JP2011168667A - 共重合ポリエステル、ポリエステル繊維およびその製造方法 - Google Patents

共重合ポリエステル、ポリエステル繊維およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリエチレンナフタレートの機械物性を向上し、高強度、高モジュラス、高寸法安定性、高耐熱性の共重合ポリエステルを提供することにある。
【解決手段】主たる繰り返し単位がエチレンナフタレートであるポリエステルであり、下記一般式(I)から選ばれる少なくとも1種類の分岐化合物をエチレンナフタレートの繰り返し単位に対して0.01〜500ミリモル%共重合していることを特徴とする共重合ポリエステルによって上記課題を解決することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は共重合ポリエステルに関する。さらに詳しくは、高強度・高モジュラス・高寸法安定性・高耐熱性を有する共重合ポリエステル及びそれよりなる繊維に関する。
ポリエチレンナフタレート(以下、PENと称することがある。)樹脂は強度、伸度、ヤング率若しくは弾性回復率等の機械的性質、耐熱性若しくは寸法安定性等の物理的性質、又は耐薬品性若しくは耐水性等の化学的性質が優れ、安価であるために工業的に大きな価値を有していることは良く知られており、例えば、繊維、樹脂成形品、及びフィルム等で多く用いられている。PENの強度、モジュラス、寸法安定性・耐熱性といった機械特性を向上することによって、高性能化を目指した検討が行われている。
20〜200℃の温度領域における貯蔵弾性率に注目した場合、PENはポリエチレンテレフタレート(PET)と比較した際、常に高い貯蔵弾性率を示す。ただし、20〜60℃の間でモジュラス低下率が高いことが指摘されている(例えば、非特許文献1参照。)。PENは高い耐熱性を有する素材であるが、この耐熱性をさらに向上することができれば、熱への耐久性を要求されるタイヤやゴム、FRTPの補強用途といった使用目的において、さらなる高性能化を実現できるものと期待されている。
C. J. M. van den Heuvel, , a and E. A. Klopb. Polymer Volume 41, Issue 11, May 2000, Pages 4249−4266
本発明は上記問題点に注目してなされたものであり、分子内に分岐鎖を有する分岐化合物を微小量共重合することにより、ポリエチレンナフタレートの機械物性を向上し、高強度、高モジュラス、高寸法安定性、高耐熱性の共重合ポリエステルを提供すること、特に80℃の高温下でも弾性率が高い繊維を得る共重合ポリエステルを提供することにある。
本発明者らは、前記本発明の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、分岐化合物を少量共重合することにより、機械物性を改善した共重合ポリエステルを得られることを見出した。すなわち本発明は主たる繰り返し単位がエチレンナフタレートであるポリエステルであり、下記一般式(I)から選ばれる少なくとも1種類の分岐化合物をエチレンナフタレートの繰り返し単位に対して0.01〜500ミリモル%共重合していることを特徴とする共重合ポリエステルである。
Figure 2011168667
[上記式中、Rは炭化水素残基であり、Xはヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基又は酸ハライド基を示し、nは3〜4の整数を示す。上記式中に3〜4個存在するXの官能基は、それぞれ同一若しくは異なっていてもよい。]
かくして本発明によれば、主たる繰り返し単位がポリエチレンナフタレートである共重合ポリエステルにおいて、強度・高モジュラスをはじめとする機械物性を向上させ、特に常温よりも高い80℃雰囲気下であっても高モジュラスな繊維を得ることができる。
以下本発明を詳しく説明する。
本発明のポリエステルとは主たる繰り返し単位がエチレンナフタレート、すなわちジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールを用いたポリエステルを示している。主たる繰り返し単位とはポリエステルを構成する全繰り返し単位のうち70モル%以上がエチレンナフタレート単位であることを表す。より好ましくは80モル%以上である。最も好ましくは90モル%以上である。なおエチレンナフタレートとしては、本発明の目的を阻害しない範囲内、例えば5モル%以下の範囲内で2,7−エチレンナフタレート単位又は1,5−エチレンナフタレート単位を共重合させても良い。
本発明のポリエステルには、全ジカルボン酸成分の30モル%未満の範囲で共重合成分を共重合することが可能である。共重合可能なジカルボン酸成分としてはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、3,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;グリコール酸、p−オキシ安息香酸等のオキシ酸等があげられる。
本発明のポリエステルには、全グリコール成分の30モル%未満の範囲で他のジオール成分が共重合されることが可能である。共重合可能なジオール成分として、トリメチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ヘプタメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、2、2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等のジオールが挙げられる。
上記のようなジカルボン酸成分及び/又はグリコール成分の共重合量が30モル%を超える場合、ポリエチレンナフタレート本来の物性、例えば強度、モジュラス、ヤング率、寸法安定性などが劣ることがある。そのため、共重合量はポリエステルに対し、好ましくは、20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。更に、本発明の共重合ポリエステルはこれら共重合成分を2種類以上組み合わせて使用しても構わない。
本発明のポリエステルは、下記一般式(I)から選ばれる少なくとも1種類の分岐化合物をエチレンナフタレートの繰り返し単位に対して0.01〜500ミリモル%共重合される。
Figure 2011168667
[上記式中、Rは炭化水素残基であり、Xはヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基又は酸ハライド基を示し、nは3〜4の整数を示す。上記式中に3〜4個存在するXの官能基は、それぞれ同一若しくは異なっていてもよい。]
式(I)における官能基Xとは、ポリエステルを構成するヒドロキシル基、カルボキシル基と反応する化合物を意味する。かかるポリエステルを構成するヒドロキシル基、カルボキシル基と反応しうる官能基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基又は酸ハライド基であり、より具体的には下記官能基を例示することができる。
−OH、−COOH、−COCl、−COBr、−COI、−COOMe、COOEt、COOPh、−OAc[−O(C=O)CH]、−O(C=O)CHCH
またRは炭化水素残基を表しており、具体的には炭素数6〜20個までの芳香族炭化水素基、炭素数2〜10個までの脂肪族炭化水素基を示すことができる。この炭化水素基を構成する1又は2以上の水素原子がハロゲン原子に置き換わっていても良い。このような分岐化合物として、好適には、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミメリット酸、グリセリン、ペンタエリスリトール、クエン酸を好ましく例示することができ、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミメリット酸、グリセリン、ペンタエリスリトール及びクエン酸からなる群より1種選ばれる化合物であることが好ましい。
分岐化合物の共重合量が0.01ミリモル%以下の場合、高温条件にけるポリエステル繊維のモジュラスの維持率が低く、得られる繊維の耐熱性は不十分となる。また500ミリモル%以上の場合、紡糸において大量の毛羽の発生が発生する、断糸が発生するなど、工程への悪影響が見られ、好ましくない。分岐化合物の共重合量として、好ましくは0.1〜250ミリモル%、さらに好ましくは0.5〜100ミリモル%である。
本発明に用いるポリエステルの重合度は好ましくは、固有粘度(共重合ポリエステルチップをフェノール/テトラクロロエタン=6/4(重量比)混合溶媒に溶解した希薄溶液を、35℃でオストワルド型粘度計を用いて測定した値)は、0.10〜2.00dL/g、より好ましくは0.30〜1.50dL/g、さらに好ましくは0.40〜1.30dL/gの範囲である。
以下、本発明の共重合ポリエステルの製造方法について述べる。本発明に用いる共重合ポリエステルを製造する際には、ジエチレングリコールの生成を抑制するため、必要に応じて塩基成分を加えることができる。その塩基成分としては、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸カリウムをはじめとする有機酸アルキル金属塩、又はトリエチルアミンをはじめとするアミン化合物、水酸化テトラエチルアンモニウムをはじめとするアンモニウム系化合物を例示することができる。
本発明の共重合ポリエステルを芳香族ジカルボン酸低級ジエステルとグリコールを原料とするいわゆるエステル交換法により製造する場合には、エステル交換反応触媒を用いることが好ましい。エステル交換反応を利用した方法の場合に用いるエステル交換触媒としては、特に限定はないが、一般的に用いられるマンガン、マグネシウム、チタン、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、コバルト、ナトリウム、リチウム、鉛化合物を用いることができる。このような化合物としては、例えばマンガン、マグネシウム、チタン、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、コバルト、ナトリウム、リチウム、鉛の酸化物、酢酸塩、カルボン酸塩、水素化物、アルコラート、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩等を挙げることができる。中でも、ポリエステルの溶融安定性、色相、ポリエステル中の不溶異物の少なさ、紡糸の安定性の観点から、マンガン、マグネシウム、亜鉛、チタン、コバルト化合物が好ましく、さらにマンガン、マグネシウム、亜鉛化合物が好ましい。また、これらの化合物は二種以上を併用してもよい。
重合触媒については、アンチモン、チタン、ゲルマニウム、アルミニウム化合物が好ましい。このような化合物としては、例えばアンチモン、チタン、ゲルマニウム、アルミニウムの酸化物、酢酸塩、カルボン酸塩、水素化物、アルコラート、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩等を挙げることができる。また、これらの化合物は二種以上を併用してもよい。中でも、ポリエステルの重合活性、固相重合活性、溶融安定性、色相に優れ、かつ得られる繊維が高強度で、優れた製糸性、延伸性を有する点で、アンチモン化合物が特に好ましい。
本発明には、共重合ポリエステルを製造する任意の段階で、ポリエステルを構成する酸性分のモルに対して1〜500ミリモル%含むように、リン化合物を添加することができる。リン化合物としては、特に限定はないが、亜リン酸、リン酸、リン酸トリメチル、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、トリエチルホスホノアセテートなど、ポリエステルに使用される一般のリン化合物を挙げることが出来る。そのリン化合物の添加時期は、好ましくはポリエステルの製造工程において、エステル交換反応又はエステル化反応を開始当初から終了するまでであり、より好ましくはエステル交換反応又はエステル化反応を終了から重縮合反応工程の開始前である。
本発明に用いるポリエステルは必要に応じて、固相重合を実施することができる。すなわち液相重合反応にて固有粘度0.40〜0.70dL/gのポリエステルチップを製造した後、そのポリエステルチップを結晶化処理をした後、220〜260℃の温度及び真空下で0.70〜1.50dL/gの固有粘度を有するように固相重合することもできる。
本発明のポリエステル繊維を製造するためには、このようにして得られた共重合ポリエステルを溶融紡糸することによって得ることができる。より具体的には得られた共重合ポリエステルを十分に乾燥させた後、285〜335℃の温度にて溶融し、紡糸口金としてはキャピラリーを具備したものを用いて紡糸することができる。十分に乾燥させることにより上述のような固有粘度の共重合ポリエステルチップから固有粘度が0.6〜1.2dL/gであるポリエステル繊維を得ることができる。また、紡糸口金から吐出直後に溶融ポリエステル温度以上の加熱紡糸筒を通過することが好ましい。加熱紡糸筒の長さとしては10〜500mmであることが好ましい。紡糸口金から吐出された直後のポリエステルはすぐに配向しやすく、単糸切れを発生しやすいため、このように加熱紡糸筒をもちいて遅延冷却させることが好ましい。
加熱紡糸筒を通過した紡出糸条は、次いで30℃以下の冷風を吹き付けて冷却することが好ましい。さらには25℃以下の冷風であることが好ましい。次いで、冷却された糸状については、油剤を付与することが好ましい。また、このようにして溶融ポリエステルを紡糸口金から吐出し成形する場合、紡糸速度としては300〜6000m/分であることが好ましい。さらには本発明の製造方法における成形方法としては、紡糸後さらに延伸する方法が、高効率の生産が行える点から好ましい。
特に本発明のポリエステル繊維は、高速にて紡糸することが好ましく、紡糸速度としては2500m/分以上、好ましくは2500〜5500m/分であることが好ましい。この場合、延伸前に得られる繊維は部分配向糸となる。本発明では、上記の共重合された分岐化合物が配向結晶の核となり、配向結晶を促進していると推定される。すなわち、ポリエステル中にランダムに共重合された分岐化合物により、配向結晶化が促進され、紡糸欠点を低減することができたものと推定される。そして結果的には製糸性が大幅に向上することを見出したのである。
また延伸する条件としては、紡糸後に1.01〜10倍に延伸することが好ましい。このように紡糸後に延伸することによって、より高強度の延伸繊維を得ることが可能である。本発明のポリエステル繊維を得るための延伸方法としては、引取りローラーから一旦巻取って、いわゆる別延伸法で延伸してもよく、あるいは引取りローラーから連続的に延伸工程に未延伸糸を供給する、いわゆる直接延伸法で延伸しても構わない。また延伸条件としては1段ないし多段延伸であり、延伸負荷率としては60〜95%であることが好ましい。延伸負荷率とは繊維が実際に断糸する張力に対する、延伸を行う際の張力の比である。
延伸時の予熱温度としては、ポリエステル未延伸糸のガラス転移点の20℃低い温度以上、結晶化開始温度の20℃以上低い温度以下で行うことが好ましい。延伸倍率は紡糸速度に依存するが、破断延伸倍率に対し延伸負荷率60〜95%となる延伸倍率で延伸を行うことが好ましい。また、繊維の強度を維持し寸法安定性を向上させるためにも、延伸工程で170℃から繊維の融点以下の温度で熱セットを行うことが好ましい。さらには延神時の熱セット温度が170〜270℃の範囲であることが好ましい。本発明のポリエステル繊維においては、上記のような少なくとも1種の分岐化合物を共重合させ、上記のような溶融紡糸法、延伸法を採用することによって強度を5cN/dtexとすることができる。
本発明に用いる共重合ポリエステルは、機械的強度、寸法安定性、耐熱性を高めるために、補強剤としてフィラーを添加することが出来る。フィラーとしては、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、板状酸化鉄、板状炭酸カルシウム、板状ベーマイト又は針状ベーマイト、カーボンナノチューブ等を挙げることができる。
本発明に用いる共重合ポリエステルには必要に応じて、各種の添加剤、例えば、熱安定剤、消泡剤、整色剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、蛍光増白剤、可塑剤又は耐衝撃剤等の添加剤を共重合、又は混合してもよい。
本発明をさらに下記実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により限定されるものではない。また各種特性は下記の方法により測定した。
(ア)固有粘度(IV):
共重合ポリエステルチップをフェノール・テトラクロロエタン=6/4(重量比)混合溶媒に溶解した希薄溶液を、35℃でオストワルド型粘度計を用いて測定した。なお表1中[f]はポリエステル繊維の固有粘度であることを表す。
(イ)ジエチレングリコール含有量:
ヒドラジンヒドラート(抱水ヒドラジン)を用いて共重合ポリエステルチップを分解し、この分解生成物中のジエチレングリコールの含有量をガスクロマトグラフィ−(ヒューレットパッカード社製(HP6850型))を用いて測定した。
(ウ)貯蔵弾性率
オリエンテック社製「RHEOVIBRON DDV−25FP」を用い測定した。1500dtexに合糸したサンプル糸に、0.4g/dtexの初荷重を加え、0.04g/dtexの振幅、10Hzの周波数条件下のもと、10℃から5℃/分昇温しながら、測定を実施した。
(エ)モジュラス維持率
耐熱性の指標として、20℃および80℃に置ける貯蔵弾性率を元に、高温でのモジュラス維持率を定義した。
(モジュラス維持率)=(80℃での貯蔵弾性率)/(20℃での貯蔵弾性率)×100
(オ)繊維の強伸度
引張荷重測定器((株)島津製作所製オートグラフ)を用い、JIS L−1013に従って測定した。尚、中間荷伸は強度4cN/dtex時の伸度を表した。これを50点測定した平均値を求めた。
(カ)ポリエステル中の分岐化合物量の決定
ポリエステルサンプル、ポリエステル繊維を重水素化トリフルオロ酢酸/重水素化クロロホルム=1/1混合溶媒に溶解後、日本電子(株)製JEOL A−600 超伝導FT−NMRを用いて核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)を測定して、そのスペクトルパターンから常法に従って、各含有量を定量した。
[実施例1]
・共重合ポリエステルチップの製造
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100質量部とエチレングリコール50質量部との混合物に酢酸マンガン四水和物0.030質量部を撹拌機、精留塔及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、150℃から245℃まで徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを反応器外に留出させながら、エステル交換反応を行った。その後、リン酸トリメチル0.023質量部を添加し、エステル交換反応を終了させた。その後、ペンタエリスリトール0.0078質量部反応生成物に三酸化二アンチモン0.024質量部を添加して、撹拌装置、窒素導入口、減圧口及び蒸留装置を備えた反応容器に移し、305℃まで昇温させ、30Pa以下の高真空で縮合重合反応を行い、固有粘度0.65dL/g、ジエチレングリコール含有量が0.6質量%である共重合ポリエステルを得た。さらに常法に従いチップ化した。結果を表1に示した。
・ポリエステル繊維の製造
得られたポリエステルチップを、窒素雰囲気下160℃にて3時間の乾燥、予備結晶化し、さらに230℃真空下にて固相重合反応を行い、固有粘度0.75dL/gの共重合ポリエチレンナフタレートチップを得た。
この共重合ポリエステルを溶融温度300℃にて口径直径0.6mm、36孔数の紡糸口金より紡出し、口金直下に具備した長さ200mmの330℃に加熱した円筒状加熱帯を通じ、次いで吹き出し距離500mmの円筒状チムニーより20℃、65%RHに調整した冷却風を紡出糸条に吹き付けて冷却し、さらに脂肪族エステル化合物を主体成分とする油剤を、繊維の油剤付着量が0.5%となるように油剤付与したのち、表面温度50℃のローラーにて4500m/minの速度で引き取り、巻き取った。
巻き取った繊維を、引き続き、表面温度140℃の第一ローラーとの間で1.05倍の第一段延伸を行い、表面温度210℃の第2ローラー上に走行糸条を巻き付け0.2秒間の熱セットを施し、冷却ローラーに定長で引き取った後にm/minで巻き取り、ポリエステル繊維を得た。
得られた繊維は高強伸度を示し、かつ20℃から80℃へのモジュラスの低下が小さく、製糸性も良好であった。
[実施例2]
実施例1において、ペンタエリスリトール0.0078質量部の代わりに表1に示す化合物種、量に変更したこと以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示した。
[比較例1]
実施例1において、ペンタエリスリトールを添加しないこと以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示した。
[比較例2]
実施例1において、ペンタエリスリトール0.0078質量部の代わりに表1に示す化合物種、量に変更したこと以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示した。
Figure 2011168667
本発明によれば、高強度、高弾性率、高寸法安定性、高耐熱性を有するポリエステル繊維を提供することが可能となる。

Claims (5)

  1. 主たる繰り返し単位がエチレンナフタレートであるポリエステルであり、下記一般式(I)から選ばれる少なくとも1種類の分岐化合物をエチレンナフタレートの繰り返し単位に対して0.01〜500ミリモル%共重合していることを特徴とする共重合ポリエステル。
    Figure 2011168667
    [上記式中、Rは炭化水素残基であり、Xはヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基又は酸ハライド基を示し、nは3〜4の整数を示す。上記式中に3〜4個存在するXの官能基は、それぞれ同一若しくは異なっていてもよい。]
  2. 分岐化合物が、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミメリット酸、グリセリン、ペンタエリスリトール及びクエン酸からなる群より1種選ばれる化合物であることを特徴とする共重合ポリエステル。
  3. 請求項1または2記載の共重合ポリエステルを溶融紡糸して、得られることを特徴とするポリエステル繊維。
  4. 請求項3のポリエステル繊維であって、ポリエステル繊維の固有粘度が0.6〜1.2dL/g、強度が5cN/dtex以上であることを特徴とするポリエステル繊維。
  5. 主たる繰り返し単位がエチレンナフタレートであるポリエステルであり、下記一般式(I)から選ばれる少なくとも1種類の分岐化合物をエチレンナフタレートの繰り返し単位に対して0.01〜500ミリモル%共重合している共重合ポリエステルを紡糸速度2500m/分以上で巻き取ることを特徴とするポリエステル繊維の製造方法。
    Figure 2011168667
    [上記式中、Rは炭化水素残基であり、Xはヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基又は酸ハライド基を示し、nは3〜4の整数を示す。上記式中に3〜4個存在するXの官能基は、それぞれ同一若しくは異なっていてもよい。]
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