらに、糖衣工程中は高温多湿の状態が長い時間にわたり続くため、活性成分の安定性に影響を及ぼすこともあった。
そこで、フィルムコーティング錠の表面に糖衣錠のような高い光沢性を付加することが試みられてきた。例えば、甘味成分と艶出しワックスの混合物で艶出しされたフィルム錠(特許文献1);アカシアガムを用いたドライパウダー組成物(特許文献2);ヒドロキシプロピルセルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムを配合したフィルムコーティング組成物(特許文献3)などが提案されている。しかし、これらの組成物から得られる光沢は十分なものではなかった。
特開2001−89361号公報 国際公開第2002/019987号パンフレット 特表2002−534373号公報
本発明の目的は、糖衣を施さなくても、高い光沢性のある表面を有するフィルムコーティング製剤を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討した結果、意外にも、従来固形製剤のコーティング剤成分として用いられてきたヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール及びタルクをそれぞれ特定の比率で配合した組成物を用いることにより、製剤表面に高い光沢性を付与できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、(A)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、(B)ポリエチレングリコール及び(C)タルクを含有し、成分(A)と(B)との質量比(A:B)が1:0.22〜1.25であり、且つ成分(A)と(C)との質量比(A:C)が1:0.8〜3.8であることを特徴とするフィルムコーティング用組成物を提供するものである。
また、本発明は、前記組成物により20μm〜200μmの厚さにフィルムコーティングされたフィルムコーティング製剤を提供するものである。
本発明のフィルムコーティング用組成物を用いて錠剤をコーティングすれば、美しい光沢のあるフィルムが形成され、美的外観品質が向上したフィルムコーティング製剤を得ることができる。また、本発明によれば、糖衣工程を必要としないため、錠剤の軽量化や小型化が可能になるばかりでなく、製造コストが低減され、さらに、最終製剤の水分コントロールも容易なため、活性成分の安定性を維持できると共に、製剤の変色も防止できる。
本発明のフィルムコーティング用組成物は、(A)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、(B)ポリエチレングリコール及び(C)タルクを含有する。
ここで用いられる成分(A)ヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、特に制限されないが、高い光沢性を付与する観点から、メトキシ基の置換度が16.5〜30.0、特に28.0〜30.0であり、ヒドロキシプロポキシ基の置換度が4.0〜32.0、特に7.0〜12.0のものが好ましい。また、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの粘度は、20℃における2%水溶液の粘度として3〜10,000mPa・sであることが好ましく、特に3〜15mPa・sであることが好ましい。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースの市販品としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2906、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910などが挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明のフィルムコーティング用組成物中のヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量は、皮膜の強度とコーティング時の付着率及び高い光沢性の観点から、組成物の固形分全量に対して5〜80質量%が好ましく、特に10〜60質量%が好ましく、さらに15〜35質量%が好ましい。
本発明で用いられる成分(B)ポリエチレングリコールとしては、特に制限されないが、25℃において固体であることが好ましく、その重量平均分子量が190〜42,000、特に7,300〜9,300のものが好ましい。なお、ポリエチレングリコールの重量平均分子量は、GPCによるポリスチレン換算の値である。
ポリエチレングリコールの市販品としては、マクロゴール200、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1000、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール4000、マクロゴール6000、マクロゴール20000、マクロゴール35000などが挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明のフィルムコーティング用組成物中のポリエチレングリコールの含有量は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース1質量部に対して、0.22〜1.25質量部であるが、0.25〜1.0質量部であることが好ましく、特に0.4〜0.8質量部であることが好ましい。ポリエチレングリコールの含有量が少ないと光沢性に劣り、他方ポリエチレングリコールを多く配合すると、コーティング時の付着率が低下すると共に表面の平滑性がやや失われ易くなる。
本発明で用いられる成分(C)タルクの平均粒子径(JIS M8016に準拠する測定法)は、高い光沢性を付与する観点から、0.1〜20μmが好ましく、特に1〜12μmが好ましく、さらに2〜7μmが好ましい。タルクの粒子径が大き過ぎると表面が荒れて、十分な光沢が得られ難い。また、タルクの粒度は、粒径75μmを超えるもの(目開き75μmのふるいを通過しないもの)が0.2質量%以下であることが好ましく、特に、粒径45μmを超えるもの(目開き45μmのふるいを通過しないもの)が0.3質量%以下であることが好ましい。
また、本発明において、高い光沢を得るにはタルクの白色度が重要である。タルクの白色度(JIS M8016に準拠する測定法)は、90以上のものを用いることが好ましく、特に93以上のものを用いるのが好ましい。白色度が小さいと輝くような光沢性を出すのが難しい。
本発明のフィルムコーティング用組成物中のタルクの含有量は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース1質量部に対して、0.8〜3.8質量部であるが、1.2〜3.8質量部であることが好ましく、特に1.6〜2.4質量部であることが好ましい。タルクの含有量が少ないと輝くような光沢性を出すことが難しく、他方タルクを多く配合すると皮膜が脆くなると共にコーティング装置内のダストが生じ、ひいてはダストが錠剤の表面に付着してしまう。
本発明のフィルムコーティング用組成物には、上記成分の他にさらに着色剤を配合するのが好ましい。着色剤としてはアセンヤクタンニン末、ウコン抽出液、黄色三二酸化鉄、オパスプレーK−1−24904、オレンジエッセンス、褐色酸化鉄、カーボンブラック、カラメル、カルミン、カロチン液、β−カロテン、カンゾウエキス、金箔、黒酸化鉄、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、三二酸化鉄、食用青色1号、食用黄色4号、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用黄色5号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、水酸化ナトリウム、タルク、銅クロロフィンナトリウム、銅クロロフィル、ハダカムギ緑葉抽出エキス、d−ボルネオロール、ミリスチン酸オクチルドデシル、薬用炭、酪酸リボフラビン、リボフラビン、緑茶末、リン酸リボフラビンナトリウム、ローズ油などが挙げられ、これらは単独で若しくは二種以上を混合して用いることができる。
組成物中の着色剤の含有量はヒドロキシプロピルメチルセルロース1に対して、質量比で5以下が好ましく、特に2以下が好ましく、さらに1以下が好ましい。
本発明のフィルムコーティング用組成物には、上記成分の他に、例えば可塑剤、コーティング剤、分散剤、消包剤など、通常経口投与医薬品のコーティングフィルムに用いる医薬品添加物を必要に応じて添加することができる。
可塑剤の具体例としては、カリオン83、クエン酸トリエチル、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、ゴマ油、ジメチルポリシロキサン・二酸化ケイ素混合物、D−ソルビトール、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トウモロコシデンプン由来糖アルコール液、トリアセチン、濃グリセリン、ヒマシ油、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、プロピレングリコール、ポリソルベート80、綿実油・ダイズ油混合物、モノステアリン酸グリセリンなどを挙げることができ、これらは単独であるいは二種以上を混合して用いることができる。可塑剤を加える場合、組成物中の含有量は40質量%以下が好ましい。
コーティング剤の具体例としては、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液、アセチルグリセリン脂肪酸エステル、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、アラビアゴム、アラビアゴム末、エチルセルロース、エチルセルロース水分散液、オクチルデシルトリデリセリド、オパドライAMB、オパドライOY-6950、オパドライOY-S-7135、オパドライOY-S-8471、オパドライOY-S-9607、オパドライOY-S-22829、オパドライOY-S-22835、オパドライOY-S-22961、オリブ油、カオリン、カカオ脂、カゴソウ、カスターワックス、カラメル、カルナウバロウ、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、含水二酸化ケイ素、乾燥水酸化アルミニウムゲル、乾燥乳状白ラック、乾燥メタクリル酸コポリマーLD、寒梅粉、魚鱗箔、金箔、銀箔、クエン酸トリエチル、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、軽質無水ケイ酸含有ヒドロキシプロピルセルロース、軽質流動パラフィン、鯨ロウ、結晶セルロース、硬化油、合成ケイ酸アルミニウム、合成ワックス、高ブドウ糖水アメ、硬ロウ、コハク化ゼラチン、小麦粉、コムギデンプン、コメデンプン、酢酸セルロース、酢酸ビニル樹脂、酢酸フタル酸セルロース、サランミツロウサラシミツロウ、酸化チタン、酸化マグネシウム、ジメチルアミノエチルメタアクリレート・メチルメタアクリレートコポリマー、ジメチルポリシロキサン(内服用)、ジメチルポリシロキサン・二酸化ケイ素混合物、焼セッコウ、ショ糖脂肪酸エステル、ジンコウ末、水酸化アルミニウムゲル、水素添加ロジングリセリンエステル、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル40、ステアリン酸マグネシウム、精製ゼラチン、精製セラック、精製白糖、ゼイン、セスキオレイン酸ソルビタン、セタノール、セッコウ、ゼラチン、セラック、ソルビタン脂肪酸エステル、D−ソルビトール、D−ソルビトール液、第三リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、単シロップ、中金箔、沈降炭酸カルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、テルペン樹脂、デンプン(溶性)、トウモロコシシロップ、トウモロコシ油、トリアセチン、乳酸カルシウム、乳糖、濃グリセリン、白色セラック、白糖、ハチミツ、パラフィン、パール末、バレイショデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ピペロニルブトキシド、ヒマシ油、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、ブドウ糖、フマル酸・ステアリン酸・ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート・ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910混合物、プルラン、プロピレングリコール、ベントナイト、ポビドン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリソルベート80、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、D−マンニトール、水アメ、ミツロウ、ミリスチルアルコール、無水ケイ酸水加物、無水フタル酸、無水リン酸水素カルシウム、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、メチルセルロース、2−メチル−5−ビニルピリジンメチルアクリレート・メタクリル酸コポリマー、モクロウ、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、モノラウリン酸ソルビタン、モンタン酸エステルワックス、薬用炭、ラウロマクロゴール、硫酸カルシウム、流動パラフィン、DL−リンゴ酸、リン酸一水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カルシウム、ロジンなどを挙げることができ、これらは単独であるいは二種以上を混合して用いることができる。コーティング剤を加える場合、組成物中の含有量は40質量%以下が好ましい。
分散剤の具体例としては、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、アラビアゴム、アラビアゴム末、アルギン酸プロピレングリコールエステル、エタノール、オレイン酸、カルボキシビニルポリマー、カルメロースナトリウム、カンテン末、クエン酸、クエン酸ナトリウム、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、硬化油、合成ケイ酸アルミニウム、コリンリン酸塩、サフラワー油、サラシミツロウ、酸化チタン、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、ショ糖脂肪酸エステル、水酸化ナトリウム、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、精製オレイン酸、精製大豆レシチン、セスキオレイン酸ソルビタン、ソルビタン脂肪酸エステル、D−ソルビトール、ダイズ油、大豆レシチン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、トウモロコシデンプン、トラガント末、トリオレイン酸ソルビタン、乳糖、濃グリセリン、バレイショデンプン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、プロピレングリコール、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ベントナイト、ポビドン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマン油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリリン酸ナトリウム、無水クエン酸ナトリウム、無水ピロリン酸ナトリウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタリン酸ナトリウム、メチルセルロース、モクロウ、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴール、流動パラフィン、リン酸水素カルシウムなどを挙げることができ、これらは単独であるいは二種以上を混合して用いることができる。分散剤を加える場合、組成物中の含有量は25質量%以下が好ましい。
消泡剤の具体例としては、エタノール、グリセリン脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン(内服用)、ジメチルポリシロキサン・二酸化ケイ素混合物、ショ糖脂肪酸エステル、シリコン樹脂エマルジョン、シリコン消泡剤、ステアリン酸ポリオキシル40、ソルビタン脂肪酸エステル、トリオレイン酸ソルビタン、ポリソルベート80などを挙げることができ、これらは単独であるいは二種以上を混合して添加することができる。消泡剤を加える場合、組成物中の含有量は10質量%以下が好ましい。
本発明のフィルムコーティング製剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール及びタルクを含有するフィルムコーティング用組成物を溶解・懸濁したコーティング液を調製し、固形製剤の最外側表面にスプレーコーティングすることにより製造される。固形製剤の剤形としては、錠剤が好ましい。
固形製剤には、種々の薬効成分を適宜配合することができ、例えばアスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウムなどのビタミンC類;パントテン酸カルシウム、硝酸チアミン、塩酸チアミン、硝酸ビスチアミン、チアミンジスルフィド、チアミンジセチル硫酸エステル塩、塩酸フルスルチアミン、塩酸ジセチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、ベンフォチアミン、リボフラビン、酪酸リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム、塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサール、シアノコバラミン、塩酸ヒドロキソコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、メコバラミン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ビオチン、葉酸などのビタミンB類;ガンマーオリザノールなどの自律神経調節剤;チオクト酸アミド、オロチン酸などのビタミン様作用物質;リン酸水素カルシウム、乳酸カルシウムなどのミネラル;酢酸d−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、コハク酸d−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウムなどのビタミンE;エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロールなどのビタミンD;L−システイン、メチオニン、グリシン、塩酸アルギニンなどのアミノ酸:アミノエチルスルホン酸、グルクロン酸アミド、グルクロノラクトン、グリチルリチン酸、ウルソデオキシコール酸などの肝臓障害用薬;カシュウエキス、セイヨウサンザシエキス、エゾウコギ乾燥エキス、インヨウカクエキス、ヨクイニンエキス、肝臓加水分解物、胆汁エキス末、サイコ乾燥エキス、センキュウ乾燥エキス、クラテグス乾燥エキス、ブクリョウ乾燥エキスなどの生薬エキスなどを挙げることができる。
製剤を製造する方法は特に限定されず、薬効成分に必要に応じて製剤添加物を添加して、従来からの常法により製造すればよい。例えば、通常行われている一般的な製剤化方法(津田恭介・上野寿著、「医薬品開発基礎講座X I 薬剤製造法(上),(下)」、地人書館、1971年発行;仲井由宣著、「製剤工学ハンドブック」、地人書館、1983年発行;仲井由宣著、「最新粉体の材料設計」、テクノシステム、1988年発行;荒川正文著、「医薬品の開発11製剤の単位操作と機械」、廣川書店、1989年発行;橋田充著、「経口投与製剤の設計と評価」、薬業時報杜、1995年発行;橋田充著、「経口投与製剤の処方設計」、薬業時報杜、1995年発行)により調製すればよい。また、造粒末を調整する必要がある場合、一般に利用される造粒法(水や有機溶媒を含む溶液又は分散液を用いる噴霧造粒法、撹拌造粒法、流動造粒法、転動造粒法、転動流動造粒法等の湿式造粒法、粉粒状の結合剤を用いる圧密造粒法などの乾式造粒法等)により製造した原末・粉末剤・細粒剤・顆粒剤などと製剤添加物を混合し、圧縮成型することにより調製できる。さらに、本発明のフィルムコーティング用組成物によるフィルム層の下にアンダーコーティングを行ない二層や三層などの多層のフィルム層を有するフィルムコーティング製剤としても良い。
製剤化に使用される製剤添加剤としては、薬学的に許容される担体、例えば、安定(化)剤、界面活性剤、滑沢化剤、滑沢剤、可溶化剤、緩衝剤、甘味剤、基剤、吸着剤、矯味剤、結合剤、懸濁(化)剤、抗酸化剤、光沢化剤、香料、コーティング剤、湿潤剤、湿潤調整剤、充填剤、消泡剤、清涼化剤、着香剤・香料、着色剤、等張化剤、軟化剤、乳化剤、粘稠(化)剤、発泡剤、pH調整剤、賦形剤、分散剤、崩壊剤、崩壊補助剤、芳香剤、防湿剤、防腐剤、保存剤、溶解剤、溶解補助剤、溶剤、流動化剤などが挙げられ、これらの製剤添加剤の具体例は、例えば、製本(日本医薬品添加剤協会、「医薬品添加物事典2005」、薬事日報杜、2005年発行)中に記載されるものを用いることができる。
上記の様に製造された素錠やフィルムコーティング錠などの固形製剤にフィルムコーティング用組成物をフィルムコーティングするコーティング方法は特に限定されるものでなく、例えば、パンコーティング法、流動層コーティング法、転動コーティング法、ドライコーティング法、或いはこれらの組み合せた方法などが挙げられる。本発明のフィルムコーティング用組成物を含有するコーティング液は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール及びタルクに、さらに必要に応じて製剤添加物を添加してフィルムコーティング用組成物を秤取り、この組成物を精製水やエタノールなどの低級アルコールあるいはこれらの混液に溶解・懸濁させて調製する。コーティング液は、固形分が通常1〜50質量%となるように調整するのが好ましく、特に2〜30質量%となるように調整するのが好ましく、さらに5〜20質量%となるように調整するのが好ましい。
本発明において、製剤に形成されるフィルム層の厚さは、製剤の形状や大きさによって異なるが、美しい光沢のある表面を得る観点から、20μm〜200μmであることが好ましく、特に30μm〜100μmであることが好ましく、さらに40μm〜80μmであることが好ましい。例えば、直径9mm、質量200mg前後の錠剤でこのようなフィルム層の厚みを得るには、おおよそ3〜30mg/錠コーティングすることが好ましく、おおよそ3〜15mg/錠コーティングすることがさらに好ましく、おおよそ6〜12mg/錠コーティングすることが特に好ましいことになる。フィルム層の厚みが薄すぎると、十分な光沢が得られず、他方フィルム層の厚みが大きいとコーティングに要する時間が必要となる。
本発明の製剤は、フィルムコーティング用組成物からなるフィルム層の下にアンダーコーティングを行ない複数のフィルム層を形成させたフィルムコーティング製剤としても良い。
例えば、固形製剤にL−システイン類など不快な臭いを呈する薬効成分を含む場合は、その臭いをマスキングする目的で、コーティング被膜を施すのが好ましい。コーティング被膜には、前記経口投与医薬品のコーティングフィルムに用いる医薬品添加物を適宜添加することができるが、特に防臭効果の観点から、ポリビニルアルコールの部分けん化物を添加するのが好ましい。ポリビニルアルコール部分けん化物のけん化度は、不快臭低減効果の観点から、70〜97mol%が好ましく、特に78〜96mol%が好ましく、また、平均重合度は200〜3,300が好ましく、特に300〜1,500が好ましい。ここで、けん化度は、JIS K6726(ポリビニルアルコール試験方法)に準じて測定できる。また、コーティング被膜中のポリビニルアルコールの含有量は、防臭効果と被膜強度およびコーティングのし易さの観点から、30〜100質量%が好ましく、特に40〜95質量%が好ましい。
また、固形製剤に、パントテン酸カルシウムと、L−システイン類などのパントテン酸カルシウムを分解する作用を有し、その安定性を損なわせる薬効成分を含む場合は、固形製剤にパントテン酸カルシウム以外の活性成分を配合し、該製剤をコーティングするフィルム層にパントテン酸カルシウムを配合すれば良い。その場合、前記不快な臭いを呈する薬効成分をマスキングする目的で施すコーティング被膜は、パントテン酸又はその塩を含むフィルム層の上や下に、あるいは両方に施しても良い。パントテン酸カルシウムを含有するフィルム層には、前記経口投与医薬品のコーティングフィルムに用いる医薬品添加物を適宜添加することができるが、特に水溶性或いは胃溶性のフィルム基材、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE、ポリビニルアセタールジエチルアミンアセテート等から選ばれる1種又は2種以上を添加するのが好ましい。
かくして、美しい光沢のある表面の製剤がフィルムコーティングにより提供できる。
以下、本発明について実施例をあげて具体的に説明するが、本発明はこれらによって何等限定されるものではない。
実施例1
L−システイン(協和醗酵製)960g、直打用アスコルビン酸(BASFジャパン製)1237.2g、パントテン酸カルシウムタイプS(BASFジャパン製)147.6g、結晶セルロース(VIVAPUR12:レッテンマイヤー製)567.2g、結晶セルロース(セオラスKG802:旭化成ケミカルズ製)200g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(LH-11:信越化学製)200g、軽質無水ケイ酸(アドソリダー101:フロイント産業製)16g、ステアリン酸マグネシウム(太平化学製)32gを用いて打錠用混合末を製し、ロータリー式打錠機(VIRGO-0512型打錠機:菊水製作所製)で9mmφの臼杵にて、1錠当たりの質量210mgとなるように打錠して素錠を得た。次に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC-5RW:信越化学工業製)36g、マクロゴール6000(日本油脂製)21g、タルク(勝光山鉱業所;平均粒子径4.6μm、粒度45μmふるい残分0.1%、白色度93.6%)69g、酸化チタン(石原産業製)24gを精製水:日本薬局方エタノール(3:1)混液850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT-48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない1錠当りの質量220mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ64.5μm:n=10の平均、画像解析法)を得た。
比較例1
実施例1と同様にして得た素錠3000gを、コーティング機(ハイコーターHCT-48、フロイント産業)に入れ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC-5RW:信越化学工業製)80gを精製水:日本薬局方エタノール(3:1)混液920gに溶解して得たフィルムコーティング液を用いて、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない1錠当りの質量220mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ62.9μm:n=10の平均、画像解析法)を得た。
実施例2
塩酸ジフェンヒドラミン(金剛化学製)4.8kg、グリシン(協和醗酵製)4.8kg、乳糖(タブレトース80:メグレ・ジャパン製)6.36kg、結晶セルロース(セオラスKG-802:旭化成ケミカルズ製)19.2kg、低置換度ヒドロキシプロピルロース(L-HPC LH-11:信越化学工業製)1152g、クロスカルメロースナトリウム(キッコレート:旭化成ケミカルズ製)960g、軽質無水ケイ酸(アドソリダー101:フロイント産業製)384g、ステアリン酸マグネシウム(太平化学製)384g及びタルク(キハラ化成製)384gを用いて打錠用混合末を製し、ロータリー式打錠機(VIRGO-0512型打錠機:菊水製作所製)で9mmφの臼杵にて、1錠あたりの質量200mgとなるように打錠して素錠約37.5kgを得た。次に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC-5RW:信越化学工業製)36g、マクロゴール6000(日本油脂製)8g、タルク(勝光山鉱業所;平均粒子径4.6μm、粒度45μmふるい残分0.1%、白色度93.6%)69g、酸化チタン(石原産業製)24gを精製水863gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。次いで、素錠3kgをコーティング機(ハイコーターHCT-48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない1錠当りの質量210mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ65.7μm:n=10の平均、画像解析法)を得た。
実施例3
実施例2のフィルムコーティング液の調整で、マクロゴール6000を10g、精製水を861gに変えて、実施例2と同様にしてフィルムコーティング液を得て、実施例2で製した素錠3kgに実施例2と同様にコーティングを行ない本発明の1錠当りの質量210mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ65.4μm)を得た。
実施例4
実施例2のフィルムコーティング液の調整で、マクロゴール6000を13g、精製水を858gに変えて、実施例2と同様にしてフィルムコーティング液を得て、実施例2で製した素錠3kgに実施例2と同様にコーティングを行ない1錠当りの質量210mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ65.9μm)を得た。
実施例5
実施例2のフィルムコーティング液の調整で、マクロゴール6000を15g、精製水を856gに変えて、実施例2と同様にしてフィルムコーティング液を得て、実施例2で製した素錠3kgに実施例2と同様にコーティングを行ない1錠当りの質量210mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ63.9μm)を得た。
実施例6
実施例2のフィルムコーティング液の調整で、マクロゴール6000を21g、精製水を850gに変えて、実施例2と同様にしてフィルムコーティング液を得て、実施例2で製した素錠3kgに実施例2と同様にコーティングを行ない1錠当りの質量210mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ65.8μm)を得た。
実施例7
実施例2のフィルムコーティング液の調整で、マクロゴール6000を28g、精製水を843gに変えて、実施例2と同様にしてフィルムコーティング液を得て、実施例2で製した素錠3kgに実施例2と同様にコーティングを行ない1錠当りの質量210mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ64.4μm)を得た。
実施例8
実施例2のフィルムコーティング液の調整で、マクロゴール6000を35g、精製水を836gに変えて、実施例2と同様にしてフィルムコーティング液を得て、実施例2で製した素錠3kgに実施例2と同様にコーティングを行ない本発明の1錠当りの質量210mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ65.7μm)を得た。
実施例9
実施例2のフィルムコーティング液の調整で、マクロゴール6000を40g、精製水を831gに変えて、実施例2と同様にしてフィルムコーティング液を得て、実施例2で製した素錠3kgに実施例2と同様にコーティングを行ない1錠当りの質量210mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ66.1μm)を得た。
実施例10
実施例2のフィルムコーティング液の調整で、マクロゴール6000を43g、精製水を828gに変えて、実施例2と同様にしてフィルムコーティング液を得て、実施例2で製した素錠3kgに実施例2と同様にコーティングを行ない1錠当りの質量210mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ65.8μm)を得た。
実施例11
実施例2のフィルムコーティング液の調整で、マクロゴール6000を45g、精製水を826gに変えて、実施例2と同様にしてフィルムコーティング液を得て、実施例2で製した素錠3kgに実施例2と同様にコーティングを行ない1錠当りの質量210mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ66.3μm)を得た。
比較例2
実施例2のフィルムコーティング液の調整で、マクロゴール6000を5g、精製水を866gに変えて、実施例2と同様にしてフィルムコーティング液を得て、実施例2で製した素錠3kgに実施例2と同様にコーティングを行ない1錠当りの質量210mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ63.7μm)を得た。
比較例3
実施例2のフィルムコーティング液の調整で、マクロゴール6000を60g、精製水を811gに変えて、実施例2と同様にしてフィルムコーティング液を得て、実施例2で製した素錠3kgに実施例2と同様にコーティングを行ない1錠当りの質量210mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ63.7μm)を得た。
試験例1
実施例1〜11及び比較例1〜3のフィルムコーティング錠の表面つやを以下の5段階で評価した。その結果を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明の錠剤は比較例に比べ高い光沢が得られている。
艶 な し:−
僅かに艶がある:±
艶 が あ る:+
非常に艶がある:++
非常に強い艶がある:+++
Figure 2008201713
実施例12
イブプロフェン(BASFジャパン製)7.2kg、乳糖(タブレトース80:メグレ・ジャパン製)11.136kg、結晶セルロース(セオラスKG-802:旭化成ケミカルズ製)16.8kg、低置換度ヒドロキシプロピルロース(L-HPC LH-11:信越化学工業製)1152g、クロスカルメロースナトリウム(キッコレート:旭化成ケミカルズ製)960g、軽質無水ケイ酸(アドソリダー101:フロイント産業製)384g、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業製)384g及びタルク(キハラ化成製)384gを用いて打錠用混合末を製し、ロータリー式打錠機(VIRGO-0512型打錠機:菊水製作所製)で9mmφの臼杵にて、1錠あたりの質量200mgとなるように打錠して素錠約37kgを得た。次に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC-5RW:信越化学工業製)36g、マクロゴール6000(日本油脂製)21g、タルク(勝光山鉱業所;平均粒子径4.6μm、粒度45μmふるい残分0.1%、白色度93.6%)30g、酸化チタン(石原産業製)24gを精製水889gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。次いで、素錠3kgをコーティング機(ハイコーターHCT-48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が7.5mgとなるようにコーティングを行ない1錠当りの質量207.5mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ50.8μm:n=10の平均、画像解析法)を得た。
実施例13
実施例12のフィルムコーティング液の調整で、タルクを44g、精製水を875gに変えて、実施例12と同様にしてフィルムコーティング液を得て、実施例2で製した素錠3kgに実施例2と同様にコーティングを行ない1錠当りの質量207.5mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ49.9μm)を得た。
実施例14
実施例12のフィルムコーティング液の調整で、タルクを60g、精製水を859gに変えて、実施例12と同様にしてフィルムコーティング液を得て、実施例2で製した素錠3kgに実施例2と同様にコーティングを行ない1錠当りの質量207.5mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ51.4μm)を得た。
実施例15
実施例12のフィルムコーティング液の調整で、タルクを69g、精製水を850gに変えて、実施例12と同様にしてフィルムコーティング液を得て、実施例2で製した素錠3kgに実施例2と同様にコーティングを行ない1錠当りの質量207.5mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ50.1μm)を得た。
実施例16
実施例12のフィルムコーティング液の調整で、タルクを85g、精製水を834gに変えて、実施例12と同様にしてフィルムコーティング液を得て、実施例2で製した素錠3kgに実施例2と同様にコーティングを行ない1錠当りの質量207.5mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ53.8μm)を得た。
実施例17
実施例12のフィルムコーティング液の調整で、タルクを105g、精製水を1014gに変えて、実施例12と同様にしてフィルムコーティング液を得て、実施例2で製した素錠3kgに実施例2と同様にコーティングを行ない1錠当りの質量207.5mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ51.7μm)を得た。
実施例18
実施例12のフィルムコーティング液の調整で、タルクを135g、精製水を984gに変えて、実施例12と同様にしてフィルムコーティング液を得て、実施例2で製した素錠3kgに実施例2と同様にコーティングを行ない1錠当りの質量207.5mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ51.9μm)を得た。
比較例4
実施例12のフィルムコーティング液の調整で、タルクを10g、精製水を909gに変えて、実施例12と同様にしてフィルムコーティング液を得て、実施例2で製した素錠3kgに実施例2と同様にコーティングを行ない1錠当りの質量207.5mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ51.9μm)を得た。
比較例5
実施例12のフィルムコーティング液の調整で、タルクを180g、精製水を1239gに変えて、実施例12と同様にしてフィルムコーティング液を得て、実施例2で製した素錠3kgに実施例2と同様にコーティングを行ない1錠当りの質量207.5mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ52.1μm)を得た。
試験例2
実施例12〜18及び比較例4〜5のフィルムコーティング錠の表面つやを試験例1と同様に5段階で評価し、その結果を表2に示した。表2から明らかなように、本発明の錠剤は比較例に比べ高い光沢が得られている。
Figure 2008201713
実施例19
L-システイン(協和醗酵製)2.4kg、アスコルビン酸(BASFジャパン製)1.5kg、塩酸ピリドキシン(第一ファインケミカル製)1.5kg、ニコチン酸アミド(DSMニュートリショナル製)1.2kg、リン酸リボフラビンナトリウム(岩城製薬製)1.14kg、硝酸チアミン(武田薬品製)300g、ビオチン(サンケミカル製)3g、トウモロコシデンプン(サンエイ糖化製)30g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製)2.547kg、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製)1.2kg、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業製)660g、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業製)60g、タルク(キハラ化成製)60g、を用いて、常法により打錠用粉末を製し、得られた混合末をロータリー式打錠機で9mmφの臼杵にて、1錠当たりの質量210mgとなるように打錠し、素錠を得た。つぎに、この素錠3kgをコーティング機(ハイコーターHCT-48、フロイント産業)に入れ、20質量%のオパドライAMBホワイト(ポリビニルアルコールのプレミックス:日本カラコン製)を含有する精製水のコーティング液を用いて、1錠当りの質量増が7mgになるまでアンダーコーティングを行ない、次いで、8質量%のパントテン酸カルシウム(アルプス薬品工業製)、8質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC-5信越化学工業製)を含有するエチルアルコール:精製水=1:1のコーティング液を用いて、1錠当りの質量増が20mgになるまでアンダーコーティングを行ない、1錠237mgのアンダーコーティングされたフィルムコーティング錠を得た。
次に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC-5RW:信越化学工業製)36g、マクロゴール6000(日本油脂製)21g、タルク(勝光山鉱業所;平均粒子径4.6μm、粒度45μmふるい残分0.1%、白色度93.6%)30g、酸化チタン(石原産業製)24gを精製水889gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。次いで、アンダーコーティングされたフィルムコーティング錠3kgをコーティング機(ハイコーターHCT-48、フロイント産業)に入れ、錠剤1錠当りの質量増が8mgとなるようにコーティングを行ない1錠当りの質量245mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ53.4μm:n=10の平均、画像解析法)を得た。
比較例6
実施例19で製した素錠3kgをコーティング機(ハイコーターHCT-48、フロイント産業)に入れ、実施例19と同様にして二重のアンダーコーティングを行ない、1錠237mgのアンダーコーティングされたフィルムコーティング錠を得た。続いて、実施例19で製した本発明組成物のコーティング液で、錠剤1錠当りの質量増が1mgとなるようにコーティングを行ない1錠当りの質量238mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ6.5μm)を得た。
実施例20
実施例19で製した素錠3kgをコーティング機(ハイコーターHCT-48、フロイント産業)に入れ、実施例19と同様にして二重のアンダーコーティングを行ない、1錠237mgのアンダーコーティングされたフィルムコーティング錠を得た。続いて、実施例19で製した本発明組成物のコーティング液で、錠剤1錠当りの質量増が3mgとなるようにコーティングを行ない1錠当りの質量240mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ20.7μm)を得た。
実施例21
実施例19で製した素錠3kgをコーティング機(ハイコーターHCT-48、フロイント産業)に入れ、実施例19と同様にして二重のアンダーコーティングを行ない、1錠237mgのアンダーコーティングされたフィルムコーティング錠を得た。続いて、実施例19で製した本発明組成物のコーティング液で、錠剤1錠当りの質量増が5mgとなるようにコーティングを行ない1錠当りの質量242mgの本発明のフィルムコーティング錠(皮膜厚さ32.9μm)を得た。
試験例2
実施例19〜21及び比較例6のフィルムコーティング錠の表面つやを試験例1と同様に5段階で評価し、その結果を表3に示した。表3から明らかなように、本発明の錠剤は比較例に比べ高い光沢が得られている。
Figure 2008201713

Claims (8)

  1. (A)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、(B)ポリエチレングリコール及び(C)タルクを含有し、成分(A)と(B)との質量比(A:B)が1:0.22〜1.25であり、且つ成分(A)と(C)との質量比(A:C)が1:0.8〜3.8であることを特徴とするフィルムコーティング用組成物。
  2. (A)ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が組成物の固形分全体の5〜80質量%である請求項1記載のフィルムコーティング用組成物。
  3. (A)ヒドロキシプロピルメチルセルロースのメトキシ置換度が、16.5〜30.0であり、ヒドロキシプロポキシ置換度が4.0〜32.0である請求項1又は2記載のフィルムコーティング用組成物。
  4. (B)ポリエチレングリコールの重量平均分子量が190〜42,000である請求項1〜3のいずれか1項記載のフィルムコーティング用組成物。
  5. (C)タルクの平均粒子径が0.1〜20μmであり、白色度が90以上である請求項1〜4のいずれか1項記載のフィルムコーティング用組成物。
  6. さらに、着色剤を含有する請求項1〜5のいずれか1項記載のフィルムコーティング用組成物。
  7. 着色剤の含有量が(A)ヒドロキシプロピルメチルセルロース1に対して、質量比で5以下である請求項6記載のフィルムコーティング用組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載の組成物により20μm〜200μmの厚さにフィルムコーティングされたフィルムコーティング製剤。
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