JP2008195775A - ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリエステルを製膜してなるフィルムであって、ポリエステルがジカルボン酸成分としてテレフタル酸を含有し、ジオール成分として1,6−ヘキサンジオールとエチレングリコールとを含有し、全ジオール成分の50モル%以上が1,6−ヘキサンジオールであり、融点が100〜150℃であり、DSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線が下記式(1)を満足するポリエステルを製膜してなるフィルム。
b/a≧0.02mW/mg・℃ ・・・ (1)
【選択図】 なし
Description
近年、リサイクル可能という観点から、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の他素材が使用されていた用途まで、ポリエステルが使われるようになってきている。
そこで、これらのポリエステルには、種々の共重合成分を共重合したポリエステルを用いることが試みられている。例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステルは、耐熱性や耐衝撃性が良好であることから、成形用途においては幅広く用いられている。しかし、このような共重合ポリエステルは、PETとは異なり非晶性であるため、PETフィルムのような延伸を行うことで強度やガスバリア性を高めることができないという問題があった。
ポリエステルを製膜してなるフィルムであって、ポリエステルがジカルボン酸成分としてテレフタル酸を含有し、ジオール成分として1,6−ヘキサンジオールとエチレングリコールとを含有し、全ジオール成分の50モル%以上が1,6−ヘキサンジオールであり、融点が100〜150℃であり、DSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線が下記式(1)を満足するポリエステルを製膜してなるフィルム。
b/a≧0.02mW/mg・℃ ・・・ (1)
(aは、降温結晶化を示すDSC曲線における傾きが最大である接線とベースラインとの交点の温度A1(℃)と、傾きが最小である接線とベースラインとの交点の温度A2(℃)との差(A1−A2)であり、bは、ピークトップ温度におけるベースラインの熱量B1(mW)とピークトップの熱量B2(mW)との差(B1−B2)を試料量(mg)で割った値である。)
本発明において、ポリエステルは、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸(以下、TPAと略す。)を、またジオール成分として1,6−ヘキサンジオール(以下、HDと略す。)とエチレングリコール(以下、EGと略す。)とを主成分とすることが必要である。また、HDは、全ジオール成分に対し、50モル%以上含まれていることが必要であり、60〜95モル%含まれていることが好ましい。HDが50モル%未満の場合、融点が本発明で規定した範囲を超えるため好ましくない。また、HDやEG以外のジオール成分を主成分として用いると、融点やb/aが本発明で規定する範囲から外れるため好ましくない。
上記b/aは、DSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線より求められる。図1に示したように、aは、降温結晶化を示すDSC曲線における傾きが最大である接線とベースラインとの交点の温度A1(℃)と、傾きが最小である接線とベースラインとの交点の温度A2(℃)との差(A1−A2)であり、bは、ピークトップ温度におけるベースラインの熱量B1(mW)とピークトップの熱量B2(mW)との差(B1−B2)を試料量(mg)で割った値である。
b/aは、降温時の結晶性を表す指標であり、b/aの値が高いと結晶化速度が速く、逆に0に近いほど、結晶化速度が遅いことを示している。b/aが0.02mW/mg・℃未満の場合、結晶化速度が遅いため、ポリエステルのチップ化や貯蔵・運搬、および乾燥工程においてもブロッキングが生じやすくなるといった問題が生じるため好ましくない。また製膜時に、延伸ができず、フィルムの強度が低く、あるいは、ガスバリア性が不十分となるため、好ましくない。
上記b/aは、ポリエステルの共重合組成を調節することにより、本発明で規定する範囲に設定することができる。
この重縮合反応は、触媒存在下で行われ、触媒としては従来一般に用いられているアンチモン、ゲルマニウム、スズ、チタン、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マンガンおよびコバルト等の金属化合物のほか、スルホサリチル酸、o−スルホ安息香酸無水物等の有機スルホン酸化合物が用いられる。触媒の添加量としては、ポリエステルの繰り返し単位1molに対し、通常0.1×10−4〜100×10−4mol、好ましくは0.5×10−4〜50×10−4mol、最適には1×10−4〜10×10−4molが適当である。
また各種添加剤についても本発明を損なわない範囲で使用することができ、粉体またはジオールスラリー等の形態で、ポリエステルを製造する際の任意の段階で添加すればよい。例えば、エステル化またはエステル交換反応時に添加してもよいし、重縮合反応の段階で添加してもよい。
上記重縮合反応において、ポリエステルが所定の極限粘度に到達したら反応を終了し、ポリエステルをストランド状に払い出して、冷却カットすることによりチップ化する。
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、試料濃度0.5質量%、温度20℃の条件下で常法に基づき測定した。
パーキンエルマー社製示差走査型熱量計Diamond DSCを用いて、窒素気流中、温度範囲−20℃〜250℃、昇温(降温)速度20℃/minで測定し、得られたDSC曲線より、融点とb/aを求めた。
ポリエステルを重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比 1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA−400型NMR装置にて1H−NMRを測定し、得られたチャートの各共重合成分のプロトンのピークの積分強度から求めた。
(d−1)チップ化
重合したポリエステルをAUTOMATIK社製USG−600型カッターでチップ化する際、フィードローラーまたはカッターブレードへのポリエステルの巻き付きやストランド間の密着による連チップの発生等により、カッターの運転を中断した場合を×、融着等の問題は生じながらも、カッターの運転を中断することなくチップ化できた場合を○とし、○を合格とした。
(d−2)チップのブロッキング
チップの貯蔵・運搬および乾燥工程で、手で触れても崩れないブロック状物や壁面への融着物が生じた場合を×、ブロック状の塊や壁面への付着物があるものの、手で触れたり、ハンマー等により壁面へ衝撃を加えることによりそれらが解消される程度である場合を○とし、○を合格とした。
ASTM−D882に準じて、幅10mm、長さ10cmの試験片を用いて測定を行った。なお、フィルムの機械方向(MD)及びその直角方向(TD)にそれぞれ各10枚の試験片を採取して測定し、200MPa以上を合格(○)、200MPa未満を不合格(×)とした。
PETオリゴマーの存在するエステル化反応缶に、TPAとEG(モル比1/1.6)のスラリーを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.2MPaの条件で反応させ、滞留時間を8時間として、エステル化反応率95%のPETオリゴマーを連続的に得た。
このPETオリゴマー40kgを重縮合反応缶に移送し、HD28kgを重縮合反応缶に投入し、温度240℃、常圧下で1時間攪拌した。ついで、重縮合触媒としてテトラブチルチタネートを4質量%EG液として1.0kg重縮合反応缶に投入した後、反応器内の圧力を徐々に減じ、70分後に1.2hPa以下にした。この条件下で撹拌しながら重縮合反応を約3時間行い、常法によりストランド状に払出し、チップ化した。
得られたポリエステルチップを乾燥後、押し出し機に供給して180℃で溶融しT型口金よりシート状に押し出し、冷却固化せしめ未延伸フィルムを得た。次いで、未延伸フィルムを70℃に予熱した後、90℃で縦、横方向に各々3.3倍延伸して、厚さ12μmの二軸延伸フィルムを得た。
HDの投入量を変更したこと以外は実施例1と同様にして実施した。
重縮合反応缶へのPETオリゴマーの投入量を24kgへ変更し、イソフタル酸(IPA)を15kg、EGを10kg、投入したこと以外は実施例1と同様にして実施した。
比較例1では、HDが少ないため融点が220℃と高く、180℃の製膜温度で製膜ができなかった。比較例2では、TPAが少なかったため融点がDSCでは確認できず、結晶性を有しておらず、チップ化が困難であり、ブロッキングが起きた。得られたフィルムは引張強度が低かった。
Claims (1)
- ポリエステルを製膜してなるフィルムであって、ポリエステルがジカルボン酸成分としてテレフタル酸を含有し、ジオール成分として1,6−ヘキサンジオールとエチレングリコールとを含有し、全ジオール成分の50モル%以上が1,6−ヘキサンジオールであり、融点が100〜150℃であり、DSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線が下記式(1)を満足するポリエステルを製膜してなるフィルム。
b/a≧0.02mW/mg・℃ ・・・ (1)
(aは、降温結晶化を示すDSC曲線における傾きが最大である接線とベースラインとの交点の温度A1(℃)と、傾きが最小である接線とベースラインとの交点の温度A2(℃)との差(A1−A2)であり、bは、ピークトップ温度におけるベースラインの熱量B1(mW)とピークトップの熱量B2(mW)との差(B1−B2)を試料量(mg)で割った値である。)
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JPS63178129A (ja) * | 1987-01-16 | 1988-07-22 | Teijin Ltd | 共重合ポリエステル |
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JPH1134046A (ja) * | 1997-07-15 | 1999-02-09 | Kuraray Co Ltd | ポリエステルペレットの製造方法 |
JP2008195774A (ja) * | 2007-02-09 | 2008-08-28 | Nippon Ester Co Ltd | ポリエステル成形品 |
JP2008248218A (ja) * | 2006-11-17 | 2008-10-16 | Nippon Ester Co Ltd | ポリエステル樹脂 |
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2007
- 2007-02-09 JP JP2007030662A patent/JP5006662B2/ja active Active
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