JP2008194746A - B及びnを含有する鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

B及びnを含有する鋼の連続鋳造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】B及びNを含有する鋼を、特に垂直曲げ型連続鋳造機を使って連続鋳造する際に発生する、鋳片の表面割れを防止する連続鋳造方法を提供する。
【解決手段】垂直曲げ型連続鋳造機により溶鋼を連続鋳造する方法であって、前記溶鋼が、質量%で、C:0.12〜0.17%、Si:0.20〜0.55%、Mn:1.00〜1.60%、S:0.005%以下、P:0.030%以下、Al:0.010〜0.200%、B:0.0005〜0.0020%、N:0.0020〜0.0100%、残部はFeおよび不純物である鋼組成を有し、前記連続鋳造機内で鋳片が曲げ応力を受ける領域内では鋳片の幅中央部の表面温度を950〜1150℃、コーナー部の表面温度を830〜910℃とし、かつ、連続鋳造機内で鋳片が矯正応力を受ける領域内では鋳片の幅中央部の表面温度を750〜950℃、コーナー部の表面温度を700〜800℃として連続鋳造する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、Bを0.0005〜0.0020質量%含有し、かつ、Nを0.0020〜0.0100質量%含有する鋼(以下、「B及びNを含有する鋼」という。)を、特に垂直曲げ型連続鋳造機により連続鋳造する際の鋳片表面割れ発生を防止する連続鋳造方法に関する。
溶接熱影響部特性改善のため、B及びNを含有する鋼が製造されている。しかし、一般にN含有鋼、B含有鋼の連続鋳造鋳片は、横ヒビ割れ、コーナー割れなどの表面割れが発生し易いと言われており、疵発生時は圧延前に鋳片の疵を溶削・切削し除去する必要がある。このため、歩留まり悪化が見られたり、連続鋳造後に鋳片の直送圧延が困難となって、エネルギーロスが大きくなったりするという欠点が見られる。
従来も、B含有鋼の表面割れを防止するための手段がいくつか提案されている。例えば、特許文献1の開示する方法は、表層のB含有濃度を低下させ、割れを抑制する方法である。特許文献2には、B含有濃度を30ppm以上とすること、及び30ppm以下の時にはN含有濃度との関係で特定領域に制御すること、更にはデルタT(断面収縮率が60%となる温度域の広さ)を50℃以下にすることにより割れを抑制する方法が開示されている。特許文献3では鋳込み速度に応じてB、N、O濃度を制御する方法が開示されており、特許文献4には成分濃度に応じて鋳込み速度を調整する方法が開示されている。
特許文献5には、鋳片横ヒビ割れを防止するためには、2次冷却帯の上部を強制冷却して鋳片表面温度を一旦650〜750℃に冷却することによりγ→α変態させた後、ゆるやかに復熱させ、鋳片矯正部における鋳片表面温度を脆化温度域より低温側に回避する方法が開示されている。
特開昭56−20119号公報 特開昭56−80354号公報 特開平6−297088号公報 特開2002−20836号公報 特公昭58−3790号公報
しかしながら、特許文献3のような手段では、連続鋳造前において鋼中成分濃度を制御するために、特別な装置と工夫が必要と考えられる。
また、特許文献4のような手段も、鋳込み速度を調整した場合、連続鋳造機内での最終凝固位置が変化するため、中心偏析に悪影響を及ぼす恐れがあるため、別の対策を合わせて行う必要がある。
さらに、特許文献5には鋳片横ヒビ割れを防止するための鋳片冷却パターンが開示されているものの、その方法は鋳片の矯正のみを伴う湾曲型連続鋳造機を使用する場合に限られている。近年では、鋳造速度の高速化および鋳造材質の高品質化への対応が容易な垂直曲げ型連続鋳造機の使用が主流となっているが、このような鋳片の曲げと矯正とを伴う連鋳機を使った場合については、特許文献5では何も言及していない。したがって、特許文献5に開示された方法では、垂直曲げ型連続鋳造機における割れを防止するための鋳片冷却パターンとして、必ずしも適切とは言えない可能性がある。
ここに、本発明の課題は、B及びNを含有する鋼を、特に垂直曲げ型連続鋳造機を使って連続鋳造する際に発生する、鋳片の表面割れを防止する連続鋳造方法を提供することである。
より具体的には、本発明の課題は、B:0.0005〜0.0020%、N:0.0020〜0.0100%含有するB及びNを含有する鋼を、垂直曲げ型連続鋳造機を使って連続鋳造する場合に生じる横ヒビ割れやコーナー部割れを、安価な手段で防止できる連続鋳造方法を提供することである。
本発明者らはかかる課題を解決すべく、種々検討を行なった結果、次のような知見を得た。
(i)B添加鋼による連続鋳造鋳片の表面割れの原因は、鋳片表面のオーステナイト粒界に過剰に析出した窒化ホウ素(BN)の存在が主であり、垂直曲げ型連鋳機内の鋳片曲げ部および鋳片矯正部において、強い曲げまたは矯正応力が加わるときに鋳片表面に割れが発生する。
したがって、連続鋳造の際の表面割れの防止は、NとともにBを含有する溶鋼の連続鋳造時には特に顕著に表れる技術課題である。
(ii)BNを析出させないためには、連続鋳造時の二次冷却によって凝固初期の鋳片表層部の冷却速度を上げ、BとNを固溶状態で凝固させる方法が必要である。凝固初期の冷却速度を上げるため、例えば片面300L/min/m〜600L/min/m程度の大流量の冷却水で冷却を行うこともあるが、これほどの冷却を行うと、今度は、温度が低下しやすい鋳片コーナー部は過冷状態となり、B及びNを含有する鋼では割れが発生し易くなる。
(iii)一般に、鋳片の表面割れの発生は、連続鋳造の二次冷却時に鋳片表面温度が、熱間での延性が低下する温度にまで降下してしまい、このときに熱応力、機械的な曲げ・矯正応力を受けることに起因することが知られている。曲げ・矯正部での表面温度を延性が低下する温度以上に保つためには、二次冷却の冷却速度を遅くする必要がある。しかし、鋳片コーナー部は冷却されやすいため、曲げ・矯正応力を受ける領域での鋳片コーナー部の表面温度を延性が低下する温度以上に安定的に維持することは容易ではない。
このように表面割れを防止する上記2つの方法は相反するものであり、これらの方法を単に組み合わせて実操業に適用することは、従来は困難であった。
本発明者は上記の知見に基づいてさらに検討を進めた。その結果、鋳片凝固初期の冷却速度を上げ、更に、鋳片の曲げ・矯正部において延性が低下する温度域を低温側に回避させる二次冷却方法を適用することにより、BNの析出防止と延性低下防止とを連続鋳造時において同時に満足させることが可能であり、その結果鋳片表面割れを防止できるという新たな知見を得て、本発明を完成させた。
すなわち、鋳片冷却パターンを適切にコントロールすることでBNの析出防止と延性低下防止とを実用的な範囲で両立させることが可能であることを見出し、変形応力が加えられる「曲げ部」及び「矯正部」における「鋳片の幅中央部」及び「鋳片のコーナー部」の鋳片表面温度を制御するという技術思想を創出するに至った。
ここに、本発明は、連続鋳造鋳型に直結する垂直部、それに続く曲げ部、湾曲部、矯正部、そして水平部を備えた垂直曲げ型連続鋳造機により溶鋼を連続鋳造する方法であって、前記溶鋼が、重量%で C:0.12〜0.17%、Si:0.20〜0.55%、Mn:1.00〜1.60%、S:0.005%以下、P:0.030%以下、Al:0.010〜0.200%、B:0.0005〜0.0020%、N:0.0020〜0.0100%、残部はFeおよび不純物である鋼組成を有し、前記連続鋳造機内で鋳片が曲げ応力を受ける前記曲げ部の領域内では鋳片の幅中央部の表面温度を950〜1150℃、コーナー部の表面温度を830〜910℃とし、かつ、連続鋳造機内で鋳片が矯正応力を受ける前記矯正部の領域内では鋳片の幅中央部の表面温度を750〜950℃、コーナー部の表面温度を700〜800℃として連続鋳造することを特徴とする、B及びNを含有する鋼の連続鋳造方法である。
本発明の好適態様にあっては、連続鋳造機内で、鋳片幅1600〜2300mm、鋳片厚210〜300mm、鋳造速度0.9〜1.6m/minを満たしつつ、少なくとも前記連続鋳造機内で鋳片が曲げ応力を受ける前記の領域内では下記(1)式により規定される二次冷却水量を120〜160[L]とし、かつ、前記連続鋳造機内で鋳片が矯正応力を受ける前記の領域内では下記(1)式により規定される二次冷却水量を60〜80[L]とすればよい。
Figure 2008194746
ここで、
Q:水量密度[L/min・m]、
L:冷却区間の長さ[m]、
W:冷却区間の幅[m]、
T:鋳片厚[m]、
Vc:鋳造速度[m/min]
であって、
曲げ応力を受ける領域内でのQ:30〜140、
矯正応力を受ける領域内でのQ:0〜50
である。
本発明によれば、連鋳機内部での鋳片表面温度を特定範囲に制御する冷却パターンを適用するだけで、鋳片表面割れの発生を防止することが出来た。
また、本発明により、圧延前の鋳片の手入れ量が減少し、生産性の向上が図れるようになった。
1.鋼組成
本発明における鋼の化学成分の限定理由について説明すると次の通りである。本明細書において鋼組成を示す「%」はとくにことわりがない限り、「質量%」である。
C:Cは母材及び溶接時の熱影響部(HAZ部)の強度を確保するために必要な元素であり、下限を0.12%とする。また、過剰に存在すると靭性に悪影響を及ぼすので、上限を0.17%とした。
Si:Siは予備脱酸時、鋼中に含まれる元素である。鋼の強度を増す効果もあり、下限を0.20%とした。また、過剰に添加するとHAZ部での針状マルテンサイトの生成を助長するので、上限を0.55%とした。
Mn:Mnは母材及びHAZ部の強度を確保するのに必要な元素であり、酸化物中に含有されると好適であることから、下限を1.00%とした。しかし、過剰に添加した場合はHAZ部における靭性を低下させるので、上限を1.60%とした。
S、P:S、Pはいずれも不純物元素であるため極力低減させることが望ましいが、S:0.005%以下、P:0.030%以下であれば許容される。
Al:Alは脱酸のために精錬過程で添加されるが、必要以上に添加しても効果が無く、上限を0.200%とする。その一方で、添加が少な過ぎると鋳造の安定性に悪影響を及ぼすので、下限を0.010%とする。
B:Bは母材強度を向上させるために有効な元素であり、また少量の添加によってHAZ部の靭性を改善できる。よって、その含有量は0.0005〜0.0020%の範囲に限定する。
N:Nは溶接加工時にBNを析出させる必要があるため、B量に見合う0.0020〜0.0100%とする。
2.温度制御
本発明を創出するに当たって行なった試験調査を最良の形態の一態様として説明し、その結果得られた鋳片表面の好適な温度分布制御について説明する。
[1]連続鋳造機
試験調査で使用した連続鋳造機は、連続鋳造鋳型に直結する垂直部、それに続く曲げ部、湾曲部、矯正部、そして水平部を備えており、それぞれにおいて鋳片は水冷されている垂直曲げ型連続鋳造機である。
この形式の連続鋳造機では、連続鋳造鋳型から引き抜かれた鋳片は、垂直部を経て、まず、曲げ部に入り、これらの領域において曲げ応力を受け、次いで湾曲部に入る。湾曲部では表面割れを引き起こすおそれのある程の曲げ応力は受けることがない。
ここで、「曲げ部」とは、連続鋳造機の設計上決まる部分であり、鋳型及び鋳型直下の垂直部分に続いていて、垂直に降りてきた鋳片を連続鋳造機の湾曲部の湾曲面(円弧)に合わせるべく鋳片に曲げ応力を加える部分である。
「矯正部」とは、同じく連続鋳造機の設計上決まる部分であり、湾曲部に続いていて、円弧に沿って降りてきた鋳片を連続鋳造機の外側へ水平に引き出すべく、円弧状の鋳片を水平に矯正する応力を加える部分である。
試験調査で使用した連続鋳造機の具体的な構造について説明する。
鋳型内の溶鋼高さを含む装置全体の長さ28.4mであり、その各部の寸法、つまり鋳型出口からの距離は下記のとおりである。
垂直部:0〜1.7m、曲げ部1.7〜3.3m、湾曲部3.3〜15.8m、矯正部15.8〜18.6m、水平部18.6〜27.6m。
なお、垂直部、湾曲部、水平部の各部においては、鋳片には変形応力が加わらないように設計されている。
[2]冷却条件
前述の組成の溶鋼550tを、鋳片幅1600〜2300mm、鋳片厚210〜300mm、鋳造速度0.9〜1.6m/minの条件において冷却した。その冷却条件の設定に当たっては下記パラメータを使い、垂直曲げ型連続鋳造機の垂直部、矯正部等の各区間の冷却水量を下記(1)式の上下限A、Bの間になるように調整した。
Q:水量密度[L/min・m]、・・・L:リットル
L:冷却区間の長さ[m]、
W:冷却区間の幅[m]、
T:鋳片厚[m]、
Vc:鋳造速度[m/min]
Figure 2008194746
試験調査におけるA、Bの具体的な値は下表のとおりであった。
Figure 2008194746
ここにおいて、(1)式に含まれる各変数の数値範囲は、調査範囲においては、
W:冷却区間の幅[m]、=1.6 〜 2.3
T:鋳片厚[m]、=0.21 〜 0.30
Vc:鋳造速度[m/min]=0.9 〜 1.6
であり、
曲げ部
Q:水量密度[L/min・m]、=30 〜 140
L:冷却区間の長さ[m]、=1.6を中心として、1.0〜2.5
矯正部
Q:水量密度[L/min・m]、=0 〜 50
L:冷却区間の長さ[m]、=2.8を中心として、2.0〜4.0
であった。
曲げ部、矯正部での冷却水量を計算する場合、水量密度はそれぞれの領域内の複数の冷却水ノズルからの合計量を、鋳片各部が連続鋳造機を通過中に受けた積算平均値をもって検討した。
[3]鋳片表面の温度分布制御
試験調査の際には、「鋳片の幅中央部」及び「鋳片のコーナー部」の表面温度を鋳造中に常時測定し、鋳片各部が曲げ部および矯正部に存在する間の瞬間的な鋳造速度と鋳片表面温度を用いて、前記のパラメータ式により、水量密度を刻々調整して、鋳片表面温度を常時コントロールした。
ここで、「鋳片の幅中央部」とは、鋳片長辺側中心線の両側0.1mの範囲を示し、表面温度は鋳片長辺側中心線上であって、鋳片の引き出し方向の面上(円弧の内側)で曲げ部及び矯正部の各中央部分に設置した非接触型の放射温度計による温度測定値を示す。
「鋳片のコーナー部」とは、鋳片の角から0.1mの範囲を示し、表面温度は鋳片の角から0.05mの位置であって、鋳片の引き出し方向の面上(円弧の内側)で曲げ部及び矯正部の各中央部分に設置した非接触型の放射温度計による温度測定値を示す。
試験評価の結果得られた好適な鋳片表面の温度分布制御の概要は次のとおりである。
まず、曲がり応力が加えられる曲げ部において、コーナー部はその延性が低下する温度にまで冷却されてしまうことを避けながら、鋳片中央部はBNのオーステナイト結晶粒界への析出を抑制すべく急冷却する。
次に、矯正応力が加えられる矯正部において、BNのオーステナイト結晶粒界への析出を抑制できる範囲で、かつコーナー部が延性の低下する温度にまで冷却されてしまうことを回避するように緩冷却する。
鋳片表面における温度分布制御の詳細は次のとおりである。
(ア)まず、凝固初期に急速冷却する。この場合、冷え難いのは鋳片中央部であるから、曲げ部までにこの領域を1150℃以下とすることが重要である。1150℃より高くすると、その後の工程においてBNが析出しやすくなってしまう。但し、曲げ部内で950℃未満になってしまうまで冷やすと、曲げ部での鋳片コーナー部を830℃以上に保つことが困難となる。したがって、曲げ部での鋳片中央部の適切な温度範囲は1150〜950℃である。
(イ)一方、鋳片の曲げ部においては鋳片温度が低く過ぎないようにする。この場合、冷え易いのは鋳片コーナー部であるから、曲げ部においてこの領域を830℃以上とすることが重要である。830℃より低くすると、鋳片コーナー部での延性が低下して表面割れが発生しやすくなる。但し、910℃を超えるとBN析出の増進が懸念される。したがって、曲げ部における鋳片コーナー部の適切な温度範囲は910〜830℃である。
(ウ)また、連続鋳造中、特に矯正部において鋳片表層部の温度が大きく復熱させないようにして、BNの析出を抑制する。連続鋳造中には、鋳片内部に未凝固層が残っているために、鋳片冷却を弱め過ぎると鋳片表層部が高温になることがあり、その場合にはBNの析出量が増進されやすくなる。この場合、復熱し易いのは鋳片中央部であるから、曲げ矯正部においてこの領域が950℃以下とすることが重要である。但し、750℃未満まで冷やすと、矯正部での鋳片コーナー部を700℃以上に保つことが困難となるので、矯正部における鋳片中央部の適切な温度範囲は950〜750℃である。)
(エ)一方、鋳片コーナー部は、冷え易いため、鋳片コーナー部が鋳片の矯正部において700℃以上になるようにする。但し、この領域の温度が800℃を超えると、鋳片中央部では950℃を超えてしまうため、矯正部における鋳片コーナー部の適切な温度範囲は800〜700℃である。
このような温度分布制御を実現するためには、水量密度とそれによる冷却範囲、鋳片厚、鋳造速度を、連続鋳造機の各部(垂直部、曲げ部、湾曲部、矯正部)においてそれぞれ適正範囲になるように、鋳造中にコントロールするとよい。特に、曲げ部および矯正部における(1)式のパラメータ式の二次冷却水量を、それぞれ120〜160[L]、60〜80[L]とすれば、上記のような鋳片の温度分布制御を容易に実現できる。
なお、矯正部の後に水平部があるが、その水平部における鋳片冷却は、B及びNを含有する鋼の連続鋳造時に発生する鋳片の表面割れとの関連性が少ないので、各操業条件に応じて適宜冷却すればよい。
次に、本発明の実施例及び比較例に基づいて本発明の作用効果をより具体的に説明する。
本発明の作用効果を確認するために用いた連続鋳造機の仕様は、鋳型内の溶鋼高さを含む装置全体の長さ28.4mであって、垂直部、曲げ部、湾曲部、矯正部、そして水平部から構成され、各部の寸法、つまり鋳型出口からの距離は下記の通りであった。
垂直部:0〜1.7m、曲げ部1.7〜3.3m、
湾曲部3.3〜15.8m、
矯正部15.8〜18.6m。
水平部18.6〜27.6m。
鋳片のサイズは幅2300mm、厚み250mm〜300mmであった。
鋳造に用いた鋼の成分は、C:0.12〜0.17%、Si:0.20〜0.55%、Mn:1.00〜1.60%、S:0.005%以下、P:0.030%以下、Al:0.010〜0.200%、B:0.0005〜0.0020%、N:0.0020〜0.0100%、残部はFeおよび不純物を含有する鋼であった。
本例では上記組成の各種溶鋼を上記連続鋳造機を用いて連続鋳造した。鋳込時の溶鋼の温度は1535〜1560℃であった。このときの連続鋳造機の各部の冷却条件は表1の条件下で行い、比較例では鋳型直下急冷とし、また別の比較例では弱冷を行った。
図1、2は各冷却パターンの鋳片表面温度を示す。各冷却パターンでの鋳片表面温度推移の例を、図1(中央部)、図2(コーナ部)にまとめて示す。
各冷却パターンは、以下の通りであった。
冷却I:比較例のパターン(鋳型直下急冷)
冷却II:比較例のパターン(弱冷)
冷却III:本発明のパターン
本例の結果を表2ないし表4にまとめて示す。 表2、表3は冷却I、IIのパターンに、表4は冷却IIIのパターンに相当するものである。
Figure 2008194746
Figure 2008194746
Figure 2008194746
図1、図2は、冷却I、II、IIIのパターン毎に、曲げ部、矯正部における幅中央部およびコーナー部における鋳片表面温度の変化をそれぞれ示すグラフであり、本発明によれば、従来例と異なり、曲げ部では比較的高温に保持し、矯正部ではかなり低温に保持されていることが分かる。
より具体的に云えば、図1、2からも分かるように、比較例のパターンである冷却Iを適用したときの表面温度は次の通りであった。
曲げ部:幅中央部1050〜1000℃、コーナー部900〜820℃、
矯正部:幅中央部930〜880℃、コーナー部730〜680℃。
また、冷却II適用を適用したときの表面温度は次の通りであった。
曲げ部:幅中央部1140〜1040℃、コーナー部930〜850℃、
矯正部:幅中央部990〜930℃、コーナー部720〜760℃。
本発明の冷却パターンである冷却IIIを適用した場合、表面温度は次の通りであった。
曲げ部:幅中央部1100〜1000℃、コーナー部900〜830℃、
矯正部:幅中央部860〜820℃、コーナー部770〜740℃。
このように本発明によれば、この成分の鋼の脆化温度域を回避していることが分かる。
表面品質確認は、鋳造後の鋳片の表面を片面1.5mmずつ溶削後、目視で観察を行った。
先ず、冷却パターンIでは、鋳造中に連続鋳造機内の水平部で上側にあった広面の両側コーナー部、及び、それに接する両狭面(側面)の上側コーナー部に、鋳片表面割れが発生していた。これは、この冷却パターンを採用した場合の典型的な割れ発生形態である。即ち、鋳型下部で鋳片表面を強冷却した結果、鋳片凝固初期の冷却は速く、BとNの固溶状態での表層部凝固は達成できたと考えられる。しかし、鋳片コーナー部の冷却過剰が避けられず、連続鋳造機の鋳片曲げ部での鋳片コーナー部温度が低かった。その結果、その後の鋳片矯正部での鋳片コーナー部温度も低くなり、延性が低下した温度域で引っ張り応力が鋳片に働いたために、鋳片の上面側コーナー部に割れが発生したと考えられる。
次に、冷却パターンIIでは、鋳造中に連続鋳造機内の水平部で上側にあった広面の全体(両側コーナー部を除く)に、鋳片表面割れが発生していた。これも、この冷却パターンを採用した場合の典型的な割れ発生形態である。即ち、鋳片コーナー部の冷却過剰を避けるために鋳型下部で鋳片表面冷却を抑制した結果、鋳片曲げ部での鋳片表面温度は高めであった。その後も、鋳片コーナー部の温度低下を避けるべく鋳片冷却水量を少なくしていた結果、鋳片のコーナー部温度は760〜720℃と管理目標内に収まった。しかし、鋳片中央部の表面温度は990〜930℃と管理目標値を上回ってしまい、BNが析出してしまった結果、鋳片矯正部で引っ張り応力を受けて表面割れが発生したと考えられる。
一方、本願発明である冷却パターンIIIでは、鋳片広面にも鋳片狭面にも、鋳片表面割れは観察されなかった。
これらの結果からも分かるように、本発明によれば、特別の装置などを必要とせずにB含有中N鋼の連続鋳造を行っても、実質上、表面疵は見られず、本発明の効果が大きいことが分かる。
各冷却パターンにおける鋳込み長と鋳片幅中央部表面温度の関係を示すグラフである。 各冷却パターンにおける鋳込み長と鋳片コーナー部表面温度の関係を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 垂直曲げ型連続鋳造機により溶鋼を連続鋳造する方法であって、前記溶鋼が、質量%で、C:0.12〜0.17%、Si:0.20〜0.55%、Mn:1.00〜1.60%、S:0.005%以下、P:0.030%以下、Al:0.010〜0.200%、B:0.0005〜0.0020%、N:0.0020〜0.0100%、残部はFeおよび不純物である鋼組成を有し、
    前記連続鋳造機内で鋳片が曲げ応力を受ける領域内では鋳片の幅中央部の表面温度を950〜1150℃、コーナー部の表面温度を830〜910℃とし、かつ、連続鋳造機内で鋳片が矯正応力を受ける領域内では鋳片の幅中央部の表面温度を750〜950℃、コーナー部の表面温度を700〜800℃として連続鋳造することを特徴とする、B及びNを含有する鋼の連続鋳造方法。
  2. 前記連続鋳造機内で、鋳片幅1600〜2300mm、鋳片厚210〜300mm、鋳造速度0.9〜1.6m/minを満たしつつ、少なくとも前記連続鋳造機内で鋳片が曲げ応力を受ける前記の領域内では下記(1)式により規定される二次冷却水量を120〜160[L]とし、かつ、前記連続鋳造機内で鋳片が矯正応力を受ける前記の領域内では下記(1)式により規定される二次冷却水量を60〜80[L]とすることを特徴とする、請求項1記載のB及びNを含有する鋼の連続鋳造方法。
    Figure 2008194746
    ここで、
    Q:水量密度[L/min・m
    L:冷却区間の長さ[m]、
    W:冷却区間の幅[m]、
    T:鋳片厚[m]、
    Vc:鋳造速度[m/min]
    であって、
    曲げ応力を受ける領域内でのQ:30〜140、
    矯正応力を受ける領域内でのQ:0〜50
    である。
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