JP4896107B2 - カニ肉燻製加工食品の製造方法およびカニ肉燻製加工食品 - Google Patents

カニ肉燻製加工食品の製造方法およびカニ肉燻製加工食品 Download PDF

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Description

本発明は、カニ肉を用いた新感覚のカニ肉燻製加工食品の製造方法およびそれにより得られるカニ肉燻製加工食品に関する。
従来から、燻製法としては、燻煙による熱燻製、温燻製、冷燻製があり、その他に燻液(燻製液)に漬ける液体燻製が知られている。一般に、熱燻製は、80℃以上、多くは120〜140℃の高温の煙で数十分〜4時間程度いぶす方法であり、温燻製は、30〜80℃で2〜12時間程度いぶす方法であり、冷燻製は、15〜30℃(平均25℃くらい)の低温で1〜3週間、長い場合は1〜2ヶ月いぶす方法である。液体燻製は、燻液(燻製液)に食品を漬けてその後、乾燥させる方法である。
そして、魚介類、肉類の燻製には主に冷燻製と温燻製が用いられている。冷燻製は、スモークドサーモンのように調理しないでそのまま食べる魚などに用いられ、例えば、内臓を取り出した魚を塩水につけ込み、清潔な場につるして乾燥後、30℃以下の温度でいぶす方法である。また、さば、うなぎ、ます等の魚介類に適するとされる温燻製は、魚を水洗い後塩水につけ込み乾燥させてから、30℃の低温で燻製処理を始めて50℃〜80℃くらいの高温度で時間をかけて燻製するのが一般的である。このように従来の燻製法は、主に保存を目的とするものであり、乾燥工程が必須である。
カニ類について、特許文献1には、乾燥工程のある燻製法が記載されている。すなわち、特許文献1は「殻付きの甲殻類の燻製品であって、少なくとも殻は燻製独特のキツネ色を呈し、身の中心部が白変した状態である甲殻類の燻製品」に係わり、「素材の表面を乾燥させた後に、身の中心部が白変するまで燻煙する工程を経る甲殻類の燻製品の製造方法」で得ている。しかし、カニ肉は繊細な特性のある風味を有しており、このように殻付きの甲殻類を乾燥し燻煙だけによる燻製でスモークの程よい風味が出るまで燻すと、燻煙による苦み等で全体として不味くなってしまうという欠点、すなわち、カニ肉の味や特有の風味や香りが、燻煙独特の苦みや渋みに負けてしまいカニ肉本来の旨味が消されてしまうという欠点があった。また、特許文献1には、液体燻製後、高温高圧殺菌をする方法も示されている。液体燻製では、スモーク特有の風味が薄く、液体燻製だけのものは、品質表示上、「燻製」といえるものではなく、その後の高温高圧殺菌により、身が蒲鉾のような食感になり、カニ類特有の口触りや食感が失われるという欠点があった。
特開2000−312555号公報
塩分と燻製による苦みやにおいのため、燻製は、繊細な特性のある風味を有するカニ肉には適さないと一般的には考えられていたところ、本発明は、カニ肉特有の味、風味、香りのあるカニ肉本来の旨味に燻製の香ばしさを付加し、かつ、カニ肉の身質の変性がなくジューシーでカニ肉特有の食感のあるカニ肉燻製加工品およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、多くの研究、試行錯誤を経て、ボイルまたは蒸したカニ類の殻から取り出したカニ肉を燻液配合の調味液に冷蔵浸漬し、その後液切りし、温燻製することにより、カニ肉の旨味と燻製の香ばしさを有し、かつ、カニ肉の身質の変性を避けたジューシーで独特の食感のカニ肉燻製加工品が製造できることを発見したものである。
より詳しくは、本発明は、下記(1)ないし(12)に記載のカニ肉燻製加工食品の製造方法を要旨とするものである。
(1)ボイルまたは蒸したカニ類の殻から取り出したカニ肉を燻液配合の調味液に冷蔵浸漬し、その後液切りし、温燻製すること特徴とするカニ肉燻製加工食品の製造方法。
(2)冷蔵浸漬が、5℃〜20℃で45分間〜2時間浸漬するものである、(1)に記載のカニ肉燻製加工食品の製造方法。
(3)温燻製が、30℃〜80℃で1分半〜4分間燻製するものである、(1)または(2)に記載のカニ肉燻製加工食品の製造方法。
(4)液切りの後温燻製の前に、脱水シートで余分な水分を除く工程がある、(1)、(2)または(3)に記載のカニ肉燻製加工食品の製造方法。
(5)温燻製に引き続き、パッケージングし低温加熱殺菌する、または、低温加熱殺菌しその後にパッケージングする(1)ないし(4)のいずれかに記載のカニ肉燻製加工食品の製造方法。
(6)低温加熱殺菌が、カニ肉の中心温度60℃で30〜32分間行う工程である、(5)に記載のカニ肉燻製加工食品の製造方法。
(7)カニ肉燻製加工食品が冷凍工程を経た食品である、(1)ないし(6)のいずれかに記載のカニ肉燻製加工食品の製造方法。
(8)ボイルまたは蒸したカニ類が、生のカニ類を20〜25分間100℃前後でボイルまたは蒸した後冷蔵又は冷凍したカニ類である、(1)ないし(7)のいずれかに記載のカニ肉燻製加工食品の製造方法。
(9)カニ肉が脱殻した脚肉である、(1)ないし(8)のいずれかに記載のカニ肉燻製加工食品の製造方法。
(10)浸漬用液の調味液が、カニ肉の重量に対し90〜100重量%、燻液がカニ肉の重量に対し6〜10重量%である、(1)ないし(9)のいずれかに記載のカニ肉燻製加工食品の製造方法。
(11)調味液が、さらに品質改良剤を配合したものである、(1)ないし(10)のいずれかに記載のカニ肉燻製加工食品の製造方法。
(12)品質改良剤が、カニ肉の重量に対し1.5〜2.5重量%である、(11)に記載のカニ肉燻製加工食品の製造方法。
さらに、本発明は、下記(13)に記載のカニ肉燻製加工食品を要旨とするものである。
(13)上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の方法で製造されたカニ肉燻製加工食品。
本発明によれば、下記の特徴を有した従来にない新たなカニ肉燻製加工食品を提供することができる。
1.外見上焦げ等がなく、赤みを帯びた天然感、新鮮感に優れている。
2.ジューシーで独特な食感を有する。
3.カニの旨味に香ばしさを加えた新感覚のカニの旨味が味わえる。
4.冷蔵(10℃以下)で1週間程度、冷凍(−18℃以下)では6ヶ月程度日持ちする。
本発明のカニ肉燻製加工食品の製造方法の好ましい態様は、実施例に示すように、a:生のカニ類をボイルまたは蒸した後冷蔵又は冷凍する工程、b:冷蔵したカニ類または冷凍し解凍したカニ類の肉を調味液及び燻液を含有する浸漬用液に冷蔵浸漬する工程、c:浸漬後液切りし、さらに脱水シートで余分な水分を除く工程、d:1分半〜4分間温燻製する工程、及び、e:低温加熱殺菌する工程を順次行う態様である。
本発明におけるカニ類とは、漁業や流通等の産業上、一般的にカニと呼ばれるもの全般を指すものであり、これらカニ類の中でも、高級食用種として知られる、タラバガニ、アブラガニ、ズワイガニ、ケガニ、ハナサキガニ、イバラガニが好ましいものとして例示される。
本発明では、これら生のカニ類をボイルまたは蒸し、カニ殻から取り出したカニ肉を用いる。カニ類の生肉は鮮度が落ちやすく、通常冷蔵でも1〜2日程度しかもたない。しかも、保存のため、生肉をそのまま冷凍した場合は、解凍時にタンパク質分解酵素が強力に作用し、肉中の各部の有効成分等を自己消化するので、著しく風味が損なわれるという問題がある。さらに、カニ類の肉は水分が多い(例えばズワイガニでは水分値が82.2%)ので、生肉をボイルまたは蒸し以外の加熱、例えば燻煙などで生肉を直接加熱すると、ドリップ等が多量に出て、一緒に旨味も出てしまい、カニ類の身は細くなりジューシー感、旨味が損なわれる。これらのことから、本発明では、生のカニ類をボイルまたは蒸したものを出発原料とする。このボイルまたは蒸し工程では、カニ類の身が白くなる程度の短時間、好ましくは20〜25分間100℃前後でボイルまたは蒸す。
生のカニ類をボイルまたは蒸した後、カニ殻を取り除き、冷蔵または冷凍したもの、あるいは生のカニ類をボイルまたは蒸した後、冷蔵または冷凍したものを、脱殻してから用いる。冷凍品の場合は、解凍した後、脱殻を行うことになる。殻を取り除いたものを冷蔵または冷凍する場合、ボイルまたは蒸し工程で出る汁ごと行うことができる。これにより、旨味は肉にしみ込み旨味は損なわれない。
冷凍(凍結)・解凍工程が必要とされるのは、ボイル等の工程とその後の工程を異なる場所または、時間をおいて行う場合である。一連の作業が近接箇所で続けて行われる場合には、ボイル等後は直接または冷蔵されて用いられ、冷凍・解凍工程は不要となる。
近年、これら高級食用種のカニ類は北洋の比較的深度のある水域で漁獲される種であるが、わが国の近海、特に200海里以内では漁獲され難くなっている。タラバガニ類やズワイガニ類の大型のカニは、漁獲後、甲羅を取り除いた後、残りの部分は殻ごとボイルあるいは蒸される。これをセクションと言う。本発明のカニ肉原料としては、日本で漁獲されたカニは、氷蔵(冷蔵)あるいは冷凍したセクションを使うことができるが、アメリカ、カナダ、ロシアで漁獲されたカニは、冷凍したセクションが日本に輸入され、それを使用する。例えば、本発明では、セクションを、冷蔵の場合はそのまま、冷凍品の場合は解凍して、脚1本ずつに分離する。次いで、この脚を、包丁または鋏を使って、各関節を取り除くことにより、肩、第一脚、第二脚、第三脚の各部分に切り分ける。このあとこれらの切り分けた各部分のカニ殻からカニ肉を取り出す。
[燻液配合の調味液]
調味液はカニ肉の旨味の補強のため、燻液は燻製の香ばしさを付与して、その後に行う燻煙の時間を短縮するために用いるものである。これにより、調味付けと予備的香り付けを一緒に行っている。
調味液は、例えば、砂糖、食塩、アミノ酸等の調味料、ソルビトール、水等からなるものが用いられる。調味液は、カニ肉の90重量%以上であれば調味が可能であり、多すぎるとその分はロスとなり経済的でない。
燻液は、ナラ、サクラ、ブナ、カエデ等の広葉樹から得られる燻液(食品用)が用いられる。燻液の量は、カニ肉の6〜10重量%が好ましい。最適な配合量は、カニ肉の種類に応じて調整され、例えば、タラバガニの場合は8重量%を基準とするが、ズワイガニのように味が淡泊、繊細なカニの場合は、配合比率は低めの方が良い。そして、燻液が、10重量%を超えると燻香が強くなりすぎて、カニ肉の風味が負けてしまい好ましくない。
燻液配合の調味液には、さらに品質改良剤を配合しても良い。
品質改良剤としては、例えば、グリシンとpH調整剤としての酢酸ナトリウムの混合物等が用いられる。品質改良剤の量は、カニ肉の1.5〜2.5重量%が好ましい。品質改良剤の量が多いと製品の日持ちは長くなるが、pHが強くなるため酸味や甘みが強くなってしまい好ましくない。
以上のとおりであり、本発明のカニ肉燻製加工食品の製造方法において用いる燻液配合の調味液の好ましい態様は、調味液が、砂糖、食塩、アミノ酸、ソルビトール、および水を含むものであり、燻液が、天然の広葉樹から得られる燻液であり、さらに配合する品質改良剤が、グリシンおよび酢酸ナトリウムからなるものである。
[冷蔵浸漬]
燻液配合の調味液、必要に応じ品質改良剤をさらに配合する調味液(以下、「浸漬用液」と言うことがある。)に冷蔵浸漬する条件は、浸漬温度5〜20℃で45分〜2時間が好ましい。浸漬温度が低くすぎると液がしみ込み難いが、逆に温度が高いと、細菌が繁殖しやすいので衛生上の問題や品質の問題がある。浸漬時間はカニ肉の味とのバランス上調整される。なお、ボイルしたものを冷凍したカニ肉は解凍すると肉質が多少スポンジ化し、繊維状の組織になり好ましくないが、一方で、これらの現象により、浸漬用液がしみ込み易くなるという効果も生じる。
[液切り]
浸漬後液切りする。さらに脱水シートで余分な水分を除く。本発明は、乾燥処理を行なわず、脱水シートで余分な水分を除くことが特徴の一つである。脱水シートを用いて、うまみ成分を残したまま、余分な水分を除去する。カニ肉は、一定の自由水や結合水の状態で水分を含有しており、この自由水の状態での水分をいかに脱水するかによって鮮度が保持され、品質が安定する。品質安定化のための脱水乾燥は、品質安定化は図れるものの、時間がかかるだけでなく、単に蒸発による脱水のため、温度,湿度,時間の相関により鮮度保持の面からは限界があり、旨味も失われる。本発明は、低い温度帯である0°C〜5°Cの環境でも脱水処理が可能で量産化に適し、鮮度保持と品質劣化を阻止することができる余分な水分の短時間脱水方法として脱水シートを用いる。そこで、液切りしたカニ肉の余分な水分を効果的に吸収し、しかもカニ肉自体を乾燥さない脱水シートを使用する。脱水シートには、不織布(pp系)、パルプ(pp系)、吸水紙(パルプ)などが使用できる。余分の水分の多いもの、少ないものなどで適切な吸水能力の脱水シートを選び、使用することが重要である。本発明では、乾燥処理によって水分とともに旨味も失われカニ肉の身がパサつくことを避け、脱水シートで余分な水分のみを除くので、カニ肉特有の旨味を凝縮させることができる。
[温燻製]
本発明においては、1分半〜4分間温燻製する。温燻製は、30〜80℃でカニ肉の大きさ、カニ脚の場合はその太さ等に応じて1分半〜4分行われる。この工程により燻製の風味を増すが、温燻製する時間は、一般的に魚介類や肉類で行われている時間(2〜12時間)に比し、1分半〜4分間ときわめて短時間である。この条件であれば、適度な苦みや渋みを有し、かつ、カニ肉の身質を変性させない燻製品が得られる。温度が冷燻製の温度帯では、風味不足になり、熱燻製などの高温ではカニ肉の身質が変性してしまうので適当でない。
[低温加熱殺菌]
低温加熱殺菌は、カニ類の肉の中心温度60℃で30〜32分間行うものであり、中心温度60℃で30分が好ましい。中心温度60℃で30分より短い加熱では、殺菌状態に不安がある。また、32分より長く加熱したり、中心温度が60℃より高い温度で加熱すると、カニ類の身質が蒲鉾のような感じに変性するので好ましくない。この低温加熱殺菌により、味、色、身質の変性がなく美味しく、保存性の良いカニ類加工品が得られる。
なお、先にカニ類を袋詰め等のパッケージングをしてから低温加熱殺菌しても良い。
以上の製造方法により得られた本願発明のカニ肉燻製加工食品は、必要に応じて、レトルトパウチ、瓶、プラスチック容器等の密封容器に収納して、そのまま、または、冷蔵品や冷凍品として流通される。そのまま食べても美味であるが、寿司ネタ(軍艦巻等)の食材としても利用することができる。
以下では、本発明の詳細を実施例で説明するが、本発明は実施例によって何ら限定されることはない。
本実施例は、タラバガニを用いたカニ肉燻製加工食品の製造例である。
生のタラバガニの甲羅を取り除いた後、残りの部分は殻ごと20分間100℃前後でボイルし、包丁で一つの脚の各関節の前後を切断して、肩、第一脚、第二脚、第三脚に分け、第一脚を8cm〜9cmの長さに切り揃えた。切り揃えた第一脚100ケの殻の中からカニ肉を取りだした後、−40℃以下で冷凍(凍結)した。その後冷凍したタラバガニ脚肉を10℃以下で24時間解凍、或いは10時間自然解凍する。次に、解凍したカニ脚肉を、カニ肉と同重量の調味液(砂糖12.5%、食塩5.0%、アミノ酸類(グリシン、L−グルタミン酸ナトリウム、5´−リボヌクレオチド二ナトリウム)10.0%、ソルビトール3.0%、残部水)と、カニ肉の8重量%の広葉樹の燻液、およびカニ肉の2重量%の品質改良剤(グリシン60.0%及び酢酸ナトリウム40.0%)を撹拌した浸漬用液に、冷蔵(10℃以下)にて1時間浸漬後、液切りし、さらに脱水シート(吸水紙)で余分な水分を除き旨味を凝縮させた。その後温燻製(30℃〜80℃、2分間)し、次いで袋詰めして中心温度60℃で30分間の低温加熱殺菌した後、カニ脚肉燻製加工食品を得た。それらを20本ずつパッケージング(箱詰め)した。
以上の工程により得られたカニ脚肉燻製加工食品はそのまま食することもできるが、流通に載せるために冷凍される。なお、1週間程度の短期間で消費される場合は冷蔵のまま流通させることも可能である。
本実施例で得られたタラバガニのカニ脚肉燻製加工食品は、下記の特徴を有している。
(色調):焦げ等がなく、赤みを帯びた天然感、新鮮感に優れている。
(食感):ジューシーで独特な食感を有する。
(香り):燻製の香ばしさがある。
(味):タラバガニの旨味に燻製の香ばしさが加わった新感覚のカニの旨味がある。
(保存):冷蔵(10℃以下)で1週間程度、冷凍(−18℃)では6ヶ月程度日持ちし、冷凍品の解凍後の味覚も優れている。
次に、本発明の効果を検討するために、(比較例1);浸漬用液だけで燻煙による燻製工程の無い場合の製品、(比較例2);燻煙による燻製のみの製品、(比較例3);従来の温燻製の条件による製品と上記実施例1のタラバガニ脚肉燻製加工食品との比較をおこなった。
[比較例1]
(浸漬用液だけで燻煙による燻製工程の無い場合の製品)
タラバガニの脚肉を温燻製する工程を除いた以外は、実施例1と同様な方法で製造したタタラバガニ脚肉加工食品。
[比較例2]
(燻煙による燻製のみの製品)
タラバガニの脚肉を浸漬用液に冷蔵浸漬する工程を除いた以外は、実施例1と同様な方法で製造したタタラバガニ脚肉加工食品。
[比較例3]
(従来の乾燥後温燻製した製品)
タラバガニの脚肉を浸漬用液に冷蔵浸漬する工程および脱水シートで余分な水分を除く工程をせずに、室温でタラバガニの脚肉の表面が乾燥するまで乾燥後、温燻製を30℃〜80℃で2時間おこなった。それ以外は、実施例1と同様な方法で製造したタタラバガニ脚肉加工食品。
上記の比較例1〜3および本願発明(実施例1)のタタラバガニ脚肉燻製加工食品について、色調、食感、香り、味についてそれぞれ官能テストを行い、本願発明のタタラバガニ脚肉燻製加工食品と比較して、優れているものを◎、同等のものを○、劣るものを×で表し、表1に記載した。
表1の結果から明らかなように、本発明の実施例のように、a:生のカニ類をボイルまたは蒸した後冷蔵又は冷凍する工程、b:冷蔵したカニ肉または冷凍し解凍したカニ肉を調味液及び燻液を含有する浸漬用液に冷蔵浸漬する工程、c:浸漬後液切りし、さらに脱水シートで余分な水分を除く工程、d:1分半〜4分間温燻製する工程、及び、e:低温加熱殺菌する工程を順次行うことにより、カニ肉の旨味と燻製の香ばしさを有し、かつ、カニ肉の身質の変性を避けたジューシーで独特の食感のカニ肉燻製加工品が製造できることが証明された。
本発明は、ボイルまたは蒸したカニ類の殻から取り出したカニ肉を燻液配合の調味液に冷蔵浸漬し、その後液切りし、温燻製すること特徴とする製造工程を順次行うことにより、保存性が良く、カニ肉特有の旨味に燻製の香ばしさを付与させ、かつ、カニ肉類の身質の変性を避けたジューシーで独特の食感のカニ肉燻製加工品を提供するという産業上有用な効果を有するものである。

Claims (13)

  1. ボイルまたは蒸したカニ類の殻から取り出したカニ肉を燻液配合の調味液に冷蔵浸漬し、その後液切りし、温燻製すること特徴とするカニ肉燻製加工食品の製造方法。
  2. 冷蔵浸漬が、5℃〜20℃で45分間〜2時間浸漬するものである、請求項1に記載のカニ肉燻製加工食品の製造方法。
  3. 温燻製が、30℃〜80℃で1分半〜4分間燻製するものである、請求項1または2に記載のカニ肉燻製加工食品の製造方法。
  4. 液切りの後温燻製の前に、脱水シートで余分な水分を除く工程がある、請求項1、2または3に記載のカニ肉燻製加工食品の製造方法。
  5. 温燻製に引き続き、パッケージングし低温加熱殺菌する、または、低温加熱殺菌しその後にパッケージングする請求項1ないし4のいずれかに記載のカニ肉燻製加工食品の製造方法。
  6. 低温加熱殺菌が、カニ肉の中心温度60℃で30〜32分間行う工程である、請求項5に記載のカニ肉燻製加工食品の製造方法。
  7. カニ肉燻製加工食品が冷凍工程を経た食品である、請求項1ないし6のいずれかに記載のカニ肉燻製加工食品の製造方法。
  8. ボイルまたは蒸したカニ類が、生のカニ類を20〜25分間100℃前後でボイルまたは蒸した後冷蔵又は冷凍したカニ類である、請求項1ないし7のいずれかに記載のカニ肉燻製加工食品の製造方法。
  9. カニ肉が脱殻した脚肉である、請求項1ないし8のいずれかに記載のカニ肉燻製加工食品の製造方法。
  10. 浸漬用液の調味液が、カニ肉の重量に対し90〜100重量%、燻液がカニ肉の重量に対し6〜10重量%である、請求項1ないし9のいずれかに記載のカニ肉燻製加工食品の製造方法。
  11. 調味液が、さらに品質改良剤を配合したものである、請求項1ないし10のいずれかに記載のカニ肉燻製加工食品の製造方法。
  12. 品質改良剤が、カニ肉の重量に対し1.5〜2.5重量%である、請求項11に記載のカニ肉燻製加工食品の製造方法。
  13. 請求項1ないし12のいずれかに記載の方法で製造されたカニ肉燻製加工食品。
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