JP2008162811A - シリコン原料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
シリコンインゴットを低コストで製造するためのシリコンの原料の製造方法を提供することにある。
【解決手段】
離型材を塗布した鋳型内でシリコン融液を凝固させてシリコンインゴット1を形成する工程と、前記シリコンインゴット1の表層領域を切断して表層部材10を切り出す工程と、前記表層領域のうち、前記シリコンインゴット1の表面を面処理して除去する工程と、前記面処理された表層部材10を、シリコン原料とする工程と、を含んでなるシリコン原料の製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、シリコン原料の製造方法に関する。
PV NEWS紙によれば2004年の全世界の太陽電池生産量は1.1GWを超え、この十年間で15倍以上に増加した。この生産量の急激な伸びを牽引するのは全世界の太陽電池生産量の85%以上を占める結晶シリコン型太陽電池であり、中でも多結晶シリコン太陽電池は全体の55%以上を占めている。この多結晶シリコン太陽電池のうち今日最も多く製造されているのはキャスト(鋳込み)法で製造された多結晶シリコンインゴットを使用する多結晶シリコン太陽電池である。
またキャスト(鋳込み)法による多結晶シリコンインゴットの鋳造工程で用いられるシリコン鋳造用鋳型としては一般的に黒鉛や二酸化珪素(SiO)からなる鋳型部材の内面に離型材被膜を形成したものが用いられる。
この離型材被膜とは、窒化珪素、炭化珪素、二酸化珪素等の粉末を適当なバインダーと水やアルコールなどの溶媒とからなる溶液中に混合して離型材スラリーとし、これを鋳型内面にコーティングしたものである(例えば、特許文献1参照)。
このように鋳造した多結晶シリコンインゴットは、鋳型内面に形成した離型材被膜と接触し、離型材が多量に付着しているインゴット側面部や底面部、また、インゴット頭部を、端材として通常数mm以上切断除去した後、マルチワイヤーソーなどでインゴットをスライスして太陽電池用多結晶シリコン基板が得られる。
特開平9−175809号公報
しかしながら、シリコン原料を使用して製造されたシリコンインゴットの5〜10%もの部分が端材として除去されるため、シリコン原料の使用率が低下しシリコンインゴット製造時のコストが高くなるという問題があった。
本発明は上述のような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、シリコンインゴットを低コストで製造するためのシリコン原料の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、離型材を塗布した鋳型内でシリコン融液を凝固させてシリコンインゴットを形成する工程と、前記シリコンインゴットの表層領域を切断して表層部材を切り出す工程と、前記表層領域のうち、前記シリコンインゴットの表面を面処理して除去する工程と、前記面処理された表層部材を、シリコン原料とする工程と、を含んでなるシリコン原料の製造方法である。
請求項2の発明は、請求項1に記載のシリコン原料の製造方法であって、前記シリコンインゴットは、前記シリコン融液を前記鋳型底部から前記鋳型上部に向かって凝固させて形成してなることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のシリコン原料の製造方法であって、前記表層部材は、前記シリコン融液の最終凝固領域を含んでなることを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のシリコン原料の製造方法であって、前記表層部材は、前記鋳型開口部側に形成された前記シリコンインゴットの上面を含んでなることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のシリコン原料の製造方法であって、前記表層部材は、前記シリコンインゴットの鋳肌面を含んでなることを特徴とするものである。
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のシリコン原料の製造方法であって、前記面処理は、前記シリコンインゴットをシリコンの融点以上の温度に曝してなることを特徴とするものである。
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のシリコン原料の製造方法であって、前記面処理は、ウエットエッチングであることを特徴とするものである。
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のシリコン原料の製造方法であって、前記面処理は、研削であることを特徴とするものである。
請求項9の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のシリコン原料の製造方法であって、前記面処理は、ブラスト処理であることを特徴とするものである。
本発明のシリコン原料の製造方法によれば、離型材を塗布した鋳型内でシリコン融液を凝固させてシリコンインゴットを形成する工程と、前記シリコンインゴットの表層領域を切断して表層部材を切り出す工程と、前記表層領域のうち、前記シリコンインゴットの表面を面処理して除去する工程と、前記面処理された表層部材を、シリコン原料とする工程と、を含んでなるようにした。
かかる構成によれば、シリコン融液が凝固してシリコンインゴットの表面に離型材成分が異物、析出物として偏析した場合であっても、面処理の工程によってシリコンインゴットの表面を除去して、この異物、析出物を除去することができるため、従来端材として廃棄されていたシリコンインゴットの表層部材をシリコン原料として有効に利用することができる。
また、前記シリコンインゴットは、前記シリコン融液を前記鋳型底部から前記鋳型上部に向かって凝固させて形成してなることが好ましく、たとえ鋳型の側面からシリコン融液の一部が凝固し始めた場合であっても、当該部分を表層部材として切り出すことによって、所望の特性を備えたシリコンブロックを得るとともに、表層部材を新たなシリコン原料として有効に利用することができる。
また、前記表層部材は、前記シリコン融液の最終凝固領域を含んでなることが好ましく、この最終凝固領域には、シリコン融液中の離型材成分などの不純物が凝集しやすいため、当該領域を面処理することで、異物、析出物の除去を効率良く行うことができる。
また、前記表層部材は、前記鋳型開口部側に形成された前記シリコンインゴットの上面を含んでなることが好ましく、鋳型の底部から冷却した場合においては鋳型開口部側が最終凝固領域となる。それゆえ、当該表層部材を面処理することによって異物、析出物の除去を効率良く行うことができる。
また、前記表層部材は、前記シリコンインゴットの鋳肌面を含んでなることが好ましく、
シリコンインゴットの鋳肌面には、鋳型内面に塗布された離型材が付着しているが、当該表層部材を面処理することによって、離型材を直接除去することができる。
また、前記面処理は、前記シリコンインゴットをシリコンの融点以上の温度に曝してなることが好ましく、表層部材の面処理を効率よく行うことができる。
また、前記面処理は、ウエットエッチングであることが好ましく、表層部材の面処理を効率良く行うことができる。
また、前記面処理は、研削であることが好ましく、表層部材の面処理を効率よく行うことができる。
また、前記面処理は、ブラスト処理であることが好ましく、表層部材の面処理を効率よく行うことができる。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
図1はキャスト法によるシリコンインゴット1の製造方法の一例を説明する図である。キャスト法によれば、外部でシリコン原料を融解し、内面に離型材3を具備した上方開放型鋳型2内へシリコン融液を注湯した後、鋳型2内でこのシリコン融液を凝固させてもよいし、鋳型2内でシリコン原料を融解した後、鋳型2内でこのシリコン融液を凝固させてもよい。
ここで、鋳型2の内部のシリコン融液を鋳型2底部から鋳型2上部に向かって凝固させる方法(一方向凝固法)としては、例えば鋳型2の上方に位置する加熱機構5と鋳型2の底部に位置する冷却機構6を具備した鋳造炉内に、鋳型2側面を断熱するための断熱材4を取り付けることなどの構成で鋳型2内のシリコン融液を凝固させることで、シリコンインゴット1を得ることができる。
鋳型2は、例えば、黒鉛や二酸化珪素(SiO)からなり、組み立て式の鋳型2とすれば、繰り返し鋳型2を使用することができるため好ましい。
離型材3は、例えば、窒化珪素(Si)、炭化珪素(SiC)、酸化珪素(SiO)などによって形成することができる。そして、離型材3を鋳型2内面に塗布する方法としては、上述の粉末を適当なバインダーと溶剤とから構成される溶液中に混合・攪拌してスラリーとし、鋳型2内面に塗布すればよい。
断熱材4は、例えば、炭素素材などからなり、断熱材4の材質、厚み等を選択することにより、鋳型2内のシリコン融液の凝固速度、凝固時間を制御することができる。
加熱機構5は、例えば、抵抗加熱式のヒーターや誘導加熱式のコイルなどを用いることができる。
冷却機構6は、例えば、鋳型2内のシリコン融液を鋳型2の底部から上方に向かって凝固させる際には、中空の金属板等の内部に水あるいはガスを循環させる等の構造のものを鋳型2の底部又は鋳型保持台7の下面に接触させて、シリコンインゴット1を一方向に凝固させることができる。
このようにして得られたシリコンインゴット1を鋳型2から取り出して、例えばバンドソー等の公知の切断装置で切断し、図2(a)に示すように、離型材3が付着している表層部材10(底面表層部材12、側面表層部材13)及び、異物や析出物が発生し易いシリコンインゴット1の上面を含んでなる上面表層部材11を切り出し、残りはシリコンブロック14とすることができる。
その後、このシリコンブロック14は、マルチワイヤーソーなどで薄くスライスし、太陽電池用のシリコン基板等が製造される。
なお、表層部材10を残したままスライスを行うと、硬い析出物部分をスライスすることが出来ず、スライス後の基板表面に段差や凹凸、うねりが生じるなどの不良を引き起こしてスライス歩留を大きく低下させる。
シリコンインゴット1の端部を太陽電池用の基板として使用しないのは、シリコンインゴット1の底部や側部について、鋳型2内壁部に塗布されていたα-窒化珪素を主成分とする離型材3が大量に付着しているためである。シリコンインゴット1の頭部については、離型材3の付着はないものの、高温のシリコン融液中に離型材から溶出していた窒素原子が凝固過程で高濃度に濃縮されることで生成・析出する針状β-窒化珪素の再析出領域となっていることがその理由である。
また、シリコンインゴット1の底部、側部、頭部には、遷移金属不純物も多く含まれるが、これらはその極端に小さな偏析係数(10−5〜10−7)を利用して凝固過程で偏析させることが可能であるので、例えば通常のポリシリコンと組み合わせて使用することなどが可能である。
ここで、窒素原子を不純物として含むシリコン融液を鋳型2の下方から一方向凝固させる際の、シリコンインゴット1の頭部部分における窒化珪素の析出現象を説明する。なお、固化率とは、元の融液全体に対する固化部分の比率をいう。
シリコン融液中での窒素原子の飽和溶解度は1×1017(atoms/cm)であるが、シリコン融液の凝固の際、窒素原子の偏析係数が7×10−4と金属並みに小さい為に、固化率が0.9以下の範囲では、つまりは、凝固を開始してから形成される大半の凝固領域においては、窒素原子の濃度は1×1015(atoms/cm)未満になる。この値は室温での窒素の飽和濃度である5×1015(atoms/cm)よりも小さいので、固化率0.9が以下の領域では、β-窒化珪素の析出は起こり得ない。しかしながら、固化率が0.9を超えると、融液中の窒素原子濃度が急激に上昇して固相に取り込まれる量が増加する。窒素原子濃度が飽和濃度である5×1015(atoms/cm)を超えた以後は、飽和濃度を超える分の窒素原子が冷却過程においてβ-窒化珪素として析出することになる。
また、係る針状β-窒化珪素は高濃度に析出するとシリコン融液中に溶存している炭化珪素の析出サイトとして働くため、針状β-窒化珪素の析出領域には炭化珪素析出物も共存している場合が多い。尚、シリコン融液中に混入している炭素は、高温での溶解・凝固を遂行する為に不可欠なグラファイト部品であったり、カーボン繊維部品等に由来している。
このような経緯によってβ-窒化珪素や炭化珪素を含有しているために、シリコンインゴット1の頭部は太陽電池用の基板に使用されず、廃棄されていた。
なお、切り出したシリコンインゴット1頭部をシリコン原料として再利用を目的として、シリコンの融点である1420℃に加熱保持した場合、β-窒化珪素は融点を持たず1900℃でようやく分解するという高温安定型の物質であるために、該温度では分解せずにシリコン融液中を浮遊するようになる。しかも、シリコン融液中を浮遊する窒化珪素は、融液中に溶存している窒素を取込みながら更に大型化する。そのため、このように窒化珪素が浮遊した状態でシリコン融液を凝固させた場合は、上述のような析出物のない窒素原子溶存状態からの凝固とは異なり、固化率が0.9以下の領域にも窒化珪素異物が含有されることになる、という問題がある。
また、このような異物を内部に包含した状態で作製されたシリコンインゴットから半導体基板を切り出す場合、係る異物の存在が、加工時の厚み不良や異物不良を生じさせるため、工程歩留りは著しく低いレベルに留まってしまうという問題がある。さらに、炭化珪素も不純物として含まれているために、係る半導体基板で太陽電池を作製したとしても、異物部分で大きなリークが発生し、変換効率の優れた太陽電池を形成することができないという問題もある。
すなわち、窒化珪素や炭化珪素が析出している上面表層部材11については、その有効な利用方法がないのが現状である。これは、資源の有効活用という観点から見ても望ましいものではなく、これらの表層部材10を原料として再利用することができれば、太陽電池用シリコン原料の安定供給の一助として期待することができる。
そこで、本発明のシリコン原料の製造方法における特徴部分は、上述した表層部材10(上面表層部材11、底面表層部材12、側面表層部材13)を使用したシリコン原料の製造方法であるため、以下にその特徴部分について詳細に説明する。
<シリコン原料の製造>
本発明のシリコン原料の製造方法によれば、離型材3を塗布した鋳型2内でシリコン融液を凝固させてシリコンインゴット1を形成する工程と、前記シリコンインゴット1の表層領域を切断して表層部材10を切り出す工程と、前記表層領域のうち、前記シリコンインゴット1の表面を面処理して除去する工程と、前記面処理された表層部材10を、シリコン原料とする工程と、を含んでなるようにした。
かかる構成によれば、シリコン融液が凝固してシリコンインゴット1の表面に離型材3成分が異物、析出物として偏析した場合や、直接離型材3が付着した場合であっても、面処理の工程によってシリコンインゴット1の表面を除去して、この異物、析出物を除去することができるため、従来端材として廃棄されていたシリコンインゴット1の表層部材10をシリコン原料として有効に利用することができる。また、シリコン原料の安定確保が可能となる。
また、本発明により得られたシリコン原料は、面処理によって異物、析出物を除去されたものであるため、このシリコン原料を使用して新たにシリコンインゴットを製造した際に、その後工程であるスライス工程などで、異物、析出物に起因したワイヤーの断線や、ウェハー表面粗さの増加を抑制することができる。
そして、シリコンインゴット1は、シリコン融液を鋳型2底部から鋳型2上部に向かって凝固させて形成してなることが好ましく、たとえ鋳型2の側面からシリコン融液の一部が凝固し始めた場合であっても、当該部分を表層部材10として切り出すことによって、所望の特性を備えたシリコンブロック14を得るとともに、表層部材10を新たなシリコン原料として有効に利用することができる。
さらに、表層部材10は、前記シリコン融液の最終凝固領域を含んでなることが好ましく、この最終凝固領域には、シリコン融液中に混入した離型材3成分などの不純物が凝集しやすいため、当該領域を面処理することで、異物、析出物の除去を効率良く行うことができる。
例えば、鋳型2底部から鋳型2上部に向かって凝固させてシリコンインゴット1を形成するような一方向凝固とすれば、上述した最終凝固領域がシリコン上面表層領域となるため、上面表層領域を切断して上面表層部材11を切り出した場合には、上面表層部材11の上面11aあるいは、その側面11bにシリコン融液中に存在した異物、析出物の多くを析出させ易くなる。
そして、シリコン融液が最後に急激に凝固しないように、シリコン融液の凝固速度を制御することによって、より確実に異物、析出物を上面表層部材11の上面11aへと集めることができる。このように、上面表層領域の表面に異物、析出物を凝集させることができれば、面処理する工程において、シリコン原料以外の部分を除去しやすくなるため好ましい。
鋳型2上部に設置された加熱機構5の出力は凝固速度を一定に保つため、徐々にその出力を上げていく必要があるが、残りのシリコン融液が少なくなると、融液の放熱が少なくなることからほぼ一定に保たれるようになる。しかし、上面11aが固まるときには、特に、凝固速度が速くなったり、ばらついたりしてしまい、上面表層部材11の内部に取り込まれてしまう傾向があった。従来においては、上面表層部材11として除去する部分であったため、特に、最終凝固位置における制御は行われてはいなかった。具体的な凝固速度の制御方法としては、凝固の最終段階、換言すればシリコンインゴット1が完全に凝固する直前で、例えば鋳型2上部に設置された加熱機構5の出力を1〜20%上げることにより、上面表層領域が急激に凝固することを抑制させることができる。なお、加熱機構5の出力を上げるタイミングとしては、シリコンインゴット1が完全に凝固する直前の2〜30分程度を目安とすればよい。
前述の上面表層部材11の異物、析出物は表面から0.05mmまでの領域に、ほぼ確実に存在し、一方でシリコンインゴット1の表層から1mm以上離れた領域では析出物量が大幅に減少し、シリコンインゴット1の表層から1mmの領域のシリコンを除去した上面表層部材11を原料として用いたシリコンインゴット中には、異物、析出物がほとんど混入していないか、していても原料として再利用した場合にインゴット品質に影響の無い程度である。即ち、上面表層部材11の表層から0.05mm以上1mm未満の領域のシリコンを除去することによって、上面表層部材11中に存在する析出物の多くを除去することが可能である。また、さらに表層から除去するシリコンは、表層から0.1mm以上0.5mm未満の範囲とすることがより好ましいことを見出した。
なお、シリコンインゴット1の底面表層領域及び側面表層領域の一部である鋳肌面には、鋳型2内面に塗布した離型材3が付着している。表層部材10として、鋳肌面を含んでなることによって、鋳肌面に付着した離型材3を直接除去することができるため、効率良くシリコン原料以外の部分を除去することができるため好ましい。
以下、本発明に係るシリコンインゴット1の表面の面処理の例について説明する。
ウエットエッチングによって面処理する場合は、例えばフッ酸と硝酸を混合した混酸や、或いは60℃から90℃に加熱した水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液などのアルカリ溶液を用いたエッチング処理を行えばよい。
そして、ブラスト処理によって面処理する場合は、例えば炭化珪素(SiC)、窒化珪素(SiN)、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(CBN)、鉄(Fe)、アルミナ(Al)などの粒子を吹き付けるブラスト処理により物理的に乾式切削除去すれば、所望する部分だけを除去することでき、好ましい。また、表層部材10の表面だけ、または析出が密な部分だけをブラスト処理すればよいため、ブラスト処理時間は数分程度でよい。また、ブラスト処理後においても、簡易な洗浄のみでブラスト投射材の粉砕粉及びシリコン粉の除去が可能であるため洗浄の処理時間も短くでき、更に研磨材や研磨砥石などによる研磨方法よりも生産性が高く、低コストであり、さらにはリサイクル可能なシリコン総量が少なくなるという問題も防ぐことができる。また、ウエットエッチング処理の場合には廃液処理を行う必要があるが、ブラスト処理では廃液処理が必要でないためコストを低減することができ、環境面においても好ましい。また、ブラスト処理に使用される投射材の投射圧力が0.2MPa以上1.5MPa以下、投射材の平均粒径が10μm以上100μm以下であることが好ましい。また、またブラスト機については一度に多量に処理する事の出来る大型装置を用いて複数の表面部材10を処理する方法が生産性と投射材の有効利用の観点より最も望ましい。
また、機械的な面処理としては研削でもよく、所望の領域まで精度良く除去することができ、好ましい。
特に、ブラスト処理を行った場合には、この面処理した領域をさらに酸処理してなることが好ましく、面処理された表層部材10中にブラスト処理によって、鉄(Fe)、アルミナ(Al)などの粒子を吹き付けて、面処理された領域が汚染された場合であっても、酸処理によって汚染源の侵入を抑制することができる。
なお、シリコンの融点以上の温度に曝して面処理してもよく、表層部材10の面処理を効率よく行うことができる。
<シリコン原料の利用>
続いて、上述のようにして得られたシリコン原料を用いて再度シリコンインゴット1を製造する場合について以下に説明する。
上述した本発明に係るシリコン原料と、他のシリコン原料とを溶融すれば新たにシリコンインゴットを形成することができる。
ここで、本発明に係るシリコン原料と他のシリコン原料と混合する際に、予め本発明に係るシリコン原料は、シリコン原料の比抵抗値(ρb)からドーパント濃度(Cb)を算出することによって、新たに形成するシリコンインゴットのドーパント濃度の目安とすることで、所望の比抵抗値のシリコンインゴット1を得ることができる。
なお、ドーパント濃度(Cb)は次式によって算出することができる。
Cb=1/(ρb×q×μ)
ここで、qは電気素量(1.6×10^19[C])、μはキャリアの移動度[cm2/V/s]を意味し、μは製造するシリコンインゴット1がP型の場合にはホールの移動度、N型の場合には電子の移動度を意味する。
以上のようにして、シリコンインゴットの製造方法を実現することができる。なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
例えば、先にシリコンインゴット1の表層領域を切断して表層部材10としてから面処理してもよいし、予めシリコンインゴット1の表層部材に当たる表面を面処理してから、シリコンインゴット1の表層領域を切断して表層部材10としてもよい。いずれにせよ、本発明に係るシリコン原料とすることができる。
一方向凝固法で製造されたシリコンインゴット1の上面表層領域について、シリコンインゴット1の表面を面処理する厚み条件を表1のように変化させた。各々のシリコン原料120kg、ポリシリコン原料120kg、及びドーパントを添加し、鋳型2内で再融解した後、鋳型2底部から徐冷し、鋳型2内部のシリコン融液を一方向凝固させて、70cm角、高さ20cmのシリコンインゴット1を製造した。
このときの原料残量割合(原料歩留まり)、及び得られたシリコン基板の異物不良率を調査した。調査結果を表1に示す。
Figure 2008162811
表1に示す通り、表層部材10の面処理する厚みが0.05mmより少ないと、切削処理によって失われる原料の量は少なく、原料歩留は高いものの、端材中の析出物の除去が十分ではないために、当該原料を用いて鋳造したシリコンインゴット1中の異物量が多く、異物不良は29%となった。この異物不良は、表層部材10の面処理する厚みを0.05mmより多くすることによって1%以下と劇的に減少した。さらに、表層部材10の面処理する厚みを0.1mm以上とすることが更に好ましい。
一方、表層部材10の面処理する厚みを5.0mm以上とすると、インゴットの異物不良率は低い水準を維持できるものの、本来原料として使用できる品質の部分までも余分に切削除去してしまっている。それゆえ、原料歩留りと異物不良率との関係から、表層部材10の面処理する厚みは、0.05mm以上5.0mm未満とすることが好ましい。
一方向凝固法で製造されたシリコンインゴット1の表層部材10を表2に示す面処理の条件で行ってシリコン原料とし、当該シリコン原料120kg、ポリシリコン原料120kg、及びドーパントを添加し、鋳型2内で再融解した後、鋳型2底部から徐冷し、鋳型2内部のシリコン融液を一方向凝固させて、70cm角、高さ20cmのシリコンインゴット1を製造した。このときの表層部材10の面処理する厚みと、新たに得たシリコンインゴットから得られた基板の異物不良率を調査した。
なお、面処理の方法としては、46%のフッ酸と60%の硝酸を1:3で混合した混酸を液温25℃で180秒間、表層部材10の面処理部を浸漬するウエットエッチング方法、セラミック砥粒を吹き付けるブラスト処理方法、表層部材10をAr雰囲気下にて局所的に1450℃付近まで加熱溶解させて、その融液となった部分にArを吹付けることで除去する溶解除去方法を用いた。このときの結果を表2に示す。
Figure 2008162811
各処理後の表層部材10の面処理する厚みと原料歩留、及びシリコンインゴット1の異物不良率は、ともに良好な結果が得られた。
以上のように実施例により本発明の効果を確認することができた。
本発明に係るシリコンインゴット鋳造装置の一例を示す断面図である。 (a)はシリコンインゴットから上面表層部材、側面表層部材、底面表層部材を切り出した図であり、(b)は上面表層部材を示す拡大図である。
符号の説明
1 :シリコンインゴット
2 :鋳型
3 :離型材
4 :断熱材
5 :加熱機構
6 :冷却機構
7 :鋳型保持台
10 :表層部材
11 :上面表層部材
11a:上面
11b:側面
12 :底面表層部材
13 :側面表層部材
14 :シリコンブロック

Claims (9)

  1. 離型材を塗布した鋳型内でシリコン融液を凝固させてシリコンインゴットを形成する工程と、
    前記シリコンインゴットの表層領域を切断して表層部材を切り出す工程と、
    前記表層領域のうち、前記シリコンインゴットの表面を面処理して除去する工程と、
    前記面処理された表層部材を、シリコン原料とする工程と、
    を含んでなるシリコン原料の製造方法。
  2. 前記シリコンインゴットは、前記シリコン融液を前記鋳型底部から前記鋳型上部に向かって凝固させて形成してなることを特徴とする請求項1に記載のシリコン原料の製造方法。
  3. 前記表層部材は、前記シリコン融液の最終凝固領域を含んでなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシリコン原料の製造方法。
  4. 前記表層部材は、前記鋳型開口部側に形成された前記シリコンインゴットの上面を含んでなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のシリコン原料の製造方法。
  5. 前記表層部材は、前記シリコンインゴットの鋳肌面を含んでなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のシリコン原料の製造方法。
  6. 前記面処理は、前記シリコンインゴットをシリコンの融点以上の温度に曝してなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のシリコン原料の製造方法。
  7. 前記面処理は、ウエットエッチングであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のシリコン原料の製造方法。
  8. 前記面処理は、研削であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のシリコン原料の製造方法。
  9. 前記面処理は、ブラスト処理であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のシリコン原料の製造方法。
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