JP2008175310A - スラストころ軸受用保持器及びスラストころ軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポケットの内壁面ところの端面との摩擦による回転抵抗を減少させ、回転トルクの損失を低減するようにしたスラストころ軸受用保持器及びスラストころ軸受を得ることを目的とする。
【解決手段】一枚の環状板からなり、その円周数ケ所に、針状ころ3を収納するための矩形のポケット5が厚み方向に打ち抜いて形成されており、各ポケット5の内壁面の外径側と内径側に、針状ころ3の軸方向端面の回転中心に向けて突出すると共に、保持器2の回転面に対して鉛直方向に角度を持たせて折り曲げられ、先端頂点がポケット5内に収納される針状ころ3の軸方向端面の回転中心に対して点接触するようにした凸部8、9を設けて構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、スラストころ軸受用保持器及びスラストころ軸受に関するものである。
例えば自動車の自動変速機などの各部には、スラストころ軸受が多数設けられているが、自動車の低燃費化を図るためには、上記スラストころ軸受の回転抵抗を可及的に軽減し、回転トルクの損失を低減することが必要となる。
この種のスラストころ軸受では、保持器に設けた平面視矩形のポケット内にころを収納した構成になっている。
このスラストころ軸受では、回転遠心力の作用でころが径方向外向きに付勢されるので、このころの軸方向外端面がポケットの内周面において外径側の辺に対してすべり接触する。このすべり接触部分の摩擦が、スラストころ軸受の回転抵抗となり、高速回転になるほど、回転遠心力が大きくなるため、回転抵抗が増大し、回転トルクの損失が増大する傾向となる。
そこで、従来のスラストころ軸受の保持器は、ポケットの内壁面に、当該ポケット内に収納されるころの軸方向外端面と軸方向内端面の回転中心に対して当接して当該ころをピボット支持するための凸部が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−211824号公報(第1頁、図2)
従来のスラストころ軸受の保持器は、ポケットの内壁面に、ころの軸方向外端面と軸方向内端面の回転中心に対して当接して当該ころをピボット支持するための凸部が設けられているが、その凸部は所定の肉厚を有してころの回転中心を向いていることにより、ころ端面との接触は凸部の厚さ方向で線接触しているため、回転抵抗が大きくなり、回転トルクの損失が依然生じるという問題があった。
本発明はかかる問題点を解決するためになされたもので、ポケットの内壁面ところ端面との摩擦による回転抵抗を減少させ、回転トルクの損失を低減するようにしたスラストころ軸受用保持器及びスラストころ軸受を得ることを目的とする。
本発明のスラストころ軸受用保持器は、一枚の環状板からなり、その円周数ケ所に、ころを収納するための矩形のポケットが厚み方向に打ち抜いて形成されており、前記ポケットの内壁面の外径側と内径側のうちの少なくとも外径側に、ころの軸方向端面の回転中心に向けて突出すると共に、保持器の回転面に対して鉛直方向に角度を持たせて折り曲げられ、先端頂点が当該ポケット内に収納されるころの軸方向端面の回転中心に対して点接触するようにした凸部を設けて構成されている。
また、本発明のスラストころ軸受は上記スラストころ軸受用保持器と、該スラストころ軸受用保持器の各ポケットに収納されたころとから構成されている。
本発明のスラストころ軸受用保持器においては、ポケットの内壁面の外径側と内径側のうちの少なくとも外径側に、ころの軸方向端面の回転中心に向けて突出すると共に、保持器の回転面に対して鉛直方向に角度を持たせて折り曲げられ、先端頂点が当該ポケット内に収納されるころの軸方向端面の回転中心に対して点接触するようにした凸部を設けているので、その凸部の先端頂点がころの軸方向端面の回転中心に対して点接触し、ころを純粋にピボット支持するという効果を有する。
また、本発明のスラストころ軸受は上記スラストころ軸受用保持器と、該スラストころ軸受用保持器の各ポケットに収納されたころとから構成されているので、ころの軸方向端面の回転中心が凸部の先端頂点と点接触し、ころがその凸部頂点に対して純粋にピボット支持される状態になり、保持器に対するころの軸方向外端面の摩擦抵抗がゼロに近くなるため、この部分の接触に起因する回転抵抗がほとんどなくなり、軸受の回転トルクの損失を大幅に低減できるという効果を有する。
図1は本発明の実施の形態1に係るスラストころ軸受としてのスラスト針状ころ軸受を示す平面図、図2は同スラストころ軸受の保持器のポケット周辺を各出して示す斜視図、図3は同スラストころ軸受の保持器の断面図である。
本発明の実施の形態1のスラストころ軸受1は、保持器2と、複数のころとしての針状ころ3とから構成されている。
保持器2は、一枚の環状板で製作される。この保持器2の径方向途中領域には、径方向に波打つ形状の波打ち屈曲部4が絞り加工により設けられている。
この波打ち屈曲部4は、径方向交互に保持器2の厚み方向の一方と他方とにほぼ均等に張り出された外径側張出部4a、内径側張出部4b、中間張出部4cからなる。その外径側張出部4a及び内径側張出部4bは保持器2の厚み方向の一方に、また中間張出部4cは厚み方向の他方にそれぞれ張り出されている。
上記保持器2の波打ち屈曲部4において外径側の屈曲起点から内径側の屈曲起点までの範囲の円周数ケ所には、平面的に見て矩形のポケット5が厚み方向に打ち抜き形成されている。この各ポケット5に対して針状ころ3が回転自在な状態で非分離に収納されている。
つまり、ポケット5の内壁面において周方向左右に位置する外径側張出部4a、内径側張出部4b及び中間張出部4cの各張出部頂点部分の三ヶ所に、ポケット5内へ向けて突出する爪7a、7b、7cが設けられている。
この爪7a、7b、7cによって、各ポケット5において径方向の三ヶ所が針状ころ3の直径寸法よりも幅狭になっており、これによって、各ポケット5内から針状ころ3が抜け出ないようになっている。なお、ポケット5に対して針状ころ3は、無理嵌めされることで収納される。
上記各ポケット5の内壁面における外径側と内径側には、ポケット5内に向けて突出する凸部8、9が設けられている。この凸部8、9は、針状ころ3の軸方向外端面や軸方向内端面の回転中心に向け、湾曲して突出すると共に、保持器2の回転面に対して鉛直方向に角度を持たせて折り曲げられている。即ち、図2では下方向に折り曲げられている。
そして、ポケット5内に向けて突出する凸部8、9が、針状ころ3の軸方向外端面と軸方向内端面の回転中心に対して点接触するように、凸部8、9の根元位置を折り曲げ分だけオフセットさせている。
このように、ポケット5内に向け、湾曲して突出する凸部8、9は、針状ころ3の軸方向外端面や軸方向内端面の回転中心に向けて突出すると共に、保持器2の回転面に対して鉛直方向に角度を持たせて折り曲げられ、針状ころ3の軸方向外端面と軸方向内端面の回転中心に対して点接触し、針状ころ3を純粋にピボット支持する。
次に、上記保持器2の製造手順を簡単に説明する。
まず、一枚の金属板(JIS規格SPCDなど)の所定部位に中心孔を打ち抜き形成してから、絞り加工を施すことにより波打ち屈曲部4を形成する。この後、ポケット5を打ち抜き形成してから、外形部分を切り取る。このポケット5の形成と同時に上記凸部8,9及び爪7a〜7bが形成される。
その後に、上記凸部8,9をプレスによる曲げ加工により、保持器2の回転面に対して鉛直方向に角度を持たせて折り曲げられる。
そのために、ポケット5の打ち抜き金型の形状としては、予め凸部8、9及び爪7a〜7cを含むポケット5の形状に対応して製作されている。
上述したような保持器2を有するスラストころ軸受1では、回転遠心力の作用で針状ころ3が径方向外向きに付勢されるが、針状ころ3の軸方向外端面がポケット5の内壁面の外径側に設けられ、保持器の回転面に対して鉛直方向に角度を持たせて折り曲げられた凸部8に対して接触される。このとき、針状ころ3の軸方向外端面の回転中心が凸部8の先端頂点に対して点接触するので、針状ころ3が凸部8に対して純粋にピボット支持される状態になる。
これにより、保持器2に対するは針状ころ3の軸方向外端面の摩擦抵抗がゼロに近くなるので、スラストころ軸受1の回転抵抗が大幅に軽減され、軸受の回転トルクの損失が大幅に低減されることになる。
また、スラストころ軸受1が偏心回転するような状況では、針状ころ3の外径側の端面がポケット5の内壁面の外径側に設けてある凸部9に対して接触したり、針状ころ3の軸方向内端面がポケット5の内壁面の内径側に設けてある凸部9に対して接触したすることになる。
このような状況でも、針状ころ3の軸方向外端面の回転中心は凸部8の先端頂点に対して、また、針状ころ3の軸方向内端面の回転中心は凸部9の先端頂点に対して点接触するので、針状ころ3が凸部8、9の先端頂点に純粋にピボット支持された状態になる。
これにより、スラストころ軸受1が偏心回転したような状況で、スラストころ軸受1の回転抵抗が大幅に軽減され、軸受の回転トルクの損失が大幅に低減されることになり、好ましい。
上記実施の形態1では、ポケット5内に向けて突出する凸部8、9は、図2に示すように下方に折り曲げられているが、上方に折り曲げるようにしてもよい。
また、上記実施の形態1では、ポケット5内に向けて突出し、保持器の回転面に対して鉛直方向に角度を持たせて折り曲げられた凸部8、9が設けられているが、少なくとも外径側に位置する凸部8だけを設けるようにしてもよい。
また、上記実施の形態1は針状ころ軸受を例示しているが、通常のころ軸受にも本発明は適用可能である。
このようなスラストころ軸受1を仮に自動車の変速機内で用いた場合、変速機の回転トルクが軽減されることとなり、ひいては自動車の燃費低減に貢献できる。
本発明の実施の形態1に係るスラストころ軸受を示す平面図。 同スラストころ軸受の保持器のポケット周辺を各出して示す斜視図。 同スラストころ軸受の保持器の断面図。
符号の説明
1 スラストころ軸受、2 保持器、3 針状ころ、4 波打ち屈曲部、5 ポケット、8、凸部、9 凸部。

Claims (2)

  1. 一枚の環状板からなり、その円周数ケ所に、ころを収納するための矩形のポケットが厚み方向に打ち抜いて形成されており、
    前記ポケットの内壁面の外径側と内径側のうちの少なくとも外径側に、ころの軸方向端面の回転中心に向けて突出すると共に、保持器の回転面に対して鉛直方向に角度を持たせて折り曲げられ、先端頂点が当該ポケット内に収納されるころの軸方向端面の回転中心に対して点接触するようにした凸部を設けたことを特徴とするスラストころ軸受用保持器。
  2. 請求項1記載のスラストころ軸受用保持器と、該スラストころ軸受用保持器の各ポケットにそれぞれ収納されたころとから構成されていることを特徴とするスラストころ軸受。
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