JP2006193547A - 改質ポリエチレンナフタレート樹脂組成物およびそれを用いたフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリマーの剛性向上を目的に共重合成分を導入しつつも、優れたハンドリング性と寸法安定性を有する改質されたポリエチレンナフタレート樹脂組成物およびフィルムの提供。
【解決手段】 3価以上の官能基を有する架橋成分が共重合されたポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)からなり、該架橋成分の割合が、PEN樹脂の繰り返し単位を基準として、0.01〜1モル%の範囲にあり、かつ有機酸アルカリ金属塩を、樹脂組成物の重量を基準として、アルカリ金属元素量で、5〜200ppm含有する改質ポリエチレンナフタレート樹脂組成物およびフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、剛性が向上されながらも、優れたハンドリング性や寸法安定性を有する改質ポリエチレンナフタレート樹脂組成物およびそれからなるフィルムに関する。
ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルはその優れた物理的、化学的特性の故に、今日、繊維、フィルムあるいは成型品などの用途で広く使用されている。その中でも、ポリエチレン−2,6-ナフタレート(PEN)は、ポリエチレンテレフタレート(PET)に比べ、分子鎖が剛直で、ガラス転移温度が高く、かつ融点も高いことから、優れた機械的特性、耐熱性、耐薬品性、低吸着性、ガスバリア性を有する。しかしながら、近年めざましい発展を遂げている磁気記録テープやパネルディスプレイ用フィルム,フレキシブル回路基盤においては、更に高度な機械強度や寸法安定性が要求されてきている。
このような要求に応えるため、PENの改質を目的に、例えばより剛直なジオール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノールをPENに共重合する方法(特許文献1)や、1分子内に3ヶ以上のエステル形成性官能基を有する化合物を共重合する方法(特許文献2、特許文献3)が提案されている。
しかしながら、これらの方法では、得られるポリマーの剛性は向上できるものの、重合反応性が低下したり、また結晶性が低下したりする。しかも、通常これらのポリマーは、細かく裁断されてチップ状態とし、それを乾燥してから製膜などの加工工程に供されるが、この乾燥などの際にチップ同士が融着し、取扱い性が損なわれ、さらに得られる製品が物性のバラツキの酷いものになってしまう。また、得られる製品に同じ熱固定処理を施しても、寸法安定性が乏しくなるという問題もある。この問題を解決するには、より多くの熱を掛けて結晶化を促進することが挙げられるが、このような対応は得られる製品がより多くの熱履歴を受けることになり、得られる製品が脆化したり、透明性や色相が悪化するという新たな問題を引き起こす。
以上のように、ポリマーの剛性向上を目的に共重合成分を導入すると、剛性は向上できるものの、重合反応性の低下や結晶性の低下によるハンドリング性の低下ならびに熱寸法安定性の低下が惹起され、本質的な解決はなされていなかった。
特開平1−201325号公報 特開平5−25258号公報 特開平5−25293号公報
本発明の目的は、ポリマーの剛性向上を目的に共重合成分を導入しつつも、優れたハンドリング性と寸法安定性を有する改質されたポリエチレンナフタレート樹脂組成物およびそれを用いた機械的特性と熱寸法安定性とを物性のバラツキや過度の熱固定処理を経ることなく具備するポリエチレンナフタレートフィルムの提供にある。
本発明によれば、本発明の目的は、3価以上の官能基を有する架橋成分が共重合されたポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)からなり、
該架橋成分の割合が、PEN樹脂の繰り返し単位を基準として、0.01〜1モル%の範囲にあり、かつ有機酸アルカリ金属塩を、樹脂組成物の重量を基準として、アルカリ金属元素量で、5〜200ppm含有することを特徴とする改質ポリエチレンナフタレート樹脂組成物およびそれを用いた改質ポリエチレンナフタレートフィルムによって達成される。
また、本発明によれば、本発明の好ましい態様として、架橋成分が芳香族多価カルボン酸であること、有機酸アルカリ金属塩が、コハク酸二ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、テレフタル酸モノメチルカリウム、ドデシル硫酸ナトリウムおよびナフタレンスルホン酸ナトリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種であること、1粒あたりの平均質量が20〜50mgの範囲にあるチップの状態にして、200℃の雰囲気下で5kg/cmの荷重を30分掛けたときの融着率(融着チップ/全チップ)が5質量%以下であることのいずれかを具備する改質ポリエチレンナフタレート樹脂組成物およびそれを用いた改質ポリエチレンナフタレートフィルムも提供される。
本発明のポリエチレンナフタレート樹脂組成物は、ポリマーの剛性向上を目的に架橋成分成分を共重合されていながら、優れた結晶性も有することから、剛直でありながら、優れたハンドリング性や寸法安定性を有する。そして、本発明の改質されたポリエチレンナフタレート樹脂組成物を用いることで、得られるポリエチレンナフタレートフィルムに、優れた機械的特性と熱寸法安定性とを得られるフィルムの品位を損なうことなく兼備させることもでき、その工業的価値はきわめて高い。
まず、本発明のポリエチレンナフタレート樹脂組成物について、詳述する。
本発明のポリエチレンナフタレート樹脂組成物は、3価以上の官能基を有する架橋成分が共重合されたポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(以下、PENと称することがある。)からなる。本発明の特徴の一つは、架橋成分が、PENの分子鎖中に共重合させれていることにあり、これによりPENのもつ剛直性をさらに向上させることができる。
本発明における架橋成分としては、3価以上の多官能性を有する芳香族化合物、脂肪族化合物、脂環式化合物あるいはポリアルキレングリコールなどが挙げられる。具体的な3価以上の多官能性を有する芳香族化合物としては、ヘミメリット酸、トリメシン酸、トリメリット酸、プレニト酸、メロファン酸、ピロメリット酸、ビフェニル−3,3´,4,4´−テトラカルボン酸、ベンゾフェノン−3,3´,4,4´−テトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸が挙げられる。また、具体的な3価以上の多官能性を有するポリアルキレングリコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、1,3,5−トリメチロールベンゼン、1,3,5−トリエチロールベンゼン、1,3,5−トリブチロールベンゼン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、2,2,6,6−テトラメチロールシクロヘキサノールなどの多価アルコールが挙げられる。これらの中でも、剛直な分子骨格を有しかつ精製し易いことから、芳香族多価カルボン酸が好ましく、特にトリメリット酸やピロメリット酸が好ましい。なお、トリメリット酸やピロメリット酸は、その無水物を原料として使用するのが好ましい。
該架橋成分の割合は、PEN樹脂の繰り返し単位を基準として、0.01〜1モル%の範囲にあることが必要であり、0.03〜0.7モル%、さらに0.05〜0.5モル%の範囲にあることが好ましい。架橋成分の割合が上記範囲内にあると、PEN樹脂の剛性を向上させつつ、取扱い性や寸法安定性などの効果が発現しやすくなる。
本発明のさらなる特徴は、上記架橋成分のほかに、さらにアルカリ金属化合物を併用させることにある。本発明におけるアルカリ金属化合物としては、少量でありながら結晶性をより高められることから、有機酸金属塩が好ましい。また、有機酸金属塩の中でも、さらに結晶性をより高められることから、コハク酸二Na,安息香酸Na,酢酸Na,酢酸K,テレフタル酸モノメチルK,ドデシル硫酸Na、ナフタレンスルホン酸Naが好ましく、特に安息香酸Na,酢酸Na,酢酸Kが好ましい。また、異物としての析出が少ないことから酢酸ナトリウム,酢酸Kが、更に色相の観点から酢酸Naが特に好ましい。
本発明の改質PEN樹脂組成物は、上述のアルカリ金属化合物の存在により、架橋成分による結晶性の低下は補われ、樹脂組成物の取扱い性を向上させつつ、熱寸法安定性を向上させることができる。しかも、驚くべきことに、取扱い性が向上し、成形品の物性の均一性が向上したためか、ヤング率などの剛性までも向上することが確認された。この点において、架橋成分とアルカリ金属化合物とは、単なる付加的な効果を生み出すものではなく、有機的に結合して驚くべき効果を生み出すと言える。
本発明における有機酸アルカリ金属塩の割合は、PEN樹脂組成物の重量を基準として、アルカリ金属元素換算で、5〜200ppmの範囲にあることが必要であり、10〜150ppmの範囲、さらに40〜120ppmの範囲にあることが好ましい。添加量が下限未満であると、結晶核剤としての作用が不十分であり、一方上限を超えて添加しても、結晶性の向上効果は飽和してしまう。
本発明におけるPENは、エチレン−2,6−ナフタレートを主たる繰り返し単位とするものであり、例えばエチレングリコールと2,6−ナフタレンジカルボン酸の低級アルキルエステルとを、エステル交換反応させ、その後重縮合反応させることで製造できる。ここでいう主たる繰り返し単位とするとは、好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上がエチレン−2,6−ナフタレートであることを意味する。エチレン−2,6−ナフタレート以外の共重合成分は、ジカルボン酸成分として例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5−ナトリウムジカルボン酸を、またグリコール成分として例えば、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどを挙げることができる。なお、これらの共重合成分は1種のみでなく2種以上を併用してもよい。架橋成分やアルカリ金属化合物の添加時期は、重縮合反応が終了する前ならいつでも良いが、好ましくはエステル交換反応時に反応系に添加されていることが好ましい。
また、本発明におけるPENは、重合度をあげることが必要な場合、引き続いて固相重合を行なってもよい。なお、通常固相重合は、PEN樹脂組成物をチップ状態にして、減圧下で加熱することによって行なわれるので、この固相重合でもチップが融着してしまうことがある。しかし、本発明の改質PEN樹脂組成物は、前述の通り融着が起こりにくいことから、架橋成分を共重合していながら固相重合も好適に行なうことができる。
本発明のPEN樹脂組成物は、オルトクロロフェノールを溶媒として35℃で測定したときの固有粘度が0.50以上、さらに0.55以上、特に0.60以上であることが好ましい。また、該固有粘度の上限は特に限定されないが、過度に高くなると押出し時に厚みの均一性が損なわれやすくなるため1.0未満が好ましい。また、固相重合を行なう場合は、0.65以上、さらに0.70以上、特に0.75以上であることが好ましい。
本発明の改質PEN樹脂組成物は、成形品の取扱い性などを考慮し、本発明の効果を阻害しない範囲であれば無機粒子や有機粒子などの不活性粒子、その他の各種添加剤、例えば可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤などを添加しても良い。また、PEN以外のポリマーを少量、例えば20重量%以下、好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下の範囲で混合しても良い。
上記無機粒子の具体例としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタンなどの酸化物、カオリン、クレー、タルク、モンモリロナイトなどの複合酸化物、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩、チタン酸バリウム、チタン酸カリウムなどのチタン酸塩、リン酸第3カルシウム、リン酸第2カルシウム、リン酸第1カルシウムナなどのリン酸塩などを挙げることができる。また、上記有機粒子の具体例としては、ポリスチレン粒子、架橋ポリスチレン粒子、スチレン・アクリル系粒子、アクリル系架橋粒子、スチレン・メタクリル系粒子及びメタクリル系架橋粒子などのビニル系粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレンなどの粒子を挙げることができる。これらの不活性粒子は、用途、目的に応じて、1種だけなく、2種以上を併用してもよく、またその粒径、配合量、形状などは適宜調整される。好ましくは易滑性やフィルム表面に形成される突起の均一性から、形状は球形が好ましく、粒度分布は小さいものが好ましい。
本発明のPEN樹脂組成物は、1粒当たりの平均質量が20〜50mgの範囲にあるチップの状態で用いられることが好ましい。チップの一粒当たりの平均質量が、下限未満であると、有機酸アルカリ金属塩によって改善はされているものの、チップ間の融着が発生しやすくなり、一方上限を超えると、チップの搬送性が低下しやすくなる。好ましいチップの1粒当たりの平均質量は、25〜45mgである。
また、本発明のPEN樹脂組成物は、固相重合や乾燥処理などPEN樹脂組成物の結晶化を行なう処理がなされていない状態で、200℃の雰囲気下で1.15kg/cmの荷重を30分掛けたときの、チップ融着率(融着チップ/全チップ)が5質量%以下、さらに4質量%以下、特に3質量%以下であることが好ましい。チップ融着率が、上限以下にあることで、チップの取扱い性に優れ、均一な品位を有する製品が得られる。一方、チップ融着率が上限を超えると、例えば連続式の乾燥機や固相反応設備などの機器内でチップ同士あるいは壁面への融着が発生しやすくなったり、輸送不良が生じたり押出し機への噛み込み不良が発生し、結果として物性などに斑を有する製品となることがある。チップ融着率を上記範囲にするには、架橋成分や架橋成分以外の共重合成分の割合を少なくするとともに、含有される架橋成分や架橋成分以外の共重合成分の割合に応じて、有機酸アルカリ金属塩の割合を適宜調整すればよい。
次に本発明の改質ポリエチレンナフタレートフィルムについて、詳述する。
本発明の改質PENフィルムは、前述の改質PEN樹脂組成物からなり、特に断らない限り、前述の改質PEN樹脂組成物で説明したのと同様なことが言える。
本発明の改質PENフィルムは、架橋成分による剛性向上効果を発現し易いことから、二軸方向、すなわちフィルムの製膜方向(以下、長手方向または縦方向と称することがある。)とフィルムの幅方向(以下、横方向と称することがある。)とに延伸された二軸配向フィルムであることが好ましい。
本発明の改質PENフィルムは、長手方向および幅方向における熱収縮率の平均値が3%以下、さらに2%以下、特に1%以下であることが、磁気記録テープのベースフィルム、パネルディスプレイの部材、フレキシブル回路基盤のベースフィルムなど高度の寸法安定性が求められる用途に用いる点から好ましい。本発明の改質PENフィルムは、架橋成分が共重合されていながらも、有機酸アルカリ金属塩によって結晶性が向上されていることから、同じ熱固定処理ならより優れた寸法安定性を発現し、このような優れた寸法安定性を発現する。
さらに詳しく、本発明の改質PENフィルムを製造する方法について、二軸配向フィルムを例として、説明する。
まず、本発明の改質PEN樹脂組成物からなるチップを、ポリマーの結晶化温度以上で十分乾燥したのち、融点以上の温度で溶融しダイよりシート状に押出しキャスティングロール上で冷却、固化させて未延伸フィルムを得る。次にこの未延伸フィルムを製膜方向と幅方向に二軸延伸する。延伸方法としては、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法、あるいはこれらの方法で延伸されたフィルムを再度延伸する方法などがあげられ、それぞれ好適に用いることができる。特に、本発明の改質PENフィルムの剛性向上効果を発現し易いことから、最終的な面積延伸倍率(長手方向の延伸倍率×幅方向の延伸倍率)を6倍以上とすることが好ましい。また、本発明の改質PENフィルムに高度の寸法安定性を具備させる観点から、延伸後のフィルムに、150〜260℃の温度で1〜60秒の熱固定処理を行なうことがより好ましい。
以下、本発明の一例である実施例に基づいて更に具体的に説明する。なお、実施例中の各特性の測定および評価は、以下の通りである。なお、実施例中の「部」および「%」は、特に断らない限り、「質量部」および「質量%」を意味する。
(1)固有粘度(チップ、フィルム)
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した。なお、単位はdl/gである。
(2)アルカリ金属量
試料をオルトクロロフェノールに溶解後、0.5規定塩酸で抽出操作を行い、この抽出液を偏光ゼーマン原子吸光光度計を用いて、有機酸アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属元素量を定量した。
(3)架橋成分の定量
ポリエステルをメタノール分解する。分解物をクロロホルムに溶解し、その溶液を液体クロマトグラフィーにかけて、架橋成分の定量分析を行った。
(4)チップ融着率(%)
溶融状態のPEN樹脂組成物を縦2mm、横4mmの楕円断面を有するストランドとして押出し、水で冷却した後、長さ4mmにカットして、一粒あたりの平均質量30〜35mgのチップとする。このチップ100gを3cmのステンレス製円筒容器に均一に並べ、1.15kg/cmの荷重を掛けた状態で200℃ギアオーブン内にて30分間処理を行う。2ヶ以上のチップが融着しているものを融着チップとし、その融着チップの重量を測定し、下記式に従いチップ融着率を算出した。
チップ融着率(%)=[融着チップの重量(g)/100(g)]×100
(5)フィルム熱収縮率(%)
JIS C−2318に規定された方法に従い、フィルムの長手方向および幅方向に沿って長さ200mm、試料幅10mmの短冊状に切り出した。そして、短冊状に切り出した試料をギアオーブン内で200℃、10分間熱処理し、試料の長さを測定する。そして、下記式に従い熱収縮率を算出した。なお、短冊状に切り出した試料の測定方向は、長さ方向であり、フィルムの長手方向と幅方向について、それぞれ5回測定を繰り返し、それらの平均値を熱収縮率とした。
熱収縮率(%)=[(熱処理前の長さ−熱処理後の長さ)/熱処理前の長さ]×100
(6)フィルム弾性率(%)
フィルムの弾性率は、ASTM−D−882に規定された方法に従い、東洋ボールドウィン社製テンシロンを用いて、フィルムの長手方向と幅方向についてそれぞれ5回測定し、それらの平均値とした。
この弾性率は、剛性の指標となり、弾性率が高いものほど剛性が高いといえる。
[実施例1]
撹拌装置、精留塔、凝縮器を備えたエステル交換反応器に2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル66部とエチレングリコール34部、トリメリット酸無水物5.0部、酢酸マンガン0.04部,酢酸Na0.005部を供給した後、180℃〜240℃まで徐々に昇温しつつ、生成したメタノールを連続的に反応系外へ留出させながらエステル交換反応を行った。こうして得られた反応物に、リン酸トリメチル0.02部を添加し15分間反応させてから、三酸化アンチモン0.03部を添加し、さらに5分間反応させた。そして、引き続いてエチレングリコールを連続的に留出させながら300℃まで昇温しつつ0.2mmHgまで減圧して重縮合反応を行ない、固有粘度0.62のPEN樹脂組成物を得た。得られたPEN樹脂組成物は、全繰り返し成分に対し、トリメリット酸成分を0.08mol%含有していた。
得られたPEN樹脂組成物を、縦2mm、横4mmの楕円断面を有するストランドとして押出し、水で冷却した後、長さ4mmにカットして、一粒あたりの平均質量30〜35mgのPENチップとした。
得られたPENチップを、190℃で2時間乾燥後、溶融混練押出機に供給し、300℃まで加熱して溶融状態とし、ダイからしシート状に回転している冷却ドラム上に押出して、未延伸シートを得た。なお、乾燥後のPENチップは、ほとんど融着しておらず、その後の工程上の詰まりや押出し機内での噛み込み不良等は発生しなかった。
このようにして得られた未延伸シートを、190℃で製膜方向に3.5倍延伸し、ついで幅方向に190℃で3.0倍延伸した。この延伸工程において、フィルム破れは発生せず、良好な延伸性を有することが確認された。その後、得られた延伸フィルムに230℃で5秒間熱処理を行ない、厚さ200μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたPEN樹脂組成物および2軸延伸フィルムの特性を表1に示す。
[実施例2〜4、比較例1〜3]
架橋成分およびアルカリ金属化合物の種類および量を表1に示すように変更する以外は、実施例1と同様にしてPEN樹脂組成物、PENチップおよびPENフィルムを得た。
Figure 2006193547
なお、表1中の、TMAはトリメリット酸、PMAはピロメリット酸を意味する。
本発明の改質PEN樹脂組成物は架橋成分を導入しても、チップでの融着が発生しにくく、成形性,ハンドリング性に優れ、しかも成形したときに優れた寸法安定性を有するフィルム用の樹脂組成物として好適に用いることができる。また、このような優れた特性を有する本発明のPENフィルムは、磁気記録媒体のベースフィルムやパネルディスプレイの各種部材、フレキシブル回路基盤のベースフィルムとして好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 3価以上の官能基を有する架橋成分が共重合されたポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)からなり、
    該架橋成分の割合が、PEN樹脂の繰り返し単位を基準として、0.01〜1モル%の範囲にあり、かつ
    有機酸アルカリ金属塩を、樹脂組成物の重量を基準として、アルカリ金属元素量で、5〜200ppm含有することを特徴とする改質ポリエチレンナフタレート樹脂組成物。
  2. 架橋成分が芳香族多価カルボン酸である請求項1記載の改質ポリエチレンナフタレート樹脂組成物。
  3. 有機酸アルカリ金属塩が、コハク酸二ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、テレフタル酸モノメチルカリウム、ドデシル硫酸ナトリウムおよびナフタレンスルホン酸ナトリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の改質ポリエチレンナフタレート樹脂組成物。
  4. 3価以上の官能基を有する架橋成分が共重合されたポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)からなり、
    該架橋成分の割合が、PEN樹脂の繰り返し単位を基準として、0.01〜1モル%の範囲にあり、かつアルカリ金属化合物を、フィルムの重量を基準として、アルカリ金属元素量で、5〜200ppm含有することを特徴とする改質ポリエチレンナフタレートフィルム。
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JP2014132087A (ja) * 2009-07-28 2014-07-17 Toray Ind Inc 高結晶性ポリエステル樹脂

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