JP2008180282A - スラストころ軸受およびトルクコンバータ - Google Patents

スラストころ軸受およびトルクコンバータ Download PDF

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Abstract

【課題】保持器と軌道輪との組立性を損なうことなく、かつ分離を有効に防止したスラストころ軸受を提供する。
【解決手段】スラストころ軸受は、複数のころと、保持器と、軌道面と外周鍔部と第1の爪部とを有する円環状の第1の軌道輪と、軌道面と内周鍔部と第2の爪部とを有する円環状の第2の軌道輪とを備える。そして、外周鍔部と保持器の外縁部との間および内周鍔部と保持器の内縁部との間には第1の軌道輪と第2の軌道輪との偏芯回転を許容する軸受内部隙間が設けられている。また、第1および第2の爪部のうちの少なくとも一方は、曲げ加工によって形成された張出部である。さらに、張出部に対面する保持器の縁部は、軌道面に対面する側の角部に第1の傾斜部13cと、厚み方向反対側の角部に第1の傾斜部13cより径方向長さが相対的に短い第2の傾斜部13dとを有する。
【選択図】図1

Description

この発明は、スラストころ軸受、特にトルクコンバータ等の偏心回転を伴う環境で使用されるスラストころ軸受に関するものである。
従来のスラストころ軸受101は、例えば、特開2003−83339号公報(特許文献1)に記載されている。図15を参照して、同公報に記載されているスラストころ軸受101は、複数のころ102と、複数のころ102を保持する保持器103と、ころ102を厚み方向から挟持する第1および第2の軌道輪104,105とを備える。
第1の軌道輪104は、円環状部材の厚み方向一方側の壁面にころ102と接触する軌道面104aと、円環状部材の外縁部から軌道面104a側に延びる円筒形状の鍔部104bと、鍔部104bの先端から径方向内側に突出して保持器103を保持する複数の張出部104cとを有する。
同様に、第2の軌道輪105は、円環状部材の厚み方向一方側の壁面にころ102と接触する軌道面105aと、円環状部材の内縁部から軌道面105a側に延びる円筒形状の鍔部105bと、鍔部105bの先端から径方向外側に突出して保持器103を保持する複数の張出部105cとを有する。
このスラストころ軸受101は、保持器103の外径寸法より鍔部104bの内径寸法を大きく設定し、保持器103と鍔部104bとの間に径方向の軸受内部隙間を設けている。これにより、トルクコンバータ等のように偏心回転を伴う環境で使用される場合でも、保持器103と鍔部104bとの間の摩擦による発熱や摩耗を有効に防止することができると記載されている。
ここで、軸受内部隙間を設けたことにより、保持器103と第1の軌道輪104とが分離してしまうおそれがある。例えば、第1および第2の軌道輪104a,105aを垂直にした状態で搬送する場合等に分離する可能性がある。そこで、同公報に記載されているスラストころ軸受101は、張出部104cの先端を結んだ円の直径を保持器103の外径寸法より小さくする。これにより、保持器103と第1の軌道輪104との分離を防止することができると記載されている。これは、保持器103を第2の軌道輪105に組み込む場合も同様である。
また、同様の構成のスラストころ軸受が、例えば、特開平9−137824号公報(特許文献2)、特開平9−189325号公報(特許文献3)、特開2000−266043号公報(特許文献4)、および特開2003−254327号公報(特許文献5)にも記載されている。
特開2003−83339号公報 特開平9−137824号公報 特開平9−189325号公報 特開2000−266043号公報 特開2003−254327号公報
しかし、張出部104cの突出量を大きくすると、スラストころ軸受101の組立性が悪化する。具体的には、張出部104cを乗り越える際に保持器103や張出部104cを大きく弾性変形させなければならない。これは保持器103の変形や張出部104cの破損の原因ともなり得る。
この問題を解消する一つの方法として、例えば、張出部104cに防浸炭処理等を施して焼き入れの効果が及ばないようにするか、焼き入れ後に部分焼鈍しをすることが考えられる。しかし、これらの処理を施すことで保持器103を組み込みやすくなるが、同時に張出部104cの強度は低下する。
また、他の方法として、ころ102および保持器103を第1の軌道輪104に組み込んだ後にスラストころ軸受101全体に熱処理を施すことが考えられる。しかし、保持器103と軌道輪104とがそれぞれ変形する場合があり、スラストころ軸受101の回転不良の原因となり得る。
そこで、この発明の目的は、トルクコンバータ等の偏心回転を伴う環境で使用されるスラストころ軸受であって、保持器と軌道輪との組立性を損なうことなく、かつ分離を有効に防止したスラストころ軸受を提供することである。
また、この発明の他の目的は、上記のようなスラストころ軸受を採用することにより、信頼性の高いトルクコンバータを提供することである。
この発明に係るスラストころ軸受は、複数のころと、複数のころを保持する保持器と、ころが転走する軌道面と、軌道面の外周端から軸方向に延びる円筒形状の外周鍔部と、外周鍔部の先端から内径側に突出して保持器の軸方向移動を制限する第1の爪部とを有する円環状の第1の軌道輪と、ころが転走する軌道面と、軌道面の内周端から軸方向に延びる円筒形状の内周鍔部と、内周鍔部の先端から外径側に突出して保持器の軸方向移動を制限する第2の爪部とを有する円環状の第2の軌道輪とを備える。そして、外周鍔部と保持器の外縁部との間および内周鍔部と保持器の内縁部との間には第1の軌道輪と第2の軌道輪との偏芯回転を許容する軸受内部隙間が設けられている。また、第1および第2の爪部のうちの少なくとも一方は、曲げ加工によって形成された張出部である。さらに、張出部に対面する保持器の縁部は、軌道面に対面する側の角部に第1の傾斜部と、厚み方向反対側の角部に第1の傾斜部より径方向長さが相対的に短い第2の傾斜部とを有する。
上記構成のスラストころ軸受は、軌道輪と保持器との間の軸受内部隙間を支持部材の偏心量の2倍以上とすることによって、偏心回転によって保持器と軌道輪とが接触して生じる発熱や摩耗を有効に防止することができる。
また、第1および第2の傾斜部は、張出部を乗り越える際の案内面として機能する。そこで、保持器と軌道輪との組立時に案内面として機能する第1の傾斜部の径方向長さを長くし、分解時に案内面として機能する第2の傾斜部の径方向長さを短くする。これにより、保持器と軌道輪との組立性を損なうことなく、分離を有効に防止したスラストころ軸受を得ることができる。
一実施形態として、第1および第2の傾斜部は縁部を折り曲げて形成される。縁部を折り曲げることによって、曲面形状(R形状)の傾斜部が形成されると共に保持器の剛性が向上する。その他、縁部を面取り加工(「C面取り」および「R面取り」の両方を含む)することによって傾斜部を形成してもよい。
好ましくは、保持器は、出発材料としてSPCまたはSCMを用い、熱処理として軟窒化処理、浸炭処理、または浸炭窒化処理のいずれかを経て製造される。また、第1および第2の軌道輪は、出発材料としてSPCまたはSCMを用い、浸炭処理または浸炭窒化処理を経て製造されるのが好ましい。これにより、保持器や軌道輪に要求される寸法精度および機械的性質等を得ることができる。
好ましくは、張出部を有する軌道輪に保持器を組み込む際の第1の傾斜部と張出部との接触角θは、θ≧45°を満たす。
さらに好ましくは、張出部を有する軌道輪から保持器を分離する際の第2の傾斜部と張出部との接触角θは、θ≦45°を満たす。
保持器と張出部との接触角が大きい程、保持器は張出部を乗り越えやすい。一方、接触角が小さい程、保持器は張出部を乗り越えにくい。そこで、第1の傾斜部と張出部との接触角θを45°以上とし、第2の傾斜部と張出部との接触角θを45°以下とすることにより、組み込みやすく分離しにくいスラストころ軸受を得ることができる。
この発明に係るトルクコンバータは、入力軸に接続されるインペラと、出力軸に接続されるタービンと、タービンからの作動流体をインペラに指向させるステータと、タービンとステータとの間、および/または、インペラとステータとの間に配置される上記のいずれかに記載のスラストころ軸受とを備える。上記構成のスラストころ軸受を偏心回転を伴うタービンやインペラを支持する軸受として採用することにより、信頼性の高いトルクコンバータを得ることができる。
この発明によれば、保持器を軌道輪に組み込む際に挿入案内面として機能する第1の傾斜部を大きくすることにより、保持器と軌道輪との組立性を損なうことなく、かつ分離を有効に防止したスラストころ軸受を得ることができる。また、このようなスラストころ軸受を採用することにより、信頼性の高いトルクコンバータを得ることができる。
図1〜図8を参照して、この発明の一実施形態に係るスラストころ軸受11を説明する。なお、図1は図7のP部の拡大図、図2はスラストころ軸受11を示す図、図3および図4は第1の軌道輪14の断面図および平面図、図5および図6は第2の軌道輪15の断面図および平面図、図7および図8は保持器13の断面図および平面図である。
まず、図2を参照して、スラストころ軸受11は、複数のころ12と、複数のころ12を保持する保持器13と、保持器13を受け入れる第1および第2の軌道輪14,15とを備える三位一体のスラストころ軸受である。
図3および図4を参照して、第1の軌道輪14は、中央に厚み方向に貫通する貫通孔14aを有する円環形状の部材である。そして、厚み方向一方側の壁面にころ12が転走する軌道面14bと、円環状部材の外縁部に厚み方向の軌道面14b側に延びる円筒形状の外周鍔部14cと、外周鍔部14cの先端に径方向内側に突出する第1の爪部としての複数の張出部14dとを含む。
外周鍔部14cは、スラストころ軸受11を組み立てた際に、保持器13の外縁部のさらに外側に位置する。張出部14dは、外周鍔部14cの複数箇所から径方向内側に突出する。この張出部14dは、保持器13の外縁部に係合して保持器13が第1の軌道輪14から分離するのを防止する。なお、この実施形態における張出部14dは、外周鍔部14cの円周上の8箇所に等間隔に設けられている。
なお、8箇所の張出部14dの先端を通る円をO(図4中、二点鎖線で示す)とすると、円Oの直径が保持器13の外径寸法より小さくなるように張出部14dの突出量を調整する。したがって、保持器13の第1の軌道輪14への組み込みは、保持器13の外縁部および張出部14dを弾性変形させた状態で行う。
次に、図5および図6を参照して、第2の軌道輪15は、中央に厚み方向に貫通する貫通孔15aを有する円環形状の部材である。そして、厚み方向一方側の壁面にころ12が転走する軌道面15bと、円環状部材の内縁部に厚み方向の軌道面15b側に延びる円筒形状の内周鍔部15cと、内周鍔部15cの先端に径方向外側に突出する第2の爪部としての複数のステーキング15dとを含む。
内周鍔部15cは、スラストころ軸受11を組み立てた際に、保持器13の内縁部のさらに内側に位置する。ステーキング15dは、内周鍔部15cの複数箇所から径方向外側に突出する。このステーキング15dは、保持器13の内縁部に係合して保持器13が第2の軌道輪15から分離するのを防止する。なお、この実施形態におけるステーキング15dは、内周鍔部15cの円周上の4箇所に等間隔に設けられている。
なお、4箇所のステーキング15dの先端を通る円をO(図6中、二点鎖線で示す)とすると、円Oの直径が保持器13の内径寸法より大きくなるようにステーキング15dの突出量を調整する。したがって、保持器13の第2の軌道輪15への組み込みは、保持器13の内縁部およびステーキング15dを弾性変形させた状態で行う。
上記構成の第1および第2の軌道輪14,15は、例えば、出発材料としてSPCまたはSCMを用いて、プレス加工によって製造される。さらに、所定の機械的性質を得るために熱処理として浸炭処理または浸炭窒化処理が施される。
また、第1の軌道輪14に設けられた張出部14dと、第2の軌道輪15に設けられたステーキング15dとは、共に保持器13を保持する爪部として機能する。なお、張出部14dは、外周鍔部14cの先端を曲げ加工によって径方向内側に折り曲げて形成する。また、張出部14dはステーキング15dと比較して保持器13を保持する能力が高い。
次に、図7および図8を参照して、保持器13は、中央に厚み方向に貫通する貫通孔13aを有する円環形状の部材である。また、その壁面にはころ12を収容する複数のポケット13bが放射状に配置されている。さらに、図1を参照して、保持器13の外縁部は径方向内側に折り返されており、その角部には、第1および第2の傾斜部13c,13dが形成されている。
第1および第2の傾斜部13c,13dは、それぞれ所定の曲率で湾曲する曲面である。そして、第1の傾斜部13cの径方向長さAは、第2の傾斜部13dの径方向長さBと比較して長くなっている(A>B)。また、図2を参照して、保持器13を第1の軌道輪14に組み込んだとき、第1の傾斜部13cは軌道面14bに対面するように配置される。
上記構成の保持器13は、例えば、出発材料としてSPCまたはSCMを用いて、プレス加工によって製造される。さらに、所定の機械的性質を得るために熱処理として軟窒化処理、浸炭処理または浸炭窒化処理のいずれかが施される。
次に、図9および図10を参照して、保持器13を第1の軌道輪14に組み込む方法を説明する。なお、図9は保持器13を第1の軌道輪14に組み込む状態を示す図、図10は図9のQ部の拡大図である。
まず、図9を参照して、保持器13を第1の軌道輪14に組み込む場合、保持器13の外縁部の一部(図9の右側)を張出部14dの内側に潜り込ませて、保持器13の外縁部と鍔部14cの内径面とを当接させる。このとき他方側(図9の左側)では、保持器13の外縁部と張出部14dとが引っ掛かって組み込むことができない。そこで、保持器13および張出部14dを弾性変形させながら、保持器13を第1の軌道輪14に組み込む。
図10を参照して、図9のQ部では、保持器13の第1の傾斜部13cと張出部14dの角部とが接触している。ここで、第1の傾斜部13cは保持器13を第1の軌道輪14に組み込むための挿入案内面として機能する。
具体的には、張出部14dの第1の傾斜部13cとの接触部分には、保持器13の挿入方向(図10の下方向)に組込荷重Fが作用する。この組込荷重Fは、張出部14dの角部が接触する位置における第1の傾斜部13cとの接線lに平行な方向に作用する分力F11と、接線lに垂直な方向に作用する分力F12とに分解することができる。そして、分力F11が一定値を超えたとき、保持器13は張出部14dを乗り越えて第1の軌道輪14に組み込まれる。
ここで、分力F11は、接線lと張出部14dの表面と平行な直線lとのなす接触角θに比例して大きくなる。そして、θ≧45°のとき、F11≧F12となる。したがって、接触角θが45°以上になるように第1の傾斜部13cの径方向長さAを調整すれば、保持器13を第1の軌道輪14に組み込むときの組込荷重Fを小さくすることができる。
次に、図11および図12を参照して、保持器13を第1の軌道輪14から分離する方法を説明する。なお、図11は保持器13を第1の軌道輪14から分離する状態を示す図、図12は図11のR部の拡大図である。
まず、図11を参照して、保持器13を第1の軌道輪14から分離する場合、保持器13の外縁部の一部(図11の右側)が鍔部14cの内径面に当接した状態で、他方側(図11の左側)が持ち上がる。このとき、保持器13の外縁部と張出部14dとが引っ掛かって両者は分離することができない。ここで、スラストころ軸受11に外力が加わると、保持器13および張出部14dが弾性変形して、両者が分離する。
図12を参照して、図11のR部では、保持器13の第2の傾斜部13dと張出部14dの角部とが接触している。張出部14dの第2の傾斜部13dとの接触部分には、保持器13の分離方向(図12の上方向)に分離荷重Fが作用する。この分離荷重Fは、張出部14dの角部が接触する位置における第2の傾斜部13dとの接線lに平行な方向に作用する分力F21と、接線lに垂直な方向に作用する分力F22とに分解することができる。そして、分力F21が一定値を超えたとき、保持器13は張出部14dを乗り越えて第1の軌道輪14から分離する。
ここで、分力F21は、接線lと張出部14dの表面と平行な直線lとのなす接触角θに比例して大きくなる。そして、θ≦45°のとき、F21≦F22となる。したがって、接触角θが45°以下になるように第2の傾斜部13dの径方向長さBを調整すれば、保持器13を第1の軌道輪14にから分離するときの分離荷重Fを大きくすることができる。
次に、図13を参照して、保持器13と第1の軌道輪14との寸法関係について説明する。なお、図13は保持器13が第1の軌道輪14に対して径方向一方側に最大限偏った状態を示す図である。なお、以下の説明は、保持器13と第2の軌道輪15との間にも同様に成立する。
まず、保持器13の外縁部と張出部14dとの最小掛かり代σは、−0.1mm≦σ≦0.5mmに設定する。なお、最小掛かり代σは、保持器13の外径寸法をD、鍔部14cの内径寸法をD、張出部14dの突出量をtとすると、σ=D−(D−t)で算出される値である。
最小掛かり代σが0.5mmより大きくなると、組立時に保持器13や張出部14dの変形量が大きくなって、変形や破損を生じるおそれがある。一方、最小掛かり代σが−0.1mmより小さいと、保持器13と第1の軌道輪14とが分離する可能性が高くなる。そこで、上記範囲とすることにより、組立性を損なうことなく分離を有効に防止することができる。
なお、最小掛かり代σが−0.1mmになる場合とは、張出部14dが保持器13の外縁部を係止できない状態である。しかし、図4に示す実施形態のように、外周鍔部14cの円周上に複数の張出部14dが設けられている場合には、その両隣の張出部14dによって保持器13が係止される。上記の構成とすることにより、保持器13と第1の軌道輪14との分離荷重Fが30N以上となる。その結果、搬送時等、特に軌道面14bを垂直にした状態で搬送される際に両者が分離するのを有効に防止することができる。
次に、保持器13の外縁部と外周鍔部14cとの間に形成される径方向の軸受内部隙間δは、支持部材の偏心量によって調整する。具体的には、支持部材の偏心量の2倍以上とする。これにより、偏心回転によって保持器と軌道輪とが接触して生じる発熱や摩耗を有効に防止することができる。
なお、上記の実施形態においては、保持器13の外縁部を折り返して曲面形状(R形状)の第1および第2の傾斜部13c,13dを形成した例を示したが、これに限ることなく、任意の方法で第1および第2の傾斜部13c,13dを形成することができる。例えば、外縁部の角部に面取り加工を施してもよい。また、第1および第2の傾斜部13c,13dは、曲面形状(R形状)に限ることなく、直線形状(テーパ形状)であってもよい。
また、上記の実施形態における第1の軌道輪14において、張出部14dの位置、および個数は任意に決定することができる。ただし、張出部14dの数が少ないと、保持器13を適切に保持できないおそれがある。一方、張出部14dの数が多すぎると、保持器13を組み込むのが困難となる。また、保持器13を適切に保持する観点からは、張出部14dは、等間隔に配置するのが望ましい。これは、第2の軌道輪15に形成されるステーキング15dにも同様に当てはまる。
また、上記の実施形態においては、張出部14dを有する第1の軌道輪14と、ステーキング15dを有する第2の軌道輪15と、外縁部に第1および第2の傾斜部13c,13dを有する保持器とを備えるスラストころ軸受11の例を示したが、これに限ることなく、任意の構成を採用することができる。例えば、第1の軌道輪の外周鍔部にステーキングを形成し、第2の軌道輪の内周鍔部に張出部を形成してもよい。その場合、第1および第2の傾斜部は保持器の内縁部に設ける。さらには、第1および第2の軌道輪の両方に張出部を形成してもよい。その場合、第1および第2の傾斜部は、保持器の外縁部および内縁部の両方に設ける。
また、この発明は、ころとして針状ころ、棒状ころ、または円筒ころを有するあらゆる形式のスラストころ軸受に適用することができる。ただし、厚み寸法を削減する観点からは、スラスト針状ころ軸受であることが望ましい。
次に、表1を参照して、この発明の効果を確認するために行った試験について説明する。この効果確認試験は、第1の傾斜部13cの径方向寸法A、第2の傾斜部13dの径方向寸法B、および最小掛かり代σの値を表1の通りとした3種類のスラストころ軸受(試験軸受1〜3)のそれぞれについて、組込荷重と分離荷重とを測定した。なお、組込は図9および図10に示す方法を用いて、分離は図11および図12に示す方法を用いて行った。
Figure 2008180282
表1を参照して、第1の傾斜部13cおよび第2の傾斜部13dの径方向寸法が同程度(A≒B)の試験軸受1においては、組込荷重と分離荷重とは同じであった。一方、A<Bとした試験軸受2においては、組込荷重が分離荷重を上回った。さらに、A>Bとした試験軸受3においては、分離荷重が組込荷重を上回った。
以上より、第1の傾斜部13cの径方向寸法Aが大きい程、保持器13の第1の軌道輪14への組み込みが容易になることが確認された。同様に、第2の傾斜部13dの径方向寸法Bが小さい程、保持器13の第1の軌道輪14からの分離が困難になることが確認された。そして、A>Bとすれば、保持器13を第1の軌道輪14に組み込みやすく、かつ両者が分離しにくいスラストころ軸受11が得られることが確認された。
次に、図14を参照して、この発明の一実施形態に係るトルクコンバータ20を説明する。トルクコンバータ20は、インペラ21と、ステータ22と、タービン23とを主に有している。具体的には、エンジン(図示省略)の出力軸(トルクコンバータ20を中心にすると「入力軸」)に連結されるインペラ21と、自動変速機(図示省略)の入力軸(トルクコンバータ20を中心にすると「出力軸」)に連結されるタービン23とが互いに対向するように配置されている。また、ステータ22は、ケーシングに固定されたステータシャフトに一方向クラッチ24を介して取り付けられている。
このステータ22は、それぞれ椀状に形成されたインペラブレード21aとタービンブレード23aとの間で還流する流体を、これらの内径側でタービン23側からインペラ21側に指向させる。これにより、流体の流れ方向を変えてインペラ21に順方向の回転力を付与し、伝達トルクを増幅するものである。
上記のトルクコンバータ20は、入力軸および出力軸のいずれかの回転によりスラスト荷重を生じる。また、インペラ21とタービン23とは偏心回転する。そこで、インペラ21とステータ22との間、および、ステータ22とタービン23との間に図2に示すようなこの発明の一実施形態に係るスラストころ軸受11が配置されている。
このスラストころ軸受11は、保持器13と第1の軌道輪14との間の内部隙間δをインペラ21およびタービン23の偏心量の2倍以上に設定する。これにより、インペラ21やタービン23等の偏心回転する回転部材を支持するのに適した軸受となる。その結果、信頼性の高いトルクコンバータ20を得ることができる。
なお、上記の実施形態においては、図2に示したスラストころ軸受11を図14に示したトルクコンバータ20に組み込んだ例を示したが、これに限ることなく、他の用途、特に偏心回転を伴う環境で使用することができる。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
この発明は、偏心回転を生じる環境で使用されるスラストころ軸受に有利に利用される。
図7のP部の拡大図である。 この発明の一実施形態に係るスラストころ軸受を示す図である。 第1の軌道輪の断面図である。 第1の軌道輪の正面図である。 第2の軌道輪の断面図である。 第2の軌道輪の正面図である。 保持器の断面図である。 保持器の正面図である。 保持器を軌道輪に組み込む状態を示す図である。 図9のQ部の拡大図である。 保持器を軌道輪から分離する状態を示す図である。 図11のR部の拡大図である。 保持器が軌道輪の中で径方向に最大限偏った状態を示す図である。 この発明の一実施形態に係るトルクコンバータを示す図である。 従来のスラストころ軸受を示す図である。
符号の説明
11,101 スラストころ軸受、12,102 ころ、13,103 保持器、14,15,104,105 軌道輪、13a,14a,15a 貫通孔、13b ポケット、13c,13d 傾斜部、14b,15b,104a,105a 軌道面、14c,15c,104b,105b 鍔部、14d,104c,105c 張出部、15d ステーキング、20 トルクコンバータ、21 インペラ、21a インペラブレード、22 ステータ、23 タービン、23a タービンブレード。

Claims (7)

  1. 複数のころと、
    前記複数のころを保持する保持器と、
    前記ころが転走する軌道面と、前記軌道面の外周端から軸方向に延びる円筒形状の外周鍔部と、前記外周鍔部の先端から内径側に突出して前記保持器の軸方向移動を制限する第1の爪部とを有する円環状の第1の軌道輪と、
    前記ころが転走する軌道面と、前記軌道面の内周端から軸方向に延びる円筒形状の内周鍔部と、前記内周鍔部の先端から外径側に突出して前記保持器の軸方向移動を制限する第2の爪部とを有する円環状の第2の軌道輪とを備え、
    前記外周鍔部と前記保持器の外縁部との間および前記内周鍔部と前記保持器の内縁部との間には前記第1の軌道輪と前記第2の軌道輪との偏芯回転を許容する軸受内部隙間が設けられ、
    前記第1および第2の爪部のうちの少なくとも一方は、曲げ加工によって形成された張出部であって、
    前記張出部に対面する前記保持器の縁部は、前記軌道面に対面する側の角部に第1の傾斜部と、厚み方向反対側の角部に前記第1の傾斜部より径方向長さが相対的に短い第2の傾斜部とを有する、スラストころ軸受。
  2. 前記第1および第2の傾斜部は、前記縁部を折り曲げて形成される、請求項1に記載のスラストころ軸受。
  3. 前記保持器は、出発材料としてSPCまたはSCMを用い、熱処理として軟窒化処理、浸炭処理、または浸炭窒化処理のいずれかを経て製造される、請求項1または2に記載のスラストころ軸受。
  4. 前記第1および第2の軌道輪は、出発材料としてSPCまたはSCMを用い、浸炭処理または浸炭窒化処理を経て製造される、請求項1〜3のいずれかに記載のスラストころ軸受。
  5. 前記張出部を有する軌道輪に前記保持器を組み込む際の前記第1の傾斜部と前記張出部との接触角θは、θ≧45°を満たす、請求項1〜4のいずれかに記載のスラストころ軸受。
  6. 前記張出部を有する軌道輪から前記保持器を分離する際の前記第2の傾斜部と前記張出部との接触角θは、θ≦45°を満たす、請求項1〜5のいずれかに記載のスラストころ軸受。
  7. 入力軸に接続されるインペラと、
    出力軸に接続されるタービンと、
    前記タービンからの作動流体を前記インペラに指向させるステータと、
    前記タービンと前記ステータとの間、および/または、前記インペラと前記ステータとの間に配置される請求項1〜6のいずれかに記載のスラストころ軸受とを備える、トルクコンバータ。
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