JP2008178394A - 魚臭が低減したソフトサーモンの製造方法 - Google Patents

魚臭が低減したソフトサーモンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来のサーモンを塩漬して乾燥して得られる干物や、燻製して得られるスモークサーモンとは異なり、魚臭が少なく、食感がソフトで、風味に優れ、旨味を有するカットサーモン肉等からなるソフトサーモンの製造方法を提供すること。
【解決手段】原料サーモンの肉部を味噌漬けした後に塩漬剤を施して冷蔵後、サーモン肉の水分活性が0.85〜0.95、好ましくは0.88〜0.90となるように、−2〜40℃、好ましくは2〜4℃の条件下で通風乾燥する。上記原料サーモンとしては、丸ごとサーモン、内臓を除去したサーモン、サーモンから皮をとり、二枚におろし半身としたサーモン、サーモンから皮をとり、三枚におろしたサーモン等を挙げることができる。また、サーモン肉としては、幅0.5〜2cmにカットしたカットサーモン肉を好適に例示することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、魚臭が低減し、風味が向上したソフトサーモンの製造方法等に関し、より詳しくは、原料サーモンの肉部に塩漬剤を施し、カットし、該カットサーモン肉を低温度で通風乾燥する魚臭が低減したソフトサーモンの製造方法等に関する。
従来、サーモンの加工食品や加工方法としては、塩や酒粕などを用いた塩鮭、鮭の粕漬けはもとより多数の食品や、その製造方法が知られている。例えば、サーモンを3枚に下ろし、味付をした後乾燥させるに際し、湾曲した網上に戴置して天日乾燥する工程と、天日乾燥より低い温度でかつ所定の湿度に保たれる暗室内で乾燥する2工程で行うサーモンなどの魚乾燥製品の製造方法(例えば、特許文献1参照)や、サーモンを原料とし、柑橘果汁を含む塩漬液に浸漬した後、乾燥、燻煙するスモークサーモンの製造方法(例えば、特許文献2参照)や、老鮭の魚肉を若鮭から抽出した(ドコサヘキサエン酸+エイコサペンタエン酸)液と調味液と食塩とを調合して生成した漬け込み液に漬け込み、乾燥する老鮭の加工食品(例えば、特許文献3参照)が知られている。また、冷凍した秋鮭のフィレ身肉を皮付のまま厚さ7〜13mmにスライスして切身にし、その身肉の中心まで均一に塩水又は調味液を浸透したうえ乾燥して水分20〜35%にするサーモンジャーキー(例えば、特許文献4参照)や、冷凍した鮭を自然解凍し水洗して水切りし、腹内部および表面に鮭質量に対して6〜8%の塩を施した後一昼夜0℃±2℃の冷蔵庫に寝かせ、次いで腹部の塩分を洗い落とし、皮面の塩を拭い落として通気性シートでくるみ腹内部に乾燥稲藁を充填し、外部全体を乾燥稲藁でくるんで12〜17℃の温度に6〜10時間保持した後、0℃±2℃の温度で熟成する鮭の加工法(例えば、特許文献5参照)が知られている。
さらに、魚臭を除去又は低減する方法としては、魚肉を焼成カルシウムの溶解液に浸漬する方法(例えば、特許文献6参照)や、鯵、鰯等を塩漬し乾燥する干物の製法において、塩溶液がハーブと塩をミキシングして微細粉末にしたものを水に溶いたものであるハーブ干物の製法(例えば、特許文献7参照)や、所定形状に整形された魚肉を、土壌菌を含有する(野草類や野菜類に付着したもの)浸漬用調味液に浸漬し、浸漬用調味液に浸漬した後の前記魚肉を乾燥し、乾燥を終えた前記魚肉を燻煙する魚肉燻製品の製造方法(例えば、特許文献8参照)や干物本体の表面を果物の微細粉末が混入された寒天からなる保護被膜により覆った魚干物(例えば、特許文献9参照)が知られている。
特開平5−316936号公報 特開平6−38674号公報 特開平10−165143号公報 特開2003−225075号公報 特開2005−27508号公報 特開平5−130851号公報 特開平9−47256号公報 特開平10−276668号公報 特開2006−325450号公報
本発明の課題は、従来のサーモンを塩漬して乾燥して得られる干物や、燻製して得られるスモークサーモンとは異なり、魚臭が少なく、食感がソフトで、風味に優れ、旨味を有するカットサーモン肉等からなるソフトサーモンの製造方法を提供することにある。
本発明者は、冷凍されたサーモンを解凍し、3枚に下ろした魚肉を塩漬・乾燥処理する方法において、得られた製品が従来に比し、魚臭が除去又は低減し、食感がソフトで風味がきわめて良好なサーモンを得るべく、塩漬剤の種類、塩漬時間、カットサーモンのサイズ、乾燥方法、乾燥時間などきめ細かく検討し、鋭意研究した結果、一連の工程を特定の条件下で行った結果、前記の所望のカットサーモンからなるソフトサーモンが得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(1)原料サーモンの肉部に塩漬剤を施して冷蔵後、サーモン肉の水分活性が0.85〜0.95となるように、−2〜40℃の条件下で通風乾燥することを特徴とする魚臭が低減したソフトサーモンの製造方法や、(2)サーモン肉が、幅0.5〜2cmにカットしたカットサーモン肉であることを特徴とする上記(1)記載の魚臭が低減したソフトサーモンの製造方法や、(3)原料サーモンが、サーモンから皮をとり、三枚に下ろし、真空パック後凍結し、−18℃以下で凍結保管後、真空パックのまま解凍したサーモンであることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の魚臭が低減したソフトサーモンの製造方法や、(4)原料サーモンが、内臓を除去したサーモン、又は、サーモンから皮をとり、二枚に下ろし半身としたサーモンを、真空パック後凍結し、−18℃以下で凍結保管後、真空パックのまま解凍したサーモンであることを特徴とする上記(1)記載の魚臭が低減したソフトサーモンの製造方法や、(5)2〜4℃で通風乾燥することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか記載の魚臭が低減したソフトサーモンの製造方法や、(6)原料サーモンの肉部に塩漬剤を施す前に、前記原料サーモンの肉部を味噌漬けすることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか記載の魚臭が低減したソフトサーモンの製造方法や、(7)味噌漬けが、原料サーモンの肉部全体を不織布で被覆後、被覆された肉部全体に味噌を塗ることを特徴とする上記(6)記載の魚臭が低減したソフトサーモンの製造方法や、(8)上記(1)〜(7)のいずれか記載の製造方法により得られる、水分活性が0.85〜0.95である魚臭が低減したソフトサーモンに関する。
本発明によると、原料サーモンの肉部に塩漬剤を施して冷蔵し、サーモン肉の水分活性が0.85〜0.95となるように、−2〜40℃の条件下で通風乾燥することにより、魚臭が除去又は低減し、食感がソフトで風味の優れたカットサーモン肉等からなるソフトサーモンとすることができる。
本発明の魚臭が低減したソフトサーモンの製造方法としては、原料サーモンの肉部に塩漬剤を施して冷蔵後、サーモン肉の水分活性が0.85〜0.95となるように、−2〜40℃の条件下で通風乾燥する方法であれば特に制限されず、上記原料サーモンとしては、サーモン(丸ごとサーモン)、内臓を除去したサーモン(内臓除去サーモン)、サーモンから皮をとり、二枚に下ろし半身としたサーモン(半身サーモン)、サーモンから皮をとり、三枚に下ろしたサーモン(三枚下ろしサーモン)等を挙げることができるが、これらの丸ごとサーモン、内臓除去サーモン、半身サーモン、三枚下ろしサーモン等を真空パック後凍結し、−18℃以下で凍結保管後、真空パックのまま解凍したものを好適に例示することができ、中でも三枚下ろしサーモン、特に三枚下ろしサーモンの前記解凍したものを好適に例示することができる。ここで、ソフトサーモンとは、水分活性が0.85〜0.95の範囲にあるサーモンの味付け・半乾燥品をいう。また、用いるサーモン(鮭)は、その種類を問わず、例えば、白鮭、銀鮭、アトランティック・サーモン、キング・サーモン、カラフト・マス、サクラマスなどが挙げられる。
上記塩漬剤を施して冷蔵後のサーモン肉としては、適宜カットしたものが、低温度での短期間かつ均一の通風乾燥処理に適していることから好ましい。カットの幅や長さ、形状等は適宜選択することができるが、幅0.5〜2cmにカットしたカットサーモン肉を好適に例示することができ、前記カット幅は、サーモンのフィレを横にし、フィレとほぼ直交して、カットする場合の幅である。0.5〜2cmのカット幅、好ましくは1〜1.5cmのカット幅範囲が、通風乾燥後に口に入れたときサーモン特有の食感が得られると共に、特に低温度での短期間かつ均一の通風乾燥処理に適しており、この場合、細長い棒状のソフトサーモン製品となる。他方、丸ごとサーモン、内臓除去サーモン、半身サーモン、三枚下ろしサーモン等をカットすることなく、低温度で通風乾燥処理すると、それぞれ、丸ごとソフトサーモン、内臓除去ソフトサーモン、半身ソフトサーモン、三枚下ろしソフトサーモン等のソフトサーモン製品となり、これらは通常食する前にカットされる。
本発明における乾燥条件は、サーモン肉(カット肉、半身サーモン肉、内臓除去サーモン肉など)を水分活性が0.85〜0.95、好ましくは、0.88〜0.90となるように、−2〜40℃、好ましくは2〜4℃の温度条件下で通風乾燥することが重要である。ここで、水分活性とは、純粋な水の水蒸気圧をP0とし、サーモン中に含まれる水の水蒸気圧をPとしたとき、式;AW(水分活性)=P/P0で表わされる数値をいい、サーモンの水分活性が0.85〜0.95の範囲にあるとき、細菌による変敗も起こりにくくなる。本発明においては、水分活性が0.85〜0.95の数値範囲となるように、乾燥室温が−2〜40℃の条件下で通風乾燥を行うが、−2℃より低いと凍結する恐れがあり、乾燥に時間がかかり、浸漬後のサーモンの熟成が十分ではなく、一方、40℃を超えるとサーモンの品質に影響を及ぼすので好ましくない。また、上記の温度範囲に温度設定した乾燥室内に設置された扇風機の風をまんべんなくサーモン肉(カット肉、半身サーモン肉、内臓除去サーモン肉など)にあてるように、扇風機の直径、回転数をあらかじめ決めておくことが好ましい。また、扇風機の風をまんべんなくサーモン肉(カット肉、半身サーモン肉、内臓除去サーモン肉など)にあてるように、サーモン肉自体を回転させることもできる。本発明の上記温度範囲において、具体的な設定温度や乾燥条件により、通風乾燥日数が決まるが、2〜4℃の場合、カット肉の通風乾燥日数は約2週間程度であり、半身サーモン肉や内臓除去サーモンの通風乾燥日数は約2〜3週間程度である。例えば、温度2〜4℃での水分活性0.9に合わせた通風乾燥を施したカットソフトサーモンでは、通風乾燥を施さないカットサーモン従来品(スモークサーモン等)に比べて、脂質酸化で生成するアルデヒド類が40%少ない結果が得られ、低温度での通風乾燥により魚臭を低減することが可能となる。
塩漬剤としては、食塩の他に、砂糖、こしょう、オールスパイス、セロリ末、カルダモン末、タイム末、アミノ酸等を適宜量含み、食塩としては、精製された食塩や、海水塩、岩塩、湖塩、天日塩を例示することができる。塩漬剤の使用量は、サーモン(解凍後サーモン)100重量部に対し3.5〜5.5重量部を用いることができ、食塩又は類似のものは、サーモン100重量部に対し、2.0〜3.0重量部とすることが好ましい。塩漬剤は、その組成によって一概にはいえないが、3.5重量部より少ないと、味が淡白で、また保存効果が弱くなり、5.5重量部を超えると塩味が効きすぎ、サーモン特有の味に影響を及ぼす。サーモンに塩漬剤を施す方法としては、塩漬剤末をサーモンにふりかけて揉みこんだり、塩漬溶液に浸漬する方法等がある。浸漬する場合、浸漬後約12時間(一晩)から約24時間(丸1日)の浸漬時間を要する。
本発明においては、原料サーモンの肉部に塩漬剤を施す前に、これを味噌漬けする工程を採用することができ、味噌漬けすることにより、より風味が向上し、魚臭が低減したソフトサーモンとすることができる。味噌には、原料別による米味噌、麦味噌、豆味噌等があり、それぞれ甘口味噌、辛口味噌に分けられ、さらに、生産地名が付された味噌があり、また、白、赤、淡色など色別の分類もあるがどのタイプの味噌も使用することができる。これら味噌の中でも、サケの色とマッチした淡色の味噌が好ましく、例えば信州味噌を好適に用いることができる。原料サケに対する味噌の使用量は、サケとほぼ同量で、トレイにサケが埋まる程度に味噌を敷き、そこへサケを漬け込むか、サケ全体に味噌を被覆する方法によりサケ全体に味噌を塗る。味噌を塗る前にサケ全体を不織布で被覆すると後に続く処理である味噌を取り除く処理を簡便に行うことができる。サケ全体に味噌を塗った後そのまま冷蔵庫に入れて、一晩程度静置する。その後味噌を取り除いてから、前記サケに塩漬剤を前記の方法により施す。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
サーモン(紅鮭)の皮を剥ぎ、三枚に下ろし、真空パックし、凍結し、−25℃で凍結保管されたサーモンを、真空パックのまま水解し、表1のソフトサーモン1〜3に記載の塩漬剤を用いて一晩(約12時間)浸漬した。浸漬後1cm幅にカットした。カット後乾燥室温2〜4℃に保ち、乾燥室内の網にサーモンを重ならないように1cm程度の間隔をおきながら広げて並べ、(株)スイデン社製の直径40cm140Wの扇風機を2台設置し、扇風機の風を網と水平方向から直接又は間接的にサーモンにまんべんなくあてて乾燥させた。乾燥4〜5日目にサーモンを1度裏返す。水分活性をロトロニック社製の「高精度温・湿度測定器DT型」を用いて測定し、水分活性が0.9となったとき(乾燥日数約2週間)、乾燥を終了させた。計量し、袋に入れ真空パックして製品とした。製品は、10℃以下に冷蔵保管した。
Figure 2008178394
(アミノ酸分析結果)
実施例1により製造されたサーモン(ソフトサーモン1〜3)とソフトサーモン鮭原料及び市販E社のスモークサーモンのアミノ酸分析を行った。アミノ酸分析には、日立高速アミノ酸分析計L−8500Aを使用した。その結果を表2に、また遊離アミノ酸の総計を図1に示す。表2及び図1からわかるように、本発明の通風乾燥したソフトサーモン1〜3は、通風乾燥していない原料の鮭や、市販のスモークサーモンに較べると遊離アミノ酸の量が多く、市販のものとは2〜3倍多い遊離アミノ酸量が含まれる。これは、低温での通風乾燥により熟成が進み、遊離アミノ酸が生成したものと思われ、これら多種の遊離ミノ酸の増量により、得られたサーモンは、風味と旨味を有するものであった。
Figure 2008178394
(臭気測定方法)
本発明における臭気測定に関し、30℃におけるダイナミックヘッドスペース法による香気捕集方法を採用した。その概要は、次のとおりである。
1)試料の調整と香気捕集方法
試料をフードカッターで粉砕し、粉砕した試料50gをテフロン(登録商標)製ペトリ皿に分取し、香気捕集用フラスコにセットする。恒温槽にて、試料温度30℃に安定させた後、高純度窒素ガスで香気を捕集管に導入する。高純度窒素ガス流量は、20ml/min for 60min=total 1200ml at 30℃とし、香気捕集管は、TENAX TNを使用する。
2)GC/MS分析条件
上記香気を捕集した捕集管に内部標準物質としてBenzyl Alcohol 1μLを添加する。熱脱着装置(GERSTEL社製TDS)を用いてAgilent社製の6890/5973GC/MSに導入する。
熱脱着装置(GERSTEL社製TDS)の条件は、キャリアガスとして高純度ヘリウムガス21psiを用いた。熱脱着温度が210℃、CIS4は−150℃→210℃、CTS2は、−150→210℃とする。
Agilent GC/MS測定条件として、カラムはJ&W DB−WAX60m×0.32mmI.d.×0.25μmを、キャリア−ガスは高純度ヘリウムガス 21psi 40℃定流量を、昇温条件は40℃(hold 2.5min)→5℃/min→210℃(hold)を、分析時間は75minを、EI測定はマスレンジ20〜350を採用した。N2ガスのトータル流量3000ml中に検出された魚臭成分量を検出結果とした。
検出成分として(1)脂質酸化成分であるカルボニル化合物(アルデヒド類)、(2)魚の生臭さの特徴成分であるトリメチルアミン(trimethylamine)及び(3)ケトン類を測定し、(1)及び(2)を魚臭成分として結果を集計した。ケトン類の生成は一般的に脂質の空気酸化による生成よりも、肉に内在する酵素又は微生物の働きによる生成とする場合が多いと思われる。
(魚臭分析結果)
対照として本発明の原料として用いた鮭と、Y社、S社、R社、N社のサーモン加工品と通風乾燥しない点のみを除いて本発明と同様の処理を行ったサーモンとした。これらの対照品と前記実施例1(ソフトサーモン1)の通風乾燥したサーモンについてそれぞれ魚臭の分析を前記の分析機器を用いて分析した。その結果を、アミン、アルデヒド類、ケトン類のそれぞれ具体的化合物別に、表3に示す。表3の結果をもとに、アルデヒド類、ケトン類それぞれの総計を(自社)鮭原料と通風乾燥したサーモンと通風しないサーモンとの比較、及び本発明の通風したサーモンと他社との比較をした結果を図2〜図5に示す。
Figure 2008178394
表3から、アミンとしてはトリメチルアミンの生成がR社及びN社にみられたが、原料鮭、本発明の通風乾燥したサーモンや、通風乾燥しないサーモンのいずれにも検出されなかった。アルデヒドについては、プロパナール、2−メチルプロパナール、ブタナール、3−メチルブタナール、ヘキサナール、オクタナール、ノナナール、デカナールの測定を行い、本発明の通風乾燥したサーモン及び通風乾燥しないサーモンは、他社に比べてこれら酸化臭気の成分量が少なく、通風乾燥したサーモンでは、総計した量において、他社の1/3〜1/7の酸化臭気成分量であった。ケトン類については、2−ブタノン、2,3−ブタンディオン、2,3−ペンタンディオン、シクロヘキサノン、3−ヒドロキシ−2−ブタノン、2−ノナノンの測定を行い、本発明の通風乾燥したサーモンと通風乾燥しないサーモンとは、その総計した量は同じであったが、他社とは、1/1.3〜1/4.8であった。図2〜図5により、特に図2に示すように、本発明の通風乾燥したソフトサーモンは、酸化臭気の成分量(脂質酸化で生成するアルデヒド類の量)が、通風せずに乾燥したソフトサーモンよりも40%少なく、また図4に示すとおり、他社とは格段に酸化臭気の成分量に明らかな差があった。
(水分分析結果)
Y社、S社、R社、N社の鮭加工品と本発明の通風乾燥したサーモンと通風乾燥しないサーモンについて、常圧加熱乾燥法(直接)により水分含量を測定した。その結果を図6に示す。図6に示すように、他社に較べ、本発明の通風乾燥したサーモンは、水分量が多く、ソフトな食感とするものである。
以上のように、本発明の、サーモン肉に塩漬剤を施し、カットして、水分活性が0.85〜0.95となるように、−2〜40℃の条件下で通風乾燥することにより、即ちこのような低温度の通風乾燥を行うことで、脂質酸化で生成するアルデヒド類の残存を少なくし、魚臭を低減することができ、さらに遊離アミノ酸量の多いことから旨味を有し、かつ、ソフトな食感を有するカットサーモンを得ることができる。さらに、二枚又は三枚に下ろし、半身としたサーモンや、内臓を除去したサーモンに同様の処理を施したところ、魚臭が低減され、ソフトな食感を有するサーモンを得ることができた。
(味噌風味ソフトサーモンの製造方法)
サーモン(紅鮭)の皮を剥ぎ、三枚に下ろした冷凍サーモンを解凍後、該サーモンの肉部全体を不織布で被覆した。不織布(極東貿易株式会社製「Kシート(24J3-2)600mm×800mm」)で被覆されたサーモンを、サーモンの肉100重量部に対し、信州長野味噌100重量部の割合でサーモン肉の全体に塗った。味噌で覆ったサーモン肉を冷蔵庫に入れ、一晩静置した。次に、味噌を取り除いてから、サーモン100重量部に対し、塩漬剤2重量部を用いて軽く摺り込み一晩(約12時間)冷蔵した(前記塩漬剤の組成は、食塩52.12重量%、アミカノンうす味10.85重量%、砂糖32.57重量%、MSG3.26重量%、黒こしょうSCP、オールスパイス末0.22重量%、セロリ末0.22重量%、カルダモン末K0.22重量%、タイム末0.11重量%)。その後1cm幅にカットした。カット後乾燥室温2〜4℃に保ち、乾燥室内の網にサーモンを重ならないように1cm程度の間隔をおきながら広げて並べ、(株)スイデン社製の直径40cm140Wの扇風機を2台設置し、扇風機の風を網と水平方向から直接又は間接的にサーモンにまんべんなくあてて乾燥させた。乾燥4〜5日目にサーモンを1度裏返した。水分活性をロトロニック社製の「高精度温・湿度測定器DT型」を用いて測定し、水分活性が0.9となったとき(乾燥日数約2週間)、乾燥を終了させた。計量し、袋に入れ真空パックして製品とした。製品は、10℃以下に冷蔵保管した。
本発明の遊離アミノ酸総量を、鮭原料や他社と比べて示す図である。 本発明の生成する臭気成分のアルデヒド類総量を、鮭原料や通風乾燥しないものと比べて示す図である。 本発明の生成する臭気成分のケトン類総量を、鮭原料や通風乾燥しないものと比べて示す図である。 本発明の生成する臭気成分のアルデヒド類総量を、他社と比べて示す図である。 本発明の生成する臭気成分のケトン類総量を、他社と比べて示す図である。 本発明の水分含量を、他社や通風乾燥しないものと比べて示す図である。

Claims (8)

  1. 原料サーモンの肉部に塩漬剤を施して冷蔵後、サーモン肉の水分活性が0.85〜0.95となるように、−2〜40℃の条件下で通風乾燥することを特徴とする魚臭が低減したソフトサーモンの製造方法。
  2. サーモン肉が、幅0.5〜2cmにカットしたカットサーモン肉であることを特徴とする請求項1記載の魚臭が低減したソフトサーモンの製造方法。
  3. 原料サーモンが、サーモンから皮をとり、三枚に下ろし、真空パック後凍結し、−18℃以下で凍結保管後、真空パックのまま解凍したサーモンであることを特徴とする請求項1又は2記載の魚臭が低減したソフトサーモンの製造方法。
  4. 原料サーモンが、内臓を除去したサーモン、又は、サーモンから皮をとり、二枚に下ろし半身としたサーモンを、真空パック後凍結し、−18℃以下で凍結保管後、真空パックのまま解凍したサーモンであることを特徴とする請求項1記載の魚臭が低減したソフトサーモンの製造方法。
  5. 2〜4℃で通風乾燥することを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の魚臭が低減したソフトサーモンの製造方法。
  6. 原料サーモンの肉部に塩漬剤を施す前に、前記原料サーモンの肉部を味噌漬けすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の魚臭が低減したソフトサーモンの製造方法。
  7. 味噌漬けが、原料サーモンの肉部全体を不織布で被覆後、被覆された肉部全体に味噌を塗ることを特徴とする請求項6記載の魚臭が低減したソフトサーモンの製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか記載の製造方法により得られる、水分活性が0.85〜0.95である魚臭が低減したソフトサーモン。
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