JP2011232627A - 粘着型偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用環境の変化によっても画像表示装置に光抜けを生じ難い偏光板、および粘着型偏光板を提供することを目的とする。
【解決手段】偏光子1の少なくとも片面に(メタ)アクリル系樹脂を主成分とする透明保護フィルム2が積層されており、前記透明保護フィルムは、85℃における光弾性係数が−1×10−12〜1×10−11である偏光板によって前記課題が解決される。本発明の一実施形態において、前記偏光板の(メタ)アクリル系樹脂を主成分とする透明保護フィルムが積層されている側の主面に粘着剤層5を有する粘着型偏光板20が提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、偏光板および偏光板の少なくとも片面に粘着剤層を備える粘着型偏光板、ならびにこれらを備える画像表示装置に関する。
液晶表示装置は、液晶セルの少なくとも片側に偏光板が配置された液晶パネルをバックライト等の光源と組合せた構成を有しており、一般に、液晶セルと偏光板とは粘着剤層を介して積層されている。また、有機EL表示装置においては、外光の鏡面反射を遮蔽する目的で、セルの視認側に粘着剤層を介して円偏光板を貼り合わせる構成が採用されている。このような偏光板を用いた画像表示装置を実際の使用に供した場合、特に、高温や高湿の環境下で使用した場合に、画面の端部に光抜けが発生する場合がある。
このような環境変化に伴う光抜けは、温度や湿度等の変化によって、各部材が寸法変化を起こし、その界面での応力によって、偏光板を構成する各部材の位相差が変化することに起因すると考えられる。すなわち、偏光板は一般に偏光子に接着剤層を介して透明保護フィルムが積層された構成を有しているが、環境変化に伴って当該透明保護フィルムと偏光子との界面や、透明保護フィルムに貼り合わされた他の部材との界面において応力が発生し、この応力による光弾性複屈折によって透明保護フィルムの位相差特性が変化することが光抜けの原因であると考えられている。特に、画面の端部では、画面の中央部に比して各部材の寸法変化が大きくなるため、端部での光抜けが顕著となる傾向がある。
また、近年の画像表示装置の大型化や高輝度化の潮流に伴い、光源の発熱によって画像表示装置内部の温度が上昇しやすい傾向にある。また、液晶表示装置や有機EL表示装置のような薄型の画像表示装置の用途が多様化しており、高温高湿等の過酷な環境下で用いられる機会が増加する傾向にある。そのため、環境変化に伴う画面端部の光抜けは、より視認されやすくなっている。
このような画面端部の光抜けを抑制する観点から、ノルボルネン系樹脂フィルムのような光弾性係数(単位応力に対する複屈折の変化量)の絶対値が小さい透明保護フィルムを用いて、透明保護フィルムの位相差変化を小さくすることが提案されている(例えば特許文献1)。また、透明保護フィルムの製造時の機械方向と機械方向に垂直な方向の引張弾性率の差を小さくすることや(例えば特許文献2)、透明保護フィルムの線膨張係数と粘着剤層の弾性率との積を所定の範囲とすること(例えば特許文献3、4)によって、透明保護フィルムの位相差変化を小さくする方法等も提案されている。
特開平6−51117号公報 特開2008−217021号公報 特開2002−122739号公報 特開2002−122740号公報
特許文献1等に記載されているように、環境変化に伴う透明保護フィルムの位相差変化を小さくして、画面の端部の光抜けを抑制する観点からは、透明保護フィルムの光弾性係数の絶対値は小さいことが好ましく、理論的には光弾性係数が略ゼロの透明保護フィルムを用いることで光抜けの問題は解消するとも考えられる。しかしながら、ノルボルネン系樹脂フィルムのように光弾性係数の絶対値が小さい透明保護フィルムを用いた場合でも使用環境に伴う画面端部の光抜けが発生している。
かかる問題に鑑み、本発明は、使用環境の変化によっても画像表示装置の光抜けが生じ難い偏光板、および偏光板の少なくとも片面に粘着剤層を備える粘着型偏光板を提供することを目的とする。
本発明者らは、光弾性係数が小さい透明保護フィルムを用いた場合にも光抜けが発生する原因について検討した結果、光弾性係数は温度依存性を示し、一般に光弾性係数が小さいと考えられているフィルムであっても、高温環境下において光弾性係数が大きくなるものがあることを見出した。そして、本発明は、高温環境下における光弾性係数が小さいフィルムを偏光子の透明保護フィルムとして用いた場合に、使用環境が変化した場合でも光抜けの発生が抑制されるとの新たな知見に基づいてなされたものである。
本発明は、偏光子1の少なくとも片面に(メタ)アクリル系樹脂を主成分とする透明保護フィルム2が積層された偏光板10に関する。透明保護フィルム2は、85℃における光弾性係数が−1×10−11〜1×1011/Nであることが好ましい。
また、本発明は、前記偏光板10の透明保護フィルム2が積層されている側の主面に粘着剤層5を有する粘着型偏光板20に関する。粘着剤層5は、アルキル(メタ)アクリレートおよび芳香環構造を有する(メタ)アクリレートをモノマー単位として含有するアクリル系ポリマーを含む粘着剤により形成されることが好ましい。また、前記粘着剤は、芳香環構造を有する(メタ)アクリレートモノマー単位を、0%を超え20重量%以下で含有することが好ましい。
さらに、本発明は、画像表示セル50の少なくとも一方主面に前記偏光板10または粘着型偏光板20を備える画像表示装置100に関する。
本発明の偏光板10を構成する透明保護フィルム2は、高温における光弾性係数の絶対値が小さく、高温環境においても位相差変化が生じ難い。そのため、本発明の偏光板10を備える画像表示装置100は、画面端部での光抜けの発生が抑制される。また、偏光板10と画像表示セル50とを積層するための粘着剤層が高温環境において位相差変化を生じる場合があるが、本発明の粘着型偏光板20においては、粘着剤層5が、アルキル(メタ)アクリレート(A成分)および芳香環構造を有する(メタ)アクリレート(B成分)をモノマー単位として含有するアクリル系ポリマーを含む粘着剤により形成されているため、粘着剤層の位相差変化が生じ難く、画像表示装置の光抜けが抑制される。
本発明の一実施形態による粘着型偏光板の概略断面図である。 本発明の一実施形態による画像表示装置の概略断面図である。 粘着型偏光板の加熱試験にて用いたサンプルの概略断面図である。 実施例における位相差値の測定方法を説明するための概略断面図である。 粘着型偏光板の加熱試験後の光抜けを表す写真である。 粘着型偏光板の加熱試験前後での位相差変化の面内分布を表す図ある。
以下、図面を参照しながら本発明を説明する。図1に示すように、本発明の偏光板10は、偏光子1の片面に第1の透明保護フィルム2を有する。偏光子1と第1の透明保護フィルム2とは不図示の接着剤層を介して積層されている。また、偏光子1の第1の透明保護フィルム2が積層された側と反対側の面には、不図示の接着剤層を介して第2の透明保護フィルム3が積層されていてもよい。本発明の粘着型偏光板20は、偏光板10の第1の透明保護フィルム2側に粘着剤層5が設けられたものである。
本発明の偏光板10を用いて画像表示装置100を形成する場合、図2に示すように、第1の透明保護フィルム2が配置された側の面が粘着剤層5を介して画像表示セル50に貼り合わされる。すなわち、第1の透明保護フィルム2および粘着剤層5は、画像表示セル50と偏光子1との間に配置される。なお、図2では画像表示セル50の両面に粘着型偏光板20が貼り合わされているが、画像表示セルの片面のみに粘着型偏光板が貼り合わされていてもよい。
[偏光子]
偏光子1は、特に限定されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これらの偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に5〜80μm程度である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作成することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液や水浴中でも延伸することができる。
[透明保護フィルム]
偏光子の一方主面に配置される第1の透明保護フィルム2としては、85℃における光弾性係数の絶対値が1×10−11/N以下であるものが好適に用いられる。光弾性係数とは、単位応力あたりの複屈折の変化量であり、フィルムに所定の張力を付与した場合の位相差値を測定し、応力と複屈折(位相差/厚み)をプロットした傾きから求めることができる。光弾性係数の符号は張力を付与した場合に位相差が増加するものを正、位相差が減少するものを負と定義する。
画像表示装置の光抜けを抑制する観点からは、偏光板の透明保護フィルム2の85℃における光弾性係数の絶対値は小さい方が好ましい。具体的には、85℃における光弾性係数は−1×10−11〜1×10−11/Nであることがより好ましく、−5×10−12〜5×10−12/Nであることがさらに好ましい。
後述の実施例において示すように、画像表示装置が高温環境下に所定時間暴露された後の光抜けの発生の程度は、偏光板の位相差変化量と高い相関を示す。フィルムの光弾性係数は、室温(20〜25℃付近)にて測定されるのが一般的であり、従来は、室温における光弾性係数の絶対値が1×10−11/N以下であるノルボルネン系樹脂フィルム等が高温環境下においても位相差変化を生じ難く、画像表示装置の光抜け抑制に好ましいと考えられていた。
しかしながら、本発明者の検討によれば、画像表示装置が高温環境下に所定時間暴露された際の光抜けの程度と、透明保護フィルムの室温における光弾性係数との間には高い相関がみられなかった。一方、85℃の高温環境で測定した光弾性係数と画像表示装置の光抜けの程度には高い相関が見られ、85℃で測定した光弾性係数の絶対値が小さい透明保護フィルムを用いた場合に光抜けが抑制された。すなわち、本発明は、室温における透明保護フィルムの光弾性係数ではなく、85℃における透明保護フィルムの光弾性係数を指標とすることで、画像表示装置を形成した際に光抜けが生じ難い偏光板が得られるとの新たな知見に基づくものである。
このように、室温における光弾性係数ではなく85℃における透明保護フィルムの光弾性係数が光抜けの発生と高い相関を有する理由としては、画像表示装置が高温環境に曝された際に偏光板の位相差が変化し、その位相差が固定されることによって光抜けを生じるためであると推定される。そのため、位相差変化を生じる環境、すなわち85℃といった高温環境における光弾性係数が小さい場合に、光抜けが抑制されるものと考えられる。
(材料)
第1の透明保護フィルムを形成する材料としては、85℃における光弾性係数が前記範囲であれば特に制限されないが、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、光学的等方性などに優れるものが好ましい。中でも(メタ)アクリル系樹脂を主成分とするフィルムが好適に用いられる。一般に、高温における光弾性係数の絶対値は室温での測定値に比べて大きくなる傾向があるが、(メタ)アクリル系樹脂を主成分とするフィルムは、室温と高温での光弾性係数の変化が小さい。特に、室温と高温で光弾性係数の符号が逆転するものは、光弾性係数の絶対値の変化が小さいため好ましい。なお、本明細書および特許請求の範囲において、「(メタ)アクリル」との記載は、「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味する。
前記(メタ)アクリル系樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲内で、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂を採用し得る。例えば、ポリメタクリル酸メチル等のポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂等)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体等)が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂の具体例として、例えば、三菱レイヨン株式会社製のアクリペットVHやアクリペットVRL20A、特開2004−70296号公報に記載の分子内に環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、分子内架橋や分子内環化反応により得られる高Tg(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂の中でも、高耐熱性、高透明性等の観点から、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が好適に用いされる。ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、特開2002−254544号公報、特開2005−146084号公報等に記載の、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、好ましくは下記一般式(I)で表される環擬構造を有する。

式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜20の有機残基を示す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂の構造中の一般式(I)で表されるラクトン環構造の含有割合は、好ましくはポリマー全体の5〜90重量%、より好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは10〜50重量%である。一般式(I)で表されるラクトン環構造の含有割合が5重量%よりも少ないと、耐熱性、耐溶剤性、表面硬度が不十分になる場合がある。一般式(I)で表されるラクトン環構造の含有割合が90重量%より多いと、ポリマーが成形加工性に乏しくなる場合がある。
また、第1の透明保護フィルムとして、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムも好適に用い得る。
その他の(メタ)アクリル系樹脂を主成分とするフィルムの具体例としては、特開2004−70290号公報、特開2004−70296号公報、特開2004−163924号公報、特開2004−292812号公報、特開2005−314534号公報、特開2006−131898号公報、特開2006−206881号公報、特開2006−265532号公報、特開2006−283013号公報、特開2006−299005号公報、特開2006−335902号公報等に記載の不飽和カルボン酸アルキルエステルの構造単位及びグルタル酸無水物の構造単位を有するアクリル系樹脂を含有するポリマーフィルムや、特開2006−309033号公報、特開2006−317560号公報、特開2006−328329号公報、特開2006−328334号公報、特開2006−337491号公報、特開2006−337492号公報、特開2006−337493号公報、特開2006−337569号公報等に記載のグルタルイミド構造を有する熱可塑性樹脂含有するフィルム等が挙げられる。
第1の透明保護フィルム2は、実質的に位相差を有さない光学等方性フィルムであってもよいし、位相差を有する光学異方性フィルムあってもよいが、画像表示装置を形成する際に画像表示セル50と偏光子1との間に配置されるものであるから、位相差ムラが小さく光学的に均一性が高いことが好ましい。第1の透明保護フィルムとして光学異方性フィルムを用いる場合、第1の透明保護フィルムは、偏光子の保護フィルムとしての役割と、位相差板としての役割を兼ねることができる。例えば、本発明の偏光板を液晶表示装置に用いる場合には、第1の透明保護フィルムが光学補償フィルムとしての役割を兼ねる。また、本発明の偏光板を有機EL表示装置に用いる場合には、第1の透明保護フィルムとして1/4波長板を用いることで、円偏光板とすることができる。
第1の透明保護フィルムの厚みは、適宜に決定しうる。一般には強度や取扱性等の作業性、薄膜性などの点から、第1の透明保護フィルムの厚みは1〜500μm程度であり、5〜200μmが好ましい。
図1に示すように偏光板10が第2の透明保護フィルム3を備える場合において、第2の透明保護フィルムは特に限定されないが、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性などに優れる透明フィルムが好適に用いられる。
第2の透明保護フィルム3の偏光子1を接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施してもよい。反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
偏光子1と、透明保護フィルム2,3とは、接着剤を用いて積層されることが好ましい。接着剤としては水系接着剤等が好適に用いられる。水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。なお、偏光子と、透明保護フィルムとの貼り合せにあたり、透明保護フィルムには活性化処理を施すことができる。活性化処理は各種方法を採用でき、例えばケン化処理、コロナ処理、低圧UV処理、プラズマ処理等を採用できる。
[粘着剤層]
本発明の粘着型偏光板20は、前記偏光板10の第1の透明保護フィルム2側に粘着剤層5が形成されたものである。粘着剤層5は粘着剤により形成される。当該粘着剤のベースポリマーは特に限定されないが、画像表示装置の光抜けを抑制する観点からは、アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位(A成分)、および芳香環構造を有する(メタ)アクリレートモノマー単位(B成分)を含有するアクリル系ポリマーが好適に用いられる。
前述のように本発明の偏光板10は、第1の透明保護フィルム2の85℃における光弾性係数の絶対値が小さいために、画像表示装置100を形成した際の使用環境下における光抜けが抑制される。一方、図2に示すように粘着型偏光板を形成する粘着剤層5も偏光子1と画像表示セル50との間に配置されるものであるため、高温環境下において粘着剤層5が位相差変化を生じた場合は、画像表示装置の光抜けの原因となり得る。
かかる観点からは、粘着剤層5も高温環境下における位相差変化が小さいことが好ましい。粘着剤のベースポリマーが芳香環構造を有する(メタ)アクリレートモノマー単位(B成分)を含有することで粘着剤層の位相差変化が抑制されるそのため、粘着型偏光板20全体としての位相差変化が小さくなり、画像表示装置における光抜けの発生がより効果的に抑制される。
粘着型偏光板の位相差変化を小さくして、画像表示装置の画面端部での光抜けを抑制する観点からは、粘着剤層5を形成する粘着剤のベースポリマー中の芳香環構造を有する(メタ)アクリレートモノマー単位(B成分)を、0を超えて20重量%以下で含有することが好ましく、1〜19重量%含有することがより好ましく、3〜15重量%含有することがさらに好ましい。粘着剤のベースポリマーが所定量の芳香環構造を有する(メタ)アクリレート成分(B成分)を有することで粘着剤層の位相差変化を小さくできる理由は定かではないが、B成分は側鎖に分極率が高い芳香環構造を有するため、複屈折の発現傾向がアルキル(メタ)アクリレート成分(A成分)とは大きく異なり、高温環境下においてはA成分とB成分の複屈折が打ち消されるものと推定される。
粘着剤層を形成するベースポリマーにおけるアルキル(メタ)アクリレート(A成分)のアルキル基の炭素数は1〜18程度、好ましくは炭素数1〜9であり、アルキル基は直鎖、分岐鎖のいずれでもよい。アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、などを挙げることができる。これらは単独でまたは組み合わせて使用することができる。これらアルキル基の平均炭素数は4〜12であるのが好ましい。
粘着剤層を形成するベースポリマーにおける芳香環構造を有する(メタ)アクリレート(B成分)の芳香環構造としては、ベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、ピリジン環、ピロール環、フラン環等があげられる。芳香環構造を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ‐2‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、2−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(4−メトキシ−1−ナフトキシ)エチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、チオフェニル(メタ)アクリレート、ピリジル(メタ)アクリレート、ピロリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ポリスチリル(メタ)アクリレート等があげられる。
また、粘着剤層を形成するベースポリマーは、モノマー単位として、前記A成分およびB成分に加えてその他のモノマー単位(C成分)を、含有してもよい。
前記C成分としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレートや(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー;アクリル酸のカプロラクトン付加物;アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレートなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどの燐酸基含有モノマーなどがあげられる。
また、前記C成分としては、窒素含有ビニルモノマーがあげられる。例えば、マレイミド;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミドやN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アミド系モノマー;アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート系モノマー;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマーなども改質目的のモノマー例としてあげられる。
さらに、前記C成分としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル系モノマー;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルアクリレートなどの(メタ)アクリレート系モノマーなども使用することができる。
前記C成分は、ベースポリマーを改質するために、任意に用いることができる。前記C成分は、1種または2種以上を用いることができる。C成分の割合は、ベースポリマーにおけるモノマー単位として、10重量%以下、さらには6重量%以下とするのが好ましい。C成分の割合が、10重量%を超えると粘着剤としての柔軟性を損なう場合がある。
前記C成分としては、接着性が良好である点から、カルボキシル基を含有するモノマー、特にアクリル酸が好適に用いられる。カルボキシル基を含有するモノマーを用いる場合、その割合は、0.1〜10重量%程度、好ましくは0.5〜8重量%、さらに好ましくは1〜6重量%である。また、イソシアネート架橋剤との架橋点になりうることから、ヒドロキシル基含有モノマーが好適に用いられる。ヒドロキシル基含有モノマー用いる場合、その割合は、0.1〜10重量%程度、好ましく0.5〜8重量%、さらに好ましくは1〜6重量%である。
前記ベースポリマーは、各種公知の手法により製造でき、例えば、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法等のラジカル重合法を適宜選択できる。ラジカル重合開始剤としては、アゾ系、過酸化物系の各種公知のものを使用できる。反応温度は通常50〜80℃程度、反応時間は1〜8時間とされる。また、前記製造法の中でも溶液重合法が好ましく、アクリル系ポリマーの溶媒としては一般に酢酸エチル、トルエン等が用いられる。溶液濃度は通常20〜80重量%程度とされる。またアクリル系ポリマーは、水系のエマルジョンとして得ることができる。
ベースポリマーの重量平均分子量は、100万〜300万であることが好ましい。重量平均分子量は、200万を超え〜300万であることがより好ましく、210万〜270万であることがさらに好ましい。
粘着剤層は、前記ベースポリマー中に架橋剤を含有することもできる。架橋剤により、透明保護フィルムとの密着性や耐久性を向上でき、また高温での信頼性や粘着剤自体の形状の保持を図ることができる。架橋剤としては、イソシアネート系、エポキシ系、過酸化物系、金属キレート系、オキサゾリン系などを適宜に使用可能である。これら架橋剤は1種を、または2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋剤としては、ヒドロキシル基と反応性を示す官能基を含有する架橋剤が好適であり、特に、イソシアネート系架橋剤が好適である。
架橋剤の使用量は、ベースポリマーを形成するモノマーの合計100重量部に対して、10重量部以下、好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.02〜3重量部である。架橋剤の使用割合が、10重量部を超えると架橋が進みすぎて接着性が低下する傾向がある。
粘着剤には、必要に応じて、粘着付与剤、可塑剤、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤、顔料、着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤等を、また本発明の目的を逸脱しない範囲で各種の添加剤を適宜に使用することもできる。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着剤層などとしても良い。
前記添加剤としては、シランカップリング剤が好適である。シランカップリング剤としては、3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するシランカップリング剤;3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐(2‐アミノエチル)3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐(2‐アミノエチル)3‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3‐トリエトキシシリル‐N‐(1,3‐ジメチルブチリデン)プロピルアミン等のアミノ基含有シランカップリング剤;3‐アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤;3‐イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカップリング剤;3‐クロロプロピルトリメトキシシラン;アセトアセチル基含有トリメトキシシランなどがあげられる。シランカップリング剤は、1種を単独で使用しても良く、また2種以上を混合して使用しても良いが、シランカップリング剤の配合量は、アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.01〜2重量部、好ましくは0.02〜1重量部である。
[粘着型偏光板の形成]
粘着型偏光板20は、偏光板10第1の透明保護フィルム2上に、前記粘着剤により粘着剤層5を形成することによって製造できる。粘着剤層の形成法は、特に制限されず、透明保護フィルム上に粘着剤溶液を流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で塗布し乾燥する方法、粘着剤層を設けた離型シートにより転写する方法等があげられる。塗布法は、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法などを採用できる。粘着剤溶液を塗布後、乾燥工程で溶剤や水を揮発することで所定の厚みの粘着剤層を得る。
粘着剤層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般的には、1〜500μmであり、好ましくは1〜50μmである。さらには1〜40μmが好ましく、さらには5〜30μmが好ましく、特に10〜25μmが好ましい。1μmより薄いと耐久性が悪くなり、厚くなると発泡などによる浮きや剥がれが生じやすく外観不良となりやすい。
また、粘着剤層の形成は、UV硬化性の粘着剤シロップを離型フィルム上に塗布し、電子線やUV等の放射線を照射することで前記アクリル系ポリマーを含有する粘着剤層を形成できる。この際、粘着剤には、架橋剤を含有させていることから、高温での信頼性や粘着剤自体の形状の保持を図ることができる。
なお、粘着剤層の架橋は、前記乾燥工程やUV照射工程で行うことができる他、乾燥後に、加温状態や室温放置によるエージングにより、架橋が促進するような架橋形態も選択できる。
粘着型偏光板の粘着剤層5の露出面に対しては、画像表示セル等と貼り合せて実用に供するまでの間、粘着剤層の汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされることが好ましい。これにより、通例の取扱状態で粘着剤層に接触することを防止できる。セパレータとしては、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鏡アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
[画像表示装置]
本発明の粘着型偏光板は、液晶表示装置や有機EL表示装置等の各種の画像表示装置に好ましく用いることができる。本発明の画像表示装置は、本発明の粘着型偏光板を用いること以外は、従来の画像表示装置と同様の構成とすることができる。
液晶表示装置は、例えば、液晶セル、本発明の偏光板等の光学部材、および必要に応じて照明システム(バックライト等)等の各構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むこと等により製造できる。液晶表示装置の構成は液晶セルの片側又は両側に本発明の粘着型偏光板が用いられていれば、その他の構成は特に制限されない。
透過型液晶表示装置のように、液晶セルの視認側および光源側の両方に偏光板が配置された液晶表示装置を形成する場合、光抜けを抑制する観点からは、液晶セルの両側に本発明の粘着型偏光板を配置した構成が好適に採用される。
有機EL表示装置は、例えば有機ELセル(有機発光層)の視認側に、本発明の粘着型偏光板を配置することにより製造できる。特に前述のごとく、第1の明保護フィルムとして1/4波長板を用いることで、外光の反射による視認性の低下を抑止し得る。なお、透明保護フィルムとして1/4波長板を用いずに、本発明の偏光板に、別途1/4波長板を積層して円偏光板としたものを有機ELセルの視認側に配置してもよい。
後述する実施例においても示すように、一般には、画面の長辺方向に対して平行でも直交でもない方向(例えば45°方向)に偏光子1の吸収軸方向、あるいは第1の透明保護フィルム2の遅相軸方向を有する構成の場合に、光抜けが生じやすい傾向がある。そのため、このような構成を有する画像表示装置に、本発明の偏光板あるいは粘着型偏光板を用いた場合は、光抜けがより効果的に抑制できるため好ましい。
本発明の画像表示装置は、任意の適切な用途に使用される。その用途は、例えば、デスクトップパソコン、ノートパソコン、コピー機等のOA機器、携帯電話、時計、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機等の携帯機器、ビデオカメラ、テレビ、電子レンジ等の家庭用電気機器、バックモニター、カーナビゲーションシステム用モニター、カーオーディオ等の車載用機器、商業店舗用インフォメーション用モニター等の展示機器、監視用モニター等の警備機器、介護用モニター、医療用モニター等の介護・医療機器等が挙げられる。
本発明の画像表示装置は、任意の適切な用途に使用される。その用途は、例えば、デスクトップパソコン、ノートパソコン、コピー機等のOA機器、携帯電話、時計、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機等の携帯機器、ビデオカメラ、テレビ、電子レンジ等の家庭用電気機器、バックモニター、カーナビゲーションシステム用モニター、カーオーディオ等の車載用機器、商業店舗用インフォメーション用モニター等の展示機器、監視用モニター等の警備機器、介護用モニター、医療用モニター等の介護・医療機器等が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を挙げて更に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
(偏光子の作製)
平均重合度2400、ケン化度99.9モル%のポリビニルアルコールを主成分とする高分子フィルムを周速の異なるロール間で染色しながら延伸搬送してポリビニルアルコール系偏光子を得た。まず、30℃の水浴中に1分間浸漬させてポリビニルアルコールフィルムを膨潤させつつ搬送方向に1.2倍に延伸した後、30℃のヨウ化カリウム濃度0.03重量%、ヨウ素濃度0.3重量%の水溶液中で1分間浸漬することで、染色しながら、搬送方向に、全く延伸していないフィルム(原長)を基準として3倍に延伸した。次に、60℃のホウ酸濃度4重量%、ヨウ化カリウム濃度5重量%の水溶液中に30秒間浸漬しながら、搬送方向に、原長基準で6倍に延伸した。次に、得られた延伸フィルムを70℃で2分間乾燥することで偏光子を得た。この偏光子の厚みは30μmであった。
(透明保護フィルムの作製)
メタクリル酸メチル(MMA)と2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)の共重合体を環化縮合させて得られたラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂ペレット(ラクトン環構造の割合:19.4%、重量平均分子量:133000、メルトフローレート:6.5g/10分、ガラス転移温度:131℃)と、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂(東洋スチレン社製;商品名 トーヨーAS AS20)を90:10の重量比で単軸押出し機(φ=30mm)を用いて混錬することにより、透明なペレットを得た。得られたペレットのガラス転移温度は127℃であった。このペレットをメチルエチルケトンに溶解させ、溶液キャスト法により厚み約50μmのフィルムを作成した。このフィルムを100℃で0.1m/分の速度で1.5倍に縦一軸延伸することで、厚み40μmのラクトン環含有アクリル系樹脂とアクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂の混合フィルムを得た。(以下このフィルムを「アクリル系透明保護フィルム」とする)
(偏光板の作製)
偏光子の一方主面に、ポリビニルアルコール系接着剤を介して、前記のアクリル系透明保護フィルムを貼り合せ、偏光子の他方主面に、ポリビニルアルコール系接着剤を介して、トリアセチルセルロースフィルム(コニカミノルタ製 商品名「KC4UY」)を貼り合わせて、偏光子の両面に透明保護フィルムが積層された偏光板を作製した(以下、これを「偏光板A」とする)。なお、偏光子と透明保護フィルムの貼り合せに際しては、偏光子の吸収軸方向(=延伸方向)と透明保護フィルムの製膜方向とが平行となるようにした。
(粘着剤の調製)
冷却管、撹拌羽、温度計が付属した4つロフラスコ中に、ブチルアクリレート97重量部、ベンジルアクリレート3重量部および2,2’‐アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を酢酸エチル140重量部とともに加え、十分に窒素置換した後、窒素気流下で撹拌しながら、55℃で8時間反応させ、重量平均分子量200万のアクリル系ポリマーの溶液を得た。このアクリル系ポリマーの溶液の固形分100重量部に対して、架橋剤(日本ポリウレタン製 商品名「コロネートL」)を固形分で0.45重量部およびシランカップリング剤(信越シリコーン製 商品名「KBM403」)0.1重量部を加えて、粘着剤溶液を作成した。
(粘着剤層の形成)
得られた粘着剤溶液を、離型処理を施したポリエステルフィルム(厚さ38μm)からなるセパレータ上に、乾燥後の粘着剤層の厚さが20μmになるように、リバースロールコート法により塗布し、155℃で3分間加熱処理して、溶剤を揮発させ、粘着剤層を得た。
(粘着型偏光板の作製)
前記の偏光板のアクリル系透明保護フィルム側の主面に、ワイヤーバーにて下塗り剤を塗布して、下塗り層(厚さ100nm)を形成した。下塗り剤には、ポリエチレンイミン系(日本触媒製、「エポミン P−1000」)を用いた。次いで、下塗り層に、前記の粘着剤層を形成した離型シートを貼り合せ、粘着型偏光板とした。
[比較例1]
(偏光板の作製)
実施例1の偏光板の作製において、アクリル系透明保護フィルムに代えて環状オレフィン系樹脂フィルム(日本ゼオン製 商品名「ゼオノアフィルム ZB14−55124」)を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、偏光子の一方主面に環状オレフィン系樹脂フィルム、他方主面にトリアセチルセルロースフィルムが積層された偏光板を作製した。(以下、これを「偏光板B」とする)
(粘着型偏光板の作製)
偏光板Bの環状オレフィン系樹脂フィルム側の主面に、実施例1と同様にして下塗り層を形成した後、粘着剤層を形成した離型シートを貼り合せ、粘着型偏光板とした。
[比較例2]
(偏光板の作製)
実施例1の偏光板の作製において、アクリル系透明保護フィルムに代えてトリアセチルセルロースフィルムを用いた。それ以外は実施例1と同様にして、偏光子の両面にトリアセチルセルロースフィルムが積層された偏光板を作製した。(以下、これを「偏光板C」とする)
(粘着型偏光板の作製)
偏光板Cの一方主面に、実施例1と同様にして下塗り層を形成した後、粘着剤層を形成した離型シートを貼り合せ、粘着型偏光板とした。
[評価]
(光弾性係数)
実施例および比較例の偏光板の作製に用いたのと同一の透明保護フィルムの25℃および85℃における光弾性係数を下記の方法により測定した。
遅相軸方向を長辺とする100×15mmの長方形にフィルムを切り出し、その長辺方向に張力(応力)を付与した状態で温調付きの分光エリプソメータにより波長550nmにおける位相差を測定した。付与する応力を順次変更し、応力と複屈折(位相差値/厚み)とをプロットして、その傾きから光弾性係数を算出した。85℃の測定においては、光温度センサーによりフィルムの温度を測定し、フィルムの温度が85℃となっていることを確認した上で位相差を測定した。
結果を表1に示す。
(光抜け評価)
図3に模式的に示すように、ガラス51の両主面に偏光子1,1’の吸収軸方向が直交するように2枚の粘着型偏光板20、20’が貼り合せられたサンプル101を作製した。
<0°−90°配置>
偏光子の吸収軸方向を長辺方向とする長方形の粘着型偏光板20と透過軸方向を長辺方向とする長方形の粘着型偏光板20’に切り出し、図3に示すように、それぞれ粘着剤層5および5’を介しガラス51の両主面に貼り合せた(以下、この構成を「0°−90°配置」と称する)。
<45°−135°配置>
実施例1で得られた型偏光板を、偏光子の吸収軸方向とのなす角が45°の長方形の粘着型偏光板20、およびこれと長辺方向が直交する長方形の粘着型偏光板20’に切り出し、図3に示すように、それぞれ粘着剤層5および5’を介しガラス51の両主面に貼り合せた(以下、この構成を「45°−135°配置」と称する)。
比較例1および比較例2で得られた粘着型偏光板についても、同様に、「0°−90°配置」および「45°−135°配置」のサンプル101を作製した。これらのサンプルを、95℃の空気循環式恒温槽内に24時間静置(加熱試験)した後、恒温槽からサンプルを取り出し、暗室にて、輝度約10000cd/mのバックライト上で目視にて光抜けの評価を行った。
実施例1の粘着型偏光板を用いたサンプルにおいては、0°−90°配置、45°−135°配置のいずれにおいても顕著な光抜けは確認されなかった。これに対して、比較例1,2の粘着型偏光板を用いたサンプルでは、0°−90°配置、45°−135°配置の両者において光抜けが観察され、特に45°−135°配置においては、偏光板の端部にて額縁状の顕著な光抜けが観察された。
(位相差変化の測定)
実施例および比較例で得られたそれぞれの粘着型偏光板20を、偏光子1の吸収軸方向を長辺方向とする長方形に切り出し、粘着剤層5を介しガラス51の一方主面に貼り合せたサンプル102を作製した(以下、この構成を「0°配置」と称する)。また、粘着型偏光板20を、偏光子1の吸収軸方向とのなす角が45°の長方形に切り出したものについても同様にしてサンプル102を作製した。(以下、この構成を「45°配置」と称する)。
これらの粘着型偏光板がガラスに貼り合わされたサンプルの位相差の面内分布を測定した後、80℃の空気循環式恒温槽内に24時間静置した。この加熱試験後にサンプルを取り出し、室温にて位相差の面内分布を測定し、加熱試験前後での位相差の変化量を算出した。
位相差の面内分布の測定は、大塚電子製の位相差計(商品名「RETS1200VA」)を用いて行った。位相差の測定に際しては、位相差計の測定精度が最も高い1/4波長付近の位相差値にて測定を行うため、以下のような方法を採用した。
図4に示すように、140nmの面内均一な位相差を有する位相差フィルム6’(日本ゼオン製 商品名「ゼオノアフィルム ZB14−55124」を一軸延伸したもの)をガラス51’に貼り合せたサンプル103を用意し、これと粘着型偏光板がガラスに貼り合わされたサンプル102とを、ガラス51、51’同士が向かい合うように重ね合わせて位相差の測定を行い、その測定値から位相差フィルムをガラスに貼り合せたサンプル103単体の位相差値を引き算したものを粘着型偏光板の位相差とした。
実施例1、比較例1、比較例2の粘着型偏光板の光抜けの観察写真を図5に、位相差変化の面内分布を図6に示す(0°−90°配置は、比較例1のみ)。
図5と図6との対比から明らかなように、光抜けの度合いは、位相差変化量が大きい部分で光抜けが生じており、実施例1の粘着型偏光板は、加熱試験後の位相差変化が小さいために、光抜けが抑制されていることがわかる。なお、上記の評価は粘着型偏光板に起因する光抜けを評価する観点から、画像表示セルに代えてガラスを用いたものであるが、液晶セル等の画像表示セルを用いた場合でも同様の結果となることは容易に理解できる。
表1に示したように、比較例1で用いた環状ポリオレフィンフィルムは、室温における光弾性係数の絶対値は小さいものの、85℃において光弾性係数の絶対値が大きい。そのため、比較例1の偏光板は、トリアセチルセルロースフィルムを透明保護フィルムとして用いた比較例2の偏光板と同様に、加熱試験後に光漏れを生じている。これに対して、アクリル系透明保護フィルムは、85℃においても光弾性係数の絶対値が小さいために、実施例1の粘着型偏光板は加熱試験後においても光抜けの発生が抑制されている。
1 偏光子
2,3 透明保護フィルム
5 粘着剤層
10 偏光板
20 粘着型偏光板
50 画像表示セル
100 画像表示装置

Claims (5)

  1. 偏光子の少なくとも片面に(メタ)アクリル系樹脂を主成分とする透明保護フィルムが積層され、前記透明保護フィルムは、85℃における光弾性係数が−1×10−11〜1×10−11/Nである偏光板。
  2. 請求項1記載の偏光板の(メタ)アクリル系樹脂を主成分とする透明保護フィルムが積層されている側の主面に粘着剤層を有する粘着型偏光板。
  3. 前記粘着剤層は、アルキル(メタ)アクリレートおよび芳香環構造を有する(メタ)アクリレートをモノマー単位として含有するアクリル系ポリマーを含む粘着剤により形成されている請求項2に記載の粘着型偏光板。
  4. 前記粘着剤が、芳香環構造を有する(メタ)アクリレートモノマー単位を、0を超えて20重量%以下で含有する請求項3記載の粘着型偏光板。
  5. 請求項1に記載の偏光板、または請求項2〜4のいずれか1項に記載の粘着型偏光板を備える画像表示装置。
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