JP2008194903A - ノズルプレート及びその製造方法、並びに液体吐出ヘッド及び画像形成装置 - Google Patents

ノズルプレート及びその製造方法、並びに液体吐出ヘッド及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ノズル孔内面への撥液層の入り込み量を精度良く制御可能にする。
【解決手段】ノズル孔に対応する孔部が形成される第1金属層と、前記第1金属層の表面及び前記孔部の内面とともに、前記第1金属層の裏面の前記孔部の開口周辺領域に形成される撥液層と、前記第1金属層の裏面側に形成される第2金属層と、を備え、前記第1金属層の裏面の前記撥液層は、前記第1金属層と前記第2金属層との間に挟まれていることを特徴とするノズルプレートを提供することにより、前記課題を解決する。
【選択図】 図4

Description

本発明はノズルプレート及びその製造方法、並びに液体吐出ヘッド及び画像形成装置に係り、特に、ノズル(ノズル孔)からインク滴を吐出させるインクジェット方式の液体吐出ヘッドに備えられるノズルプレートに関する。
一般に、インクジェット記録装置の記録ヘッド(インクジェットヘッド)は、複数のノズル孔が形成されるノズル形成基板(ノズルプレート)を備え、例えば圧電素子や発熱素子などのエネルギー発生手段を利用して、圧力室内のインクを加圧することにより、圧力室に連通するノズルからインク滴をそれぞれ吐出して記録媒体上に記録を行う。
ノズルプレートには、例えば、導電性基材上にノズル孔に対応したレジストパターンを形成した後、導電性基材上にニッケル等の金属材料をレジストパターンの一部に覆い被さるように析出させるオーバーハング電鋳を行うことによって、インク吐出側に向かって先細となるラッパ状(R状)のノズル孔が形成されているものがある。このようなノズル孔の形状によれば、エネルギー発生手段により与えられた吐出エネルギーの損失を低く抑えることができるので、インクジェットヘッドの吐出効率を向上させることができる。
また、インクジェットヘッドにおいては、ノズル孔の形状や精度などがインク滴の吐出特性に影響を与えるとともに、ノズルプレートの表面特性がインク滴の吐出特性に影響を与えることが知られている。例えば、ノズルプレート表面のノズル周辺部にインクが付着すると、インク滴の吐出方向が曲げられたり、インク滴の大きさのバラツキが生じたり、インク滴の吐出速度が不安定になる等の弊害が生じる。これらの弊害を防止するため、一般的にノズルプレートの表面(インク吐出面)には撥液膜(撥液性被膜)が形成されており、インク滴の吐出特性の安定化が図られている。
ノズルプレート表面に撥液膜を形成するために、ノズル孔内部にレジストでマスキングしてから撥液膜を形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法では、メニスカスがノズルプレート表面に近い側で振動することになり、ノズルプレート表面にインクが塗れ広がってしまい、インク滴の吐出特性が不安定になってしまう。
一方、特許文献2では、インク滴の安定吐出を実現させるために、ノズルプレート表面を被覆する撥液層(撥インク性被覆層)の一部をノズル孔内面に入り込ませたノズルプレートが開示されている。
特開2001−38913号公報 特開2001−187453号公報
しかしながら、特許文献2に記載されたノズルプレートでは、ノズル孔内面への撥液層の入り込み量を、加圧加熱によりノズル内部へ入り込ませた感光性樹脂フィルムにより規定しているが、温度分布、圧力分布等を考えると、撥液層の入り込み量を全面均一に実現することは困難である。
また、同文献に記載のノズルプレートでは、撥液層はフッ素系高分子材の共析めっきで形成されているが、ノズル孔内面に共析めっき層分の段差が形成されてしまい、スムーズなインク流れを阻害してしまうといった問題もある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ノズル孔内面への撥液層の入り込み量を精度良く制御可能なノズルプレート及びその製造方法、並びに液体吐出ヘッド及び画像形成装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ノズル孔に対応する孔部が形成される第1金属層と、前記第1金属層の表面及び前記孔部の内面とともに、前記第1金属層の裏面の前記孔部の開口周辺領域に形成される撥液層と、前記第1金属層の裏面側に形成される第2金属層と、を備え、前記第1金属層の裏面の前記撥液層は、前記第1金属層と前記第2金属層に挟まれていることを特徴とするノズルプレートを提供する。
本発明によれば、第1金属層の表面から孔部内面を介して裏面に沿って撥液層をコ字状に配置したことにより、ノズル孔内面への撥液層の入り込み量を第1金属層の厚さに応じて精度良く制御することが可能となる。これにより、ノズル孔内部のメニスカス位置を正確に規定することができ、吐出安定性が向上する。
また、前記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、ノズル孔に対応する孔部を有する第1金属層を形成する工程と、前記第1金属層の表面及び前記孔部の内面とともに、前記第1金属層の裏面の前記孔部の開口周辺領域に撥液層を形成する工程と、オーバーハング電鋳によって、前記第1金属層の裏面の撥液層を覆うように、前記第1金属層の裏面側に第2金属層を形成する工程と、を含むことを特徴とするノズルプレートの製造方法を提供する。
本発明によれば、第1金属層の表面から孔部内面を介して裏面に沿って撥液層をコ字状に形成するとともに、オーバーハング電鋳によって第1金属層の裏面側に第2金属層を形成することで、ノズル孔内面に段差を生じさせることなく、第1金属層の厚さに応じてノズル孔内面への撥液層の入り込み量を精度良く制御可能となる。これにより、ノズル孔内部のメニスカス位置を正確に規定することができるとともに、ノズル孔内部のインク流れをスムーズにすることが可能となり、吐出安定性が向上する。
また、第1金属層の形成後に撥液層を形成してから第2金属層の形成を行うので、ノズルプレート作製後に撥液層を後加工する場合に比べて工程の簡素化が可能であり、ノズルプレートの生産性が向上する。
撥液層の形成後に、第1金属層の裏面の撥液層を所望の形状にパターニングしてからオーバーハング電鋳を行う態様や、第1金属層の裏面に最初から所望の形状の撥液層を形成してしまい、オーバーハング電鋳を行う態様がある。後者の態様は、撥液層の形成後にパターニングを行う工程が不要となり工程短縮化が可能である。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のノズルプレートの製造方法であって、前記第1金属層の孔部は、前記第1金属層の裏面側から表面側に向かって先広がりとなる逆テーパ状であることを特徴とする。
請求項3の態様によれば、ノズル孔が内側に括れた形状となり、ノズル孔におけるメニスカスのクリップポイントが更に明確化し、流路抵抗も下がる。
また、前記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のノズルプレートを備えたことを特徴とする液体吐出ヘッドを提供する。
更に、前記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の液体吐出ヘッドを備えたことを特徴とする画像形成装置を提供する。
本発明によれば、第1金属層の表面から孔部内面を介して裏面に沿って撥液層をコ字状に配置したことにより、ノズル孔内面への撥液層の入り込み量を第1金属層の厚さに応じて精度良く制御することが可能となる。これにより、ノズル孔内部のメニスカス位置を正確に規定することができ、吐出安定性が向上する。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
まず、本発明に係る画像形成装置としての一実施形態であるインクジェット記録装置について説明する。図1は、インクジェット記録装置の概略を示す全体構成図である。図1に示すように、このインクジェット記録装置10は、インクの色毎に設けられた複数の記録ヘッド12K、12C、12M、12Yを有する印字部12と、各記録ヘッド12K、12C、12M、12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、印画済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、を備えている。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置されている。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコードあるいは無線タグ等の情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻き癖が残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラー31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が平面をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラー31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバー34が設けられており、この吸着チャンバー34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト33上の記録紙16が吸着保持される。
ベルト33が巻かれているローラー31、32の少なくとも一方にモータ(不図示)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1において、時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は、図1の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、あるいはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラー線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラー・ニップ搬送機構を用いる態様も考え
られるが、印字領域をローラー・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面にローラーが接触するので、画像が滲み易いという問題がある。従って、本例のように、印字領域では画像面と接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹きつけ、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部12は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている。印字部12を構成する各記録ヘッド12K、12C、12M、12Yは、本インクジェット記録装置10が対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル)が複数配列されたライン型ヘッドで構成されている。
記録紙16の搬送方向(紙搬送方向)に沿って上流側(図1の左側)から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応した記録ヘッド12K、12C、12M、12Yが配置されている。記録紙16を搬送しつつ各記録ヘッド12K、12C、12M、12Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドがインク色毎に設けられてなる印字部12によれば、紙搬送方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(すなわち、一回の副走査で)記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
なお本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態には限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系インクを吐出する記録ヘッドを追加する構成も可能である。
図1に示したように、インク貯蔵/装填部14は、各記録ヘッド12K、12C、12M、12Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは図示を省略した管路を介して各記録ヘッド12K、12C、12M、12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段等)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ等)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
本例の印字検出部24は、少なくとも各記録ヘッド12K、12C、12M、12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)
がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列とからなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が二次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
印字検出部24は、各色の記録ヘッド12K、12C、12M、12Yにより印字されたテストパターンを読み取り、各ヘッドの吐出検出を行う。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定等で構成される。
印字検出部24の後段には、後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹きつける方式が好ましい。
多孔質のペーパに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラー45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
このようにして生成されたプリント物は、排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える選別手段(不図示)が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に、本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成されている。また、図示を省略したが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられている。
なお、インク色ごとに設けられている各記録ヘッド12K、12M、12C、12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によって記録ヘッドを示すものとする。
図2は、記録ヘッド50の構造例を示す平面透視図である。図2に示すように、記録ヘッド50は、インク滴の吐出口であるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット(1ノズルに対応した記録素子単位となる液滴吐出素子)53を千鳥でマトリクス状(2次元的)に配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル51と供給口54が設けられている。なお、圧力室52の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形、その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。また、ノズル51や供給口54の配置も図2に示す配置に限定されない。
図3は、記録ヘッド50の一部を示した概略断面図(1つのインク室ユニット53に対応する断面図)である。図3に示すように、記録ヘッド50の前面側(インク吐出側)にはノズルプレート60が接合されており、該ノズルプレート60によって記録ヘッド50のノズル面50aが構成されている。
ノズルプレート60には、複数のノズル(ノズル孔)51が2次元的に形成されており、図示するように、各ノズル51はそれぞれ対応する圧力室52に連通している。なお、ノズルプレート60の詳細な構造については後で説明する。
各圧力室52の一端には供給口54がそれぞれ形成されており、各圧力室52は各々の供給口54を介して共通流路55に連通している。図1に示したインク貯蔵/装填部14から供給されるインクは、共通流路55を介して各圧力室52に分配供給される。
圧力室52の一壁面(図3の上壁面)は振動板56で構成されており、振動板56上の圧力室52に対応する位置(即ち、振動板56を挟んで圧力室52に対向する位置)には、個別電極57を備えた圧電素子58が設けられている。振動板56はSUS等の導電性材料で構成され、複数の圧電素子58に対する共通電極を兼ねている。なお、樹脂等の非導電性材料で振動板を構成する態様も可能であり、この場合は振動板部材の表面に金属等の導電材料による共通電極層が形成される。圧電素子58には、ピエゾなどの圧電体が好適に用いられる。
圧力室52にインクが充填された状態で、圧電素子58に所定の駆動電圧が印加されると、圧電素子58の変位に伴う振動板56の変形によって、圧力室52内のインクは加圧され、ノズル51からインク滴が吐出される。インク吐出後、圧電素子58が元の状態に戻る際、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に再充填される。
なお、本実施形態では、圧電素子の変位を利用してインク吐出を行う圧電方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インク吐出の方式は限定されず、例えば、ヒーター等の発熱素子から生じる熱エネルギーを利用して、圧力室内に気泡を発生させ、その圧力でインク滴を吐出するサーマル方式も採用することができる。
次に、ノズルプレート60の詳細構造について説明する。図4は、ノズルプレート60の詳細構造を示したノズル孔51周辺部の拡大断面図である。図4に示すように、ノズルプレート60は、第1金属層62、第2金属層64、及び撥液層66の3種類の層から構成されている。
ノズルプレート60には、インク吐出側(図4の下側)に向かって先細となるラッパ状(円弧状)に構成されたR部51aと、円筒状に構成されたストレート部51bとから成るノズル孔51が形成されている。R部51aはインク流入側(図4の上側)に配置され、ストレート部51bはインク吐出側に配置される。R部51aの最小径部分(即ち、インク吐出側の部分)はストレート部51bの内径と同径に構成されており、ノズル孔51の内面(内壁面)にはR部51aからストレート部51bに沿って段差がない構造となっている。これにより、ノズル孔51内部におけるインクの流れがスムーズ(円滑)になり、ノズル孔51から吐出されるインク滴の吐出安定性が向上する。また、ノズル孔51のインク流入側にR部51aを配置したことにより、圧電素子58によって与えられた吐出エネルギーの損失を小さく抑えることができる。
第1金属層62にはノズル孔形成位置に孔部62aが設けられており、該孔部62a内面(内壁面)及び第1金属層62表裏面に撥液層66が形成されている。具体的には、第1金属層62の孔部62a内面に撥液層66aが形成されるとともに、第1金属層62表面(インク吐出側の面;図4の下面)全体に撥液層66bが形成され、第1金属層62裏面(インク流入側の面;図4の上面)の孔部62a開口周辺領域に撥液層66cが形成される。換言すれば、第1金属層62の表面から孔部62a内面を介して裏面に沿って撥液層66がコ字状に形成されている。
本実施形態においては、図示するように、第1金属層62表面全体に撥液層66bが形成されているが、第1金属層62表面の孔部62a開口周辺領域のみに撥液層66bが形成されていてもよい。但し、ワイピング部材等に対する撥液層66bの耐久性(耐ワイプ性)を向上させる観点から第1金属層62表面全体に撥液層66bを形成する態様の方が好ましい。第1金属層62表面の孔部62a開口周辺領域のみに撥液層66bを形成する態様では、第1金属層62表面に撥液層66bとの界面が形成されるため、耐ワイプ性が第1金属層62表面全体に形成する場合に比べて劣るためである。
また、図4に示すように、第1金属層62裏面の撥液層66cは、第1金属層62と第2金属層64に挟まれている。本実施形態のノズルプレート60の製造方法については後で説明するが、第2金属層64はオーバーハング電鋳によって撥液層66cを覆うように第1金属層62上に形成されたものであり、第1金属層62の表面から孔部51内面を介して裏面に沿ってコ字状に形成された撥液層66の端部(つまり、撥液層66c)が第1金属層62と第2金属層64の間に入り込んだ構造となっている。このような構造によれば、撥液層66の端部がノズル孔51内部に露出していないので、撥液層/金属層界面(撥液層66と第1金属層62との界面)へのインク侵入による撥液層66の剥離が防止される。なお、撥液層66と第2金属層64との界面については、撥液層66表面側(第2金属層64側に多く存在する撥液剤分子による撥液作用によってインク侵入による剥離の問題は生じにくい。また、ノズルプレート60の表面(インク吐出側の面)にも撥液層66の端部は露出していないので、ワイピング部材等に対する撥液層66の耐久性(耐ワイプ性)も向上する。
本実施形態においては、上述したように、第1金属層62の表面から孔部62a内面を介して裏面に沿ってコ字状に撥液層66が形成されているので、ノズル孔51内面への撥液層66の入り込み量をD、第1金属層62の厚さをT、撥液層66の厚さをtとしたとき、次式 D=T+2tの関係が成立する。つまり、第1金属層62の厚さTに応じて、ノズル孔51内面への撥液層66の入り込み量Dをばらつきなく高精度に制御することができる。これにより、ノズル孔51内部の所定位置でメニスカスを正確に位置させるができ、ノズル孔51のインク吐出側開口周辺部にインクが濡れ広がることなく、吐出安定性が向上する。
また、本実施形態においては、ノズル孔51内部において(即ち、接液部において)、第1金属層62と第2金属層64が直接接触しないため、各金属層62、64に異種金属を適用することができ、金属材料の最適化が可能となる。
次に、本実施形態のノズルプレート60の製造方法について説明する。
図5は、本実施形態のノズルプレート60の製造方法の一例(第1の製造方法)を示した説明図である。
まず、図5(a)に示すように、導電性基材70上に感光性樹脂層(レジスト層)72を形成する。具体的には、導電性基材70の片側全面に、スピンコーター等によりネガタイプのフォトレジストを塗布して感光性樹脂層72を形成する。このとき、感光性樹脂層72の厚さが後の電鋳工程(図5(c)参照)において形成される第1金属層62の厚さよりも大きくなるように、ネガレジストを塗布する。なお、説明は省略するが、ポジタイプのフォトレジストを塗布する態様もある。
その後、必要に応じて、感光性樹脂層72のプリベークを行った後、図4におけるノズル孔51(第1金属層62の孔部62a)に対応した開口部が形成されたマスク(不図示)を用いて露光を行う。続いて、露光後の感光性樹脂層72について現像を行った後、ポストベークを行う。こうして、図5(b)に示すように、導電性基材70上の感光性樹脂層72は、ノズル孔51(第1金属層62の孔部62a)に対応した円柱状の形状にパターニングされる。パターニング後の感光性樹脂層を符号72aで表す。
次に、図5(c)に示すように、電鋳により導電性基材70上に第1金属層62を形成する。具体的には、導電性基材70上にパターニングされた感光性樹脂層72aを電鋳の型として、Ni電鋳を行い、導電性基材70の感光性樹脂層72a側の面に第1金属層(Ni電鋳層)62を堆積させる。第1金属層62の厚さは、感光性樹脂層72aの厚さよりも薄く、例えば5〜10μm程度である。
次に、有機溶媒等により感光性樹脂層72aの除去を行った後、図5(d)に示すように、第1金属層62裏面側(導電性基材70の反対側)に保持部材74を吸着させて、第1金属層62を導電性基材70から剥離する。第1金属層62裏面側に保持部材74を吸着させた状態において、少なくとも第1金属層62裏面の孔部62a開口周辺領域が露出するようなものであれば、保持部材74の態様は特に限定されるものでない。例えば、保持部材74として、第1金属層62の各孔部62aに対応した開口がそれぞれ形成されていてもよいし、複数の孔部62aに対応する開口が形成されていてもよい。また、全ての孔部62aが形成される領域全体にわたって開口が形成されていてもよい。また、複数の保持部材74を用いて第1金属層62を保持するようにしてもよい。
次に、図5(e)に示すように、第1金属層62裏面側に保持部材74を吸着(或いは粘着)させた状態において、真空蒸着、CVD等の方法により、第1金属層62の孔部62a内面(内壁面)、及び第1金属層62の表裏面に撥液層66を形成する。具体的には、PTFE、PVDF、PFA等フッ素樹脂の真空蒸着、フロオロアルキルシランのCVD等の方法が挙げられるが、基材との密着性の高さを考慮すると、フルオロアルキルシランの単分子膜を形成するのがよい。また、撥液層66の形成後の表面張力を十分低くするためには、フルオロアルキルシラン分子中のフッ素原子の数を10以上にすることが望ましい。
また、第1金属層62裏面に形成された撥液層66cを後で行われる電鋳(オーバーハング電鋳)工程においてめっきレジストとして機能させるため、本工程で形成される撥液層66は非導電性材料で少なくとも構成されていることが必要となる。
こうして第1金属層62の表面及び孔部62a内面とともに、第1金属層62裏面における保持部材74の非吸着領域にわたって撥液層66が形成される。
次に、第1金属層62から保持部材74を取り外した後、図5(f)に示すように、第1金属層62裏面に形成された撥液層66をパターニングする。具体的には、第1金属層62の孔部62aを含むその開口周辺領域に対応した遮光部78aを有するマスク78を介して、真空紫外光を第1金属層62裏面側に照射する。このとき、第1金属層62を所定の支持部材80上に載せた状態で行う方がハンドリング性向上の観点から好ましい。この結果、図5(g)に示すように、第1金属層62裏面の撥液層66は、不要な部分が除去され、第1金属層64裏面の孔部62a開口周辺領域にパターニングされた状態となる。
なお、図5(e)に示した撥液層形成工程において、第1金属層64裏面に撥液層66を形成する際に、後のオーバーハング電鋳で必要となる所望の形状(図5(g)参照)に撥液層66を最初から形成する態様もある。この場合は、図5(f)に示した撥液層パターニング工程が不要となる。
次に、図5(h)に示すように、第1金属層62を陰極として、電鋳により第1金属層62上に第2金属層64を形成する。具体的には、第1金属層62裏面の撥液層66(図4の撥液層66c)をめっきレジストとして、Ni電鋳(オーバーハング電鋳)により、第1金属層62裏面側に第2の金属層64を堆積させる。これにより、第2金属層64は、第1金属層62裏面の撥液層66を乗り越えて等方的に成長し、図示するようなR状(円弧状)に形成される。所定時間が経過した後、第2金属層64の(ノズル孔51側)先端部が、第1金属層62の孔部62a内面の撥液層66aと裏面の撥液層66cが交差するエッジ部P(図4参照)に一致した時点で、オーバーハング電鋳による第2金属層64の形成を終了する。こうして、図4に示したように、第1金属層62、第2金属層64、及び撥液層66から成るノズルプレート60を得ることができる。
図6は、オーバーハング電鋳により第1金属層62上に第2金属層64が形成される様子を示した説明図である。図6(a)に示すように、第1金属層62裏面から成長し始めた第2金属層64は、第1金属層62裏面の撥液層66cの厚さtを超えるまでは図の上方向のみに成長する。その後、撥液層66cの厚さtを超えると、図6(b)に示すように、撥液層66cによる制限を失った第2金属層64は等方的(全方位的)に成長する。このため、最終的に必要な第2金属層64の厚さをTとすると、図6(c)に示すように半径T−tの円弧状のR部64a(ノズル孔51のR部51aに相当)を有する第2金属層64を得ることができる。
つまり、第2金属層64のR部64aの半径は、最終的に必要な第2金属層64の厚さTと撥液層の厚さtの差(即ち、T−t)となるので、第1金属層62裏面の撥液層66cの幅がT−tとなるようにパターニングしておけばよい。これにより、厚さTの第2金属層64が得られると同時に、第2金属層64の(ノズル孔51側)先端部は撥液層66のエッジ部Pに一致することになる。この結果、ノズル孔51内面は、段差が生じることなく、R部51aからストレート部51bに沿って連続的な面で構成されるので、ノズル孔51内部におけるインク流れがスムーズになり、ノズル51から吐出されるインク滴の吐出安定性が向上する。
第1金属層62と第2金属層64は同一金属でもよいし、異種金属でもよい。例えば、第1金属層62をNi(ニッケル)、第2金属層64をNiFe合金にする態様もある。第1金属層62には、NiCo(ニッケルコバルト)のように薄くて硬い材料が好ましく、ノズルプレート製造時のハンドリング性を向上させることができる。
また、第1金属層62の表面から孔部62aを介して裏面に沿ってコ字状に撥液層66を形成するとともに、オーバーハング電鋳によって第1金属層62裏面側に第2金属層64を形成したことにより、第1金属層62の厚さに応じてノズル孔51内面への撥液層66の入り込み量を精度良く制御することができるとともに、ノズル孔51内部やノズルプレート60の表面(インク吐出側の面)に撥液層66端部(即ち、第1金属層62裏面の撥液層66c)が露出していないので撥液層66の耐久性が向上する。
図7は、本実施形態のノズルプレート60の製造方法を他の例(第2の製造方法)を示した説明図である。本例では、図7(a)に示すように、第1金属層62裏面側に保持部材74′を吸着させた状態において、撥液層66の形成をフッ素系樹脂の電着塗装で行う。このとき、保持部材74′の表面を非導電化しておくとともに、保持部材74′には、第1金属層62裏面の撥液層66が後のオーバーハング電鋳で必要となる所望の形状(図5(g)参照)に最初からパターニングされるような開口が形成されているものを用いる。
電着塗装は、被着物(本例の場合、第1金属層62)を陽極とするアニオン型電着塗装法と、被着物を陰極とするカチオン型電着塗装があり、どちらの方法でも使用できるが、カチオン型電着塗装法の方が金属イオンの溶出が無いため精度維持のためには好ましい。フッ素系樹脂の電着塗装としては、株式会社シミズエレコートナイスロンなどが挙げられる。膜厚は、5〜20μm程度に設定できる。
電着塗装を行った後、第1金属層62から保持部材74′を剥離すると、図7(b)に示すように、第1金属層62の表面及び孔部62a内面とともに、第1金属層62裏面に所望の形状にパターニングされた撥液層66を得ることができる。なお、他の工程については、上述した第1の製造方法(図5参照)と同様であるので説明を省略する。
本製造方法によれば、第1の製造方法のような撥液層66のパターニング工程(図5(f))を削減することができるので生産性が向上する。
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。以下、第1の実施形態と共通する部分については説明を省略し、本実施形態の特徴的な部分を中心に説明する。
図8は、第2の実施形態におけるノズルプレート160の一部を示した断面図である。図8に示すように、本実施形態のノズルプレート160は、第1金属層162、第2金属層164、及び撥液層166の3種類の層から構成される点は第1の実施形態のノズルプレート60と同様であるが、ノズル孔151の形状が異なる。
第1金属層162に形成される孔部162aは、第1の実施形態の孔部62のようなストレート状(円筒状)ではなく、インク吐出側(図8の下側)に向かって先広がりとなる逆テーパ状(円錐台状)に構成されている点で相違する。
本実施形態のノズルプレート160に形成されるノズル孔151は、インク吐出側に向かって先細となるラッパ状(円弧状)に構成されたR部151aと、インク吐出側に向かって先広がりとなる逆テーパ状(逆円錐台状)に構成された逆テーパ部151bとから成る。R部151aはインク流入側(図8の上側)に配置され、逆テーパ部151bはインク吐出側に配置されており、ノズル孔151内部は第2金属層164と撥液層166の境界位置で括れた形状となっている。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、第1金属層162の表面から孔部162a内面を介して裏面に沿ってコ字状に撥液層166が形成されており、第1金属層162の厚さに応じてノズル孔151内面への撥液層166の入り込み量を精度良く制御可能であるとともに、ノズル孔151が第2金属層164と撥液層166の境界位置において括れた形状になっているので、メニスカスのクリップポイントが更に明確化され、流路抵抗も下がる。よって、ノズル151から吐出されるインク滴の吐出特性が安定化し、吐出効率も向上する。
図9は、第2の実施形態のノズルプレート160の製造方法の一例(第3の製造方法)を示した説明図である。まず、図9(a)に示すように、第1の実施形態と同様にして導電性基材170上に感光性樹脂層(レジスト層)172を形成した後、ノズル孔161に対応した開口部182aを有するマスク182を介して拡散光を感光性樹脂層172に照射する。例えば、図示するように、平行光を拡散板184及びマスク182を介して感光性樹脂層172に照射すればよい。その後、現像を行うと、図9(b)に示すように、導電性基材170上にテーパ状(円錐台状)の感光性樹脂層172(172a)を得ることができる。その後の工程は第1の実施形態と同様であるので詳細な説明は省略するが、電鋳により導電性基材170上に第1金属層(Ni電鋳層)162を形成し(図9(c))、第1金属層162裏面側に保持部材174を吸着させて第1金属層162を導電性基材170から剥離させ、そのままの状態で第1金属層162の孔部162a内面及び表裏面に撥液層166を形成し(図9(d))、必要に応じて第1金属層162裏面の撥液層166のパターニングを行った後、オーバーハング電鋳により第1金属層162の裏面側に第2金属層(Ni電鋳層)164を形成すればよい(図9(e))。
こうして、図8に示したように、本実施形態のノズルプレート160を得ることができる。本製造方法においても、図8に示すように、オーバーハング電鋳によって第2金属層164の(ノズル孔151側)先端を、第1金属層162の孔部162内面の撥液層166aと第1金属層162裏面の撥液層166cが交差するエッジ部P′に精度良く一致させることができる。従って、上述した第1及び第2の製造方法と同様に、ノズル孔151内部(特に、第2金属層164と撥液層166の境界位置)において段差を生じさせることなく、第1金属層162の厚さに応じてノズル孔151内部への撥液層166の入り込み量を精度良く制御することができるので、ノズル孔151内部におけるメニスカス位置を正確に規定することができ、吐出安定性が向上する。
なお、本明細書における「撥液」、「親液」の定義は、次のようなガラス基板表面のぬれ性試験方法(JIS R3257)により測定された接触角に基づいて行っている。即ち、図10に示すように、水平に置かれた試験片上に水滴を静置したとき、水滴の容量が4[μl]以下の場合には、水滴の形状は球の一部とみなすことができるので、接触角θと水滴の形状の間には、次の関係が成り立つ。
Figure 2008194903
ただし、水滴の試験片に接している面の半径をr[mm]、試験片表面から水滴の頂点までの高さをh[mm]とする。
rとhの測定から式(1)によって接触角θを求める。
rとhから求める方法の他に、光学的読取装置で図10の線AB(Bは水滴の頂点)を引き、線ABと試験片表面の間の角θ/2を直読し、これを2倍して接触角θを求めても良い。
このように測定した接触角θにおいて、一般的に接触角θが90度以下を親液性、90度以上を撥液性、150度以上を超撥液性というが、インクは一般的に表面張力が小さいため、インクジェットヘッド関連の場合、一般的な接触角90度以上という値を撥液性の目安とすることはできない(撥液剤を塗ってもインクで測定すると接触角90度以上にならない)。このため仮目標として、純水で接触角>100度、インクで接触角>60度を設定している。
本明細書において、「撥液」とは、上述した方法により測定された接触角θが、水で100度、インクで60度より大きい場合をいい、それ以外を「親液」という。
以上、本発明のノズルプレート及びその製造方法、並びに液体吐出ヘッド及び画像形成装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。例えば、被吐出媒体(ウエハ、プリント基板等)上に液体(水、処理液、レジスト等)を吐出させる液体吐出装置(ディスペンサ等)にも広く適用可能である。
インクジェット記録装置の概略を示す全体構成図 記録ヘッドの構造例を示す平面透視図 記録ヘッドの一部を示した概略断面図 ノズルプレートのノズル孔周辺部を示した拡大断面図 ノズルプレートの製造方法の一例を示した説明図 オーバーハング電鋳により第1金属層上に第2金属層が形成される様子を示した説明図 ノズルプレートの製造方法の他の例を示した説明図 第2の実施形態におけるノズルプレートの一部を示した断面図 第2の実施形態におけるノズルプレートの製造方法の一例を示した説明図 ぬれ性試験方法の説明図
符号の説明
10…インクジェット記録装置、50…記録ヘッド、51…ノズル、52…圧力室、54…インク供給口、55…共通流路、60…ノズルプレート、62…第1金属層、64…第2金属層、66…撥液層、70…導電性基材、72…感光性樹脂層、74…保持部材

Claims (5)

  1. ノズル孔に対応する孔部が形成される第1金属層と、
    前記第1金属層の表面及び前記孔部の内面とともに、前記第1金属層の裏面の前記孔部の開口周辺領域に形成される撥液層と、
    前記第1金属層の裏面側に形成される第2金属層と、を備え、
    前記第1金属層の裏面の前記撥液層は、前記第1金属層と前記第2金属層との間に挟まれていることを特徴とするノズルプレート。
  2. ノズル孔に対応する孔部を有する第1金属層を形成する工程と、
    前記第1金属層の表面及び前記孔部の内面とともに、前記第1金属層の裏面の前記孔部の開口周辺領域に撥液層を形成する工程と、
    オーバーハング電鋳によって、前記第1金属層の裏面の撥液層を覆うように、前記第1金属層の裏面側に第2金属層を形成する工程と、
    を含むことを特徴とするノズルプレートの製造方法。
  3. 前記第1金属層の孔部は、前記第1金属層の裏面側から表面側に向かって先広がりとなる逆テーパ状であることを特徴とする請求項2に記載のノズルプレートの製造方法。
  4. 請求項1に記載のノズルプレートを備えたことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  5. 請求項4に記載の液体吐出ヘッドを備えたことを特徴とする画像形成装置。
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