JP2007186662A - 熱収縮性ポリエステル系フィルム及び熱収縮性ラベル - Google Patents

熱収縮性ポリエステル系フィルム及び熱収縮性ラベル Download PDF

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Abstract

【課題】ボトルのフルラベル用の熱収縮性ポリエステル系フィルムであって、収縮によるシワ、収縮斑、歪みの発生が極めて少なく、印刷や加工を施さなくとも光線カット性を有する熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供すること。
【解決手段】熱収縮性ポリエステル系フィルムであって、前記熱収縮性ポリエステル系フィルムの全光線透過率が25%以下であり、印刷後フィルムの白色度が85%以上であり、印刷後フィルムの800nm波長光線透過率が5%未満であり、熱収縮率が、主収縮方向において、処理温度98℃・処理時間10秒で50〜80%であり、主収縮方向と直交する方向において、処理温度98℃・処理温度10秒で10%以下であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱収縮性ポリエステル系フィルムに関し、特にラベル用途に好適な熱収縮性ポリエステル系フィルムに関する。さらに詳しくは、ボトルのフルラベル用、特にペットボトルのフルラベル用であって、熱収縮によるシワ、収縮斑、歪みの発生が極めて少なく、収縮不足が発生しにくく、光線カット性を有する熱収縮性ポリエステル系フィルムに関する。
熱収縮性フィルム、特にボトルの胴部のラベル用の熱収縮性フィルムとしては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等からなるフィルムが主として用いられている。しかし、ポリ塩化ビニルについては、近年、廃棄時に焼却する際の塩素系ガス発生が問題となり、ポリエチレンについては、印刷が困難である等の問題がある。さらに、ペットボトルのリサイクルにあたっては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等のポリエチレンテレフタレート以外の樹脂のラベルは分別する必要がある。このため、これらの問題の無いポリエステル系の熱収縮性フィルムが注目を集めている。
また、近年、ペットボトルのリサイクルに関して着色ボトルは再生に不向きであることからその代案が検討されてきた。その中に無着色ボトルを使用し、印刷ラベルをボトル全体に収縮させる方法がある。また、ガラス瓶のリターナブル耐性を高める為に瓶の頭部から底部までラベルを収縮させる方法もある。
また、最近、容器の内容物の紫外線からの保護を目的として収縮ラベルを使用するケースが増えている。従来はポリ塩化ビニルの紫外線カットタイプ収縮フィルムが用いられてきたが、他素材の紫外線カットタイプの要求が強まっている。具体的なカット性は内容物によって異なるが、食品・飲料の場合、長波長領域の紫外線である360nm〜400nmの波長で内容物の変質や着色等が起こるため長波長領域、特に380nm及び400nmのカット性が重要である
しかし、ボトルのフルラベルとして使用する場合、ボトル形状が複雑でかつ多くの種類があるため、従来の熱収縮性フィルムでは収縮仕上り性において問題が発生する場合がある。特に飲料ボトル等で、飲み口部分が細く胴部との径の差が大きいボトルのフルラベルの場合、従来の熱収縮性フィルムはボトルの上部(頭部や首部)に収縮不足が発生する。このようなボトルのフルラベルに使用する熱収縮性フィルムは、高収縮率などの熱収縮特性が必要である(例えば特許文献1)。
特開2000−135737号公報
また、従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムにおいては、隠蔽性を付与したものはあるが(例えば特許文献2)上記のフルラベルとして使用出来る収縮率と長波長領域の紫外線カットを兼ね備えたものはなかった。
特公平7−33063号公報
特に、ボトルのフルラベルに光線カット性を付与することにより、他のラベルと比較して、より完全に近い形で内容物から光を遮断することができるため、内容物の変質防止効果が高い。ボトルのフルラベル用途の場合、これまでのポリエステル系熱収縮性フィルムでは性能が不十分であった。
本発明は、上記問題点を解決するものであり、その目的とするところは、ボトルのフルラベル用、特にペットボトルやガラス瓶の熱収縮性ポリエステル系フィルム及び熱収縮性ラベルであって、収縮不足が発生しにくく、特に収縮によるシワ、収縮斑、歪みの発生が極めて少ない上に、光線カット性に極めて優れ、高隠蔽性を有する熱収縮性ポリエステル系フィルム及び熱収縮性ラベルを提供することである。
本発明者は、前記従来技術の問題点を解消すべく鋭意研究した結果、熱収縮性ポリエステル系フィルムの熱収縮率、全光線透過率、白色度を特定範囲に制御することによって、目的が達成できることを見出し、これに基づき本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは全光線透過率が25%以下であり、下記の条件で該熱収縮性ポリエステル系フィルムの片面に手塗り印刷を施した際、印刷面と反対面側のフィルム白色度が85%以上であり、印刷フィルムの800nm波長の光線透過率が5%以下であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
<手塗り印刷条件>
東洋インキ製造(株)社製インキ(名称:シュリンクEX)墨色、白色、希釈溶媒を2:7:1の比率で混合したインキを12ミル(1ミルは0.0254mm)のマイヤーバーで塗布し、ドライヤーで室温にて乾燥させた。
この場合において、熱収縮率が、主収縮方向において、処理温度98℃・処理時間10秒で50〜80%であり、主収縮方向と直交する方向において、処理温度98℃・処理時間10秒で10%以下である熱収縮性ポリエステル系フィルムであり、このことにより課題が解決できる。
また、この場合において、酸化チタンを含有する層を少なくとも1層以上有することが好適である。さらにまた、この場合において、前記酸化チタンの含有量が、フィルム換算で0.1〜20.0質量%の範囲であることが好適である。
また、この場合において、ポリスチレン系樹脂を含有する層を少なくとも1層以上有することが好適である。さらにまた、この場合において、前記ポリスチレン系樹脂の含有量が、フィルム換算で1.0〜20.0質量%の範囲であることが好適である。
また、この場合において、厚み分布が6%以下であることが好適である。
また、この場合において、前記フィルムを用いて作成された熱収縮性ラベルがボトルに好適な用途である。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム及びラベルは、収縮不足が発生しにくく、特に収縮によるシワ、収縮斑、歪みの発生が極めて少ない上に、かつ、光線カット性に優れるのでボトルのフルラベル用、特にペットボトルやガラス瓶の用途に好適に用いることができる。
以下に本発明の実施の形態を具体的に説明する。
前記熱収縮性ポリエステル系フィルムは、以下のようにして得ることができる。
前記熱収縮性ポリエステル系フィルムは、以下のようにして得ることができる。ジカルボン酸成分と多価グリコール成分とで構成されるポリエステルを、押出機から溶融押出しシ、導電性冷却ロール(キャスティングロールなど)で冷却してフィルム化する(未延伸フィルム)。
なお前記押出しに際しては、共重合ポリエステルを単独で押出すか、又は複数のポリエステル(共重合ポリエステル、ホモポリエステルなど)を混合して押出す。つまり、前記フィルムは、ベースユニット(ポリエチレンテレフタレートなどの結晶性ユニットなど)と、前記ベースユニットを構成する多価グリコール成分(エチレングリコール成分など)とは異なる第2のアルコール成分を含有している。
なお、本発明の酸成分、ジオール成分の含有率は、2種以上のポリエステルを混合して使用する場合、ポリエステル全体の酸成分、ジオール成分に対する含有率である。混合後にエステル交換がなされているかどうかにはかかわらない。
上記ポリエステルは、いずれも従来の方法により重合して製造され得る。例えば、ジカルボン酸とジオールとを直接反応させる直接エステル化法、ジカルボン酸ジメチルエステルとジオールとを反応させるエステル交換法などを用いて、ポリエステルが得られる。重合は、回分式および連続式のいずれの方法で行われてもよい。
上記の、第2のアルコール成分を含有するポリエステル系フィルムを延伸し、熱収縮性ポリエステル系フィルムを得ることができる。
前記第2のアルコール成分は、エチレングリコール以外のジオール成分および三価以上のアルコール成分が使用できる。ジオール成分には、1,3-プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどのアルキレングリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの環状アルコール;ジエチレングリコール、採りエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ビスフェノール化合物又はその誘導体のアルキレンオキサイド付加物などのエーテルグリコール類;ダイマージオールなどが含まれる。三価以上のアルコールには、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどが含まれる。
前記ポリエステル樹脂組成物において、ポリエステルとポリエステル系エラストマーとを併用することも可能である。その場合、ポリエステルとポリエステル系エラストマーとの配合割合は、両者合計量に対して、通常、前者が50〜98質量%程度、特に70〜95質量%で、後者が2〜50質量%程度、特に5〜30質量%程度であるのが好適である。
また、上記ポリエステル系エラストマーは、例えば、高融点結晶性ポリエステルセグメント(Tm200℃以上)と分子量400以上好ましくは400〜800の低融点軟質重合体セグメント(Tm80℃以下)からなるポリエステル系ブロック共重合体であり、ε−カプロラクトン等のポリラクトンを低融点軟質重合体セグメントに用いたポリエステル系エラストマーが、特に好ましい。
本発明フィルム特定の全光線透過率、グロスを達成して、フィルムに光線カット性を付与するためには、例えば、フィルム中に、無機粒子、有機粒子等の粒子をフィルム質量に対して0.1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%含有させることが、好適である。該粒子の含有量が0.1質量%未満の場合は、例えば十分な光線カット性を得ることが困難となりやすく好ましくない。一方20質量%を超えると、例えばフィルム強度が低下して製膜が困難になりやすく好ましくない。
該粒子は、ポリエステル重合前に添加しても良いが、通常は、ポリエステル重合後に添加される。添加される無機粒子としては、例えば、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、テフタル酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、リン酸カルシウム、カーボンブラック等の公知の不活性粒子、ポリエステル樹脂の溶融製膜に際して不溶な高融点有機化合物、架橋ポリマー及びポリエステル合成時に使用する金属化合物触媒、例えばアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などによってポリエステル製造時に、ポリマー内部に形成される内部粒子であることができる。これらのうち、酸化チタン粒子が必要な光線カット性を付与する観点から好ましい。
酸化チタン粒子は、アナターゼ形とルチル形の結晶形に分類される。両者ともプラスチックの練り込み用途に使用されている。アナターゼ形は直射日光等による黄変や樹脂の劣化を引き起こし易く、屋外に使用する場合は酸化チタンの表面に特殊な処理(アルミナ、シリカ、有機等)を施したり、ルチル形を選択する場合が多い。
フィルム中に含まれる該粒子の平均粒径は、通常、0.001〜3.5μmの範囲である。ここで、粒子の平均粒径は、コールターカウンター法により、測定したものである。該粒子の平均粒径は、好ましくは0.001μm以上3.5μm以下であり、より好ましくは0.005μm以上3.0μm以下である。該粒子の平均粒径が0.001μm未満であると、例えば、必要な光線カット性を得ることが困難となりやすい。該粒子の平均粒径が3.5μmを超えると、例えば、フィルム表面の平滑性に劣り印刷抜けなどの不具合が起こり易い。アナターゼ形の平均粒径は一般的に0.2μm以下であり、ルチル形の平均粒径は0.2μm以上である。可視光線を隠蔽するためには0.2μm〜0.5μmの粒径が効率良く、より好ましくは0.2μm〜0.4μm、さらに好ましくは0.2μm〜0.3μmである。また、アナターゼ形よりもルチル形の酸化チタンの方が隠蔽性が高い。本発明においては、平均粒径0.2μm〜0.5μmのルチル形酸化チタンを使用することが、高い隠蔽性を付与し、かつ後述の印刷経時後の破断伸度を確保できるので好ましい。該平均粒径は、より好ましくは0.2μm〜0.4μm、さらに好ましくは0.2μm〜0.3μmである。
本発明において、適度な光線透過率を得るためには、例えば、内部に微細な空洞を含有させることが好ましい。例えば発泡材などを混合して押出してもよいが、好ましい方法としてはポリエステル中に非相溶の熱可塑性樹脂を混合し少なくとも1軸方向に延伸することにより、空洞を得ることである。本発明に用いられるポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂は任意であり、ポリエステルに非相溶性のものであれば特に限定されるものではない。具体的には、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂などがあげられる。特に空洞の形成性からポリスチレン系樹脂あるいはポリメチルペンテン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂が好ましい。
非相溶の樹脂の含有量は、フィルム換算で1.0〜20.0質量%の範囲であることが好適である。非相溶の樹脂が1.0質量%未満では、例えばフィルム内部の空洞の形成量が少なくなり光線カット性が不十分となりやすく好ましくない。 非相溶の樹脂が20質
量%を越えると、例えば押出工程での混練が不均一となりやすく安定したフィルムを得ることが困難となり好ましくない。
ポリスチレン系樹脂とは、ポリスチレン構造を基本構成要素として含む熱可塑性樹脂を指し、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、アイソタクティックポリスチレン等のホモポリマーのほか、その他の成分をグラフトあるいはブロック共重合した改質樹脂、例えば耐衝撃性ポリスチレン樹脂や変性ポリフェニレンエーテル樹脂等、更にはこれらのポリスチレン系樹脂と相溶性を有する熱可塑性樹脂、例えばポリフェニレンエーテルとの混合物を含む。
前記ポリエステルと非相溶の樹脂を混合してなる重合体混合物の調整にあたっては、例えば、各樹脂のチップを混合し押出機内で溶融混練して押出してもよいし、予め混練機によって両樹脂を混練したものを更に押出機より溶融押出ししてもよい。また、ポリエステルの重合工程においてポリスチレン系樹脂を添加し、撹拌分散して得たチップを溶融押出しても構わない。
本発明におけるフィルムは内部に多数の空洞を含有する層Bの他に、実質的に空洞を含まない層Aを設けることが好ましい。この構成にするためには異なる原料をA,Bそれぞれ異なる押出機に投入、溶融し、T−ダイの前またはダイ内部にて溶融状態で貼り合わせ、導電性冷却ロール(キャスティングロールなど)で冷却してフィルム化する(未延伸フィルム)。
延伸は1軸延伸であることが好ましいが、この1軸延伸の方向(主方向)とは異なる方向に、より低倍率で延伸する2軸延伸であってもよい。延伸方向(主方向)は特に限定されず、フィルムの流れ方向であってもよく、前記流れ方向と直交する方向(以下、幅方向と称する)であってもよい。好ましくは、生産効率上の観点から、フィルムの幅方向に延伸する。このとき、原料としてA層には非相溶の樹脂を含有させないことが好ましい。こうすることによりA層における空洞がなく、印刷後の強度を保持できるフィルムとなる。また、空洞が存在しないため、フィルムの腰が弱くならず装着性に優れるフィルムとなる。また、空洞の形成により収縮率を低減する作用があるので、空洞のない層を設けることにより高い熱収縮率を付与することができる。
さらに、本発明におけるフィルムは内部に多数の空洞を含有する層Bを両表層とし、中間層に空洞のないA層を設ける事が特に好ましい。フィルム表面の光沢感をなくし、より紙に近い風合いを出すことが可能になる。ポリスチレン系樹脂を添加すると溶融押出時に煙が発生し、例えば工程を汚すなど操業性悪化を引き起こすという問題があるが、溶融する時の温度を通常ポリエチレンテレフタレートよりも低くすることで発煙の問題が解消され、長時間の安定生産が実施可能となる。
前述の微粒子を添加する層は上記A層とB層の両方に添加することが好ましい。ポリエステルに非相溶の樹脂成分と併用することで、フィルムの全光線透過率をより低減させる効果があるのが、印刷後のフィルム強度が弱くなるのでA層またはB層にのみポリスチレンを添加することが好ましい。
また、フィルム中における多価アルコール成分100モル%中の非晶質成分となる1種以上のモノマー成分の合計が15モル%以上であることが好ましく、17モル%以上がより好ましく、特に18モル%以上であることが好ましい。前記モノマー成分の合計が15モル%未満であると、例えば高温度域での高収縮率が達成しにくくなり好ましくない。該モノマー成分の上限は、50モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましく、35モル%以下が特に好ましい。
ここで非晶質成分となりうるモノマーとは、例えばネオペンチルグリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸等が挙げられる。
A層とB層に共通することとして、炭素数8個以上の脂肪族ジオール(例えばオクタンジオール等)、又は3価以上の多価アルコール(例えば、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ジグリセリン等)は、含有させないことが好ましい。これらのジオール、又は多価アルコールを含有するポリエステルを使用して得た熱収縮性ポリエステル系フィルムでは、例えば必要な高収縮率を達成しにくくなる。
また、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールはできるだけ含有させないことが好ましい。特にジエチレングリコールは、ポリエステル重合時の副生成成分のため、存在しやすいが、本発明で使用するポリエステルでは、ジエチレングリコールの含有率が4モル%未満であることが好ましい。
なお、本発明の酸成分、ジオール成分の含有率は、2種以上のポリエステルを混合して使用する場合、ポリエステル全体の酸成分、ジオール成分に対する含有率である。混合後にエステル交換がなされているかどうかにはかかわらない。
さらに、必要に応じて、安定剤、着色剤、酸化防止剤、消泡剤、静電防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有させてもよい。また、フィルムの白色度を向上させるために蛍光増白剤を添加しても良い。
上記ポリエステルは、いずれも従来の方法により重合して製造され得る。例えば、ジカルボン酸とジオールとを直接反応させる直接エステル化法、ジカルボン酸ジメチルエステルとジオールとを反応させるエステル交換法などを用いて、ポリエステルが得られる。重合は、回分式および連続式のいずれの方法で行われてもよい。
[光線透過率] 本発明のポリエステル系フィルムは、JIS K 7136に準じて測定されたフィルムの全光線透過率が25%以下であることが必要である。該透過率が25%以上であると、内容物が透けて光線カットできずに内容物が劣化したり、印刷インキが透けてフィルムの白色度を低下させたりしていずれも好ましくない。該透過率は、20%以下であることが、特に好ましい。
[白色度]本発明のポリエステル系フィルムの手塗り印刷品は、JIS K 7105に準じて測定されたフィルムの白色度(W値)が85以上であることが必要である。該白色度が85未満であると、フィルム片面に印刷した色が反対面に写って、白色の発色が出なくなり好ましくない。該白色度は、88以上であることが、特に好ましい。
[800nm波長光線透過率] 本発明のポリエステル系フィルムの手塗り印刷品は、分光光度計を用い測定されたフィルムの透過率が5%以下であることが必要である。該透過率が5%以上であると、容器内容物の劣化を促進して好ましくない。該透過率は、3%以下であることが、特に好ましい。
以上の特性を満足するために本発明のフィルムは単一の層からなるものでもよいが、好ましい層構成はB/A/Bである。A層とB層の厚み比率はB/A/B=25/50/25から40/20/40が好ましい。B層の厚み比率を25%未満では、光線カット性が不足し、内容物が透けて見えたり、光線カットできずに内容物が劣化したりしていずれも好ましくない。
[熱収縮率] 本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、温水中で無荷重状態で処理して収縮前後の長さから、熱収縮率=((収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ)×100(%)の式で算出したフィルムの熱収縮率が、主収縮方向において、処理温度98℃・処理時間10秒で50〜80%であり、好ましくは55〜75%である。また、主収縮方向と直交する方向において、処理温度98℃・処理時間10秒で10 %以下であり、好ましくは6%以下である。
主収縮方向の熱収縮率が処理温度98℃・処理時間10秒で50%未満の場合は、収縮性が不足し、例えばボトルの頭部の収縮が不十分になり好ましくない。一方、80%を越える場合は、例えば熱収縮によるラベルの飛び上がりが発生しやすく好ましくない。
主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が処理温度98℃・処理時間10秒で10%を越える場合は、例えば熱収縮によるラベルの歪みや飛び上がりが発生しやすく好ましくない。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、前述の手塗り印刷条件で熱収縮性ポリエステル系フィルムの片面に手塗り印刷を施した後、雰囲気温度30±1℃、相対湿度85±2%に制御した雰囲気下で170時間放置後、主収縮方向に直交する方向の破断伸度が100%以上であることが好ましい。前記破断伸度が100%未満であると、フィルムに印刷を施した状態で保管した際、フィルムが破断しやすくなりその後の加工が困難となる。前記破断伸度は150%以上がより好ましく、200%以上がさらに好ましい。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みは、特に限定するものではないが、ラベル用熱収縮性フィルムとして10〜200μmが好ましく、20〜100μmがさらに好ましい。
次に本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造法について、具体例を説明するが、この製造法に限定されるものではない。
本発明に用いるポリエステル原料をホッパードライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥し、200〜300℃の温度で溶融しフィルム状に押し出す。押し出しに際してはTダイ法、チューブラー法等、既存の任意の方法を採用して構わない。押し出し後、急冷して未延伸フィルムを得る。
前述の組成のポリエステルを使用することに加えて、必要な高収縮率を達成する手段として、未延伸フィルムの延伸は以下の条件で行うことが好ましい。前記フィルムの延伸倍率は例えば、4.0倍以上、好ましくは4.5倍以上、さらに好ましくは5倍以上の高倍率で延伸するのが好適である。延伸倍率の上限は特に制限されるものではないが、延伸倍率が7倍を超えると製膜性が悪化する問題が生じる。
上記に加えて、延伸温度はフィルムのガラス転移温度(Tg)―5℃以上、Tg+10℃以下の低温で延伸することが好ましい。高倍率、低温で延伸することによりフィルムの分子配向を高めて高収縮率を発現させることができる。さらに、延伸後のヒートセットは、Tg+10℃以下の低温で行う、あるいはヒートセットを施さないのが好ましい実施様態である。
さらに本発明で用いる熱収縮性ポリエステル系フィルムは、温度275℃における溶
融比抵抗値が0.70×108Ω・cm以下である。このようなフィルムを用いると、以
下に詳細に説明するように、フィルム厚みの均一性を高めることができ、フィルムへの印刷性や、フィルムを容器に装着可能な形態に加工する際の加工性(安定加工性)を高めることができる。
[溶融比抵抗値]溶融比抵抗値を上記範囲に制御するためには、フィルム中にアルカリ
土類金属化合物と、リン含有化合物とを含有させるのが好ましい。アルカリ土類化合物だけでも溶融比抵抗値を下げることができるが、リン含有化合物を共存させると溶融比抵抗値を著しく下げることができる。アルカリ土類金属化合物とリン含有化合物とを組み合わせることによって溶融比抵抗値を著しく下げることができる理由は明らかではないが、リン含有化合物を含有させることによって、異物の量を低減でき、電荷担体の量を増大できるためと推定される。
フィルム厚みの均一性を高めるためには、フィルム製造の初期から終期に亘って静電気密着性を安定化させる前記方法と共に、(A)フィルム製造中のポリエステル原料を均質化する方法、(B)製造工程を安定化させる方法、及び又は(C)フィルムの延伸工程を安定化させる方法を採用するのが望ましい。
(A)フィルムの製造中のポリエステル原料およびポリスチレン原料を均質化する方法
(1)微粉量ポリエステルチップ及びポリスチレンチップを低減する方法
使用する原料チップの削れなどにより発生す微粉体(微粉状チップ)は、原料偏析の発生を助長するので、前記微粉体の比率を低減することによっても原料偏析を低減できる。
各原料チップ中の微粉体の比率は、原料チップが押出機に入るまでの全工程を通じて、1質量%以内に制御することが好ましく、0.5質量%以内に制御することがさらに好ましい。
微粉体を低減させる方法としては、例えば、工程内で発生する微粉体を除去(分級除去など)する方法が採用できる。例えば、ストランドカッターによるチップ形成時に篩を通す方法、原料チップを空送する場合にサイクロン式エアフィルタを通す方法などが採用できる。
(2)最終ホッパの形状を適性化する方法
例えば、最終ホッパとして、漏斗状ホッパを用い、その斜辺(側壁)を垂直に近づける方法が挙げられる。斜辺(側壁)を垂直に近づければ、大きいチップも小さいチップと同様に落とし易くすることができ、内容物の上端部が水平面を保ちつつ下降していくため、原料偏析の低減に効果的である。
前記斜辺(側壁)の傾斜角は、例えば、65°以上、好ましくは70°以上である。なお、斜辺(側壁)の傾斜角とは、漏斗状の斜辺(側壁)と水平な線分との間の角度である。
(B)製膜を安定化させる方法
製膜工程を安定化させる方法としては、押出機からの吐出量変動を抑制する方法、冷却ロール(キャスティングロール)の回転速度変動を抑制する方法などが挙げられる。
押出機からの吐出量変動を抑制する場合、例えば、吐出量を平均吐出量の±2%以内の範囲に安定化させるのが好ましい。吐出量変動を抑制する場合、例えば、吐出手段としてギアポンプを用いるのが好ましい。
冷却ロール(キャスティングロール)の回転速度変動を抑制する場合、例えば回転速度を平均回転速度の±2%以内の範囲に安定化させるのが好ましい。回転速度変動を抑制する場合、例えば、ロール駆動系の回転精度を制御する手段、例えば、回転速度制御用のインバーターを用いるのが好ましい。
(C)フィルムの延伸工程を安定化させる方法
フィルムに熱収縮性を付与するためには、未延伸フィルムに対して延伸処理を施す必要がある。フィルムの延伸工程を安定化する場合、一般の延伸方法に対して安定化のための種々の工夫を施す。
(1)延伸温度の制御
延伸温度を制御する場合、延伸温度が高くなり過ぎないように制御する。延伸温度が高過ぎると、フィルム厚み分布値が大きくなり過ぎる場合がある。なお延伸温度が高過ぎると、前述のようにフィルムの熱収縮率が不足する場合があり、さらには得られた熱収縮性フィルムを容器(ボトルなど)に高速装着する際にフィルムの腰の強さが不足する場合もある。
延伸温度は、前述の範囲内で制御することが好ましい。延伸温度が低すぎると、局部的に延伸残が発生してフィルムの厚み分布が大きくなりすぎる場合がある。
(2)延伸に伴う内部発熱を制御する方法
延伸に伴うフィルムの内部発熱を抑制すると、延伸方向(幅方向など)のフィルムの温度斑を小さくでき、延伸後のフィルム(熱収縮性フィルム)の厚みの均一性を高めることができる。
前記内部発熱を制御するためには、加熱条件を適宣制御して(例えば、熱風の供給速度を速くして)フィルムを加熱し易くするのが好ましい。加熱不足の部分があると延伸配向に伴う内部発熱が発生するのに対して、フィルムが充分に加熱されていると延伸時に分子鎖が滑り易くなるため、内部発熱が発生し難くなる。
前記加熱条件は熱伝達条件で示すと、例えば、熱伝達係数を0.0038J/cm2
sec・℃(0.0009カロリー/cm2・sec・℃)以上、好ましくは0.004
6〜0.0071J/cm2・sec・℃(0.0011〜0.0017カロリー/cm2・sec・℃)程度である。
(3)予備予熱条件の制御
予備予熱条件を制御する場合、フィルムを徐々に加熱するように制御するのが好ましい。予備予熱工程でフィルムを徐々に加熱すると、フィルムの温度分布を略均一にできるため、延伸後フィルム(熱収縮性フィルム)の厚みの均一性を高めることができる。
前記予熱条件は熱伝達条件で示すと、例えば、熱伝達係数を0.00054J/cm2
・sec・℃(0.0013カロリー/cm2・sec・℃)以下程度である。また予備
加熱ではフィルム表面温度がTg+0℃〜Tg+60℃の範囲内の温度になるまで加熱するのが好ましく、熱風の温度はTg+10℃〜Tg90℃程度であるのが好ましい。
前記熱伝達係数を達成する方法としては、例えば、熱風の供給速度を遅くする方法などが挙げられる。
(4)延伸の際のフィルムの表面温度の均温化
フィルムを延伸するに際してフィルムの表面温度の変動を小さくする(均温化する)と、フィルム全長に亘って同一温度で延伸や熱処理することができ、厚み分布値や熱収縮挙動を均一化することができる。
前記表面温度の変動幅は、任意のポイントにおいてフィルムの表面温度を測定したときの各ポイントの温度が、例えば、フィルムの平均温度±1℃以内であることが好ましく、平均温度±0.5℃以内であることがさらに好ましい。
フィルムを延伸する際には、延伸前の予備加熱工程、延伸工程、延伸後の熱処理工程、緩和処理工程、再延伸工程などの種々の工程を経てフィルムを延伸するためこれらの工程の一部または全部で、フィルムの表面温度の変動幅を小さくできる(均温化する)設備を用いるのが好ましい。特に、フィルムの全長に亘って厚み分布値を均一化するためには、予備加熱工程及び延伸工程において(さらに必要に応じて延伸後の熱処理工程において)、フィルムの表面温度変動幅を小さくできる設備を用いることが好ましい。なお熱収縮挙動を均一化する場合には、延伸工程において、フィルムの表面温度の変動幅を小さくできる設備を用いるのが好ましい。
前記フィルム温度の変動幅を小さくできる設備としては、例えば、フィルムを加熱するための熱風の供給速度を制御するための風速制御手段(インバーターなど)を備えた設備、空気を安定的に加熱して前記熱風を調整するための加熱手段[500kPa以下(5kgf/cm2以下)の低圧蒸気を熱源とする加熱手段など]を備えた設備などが挙げられる。
[極限粘度] 本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、極限粘度が0.60dl/g以上であることが望ましい。熱収縮性フィルムの極限粘度が小さ過ぎると、フィルムを構成するポリエステルの分子量が低くなるために、熱収縮する際の収縮応力の持続性が低下し、収縮白化や収縮斑などの欠点が発生し易くなり、収縮仕上り性や、外観性に劣るものになる。また、ポリエステルの分子量が低下すると、フィルムの機械的強度や耐破れ性を低下させる。
前記極限粘度は、好ましくは0.60dl/g以上、さらに好ましくは0.63dl/g以上である。
フィルムの極限粘度を高める方法としては、例えば、(1)フィルムの原料であるポリエステルに高分子量のポリエステルを使用する方法(例えば、極限粘度が0.63dl/g以上、好ましくは0.68dl/g以上、さらに好ましくは0.70dl/g以上のポリエステルを使用する方法)、(2)ポリエステルを押出し加工してフィルムを形成する際の熱分解や加水分解を抑制する方法(例えば、ポリエステル原料を予備乾燥して水分率を100ppm以下、好ましくは50ppm以下程度にしてから押出し加工する方法)、(3)前記ポリエステルとして耐加水分解性のポリエステルを使用する方法(例えば、酸価が25eq/ton以下のポリエステルを使用する方法)、(4)ポリエステルに酸価防止剤(例えば0.01〜1質量%程度含有)させる方法などが挙げられる。
本発明で使用するポリエステルは溶融重合法、その他の重合法などによって得ることができる。溶融重合法としては、例えば、ジカルボン酸とグリコール類との直接反応から得られるオリゴマーを重縮合する方法(直接重合法)、ジカルボン酸のジメチルエステル体とグリコールとをエステル交換反応させた後に重縮合する方法(エステル交換法)、その他任意の製造方法を適用できる。ポリエステルの重合度は、極限粘度にして0.5〜1.3dl/g程度のものが好ましい。
重合触媒としては、慣用の種々の触媒が使用でき、例えば、チタン系触媒、アンチモン系触媒、ゲルマニウム系触媒、スズ系触媒、コバルト系触媒、マンガン系触媒など、好ましくはチタン系触媒(チタニウムテトラブトキシドなど)、アンチモン系触媒(三酸化アンチモンなど)、ゲルマニウム系触媒(二酸化ゲルマニウムなど)、コバルト系触媒(酢酸コバルトなど)などが挙げられる。
また、必要に応じて、シリカ、二酸化チタン、カオリン、炭酸カルシウムなどの微粒子をフィルム原料に添加してもよく、さらに酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、抗菌剤などを添加することもできる。
熱収縮性ポリステル系フィルムは、慣用の方法に従って製造できる。特に熱収縮性ポリエステル系フィルムにおいて、第2のアルコール成分を特定の範囲に調製する場合、調製方法としては、共重合ポリエステル(コポリエステル)を単独で使用する方法、複数のポリエステルを混合する方法 [例えば、互いに異なる複数のホモポリエステルを混合する方法;ホモポリエステル(ポリエチレンテレフタレートなど)と共重合ポリエステルとを混合する方法;互いに異なる複数の共重合ポリエステルを混合する方法など] が挙げられる。
フィルムの製造方法としては、具体的には、原料ポリエステルチップを乾燥機(ホッパードライヤー、パドルドライヤー、真空乾燥機など)を用いて乾燥し、押出機を用いて200〜300℃の温度でフィルム状に押出すほう法が挙げられる。あるいは、未乾燥のポリエステル原料チップをベント式押出機内で水分を除去しながら同様にフィルム状に押出す方法であってもよい。押出しに際してはTダイ法、チュ−ブラ法など、既存の種々の方法が採用できる。押出し後は、キャスティングロールなどの冷却ロールで急冷することによって、未延伸フィルムを得るのが望ましい。
熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みは特に限定されないが、例えば、ラベル用途に使用する場合、10〜200μm程度、好ましくは20〜100μm程度である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
本発明のフィルムの評価方法は下記の通りである。
(1)全光線透過率
日本電飾工業(株)製NDH−2000Tを用い、JIS K 7136に準じ測定した。
(2)印刷後フィルム白色度
日本電飾工業(株)製Z−300Aを用い、JIS K 7105に準じ測定した。
但し、手塗り印刷を施した反対面を測定面として、反射で測定したW値を白色度とした。
<手塗り印刷条件>
東洋インキ製造(株)社製インキ(名称:シュリンクEX)墨色、白色、希釈溶媒(シュリンクEX206F溶剤)を2:7:1の比率で混合したインキを12ミル(1ミルは0.0254mm)のマイヤーバーで塗布し、ドライヤーで室温にて乾燥させた。
(3)印刷後フィルム800nm波長光線透過率
(株)日立製U−3500を用い、200〜840nm波長の光線透過率を連続で測定した。
(4)熱収縮率
フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、所定温度±0.5℃の温水中において、無荷重状態で所定時間処理して熱収縮させた後、フィルムの縦および横方向の寸法を測定し、下記(1)式に従いそれぞれ熱収縮率を求めた。該熱収縮率の大きい方向を主収縮方向とした。
熱収縮率=((収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ)×100(%) (1)
(5)収縮仕上り性
熱収縮性フィルムより折径77.5mm、高さ100mmのサイズでラベルを作製した。
Fuji Astec Inc製スチームトンネル(型式:SH−1500−L)を用い、通過時間10秒、ゾーン温度80℃で、120mlのペットボトル(高さ12cm、中央部直径4.5cm)(明治乳業(株)のLG21に使用されているボトル)を用いてテストした(測定数=20)。
評価は目視で行い、基準は下記の通りとした。
○:シワ、飛び上り、収縮不足の何れも未発生
×:シワ、飛び上り、及び又は収縮不足が発生
(6)印刷後フィルム破断伸度
(2)に記載の方法にてマイヤーバーで手塗り印刷後、雰囲気温度30±1℃、相対湿度85±2%に制御した恒温恒湿器内に170時間放置後取り出し、主収縮方向において15mm幅のフィルムを、東洋ボールドウィン社製のテンシロン(型式:STM−T−50BP)でチャック間距離20mm、引張速度200mm/分で主収縮方向に直交する方向を測定方向として測定した(測定数=10)。
(7)Tg(ガラス転移点)
セイコー電子工業(株)製のDSC(型式:DSC220)を用いて、未延伸フィルム10mgを、−40℃から120℃まで、昇温速度20℃/分で昇温し、得られた吸熱曲線より求めた。吸熱曲線の変曲点の前後に接線を引き、その交点をTg(ガラス転移点)とした。
(8)極限粘度
試料(フィルム又はチップ)0.1gを精秤し、25mlのフェノール/テトラクロロエタン=3/2(質量比)の混合溶媒に溶解した後、オストワルド粘度計で30±0.1℃で測定した。極限粘度 [η] は、下式(Huggins式)によって求められる。
Figure 2007186662
ここで、ηSP:比粘度、t0:オストワルド粘度計を用いた溶媒の落下時間、t:オス
トワルド粘度計を用いたチップ溶液の落下時間、C:チップの溶液粘度である。なお、実際の測定では、Huggins式においてk=0.375とした下記近似式で極限粘度を算出した。
Figure 2007186662
ここで、ηr:相対粘度である。
(9)フィルム組成
共重合ポリエステルの組成比
積層フィルム各面から削り出した測定対象層のポリマー片サンプル約5mgを重クロロホルムとトリフルオロ酢酸の混合溶液(体積比9/1)0.7mlに溶解し、1H−NMR(varian製、UNITY50)を使用して求めた。
実施例に用いたポリエステルは以下の通りである。
ポリエステルa:ポリエチレンテレフタレート(極限粘度(IV):0.75dl/g)
ポリエステルb:ネオペンチルグリコール30モル%とテレフタル酸とからなるポリエステル(IV:0.72dl/g)
ポリエステルc:ポリエステルB 50重量%と平均粒径0.15μmのアナターゼ形二酸化チタン 50重量%とからなるポリエステル原料(IV:0.50dl/g)
ポリエステルd:ポリエステルB 50重量%と平均粒径0.26μmのルチル形二酸化チタン 50重量%とからなるポリエステル原料(IV:0.50dl/g)
ポリエステルe:ポリブチレンテレフタレート70質量%とε−カプロラクトン30質量%とからなるポリエステルエラストマー(還元粘度(ηsp/c):1.30)
(フィルム1)
A層の原料として、ポリエステルaを20質量%、ポリエステルbを55質量%、ポリエステルdを20質量%、ポリエステルeを5重量%混合したポリエステル組成物を、B層の原料として、ポリエステルaを10質量%、ポリエステルbを55質量%、ポリエステルdを20質量%、ポリエステルeを5重量%と結晶性ポリスチレン樹脂(G797N 日本ポリスチレン株式会社製)10質量%を混合したポリエステル系組成物を、それぞれ別々の押出機に投入、混合、溶融したものをフィードブロックで接合し、280℃でTダイからB/A/Bの厚み比率が25/50/25となるように積層しながら溶融押し出しし、チルロールで急冷して厚み120μmの未延伸多層フィルムを得た。この未延伸多層フィルムのTgは67℃であった。
該未延伸フィルムを、フィルム温度が85℃になるまで予備加熱した後、テンターで横方向に74℃で4倍に延伸し、厚み30μmのフィルムを得た。
(フィルム2)
A層の原料として、ポリエステルaを20質量%、ポリエステルbを55質量%、ポリエステルdを20質量%、ポリエステルeを5重量%混合したポリエステル組成物を、B層の原料として、ポリエステルaを10質量%、ポリエステルbを55質量%、ポリエステルdを20質量%、ポリエステルeを5重量%と結晶性ポリスチレン樹脂(G797N 日本ポリスチレン株式会社製)10質量%を混合したポリエステル系組成物を、それぞれ別々の押出機に投入、混合、溶融したものをフィードブロックで接合し、280℃でTダイからB/A/Bの厚み比率が40/20/40となるように積層しながら溶融押し出しし、チルロールで急冷して厚み120μmの未延伸多層フィルムを得た。この未延伸多層フィルムのTgは67℃であった。
該未延伸フィルムを、フィルム温度が85℃になるまで予備加熱した後、テンターで横方向に74℃で4倍に延伸し、厚み30μmのフィルムを得た。
(フィルム3)
A・B層共に原料として、ポリエステルaを10質量%、ポリエステルbを55質量%、ポリエステルcを20質量%、ポリエステルeを5質量%と結晶性ポリスチレン樹脂(G797N 日本ポリスチレン株式会社製)10質量%を混合したポリエステル系組成物を溶融押し出しし、チルロールで急冷して厚み120μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムのTgは67℃であった。
該未延伸フィルムを、フィルム温度が85℃になるまで予備加熱した後、テンターで横方向に74℃で4倍に延伸し、厚み30μmのフィルムを得た。
(フィルム4)
A層の原料として、ポリエステルaを10質量%、ポリエステルbを55質量%、ポリエステルcを20質量%、ポリエステルeを5重量%と結晶性ポリスチレン樹脂(G797N 日本ポリスチレン株式会社製)10質量%を混合したポリエステル組成物を、B層の原料として、ポリエステルaを30質量%、ポリエステルbを65質量%、ポリエステルeを5質量%混合したポリエステル系組成物を、それぞれ別々の押出機に投入、混合、溶融したものをフィードブロックで接合し、280℃でTダイからB/A/Bの厚み比率が25/50/25となるように積層しながら溶融押し出しし、チルロールで急冷して厚み120μmの未延伸多層フィルムを得た。この未延伸多層フィルムのTgは67℃であった。
該未延伸フィルムを、フィルム温度が82℃になるまで予備加熱した後、テンターで横方向に74℃で4倍に延伸し、厚み30μmのフィルムを得た。
(フィルム5)
A層の原料として、ポリエステルaを20質量%、ポリエステルbを55質量%、ポリエステルdを20質量%、ポリエステルeを5重量%混合したポリエステル組成物を、B層の原料として、ポリエステルaを10質量%、ポリエステルbを55質量%、ポリエステルdを20質量%、ポリエステルeを5重量%と結晶性ポリスチレン樹脂(G797N 日本ポリスチレン株式会社製)10質量%を混合したポリエステル系組成物を、それぞれ別々の押出機に投入、混合、溶融したものをフィードブロックで接合し、280℃でTダイからB/A/Bの厚み比率が15/70/15となるように積層しながら溶融押し出しし、チルロールで急冷して厚み120μmの未延伸多層フィルムを得た。この未延伸多層フィルムのTgは67℃であった。
該未延伸フィルムを、フィルム温度が82℃になるまで予備加熱した後、テンターで横方向に74℃で4倍に延伸し、厚み30μmのフィルムを得た。
フィルム1〜5で得られたフィルムの評価結果を表1〜3に合わせて示す。
フィルム1、フィルム2で得られたフィルムはいずれも収縮仕上り性良好であった。また、厚み分布も良好であった。また、いずれも良好な光線カット性を有するものであった。本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは高品質で実用性が高く、特に収縮ラベル用として好適である。
一方、フィルム3で得られた熱収縮性フィルムは、光線カット性を有するものの印刷後の破断伸度が低下して切れ易いという問題があった。また、フィルム4、フィルム5で得られた熱収縮性ポリエステル系フィルムは、光線カット性が劣っていた。このように比較例の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、品質が劣り、実用性の低いものであった。
Figure 2007186662
Figure 2007186662
Figure 2007186662
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、ボトルのフルラベルとして使用する場合、熱収縮によるシワ、収縮斑、歪み及び収縮不足の発生が極めて少ない良好な仕上りが可能であり、さらに印刷や加工を施さなくとも光線カット性を有し、ペットボトルのラベル用途として極めて有用である。

Claims (7)

  1. フィルムの熱収縮率が、主収縮方向において、処理温度98℃・処理時間10秒で50〜80%であり、主収縮方向と直交する方向において、処理温度98℃・処理時間10秒で10%以下の熱収縮性ポリエステル系フィルムであって、前記熱収縮性ポリエステル系フィルムの全光線透過率が25%以下であり、下記の条件で該熱収縮性ポリエステル系フィルムの片面に手塗り印刷を施した際、印刷面と反対面側のフィルム白色度が85%以上であり、印刷フィルムの800nm波長の光線透過率が5%以下であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
    <手塗り印刷条件>
    東洋インキ製造(株)社製インキ(名称:シュリンクEX)墨色、白色、希釈溶媒を2:7:1の比率で混合したインキを12ミル(1ミルは0.0254mm)のマイヤーバーで塗布し、ドライヤーで室温にて乾燥させた。
  2. 請求項1に記載の手塗り印刷条件で熱収縮性ポリエステル系フィルムの片面に手塗り印刷を施した後、雰囲気温度30±1℃、相対湿度85±2%に制御した雰囲気下で170時間放置後、主収縮方向に直交する方向の破断伸度が100%以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  3. 酸化チタンを含有する層を少なくとも1層以上有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  4. ポリエステル樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂を含有する層を少なくとも1層以上有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  5. ポリエチレンテレフタレートを主成分として、非晶成分となる副成分モノマーを15モル%以上含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  6. 2層以上の積層構成からなり、酸化チタン、ポリエステル樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂のいずれも含有しない層を少なくとも1層以上有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムを用いて作成した熱収縮性ラベル。
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