JP2008181105A - 偏光板及びそれを用いた液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱等の歪みによる光漏れが生じ難い、耐久性に優れた偏光板、及び光漏れのない画像表示品位の高い液晶表示装置を提供する。
熱等による歪みにより液晶パネルに額縁状に発生する光漏れが少ない偏光板、及びこの偏光板を備えた表示品位の高い液晶表示装置を提供する。
【解決手段】少なくとも、偏光膜(3)と、粘着剤層(1)と、光学補償シート(2)とを有する偏光板であって、前記粘着剤層(1)の光弾性係数をCn(1/Pa)、前記光学補償シート(2)の弾性率をE(Pa)とする時、下記式の値Yの絶対値が6.0×10-4以下であることを特徴とする偏光板、及び該偏光板を有する液晶表示装置である。
Y=−7.0×105×Cn+4.3×10-13×E−1.34×10-3
【選択図】図1
熱等による歪みにより液晶パネルに額縁状に発生する光漏れが少ない偏光板、及びこの偏光板を備えた表示品位の高い液晶表示装置を提供する。
【解決手段】少なくとも、偏光膜(3)と、粘着剤層(1)と、光学補償シート(2)とを有する偏光板であって、前記粘着剤層(1)の光弾性係数をCn(1/Pa)、前記光学補償シート(2)の弾性率をE(Pa)とする時、下記式の値Yの絶対値が6.0×10-4以下であることを特徴とする偏光板、及び該偏光板を有する液晶表示装置である。
Y=−7.0×105×Cn+4.3×10-13×E−1.34×10-3
【選択図】図1
Description
本発明は、偏光板及びそれを用いた液晶表示装置に関し、さらに詳細には、熱等の歪みによる光漏れなどが生じ難い、粘着剤層及び光学補償シートを設けた偏光板、及び該偏光板を用いた、画像表示品位の高い液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、偏光板と液晶セルとを有する。現在主流のTNモードのTFT液晶表示装置では、光学補償シート(位相差フィルム)を偏光板と液晶セルとの間に配置し、表示品位の高い液晶表示装置を実現している。しかし過酷な使用条件においては、位相差フィルムに、熱等の歪みにより液晶表示装置の端部に予期しない位相差が発生することがあり、この位相差により液晶表示装置の黒表示時に、額縁状の光漏れ(液晶表示装置の端部での透過率の上昇)が生じる場合があった。
特許文献1には、位相差特性が変化し難い光学補償板として、位相差フィルムに粘着層を設けてなり、その位相差フィルムの光弾性係数(m2/N)と前記粘着層の弾性率(N/m2)との積(Y)がY≦1.2×10-5を満足することを特徴とする光学補償板が提案されている。また、特許文献2には、光抜けの現象を緩和させた偏光板として、偏光板保護層の線膨張係数と粘着剤層の弾性率との積が1.0×10-5(℃-1・MPa)以下である所定の偏光板が提案されている。また、特許文献3には、面内でムラが発生し難い偏光板として、偏光板保護層の光弾性係数と粘着剤層の弾性率との積が8.0×10-12(m2/N・MPa)以下である偏光板が提案されている。
特開2001−264538号公報
特開2002−122739号公報
特開2002−122740号公報
しかし、最近では液晶表示装置の使用環境が多様化し、それに組み込まれる偏光板にも、耐久性の点でさらに優れた性能が求められている。
従って、本発明の目的は、熱等の歪みによる光漏れが生じ難い、耐久性に優れた偏光板、及び該偏光板を用いた、画像表示品位の高い液晶表示装置を提供することである。また、本発明の他の目的は、新規な偏光板用粘着剤を提供することである。
従って、本発明の目的は、熱等の歪みによる光漏れが生じ難い、耐久性に優れた偏光板、及び該偏光板を用いた、画像表示品位の高い液晶表示装置を提供することである。また、本発明の他の目的は、新規な偏光板用粘着剤を提供することである。
本発明者らは、熱がかかった液晶パネル(顕著な熱歪による光漏れが観察される加熱処理、例えば、60℃ドライの乾燥機に17時間静置し、その後、取り出す等の処理を施された液晶パネル等)について光漏れの現象を鋭意検討した結果、加熱等によって、偏光板間に配置された光学補償シートにだけ位相差が発生するのではなく、偏光板間に存在する粘着剤層においても位相差が発生しているとの知見を得た。この知見に基づいて、さらに検討した結果、粘着剤層において発生する位相差は、粘着剤層の光弾性係数に依存し、上記光学補償シートにおいて発生する位相差を増大する方向に発生すること、従って、粘着剤層の光弾性係数に依存して、上記熱歪みによる光漏れ量が増大することがわかった。また、上記熱歪みによる光漏れ量は、上記光学補償シートの弾性率にも依存していることもわかった。
これらの知見に基づいてさらに検討を行った結果、粘着剤層の光弾性係数及び光学補償シートの弾性率と、光漏れとの間に特定の関係性があることを見出し、粘着剤層の光弾性係数及び光学補償シートの弾性率とが所定の関係を満足していると、前記光漏れの問題が解決された、優れた性能を有する偏光板が提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
これらの知見に基づいてさらに検討を行った結果、粘着剤層の光弾性係数及び光学補償シートの弾性率と、光漏れとの間に特定の関係性があることを見出し、粘着剤層の光弾性係数及び光学補償シートの弾性率とが所定の関係を満足していると、前記光漏れの問題が解決された、優れた性能を有する偏光板が提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] 少なくとも、偏光膜と、粘着剤層と、光学補償シートとを有する偏光板であって、前記粘着剤層の光弾性係数をCn(1/Pa)、前記光学補償シートの弾性率をE(Pa)とする時、下記式の値Yの絶対値が6.0×10-4以下であることを特徴とする偏光板:
Y=−7.0×105×Cn+4.3×10-13×E−1.34×10-3 。
[2] 前記粘着剤層が、アクリル系粘着剤を含むことを特徴とする[1]の偏光板。
[3] 前記アクリル系粘着剤が、単独重合体の光弾性係数が正であるモノマーの少なくとも一種の重合体を含むことを特徴とする[2]の偏光板。
[1] 少なくとも、偏光膜と、粘着剤層と、光学補償シートとを有する偏光板であって、前記粘着剤層の光弾性係数をCn(1/Pa)、前記光学補償シートの弾性率をE(Pa)とする時、下記式の値Yの絶対値が6.0×10-4以下であることを特徴とする偏光板:
Y=−7.0×105×Cn+4.3×10-13×E−1.34×10-3 。
[2] 前記粘着剤層が、アクリル系粘着剤を含むことを特徴とする[1]の偏光板。
[3] 前記アクリル系粘着剤が、単独重合体の光弾性係数が正であるモノマーの少なくとも一種の重合体を含むことを特徴とする[2]の偏光板。
[4] 前記アクリル系粘着剤が、下記一般式(I)で表されるモノマーの少なくとも一種の重合体を含むことを特徴とする[2]又は[3]の偏光板:
式中、R1は水素原子もしくはメチル基を表し;R2は水素原子もしくは置換基を表し;R3及びR4はそれぞれ水素原子もしくは置換基を表し;mは0以上の整数を表し、nは0〜5の整数を表し、m及びnがそれぞれ2以上の整数の場合、複数のR2、R3及びR4はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
[5] 前記光学補償シートの光弾性係数が50×10-12(1/Pa)以下であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの偏光板。
[6] 前記粘着剤層が最も外側に配置され、該粘着剤層の表面に剥離紙が貼り付けられていることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかの偏光板。
[7] 液晶セルと、[1]〜[5]のいずれかの偏光板とを少なくとも有することを特徴とする液晶表示装置。
[8] 前記液晶セルの基板表面と偏光板の粘着剤層の表面とが接触して配置されていることを特徴とする[7]の液晶表示装置。
[6] 前記粘着剤層が最も外側に配置され、該粘着剤層の表面に剥離紙が貼り付けられていることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかの偏光板。
[7] 液晶セルと、[1]〜[5]のいずれかの偏光板とを少なくとも有することを特徴とする液晶表示装置。
[8] 前記液晶セルの基板表面と偏光板の粘着剤層の表面とが接触して配置されていることを特徴とする[7]の液晶表示装置。
[9] 下記一般式(I)で表されるモノマーの少なくとも一種の重合体を含むことを特徴とする偏光板用アクリル系粘着剤:
式中、R1は水素原子もしくはメチル基を表し;R2は水素原子もしくは置換基を表し;R3及びR4はそれぞれ水素原子もしくは置換基を表し;mは0以上の整数を表し、nは0〜5の整数を表し、m及びnがそれぞれ2以上の整数の場合、複数のR2、R3及びR4はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
[10] 前記アクリル系粘着剤が、単独重合体の光弾性係数が正であるモノマーから誘導される少なくとも一種の繰り返し単位を含む共重合体であることを特徴とする[2]の偏光板。
[11] 前記共重合体が、芳香族系のアクリレートモノマー及び芳香族系のメタアクリレートモノマーから選択される少なくとも一種から誘導される繰り返し単位を含む共重合体であることを特徴とする[10]の偏光板。
[12] 前記共重合体が、下記一般式(I)で表されるモノマーの少なくとも一種から誘導される繰り返し単位を含む共重合体であることを特徴とする[10]又は[11]の偏光板:
式中、R1は水素原子もしくはメチル基を表し;R2は水素原子もしくは置換基を表し;R3及びR4はそれぞれ水素原子もしくは置換基を表し;mは0以上の整数を表し、nは0〜5の整数を表し、m及びnがそれぞれ2以上の整数の場合、複数のR2、R3及びR4はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
[11] 前記共重合体が、芳香族系のアクリレートモノマー及び芳香族系のメタアクリレートモノマーから選択される少なくとも一種から誘導される繰り返し単位を含む共重合体であることを特徴とする[10]の偏光板。
[12] 前記共重合体が、下記一般式(I)で表されるモノマーの少なくとも一種から誘導される繰り返し単位を含む共重合体であることを特徴とする[10]又は[11]の偏光板:
[13] 前記光学補償シートの光弾性係数が、50×10-12(1/Pa)以下であることを特徴とする[10]〜[12]のいずれかの偏光板。
[14] 液晶セルと、[9]〜[13]のいずれかの偏光板とを少なくとも有することを特徴とする液晶表示装置。
[15] 前記液晶セルの基板表面と偏光板の粘着剤層の表面とが接触して配置されていることを特徴とする[14]の液晶表示装置。
[14] 液晶セルと、[9]〜[13]のいずれかの偏光板とを少なくとも有することを特徴とする液晶表示装置。
[15] 前記液晶セルの基板表面と偏光板の粘着剤層の表面とが接触して配置されていることを特徴とする[14]の液晶表示装置。
本発明によれば、過酷な使用環境において生じる光漏れの問題が解決された、優れた性能を有する偏光板、及びこれを用いた液晶表示装置を提供することができる。
以下に、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
まず、本発明の偏光板について説明する。
[偏光板]
本発明は、少なくとも偏光層、粘着剤層及び光学補償シートを有する偏光板であって、前記粘着剤層の光弾性係数をCn(1/Pa)、前記光学補償シートの弾性率をE(Pa)とする時、下記式の値Yの絶対値が6.0×10-5以下であることを特徴とする偏光板に関する。
Y=−7.0×105×Cn+4.3×10-13×E−1.34×10-3
Yの絶対値の最小値については特に制限はなく、0〜6.0×10-5の範囲のいずれであっても、本発明の効果を奏する。本発明の偏光板では、液晶表示装置に熱等がかかった場合に偏光板の部材が、具体的には粘着剤層と光学補償シートが、それらに発生する位相差は打ち消しあう組み合せとなっていて、その結果、上記式で定義されるYの絶対値が6.0×10-5以下となっている。従って、熱歪みによって、偏光特性等の光学特性が変動せず、耐久性に優れる。よって、本発明の偏光板を有する液晶表示装置は、高温下等の過酷な使用状況においても、黒表示時に額縁状に透過率が上昇するのが抑制され、光漏れが生じ難く、表示品位に優れている。
まず、本発明の偏光板について説明する。
[偏光板]
本発明は、少なくとも偏光層、粘着剤層及び光学補償シートを有する偏光板であって、前記粘着剤層の光弾性係数をCn(1/Pa)、前記光学補償シートの弾性率をE(Pa)とする時、下記式の値Yの絶対値が6.0×10-5以下であることを特徴とする偏光板に関する。
Y=−7.0×105×Cn+4.3×10-13×E−1.34×10-3
Yの絶対値の最小値については特に制限はなく、0〜6.0×10-5の範囲のいずれであっても、本発明の効果を奏する。本発明の偏光板では、液晶表示装置に熱等がかかった場合に偏光板の部材が、具体的には粘着剤層と光学補償シートが、それらに発生する位相差は打ち消しあう組み合せとなっていて、その結果、上記式で定義されるYの絶対値が6.0×10-5以下となっている。従って、熱歪みによって、偏光特性等の光学特性が変動せず、耐久性に優れる。よって、本発明の偏光板を有する液晶表示装置は、高温下等の過酷な使用状況においても、黒表示時に額縁状に透過率が上昇するのが抑制され、光漏れが生じ難く、表示品位に優れている。
図1に本発明の偏光板の一例の断面模式図を示す。図1に示す偏光板は、粘着剤層1、光学補償シート2、偏光膜3、保護層4を順次積層した構造を有する。液晶表示装置に組み込まれる際は、粘着剤層1により、他の部材、例えば、液晶セルの基板の表面に貼り付けられる。また、図2に示す様に、粘着剤層1の表面に剥離紙5を配置して、保管及び搬送等を行ってもよい。保護膜は、光透過率が80%以上の通常のポリマーフィルムを用いるのが好ましい。該ポリマーフィルムとしてセルロースアセテートフィルムを用いることが好ましい。セルロースアセテートフィルムについては、後述する光学補償シート又はその支持体の例と同じものを用いることができる。
なお、図1及び図2の構成では、光学補償シート2が、偏光膜3の保護層でもある構成を示したが、光学補償シート2と偏光膜3との間に、別途、保護層4と同様な材料からなる保護層を配置してもよい。
なお、図1及び図2の構成では、光学補償シート2が、偏光膜3の保護層でもある構成を示したが、光学補償シート2と偏光膜3との間に、別途、保護層4と同様な材料からなる保護層を配置してもよい。
《偏光膜》
本発明の偏光板に用いる偏光膜は、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜、及びポリエン系偏光膜のいずれであってもよい。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。製造方法としては、従来公知の方法が適用でき、例えば上記特許文献1に記載の方法が挙げられる。
本発明の偏光板に用いる偏光膜は、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜、及びポリエン系偏光膜のいずれであってもよい。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。製造方法としては、従来公知の方法が適用でき、例えば上記特許文献1に記載の方法が挙げられる。
《粘着剤層》
本発明の偏光板が有する粘着剤層は、上記条件を満足するためには、その光弾性係数が正であることが好ましい。前記粘着剤層は少なくとも一種の粘着剤を含有する、他の部材に少なくとも接触することにより該部材に粘着能のある層である。該粘着剤層の形成に用いる粘着剤(接着剤と呼ばれるものも含まれ得る)としては、形成される粘着剤層が、前記Y値の条件を満たせば、特に制限なく使用することができる。粘着剤の素材としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤、及びポリエステル系粘着剤等の感圧系の粘着剤が好ましい。
本発明の偏光板が有する粘着剤層は、上記条件を満足するためには、その光弾性係数が正であることが好ましい。前記粘着剤層は少なくとも一種の粘着剤を含有する、他の部材に少なくとも接触することにより該部材に粘着能のある層である。該粘着剤層の形成に用いる粘着剤(接着剤と呼ばれるものも含まれ得る)としては、形成される粘着剤層が、前記Y値の条件を満たせば、特に制限なく使用することができる。粘着剤の素材としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤、及びポリエステル系粘着剤等の感圧系の粘着剤が好ましい。
アクリル系粘着剤の場合には、そのベースポリマーであるアクリル系重合体に使用されるモノマーとしては、各種(メタ)アクリル酸エステル〔(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルを総称した表現であり、以下(メタ)の付く化合物名は同様の意味である。〕を使用できる。かかる(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等を例示でき、これらを単独もしくは組合せて使用できる。また、得られるアクリル系重合体に極性を付与するために前記(メタ)アクリル酸エステルの一部に代えて(メタ)アクリル酸を少量使用することもできる。さらに、架橋性単量体として(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等も併用しうる。更に所望により、(メタ)アクリル酸エステル重合体の粘着特性を損なわない程度において他の共重合可能な単量体、例えば酢酸ビニル、スチレン等を併用し得る。
ゴム系粘着剤のベースポリマーとしては、例えば、天然ゴム、イソプレン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、再生ゴム、ポリイソブチレン系ゴム、さらにはスチレン−イソプレン−スチレン系ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン系ゴム等があげられる。
シリコーン系粘着剤のベースポリマーとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等があげられる。
ポリエーテル系粘着剤のベースポリマーとしては、例えば、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルブチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等があげられる。
ゴム系粘着剤のベースポリマーとしては、例えば、天然ゴム、イソプレン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、再生ゴム、ポリイソブチレン系ゴム、さらにはスチレン−イソプレン−スチレン系ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン系ゴム等があげられる。
シリコーン系粘着剤のベースポリマーとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等があげられる。
ポリエーテル系粘着剤のベースポリマーとしては、例えば、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルブチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等があげられる。
前記粘着剤層の光弾性係数Cnは大きいほど好ましく、Cnは正であるのがより好ましい。光弾性係数の上限について特に制限ないが、現存する材料では、最大値約1000×10-12(1/Pa)であると考えられる。但し、組み合せる光学補償シートの弾性率によっては、粘着剤層のCnが負であっても、上記式で定義されるYが所定の条件を満足する限り、本発明の効果が得られることは、勿論である。
なお、現在、富士フイルム(株)製WVフィルムの光学補償シートに用いられている粘着剤層(サンリッツ社製PET−W(S))の光弾性係数Cnは、測定の結果、−750×10-12(1/Pa)であり、負である。
なお、現在、富士フイルム(株)製WVフィルムの光学補償シートに用いられている粘着剤層(サンリッツ社製PET−W(S))の光弾性係数Cnは、測定の結果、−750×10-12(1/Pa)であり、負である。
前記粘着剤層の光弾性係数を所望の値に合わせるには、粘着剤に用いられる主剤としてのポリマーを、選択する方法がある。それ以外には以下の方法が考えられるが、この方法に限定されることはない。その一つは、樹脂の分子自身の光学異方性、即ち固有複屈折を調節する方法であるが、これは有効な手段である。固有複屈折を調節する方法としては、「光学用透明樹脂」(技術情報協会(2001年刊))の20頁に、(1)分子構造の変性、(2)ランダム共重合法、(3)アロイ化法が述べられており、これらの方法は本発明においても応用することが可能である。
更に、成形加工,(2003年),第15巻,第3号,196頁に述べられているような、異方性低分子のドープ法も好ましく用いることができる。
また、SCIENCE,(2003),VOL301,p812に開示されている、異方性無機粒子ドープ法も特に好ましく用いることができる。
また粘着剤層の光弾性係数を所望の値に合わせるには、粘着剤に用いられるポリマーの分子量を調整したり、素材の混合比を調整したりすればよい。
更に、成形加工,(2003年),第15巻,第3号,196頁に述べられているような、異方性低分子のドープ法も好ましく用いることができる。
また、SCIENCE,(2003),VOL301,p812に開示されている、異方性無機粒子ドープ法も特に好ましく用いることができる。
また粘着剤層の光弾性係数を所望の値に合わせるには、粘着剤に用いられるポリマーの分子量を調整したり、素材の混合比を調整したりすればよい。
アクリル系の粘着剤の場合は、現在よく使用されている大部分のものは負の光弾性係数を持ち、その絶対値は約800×10-12(1/Pa)程度と大きい。本発明者らは、光弾性係数の絶対値を小さくするためには、粘着剤として用いるベースポリマーとして、単独重合体の光弾性係数が正となるモノマーの重合体、すなわち該モノマーの単独重合体及び共重合体のいずれか、を用いるのが好ましいことを見出した。例えば、ポリメチルメタクリレートの光弾性係数の値は、−3.8×1012(1/Pa)である。一方、ポリベンジルメタクリレート、ポリベンジルアクリレート、ポリフェニルメタクリレートの光弾性係数の値は、おおよそ+40×1012〜+50×1012(1/Pa)である。正の光弾性係数を示すホモポリマーのモノマー、例えば、ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート及びフェニルメタクリレート、さらに、アクリル酸フェノキシアルキル(例えば、アクリル酸フェノキシメチル、アクリル酸フェノキシプロピル、アクリル酸フェノキシブチル等)等の芳香族系のアクリレート及び芳香族系のメタクリレートから選択される少なくとも一種のモノマーから誘導される繰り返し単位を含む、単独重合体及び共重合体が好ましい。
以上のような観点から、例えば、前記粘着剤層は、主として下記一般式(I)で表される化合物を含む重合性組成物を重合して得られる重合体(単独重合体又は共重合体)を含むアクリル系粘着剤を含有しているのが好ましい。
以上のような観点から、例えば、前記粘着剤層は、主として下記一般式(I)で表される化合物を含む重合性組成物を重合して得られる重合体(単独重合体又は共重合体)を含むアクリル系粘着剤を含有しているのが好ましい。
式中、R1は水素原子もしくはメチル基を表し、R2は水素原子もしくは置換基を表す。R3及びR4はそれぞれ、水素原子もしくは置換基を表す。mは0以上の整数を表し、nは0〜5の整数を表す。m及びnがそれぞれ2以上の整数の場合、複数のR2、R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
前記一般式(I)について説明する。
一般式(I)中、R1は水素原子もしくはメチル基を表し、好ましくはメチル基を表す。
また、R2は水素原子もしくは置換基を表す。置換基の例としては下記置換基群Tを挙げることができる。
(置換基群T)
置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1.2.2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2.2.2]オクト−2−エン−4−イル)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル基)等の置換基が挙げられる。
また、上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その具体例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
一般式(I)中、R1は水素原子もしくはメチル基を表し、好ましくはメチル基を表す。
また、R2は水素原子もしくは置換基を表す。置換基の例としては下記置換基群Tを挙げることができる。
(置換基群T)
置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1.2.2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2.2.2]オクト−2−エン−4−イル)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル基)等の置換基が挙げられる。
また、上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その具体例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(I)中、nは0〜5の整数を表す。nとしては0以上3以下であることが好ましく、0もしくは1であることがより好ましく、0であることが最も好ましい。nが2以上の整数の場合、複数のR2は同じでも異なっていてもよい。
R3及びR4はそれぞれ水素原子もしくは置換基を表す。該置換基としては、前記置換基群Tから選択することができる。好ましくはR3及びR4のいずれもが水素原子である。
一般式(I)中、mは0以上の整数を表し、0以上3以下であることが好ましく、0もしくは1であることがさらに好ましい。
一般式(I)で表される化合物としてはベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレートが好ましく、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレートがより好ましい。
前記粘着剤層の形成方法としては、特に制限されず、表面、例えば、光学補償シートの表面に、粘着剤を含有する溶液を塗布し、乾燥して形成する方法が一般的である。また、粘着剤層を仮支持体(離型シート)の表面に形成した転写材料を用い、表面、例えば、光学補償シートの表面に、粘着剤層を転写して形成する方法を利用してもよい。
粘着剤層の厚さは特に限定されないが、乾燥膜厚で10〜40μm程度とするのが好ましい。
粘着剤層の厚さは特に限定されないが、乾燥膜厚で10〜40μm程度とするのが好ましい。
また、前記粘着剤層を形成するのに用いられる塗布液等の組成物中には、前記粘着剤とともに架橋剤を含有させてもよい。該架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物、ポリアミン化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂等があげられる。さらに、前記組成物には、必要に応じて、従来公知の、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を、また本発明の目的を逸脱しない範囲で各適宜に使用することもできる。
《光学補償シート》
本発明の偏光板は、光学補償シートを有する。前記偏光板を液晶表示装置に組み込む際は、光学補償シートが、偏光層と液晶セルとの間に位置するように組み込むのが好ましい。前記光学補償シートは、組み合わせる粘着剤層の光弾性係数との関係で、その弾性率が前記Y値の条件を満足すればよい。光学補償シートを作製する際の材料の選択の幅を極度に狭めず、一般的な材料から製造可能であるという点では、光学補償シートの弾性率は、5×108Pa〜1×1010Paであるのが好ましく、1×109Pa〜5×109Paであるのがより好ましい。
なお、光学補償シートの光弾性係数については特に制限はないが、50×10-12(1/Pa)以下であるのが好ましい。
本発明の偏光板は、光学補償シートを有する。前記偏光板を液晶表示装置に組み込む際は、光学補償シートが、偏光層と液晶セルとの間に位置するように組み込むのが好ましい。前記光学補償シートは、組み合わせる粘着剤層の光弾性係数との関係で、その弾性率が前記Y値の条件を満足すればよい。光学補償シートを作製する際の材料の選択の幅を極度に狭めず、一般的な材料から製造可能であるという点では、光学補償シートの弾性率は、5×108Pa〜1×1010Paであるのが好ましく、1×109Pa〜5×109Paであるのがより好ましい。
なお、光学補償シートの光弾性係数については特に制限はないが、50×10-12(1/Pa)以下であるのが好ましい。
前記光学補償シートの材料については特に制限されない。例えば、トリアセチルセルロースやノルボルネン類の重合体等のポリマーフィルムであっても、又は透明支持体上に液晶組成物からなる光学異方性層を有する積層フィルムを用いることができる。前記光学補償シート又は前記光学補償シートが積層フィルムである場合は前記光学異方性層の透明支持体(以下、「光学補償シート等」という)は、ポリマーフィルムであってもよい。光透過率が80%以上であるポリマーフィルムを用いることが好ましい。該ポリマーフィルムを構成するポリマーの例には、セルロースエステル(例、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(トリアセチルセルロース))、ポリオレフィン(例、ノルボルネン系ポリマー)、ポリカーボネート及びポリスルホンが含まれる。市販のポリマー(ノルボルネン系ポリマーでは、アートン(JSR製)、ゼオノア(日本ゼオン製)など)を用いてもよい。
上記ポリマーフィルムは、主として、トリアセチルセルロース又はノルボルネンからなるフィルムであるのが好ましい。本明細書において「主として」とは上記ポリマーが、高分子フィルム中、質量割合で50%以上であることを意味する。中でも、セルロースエステルがとりわけ好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)又は4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルロースアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。セルロースの低級脂肪酸エステルは、セルロースアセテートであることが最も好ましい。
セルロースアセテートの酢化度は、55.0〜62.5%であることが好ましく、59.0〜61.5%であることがさらに好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定及び計算に従う。
セルロースアセテートの酢化度は、55.0〜62.5%であることが好ましく、59.0〜61.5%であることがさらに好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定及び計算に従う。
セルロースアセテート(アセチルセルロースとも称する)の粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。
また、本発明に使用するセルロースエステル(セルロースアセテート)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値は、1.0〜1.7の範囲にあることが好ましく、1.3〜1.65の範囲にあることがさらに好ましく、1.4〜1.6の範囲にあることが最も好ましい。
また、本発明に使用するセルロースエステル(セルロースアセテート)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値は、1.0〜1.7の範囲にあることが好ましく、1.3〜1.65の範囲にあることがさらに好ましく、1.4〜1.6の範囲にあることが最も好ましい。
一般に、セルロースアセテートの2,3,6の水酸基は全体の置換度の1/3ずつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明ではセルロースアセテートの6位水酸基の置換度が、2,3位に比べて多いほうが好ましい。全体の置換度に対して6位の水酸基が30%以上アセチル基で置換されていることが好ましく、更には31%以上、特に32%以上であることが好ましい。さらにセルロースアセテートの6位アセチル基の置換度が0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブチロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基などで置換されているものも、前記光学補償シート等の作製に用いることができる。各位置の置換度の測定は、NMRによって求めることができる。また、特開平11−5851号公報の段落番号0043〜0044に記載の合成例1、段落番号0048〜0049に記載の合成例2、そして段落番号0051〜0052に記載の合成例3の方法で得られたセルロースアセテートを、前記光学補償シート等の作製に用いることができる。
(レターデーション上昇剤)
セルロースアセテートフィルムを光学補償シート等として用いる場合、そのレターデーションを調整するため、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として使用することが好ましい。芳香族化合物は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用するのが好ましく、0.05〜15質量部の範囲で使用することがより好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
セルロースアセテートフィルムを光学補償シート等として用いる場合、そのレターデーションを調整するため、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として使用することが好ましい。芳香族化合物は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用するのが好ましく、0.05〜15質量部の範囲で使用することがより好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1,3,5−トリアジン環が含まれる。芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1,3,5−トリアジン環が好ましく、ベンゼン環及び1,3,5−トリアジン環がさらに好ましい。芳香族化合物は、少なくとも一つの1,3,5−トリアジン環を有することが特に好ましい。
芳香族化合物が有する芳香族環の数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましく、2〜6であることが最も好ましい。二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合及び(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ナフタセン環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環及びチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環及びキノリン環が好ましい。
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環又は非芳香族性複素環を形成してもよい。
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環又は非芳香族性複素環を形成してもよい。
(c)の連結基は、二つの芳香族環の炭素原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH−、−S−又はそれらの組み合わせであることが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよい。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
芳香族環及び連結基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファモイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基及び非芳香族性複素環基が含まれる。
なお、本明細書においては、水素原子が水素原子以外の原子で置換されている場合の、該水素原子以外の原子も便宜上置換基として取り扱う。
なお、本明細書においては、水素原子が水素原子以外の原子で置換されている場合の、該水素原子以外の原子も便宜上置換基として取り扱う。
アルキル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、さらに置換基(例、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチル及び2−ジエチルアミノエチルが含まれる。
アルケニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル、アリル及び1−ヘキセニルが含まれる。アルキニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブチニル及び1−ヘキシニルが含まれる。
アルケニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル、アリル及び1−ヘキセニルが含まれる。アルキニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブチニル及び1−ヘキシニルが含まれる。
脂肪族アシル基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル、プロパノイル及びブタノイルが含まれる。
脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシが含まれる。
アルコキシ基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ、エトキシ、ブトキシ及びメトキシエトキシが含まれる。
アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニルが含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ及びエトキシカルボニルアミノが含まれる。
脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシが含まれる。
アルコキシ基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ、エトキシ、ブトキシ及びメトキシエトキシが含まれる。
アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニルが含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ及びエトキシカルボニルアミノが含まれる。
アルキルチオ基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ、エチルチオ及びオクチルチオが含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニル及びエタンスルホニルが含まれる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。
脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド及びn−オクタンスルホンアミドが含まれる。
脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ及び2−カルボキシエチルアミノが含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル及びジエチルカルバモイルが含まれる。
脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイル及びジエチルスルファモイルが含まれる。
脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイドが含まれる。
非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノ及びモルホリノが含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニル及びエタンスルホニルが含まれる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。
脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド及びn−オクタンスルホンアミドが含まれる。
脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ及び2−カルボキシエチルアミノが含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル及びジエチルカルバモイルが含まれる。
脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイル及びジエチルスルファモイルが含まれる。
脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイドが含まれる。
非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノ及びモルホリノが含まれる。
レターデーション上昇剤の分子量は、300〜800であることが好ましい。レターデーション上昇剤の具体例としては、特開2000−111914号公報、同2000−275434号公報、国際公開第00/065384号パンフレットに記載の化合物が挙げられる。
(セルロースアセテートフィルムの製造)
次に、セルロースアセテートフィルムの製造方法について述べる。上記セルロースアセテートフィルムを製造する方法及び設備は、セルロースアセテートフィルム製造に供する、従来公知の溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。
中でも、ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフィルムを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、セルロースアセテートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル及び炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
次に、セルロースアセテートフィルムの製造方法について述べる。上記セルロースアセテートフィルムを製造する方法及び設備は、セルロースアセテートフィルム製造に供する、従来公知の溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。
中でも、ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフィルムを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、セルロースアセテートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル及び炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート及びペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1又は2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート及びペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1又は2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
一般的な方法でセルロースアセテート溶液を調製できる。ここでの一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温又は高温)で、処理することを意味する。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法及び装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。セルロースアセテートの量は、得られるセルロースアセテート溶液中に10〜40質量%含まれるように調整するのが好ましく、10〜30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。溶液は、常温(0〜40℃)でセルロースアセテートと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧及び加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースアセテートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されていることが好ましい。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解できる。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却してもよい。
冷却溶解法により、溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶媒中にもセルロースアセテートを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセルロースアセテートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるという効果があり好ましい。冷却溶解法では通常、最初に、室温で有機溶媒中にセルロースアセテートを撹拌しながら徐々に添加する。セルロースアセテートの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアセテートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物を−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、セルロースアセテートと有機溶媒の混合物は固化する。冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
さらに、これを0〜200℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアセテートが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察することで判断できる。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時に減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧及び減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、例えば、酢化度が60.9%、粘度平均重合度が299のセルロースアセテートを冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保持する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
なお、例えば、酢化度が60.9%、粘度平均重合度が299のセルロースアセテートを冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保持する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
前述の通り、調製したセルロースアセテート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフィルムを製造することが好ましい。光学補償シートの支持体として使用するセルロースアセテートの製造の場合には、ドープには前記のレターデーション上昇剤を添加することが好ましい。ドープは、ドラム又はバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラム又はバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延及び乾燥方法については、米国特許第2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許第640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。ドープは、表面温度が10℃以下のドラム又はバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラム又はバンドから剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載があり、この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能であり、好ましい。この方法を実施するためには、流延時のドラム又はバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
調整したセルロースアセテート溶液(ドープ)を用いて二層以上の流延を行いフィルム化することもできる。この場合、ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフィルムを作製することが好ましい。ドープは、ドラム又はバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40%の範囲となるように濃度を調整することが好ましい。ドラム又はバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
二層以上の複数のセルロースアセテート液を流延する場合、複数のセルロースアセテート溶液を流延することが可能で、支持体の進行方向に間隔をおいて設けられた複数の流延口からセルロースアセテートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよい。例えば、特開昭61−158414号、特開平1−122419号、及び、特開平11−198285号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、2つの流延口からセルロースアセテート溶液を流延することによってもフィルム化することもできる。例えば、特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、及び、特開平6−134933号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースアセテート溶液の流れを低粘度のセルロースアセテート溶液で包み込み、その高、低粘度のセルロースアセテート溶液を同時に押し出すセルロースアセテートフィルムの流延方法を用いることもできる。
また、二個の流延口を用いて、第一の流延口により支持体に成形したフィルムを剥ぎ取り、支持体面に接していた側に第二の流延を行うことにより、フィルムを作製することもできる。例えば、特公昭44−20235号公報に記載の方法を挙げることができる。流延するセルロースアセテート溶液は同一の溶液を用いてもよいし、異なるセルロースアセテート溶液を用いてもよい。複数のセルロースアセテート層に機能をもたせるために、その機能に応じたセルロースアセテート溶液を、それぞれの流延口から押し出せばよい。さらにセルロースアセテート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、紫外線吸収層、偏光層など)と同時に流延することもできる。
従来の単層液では、必要なフィルムの厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアセテート溶液を押し出すことが必要である。その場合セルロースアセテート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良となったりして問題となることが多かった。この問題の解決方法として、複数のセルロースアセテート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に支持体上に押し出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアセテート溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
(添加剤)
セルロースアセテートフィルムには、機械的物性を改良するためにポリエステルウレタンを添加することが好ましい。またポリエステルウレタンは、下記一般式(1)で表されるポリエステルジオールと、ジイソシアナートとの反応物であることが好ましく、さらに、ジクロロメタンに可溶であることが好ましい。
一般式(1):
H−(−O−(CH2)p−OOC−(CH2)m−CO)n−O−(CH2)p−OH
一般式(1)中、pは、2〜4の整数を表し;mは、2〜4の整数を表し;nは、1〜100の整数を表す。
さらに詳細に述べると、その構成ポリエステルは、グリコール成分が、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、又は1,4−ブタンジオールであり、二塩基性酸成分が、コハク酸、グルタル酸、又はアジピン酸からなる両末端にヒドロキシル基を有するポリエステルであり、その重合度nは1〜100の範囲にある。その最適な重合度は、用いるグリコール及び二塩基性酸の種類により若干異なり、ポリエステルの分子量として1000〜4500の範囲となることが特に好ましい。
ジクロロメタン可溶のポリエステルウレタン樹脂は、一般式(1)のポリエステルとジイソシアナートとの反応により得られ、下記一般式(2)で表される繰返し単位を有する化合物である。
セルロースアセテートフィルムには、機械的物性を改良するためにポリエステルウレタンを添加することが好ましい。またポリエステルウレタンは、下記一般式(1)で表されるポリエステルジオールと、ジイソシアナートとの反応物であることが好ましく、さらに、ジクロロメタンに可溶であることが好ましい。
一般式(1):
H−(−O−(CH2)p−OOC−(CH2)m−CO)n−O−(CH2)p−OH
一般式(1)中、pは、2〜4の整数を表し;mは、2〜4の整数を表し;nは、1〜100の整数を表す。
さらに詳細に述べると、その構成ポリエステルは、グリコール成分が、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、又は1,4−ブタンジオールであり、二塩基性酸成分が、コハク酸、グルタル酸、又はアジピン酸からなる両末端にヒドロキシル基を有するポリエステルであり、その重合度nは1〜100の範囲にある。その最適な重合度は、用いるグリコール及び二塩基性酸の種類により若干異なり、ポリエステルの分子量として1000〜4500の範囲となることが特に好ましい。
ジクロロメタン可溶のポリエステルウレタン樹脂は、一般式(1)のポリエステルとジイソシアナートとの反応により得られ、下記一般式(2)で表される繰返し単位を有する化合物である。
一般式(2):
−CONH−R−NHCO−(O−(CH2)p−OOC−(CH2)m−CO)n−O−
(CH2)p−O)−
一般式(2)中、pは、2〜4の整数を表し;mは、2〜4の整数を表し;nは、1〜100の整数を表し;Rは、2価の原子団残基を表す。2価の原子団残基の例としては、例えば下式のようなものが挙げられる。
−CONH−R−NHCO−(O−(CH2)p−OOC−(CH2)m−CO)n−O−
(CH2)p−O)−
一般式(2)中、pは、2〜4の整数を表し;mは、2〜4の整数を表し;nは、1〜100の整数を表し;Rは、2価の原子団残基を表す。2価の原子団残基の例としては、例えば下式のようなものが挙げられる。
ポリウレタン化合物に用いられるジイソシアナート成分の例としては、エチレンジイソシアナート、トリメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート等で代表されるポリメチレンジイソシアナート(一般式:OCN(CH2)pNCO(pは、2〜8の整数を表す))、p−フェニレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、p,p’−ジフェニルメタンジイソシアナート、1,5−ナフチレンジイソシアナート等の芳香族ジイソシアナート、及び、m−キシリレンジイソシアナート等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。これらの中でも、トリレンジイソシアナート、m−キシリレンジイソシアナート、及びテトラメチレンジイソシアナートは、入手も容易であり、比較的安定で取扱いも容易であり、そして、ポリウレタン化した場合にセルロースアセテートとの相溶性が優れているので好ましい。
ポリエステルウレタン樹脂の分子量は、2,000〜50,000の範囲にあることが好ましく、成分ポリエステル類又はこれらの連結グループであるジイソシアナート成分の種類又は分子量等により、適宜選定できる。ポリエステルウレタン樹脂の分子量は、セルロースアセテートフィルムの機械的物性の向上とセルロースアセテートに対する相溶性の点で、5,000〜15,000の範囲にあることがさらに好ましい。ジクロロメタン可溶性ポリエステルウレタンの合成は、一般式(1)で表わされるポリエステルジオールとジイソシアナートとを混合し、攪拌下加熱することにより容易に得ることができる。一般式(1)で表されるポリエステルジオールは、相当する二塩基性酸もしくはそのアルキルエステル類と、グリコール類とのポリエステル化反応もしくはエステル交換反応による熱溶融縮合法、あるいは、これらの酸の酸クロリドとグリコール類との界面縮合法のいずれかの方法により、末端基がヒドロキシル基となるよう適宜調整して容易に合成できる。
本発明に用いるジクロロメタン可溶性ポリエステルウレタン樹脂は、酢化度58%以上のセルロースアセテートと極めて相溶性がよい。樹脂の構造により若干の相異は認められるが、ポリエステルウレタンの分子量が10,000以下の場合、酢酸繊維素100質量部に対してポリエステルウレタン200質量部でも相溶する。
本発明に用いるジクロロメタン可溶性ポリエステルウレタン樹脂は、酢化度58%以上のセルロースアセテートと極めて相溶性がよい。樹脂の構造により若干の相異は認められるが、ポリエステルウレタンの分子量が10,000以下の場合、酢酸繊維素100質量部に対してポリエステルウレタン200質量部でも相溶する。
従って、ポリエステルウレタン樹脂をセルロースアセテートに混合し、その皮膜の機械的物性を改善しようとする場合、ポリエステルウレタン樹脂の含有量は、ウレタン樹脂の種類、分子量、所望の機械的物性により適当に定めればよい。セルロースアセテートの特性を保持したまま機械的物性を改善しようとする場合には、セルロースアセテートに対して、ポリエステルウレタン樹脂を10〜50質量%含有させることが好ましい。また、このポリエステルウレタン樹脂は、少なくとも180℃までは安定で熱分解しない。このジクロロメタン可溶性のポリエステルウレタン類は、特に58%以上の酢化度のセルロースアセテートに対して極めて相溶性がよい。従って、両者を混合して製膜すると、極めて透明度の高いフィルムが得られる。しかも、これらのポリエステルウレタン類は、その平均分子量が高いため、従来の低分子の可塑剤とは異なり、高温においても揮発性は殆んどない。従って、これらの混合物より製膜して得られた皮膜は、その後の加工において、従来の可塑剤においてみられた可塑剤の揮発や、移行による不都合が少ない。
ポリエステルウレタンをセルロースアセテートフィルムに添加することにより、高温及び低温における耐折強度及び引裂き強度が大きくなり、フィルムが裂けにくくなり好ましい。
従来、皮膜の耐折強度や引裂き強度を向上するのに、低分子可塑剤が用いられていた。この方法では、常温、高湿状態においてはある程度の効果はあるが、低温、高湿状態においては皮膜の柔軟性がなくなり、必ずしも満足すべき結果は得られなかった。さらに、低分子可塑剤により機械的性質の改善を試みると、可塑剤の添加量と共に引張り強度の様な機械的性質が著しく低下するのが一般的であった。ジクロロメタン可溶性ポリエステルウレタン樹脂をセルロースアセテートに添加した場合は、樹脂の添加量と共に若干の引張り強度の低下は認められるが、低分子可塑剤添加の場合と比較して、明らかに強度の低下が少く、無添加の場合とほぼ同等の耐折強度の大きい強靱なフィルムが得られる。
さらに、ポリエステルウレタンを混合することにより、低温、高湿における可塑剤の移行を防止できる。そのため、フィルム相互が接着せず、かつ非常に柔軟性があり、しわもきしむことのない透明で光沢のあるフィルムが得られる。
従来、皮膜の耐折強度や引裂き強度を向上するのに、低分子可塑剤が用いられていた。この方法では、常温、高湿状態においてはある程度の効果はあるが、低温、高湿状態においては皮膜の柔軟性がなくなり、必ずしも満足すべき結果は得られなかった。さらに、低分子可塑剤により機械的性質の改善を試みると、可塑剤の添加量と共に引張り強度の様な機械的性質が著しく低下するのが一般的であった。ジクロロメタン可溶性ポリエステルウレタン樹脂をセルロースアセテートに添加した場合は、樹脂の添加量と共に若干の引張り強度の低下は認められるが、低分子可塑剤添加の場合と比較して、明らかに強度の低下が少く、無添加の場合とほぼ同等の耐折強度の大きい強靱なフィルムが得られる。
さらに、ポリエステルウレタンを混合することにより、低温、高湿における可塑剤の移行を防止できる。そのため、フィルム相互が接着せず、かつ非常に柔軟性があり、しわもきしむことのない透明で光沢のあるフィルムが得られる。
セルロースアセテートフィルムには機械的物性を改良するために、上記のポリエステルウレタンに代え、又はポリエステルウレタンと併用して、以下の可塑剤を用いることができる。
可塑剤としては、リン酸エステル又はカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート(TPP)及びトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)及びジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)及びO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEP及びDPPが特に好ましい。可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることが最も好ましい。
可塑剤としては、リン酸エステル又はカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート(TPP)及びトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)及びジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)及びO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEP及びDPPが特に好ましい。可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることが最も好ましい。
セルロースアセテートフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%を越えると、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
(二軸延伸)
セルロースアセテートフィルムは、仮想歪みを低減させるために、延伸処理をすることが好ましい。延伸することにより、延伸方向の仮想歪みが低減できるので、面内すべての方向で歪みを低減するために二軸延伸することがさらに好ましい。二軸延伸には、同時二軸延伸法と逐次二軸延伸法があるが、連続製造の観点から逐次二軸延伸方法が好ましく、ドープを流延した後、バンドもしくはドラムよりフィルムを剥ぎ取り、幅方向(長手方法)に延伸した後、長手方向(幅方向)に延伸される。幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。
フィルムの延伸は、常温又は加熱条件下で実施する。加熱温度は、フィルムのガラス転移温度以下であることが好ましい。フィルムは、乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。長手方向の延伸の場合、例えば、フィルムの搬送ローラーの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くするとフィルムは延伸される。幅方向の延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフィルムを延伸できる。フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。フィルムの延伸倍率(元の長さに対する延伸による増加分の比率)は、5〜50%の範囲にあることが好ましく、10〜40%の範囲にあることがさらに好ましく、15〜35%の範囲にあることが最も好ましい。
セルロースアセテートフィルムは、仮想歪みを低減させるために、延伸処理をすることが好ましい。延伸することにより、延伸方向の仮想歪みが低減できるので、面内すべての方向で歪みを低減するために二軸延伸することがさらに好ましい。二軸延伸には、同時二軸延伸法と逐次二軸延伸法があるが、連続製造の観点から逐次二軸延伸方法が好ましく、ドープを流延した後、バンドもしくはドラムよりフィルムを剥ぎ取り、幅方向(長手方法)に延伸した後、長手方向(幅方向)に延伸される。幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。
フィルムの延伸は、常温又は加熱条件下で実施する。加熱温度は、フィルムのガラス転移温度以下であることが好ましい。フィルムは、乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。長手方向の延伸の場合、例えば、フィルムの搬送ローラーの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くするとフィルムは延伸される。幅方向の延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフィルムを延伸できる。フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。フィルムの延伸倍率(元の長さに対する延伸による増加分の比率)は、5〜50%の範囲にあることが好ましく、10〜40%の範囲にあることがさらに好ましく、15〜35%の範囲にあることが最も好ましい。
これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。本発明に用いるセルロースアセテートフィルムの製造に用いる巻き取り機は一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
(セルロースアセテートフィルムの表面処理)
セルロースアセテートフィルムは、表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理又は紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましい。フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアセテートフィルムの温度をTg(ガラス転移温度)以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
セルロースアセテートフィルムを偏光板の透明保護膜として使用する場合、偏光膜との接着性の観点から、酸処理又はアルカリ処理、すなわちセルロースアセテートに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。表面エネルギーは55mN/m以上であることが好ましく、60mN/m以上75mN/m以下であることが更に好ましい。
セルロースアセテートフィルムは、表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理又は紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましい。フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアセテートフィルムの温度をTg(ガラス転移温度)以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
セルロースアセテートフィルムを偏光板の透明保護膜として使用する場合、偏光膜との接着性の観点から、酸処理又はアルカリ処理、すなわちセルロースアセテートに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。表面エネルギーは55mN/m以上であることが好ましく、60mN/m以上75mN/m以下であることが更に好ましい。
以下、アルカリ鹸化処理を例に、具体的に説明する。セルロースアセテートフィルムのアルカリ鹸化処理は、フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの規定濃度は0.1〜3.0モル/Lの範囲にあることが好ましく、0.5〜2.0モル/Lの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
固体の表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社 1989.12.10発行)に記載のように接触角法、湿潤熱法、及び吸着法により求めることができる。本発明のセルロースアセテートフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液をセルロースアセテートフィルムに滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出できる。
上記支持体の厚さは、10〜200μmとするのが好ましく、20〜150μmとするのがさらに好ましい。
上記支持体の厚さは、10〜200μmとするのが好ましく、20〜150μmとするのがさらに好ましい。
上記した通り、光学補償シートは、ポリマーフィルムからなる支持体上に、液晶性化合物を含有する液晶組成物から形成された光学異方性層を形成して作製された積層フィルムであってもよい。支持体上に配向膜を形成し、該配向膜上に光学異方性層を形成してもよい。このように、本明細書において「支持体上」等との表現は、支持体等に直接設けられることの他、配向膜などの他の層を介して設けられる場合も含む意である。
(光学異方性層)
前記光学異方性層は、支持体であるポリマーフィルム上に直接又は配向膜などの他の層を介して形成される。前記光学異方性層は、重合性液晶性化合物の少なくとも一種を含有する硬化性組成物から形成するのが好ましい。例えば、前記光学異方性層は、液晶性化合物及び必要に応じて重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布し、所望の配向状態とした後、重合反応を進行させて、液晶性化合物の分子をその配向状態に固定することで形成してもよい。
前記光学異方性層は、支持体であるポリマーフィルム上に直接又は配向膜などの他の層を介して形成される。前記光学異方性層は、重合性液晶性化合物の少なくとも一種を含有する硬化性組成物から形成するのが好ましい。例えば、前記光学異方性層は、液晶性化合物及び必要に応じて重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布し、所望の配向状態とした後、重合反応を進行させて、液晶性化合物の分子をその配向状態に固定することで形成してもよい。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。塗布液の塗布は、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
前記光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがさらに好ましく、1〜10μmであることがよりさらに好ましい。
前記光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがさらに好ましく、1〜10μmであることがよりさらに好ましい。
前記液晶性化合物は、棒状液晶性化合物及び円盤状液晶性化合物のいずれであってもよい。特に円盤状液晶性化合物を用いることが好ましい。
(棒状液晶性化合物)
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。なお、棒状液晶性化合物には、金属錯体も含まれる。
棒状液晶性化合物については、日本化学会編「季刊化学総説第22巻液晶の化学」(1994)の第4章、第7章及び第11章、及び日本学術振興会第142委員会編「液晶デバイスハンドブック」の第3章に記載がある。棒状液晶性化合物の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。棒状液晶性化合物は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが必要である。重合性基(Q)の例を、以下に示す。
(棒状液晶性化合物)
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。なお、棒状液晶性化合物には、金属錯体も含まれる。
棒状液晶性化合物については、日本化学会編「季刊化学総説第22巻液晶の化学」(1994)の第4章、第7章及び第11章、及び日本学術振興会第142委員会編「液晶デバイスハンドブック」の第3章に記載がある。棒状液晶性化合物の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。棒状液晶性化合物は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが必要である。重合性基(Q)の例を、以下に示す。
重合性基(Q)は、不飽和重合性基(Q1〜Q7)、エポキシ基(Q8)又はアジリジニル基(Q9)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(Q1〜Q6)であることが最も好ましい。棒状液晶性化合物は、短軸方向に対してほぼ対称となる分子構造を有することが好ましい。そのためには、棒状分子構造の両端に重合性基を有することが好ましい。以下に、棒状液晶性化合物の例を示す。
光学異方性層は、棒状液晶性化合物あるいは後述の重合性開始剤や、従来公知の任意の添加剤(例、可塑剤、モノマー、界面活性剤、セルロースエステル、1,3,5−トリアジン化合物、カイラル剤)を含む液晶組成物(塗布液)を、配向膜の上に塗布し、重合反応により、液晶性化合物の配向を固定することで形成することができる。
(円盤状液晶性化合物)
円盤状(ディスコティック)液晶性化合物の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることができる。さらに、円盤状液晶性化合物としては、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその直鎖として放射線状に置換された構造のものも含まれ、液晶性を示す。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一定の配向を付与できるものであればこれらに限定されるものではない。
円盤状(ディスコティック)液晶性化合物の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることができる。さらに、円盤状液晶性化合物としては、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその直鎖として放射線状に置換された構造のものも含まれ、液晶性を示す。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一定の配向を付与できるものであればこれらに限定されるものではない。
円盤状液晶性化合物の分子を重合により固定するためには、円盤状液晶性化合物の分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させるのが好ましい。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有する円盤状液晶性化合物は、下記一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(3): D(−L−P)n
一般式(3)中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、そして、nは4〜12の整数である。一般式(3)の例を以下に示す。以下の各例において、LP(又はPL)は、二価の連結基(L)と重合性基(P)との組み合わせを意味する。
一般式(3): D(−L−P)n
一般式(3)中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、そして、nは4〜12の整数である。一般式(3)の例を以下に示す。以下の各例において、LP(又はPL)は、二価の連結基(L)と重合性基(P)との組み合わせを意味する。
一般式(3)において、二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−及び−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることがさらに好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−及び−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。
二価の連結基(L)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(P)に結合する。ALはアルキレン基又はアルケニレン基、ARはアリーレン基を意味する。なお、アルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基は、置換基(例、アルキル基)を有していてもよい。
L1:−AL−CO−O−AL−
L2:−AL−CO−O−AL−O−
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L5:−CO−AR−O−AL−
L6:−CO−AR−O−AL−O−
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L8:−CO−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−CO−
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−CO−
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L17:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L20:−S−AL−
L21:−S−AL−O−
L22:−S−AL−O−CO−
L23:−S−AL−S−AL−
L24:−S−AR−AL−
L1:−AL−CO−O−AL−
L2:−AL−CO−O−AL−O−
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L5:−CO−AR−O−AL−
L6:−CO−AR−O−AL−O−
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L8:−CO−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−CO−
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−CO−
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L17:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L20:−S−AL−
L21:−S−AL−O−
L22:−S−AL−O−CO−
L23:−S−AL−S−AL−
L24:−S−AR−AL−
一般式(3)の重合性基(P)は、重合反応の種類に応じて決定することができる。重合性基(P)の例を以下に示す。
重合性基(P)は、不飽和重合性基(P1、P2、P3、P7、P8、P15、P16、P17)又はエポキシ基(P6、P18)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがより好ましく、エチレン性不飽和重合性基(P1、P7、P8、P15、P16、P17)であることがよりさらに好ましい。
一般式(3)において、上記したように、nは4〜12の整数である。具体的な数字は、円盤状コア(D)の種類に応じて決定することができる。なお、複数のLとPの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
一般式(3)において、上記したように、nは4〜12の整数である。具体的な数字は、円盤状コア(D)の種類に応じて決定することができる。なお、複数のLとPの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
円盤状液晶性化合物を用いる場合、光学異方性層は負の複屈折を有する層であって、そして円盤状構造単位の面が、セルロースアセテートフィルム表面に対して傾き、且つ円盤状構造単位の面とセルロースアセテートフィルム表面とのなす角度が、光学異方性層の深さ方向に変化していることが好ましい。
円盤状構造単位の面の角度(傾斜角)は、一般に、光学異方性層の深さ方向でかつ光学異方性層の底面からの距離の増加と共に増加又は減少している。傾斜角は、距離の増加と共に増加することが好ましい。さらに、傾斜角の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、及び増加及び減少を含む間欠的変化などを挙げることができる。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。傾斜角は、傾斜角が変化しない領域を含んでいても、全体として増加又は減少していることが好ましい。さらに、傾斜角は全体として増加していることが好ましく、特に連続的に変化することが好ましい。
支持体側の円盤状単位の傾斜角は、一般に円盤状液晶性化合物あるいは配向膜の材料を選択することにより、又はラビング処理方法の選択することにより、調整することができる。また、表面側(支持体とは反対側)の円盤状単位の傾斜角は、一般に円盤状液晶性化合物あるいは円盤状液晶性化合物とともに使用する他の化合物を選択することにより調整することができる。円盤状液晶性化合物とともに使用する化合物の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー及びポリマーなど、従来公知の化合物を挙げることができる。更に、傾斜角の変化の程度も、上記と同様の選択により調整できる。
円盤状液晶性化合物とともに使用する可塑剤、界面活性剤及び重合性モノマーとしては、円盤状液晶性化合物と相溶性を有し、円盤状液晶性化合物の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しない限り、どのような化合物も使用することができる。これらの中で、重合性モノマー(例、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基及びメタクリロイル基を有する化合物)が好ましい。上記化合物の添加量は、円盤状液晶性化合物に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
円盤状液晶性化合物とともに使用するポリマーとしては、円盤状液晶性化合物と相溶性を有し、円盤状液晶性化合物に傾斜角の変化を与えられる限り、どのようなポリマーでも使用することができる。ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース及びセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。円盤状液晶性化合物の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、円盤状液晶性化合物に対して一般に0.1〜10質量%の範囲にあり、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
前記光学異方性層は、円盤状液晶性化合物を用いて、例えば、以下の通りにして作製することができる。円盤状液晶性化合物及び他の化合物を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱し、その後配向状態(ディスコティックネマチック相)を維持して冷却することにより得られる。あるいは、上記光学異方性層は、液晶性化合物及び他の化合物(更に、例えば重合性モノマー、光重合開始剤)を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティッネマチック相形成温度まで加熱したのち重合させ(UV光の照射等により)、さらに冷却することにより得られる。前記光学異方性層の形成に用いる円盤状液晶性化合物のディスコティックネマチック液晶相−固相転移温度としては、70〜300℃が好ましく、特に70〜170℃が好ましい。
(液晶性化合物の配向状態の固定)
本発明においては、液晶性化合物が重合性基を有しているので配向させた液晶性化合物の配向状態を維持して固定することができ、これにより光学異方性層の配向性が固定される。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2の範囲にあることが好ましく、20〜5000mJ/cm2の範囲にあることがより好ましく、100〜800mJ/cm2の範囲にあることがさらに好ましい。
また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。保護層を、光学異方性層の上に設けてもよい。以上のように、セルロースアセテートフィルム上に光学異方性層を設けることにより光学補償シートを作製することができる。
本発明においては、液晶性化合物が重合性基を有しているので配向させた液晶性化合物の配向状態を維持して固定することができ、これにより光学異方性層の配向性が固定される。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2の範囲にあることが好ましく、20〜5000mJ/cm2の範囲にあることがより好ましく、100〜800mJ/cm2の範囲にあることがさらに好ましい。
また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。保護層を、光学異方性層の上に設けてもよい。以上のように、セルロースアセテートフィルム上に光学異方性層を設けることにより光学補償シートを作製することができる。
(配向膜)
前記光学異方性層は、配向膜を利用して形成してもよい。配向膜は、光学異方性層の作製に用いる液晶性化合物の分子を一定の方向に配向させるように機能する。なお、液晶性化合物の分子を配向させた後に、その配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしてしまい、光学補償シート自体には特に必要のないものであるため、光学補償シートの層構成上は必須の構成要素ではない。よって、一旦配向膜上で、液晶化合物の分子を配向させて、その後、配向状態を固定し光学異方性層を形成した後は、配向膜上の光学異方性層のみを、セルロースアセテートフィルム等の支持体上に転写して、配向膜のない支持体と光学異方性層とからなる光学補償シートを作製することも可能である。
前記光学異方性層は、配向膜を利用して形成してもよい。配向膜は、光学異方性層の作製に用いる液晶性化合物の分子を一定の方向に配向させるように機能する。なお、液晶性化合物の分子を配向させた後に、その配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしてしまい、光学補償シート自体には特に必要のないものであるため、光学補償シートの層構成上は必須の構成要素ではない。よって、一旦配向膜上で、液晶化合物の分子を配向させて、その後、配向状態を固定し光学異方性層を形成した後は、配向膜上の光学異方性層のみを、セルロースアセテートフィルム等の支持体上に転写して、配向膜のない支持体と光学異方性層とからなる光学補償シートを作製することも可能である。
配向膜は、液晶性化合物の配向方向を規定する機能を有する。配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。ポリビニルアルコールが、好ましいポリマーである。疎水性基が結合している変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。配向膜は、一種類のポリマーから形成することもできるが、架橋された二種類のポリマーからなる層をラビング処理することにより形成することがさらに好ましい。少なくとも一種類のポリマーとして、それ自体架橋可能なポリマーか、架橋剤により架橋されるポリマーのいずれかを用いることが好ましい。配向膜は、官能基を有するポリマーあるいはポリマーに官能基を導入したものを、光、熱、PH変化等により、ポリマー間で反応させて形成するか;あるいは、反応活性の高い化合物である架橋剤を用いてポリマー間に架橋剤に由来する結合基を導入して、ポリマー間を架橋することにより形成することができる。
このような架橋は、上記ポリマー又はポリマーと架橋剤の混合物を含む配向膜塗布液を、セルロースアセテートフィルム上に塗布したのち、加熱等を行なうことにより実施される。光学補償シートの耐久性が確保できればよいので、配向膜をセルロースアセテートフィルム上に塗設した後から、光学補償シートを得るまでのいずれの段階で架橋させる処理を行なってもよい。配向膜上に形成される液晶性化合物からなる層(光学異方性層)の配向性を考えると、液晶性化合物を配向させたのちに、充分架橋を行なうことも好ましい。配向膜の架橋は、セルロースアセテートフィルム上に配向膜塗布液を塗布し、加熱乾燥することで行われることが一般的である。この塗布液の加熱温度を低く設定して、後述の光学異方性層を形成する際の加熱処理の段階で配向膜の充分な架橋を行うことが好ましい。
配向膜に用いるポリマーとしては、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。勿論両方可能なポリマーもある。ポリマーの例としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリカーボネート等のポリマー、ゼラチン及びシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。好ましいポリマーの例としては、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーが挙げられる。ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールを用いることが好ましく、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールを用いることがさらに好ましい。また、重合度の異なるポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールを二種類併用することが最も好ましい。
ポリビニルアルコールの例としては、鹸化度が70〜100%の範囲にあるポリビニルアルコールが挙げられる。一般に鹸化度は80〜100%の範囲にあり、85〜95%の範囲にあることがさらに好ましい。また、ポリビニルアルコールの重合度は、100〜3000の範囲にあることが好ましい。変性ポリビニルアルコールの例としては、共重合変性、連鎖移動による変性、又はブロック重合による変性をしたポリビニルアルコールなどを挙げることができる。共重合変性する場合の変性基の例としては、COONa、Si(OH)3、N(CH3)3・Cl、C9H19COO、SO3、Na、C12H25などが挙げられる。連鎖移動による変性をする場合の変性基の例としては、COONa、SH、C12H25などが挙げられる。また、ブロック重合による変性をする場合の変性基の例としては、COOH、CONH2、C6H5などが挙げられる。これらの中でも、鹸化度が80〜100%の範囲にある未変性もしくは変性ポリビニルアルコールが好ましい。また、鹸化度が85〜95%の範囲にある未変性ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールがさらに好ましい。
変性ポリビニルアルコールとしては、特に、下記一般式で表される化合物により変性されたポリビニルアルコールの変性物を用いることが好ましい。この変性ポリビニルアルコールを、以下、特定の変性ポリビニルアルコールと記載する。
式中、R1は、アルキル基、アクリロイルアルキル基、メタクリロイルアルキル基、又はエポキシアルキル基を表し;Wは、ハロゲン原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表し;Xは、活性エステル、酸無水物、又は酸ハロゲン化物を形成するために必要な原子群を表し;pは、0又は1を表し;そしてnは、0〜4の整数を表す。上記の特定の変性ポリビニルアルコールは、さらに下記一般式で表される化合物によるポリビニルアルコールの変性物であることが好ましい。
式中、X1は、活性エステル、酸無水物、又は酸ハロゲン化物を形成するために必要な原子群を表し、そしてmは2〜24の整数を表す。
これらの一般式により表される化合物と反応させるために用いるポリビニルアルコールとしては、前述の、未変性のポリビニルアルコール、及び、共重合変性したもの、即ち連鎖移動により変性したもの、ブロック重合による変性をしたものなどのポリビニルアルコールの変性物を挙げることができる。特定の変性ポリビニルアルコールの好ましい例は、特開平9−152509号公報に詳しく記載されている。これらポリマーの合成方法、可視吸収スペクトル測定、及び変性基導入率の決定方法等は、特開平8−338913号公報に詳しく記載がある。
架橋剤の例としては、アルデヒド類、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾール類、及びジアルデヒド澱粉などを挙げることができる。アルデヒド類の例としては、ホルムアルデヒド、グリオキザール、及びグルタルアルデヒドが挙げられる。N−メチロール化合物の例としては、ジメチロール尿素及びメチロールジメチルヒダントインが挙げられる。ジオキサン誘導体の例としては、2,3−ジヒドロキシジオキサンが挙げられる。カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物の例としては、カルベニウム、2−ナフタレンスルホナート、1,1−ビスピロリジノ−1−クロロピリジニウム、及び1−モルホリノカルボニル−3−(スルホナトアミノメチル)が挙げられる。活性ビニル化合物の例としては、1,3,5−トリアクロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビス(ビニルスルホン)メタン、及びN,N’−メチレンビス−[β−(ビニルスルホニル)プロピオンアミド]が挙げられる。そして、活性ハロゲン化合物の例としては、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンが挙げられる。これらは、単独又は組合せて用いることができる。これらは上記水溶性ポリマー、特にポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール(上記特定の変性物も含む)と併用する場合に好ましい。生産性を考慮した場合、反応活性の高いアルデヒド類、とりわけグルタルアルデヒドの使用が好ましい。
ポリマーに対する架橋剤の添加量に特に限定はない。耐湿性は、架橋剤を多く添加した方が良化傾向にある。しかし、架橋剤をポリマーに対して50質量%以上添加した場合には、配向膜としての配向能が低下する。従って、ポリマーに対する架橋剤の添加量は、0.1〜20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜15質量%の範囲にあることがさらに好ましい。配向膜は、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいるが、その架橋剤の量は、配向膜中に1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。配向膜中の未反応の架橋剤の量が上記の範囲であると、液晶表示装置に使用した場合、長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長期間放置した場合に、レチキュレーションが発生せず、充分な耐久性が得られ、好ましい。
配向膜は、上記ポリマーを含む溶液、あるいは上記ポリマーと架橋剤を含む溶液を、セルロースアセテートフィルム上に塗布した後、加熱乾燥し(架橋させ)、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、塗布液をセルロースアセテートフィルム上に塗布した後、任意の時期に行なってもよい。そして、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合、その塗布液を作製するための溶媒は、消泡作用のあるメタノール等の有機溶媒とするか、あるいは有機溶媒と水の混合溶媒とすることが好ましい。有機溶媒としてメタノールを用いる場合、その比率は質量比で水:メタノールが、0:100〜99:1が一般的であり、0:100〜91:9であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には光学異方性層の表面の欠陥が著しく減少する。
塗布方法としては、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法及びE型塗布法を挙げることができる。この中でも、特にE型塗布法が好ましい。
塗布方法としては、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法及びE型塗布法を挙げることができる。この中でも、特にE型塗布法が好ましい。
配向膜の膜厚は、0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。加熱乾燥は、加熱温度が20〜110℃の範囲で行なうことができる。充分な架橋を形成させるためには、加熱温度は60〜100℃の範囲にあることが好ましく、80〜100℃の範囲にあることが好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができる。好ましくは5〜30分間である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用する場合は、pH4.5〜5.5の範囲にあることが好ましく、特にpH5であることが好ましい。
ラビング処理は、液晶表示装置の液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を利用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
光学補償シートの光学特性は、本発明の偏光板が用いられる液晶表示装置のモードや、液晶セルのΔn・d等に応じて、最適化される。前記光学補償シートが、ポリマーフィルムのみからなる場合は、ポリマーフィルムの延伸条件の調整やフィルム中にレターデーション調整剤を添加することなどによって、好ましい光学特性とすることができる。また、前記光学補償シートが、ポリマーフィルムからなる支持体と、液晶組成物からなる光学異方性層との積層フィルムである場合は、光学異方性層を形成する際に液晶性分子の配向を調整することで、所望の光学特性にすることができる。前記光学補償シートが前記積層フィルムの態様では、支持体であるポリマーフィルムは、光学的に異方性であって、光学補償に寄与していてもよいし、又は光学的に等方性であり、光学補償に寄与していなくてもよい。
《保護層》
本発明の偏光板は、偏光層を保護する保護層を有していてもよい。保護層は、ポリマーフィルムであるのが好ましい。保護層として用いるポリマーフィルムの例としては、光学補償シート等として用いるポリマーフィルムの例と同様である。
本発明の偏光板は、偏光層を保護する保護層を有していてもよい。保護層は、ポリマーフィルムであるのが好ましい。保護層として用いるポリマーフィルムの例としては、光学補償シート等として用いるポリマーフィルムの例と同様である。
《剥離紙》
本発明の偏光板が、前記粘着剤層が最も外側に配置された態様である場合は、粘着剤層の表面に剥離紙を貼り付けて、保管及び搬送に供するのが好ましい。前記偏光板を液晶表示装置に組み込む際は、剥離紙を剥離して、露出した粘着剤層の表面を、液晶表示装置の他の部材、例えば、液晶セルの基板表面に接触させて、貼り付けることができる。
本発明の偏光板が、前記粘着剤層が最も外側に配置された態様である場合は、粘着剤層の表面に剥離紙を貼り付けて、保管及び搬送に供するのが好ましい。前記偏光板を液晶表示装置に組み込む際は、剥離紙を剥離して、露出した粘着剤層の表面を、液晶表示装置の他の部材、例えば、液晶セルの基板表面に接触させて、貼り付けることができる。
[液晶表示装置]
本発明の偏光板は、液晶表示装置、特に透過型液晶表示装置に有利に用いられる。本発明の液晶表示装置の一態様は、液晶セル及びその両側に配置された二枚の偏光板からなり、その一方又は双方が本発明の偏光板であることを特徴とする。
液晶セルは、一般的には、二枚の電極基板の間に液晶を担持した構成である。TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60〜120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
また本発明の偏光板は、TNモードの液晶セル以外にも、OCB(Optically
Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、IPS(In Plane Switching)等の液晶表示装置にも有利に利用できる。すなわち、本発明の液晶表示装置は、TNモード、OCB、VA、IPSなどに適用することができる。
本発明の偏光板は、液晶表示装置、特に透過型液晶表示装置に有利に用いられる。本発明の液晶表示装置の一態様は、液晶セル及びその両側に配置された二枚の偏光板からなり、その一方又は双方が本発明の偏光板であることを特徴とする。
液晶セルは、一般的には、二枚の電極基板の間に液晶を担持した構成である。TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60〜120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
また本発明の偏光板は、TNモードの液晶セル以外にも、OCB(Optically
Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、IPS(In Plane Switching)等の液晶表示装置にも有利に利用できる。すなわち、本発明の液晶表示装置は、TNモード、OCB、VA、IPSなどに適用することができる。
以下に実施例等をあげて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(セルロースアセテートフィルムの作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
<セルロースアセテート溶液組成>
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.9質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 245質量部
メタノール(第2溶媒) 20質量部
[実施例1]
(セルロースアセテートフィルムの作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
<セルロースアセテート溶液組成>
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.9質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 245質量部
メタノール(第2溶媒) 20質量部
別のミキシングタンクに、下記のレターデーション上昇剤16質量部、メチレンクロライド80質量部及びメタノール20質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。セルロースアセテート溶液477質量部にレターデーション上昇剤溶液22質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、3.0質量部であった。
得られたドープを、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が40質量%のフィルムをバンドから剥がし、120℃の熱風を吹かせながら、搬送方向に101%のドローをかけながら搬送しつつ、テンターで幅方向に3%拡幅しながら乾燥させた。次いでテンタークリップを外した後、フィルムを140℃の熱風で20分乾燥し、残留溶剤量が0.3質量%のセルロースアセテートフィルム(厚さ:107μm)を製造した。
作製したセルロースアセテートフィルムを2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗、乾燥し鹸化処理を行った。
作製したセルロースアセテートフィルムを2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗、乾燥し鹸化処理を行った。
(配向膜の形成)
作製したセルロースアセテートフィルム上に、下記の組成の塗布液を#14のワイヤーバーコーターで24ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で
150秒乾燥した。次に、セルロースアセテートフィルムの長手方向と平行な方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
<配向膜塗布液組成>
下記の変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 1.0質量部
作製したセルロースアセテートフィルム上に、下記の組成の塗布液を#14のワイヤーバーコーターで24ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で
150秒乾燥した。次に、セルロースアセテートフィルムの長手方向と平行な方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
<配向膜塗布液組成>
下記の変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 1.0質量部
(光学異方性層の形成・光学補償シートの作製)
配向膜上に、下記の円盤状(液晶性)化合物91.0g、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)9.0g、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)2.0g、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.5g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)3.0g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.0gを、207gのメチルエチルケトンに溶解した塗布液を、#3.6のワイヤーバーで6.2cc/m2塗布した。これを130℃の恒温ゾーンで2分間加熱し、円盤状化合物を配向させた。次に、60℃の雰囲気下で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し円盤状化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層を形成し、光学補償シート1を作製した。
光学補償シート1の弾性率をテンシロン(株)東洋精機製作所製)で測定したところ3.89×109Paであった。また、光学補償シート1の光弾性係数を日本分光社製エリプソメーターM−150で測定したところ13×10-12(1/Pa)であった。
配向膜上に、下記の円盤状(液晶性)化合物91.0g、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)9.0g、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)2.0g、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.5g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)3.0g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.0gを、207gのメチルエチルケトンに溶解した塗布液を、#3.6のワイヤーバーで6.2cc/m2塗布した。これを130℃の恒温ゾーンで2分間加熱し、円盤状化合物を配向させた。次に、60℃の雰囲気下で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し円盤状化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層を形成し、光学補償シート1を作製した。
光学補償シート1の弾性率をテンシロン(株)東洋精機製作所製)で測定したところ3.89×109Paであった。また、光学補償シート1の光弾性係数を日本分光社製エリプソメーターM−150で測定したところ13×10-12(1/Pa)であった。
(偏光板の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、以上のように作製した光学補償シートを、上記載の鹸化処理を行った後、セルロースアセテートフィルムが偏光膜側となるように偏光膜の片側の表面に貼り付けた。偏光膜の透過軸とセルロースアセテートフィルムの遅相軸とは平行になるように配置した。市販のセルローストリアセテートフィルム(厚さ80μm、フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側の表面に透明保護膜として貼り付けた。
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、以上のように作製した光学補償シートを、上記載の鹸化処理を行った後、セルロースアセテートフィルムが偏光膜側となるように偏光膜の片側の表面に貼り付けた。偏光膜の透過軸とセルロースアセテートフィルムの遅相軸とは平行になるように配置した。市販のセルローストリアセテートフィルム(厚さ80μm、フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側の表面に透明保護膜として貼り付けた。
NR(ペールクレープ)60質量部、SBR(B/S=71/29)30質量部、ポリイソブチレン10質量部、ポリテルペン樹脂(軟化点115℃)60質量部、水添ロジングリセロールエステル10質量部、抗酸化剤(2,6−ジ−t−ブチル−4−クルゾール)2質量部を、固形分が20%となるようにn−ヘキサンに溶解して、粘着剤シロップを調製した。前記で作製した、透明保護層、偏光膜及び光学補償シート1の積層体の光学異方性層面に、前記の粘着剤シロップを、乾燥後の粘着剤層の厚さが30μmになるように塗布し、粘着剤層を形成した。
前記粘着剤層の表面に、剥離紙を粘合した。この様にして、図2と同一の構成の偏光板を作製した。
形成した粘着剤層の光弾性係数を日本分光社製エリプソメーターM−150で測定したところ200×10-12(1/Pa)であった。
従ってこの偏光板のY値は、1.9×10-4であった。
前記粘着剤層の表面に、剥離紙を粘合した。この様にして、図2と同一の構成の偏光板を作製した。
形成した粘着剤層の光弾性係数を日本分光社製エリプソメーターM−150で測定したところ200×10-12(1/Pa)であった。
従ってこの偏光板のY値は、1.9×10-4であった。
(偏光板の評価)
以上のようにして作製した偏光板の2枚から、剥離紙をそれぞれ除去し、露出した粘着剤層を、石英ガラス板の両面に、一枚ずつ貼り付けた。2枚の偏光板の透過軸は直交するように、またガラスの端の線と45度の角度をなすように配置した。
両面に前記偏光板を貼り付けたガラス板を、60℃ドライの乾燥機に17時間静置し、その後取り出して、1時間後にSAMSUNG社製モニターSyncmaster172Xのバックライトの上に置き、全面黒表示状態を暗室にて目視で観察して光漏れを評価した。その結果、偏光板の周辺において光漏れはほとんど観測されなかった。またトプコンテクノハウス(株)製の輝度計BM−5Aにて輝度分布を測り漏れ光量を測定した。その結果、最大漏れ光の透過率は0.02%であった。
以上のようにして作製した偏光板の2枚から、剥離紙をそれぞれ除去し、露出した粘着剤層を、石英ガラス板の両面に、一枚ずつ貼り付けた。2枚の偏光板の透過軸は直交するように、またガラスの端の線と45度の角度をなすように配置した。
両面に前記偏光板を貼り付けたガラス板を、60℃ドライの乾燥機に17時間静置し、その後取り出して、1時間後にSAMSUNG社製モニターSyncmaster172Xのバックライトの上に置き、全面黒表示状態を暗室にて目視で観察して光漏れを評価した。その結果、偏光板の周辺において光漏れはほとんど観測されなかった。またトプコンテクノハウス(株)製の輝度計BM−5Aにて輝度分布を測り漏れ光量を測定した。その結果、最大漏れ光の透過率は0.02%であった。
[実施例2]
(セルロースアセテートフィルムの作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
(セルロースアセテートフィルムの作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
<セルロースアセテート溶液組成>
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 3.7質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 250質量部
メタノール(第2溶媒) 20質量部
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 3.7質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 250質量部
メタノール(第2溶媒) 20質量部
別のミキシングタンクに、実施例1で用いたレターデーション上昇剤16質量部、メチレンクロライド80質量部及びメタノール20質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。セルロースアセテート溶液477質量部にレターデーション上昇剤溶液22質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、3.0質量部であった。
得られたドープを、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が40質量%のフィルムをバンドから剥がし、120℃の熱風を吹かせながら、搬送方向に101%のドローをかけながら搬送しつつ、テンターで幅方向に3%拡幅しながら乾燥させた。次いでテンタークリップを外した後、フィルムを140℃の熱風で20分乾燥し、残留溶剤量が0.3質量%のセルロースアセテートフィルム(厚さ:107μm)を製造した。
作製したセルロースアセテートフィルムを2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗、乾燥し鹸化処理を行った。
作製したセルロースアセテートフィルムを2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗、乾燥し鹸化処理を行った。
作製したセルロースアセテートフィルム上に、実施例1と同様に、配向膜、光学異方性層を形成して光学補償シート2を作製した。光学補償シート2の弾性率をテンシロン(株)東洋精機製作所製)で測定したところ4.5×109Paであった。また、光学補償シート2の光弾性係数を日本分光社製エリプソメーターM−150で測定したところ13×10-12(1/Pa)であった。
光学補償シート1を光学補償シート2に代えた以外は、実施例1と同様にして、図1と同様の構成の偏光板を作製した。この偏光板の粘着剤層の光弾性係数を日本分光社製エリプソメーターM−150で測定したところ200×10-12(1/Pa)であった。
従って、この偏光板のY値は、4.6×10-4であった。
従って、この偏光板のY値は、4.6×10-4であった。
(評価)
実施例1と同様にして、作製した偏光板の2枚を石英ガラス板の両面に、一枚ずつ貼り付けた。2枚の偏光板の透過軸は直交するように、またガラスの端の線と45度の角度をなすように配置した。
実施例1と同様にして、両面に偏光板を貼り付けたガラス板を、60℃ドライの乾燥機に17時間入れ取り出した後、全面黒表示状態を暗室にて目視で観察して光漏れを評価した。その結果、偏光板周辺において光漏れはほとんど観測されなかった。また輝度計にて輝度分布を測り漏れ光量を測定した。その結果最大漏れ光の透過率は0.05%であった。
実施例1と同様にして、作製した偏光板の2枚を石英ガラス板の両面に、一枚ずつ貼り付けた。2枚の偏光板の透過軸は直交するように、またガラスの端の線と45度の角度をなすように配置した。
実施例1と同様にして、両面に偏光板を貼り付けたガラス板を、60℃ドライの乾燥機に17時間入れ取り出した後、全面黒表示状態を暗室にて目視で観察して光漏れを評価した。その結果、偏光板周辺において光漏れはほとんど観測されなかった。また輝度計にて輝度分布を測り漏れ光量を測定した。その結果最大漏れ光の透過率は0.05%であった。
[実施例3]
(粘着剤シロップの調製)
NR(ペールクレープ)60質量部、SBR(B/S=71/29)40質量部、ポリイソブチレン10質量部、ポリテルペン樹脂(軟化点115℃)60質量部、水添ロジングリセロールエステル10質量部、抗酸化剤(2,6−ジ−t−ブチル−4−クルゾール)2質量部を、固形分が20%となるようにn−ヘキサンに溶解して、粘着剤シロップを調製した。
この粘着剤シロップを用いて粘着剤層を形成した以外は、実施例1と同様の方法で、図2と同一の構成の偏光板を作製した。
形成した粘着剤層の光弾性係数を日本分光社製エリプソメーターM−150で測定したところ100×10-12(1/Pa)であった。
従ってこの偏光板のY値は、2.6×10-4であった。
(粘着剤シロップの調製)
NR(ペールクレープ)60質量部、SBR(B/S=71/29)40質量部、ポリイソブチレン10質量部、ポリテルペン樹脂(軟化点115℃)60質量部、水添ロジングリセロールエステル10質量部、抗酸化剤(2,6−ジ−t−ブチル−4−クルゾール)2質量部を、固形分が20%となるようにn−ヘキサンに溶解して、粘着剤シロップを調製した。
この粘着剤シロップを用いて粘着剤層を形成した以外は、実施例1と同様の方法で、図2と同一の構成の偏光板を作製した。
形成した粘着剤層の光弾性係数を日本分光社製エリプソメーターM−150で測定したところ100×10-12(1/Pa)であった。
従ってこの偏光板のY値は、2.6×10-4であった。
(評価)
実施例1と同様にして、作製した偏光板の2枚を石英ガラス板の両面に、一枚ずつ貼り付けた。2枚の偏光板の透過軸は直交するように、またガラスの端の線と45度の角度をなすように配置した。
実施例1と同様にして、両面に偏光板を貼り付けたガラス板を、60℃ドライの乾燥機に17時間入れ取り出した後、全面黒表示状態を暗室にて目視で観察して光漏れを評価した。その結果、偏光板周辺において光漏れはほとんど観測されなかった。また輝度計にて輝度分布を測り漏れ光量を測定した。その結果最大漏れ光の透過率は0.03%であった。
実施例1と同様にして、作製した偏光板の2枚を石英ガラス板の両面に、一枚ずつ貼り付けた。2枚の偏光板の透過軸は直交するように、またガラスの端の線と45度の角度をなすように配置した。
実施例1と同様にして、両面に偏光板を貼り付けたガラス板を、60℃ドライの乾燥機に17時間入れ取り出した後、全面黒表示状態を暗室にて目視で観察して光漏れを評価した。その結果、偏光板周辺において光漏れはほとんど観測されなかった。また輝度計にて輝度分布を測り漏れ光量を測定した。その結果最大漏れ光の透過率は0.03%であった。
[実施例4]
粘着剤層の形成に、実施例3で調製したのと同一の組成の粘着剤シロップを用いた以外は、実施例2と同様にして、図2と同一の構成の偏光板を作製した。
形成した粘着剤層の光弾性係数を日本分光社製エリプソメーターM−150で測定したところ100×10-12(1/Pa)であった。
従ってこの偏光板のY値は、5.3×10-4であった。
粘着剤層の形成に、実施例3で調製したのと同一の組成の粘着剤シロップを用いた以外は、実施例2と同様にして、図2と同一の構成の偏光板を作製した。
形成した粘着剤層の光弾性係数を日本分光社製エリプソメーターM−150で測定したところ100×10-12(1/Pa)であった。
従ってこの偏光板のY値は、5.3×10-4であった。
(評価)
実施例1と同様にして、作製した偏光板の2枚を石英ガラス板の両面に、一枚ずつ貼り付けた。2枚の偏光板の透過軸は直交するように、またガラスの端の線と45度の角度をなすように配置した。
実施例1と同様にして、両面に偏光板を貼り付けたガラス板を、60℃ドライの乾燥機に17時間入れ取り出した後、全面黒表示状態を暗室にて目視で観察して光漏れを評価した。その結果、偏光板周辺において光漏れはほとんど観測されなかった。また輝度計にて輝度分布を測り漏れ光量を測定した。その結果最大漏れ光の透過率は0.05%であった。
実施例1と同様にして、作製した偏光板の2枚を石英ガラス板の両面に、一枚ずつ貼り付けた。2枚の偏光板の透過軸は直交するように、またガラスの端の線と45度の角度をなすように配置した。
実施例1と同様にして、両面に偏光板を貼り付けたガラス板を、60℃ドライの乾燥機に17時間入れ取り出した後、全面黒表示状態を暗室にて目視で観察して光漏れを評価した。その結果、偏光板周辺において光漏れはほとんど観測されなかった。また輝度計にて輝度分布を測り漏れ光量を測定した。その結果最大漏れ光の透過率は0.05%であった。
[実施例5]
[粘着層の形成]
以下の方法により粘着剤シロップを調製した。なお、用いられた物質の略語は下記の通りである。
BA:n−ブチルアクリレート
MA:メチルアクリレート
AA:アクリル酸
2−HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート
BZMA:ベンジルメタアクリレート
PHMA:フェニルメタアクリレート
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
EA(EAc):酢酸エチル
[粘着層の形成]
以下の方法により粘着剤シロップを調製した。なお、用いられた物質の略語は下記の通りである。
BA:n−ブチルアクリレート
MA:メチルアクリレート
AA:アクリル酸
2−HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート
BZMA:ベンジルメタアクリレート
PHMA:フェニルメタアクリレート
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
EA(EAc):酢酸エチル
共重合体の製造窒素ガスが還流され温度調節が容易になるように冷却装置を設置した1000cc反応器に、n−ブチルアクリレート(BA)49.5質量部、アクリル酸(AA)3質量部、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(2−HEMA)0.5質量部、ベンジルメタアクリレート(BZMA)100質量部、で構成される単量体の混合物を投入した。そして、溶剤として酢酸エチル(EA)100質量部を投入した。次に、酸素を系外に除去するために窒素ガスで20分間パージングし、65℃に維持して均一にした後、反応開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.03質量部を50%濃度に酢酸エチルに希釈して投入し、10時間反応させて最終アクリル系ポリマーを得た。
前記共重合過程によって得られたアクリル系ポリマー溶液(約50%固形分)をよく混合した。次に、イソシアネート系架橋剤であるトリメチルオールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物(TDI−1)1.2質量部を各々酢酸エチル溶液に10質量%に希釈して投入し、コーティング性を考慮して適切な濃度に希釈して均一に混合して、粘着剤シロップを得た。
上記で調製した粘着剤シロップを用いて粘着剤層を形成した以外は、実施例2と同様の方法で、図2と同一に構成の偏光板を作製した。
形成した粘着剤層の光弾性係数を日本分光社製エリプソメーターM−150で測定したところ10×10-12(1/Pa)であった。
従ってこの偏光板のY値は、5.9×10-4であった。
形成した粘着剤層の光弾性係数を日本分光社製エリプソメーターM−150で測定したところ10×10-12(1/Pa)であった。
従ってこの偏光板のY値は、5.9×10-4であった。
(評価)
実施例1と同様にして、作製した偏光板の2枚を石英ガラス板の両面に、一枚ずつ貼り付けた。2枚の偏光板の透過軸は直交するように、またガラスの端の線と45度の角度をなすように配置した。
実施例1と同様にして、両面に偏光板を貼り付けたガラス板を、60℃ドライの乾燥機に17時間入れ取り出した後、全面黒表示状態を暗室にて目視で観察して光漏れを評価した。その結果、偏光板周辺において光漏れはほとんど観測されなかった。また輝度計にて輝度分布を測り漏れ光量を測定した。その結果最大漏れ光の透過率は0.055%であった。
実施例1と同様にして、作製した偏光板の2枚を石英ガラス板の両面に、一枚ずつ貼り付けた。2枚の偏光板の透過軸は直交するように、またガラスの端の線と45度の角度をなすように配置した。
実施例1と同様にして、両面に偏光板を貼り付けたガラス板を、60℃ドライの乾燥機に17時間入れ取り出した後、全面黒表示状態を暗室にて目視で観察して光漏れを評価した。その結果、偏光板周辺において光漏れはほとんど観測されなかった。また輝度計にて輝度分布を測り漏れ光量を測定した。その結果最大漏れ光の透過率は0.055%であった。
[実施例6]
実施例5で調製したのと同一の組成の粘着剤シロップを用いて粘着剤層を形成した以外は、実施例1と同様にして図2と同一の構成の偏光板を得た。
以上の粘着剤層の光弾性係数を日本分光社製エリプソメーターM−150で測定したところ10×10-12(1/Pa)であった。
従ってこの偏光板のY値は、3.3×10-4であった。
実施例5で調製したのと同一の組成の粘着剤シロップを用いて粘着剤層を形成した以外は、実施例1と同様にして図2と同一の構成の偏光板を得た。
以上の粘着剤層の光弾性係数を日本分光社製エリプソメーターM−150で測定したところ10×10-12(1/Pa)であった。
従ってこの偏光板のY値は、3.3×10-4であった。
(評価)
実施例1と同様にして、作製した偏光板の2枚を石英ガラス板の両面に、一枚ずつ貼り付けた。2枚の偏光板の透過軸は直交するように、またガラスの端の線と45度の角度をなすように配置した。
実施例1と同様にして、両面に偏光板を貼り付けたガラス板を、60℃ドライの乾燥機に17時間入れ取り出した後、全面黒表示状態を暗室にて目視で観察して光漏れを評価した。その結果、偏光板周辺において光漏れはほとんど観測されなかった。また輝度計にて輝度分布を測り漏れ光量を測定した。その結果最大漏れ光の透過率は0.04%であった。
実施例1と同様にして、作製した偏光板の2枚を石英ガラス板の両面に、一枚ずつ貼り付けた。2枚の偏光板の透過軸は直交するように、またガラスの端の線と45度の角度をなすように配置した。
実施例1と同様にして、両面に偏光板を貼り付けたガラス板を、60℃ドライの乾燥機に17時間入れ取り出した後、全面黒表示状態を暗室にて目視で観察して光漏れを評価した。その結果、偏光板周辺において光漏れはほとんど観測されなかった。また輝度計にて輝度分布を測り漏れ光量を測定した。その結果最大漏れ光の透過率は0.04%であった。
[実施例7]
[粘着層の形成]
以下の方法により粘着剤シロップを調製した。なお、用いられた物質の略語は下記の通りである。
BA:n−ブチルアクリレート
MA:メチルアクリレート
AA:アクリル酸
2−HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート
BZMA:ベンジルメタアクリレート
PHMA:フェニルメタアクリレート
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
EA(EAc):酢酸エチル
[粘着層の形成]
以下の方法により粘着剤シロップを調製した。なお、用いられた物質の略語は下記の通りである。
BA:n−ブチルアクリレート
MA:メチルアクリレート
AA:アクリル酸
2−HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート
BZMA:ベンジルメタアクリレート
PHMA:フェニルメタアクリレート
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
EA(EAc):酢酸エチル
共重合体の製造窒素ガスが還流され温度調節が容易になるように冷却装置を設置した1000cc反応器に、n−ブチルアクリレート(BA)49.5質量部、アクリル酸(AA)3質量部、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(2−HEMA)0.5質量部、フェニルメタアクリレート(PHMA)95質量部、で構成される単量体の混合物を投入した。そして、溶剤として酢酸エチル(EA)100質量部を投入した。次に、酸素を系外に除去するために窒素ガスで20分間パージングし、65℃に維持して均一にした後、反応開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.03質量部を50%濃度に酢酸エチルに希釈して投入し、10時間反応させて最終アクリル系ポリマーを得た。
前記共重合過程によって得られたアクリル系ポリマー溶液(約50%固形分)をよく混合した。次に、イソシアネート系架橋剤であるトリメチルオールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物(TDI−1)1.2質量部を各々酢酸エチル溶液に10質量%に希釈して投入し、コーティング性を考慮して適切な濃度に希釈して均一に混合して、粘着剤シロップを得た。
上記で調製した粘着剤シロップを用いて粘着剤層を形成した以外は、実施例1と同様の方法で、図2と同一に構成の偏光板を作製した。
形成した粘着剤層の光弾性係数を日本分光社製エリプソメーターM−150で測定したところ10×10-12(1/Pa)であった。
従ってこの偏光板のY値は、3.3×10-4であった。
形成した粘着剤層の光弾性係数を日本分光社製エリプソメーターM−150で測定したところ10×10-12(1/Pa)であった。
従ってこの偏光板のY値は、3.3×10-4であった。
(評価)
実施例1と同様にして、作製した偏光板の2枚を石英ガラス板の両面に、一枚ずつ貼り付けた。2枚の偏光板の透過軸は直交するように、またガラスの端の線と45度の角度をなすように配置した。
実施例1と同様にして、両面に偏光板を貼り付けたガラス板を、60℃ドライの乾燥機に17時間入れ取り出した後、全面黒表示状態を暗室にて目視で観察して光漏れを評価した。その結果、偏光板周辺において光漏れはほとんど観測されなかった。また輝度計にて輝度分布を測り漏れ光量を測定した。その結果最大漏れ光の透過率は0.035%であった。
実施例1と同様にして、作製した偏光板の2枚を石英ガラス板の両面に、一枚ずつ貼り付けた。2枚の偏光板の透過軸は直交するように、またガラスの端の線と45度の角度をなすように配置した。
実施例1と同様にして、両面に偏光板を貼り付けたガラス板を、60℃ドライの乾燥機に17時間入れ取り出した後、全面黒表示状態を暗室にて目視で観察して光漏れを評価した。その結果、偏光板周辺において光漏れはほとんど観測されなかった。また輝度計にて輝度分布を測り漏れ光量を測定した。その結果最大漏れ光の透過率は0.035%であった。
[比較例]
粘着剤層として、光学異方性層面に、サンリッツ社製粘着剤層PET−S(W)(膜厚:30μm)を貼り合せた以外は、実施例と同様にして比較用偏光板を得た。
この粘着剤層の光弾性係数を日本分光社製エリプソメーターM−150で測定したところ−750×10-12(1/Pa)であった。
従って、この偏光板のY値は、8.6×10-4であった。
粘着剤層として、光学異方性層面に、サンリッツ社製粘着剤層PET−S(W)(膜厚:30μm)を貼り合せた以外は、実施例と同様にして比較用偏光板を得た。
この粘着剤層の光弾性係数を日本分光社製エリプソメーターM−150で測定したところ−750×10-12(1/Pa)であった。
従って、この偏光板のY値は、8.6×10-4であった。
(評価)
実施例1と同様にして、作製した偏光板の2枚を石英ガラス板の両面に、一枚ずつ貼り付けた。2枚の偏光板の透過軸は直交するように、またガラスの端の線と45度の角度をなすように配置した。
実施例1と同様にして、両面に偏光板を貼り付けたガラス板を、60℃ドライの乾燥機に17時間入れ取り出した後、全面黒表示状態を暗室にて目視で観察して光漏れを評価した。その結果、偏光板周辺において光漏れが観測された。また輝度計にて輝度分布を測り漏れ光量を測定した。その結果最大漏れ光の透過率は0.1%であった。
実施例1と同様にして、作製した偏光板の2枚を石英ガラス板の両面に、一枚ずつ貼り付けた。2枚の偏光板の透過軸は直交するように、またガラスの端の線と45度の角度をなすように配置した。
実施例1と同様にして、両面に偏光板を貼り付けたガラス板を、60℃ドライの乾燥機に17時間入れ取り出した後、全面黒表示状態を暗室にて目視で観察して光漏れを評価した。その結果、偏光板周辺において光漏れが観測された。また輝度計にて輝度分布を測り漏れ光量を測定した。その結果最大漏れ光の透過率は0.1%であった。
種々の粘着剤を用いて形成した、種々の光弾性係数を示す粘着剤層と、弾性率が5.0×109、4.0×109及び3.0×109Paの光学補償シートとを組み合せて、上記実施例と同一の構成の偏光板を種々作製し、上記実施例と同一の評価法によって、熱歪みによる光漏れ量を測定した。測定された光漏れ量を、粘着剤層の光弾性係数に対してプロットしたグラフを図3に、及び測定された光漏れ量を、偏光板のYの絶対値に対してプロットしたグラフを図4に示す。なお、図3の縦軸は、熱歪みによる光漏れ光量を表していて、漏れ光量の数値を100倍すれば透過率(%)となる。
本発明者らは、上記光漏れ量(図3及び4の縦軸の値)が0.0006以下、すなわち光漏れの透過率が0.06%以下であれば上記熱歪みによる光漏れが肉眼ではほぼ観察できなくなり上記目的を達成できることがわかった。
また図5に、実施例及び比較例の偏光板のY値を粘着剤層の光弾性係数に対してプロットしたグラフを示す。実施例1〜7の偏光板のいずれもY値は0.0006未満であったが、実施例1、3、6及び7と等しい光学補償シート1を用いても、比較例の偏光板のY値は0.0006を超えていた。その結果、上記した通り、実施例では、いずれも漏れ光量(透過率)は0.06%未満であったが、比較例は0.06%を超えていた。
本発明者らは、上記光漏れ量(図3及び4の縦軸の値)が0.0006以下、すなわち光漏れの透過率が0.06%以下であれば上記熱歪みによる光漏れが肉眼ではほぼ観察できなくなり上記目的を達成できることがわかった。
また図5に、実施例及び比較例の偏光板のY値を粘着剤層の光弾性係数に対してプロットしたグラフを示す。実施例1〜7の偏光板のいずれもY値は0.0006未満であったが、実施例1、3、6及び7と等しい光学補償シート1を用いても、比較例の偏光板のY値は0.0006を超えていた。その結果、上記した通り、実施例では、いずれも漏れ光量(透過率)は0.06%未満であったが、比較例は0.06%を超えていた。
以上の実施例及び比較例の結果、ならびに図3及び4に示した結果から、偏光板のYの絶対値が0.0006以下である本発明の偏光板を備えた液晶表示装置は、熱歪みによる光漏れが低減されていることは明らかである。
1 粘着剤層
2 光学補償シート
3 偏光膜
4 保護層
5 剥離紙
2 光学補償シート
3 偏光膜
4 保護層
5 剥離紙
Claims (15)
- 少なくとも、偏光膜と、粘着剤層と、光学補償シートとを有する偏光板であって、前記粘着剤層の光弾性係数をCn(1/Pa)、前記光学補償シートの弾性率をE(Pa)とする時、下記式の値Yの絶対値が6.0×10-4以下であることを特徴とする偏光板:
Y=−7.0×105×Cn+4.3×10-13×E−1.34×10-3 。 - 前記粘着剤層が、アクリル系粘着剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
- 前記アクリル系粘着剤が、単独重合体の光弾性係数が正であるモノマーの少なくとも一種の重合体を含むことを特徴とする請求項2に記載の偏光板。
- 前記光学補償シートの光弾性係数が50×10-12(1/Pa)以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏光板。
- 液晶セルと、請求項1〜5のいずれか1項に記載の偏光板とを少なくとも有することを特徴とする液晶表示装置。
- 前記液晶セルの基板表面と偏光板の粘着剤層の表面とが接触して配置されていることを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。
- 前記アクリル系粘着剤が、単独重合体の光弾性係数が正であるモノマーから誘導される少なくとも一種の繰り返し単位を含む共重合体を含むことを特徴とする請求項2に記載の偏光板。
- 前記共重合体が、芳香族系のアクリレートモノマー及び芳香族系のメタアクリレートモノマーから選択される少なくとも一種から誘導される繰り返し単位を含む共重合体であることを特徴とする請求項9に記載の偏光板。
- 前記光学補償シートの光弾性係数が、50×10-12(1/Pa)以下であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の偏光板。
- 液晶セルと、請求項9〜12のいずれか1項に記載の偏光板とを少なくとも有することを特徴とする液晶表示装置。
- 前記液晶セルの基板表面と偏光板の粘着剤層の表面とが接触して配置されていることを特徴とする請求項13に記載の液晶表示装置。
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