本発明は、射出成形機に金型ユニットを取付ける際に当該金型ユニットが逆方向に取付けられるのを防止する金型ユニット逆取付防止機構に関する。
射出成形機においては固定側金型と可動側金型となからる金型を用い、その際に固定側金型を固定プラテンに固定し、可動側金型を可動プラテンに固定して、当該可動プラテンを固定プラテンに向って進退させることにより、金型の型開閉を行なっている。
金型の型閉めにより、その内部に製品の外観をなす略密閉空間のキャビティが形成され、該キャビティにノズルから溶融した樹脂が注入されることにより射出成形が行われる(特許文献1参照)。
このような金型は、一般に大きくかつ重いため、取付けに際してはクレーン等により吊り上げながら各プラテンにネジ止め等して固定するようになっている。
従って、近年のように製品が少量多品種化すると頻繁に金型交換を行う必要が生じ、その労力が膨大になる問題があった。加えて、小さい製品を成形する場合でも大きなサイズの金型を用いなければならず経済性が悪い問題があった。
このような観点から従来の金型を、金型部分が作り込まれたユニットと、プラテンに固定されると共にユニットが脱着可能に設けられたホルダとに分ける構成が提案されている。
金型は、固定側と可動側とからなるため、ユニットも固定側ユニット及び可動側ユニットにより構成され、ホルダも固定側ホルダ及び可動側ホルダにより構成されることになる。
そして、プラテンに予め固着されたホルダにユニットを装着して射出成形する。
ユニットは製品毎に準備され、そのサイズは製品に対応したサイズであるため、従来のように小さな製品でも大きなサイズの金型を用いる必要が無くなる(特許文献2参照)。
ホルダの交換頻度は少ないため取付けに際して十分な注意を払うことが可能であるが、ユニットの交換頻度は多いためホルダに対して上下関係を逆にして取り付けてしまうことがある。そこで、従来は、上下関係が視認できるように例えば刻印等をユニットに付している。
特開平6−339962号公報
特開2005−306028号公報
しかしながら、ユニットが汚れていたり、キズが付いていたりして刻印が正確に認識できない場合や刻印を確認した後の取付作業中にユニットの上下関係を逆にしてしまう場合があった。この結果、成形機に対してユニットの上下関係が逆になったり、ユニット間で上下関係が逆になったりして、型閉めした際にキャビティが正しく形成されず金型を壊してしまう不都合が生じていた。
ユニット間での上下関係が正しい場合でも成形機に対する上下関係が逆の場合には、例えば成形品をロボットで取出すよういな場合に取出ができず、またロボットが金型に衝突して金型が破損したりロボットが損傷を受けたりする問題がある。
そこで、本発明は、成形機に対するユニットの上下関係やユニット間の上下関係が常に正しく取付けることができるようにする金型ユニット逆取付防止機構を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、固定側金型が設けられた固定側ユニット及び可動側金型が設けられた可動側ユニットを成形機に固着された固定側ホルダ及び可動側ホルダに取付ける際に、固定側ユニット又は可動側ユニットのいずれかが上下逆取付されるのを規制する金型ユニット逆取付防止機構において、該逆取付防止機構が、固定側ホルダ又は可動側ホルダに設けられたホルダ位置規制部と、固定側ユニット又は可動側ユニットのホルダ位置規制部と対応する位置に形成されて、当該ユニットとホルダ位置規制部との干渉を逃げるユニット位置規制部とを設けたことを特徴とする。
これにより、固定側ユニット又は可動側ユニットのいずれかを上下逆に取付けようとしても、固定側ホルダ又は可動側ホルダに設けられたホルダ位置規制部が固定側ユニット又は可動側ユニットと干渉するため、逆取付けができなくなる。一方、固定側ユニット又は可動側ユニットが正しい上下関係であれば、ホルダ位置規制部の形状に対応したユニット位置規制部により、当該干渉が回避されて取付けが可能になる。なお、本発明はホルダ位置規制部を固定側ホルダと可動側ホルダとのいずれか1方に設け、また双方に設ける場合を含んでいる。
また請求項2に係る発明は、固定側ホルダ及び可動側ホルダに固定側ユニット及び可動側ユニットを収納する収納部が設けられ、該収納部にホルダ位置規制部が設けられ、各ユニットのホルダ位置規制部と対応する位置にユニット位置規制部が設けられていることを特徴とする。
これにより、収納部を加工する際に加工残し領域等をを作るだけでホルダ位置規制部が形成され、特別な部材を用いることなく容易に当該ホルダ位置規制部が形成できる。また、ユニット位置規制部もホルダ位置規制部に対応した領域を削る等すればよいため、特別な部材を用いることなく容易に当該ホルダ位置規制部が形成できる。
本発明によれば、固定側ホルダ又は可動側ホルダにホルダ位置規制部を形成し、固定側ユニット又は可動側ユニットのホルダ位置規制部と対応する位置にユニット位置規制部を形成するため、ホルダ位置規制部とユニット位置規制部とが干渉しないときのみユニットが装着できるようになり、逆取り付けが防止できるようになる。
また、このようなホルダ位置規制部とユニット位置規制部はホルダやユニットの製造加工において削り残しや削り込みにより形成可能なので、別途部材を用意することなく簡単に設けることができる。
本発明の実施の形態を図を参照して説明する。図1は射出成形機1及び固定側ユニット7aと可動側ユニット7bとからなる金型ユニット7の構成を示す斜視図である。
なお、射出成形機1については、プラテンとホルダとが一体に形成された構造を示しているが、別体構造の成形機であっても良いことを付言する。
図1に示す射出成形機1は、材料を可塑化する可塑化部2、可塑化された材料を計量射出する射出部3、固定ホルダ9aに対して可動ホルダ9bを進退させる型締部4とを主要構成としている。固定ホルダ9aと可動ホルダ9bとを総称してホルダ9と記載する。
固定ホルダ9a及び可動ホルダ9bには凹状の収納部5a,5bが上下方向に設けられ、これらの左右縁部中央にクランプ機構11が設けられている。
また、固定ホルダ9a及び可動ホルダ9bには、各ユニット7a,7bを支持して、その取付高さ位置を規制するサポート板13が設けられている。なお、可動ホルダ9b側のサポート板は図示省略し、固定ホルダ9aと可動ホルダ9bとを総称してホルダ9と記載する。
収納部5a,5bには複数の入墨コーナがあり、その内の1つが他と異なる形状となっている。即ち、図1では固定ホルダ9a及び可動ホルダ9bの入墨の1が三角柱体で覆ったような凸状形状に設けられて、この部分が金型ユニット逆取付防止機構をなすホルダ位置規制部15a,15bをなしている。ホルダ位置規制部15a,15bは収納部5a,5bの入墨を加工する際に、入墨形状を直角形状とせずテーパ形状とすることにより形成される。このように、別途部材を用意することなく簡単にホルダ位置規制部15a,15bが形成できる特徴がある。
固定側ユニット7a及び可動側ユニット7bには、それぞれ固定金型8a及び図示しない可動金型が設けられると共に、各ユニット7の左右側面部には縦方向にクランプ溝10a,10bが設けられている。
そして、各ユニット7をホルダ9に装着し、そのクランプ機構11のレンチ穴14に六角レンチを挿入して内設されたボルトを締めてクランプ爪12を傾動させることによりユニット7を固定する。
また、固定側ユニット7aにはガイド穴16が1の対角線上に設けられ(図3参照)、可動側ユニット7bには当該ガイド穴16に挿嵌するガイドピン18が立設されている。これにより可動側ユニット7bと固定側ユニット7aと型閉めする際に、ガイドピン18がガイド穴16に案内されて固定側ユニット7aに対する可動側ユニット7bの位置が自動的に規定されるようになる。
固定側ユニット7aには裏面から表面(パーティング面)PLに向けて溶融樹脂をキャビティCに射出するためのプローブ19が挿入されるプローブ穴20が形成され(図2参照)、その先端はキャビティCのゲート穴に連通している。また、固定側ユニット7a及び可動側ユニット7bの裏面の出墨コーナの一端に金型ユニット逆取付防止機構をなすユニット位置規制部21a,21bが設けられている。このユニット位置規制部21a,21bは当該出墨コーナを切欠くことにより形成され、別途部材を用意することなく簡単に設けることができる特徴がある。
可動側ユニット7bの裏面側には所定間隔を介してボルト止めされた矩形板状の突出板22及びエジェクタ板23が設けられると共に、一端が突出板22とエジャクタ板23とで挟持され、他端が可動側ユニット7bを挿通して設けられた図示しない突出ピン及び型閉め時に先端が固定側ユニット7aのPL面に当接して押し戻されることにより突出板22等を元の位置に戻すためのリターンピン26等が設けられている。
なお、可動側ユニット7bの裏面とエジェクタ板23との間にバネを圧縮して配設すると、バネの復元力により可動側ユニット7bの型開きに応動して突出板22等が元の位置に戻るようになる。
このようなユニット7を成形機に取付ける際には、まず固定側ユニット7aを矢印Aの方向(図1参照)から固定ホルダ9aに宛う。このとき、プローブ穴20にプローブ19を挿入しながら固定側ユニット7aの下端をサポート板13に載置して固定側ユニット7aの取り付け高さを規定する。その後、六角レンチでクランプネジを締めることにより固定する。
図2はこのときの様子を示すプローブ19を通る水平部分断面図で、図2(a)は固定側ホルダ9aに固定側ユニット7aを装着する直前の様子を示し、図2(b)は固定側ユニット7aの上下関係が正しい場合、図2(c)は上下関係が逆の場合を示している。
上下関係が正しい場合には、ホルダ位置規制部15aとユニット位置規制部21aとは干渉しないため、固定側ユニット7aを固定側ホルダ9aに正しく取り付けることができる。
一方、上下関係が逆の場合は、ホルダ位置規制部15aが固定側ユニット7aと干渉するため、固定側ホルダ9aに固定側ユニット7aを取付けることができず、当該固定側ユニット7aの上下関係が逆であることが認識される。
固定側ユニット7aが正しく装着されると、可動側ユニット7bを矢印Bの方向(図1参照)から挿入してサポート板13に載置し、六角レンチ等によりクランプネジを締めて固定する。
このときも成形機1に対する可動側ユニット7bの上下関係が逆の場合にはホルダ位置規制部15bが可動側ユニット7bの出墨コーナに当たるため上下関係が逆であることが認識できる。
以上説明したように、本発明によると固定側ユニット7aや可動側ユニット7bを固定側ホルダ9aや可動側ホルダ9bに上下逆にして装着しようとした際にはホルダ位置規制部15a,15bが固定側ユニット7aや可動側ユニット7bに当接して装着できないようになる。一方、上下関係が正しい場合にはホルダ位置規制部15a,15bと当接を避けるようにユニット位置規制部21a,21bが形成されているので装着が可能になる。これらホルダ位置規制部15a,15b及びユニット位置規制部21a,21bはホルダやユニットの加工を調整するだけで設けることができる利点がある。
なお、上記説明では、ホルダ位置規制部15a,15bは凸状であり、ユニット位置規制部21は凹状であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、ホルダ位置規制部15a,15bを凹状とし、ユニット位置規制部21を凸状とする構成であっても良く、またこれらの形成位置はコーナ部分に限定しない。
さらに、上記説明では固定側ホルダ9aと可動側ホルダ9bとにホルダ位置規制部15a,15bを設け、固定側ユニット7aと可動側ユニット7bとにユニット位置規制部21a,21bを設けた場合について説明したが、固定側ホルダ9aと可動側ホルダ9bのいずれか一方にホルダ位置規制部を設け、これに対応して固定側ユニット7a又は可動側ユニット7bのいずれか一方にユニット位置規制部を設けてもよい。
固定側ホルダ9aと可動側ホルダ9bとにホルダ位置規制部15a,15bを設け、固定側ユニット7aと可動側ユニット7bとにユニット位置規制部21a,21bを設けた場合には、必然的に固定側ユニット7aと可動側ユニット7bとの相対的な上下関係も正しくなるが、一方にのみ設けた場合には固定側ユニット7aと可動側ユニット7bとの相対的な上下関係が常に正しくなるとは限らない。
このような場合には、図3に示すように、対角線K上の対称位置に設けられたガイド穴16を非対称位置に設けることにより固定側ユニット7aと可動側ユニット7bとの上下逆関係を防止することができる。図3は固定側ユニット7aの正面図を示した図で、同図において点線円は対称位置にガイド穴16を設けた場合であり、実線円は非対称位置にガイド穴16を設けた場合を示している。なお、ガイド穴16を非対称位置に設ける場合には、これに対応してガイドピン18も非対称位置に設ける。
一対のガイドピン18又はガイド穴16を非点対称位置に設けることにより、型閉めしようとするとガイドピン18が相手側のPL面に当接してそれ以上型閉めすることができなくなり取付け間違いであることが認識でき、金型を壊したりすることが防止できる。
また、図4に示すように、サポート板13の高さ位置及び左右位置を変え、これに対応して固定側ユニット7aに逃部25を形成することで、成形機に対する固定側ユニット7aの上下関係を規定することも可能である。図4はサポート板13の高さ位置及び左右位置を変えた固定側ホルダ9aに逃部25が形成された固定側ユニット7aを取り付ける様子を示している。
この場合、サポート板13がその形成位置を含めてホルダ位置規制部をなし、固定側ユニット7aに形成した逃部25がユニット位置規制部をなして金型ユニット逆取付防止機構を構成する。
同様に可動側ホルダ9bに設けられたサポート板の高さを変え、これに対応して可動側ユニット7bに逃部を形成することで、成形機に対する可動側ユニット7bの上下関係を規定することが可能である。この場合は、可動側ホルダ9bのサポート板がその形成位置を含めてホルダ位置規制部をなし、可動側ユニット7bに形成した逃部がユニット位置規制部をなして金型ユニット逆取付防止機構を構成する。
これにより、例えば固定側ユニット7aが逆の場合には、プローブ穴20にプローブ19が挿入できなくなるので、上下逆であることが認識できる。また可動側ユニットが逆の場合には、そのまま取り付けることができるが先に取り付けられた固定側ユニット7aと高さ位置が異なるため、ガイドピン18がガイド穴に挿入できず上下関係が逆であることが容易に認識できる。
本発明に係る金型ユニット逆取付防止機構を備える射出成形機及びユニット金型の斜視図である。
金型ユニット逆取付防止機構の作用を示すプローブを通る水平断面図で(a)は上下逆に固定側ユニットを取り付けようとした場合、(b)は上下関係が正しい場合の図である。
ガイドピンを非対称位置に設けた場合の可動側ユニットの正面図である。
固定側ホルダにサポート板を左右非対称に設けた場合の部分斜視図である。
符号の説明
1 射出成形機
5a,5b 収納部
7 金型ユニット
7a 固定側ユニット
7b 可動側ユニット
8a 固定金型
9a 固定ホルダ
9b 可動ホルダ
13 サポート板
15a,15b ホルダ位置規制部(金型ユニット逆取付防止機構)
16 ガイド穴
18 ガイドピン
21a,21b ユニット位置規制部(金型ユニット逆取付防止機構)
25 逃部
本発明は、ホルダに金型ユニットを取付ける際に、ホルダに対して金型ユニットが逆方向に取付けられたり、或いは当該金型ユニットを構成する可動側ユニットと固定側ユニットとが逆方向に取付けられたりするのを防止する金型ユニット逆取付防止機構に関する。
射出成形機においては固定側金型と可動側金型となからる金型を用い、その際に固定側金型を固定プラテンに固定し、可動側金型を可動プラテンに固定して、当該可動プラテンを固定プラテンに向って進退させることにより、金型の型開閉を行なっている。
金型の型閉めにより、その内部に製品の外観をなす略密閉空間のキャビティが形成され、該キャビティにノズルから溶融した樹脂が注入されることにより射出成形が行われる(特許文献1参照)。
このような金型は、一般に大きくかつ重いため、取付けに際してはクレーン等により吊り上げながら各プラテンにネジ止め等して固定するようになっている。
従って、近年のように製品が少量多品種化すると頻繁に金型交換を行う必要が生じ、その労力が膨大になる問題があった。加えて、小さい製品を成形する場合でも大きなサイズの金型を用いなければならず経済性が悪い問題があった。
このような観点から従来の金型を、金型部分が作り込まれたユニットと、プラテンに固定されると共にユニットが脱着可能に設けられたホルダとに分割構成する提案されている。
金型は、固定側と可動側とからなるため、ユニットも固定側ユニット及び可動側ユニットにより構成され、ホルダも固定側ホルダ及び可動側ホルダにより構成されることになる。そして、製品毎に準備したユニットをプラテンに固着されたホルダに装着して射出成形する(特許文献2参照)。
ホルダ
は交換頻度が少ないため
取付を間違えることも少ないが、ユニット
は交換頻度が多いため
取付けを間違えてホルダに対して上下
関係逆にしてしまうことがある。そこで、従来は、上下関係が視認できるように例えば
ユニットの所定位置に刻印等を付している。
特開平6−339962号公報
特開2005−306028号公報
しかしながら、ユニットが汚れていたり、キズが付いていたりして刻印が正確に認識できない場合や刻印を確認した後の取付作業中にユニットの上下関係を逆にしてしまう場合があった。この結果、成形機に対してユニットの上下関係が逆になったり、ユニット間で上下関係が逆になったりして、型閉めした際にキャビティが正しく形成されず金型を壊してしまう不都合が生じていた。
ユニット間での上下関係が正しい場合は成形機に対する上下関係が逆となり、例えば成形品をロボットで取出す際に、ロボットが金型に衝突して金型を破損させたりロボットが損傷を受けたりする問題がある。
そこで、本発明は、成形機に対するユニットの上下関係やユニット間の上下関係が常に正しく取付けることができるようにする金型ユニット逆取付防止機構を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、固定側金型が設けられた固定側ユニット及び可動側金型が設けられた可動側ユニットを成形機に固着された固定側ホルダ及び可動側ホルダに取付ける際に、固定側ユニット又は可動側ユニットが上下逆取付されるのを規制する金型ユニット逆取付防止機構において、固定側ホルダ及び可動側ホルダにホルダ位置規制部をそれぞれ設け、固定側ユニット及び可動側ユニットのホルダ位置規制部に対応するそれぞれの位置に形成されて、当該ユニットとホルダ位置規制部と雄雌関係をなして干渉を避けるユニット位置規制部を設けたことを特徴とする。
これにより、固定側ユニット又は可動側ユニットのいずれかを上下逆に取付けようとしても、固定側ホルダ又は可動側ホルダに設けられたホルダ位置規制部が固定側ユニット又は可動側ユニットと干渉するため、逆取付けができなくなる。一方、固定側ユニット又は可動側ユニットが正しい上下関係であれば、ホルダ位置規制部の形状に対応したユニット位置規制部により、当該干渉が回避されて取付けが可能になる。なお、本発明はホルダ位置規制部を固定側ホルダと可動側ホルダとのいずれか1方に設け、また双方に設ける場合を含んでいる。
また請求項2に係る発明は、各ホルダに各ユニットを収納する収納部が設けられ、該収納部の少なくとも1のコーナをテーパ形状にしてホルダ位置規制部を形成し、各ユニットにおけるホルダ位置規制部に対応するコーナを切欠いてユニット位置規制部を形成したことを特徴とする。
これにより、収納部を加工する際に加工残し領域等を作るだけでホルダ位置規制部が形成され、特別な部材を用いることなく容易に当該ホルダ位置規制部が形成できる。また、ユニット位置規制部もホルダ位置規制部に対応した領域を削る等すればよいため、特別な部材を用いることなく容易に当該ホルダ位置規制部が形成できる。
本発明によれば、固定側ホルダ又は可動側ホルダにホルダ位置規制部を形成し、固定側ユニット又は可動側ユニットのホルダ位置規制部と対応する位置にユニット位置規制部を形成するため、ホルダ位置規制部とユニット位置規制部とが干渉しないときのみユニットが装着できるようになり、逆取り付けが防止できるようになる。
また、このようなホルダ位置規制部とユニット位置規制部はホルダやユニットの製造加工において削り残しや削り込みにより形成可能なので、別途部材を用意することなく簡単に設けることができる。
本発明の実施の形態を図を参照して説明する。図1は射出成形機1及び固定側ユニット7aと可動側ユニット7bとからなる金型ユニット7の構成を示す斜視図である。
なお、射出成形機1については、プラテンとホルダとが一体に形成された構造を示しているが、別体構造の成形機であっても良いことを付言する。
図1に示す射出成形機1は、材料を可塑化する可塑化部2、可塑化された材料を計量射出する射出部3、固定ホルダ9aに対して可動ホルダ9bを進退させる型締部4とを主要構成としている。固定ホルダ9aと可動ホルダ9bとを総称してホルダ9と記載する。
固定ホルダ9a及び可動ホルダ9bには窪みが上下方向に伸びる凹状の収納部5a,5bが設けられ、これらの左右縁部中央にクランプ機構11が設けられている。
また、固定ホルダ9a及び可動ホルダ9bには、各ユニット7a,7bを支持して、その取付高さ位置を規制するサポート板13が設けられている。なお、可動ホルダ9b側のサポート板は図示省略し、固定ホルダ9aと可動ホルダ9bとを総称してホルダ9と記載する。
収納部5a,5bには複数の入角コーナがあり、その内の1つが他と異なる形状となっている。即ち、図1では固定ホルダ9a及び可動ホルダ9bの入角の1が三角柱体で覆ったような凸状形状に設けられて、この部分が金型ユニット逆取付防止機構をなすホルダ位置規制部15a,15bをなしている。ホルダ位置規制部15a,15bは収納部5a,5bの入角を加工する際に、入角形状を直角形状とせずテーパ形状とすることにより形成される。このように、別途部材を用意することなく簡単にホルダ位置規制部15a,15bが形成できる特徴がある。
固定側ユニット7a及び可動側ユニット7bには、それぞれ固定側金型8a及び図示しない可動側金型が設けられると共に、各ユニット7の左右側面部には縦方向にクランプ溝10a,10bが設けられている。
そして、各ユニット7をホルダ9に装着し、そのクランプ機構11のレンチ穴14に六角レンチを挿入して内設されたボルトを締めてクランプ爪12を傾動させることによりユニット7を固定する。
また、固定側ユニット7aにはガイド穴16が1の対角線上に設けられ(図3参照)、可動側ユニット7bには当該ガイド穴16に挿嵌するガイドピン18が立設されている。これにより可動側ユニット7bと固定側ユニット7aと型閉めする際に、ガイドピン18がガイド穴16に案内されて固定側ユニット7aに対する可動側ユニット7bの位置が自動的に規定されるようになる。
固定側ユニット7aには裏面から表面(パーティング面)PLに向けて溶融樹脂をキャビティCに射出するためのプローブ19が挿入されるプローブ穴20が形成され(図2参照)、その先端はキャビティCのゲート穴に連通している。また、固定側ユニット7a及び可動側ユニット7bの裏面の出角コーナの一端に金型ユニット逆取付防止機構をなすユニット位置規制部21a,21bが設けられている。このユニット位置規制部21a,21bは当該出角コーナを切欠くことにより形成され、別途部材を用意することなく簡単に設けることができる特徴がある。
可動側ユニット7bの裏面側には所定間隔を介してボルト止めされた矩形板状の突出板22及びエジェクタ板23が設けられると共に、一端が突出板22とエジャクタ板23とで挟持され、他端が可動側ユニット7bを挿通して設けられた図示しない突出ピン及び型閉め時に先端が固定側ユニット7aのPL面に当接して押し戻されることにより突出板22等を元の位置に戻すためのリターンピン26等が設けられている。
なお、可動側ユニット7bの裏面とエジェクタ板23との間にバネを圧縮して配設すると、バネの復元力により可動側ユニット7bの型開きに応動して突出板22等が元の位置に戻るようになる。
このようなユニット7を成形機に取付ける際には、まず固定側ユニット7aを矢印Aの方向(図1参照)から固定ホルダ9aに宛う。このとき、プローブ穴20にプローブ19を挿入しながら固定側ユニット7aの下端をサポート板13に載置して固定側ユニット7aの取り付け高さを規定する。その後、六角レンチでクランプネジを締めることにより固定する。
図2はこのときの様子を示すプローブ19を通る水平部分断面図で、図2(a)は固定側ホルダ9aに固定側ユニット7aを装着する直前の様子を示し、図2(b)は固定側ユニット7aの上下関係が正しい場合、図2(c)は上下関係が逆の場合を示している。
上下関係が正しい場合には、ホルダ位置規制部15aとユニット位置規制部21aとは干渉しない雄雌関係をなすため、固定側ユニット7aを固定側ホルダ9aに正しく取り付けることができる。
一方、上下関係が逆の場合は、ホルダ位置規制部15aが固定側ユニット7aと干渉するため、固定側ホルダ9aに固定側ユニット7aを取付けることができず、当該固定側ユニット7aの上下関係が逆であることが認識される。
固定側ユニット7aが正しく装着されると、可動側ユニット7bを矢印Bの方向(図1参照)から挿入してサポート板13に載置し、六角レンチ等によりクランプネジを締めて固定する。
このときも成形機1に対する可動側ユニット7bの上下関係が逆の場合にはホルダ位置規制部15bが可動側ユニット7bの出角コーナに当たるため上下関係が逆であることが認識できる。
以上説明したように、本発明によると固定側ユニット7aや可動側ユニット7bを固定側ホルダ9aや可動側ホルダ9bに上下逆にして装着しようとした際にはホルダ位置規制部15a,15bが固定側ユニット7aや可動側ユニット7bに当接して装着できないようになる。一方、上下関係が正しい場合にはホルダ位置規制部15a,15bと当接を避けるようにユニット位置規制部21a,21bが形成されているので装着が可能になる。これらホルダ位置規制部15a,15b及びユニット位置規制部21a,21bはホルダやユニットの加工を調整するだけで設けることができる利点がある。
なお、上記説明では、ホルダ位置規制部15a,15bは凸状であり、ユニット位置規制部21は凹状であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、ホルダ位置規制部15a,15bを凹状とし、ユニット位置規制部21を凸状とする構成であっても良く、またこれらの形成位置はコーナ部分に限定しない。
さらに、上記説明では固定側ホルダ9aと可動側ホルダ9bとにホルダ位置規制部15a,15bを設け、固定側ユニット7aと可動側ユニット7bとにユニット位置規制部21a,21bを設けた場合について説明したが、固定側ホルダ9aと可動側ホルダ9bのいずれか一方にホルダ位置規制部を設け、これに対応して固定側ユニット7a又は可動側ユニット7bのいずれか一方にユニット位置規制部を設けてもよい。
固定側ホルダ9aと可動側ホルダ9bとにホルダ位置規制部15a,15bを設け、固定側ユニット7aと可動側ユニット7bとにユニット位置規制部21a,21bを設けた場合には、必然的に固定側ユニット7aと可動側ユニット7bとの相対的な上下関係も正しくなるが、一方にのみ設けた場合には固定側ユニット7aと可動側ユニット7bとの相対的な上下関係が常に正しくなるとは限らない。
このような場合には、図3に示すように、対角線K上の対称位置に設けられたガイド穴16を非対称位置に設けることにより固定側ユニット7aと可動側ユニット7bとの上下逆関係を防止することができる。図3は固定側ユニット7aの正面図を示した図で、同図において点線円は対称位置にガイド穴16を設けた場合であり、実線円は非対称位置にガイド穴16を設けた場合を示している。なお、ガイド穴16を非対称位置に設ける場合には、これに対応してガイドピン18も非対称位置に設ける。
一対のガイドピン18又はガイド穴16を非点対称位置に設けることにより、型閉めしようとするとガイドピン18が相手側のPL面に当接してそれ以上型閉めすることができなくなり取付け間違いであることが認識でき、金型を壊したりすることが防止できる。
また、図4に示すように、サポート板13の高さ位置及び左右位置を変え、これに対応して固定側ユニット7aに逃部25を形成することで、成形機に対する固定側ユニット7aの上下関係を規定することも可能である。図4はサポート板13の高さ位置及び左右位置を変えた固定側ホルダ9aに逃部25が形成された固定側ユニット7aを取り付ける様子を示している。
この場合、サポート板13がその形成位置を含めてホルダ位置規制部をなし、固定側ユニット7aに形成した逃部25がユニット位置規制部をなして金型ユニット逆取付防止機構を構成する。
同様に可動側ホルダ9bに設けられたサポート板の高さを変え、これに対応して可動側ユニット7bに逃部を形成することで、成形機に対する可動側ユニット7bの上下関係を規定することが可能である。この場合は、可動側ホルダ9bのサポート板がその形成位置を含めてホルダ位置規制部をなし、可動側ユニット7bに形成した逃部がユニット位置規制部をなして金型ユニット逆取付防止機構を構成する。
これにより、例えば固定側ユニット7aが逆の場合には、プローブ穴20にプローブ19が挿入できなくなるので、上下逆であることが認識できる。また可動側ユニットが逆の場合には、そのまま取り付けることができるが先に取り付けられた固定側ユニット7aと高さ位置が異なるため、ガイドピン18がガイド穴に挿入できず上下関係が逆であることが容易に認識できる。
本発明に係る金型ユニット逆取付防止機構を備える射出成形機及びユニット金型の斜視図である。
金型ユニット逆取付防止機構の作用を示すプローブを通る水平断面図で(a)は上下逆に固定側ユニットを取り付けようとした場合、(b)は上下関係が正しい場合の図である。
ガイドピンを非対称位置に設けた場合の可動側ユニットの正面図である。
固定側ホルダにサポート板を左右非対称に設けた場合の部分斜視図である。
符号の説明
1 射出成形機
5a,5b 収納部
7 金型ユニット
7a 固定側ユニット
7b 可動側ユニット
8a 固定金型
9a 固定ホルダ
9b 可動ホルダ
13 サポート板
15a,15b ホルダ位置規制部(金型ユニット逆取付防止機構)
16 ガイド穴
18 ガイドピン
21a,21b ユニット位置規制部(金型ユニット逆取付防止機構)
25 逃部
本発明は、射出成形機のホルダに金型ユニットを取付ける際に、ホルダに対して金型ユニットが逆方向に取付けられたり、或いは当該金型ユニットを構成する可動側ユニットと固定側ユニットとが逆方向に取付けられたりするのを防止する金型ユニット逆取付防止機構に関する。
射出成形機においては固定側金型と可動側金型とからなる金型を用い、その際に固定側金型を固定プラテンに固定し、可動側金型を可動プラテンに固定して、当該可動プラテンを固定プラテンに向って進退させることにより、金型の型開閉を行なっている。
金型の型閉めにより、その内部に製品の外観をなす略密閉空間のキャビティが形成され、該キャビティにノズルから溶融した樹脂が注入されることにより射出成形が行われる(特許文献1参照)。
このような金型は、一般に大きくかつ重いため、取付けに際してはクレーン等により吊り上げながら各プラテンにネジ止め等して固定するようになっている。
従って、近年のように製品が少量多品種化すると頻繁に金型交換を行う必要が生じ、その労力が膨大になるという問題があった。加えて、小さい製品を成形する場合でも大きなサイズの金型を用いなければならず経済性が悪いという問題があった。
このような観点から従来の金型を、金型部分が作り込まれたユニットと、プラテンに固定されると共にユニットが脱着可能に設けられたホルダとに分割構成することが提案されている。
金型は固定側と可動側とからなるため、ユニットも固定側ユニットと可動側ユニットとにより構成され、ホルダも固定側ホルダと可動側ホルダとにより構成されることになる。そして、製品毎に準備したユニットをプラテンに固着されたホルダに装着して射出成形する(特許文献2参照)。
ホルダは交換頻度が少ないため取付を間違えることも少ないが、ユニットは交換頻度が多いため取付けを間違えてホルダに対して上下関係逆にしてしまうことがある。そこで、従来は、上下関係が視認できるように例えばユニットの所定位置に刻印等を付している。
特開平6−339962号公報
特開2005−306028号公報
しかしながら、ユニットが汚れていたり、キズが付いていたりして刻印が正確に認識できない場合や刻印を確認した後の取付作業中にユニットの上下関係を逆にしてしまう場合があった。この結果、成形機に対してユニットの上下関係が逆になったり、ユニット間で上下関係が逆になったりして、型閉めした際にキャビティが正しく形成されず金型を壊してしまう不都合が生じていた。
ユニット間での上下関係が正しい場合は成形機に対する上下関係が逆となり、例えば成形品をロボットで取出す際に、ロボットが金型に衝突して金型を破損させたりロボットが損傷を受けたりする問題がある。
そこで、本発明は、成形機に対するユニットの上下関係やユニット間の上下関係が常に正しく取付けることができるようにする金型ユニット逆取付防止機構を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、成形機に固着された固定側ホルダ及び可動側ホルダに、固定側金型が設けられた固定側ユニット及び可動側金型が設けられた可動側ユニットを取付ける際に、前記固定側ユニット及び前記可動側ユニットが上下逆取付されるのを規制する金型ユニット逆取付防止機構において、前記固定側ホルダと前記可動側ホルダとが、それぞれ、複数の入角コーナを有する前記固定側ユニットのための収納部と複数の入角コーナを有する前記可動側ユニットのための収納部とを備え、前記固定側ホルダの収納部の複数の入角コーナの一つと前記可動側ホルダの収納部の複数の入角コーナの一つとがそれぞれテーパ形状を有し、前記固定側ユニットと前記可動側ユニットとがそれぞれ複数の出角コーナを有し、前記固定側ユニットの複数の出角コーナの一つと前記可動側ユニットの複数の出角コーナの一つとがそれぞれ切り欠くことにより形成され、前記固定側ホルダのテーパ形状の入角コーナと前記固定側ユニットの切り欠くことにより形成された出角コーナとが雄雌関係にあり、また、前記可動側ホルダのテーパ形状の入角コーナと前記可動側ユニットの切り欠くことにより形成された出角コーナとが雄雌関係にあることを特徴とする。
これにより、固定側及び可動側の各ユニットを固定側及び可動側の各ホルダに上下逆に取付けようとすると、各ホルダに設けられたテーパ形状の入角コーナが各ユニットと干渉するため、取付けができなくなる。一方、各ユニットが各ホルダに対して正しい上下関係にあれば、各ホルダのテーパ形状の入角コーナとその形状に対応した各ユニットの切り欠くことにより形成された出角コーナとが雄雌関係にあるため、当該干渉が回避されて取付けが可能になる。
また、収納部を加工する際に加工残し領域等を作るだけでホルダ位置規制部が形成され、特別な部材を用いることなく容易に当該ホルダ位置規制部が形成できる。また、ユニット位置規制部もホルダ位置規制部に対応した領域を削る等すればよいため、特別な部材を用いることなく容易に当該ホルダ位置規制部が形成できる。
本発明によれば、固定側ホルダ及び可動側ホルダにテーパ形状の入角コーナを形成し、固定側ユニット及び可動側ユニットの前記テーパ形状の入角コーナと対応する位置に切り欠くことにより形成された出角コーナを形成し、前記入角コーナと前記出角コーナとの干渉の回避を通して、ユニットの装着を可能とし、逆取付を防止する。
また、このような入り角コーナと出角コーナとはホルダやユニットの製造加工において削り残しや削り込みにより形成可能なので、別途部材を用意することなく簡単に設けることができる。
本発明の実施の形態を図を参照して説明する。図1は射出成形機1及び固定側ユニット7aと可動側ユニット7bとからなる金型ユニット7の構成を示す斜視図である。
なお、射出成形機1については、プラテンとホルダとが一体に形成された構造を示しているが、別体構造の成形機であっても良いことを付言する。
図1に示す射出成形機1は、材料を可塑化する可塑化部2、可塑化された材料を計量射出する射出部3、固定側ホルダ9aに対して可動側ホルダ9bを進退させる型締部4とを主要構成としている。固定側ホルダ9aと可動側ホルダ9bとを総称してホルダ9と記載する。
固定側ホルダ9a及び可動側ホルダ9bには窪みが上下方向に伸びる凹状の収納部5a,5bが設けられ、これらの左右縁部中央にクランプ機構11が設けられている。
また、固定側ホルダ9a及び可動側ホルダ9bには、各ユニット7a,7bを支持して、その取付高さ位置を規制するサポート板13が設けられている。なお、可動側ホルダ9b側のサポート板は図示省略し、固定側ホルダ9aと可動側ホルダ9bとを総称してホルダ9と記載する。
収納部5a,5bには複数の入角コーナがあり、その内の1つが他と異なる形状となっている。即ち、図1では固定側ホルダ9a及び可動側ホルダ9bの入角の1が三角柱体で覆ったような凸状形状に設けられて、この部分が金型ユニット逆取付防止機構をなすホルダ位置規制部15a,15bをなしている。ホルダ位置規制部15a,15bは収納部5a,5bの入角を加工する際に、入角形状を直角形状とせずテーパ形状とすることにより形成される。このように、別途部材を用意することなく簡単にホルダ位置規制部15a,15bが形成できる特徴がある。
固定側ユニット7a及び可動側ユニット7bには、それぞれ固定側金型8a及び図示しない可動側金型が設けられると共に、各ユニット7の左右側面部には縦方向にクランプ溝10a,10bが設けられている。
そして、各ユニット7をホルダ9に装着し、そのクランプ機構11のレンチ穴14に六角レンチを挿入して内設されたボルトを締めてクランプ爪12を傾動させることによりユニット7を固定する。
また、固定側ユニット7aにはガイド穴16が1の対角線上に設けられ(図3参照)、可動側ユニット7bには当該ガイド穴16に挿嵌するガイドピン18が立設されている。これにより可動側ユニット7bと固定側ユニット7aと型閉めする際に、ガイドピン18がガイド穴16に案内されて固定側ユニット7aに対する可動側ユニット7bの位置が自動的に規定されるようになる。
固定側ユニット7aには裏面から表面(パーティング面)PLに向けて溶融樹脂をキャビティCに射出するためのプローブ19が挿入されるプローブ穴20が形成され(図2参照)、その先端はキャビティCのゲート穴に連通している。また、固定側ユニット7a及び可動側ユニット7bの裏面の出角コーナの一端に金型ユニット逆取付防止機構をなすユニット位置規制部21a,21bが設けられている。このユニット位置規制部21a,21bは当該出角コーナを切欠くことにより形成され、別途部材を用意することなく簡単に設けることができる特徴がある。
可動側ユニット7bの裏面側には所定間隔を介してボルト止めされた矩形板状の突出板22及びエジェクタ板23が設けられると共に、一端が突出板22とエジャクタ板23とで挟持され、他端が可動側ユニット7bを挿通して設けられた図示しない突出ピン及び型閉め時に先端が固定側ユニット7aのPL面に当接して押し戻されることにより突出板22等を元の位置に戻すためのリターンピン26等が設けられている。
なお、可動側ユニット7bの裏面とエジェクタ板23との間にバネを圧縮して配設すると、バネの復元力により可動側ユニット7bの型開きに応動して突出板22等が元の位置に戻るようになる。
このようなユニット7を成形機に取付ける際には、まず固定側ユニット7aを矢印Aの方向(図1参照)から固定側ホルダ9aに宛う。このとき、プローブ穴20にプローブ19を挿入しながら固定側ユニット7aの下端をサポート板13に載置して固定側ユニット7aの取り付け高さを規定する。その後、六角レンチでクランプネジを締めることにより固定する。
図2はこのときの様子を示すプローブ19を通る水平部分断面図で、図2(a)は固定側ホルダ9aに固定側ユニット7aを装着する直前の様子を示し、図2(b)は固定側ユニット7aの上下関係が正しい場合、図2(c)は上下関係が逆の場合を示している。
上下関係が正しい場合には、ホルダ位置規制部15aとユニット位置規制部21aとは干渉しない雄雌関係をなすため、固定側ユニット7aを固定側ホルダ9aに正しく取り付けることができる。
一方、上下関係が逆の場合は、ホルダ位置規制部15aが固定側ユニット7aと干渉するため、固定側ホルダ9aに固定側ユニット7aを取付けることができず、当該固定側ユニット7aの上下関係が逆であることが認識される。
固定側ユニット7aが正しく装着されると、可動側ユニット7bを矢印Bの方向(図1参照)から挿入してサポート板13に載置し、六角レンチ等によりクランプネジを締めて固定する。
このときも成形機1に対する可動側ユニット7bの上下関係が逆の場合にはホルダ位置規制部15bが可動側ユニット7bの出角コーナに当たるため上下関係が逆であることが認識できる。
以上説明したように、本発明によると固定側ユニット7aや可動側ユニット7bを固定側ホルダ9aや可動側ホルダ9bに上下逆にして装着しようとした際にはホルダ位置規制部15a,15bが固定側ユニット7aや可動側ユニット7bに当接して装着できないようになる。一方、上下関係が正しい場合にはホルダ位置規制部15a,15bと当接を避けるようにユニット位置規制部21a,21bが形成されているので装着が可能になる。これらホルダ位置規制部15a,15b及びユニット位置規制部21a,21bはホルダやユニットの加工を調整するだけで設けることができる利点がある。
なお、上記説明では、ホルダ位置規制部15a,15bは凸状であり、ユニット位置規制部21は凹状であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、ホルダ位置規制部15a,15bを凹状とし、ユニット位置規制部21を凸状とする構成であっても良く、またこれらの形成位置はコーナ部分に限定しない。
さらに、上記説明では固定側ホルダ9aと可動側ホルダ9bとにホルダ位置規制部15a,15bを設け、固定側ユニット7aと可動側ユニット7bとにユニット位置規制部21a,21bを設けた場合について説明したが、固定側ホルダ9aと可動側ホルダ9bのいずれか一方にホルダ位置規制部を設け、これに対応して固定側ユニット7a又は可動側ユニット7bのいずれか一方にユニット位置規制部を設けてもよい。
固定側ホルダ9aと可動側ホルダ9bとにホルダ位置規制部15a,15bを設け、固定側ユニット7aと可動側ユニット7bとにユニット位置規制部21a,21bを設けた場合には、必然的に固定側ユニット7aと可動側ユニット7bとの相対的な上下関係も正しくなるが、一方にのみ設けた場合には固定側ユニット7aと可動側ユニット7bとの相対的な上下関係が常に正しくなるとは限らない。
このような場合には、図3に示すように、対角線K上の対称位置に設けられたガイド穴16を非対称位置に設けることにより固定側ユニット7aと可動側ユニット7bとの上下逆関係を防止することができる。図3は固定側ユニット7aの正面図を示した図で、同図において点線円は対称位置にガイド穴16を設けた場合であり、実線円は非対称位置にガイド穴16を設けた場合を示している。なお、ガイド穴16を非対称位置に設ける場合には、これに対応してガイドピン18も非対称位置に設ける。
一対のガイドピン18又はガイド穴16を非点対称位置に設けることにより、型閉めしようとするとガイドピン18が相手側のPL面に当接してそれ以上型閉めすることができなくなり取付け間違いであることが認識でき、金型を壊したりすることが防止できる。
また、図4に示すように、サポート板13の高さ位置及び左右位置を変え、これに対応して固定側ユニット7aに逃部25を形成することで、成形機に対する固定側ユニット7aの上下関係を規定することも可能である。図4はサポート板13の高さ位置及び左右位置を変えた固定側ホルダ9aに逃部25が形成された固定側ユニット7aを取り付ける様子を示している。
この場合、サポート板13がその形成位置を含めてホルダ位置規制部をなし、固定側ユニット7aに形成した逃部25がユニット位置規制部をなして金型ユニット逆取付防止機構を構成する。
同様に可動側ホルダ9bに設けられたサポート板の高さを変え、これに対応して可動側ユニット7bに逃部を形成することで、成形機に対する可動側ユニット7bの上下関係を規定することが可能である。この場合は、可動側ホルダ9bのサポート板がその形成位置を含めてホルダ位置規制部をなし、可動側ユニット7bに形成した逃部がユニット位置規制部をなして金型ユニット逆取付防止機構を構成する。
これにより、例えば固定側ユニット7aが逆の場合には、プローブ穴20にプローブ19が挿入できなくなるので、上下逆であることが認識できる。また可動側ユニットが逆の場合には、そのまま取り付けることができるが先に取り付けられた固定側ユニット7aと高さ位置が異なるため、ガイドピン18がガイド穴に挿入できず上下関係が逆であることが容易に認識できる。
本発明に係る金型ユニット逆取付防止機構を備える射出成形機及びユニット金型の斜視図である。
金型ユニット逆取付防止機構の作用を示すプローブを通る水平断面図で(a)は上下逆に固定側ユニットを取り付けようとした場合、(b)は上下関係が正しい場合の図である。
ガイドピンを非対称位置に設けた場合の可動側ユニットの正面図である。
固定側ホルダにサポート板を左右非対称に設けた場合の部分斜視図である。
符号の説明
1 射出成形機
5a,5b 収納部
7 金型ユニット
7a 固定側ユニット
7b 可動側ユニット
8a 固定金型
9a 固定側ホルダ
9b 可動側ホルダ
13 サポート板
15a,15b ホルダ位置規制部(金型ユニット逆取付防止機構)
16 ガイド穴
18 ガイドピン
21a,21b ユニット位置規制部(金型ユニット逆取付防止機構)
25 逃部