JP2008197523A - マイクロレンズ基板、そのマイクロレンズ基板を用いた液晶表示素子及び液晶プロジェクタ、並びにマイクロレンズ基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】無機材料層8は、ゾル‐ゲル法により形成された塗布膜8aが堆積法によって形成された堆積膜8bを間に挟んで積層されたものである。最上層は堆積膜8bであり、その表面はマイクロレンズアレイ6のレンズ形成面4とは反対側の面に平行な平坦面となっており、最上層の堆積膜8bの表面にブラックマトリックス12、透明電極14及び配向膜16が形成されている。
【選択図】図1
Description
例えば、透明なガラス基板上にフォトレジスト層を設け、これにフォトリソグラフィ法により円形状や楕円形状をパターニングし、パターニングされたフォトレジスト層をガラス転移点以上に加熱し、フォトレジスト層の熱流動と表面張力の作用で、フォトレジスト層の表面を凸球面形状に形成する。その後、フォトレジスト層と透明基板とに対してエッチングを行い、フォトレジスト層表面に存在する凸球面形状を、透明基板に彫り写すことにより、透明基板自体の表面形状として「凸球面の屈折面」を形成することが提案されている(特許文献1参照。)。このような方法で製造される光学デバイスは、例えば、マイクロレンズ、マイクロレンズアレイやレンチキュラーレンズアレイとして使用できる。
曲面を有するマイクロレンズアレイは、屈折率の異なる接着剤層と接合されているため光を有効に屈折させることが可能である。しかし、熱膨張係数の大きく異なる接着剤で張り合わされていたため、表示素子が高温度で使用される場合はマイクロレンズアレイと接着剤層との間に応力や歪が発生し、マイクロレンズ基板が変形し平面度が悪化する現象が発生した。
(1)表示画面内の段差発生。また、これを誘引とする液晶厚さの変化と色ムラが発生する。
(2)パネル平行度低下。また、これを誘引とするコントラストムラが発生する。
その結果、バラツキに伴う不良品の発生が避けられなかった。
マイクロレンズアレイのレンズ形成面上に無機材料層を形成しさらにその上面を平坦化するためには、無機材料層にある程度の厚みが必要である。堆積による方法のみである程度の厚みをもつ無機材料層を形成するには相当の時間を要し、コスト的に好ましくない。ゾル‐ゲル法を用いれば容易に膜厚の厚い無機材料層を形成することができ、堆積による方法よりもコスト的に有利である。
ゾル‐ゲル法では、ゾル溶液をゲル化(焼成)する際に塗布したゾル溶液が収縮することが知られており、その収縮によってゲル化後に形成された塗布膜の内部に応力が発生する。塗布膜の内部応力は、塗布膜の膜厚が厚いほど強大になる。ゾル‐ゲル法によって膜厚の厚い無機材料層を形成する場合は、一定膜厚の塗布膜を順に形成して積層していくことで塗布膜を厚膜化することが一般的である。この厚膜化工程において積層された塗布膜は一体化し、一層の厚い塗布膜となる。この状態で焼成を行なって塗布膜に収縮が起こると、塗布膜の内部応力は強大なものとなり、その内部応力が塗布膜の破断強度を超えるとクラックが発生する。無機材料層はマイクロレンズアレイのレンズ形成面を被うものであり製品の光学特性に大きく影響するため、無機材料層におけるクラックは光学素子としての致命的な欠陥となる。
本発明にかかるマイクロレンズ基板の製造方法は上記のマイクロレンズ基板を製造する方法である。すなわち本発明のマイクロレンズ基板の製造方法は、透明基板を加工してその透明基板と同一材料にて一体的に形成されたレンズ形成面を有するマイクロレンズアレイを形成し、形成した前記マイクロレンズアレイのレンズ形成面上に無機材料層を形成するマイクロレンズ基板の製造方法であって、以下の工程(a)〜(c)を少なくとも含んでいる。
(a)マイクロレンズアレイのレンズ形成面の表面に無機材料のゾル溶液を塗布し、そのゾル溶液をゲル化させて塗布膜を形成する工程、
(b)塗布膜上に堆積法により無機材料からなる堆積膜を形成する工程、及び
(c)堆積膜上に無機材料のゾル溶液を塗布し、そのゾル溶液をゲル化させて塗布膜をさらに形成する工程。
そこで、無機材料層の最上層に堆積膜を形成することが好ましい。そうすれば、全ての塗布膜の上面が他層との接合面となるため、発生する内部応力が均一化され、クラックの発生を防止することができる。
ここでの「微粒子」とは、その微粒子を含んだゾル溶液をゲル化することで形成する塗布膜の表面形状に影響を与えない程度の大きさのものである。そのような微粒子をゾル溶液に含ませることで、微粒子はゾル溶液のゲル化の際も収縮しないので、ゾル溶液全体の収縮率が低下し、ゲル化時のゾル溶液の内部応力が小さくなって、クラックが発生しにくくなる。
FHD法の先駆技術としてVAD(Vapor phase Axial Deposition:気相軸付け)法がある。両者の原理は同じである。FHD法は基板上に製膜する方法であり、VAD法は光ファイバー用のプリフォームとしてのガラス棒を製作する方法である。VAD法が初めに開発され、改良後に続いてFHD法が開発された。
VAD法は、工程が単純で、連続製造、大型プリフォームの製造が可能である特徴を有する。回転している石英棒の下方から光ファイバーの原料となるSiCl4、屈折率を制御するために必要なドーパントとしてGeCl4などをH2、O2ガスとともに吹き付け、酸水素バーナーにより火炎加水分解反応を起こさせる。これによりプリフォームを石英棒の軸のまわりに堆積させる。この棒を回転させながら上方に引き上げ、リング状ヒーターで加熱することにより多孔質プリフォームを透明ガラス化し、プリフォームを得る。このプリフォームを透明ガラス化する際は、SOCl2雰囲気中で加熱することにより水酸イオン(OH-)を十分に除去することが可能である。極めて低損失の光ファイバーを作ることが出来る。
FHD法は、VAD法と同様の原理によって基板材料上に石英の粉を堆積した後に、1500℃前後の熱処理により石英を透明化し、光導波路を形成する方法として開発された。光導波路用としては、コアとクラッドの屈折率差を得るためにコアにゲルマニウム単独、酸化チタン単独、又は燐とボロンの両方がドープされた石英を得ている。
被膜を形成する成分元素を基板表面で化学反応させて被膜を形成する方法である。
まず、熱CVD法について説明する。熱CVD法は、被膜材料を一旦気化しやすい化合物(ハロゲン化物、水素化物、有機金属化合物など)に変えて気化させ、適当なキャリアガスを用いて反応管へ導き、高温の基材表面での化学反応により被膜を析出させる方法である。
また、SiH4ガスを導入することでも同様にSiO2膜を成膜することが可能である。
成膜条件の一例を挙げると、Novellus社製CVD装置では、TEOS=0.20μm/分、SiH4=0.20〜0.60μm/分、Applied Materials社製PECVD装置では、SiH4=0.89μm/分である。
スパッタリング法は、加速された粒子が固体表面に衝突したとき、固体を構成する原子又は分子が空間に放出される現象を利用し、蒸着が困難な高融点材料や化合物でも容易に膜形成ができること、付着力が大きいこと、大面積化が容易であることなどの利点を備えているので広く利用されている。スパッタリング法による薄膜製作法には、直流二極スパッタリング、高周波スパッタリング、イオンビームスパッタリング、化成スパッタリングなどがある。
無機材料層を構成する各層は互いに屈折率が等しくなっていてもよいし、異なっていても良い。
屈折率が同じ複数層が積層される場合には、同じ材料を複数回積層する場合もあるし、屈折率は同じだが積層方法が異なる層を形成することも可能である。また、同じ材料を複数回積層する間に積層方法の異なる層を形成する場合も可能である。例えば、1層目と3層目等の奇数番目の層が塗布法で形成されるSiO2層で、その間に挟む2層目と4層目等の偶数層が堆積による方法によって形成される薄膜材料で形成された構成のものである。
屈折率の異なる複数層が積層された無機材料層を形成する1つの方法は、膜厚方向に対して、例えば2段階、3段階というように段階的に分けて材料成分濃度を変更して段階的屈折率分布をもたせる方法である。例えば、1層目と2層目がSiO2とTiO2の混合膜で、TiO2濃度が1層目よりも2層目の方が薄くなるように形成されたものであり、3層目がSiO2膜となっているような構成のものである。
また、膜厚方向に屈折率が徐々に変化する層構造は、膜厚方向に対して混合する材料成分を徐々に増加又は減少させるように濃度分布をもたせることによって形成することができる。
もちろん、無機材料層の屈折率は、マイクロレンズアレイ材料との屈折率の関係で決定されるものであり、マイクロレンズアレイ材料の屈折率が相対的に高い場合は、無機材料層の屈折率は低くてよい。屈折率が低い場合は、TiO2,Ta2O5などの単体又は複合材料、を混合しない場合もある。
そのような線膨張係数の差の小さいマイクロレンズアレイ材料と無機材料層材料の組合せの一例は、マイクロレンズアレイ材料が石英、耐熱性ガラス、光学ガラス等のガラスである場合、無機材料層材料としてはシリコン酸化物やシリコン酸化物と金属酸化物との混合物や、ニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウムなどの無機材料である。
図1は一実施例の液晶表示素子を示す図であり、(A)はその断面図、(B)は(A)の破線円Xで囲まれた部分の拡大図である。
対向基板18とアクティブマトリックス基板24とがシール材20によって封入された液晶層22を介して張り合わされて構成されている。アクティブマトリックス基板24は透明基板上に図示されていない絵素電極、スイッチング素子、バス配線等が形成されたものである。
マイクロレンズ基板10は、無機材料で構成され、一方の面がレンズ形成面となっており、その反対側の面が平坦面となっているマイクロレンズアレイ6と、マイクロレンズアレイ6のレンズ形成面(図では下面)を被うように形成された無機材料層8とで構成されている。
マイクロレンズ基板の製造方法の一実施例を説明する。
図2(a)に示すように、マイクロレンズアレイ材料として屈折率1.52のネオセラムガラスの平行平板基板2を用意し、その表面に熱可塑性材料層32としてフォトレジスト(商品名:OFPR800)をスピンコートした後、プリベークして厚さ10μmに形成した(パターニング後に行なう焼成後は8.9μmに変化した)。
スパッタ法を用いる方法として、例えばULVAC社製スパッタ装置にアルゴンガスを導入し、基板(マイクロレンズアレイ6)を150℃に加熱しながらプラズマ中で処理した。そうすることで、塗布膜8aの表面上にSiO2膜が生成した。この実施例では、SiO2膜を0.02μm/分の成膜速度で約10分間成膜した結果、0.2μmのSiO2膜8bが塗布膜8a上に成膜できた。
また、蒸着法用いる方法として、例えば昭和真空社製蒸着装置を用い、基板(マイクロレンズアレイ6)を150℃に加熱しながら成膜を行なうことで、塗布膜形成面の表面上にSiO2膜が生成した。この方法では、SiO2膜を0.015μm/分の成膜速度で約20分間成膜した結果、0.3μmのSiO2膜8bが塗布膜8a上に成膜できた。
2層の塗布膜8aを積層した例の断面図を図4(A),(B)に示す。この例では、無機材料層8の最上層の表面にマイクロレンズアレイ6のレンズ形成面の凸形状による「表面盛り上がり」があるため、CMP処理を施して平坦化している。(A)では、最上層である堆積膜8bを少し厚めに形成しておき、その表面を平坦化している。(B)では、最上層の堆積膜8bを形成する前に塗布膜8aの表面を平坦化している。
また、本実施例では、無機材料層8の最上層に堆積膜8bが形成されているが、最上層は塗布膜8aであってもよい。
マイクロレンズ基板の製造方法の他の実施例を説明する。
マイクロレンズアレイ材料として屈折率1.452の石英ガラスの平行平板基板2aを用意した。また、別途用意した凸形状型51(例えば、上記実施例1に示したマイクロレンズアレイ6)を用意し、その型51の表面に光硬化性樹脂55を塗布する。光硬化性樹脂55との付着強度を高めるためのシランカップリング剤処理を施した石英ガラス基板2aを樹脂55上から押し当てた後、紫外線を石英ガラス基板2a側から照射する(図5(a)を参照。)。
これをドライエッチング法によって石英ガラス基板2aに転写してマイクロレンズアレイ50とする(図5(c)を参照。)。このドライエッチングはECRエッチングにより行う。そのECRエッチングにおいて、選択比を1.1に設定したところ、石英ガラス基板2aの表面に、直径19.7μm、深さ11.2μmの凹球面4aを20μmピッチで形成することができた。
2層の塗布膜8cを積層した例の断面図を図7(A),(B)に示す。この例では、マイクロレンズアレイ6のレンズの凹形状外周部に形成された凸形状による「表面盛り上がり」があるため、CMP処理を施して平坦化している。(A)では、最上層である堆積膜8dを少し厚めに形成しておき、その表面を平坦化している。(B)では、最上層の堆積膜8dを形成する前に塗布膜8cの表面を平坦化している。
また、本実施例では、無機材料層8の最上層に堆積膜8bが形成されているが、最上層は塗布膜8cであってもよい。
117はメタルハライドランプ等の白色光源であり、その白色光源117の照射光でUV−IRフィルタ118を透過した光を赤、緑、及び青の三原色に分離するために、その照射光の光軸上にダイクロイックミラー119aと119bが配置されている。ダイクロイックミラー119aは青色光を反射しそれより長波長の光を透過させる特性をもつものであり、ダイクロイックミラー119bは緑色光を反射しそれより長波長の光を透過させる特性をもつものである。
6,6a マイクロレンズアレイ
8,8’ 無機材料層
8a,8c 塗布膜
8b,8d 堆積膜
10 マイクロレンズ基板
12 ブラックマトリックス
14 透明電極
16 配向膜
18 対向基板
22 液晶層
24 アクティブマトリックス基板
117 白色光源
119a,119b,123a,123b ダイクロイックミラー
121a,121b,123c 液晶表示素子
124 投影レンズ
Claims (15)
- 無機材料からなる透明基板の表面にその透明基板と同一材料にて一体的に形成されたレンズ形成面を有するマイクロレンズアレイと、前記レンズ形成面上に形成され、前記マイクロレンズアレイとは異なる屈折率をもち、上面が平坦化された無機材料層と、で構成されたマイクロレンズ基板において、
前記無機材料層は堆積膜を間に挟んで積層された2層以上の塗布膜を含んでいることを特徴とするマイクロレンズ基板。 - 前記無機材料層は最上層に堆積膜を備えている請求項1に記載のマイクロレンズ基板。
- 前記マイクロレンズアレイ材料はガラスであり、前記塗布膜及び堆積膜はシリコン酸化物又はシリコン酸化物と他の金属酸化物との混合物により構成されている請求項1又は2に記載のマイクロレンズ基板。
- 少なくとも1つの前記塗布膜は、該塗布膜を構成する無機材料と屈折率が等しく、該塗布膜の膜厚よりも小さい直径をもつ微粒子を含む請求項1から3のいずれか一項に記載のマイクロレンズ基板。
- 互いに接する少なくとも一組の前記塗布膜と堆積膜は屈折率が異なっている請求項1から4のいずれか一項に記載のマイクロレンズ基板。
- 互いに接する少なくとも一組の前記塗布膜と堆積膜は屈折率が等しい請求項1から4のいずれか一項に記載のマイクロレンズ基板。
- 前記塗布膜及び堆積膜の線膨張係数と前記マイクロレンズアレイの線膨張係数との差は10倍以内である請求項1から6のいずれか一項に記載のマイクロレンズ基板。
- 前記マイクロレンズアレイの前記レンズ形成面のレンズは凸面状又は凹面状に形成され、その形状は球面もしくは非球面からなる曲面又は円錐形状である請求項1から7のいずれか一項に記載のマイクロレンズ基板。
- アクティブマトリックス基板と対向基板とが液晶層を介して張り合わされて構成された液晶表示素子において、
前記対向基板は請求項1から8のいずれか一項に記載のマイクロレンズ基板の無機材料層の平坦化された表面に配向膜及び透明電極層が形成されたものであり、配向膜と透明電極層が液晶層に接するように配置されていることを特徴とする液晶表示素子。 - 光源からの光を3原色の光に分離し、再び同一の光路上でそれらの3原色の光を合成する光学系と、その合成された光の光軸上に配置された投影レンズと、前記3原色の光の光軸上にそれぞれ配置された液晶表示素子とを備えた液晶プロジェクタにおいて、
前記液晶表示素子として請求項9に記載の液晶表示素子を用いたことを特徴とする液晶プロジェクタ。 - 透明基板を加工してその透明基板と同一材料にて一体的に形成されたレンズ形成面を有するマイクロレンズアレイを形成し、形成した前記マイクロレンズアレイのレンズ形成面上に無機材料層を形成するマイクロレンズ基板の製造方法において、以下の工程(a)〜(c)を少なくとも含むことを特徴とするマイクロレンズ基板の製造方法。
(a)前記マイクロレンズアレイのレンズ形成面の表面に無機材料のゾル溶液を塗布し、そのゾル溶液をゲル化させて塗布膜を形成する工程、
(b)前記塗布膜上に堆積法により無機材料からなる堆積膜を形成する工程、及び
(c)前記堆積膜上に無機材料のゾル溶液を塗布し、そのゾル溶液をゲル化させて塗布膜をさらに形成する工程。 - 前記工程(b)及び(c)を複数回繰り返す請求項11に記載のマイクロレンズ基板の製造方法。
- 前記無機材料層の最上層として堆積膜を形成する請求項11又は12に記載のマイクロレンズ基板の製造方法。
- 前記工程(a)又は(c)において用いるゾル溶液は、その工程で形成する塗布膜の膜厚よりも小さい直径をもち、かつ該塗布膜と屈折率の等しい微粒子を含んだものである請求項11から13のいずれか一項に記載のマイクロレンズ基板の製造方法。
- 前記堆積法は、火焔堆積法、化学気相成長法、スパッタリング法及び蒸着法のいずれかの方法である請求項11から14のいずれか一項に記載のマイクロレンズ基板の製造方法。
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