JP2002153708A - 被除去物の再利用方法 - Google Patents

被除去物の再利用方法

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JP2002153708A
JP2002153708A JP2001264800A JP2001264800A JP2002153708A JP 2002153708 A JP2002153708 A JP 2002153708A JP 2001264800 A JP2001264800 A JP 2001264800A JP 2001264800 A JP2001264800 A JP 2001264800A JP 2002153708 A JP2002153708 A JP 2002153708A
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filter
wafer
wastewater
filtration
raw water
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JP2001264800A
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Inventor
Motoyuki Taihichi
元幸 対比地
Hirofumi Iinuma
宏文 飯沼
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Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来、ダイシング等の半導体の機械的加工に
より発生する研磨屑、研削屑が混入された排水は、凝集
沈殿法またはフィルタ濾過と遠心分離を組み合わせた二
通りで処理されていた。しかし前者では、濾過水に薬品
が混入し、濾過水の再利用が行えず、また後者は、シス
テムとして大きくなり、イニシャルコスト、ランニング
コストが高い問題を有していた。 【解決手段】 濾過装置53を構成する第1のフィルタ
に被除去物を捕獲させると、この捕獲された被除去物が
第2のフィルタとして機能する。従って第2のフィルタ
により小さい被除去物が捕獲できるフィルタを形成する
ことができる。しかも濾過装置は、吸引型であるため、
原水タンク50を開放型にでき、設備構造も簡単で安価
なモノが実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置の製造
工程で発生した被除去物を含む流体から、被除去物を回
収し、再利用する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、産業廃棄物を減らす事は、エコロ
ジーの観点から重要なテーマであり、21世紀へ向けて
の企業課題である。この産業廃棄物の中には、色々な排
水や汚水がある。
【0003】以下、水や薬品等の流体中に被除去物であ
る物質が含まれているものを排水と呼び説明する。これ
らの排水は、高価な濾過処理装置等で前記被除去物が取
り除かれ、排水がきれいな流体となり再利用されたり、
除去できずに残ったものを産業廃棄物として処理してい
る。特に水は、きれいな状態にして川や海等の自然界に
戻されたり、再利用される。
【0004】しかし、濾過処理等の設備費、ランニング
コスト等の問題から、これらの装置を採用することが非
常に難しく、環境問題にもなっている。
【0005】この事からも判るように、汚水処理の技術
は、環境汚染の意味からも、またリサイクルの点からも
重要な問題であり、低イニシャルコスト、低ランニング
コストのシステムが早急に望まれている。
【0006】一例として、半導体分野に於ける排水処理
を以下に説明していく。一般に、金属、半導体、セラミ
ック等の板状体を研削または研磨する際、設備の温度上
昇防止、潤滑性向上、研削屑または切削屑の板状体への
付着等が考慮され、水等の流体が供給されている。
【0007】例えば、半導体材料の板状体である半導体
ウェハをダイシングしたり、バックグラインドする際、
純水を流す手法が取られている。ダイシング装置では、
ダイシングブレードの温度上昇防止のために、またダイ
シング屑がウェハに付着するのを防止するために、半導
体ウェハ上に純水の流れを作ったり、ブレードに純水が
当たるように放水用のノズルが取り付けられている。ま
たバックグラインドでウェハ厚を薄くする際も、同様な
理由により純水が流されている。ここで純水の代わり
に、蒸留水でも良い。
【0008】一方、「環境に優しい」をテーマに、前記
半導体ウェハの研削屑または研磨屑が混入された排水
は、濾過されてきれいな水にして自然界に戻したり、あ
るいは再利用され、濃縮された排水は、回収されてい
る。
【0009】現状の半導体製造に於いて、Siを主体と
する屑の混入された排水処理には、凝集沈殿法、フィル
タ濾過と遠心分離機を組み合わせた方法の二通りがあ
り、各半導体メーカーで採用している。
【0010】前者の凝集沈殿法では、凝集剤としてPA
C(ポリ塩化アルミニウム)またはAl2(SO4)3
(硫酸バンド)等を排水の中に混入させ、Siとの反応
物を生成させ、この反応物を取り除くことで、排水の濾
過をしていた。
【0011】後者の、フィルタ濾過と遠心分離を組み合
わせた方法では、排水を濾過し、濃縮された排水を遠心
分離機にかけて、スラッジとして回収するとともに、排
水を濾過してできたきれいな水を自然界に放出したり、
または再利用していた。
【0012】例えば、図13に示すように、ダイシング
時に発生する排水は、原水タンク201に集められ、ポ
ンプ202で濾過装置203に送られる。濾過装置20
3には、セラミック系や有機物系のフィルタFが装着さ
れているので、濾過された水は、配管204を介して回
収水タンク205に送られ、再利用される。または自然
界に放出される。
【0013】一方、濾過装置203は、フィルタFに目
詰まりが発生するため、定期的に洗浄が施される。例え
ば、原水タンク201側のバルブB1を閉め、バルブB
3と原水タンクにこれから発生する洗浄水を送付するた
めのバルブB2が開けられ、回収水タンク205の水
で、フィルタFが逆洗浄される。これにより発生した高
濃度のSi屑が混入された排水は、原水タンク201に
戻される。また濃縮水タンク206の濃縮水は、ポンプ
208を介して遠心分離器209へ輸送され、遠心分離
器209により汚泥(スラッジ)と分離液に分離され
る。Si屑から成る汚泥は、汚泥回収タンク210に集
められ、分離液は分離液タンク211に集められる。更
に分離液が集められた分離液タンク211の排水は、ポ
ンプ212を介して原水タンク201に輸送される。
【0014】これらの方法は、例えば、Cu、Fe、A
l等の金属材料を主材料とする固形物または板状体、セ
ラミック等の無機物から成る固形物や板状体等の研削、
研磨の際に発生する屑を回収する際も同様な方法が採用
されていた。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
凝集沈殿法は、凝集剤として化学薬品を使用するため、
濾過された水の中に前記化学薬品が投入される。しかし
シリコン屑が完全に反応する薬品の量を特定するのは非
常に難しく、どうしても薬品が多く投入され未反応の薬
品が残る。逆に薬品の量が少ないと、全てのSiの屑が
凝集沈降されず、シリコン屑が分離せず残ってしまう。
特に、薬品の量が多い場合は、上澄液に薬品が残る。こ
れを再利用する場合、濾過水に薬品が残留するため、化
学反応を嫌うものには再利用できない問題があった。例
えば薬品の残留した濾過水をウェハ上に流すと、好まし
くない反応を引き起こすため、ダイシング時に使用する
水として再利用できない問題があった。
【0016】また薬品とシリコン屑の反応物であるフロ
ックは、あたかも藻の如き浮遊物で生成される。このフ
ロックを形成する条件は、PH条件が厳しく、約PH6
〜PH8に維持する必要があり、攪拌機、PH測定装
置、凝集剤注入装置およびこれらを制御する制御機器等
が必要となる。またフロックを安定して沈降させるに
は、大きな沈殿槽が必要となる。例えば、3m3/1時
間の排水処理能力であれば、直径3メートル、深さ4メ
ートル程度のタンク(約15トンの沈降タンク)が必要
となり、全体のシステムにすると約11メートル×11
メートル程度の敷地も必要とされる大がかりなシステム
になってしまう。
【0017】しかも沈殿槽に沈殿せず浮遊しているフロ
ックもあり、これらはタンクから外部に流出する恐れが
あり、全てを回収する事は難しかった。つまり設備の大
きさの点、このシステムによるイニシャルコストが高い
点、水の再利用が難しい点、薬品を使う点から発生する
ランニングコストが高い点等の問題があった。
【0018】一方、図13の如き、5m3/1時間のフ
ィルタ濾過と遠心分離機を組み合わせた方法では、濾過
装置203にフィルタF(UFモジュールと言われ、ポ
リスルホン系ファイバで構成されたもの、またはセラミ
ックフィルタ)を使用するため、水の再利用が可能とな
る。しかし、濾過装置203には4本のフィルタFが取
り付けられ、フィルタFの寿命から、約50万円/本と
高価格なフィルタを、少なくとも年に1回程度、交換す
る必要があった。しかも濾過装置203の手前のポンプ
202は、フィルタFが加圧型の濾過方法であるためモ
ータの負荷が大きく、ポンプ202が高容量であった。
また、フィルタFを通過する排水のうち、2/3程度
は、原水タンク201に戻されていた。更にはシリコン
屑が入った排水をポンプ202で輸送するため、ポンプ
202の内壁が削られ、ポンプ2の寿命も非常に短かっ
た。
【0019】これらの点をまとめると、モータの電気代
が非常にかかり、ポンプPやフィルタFの取り替え費用
がかかることからランニングコストが非常に大きい問題
があった。これらのデータは図12において、本発明の
システムとの比較としてデータで示してある。以上、シ
ステムの大きさ、フィルタの交換、フィルタの洗浄、ラ
ンニングコスト等の問題があった。
【0020】今までの説明からも判るように、地球環境
に害を与える物質を可能な限り取り除くために、色々な
装置を追加して大がかりなシステムとなり、結局イニシ
ャルコスト、ランニングコストが膨大と成っている。
【0021】しかも従来の濾過では、原水タンクの排水
は、30〜300ppmがせいぜいである。よって原水
タンクの中に混入されている屑の量も自ずと限定され、
屑の回収効率が非常に悪い問題があった。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題に鑑
みてなされ、第1に本発明の被除去物の再利用方法は、
結晶インゴットをウェハまで機械加工する工程または半
導体ウェハを機械加工する工程で発生した被除去物を含
む排水を濾過して高濃度に濃縮して固められた前記被除
去物の固形物を、ウェハ用のシリコンのインゴットとし
て再利用することで解決するものである。
【0023】第2に、前記被除去物には化学薬品が含ま
れないことで解決するものである。
【0024】第3に、前記半導体ウェハを機械加工する
工程は、ダイシング、バックグラインド、ウェハポッシ
ングまたはCMPであることで解決するものである。
【0025】第4に、前記固形物は、瓦、セメントまた
はコンクリートの材料として再利用されることで解決す
るものである。
【0026】第5に、結晶インゴットをウェハまで機械
加工する工程および半導体ウェハを機械加工する工程で
発生した被除去物を含む排水を原水タンクに排出し、前
記原水タンクの排水を濾過装置を介して所定の濃度に
し、所定の濃度になった前記排水を回収手段に移送し、
排水に圧力を加えて前記排水の濃度を濃くし、前記被除
去物からなる所定の含水率の固形物を再利用する被除去
物の再利用方法に於いて、前記固形物をウェハ用のシリ
コンのインゴットとして再利用することで解決するもの
である。
【0027】第6に、前記被除去物には化学薬品が含ま
れないことで解決するものである。
【0028】第7に、前記半導体ウェハを機械加工する
工程は、ダイシング、バックグラインド、ウェハポッシ
ングまたはCMPであることで解決するものである。
【0029】第8に、前記固形物は、瓦、セメントまた
はコンクリートの材料として再利用されることで解決す
るものである。
【0030】第9に、半固形物にされた被除去物を再溶
融してウェハ用のシリコンのインゴットとして再利用す
る被除去物の再利用方法であって、前記被除去物は原水
タンクの中で高濃度に濃縮された排水から分離されたも
のであることで解決するものである。
【0031】第10に、前記被除去物を含む前記排水は
縦型のフィルタの表面に形成された自己形成膜によって
前記原水タンク内で高濃度に濃縮され、前記被除去物は
半固形物として再利用されることで解決するものであ
る。
【0032】第11に、前記被除去物はシリコン屑であ
ることで解決するものである。
【0033】第12に、前記被除去物は、結晶インゴッ
トをウェハまで機械加工する工程または半導体ウェハを
機械加工する工程で発生したものであることで解決する
ものである。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明は、金属、無機物または有
機物等の被除去物が混入された流体(排水)を、被除去
物から成るフィルタで除去するものであり、例えば、被
除去物は、結晶インゴットをウェハ状にスライスする
時、半導体ウェハをダイシングする時、バックグライン
ドする時、CMP(Chemical-Mechanical Polishing)
またはウェハポリッシングする時等で発生する。
【0035】この被除去物は、Si、酸化Si、Al、
SiGe、封止樹脂等の有機物およびその他の絶縁材料
や金属材料が該当する。また化合物半導体では、GaA
s等の化合物半導体が該当する。
【0036】また最近では、CSP(チップスケールパ
ッケージ)の製造に於いてダイシングを採用している。
これはウェハの表面に樹脂を被覆し、最後に封止された
樹脂とウェハを一緒にダイシングするものである。また
セラミック基板の上に半導体チップをマトリックス状に
配置し、セラミック基板も含めて樹脂を被覆し、最後に
封止された樹脂とセラミック基板をダイシングするもの
もある。これらもダイシングする際に被除去物が発生す
る。
【0037】一方、半導体分野以外でも被除去物が発生
する所は数多くある。例えばガラスを採用する産業に於
いて、液晶パネル、EL表示装置のパネル等は、ガラス
基板のダイシング、基板側面の研磨等で発生するガラス
屑が被除去物に該当する。また電力会社や鉄鋼会社では
燃料として石炭を採用しており、石炭から発生する粉体
が該当し、更には煙突から出る煙の中に混入される粉体
も被除去物に相当する。また鉱物の加工、宝石の加工、
墓石の加工から発生する粉体もそうである。更には、旋
盤等で加工した際に発生する金属屑、セラミック基板等
のダイシング、研磨等で発生するセラミック屑等も被除
去物に該当する。
【0038】これらの被除去物は、研磨、研削または粉
砕等の加工により発生し、被除去物を取り去る事を目的
として水や薬品等の流体を流す。そのためこの流体の中
に被除去物が混入されてしまう。では、本発明の概要を
図1〜図3を参照して説明する。尚、前述したように流
体、被除去物は、色々なものがあるが、ここでは流体と
して水が採用され、水の中に切削された被除去物が含ま
れたものとして説明してゆく。
【0039】図1の符号10は第1のフィルタ膜で、1
1はフィルタ孔である。またフィルタ孔11の露出部お
よび第1のフィルタ膜10の表面に層状に形成されてい
る膜が、被除去物12であり、この被除去物12はフィ
ルタ孔11を通過できない大きな被除去物12Aとフィ
ルタ孔11を通過できる小さな被除去物12Bに分けら
れる。図では黒丸で示したものが通過できる小さな被除
去物12Bである。
【0040】またここで採用可能なフィルタ膜は、原理
的に考えて有機高分子系、セラミック系とどちらでも採
用可能である。しかしここでは、ポリオレフィン系の高
分子膜を採用した。
【0041】図1の第1のフィルタ膜10の上方には、
被除去物が混入された排水があり、第1のフィルタ膜1
0の下方は、第1のフィルタ膜10により濾過された濾
過水が生成されている。矢印の方向に排水を流し、フィ
ルタ膜10を使って前記排水を濾過するため、水は、自
然落下されるか、加圧されて図の下方に移る。また、濾
過水が在る側から排水が吸引される。また第1のフィル
タ膜10は、水平に配置されているが図7の様に縦置き
でも良い。
【0042】前述したようにフィルタ膜を介して排水を
加圧したり、吸引したりする結果、排水は、第1のフィ
ルタ膜10を通過する。その際、フィルタ孔11を通過
できない大きな被除去物12Aは、第1のフィルタ膜1
0の表面に残存する。
【0043】本発明のポイントは、被除去物がフィルタ
膜10表面に捕獲されて残存した層を第2のフィルタ膜
13として活用することにある。
【0044】研削、研磨または粉砕等の機械加工により
発生する被除去物は、その大きさ(粒径)が有る程度の
範囲で分布し、しかもそれぞれの被除去物の形状が異な
っている。また第1のフィルタ膜10が浸かっている排
水の中で被除去物がランダムに位置している。そして大
きな被除去物から小さな被除去物までが不規則にフィル
タ孔11に移動していく。この時フィルタ孔11よりも
小さな被除去物12Bは通過するが、フィルタ孔11よ
りも大きな被除去物12Aは捕獲される。そして捕獲さ
れた大きな被除去物12Aが第2のフィルタ膜13の初
段の層となり、この層がフィルタ孔11よりも小さなフ
ィルタ孔を形成し、この小さなフィルタ孔を介して大き
な被除去物12Aから小さな被除去物12Bが捕獲され
ていく。この時、被除去物の形状がそれぞれ異なるため
に、被除去物と被除去物の間には、色々な形状の隙間が
でき、水はこの隙間を通路として移動し、最終的には濾
過される。これは、砂浜の水はけが良いのと非常に似て
いる。
【0045】この第2のフィルタ膜13は、大きな被除
去物12Aから小さな被除去物12Bをランダムに捕獲
しながら徐々に成長し、水(流体)の通路を確保しなが
ら小さな被除去物12Bをトラップする様になる。しか
も第2のフィルタ膜13は、層状に残存しているだけで
被除去物は容易に移動可能なので、層の付近に気泡を通
過させたり、水流を与えたり、音波や超音波を与えた
り、機械的振動を与えたり、更にはスキージ等でこすっ
たりする事で、簡単に第2のフィルタ膜13の表層を排
水側に移動させることができる。つまり第2のフィルタ
膜13のフィルタ能力が低下しても、第2のフィルタ膜
13に外力を加えることで、簡単にその能力を復帰させ
ることができるメリットを有する。また別の表現をすれ
ば、フィルタ能力の低下の原因は、主に目詰まりであ
り、この目詰まりを発生させている第2のフィルタ膜1
3の表層の被除去物を再度流体中に移動させる事がで
き、目詰まりを解消させることができる。
【0046】しかし第1のフィルタ膜10が新規で取り
付けられた場合、第1のフィルタ膜10の表面には被除
去物12の層(第2のフィルタ膜13)が形成されてい
ないので、また第1のフィルタ膜10に第2のフィルタ
膜13の層が薄くしか形成されていない場合は、フィル
タ孔11を介して小さな被除去物12Bが通過する。こ
の時は、その濾過水を再度排水が貯められている側に戻
し、小さな被除去物12Bが第2のフィルタ膜13で捕
獲されることを確認するまで待つ。そして確認した後
は、通過した小さな被除去物12Bの如きサイズの小さ
な被除去物が次々と捕獲され、排水は所定の清浄度で濾
過される。
【0047】後述するが、図8に示す光センサ67の如
き、被除去物検出手段を取り付け、前記被除去物の混入
率が検査できるようになっていると前述した確認が容易
にできる。
【0048】本発明の第2のポイントは、第2のフィル
タ膜13が形成されていない場合、あるいは濾過水に小
さな被除去物12Bが残存する場合は、この濾過水を排
水側に戻す事である。この戻している最中にフィルタ膜
10の表面には、フィルタ孔11でトラップされた被除
去物12が層状に膜として成長し、第1のフィルタ膜1
0表面の第2のフィルタ膜13は、色々なフィルタ孔径
を作り出し、次々に小さい粒径から大きい粒径のものを
トラップしてゆく。そして徐々に厚くなり、第1のフィ
ルタ膜10で通過した小さな被除去物12Bやこの小さ
な被除去物12Bと同程度のサイズ、更にはこれよりも
小さな被除去物をトラップし、濾過水は殆ど被除去物が
混入されていないきれいな状態となる。
【0049】この状態を示すものが図2である。そして
濾過水に所望のサイズの被除去物が混入されないこと
(また所定の混入の度合よりも小さくなったこと)を確
認した後、この濾過水を再利用すれば良い。更には、濾
過水を自然界に戻しても良い。
【0050】また濾過水に小さな被除去物12Bが残存
している場合、この濾過水を戻すのではなく、別のタン
クに移し、この小さな被除去物12Bやこの被除去物1
2Bと同程度のサイズの被除去物が捕獲されるのを確認
し、その後の濾過水を再利用したり、自然界に戻したり
しても良い。
【0051】また第2のフィルタ膜13の上層に貯まる
排水は、徐々に濃縮される。
【0052】図3に示すグラフは、Siウェハのダイシ
ング時に発生する切削屑の粒径分布を示すものである。
およそ0.1μm〜200μmの範囲で分布されてい
る。
【0053】尚。粒径分布測定装置は、0.1μmより
も小さい粒が検出不能であったため、0.1μmよりも
小さい切削屑の分布は示されていない。実際は、これよ
りも小さいものが含まれていると推察する。実験に依れ
ば、この切削屑が混入された排水を濾過した際、この切
削屑が第1のフィルタ膜に形成され、0.1μm以下の
切削屑まで捕獲することが判った。
【0054】例えば0.1μmまでの切削屑を取り除こ
うとすれば、このサイズよりも小さな孔が形成されたフ
ィルタを採用するのが一般的な考えである。しかし大き
な粒径と小さな粒径が分布される中で、この間のサイズ
のフィルタ孔を採用しても、0.1μm以下の切削屑が
捕獲できることが前述の説明から判る。
【0055】逆に、除去物の粒径のピークが0.1μm
ひとつであったら、フィルタは直ぐに目詰まりを起こす
だろう。この図3からも判るように、大きな粒径と小さ
な粒径のピークが2つ現れており、これにより濾過能力
が向上されている。また電子顕微鏡等で観察すると、切
削屑の形状が多種多様であることが判る。つまり少なく
とも粒径のピークが2つあり、切削屑の形状が多種多様
であるから、切削屑同士に色々な隙間が形成され、濾過
水の通路となり、これにより目詰まりが少なく、濾過能
力の大きいフィルタが実現されたものと考えられる。
【0056】ここでは平均孔径が0.25μmのフィル
タを第1のフィルタ膜10として採用した。しかし分布
が図の右や左にずれるようであれば、その分布に従い第
1のフィルタの孔径を変えても良い。例えば右にずれる
ようであれば、0.25μmよりも大きい孔径を採用し
てもよい。一般に、孔径を大きくすれば、フィルタ膜を
通過する被除去物が増えるが、濾過水を排水に戻す時間
を長くすれば、最終的には、殆どが第2のフィルタ膜1
2Bでトラップできる。当然ではあるがフィルタの孔径
を小さくすれば、小さな被除去物が捕獲できるまでの時
間は、短くなる。図4は、濾過水を排水側に戻している
概念図である。符号20は、原水タンクやフィルタを固
定する手段(外枠)等を示し、21はフィルタ膜であ
る。
【0057】例えば20がタンク(貯留槽)の場合で説
明すれば、フィルタ膜21の上層は、排水22が貯めら
れており、フィルタ膜21の下層には濾過水23が貯め
られる。この貯められた濾過水23は、ポンプ24で色
々な所に輸送される。25は、切り替えバルブである。
前述したように、最初は、フィルタ膜21を通過する被
除去物があるため、タンク20の上層に濾過水を戻すよ
うにバルブを切り替えておく。そして濾過水をチェック
し、被除去物の混入の度合い(含有量(率))が所望の
値に成ったら、または被除去物がなくなったら、バルブ
を切り替えてパイプ26の方に濾過水を流す。こうする
ことでパイプ26に流れる濾過水は、被除去物の全くな
いもの、また所望の混入量(率)の濾過水を流せ、再利
用できることになる。またきれいな水として自然界に戻
すことも可能となる。ダイシング排水の濾過の場合は、
再度ダイシング時に流す水として再利用している。また
半田の洗浄やバックグラインドの水、冷却水としても再
利用できる。
【0058】図では、排水をフィルタに通過させる方法
として、吸引を採用しているが、他に自然落下、排水2
2側を加圧する方法があり、この吸引、加圧は、濾過す
る能力を向上させることができる。
【0059】一方、符号20がフィルタを固定する手段
(例えば外枠)であれば、パイプ27、28は、この固
定手段(外枠)にシールされて取り付けられている。そ
してパイプ27側を加圧するか、ポンプ24で吸引すれ
ば、濾過ができる事になる。イメージとしては、水の通
路(パイプ)の途中で遮るようにフィルタ装置が取り付
けられた例を示した。次に、図5〜図8に於いて、タン
ク(原水タンク)50の中に濾過装置35を投入(浸
漬)するタイプを説明する。
【0060】図5aに示す符号30は、額縁の如き形状
の枠であり、この枠の両面には、フィルタ膜31、32
が貼り合わされ固定されている。そして枠30、フィル
タ膜31、32で囲まれた内側の空間33には、パイプ
34を吸引する事により、フィルタ膜により濾過された
濾過水が発生する。そして枠30にシールされて取り付
けられているパイプ34を介して濾過水が取り出されて
いる。もちろんフィルタ膜31、32と枠30は、排水
がフィルタ膜以外から前記空間に侵入しないように完全
にシールされている。
【0061】図5aのフィルタ膜31は、薄い樹脂膜で
あるため、吸引されると内側に反り、破壊に至る場合も
ある。そのため、この空間をできるだけ小さくし、濾過
能力を大きくするために、この空間をたくさん形成する
必要がある。これを示したものが、図5bである。図で
は、空間33が9個しか示されていないが、実際は数多
く形成される。また実際に採用したフィルタ膜32は、
約0.1mm厚さのポリオレフィン系の高分子膜であ
り、図の如く、薄いフィルタ膜が袋状に形成されてお
り、図面では、FTで示した。この袋状のフィルタFT
の中に、パイプ34が一体化された枠30が挿入され、
前記枠30と前記フィルタFTが貼り合わされている。
符号RGは、押さえ手段であり、フィルタ膜31が貼り
合わされた枠を両側から押さえるものである。そして押
さえ手段の開口部OPからは、フィルタ膜31が露出し
ている。詳細は、図6で再度説明する。
【0062】図5Cは、濾過装置35自身を円筒形にし
たものである。パイプ34に取り付けられた枠は、円筒
形で、側面には開口部OP1、OP2が設けられてい
る。開口部OP1と開口部OP2に対応する側面が取り
除かれているため、開口部間には、フィルタ膜31を支
持する支持手段SUSが設けられる事になる。そして側
面にフィルタ膜が貼り合わされる。
【0063】更に図6を使って図5bの濾過装置35を
詳述する。まず図5の枠30に相当する部分30aを図
6bで説明する。
【0064】符号30aは、見た限り段ボールの様な形
状に成っている。0.2mm程度の薄い樹脂シートSH
T1、SHT2が重なり、その間に縦方向にセクション
SCが複数個設けられ、樹脂シートSHT1、SHT
2,セクションSCで囲まれて空間33が設けられる。
この空間33の断面は、縦3mm、横4mmから成る矩
形であり、別の表現をすると、この矩形断面を持ったス
トローが何本も並べられ一体化されたような形状であ
る。符号30aは、両側のフィルタ膜FTを一定の間隔
で維持しているので、以下スペーサと呼ぶ。
【0065】このスペーサ30aの薄い樹脂シートSH
T1,SHT2の表面には、直径1mmの孔HLがたく
さん開けられ、その表面にはフィルタ膜FTが貼り合わ
されている。よって、フィルタ膜FTで濾過された濾過
水は、孔HL、空間33を通り、最終的にはパイプ34
から出ていく。
【0066】またフィルタ膜FTは、スペーサ30aの
両面SHT1、SHT2に貼り合わされている。スペー
サ30aの両面SHT1,SHT2には、孔HLの形成
されていない部分があり、ここに直接フィルタ膜FT1
が貼り付けられると、孔HLの形成されていない部分に
対応するフィルタ膜FT1は、濾過機能が無く排水が通
過しないため、被除去物が捕獲されない部分が発生す
る。この現象を防止するため、フィルタ膜FTは、複数
枚貼り合わされている。一番表側のフィルタ膜FT1
は、被除去物を捕獲するフィルタ膜で、このフィルタ膜
FT1からスペーサ30aの表面SHT1に向かうにつ
れて、フィルタ膜FT1の孔よりも大きな孔を有するフ
ィルタ膜が複数枚設けられる。ここではフィルタ膜FT
2が一枚貼り合わされている。スペーサ30aの孔HL
が形成されていない部分でも、孔の大きなフィルタ膜F
T2が設けられてからフィルタ膜FT1が貼り合わされ
ているので、フィルタ膜FT1全面が濾過機能を有する
ようになり、フィルタ膜FT1全面に被除去物が捕獲さ
れ、第2のフィルタ膜が表裏の面SH1、SH2全面に
形成されることになる。また図面の都合で、フィルタ膜
SHT1、SHT2が矩形状のシートの様に表されてい
るが、実際は図5bに示すように袋状に形成されてい
る。
【0067】次に、袋状のフィルタ膜SHT1、SHT
2、スペーサ30aおよび押さえ手段RGがどのように
取り付けられているか、図6a、図6C、図6dで説明
する。
【0068】図6aは、完成体である濾過装置35を示
す斜視図であり、図6Cは、図6aのA−A線に示すよ
うに、パイプ34頭部からパイプ34の延在方向(縦方
向)に切断した図を示し、図6dは、B−B線に示すよ
うに、濾過装置35を水平方向に切断し時の断面図であ
る。
【0069】図6C、図6dを見ると判るように、スペ
ーサ30aは、図5bの袋状のフィルタFTに挿入さ
れ、フィルタ膜FTも含めて4側辺が押さえ手段RGで
挟まれている。そして袋状にとじた3側辺および残りの
1側辺は、押さえ手段RGに塗布された接着剤AD1で
固定される。また残りの1側辺(袋の開口部)と押さえ
手段RGとの間には、空間SPが形成され、空間33に
発生した濾過水は、空間SPを介してパイプ36へと吸
引される。また押さえ金具RGの開口部OPには、接着
剤AD2が全周に渡り設けられ、完全シールされ、フィ
ルタ以外から流体が侵入できない構造になっている。
【0070】よって空間33とパイプ34は連通してお
り、パイプ34を吸引すると、フィルタ膜FTの孔、ス
ペーサ30aの孔HLを介して流体が空間33に向かっ
て通過し、空間33からパイプ34を経由して外部へ濾
過水を輸送できる構造となっている。またスペーサ30
aを構成するシートSHTに於いて、孔HLが形成され
た領域以外は、フラットな面であるため、フィルタFT
の支持部材となり、フィルタFTが常にフラットな面を
維持でき、第2のフィルタ膜の破壊を防止する構造にな
っている。この濾過装置35の動作を概念的に示したも
のが図7である。ここでは、パイプ34側をポンプ等で
吸引すれば、ハッチング無しの矢印のように、水が流れ
濾過されることになる。
【0071】また第1のフィルタ膜31,32、および
この膜31、32で捕獲された被除去物の層で被除去物
が捕獲されることにより、縦置きにされた濾過装置に第
2のフィルタ膜36が形成されることになる。この際、
第2のフィルタ膜36は、固形物である被除去物が集合
したものであるため、第2のフィルタ膜36に外力を加
えることで、第2のフィルタ膜36を取り除いたり、ま
た第2のフィルタ36の表層を取り除いたりすることが
できる。またこの取り除きは、気泡の上昇力、水流、音
波、超音波振動、機械的振動、スキージを使って表面を
こする、あるいは攪拌機等で簡単に、実現できる。また
浸漬される濾過装置35自身が排水(原水)の中で可動
できる構造とし、第2のフィルタ36の表層に水流を発
生させて第2のフィルタ36を取り除いても良い。例え
ば図7に於いて、濾過装置35の底面を支点として矢印
Yのように左右に動かしても良い。この場合、濾過装置
自身が可動であるため水流が発生し、第2のフィルタ3
6の表層を取り除くことができる。また後述の気泡発生
装置54も一緒に採用する場合、前記可動構造を採用す
れば、気泡を濾過面全面に到達させることができ、効率
良く除去物を排水側に移動させることができる。
【0072】また、図5Cで示した円筒形の濾過装置を
採用すれば、濾過装置自身を中心線CLを軸にして回転
させることができ、排水の抵抗を低減できる。回転によ
り、フィルタ膜表面に水流が発生し、第2のフィルタ膜
表層の被除去物を排水側に移動させることができ、濾過
能力の維持する事ができる。
【0073】図7では、第2のフィルタ膜を取り除く方
法として、気泡の上昇を活用した例を示した。斜線で示
す矢印の方向に気泡が上昇し、この気泡の上昇力や気泡
の破裂が直接被除去物に外力を与え、また気泡の上昇力
や気泡の破裂により発生する水流が被除去物に外力を与
える。そしてこの外力により第2のフィルタ膜36の濾
過能力は、常時リフレッシュし、ほぼ一定の値を維持す
ることになる。
【0074】本発明のポイントは、濾過能力の維持にあ
る。つまり第2のフィルタ膜36に目詰まりが発生して
その濾過能力が低下しても、前記気泡のように、第2の
フィルタ膜36を構成する被除去物を動かす外力を与え
ることで、第2のフィルタ膜36を構成する被除去物を
排水側に動かすことができ、濾過能力を長期にわたり維
持させることができる。
【0075】外力の与え方により二つのタイプがある。
ひとつは、完全に第2のフィルタ膜36をこわす(取り
除く)方法である。この場合、被除去物は、第1のフィ
ルタ膜に積層されていないので、小さい被除去物がフィ
ルタ膜を通過してしまう。そのため小さな被除去物がト
ラップされるのを確認するまでは、濾過水を排水(原
水)の入った水槽(タンク)に循環させている。また効
率的ではないが、小さな被除去物が捕獲されるまで、小
さな被除去物が混入された濾過水を別の水槽に移しても
良い。
【0076】二つ目は、第2のフィルタ膜31、32の
極表面に形成された膜(目詰まりの原因である被除去
物)を移動する方法である。つまり目詰まりの原因であ
る被除去物がフィルタ膜の極表面に捕獲されているの
で、気泡により発生する外力により捕獲を解除し、常に
一定の濾過能力を維持させるている。これは、外力を与
えることで第2のフィルタの厚みをほぼ一定にしている
と思われる。あたかも被除去物1つ1つが濾過水の入り
口に栓をかけており、栓が外力により外れ、外れた所か
ら濾過水が浸入し、また栓が形成されたら再度外力によ
り外すの繰り返しを行っているようなものである。これ
は、気泡のサイズ、その量、気泡を当てている時間を調
整することにより、常に濾過能力を維持できるメリット
を有する。
【0077】尚、濾過能力を維持できれば、外力が常に
加わっていても良いし、間欠的に加わっても良い。
【0078】また全ての実施の形態に言えることである
が、フィルタ膜は、原水に完全に浸されている必要があ
る。第2のフィルタ膜は、長時間空気に触れると膜が乾
燥し、剥がれたり、崩れたりするからである。また空気
に触れている所が少しでも有ると、フィルタ膜は空気を
吸引するため、濾過能力が低下するからである。
【0079】前述したように、本発明の原理から考える
と、第2のフィルタ膜36が第1のフィルタ膜31、3
2に形成されている限り、第1のフィルタ膜31、32
は、シート状の高分子膜でもセラミックでも良し、吸引
型でも加圧型でも良い。しかし実際採用するとなると、
第1のフィルタ膜31、32は、高分子膜で、しかも吸
引型が良い。その理由を以下に述べる。
【0080】まずシート状のセラミックフィルタを作る
となるとかなりコストは上昇し、クラックが発生した
ら、リークが発生し、濾過ができなくなる。また加圧型
であると、排水を加圧する必要がある。例えば図8のタ
ンク50を例に取ると、圧力を加えるのに、タンクの上
方は開放型ではなく密閉型でなくてはならない。しかし
密閉型であると、気泡を発生させることが難しい。一
方、高分子膜は、色々なサイズのシートや袋状のフィル
タが安価で手に入る。また柔軟性があるためクラックが
発生せず、またシートに凹凸を形成することも容易であ
る。凹凸を形成することで、第2のフィルタ膜がシート
に食い付き、排水中での剥離を抑制することができる。
しかも吸引型であれば、タンクは開放型のままで良い。
【0081】また加圧型であると第2のフィルタ膜の形
成が難しい。図7に於いて、空間33内の圧力を1と仮
定すれば、排水は1以上の圧力をかける必要がある。従
ってフィルタ膜に負荷がかかり、更には捕獲された被除
去物が高い圧力で固定され、被除去物が移動しにくいと
思われる。
【0082】では高分子膜をフィルタ膜として採用した
吸引型の機構を図8に示す。
【0083】図8における符号50は、原水タンクであ
る。このタンク50の上方には、原水供給手段としてパ
イプ51が設けられている。このパイプ51は、被除去
物が混入した流体の通過する所である。例えば、半導体
分野で説明すると、ダイシング装置、バックグラインド
装置、ミラーポリッシング装置またはCMP装置から流
れ出る被除去物が混入された排水(原水)が通過する所
である。尚、この排水は、ダイシング装置から流れるシ
リコン屑が混入された排水として説明していく。
【0084】原水タンク50に貯められた原水52の中
には、濾過装置53が複数個設置される。この濾過装置
53の下方には、例えばパイプに小さい孔を開けたよう
な、また魚の水槽に使うばバブリング装置の如き、気泡
発生装置54が設けられ、ちょうどフィルタ膜の表面を
通過するようにその位置が調整されている。55は、エ
アーブローである。
【0085】濾過装置53に固定されたパイプ56は、
図5〜図7のパイプ34に相当するものである。このパ
イプ56には、濾過装置53で濾過された濾過水が通過
し、第1のバルブ58を介して原水タンク50側に向か
うパイプ59と、再利用(または排水される)側に向か
うパイプ60に選択輸送される。また原水タンク50の
側壁および底面には、第2のバルブ61、第3のバルブ
62、第4のバルブ63および第5のバルブ64が取り
付けられている。またパイプ65の先に取り付けられて
いるものは、別途設けられた濾過装置66である。
【0086】パイプ51から供給された原水52は、原
水タンク50に貯められ、濾過装置53により濾過され
る。この濾過装置に取り付けられたフィルタ膜の表面
は、気泡が通過し、気泡の上昇力や破裂により、フィル
タ膜にトラップしたシリコン屑を動かし、常にその濾過
能力が低下しないように維持されている。
【0087】またフィルタ膜が新規に取り付けられた
り、休日により長期間停止されたり、またはパイプ56
にシリコン屑が混入されている場合は、バルブ58を使
って、濾過水がパイプ59を介して原水タンク50に循
環する様に設計されている。それ以外は、バルブ58
は、パイプ60に切り替えられており、濾過水は再利用
される。
【0088】フィルタ膜を新規に取り付けた場合、フィ
ルタ膜のサイズ、シリコン屑の量、吸引速度によって循
環の時間は異なるが、およそ4〜5時間でフィルタ膜の
表面に第2のフィルタ膜が形成され、0.1μm以下の
シリコン屑まで捕獲できる膜となる。しかしフィルタ膜
のサイズの小さいものであれば30分でも良いことが判
っている。従って循環時間が判っていれば、タイマーで
設定し、所定の時間が経過したら自動的に第1のバルブ
58が切り替わるようにしても良い。
【0089】ここで、図6の構造を採用した場合、フィ
ルタ膜を取り付ける枠(押さえ金具RG)の大きさは、
縦:約100cm、横:約50cm、厚み:5〜10m
mであり、スペーサ30aの両面には、約0.1mm厚
のフィルタ膜が付いた濾過装置35が複数個取り付けら
れている。
【0090】被除去物が所定の混入率よりも高かった場
合、濾過水は異常水と判断し、自動的に循環が開始した
り、またはポンプが止められ濾過が停止される。また循
環する時は、排水がタンク50から溢れる恐れる事を考
慮して、パイプ51からタンク50への流体供給が停止
されても良い。この様なケースを以下に簡単に述べる。 フィルタ膜が枠(スペーサ)に新規で取り付けられ
た場合 第2のフィルタ膜が形成されていないので、初期は、所
定の濾過能力を保有しない。そのため、循環させること
によりフィルタ膜に捕獲された被除去物で第2のフィル
タ膜を形成し、第2のフィルタ膜で目的の粒子径が捕獲
される状態(第1の所定値以下)まで第2のフィルタ膜
を成長させ、この後、第1のバルブ58を切り替えて、
濾過水をパイプ60に移送し、濾過が開始される。 休日、長期休暇、メンテナンス等で濾過を停止し、
再度濾過を開始する場合。 第2のフィルタ膜は、被除去物から構成され、且つ排水
中に在るため、長時間濾過を停止すると、膜が崩れてく
る。循環は、この膜の崩れを補修し、濾過水が第1の所
定値以下となるまで循環され、その後、第1のバルブ5
8を切り替えて濾過が開始される。尚気泡は、少なくと
も濾過が開始されたら発生させる。 濾過水に捕獲されるべき被除去物が混入されている
場合。 第2のフィルタ膜の一部が崩れたり、またフィルタ膜が
破れている時、濾過水には、被除去物が大量に混入され
る。第2のフィルタ膜の一部が崩れ、所定の濃度(第2
の所定値)よりも高くなった場合は、循環を開始して第
2のフィルタ膜を補修し、濾過水の中の被除去物が所定
の混入率(第1の所定値)になったら、第1のバルブ5
8を切り替えて、濾過水をパイプ60に移送し濾過を開
始する。尚気泡は、少なくとも濾過が開始されたら発生
させる。またフィルタ膜が破れた場合は、ポンプ57を
止めて、フィルタ膜を付け替えるか濾過装置53自身を
付け替える必要がある。この時、フィルタ膜は、新規で
あるのでのように循環される。またフィルタ膜が破れ
てなく、且つ表面に第2のフィルタ膜が形成された濾過
装置を別途用意しておき、取り替えても良い。この場合
は、第2のフィルタ膜が被除去物を第1の所定値まで捕
獲できることを確認し、捕獲できていない場合は、循環
する。また捕獲できているようであれば、第1のバルブ
58を切り替えて、濾過水をパイプ60に移送し、濾過
作業に進む。 原水タンク50の排水レベルが下がり、フィルタ膜
が大気に接触する場合。 フィルタ膜が大気に接触する前に、排水に設けられたレ
ベルセンサによりポンプを止めて濾過を停止する。この
時は、気泡を停止しても良い。パイプ51からは排水が
供給されて排水のレベルが上昇するが、排水による乱流
で第2のフィルタ膜が崩れる恐れがあるため、ポンプは
停止している。そして排水が濾過装置を完全に覆うよう
になったら、ポンプを始動する。そして循環している間
被除去物を検出し、濾過水の中の被除去物が所定の混入
率(第1の所定値)になったら、第1のバルブ58を切
り替えて、濾過水をパイプ60に移送する。
【0091】尚、濾過水の中の被除去物の濃度を示す前
記第1の所定値と第2の所定値は、同じでも良いし、第
2の所定値は、第1の所定値からある幅をもって設定さ
れても良い。
【0092】またセンサ67は、シリコン屑を常時セン
シングしている。センサとしては、受光・発光素子の付
いた光センサが、常に計測できるため好ましい。発光素
子は、発光ダイオードやレーザが考えられる。またセン
サ67は、パイプ56の途中あるいはパイプ59の途中
に取り付けても良い。
【0093】一方、原水タンクは、時間とともに濃縮さ
れてくる。そして所望の濃度になった場合、濾過作業を
停止し、PAC、またはAl2(SO4)3等を用いて
凝集沈殿させ、放置する。するとタンクの中の原水は、
だいたい層状に分かれる。つまり上層から下層に従い、
やや透明な水から被除去物で全く非透明な液体に分布さ
れる。これらをバルブ61〜64を使い分けて回収して
いる。
【0094】例えば、やや透明でシリコン屑の少ない原
水は、第2のバルブ61を開けて、濾過装置66を介し
て回収する。続いてバルブ62、63を順次開けて原水
を回収する。最後には、原水タンクの底に貯まった濃縮
スラリーをバルブ64を開けて回収する。
【0095】例えば、先にバルブ64を開けると、原水
の自重によりいっきに濃縮スラリーが流れ、しかも上方
の水も出て制御が難しい。そのため、ここでは、61、
62、63、64の順にバルブを開けて回収している。
【0096】また図8の下中央(点線で囲んだ図)に
は、原水タンクの原水レベル検査手段80が図示されて
いる。これは原水タンク50の側面に、L字型のパイプ
81が取り付けられ、また原水のレベルによりパイプ8
2が少なくとも一つ取り付けられている。このパイプ8
2は、外径がパイプ81の内径と一致し、勘合されるよ
うになっている。
【0097】例えば、バルブ63の取り付けられている
高さよりもちょっと高い位置に原水のレベルが成った
ら、このパイプ82を取り付け、上方にのびたパイプ8
2に透明ののぞき窓を付けることで、原水のレベルを確
認することができる。従って、こののぞき窓を介して原
水レベルを確認しながら、濃縮スラリー以外の原水をぎ
りぎりまで取り除くことができる。
【0098】またこのパイプ自身をガラス等の透明材で
構成すれば、別途のぞき窓を取り付ける事無く原水のレ
ベルを確認することができる。またこの検査手段は予め
取り付けられていても良い。
【0099】一方、図8下左には、濃縮スラリーの上方
の上水をぎりぎりまで採取するための手段が示されてい
る。つまり原水タンク50の内側に、図のようにL字型
パイプ81を取り付けておく。決まった期間でシリコン
屑の量が特定されていたり、また濃縮スラリーの量が特
定されていれば、パイプ81の頭部の高さが予め決めら
れる。従って濃縮スラリーの上層よりも若干高い所にパ
イプ81や82の頭部を配置させれば、自動的にこの高
さまで原水を濾過装置66に流出させることができる。
また誤ってバルブ63を開けっ放しにしても、このパイ
プ81や82の頭部のレベルで原水の流出を止めること
ができる。またこの濃縮スラリーのレベルが増減した場
合、パイプ82の取り外しで、原水の採取レベルが調整
できる。もちろんパイプ82は、いくつも用意され、レ
ベルにより何段も取り付けられて良い。
【0100】以上濃縮水を凝集沈殿法で回収する方法を
説明したが、これに限ることはない。例えば、原水52
がある濃度になったら、別の濾過装置66(FD)に移
しても良い。例えば、CMPは、薬品と0.1μm以下
の砥粒が含まれたスラリーを使う。そしてポリッシング
の時に水が流され、排水としては前記スラリーよりも若
干濃度の薄いものが排出される。しかし排出された原液
が濾過されるに従い濃度が濃くなると、同時に粘性も出
てくる。また屑も非常に細かく、濾過能力の低下が早
い。そのため、所定の濃度になったら、その原液を別の
濾過装置FDに移して濾過してもよい。つまり図8の濾
過装置53で濾過し続け、原水が所定の濃度になった
ら、別の濾過装置FDに移し、濾過しても良い。例え
ば、図8右下のように、フィルタFT1の上層に原水を
流し込み、ポンプPで原水を真空吸引する濾過装置を採
用しても良い。またこの濾過装置を濃縮回収パイプに取
り付けて回収しても良い。ここでは、フィルタFT1を
介して濾過し、高濃度の原液がある程度の固まりに成る
まで吸引している。一方、濾過装置FDに原液を移すこ
とで原水タンク50の原水レベルが下がるが、パイプ5
1から濃度の薄い原水が供給されている。そして原水の
濃度が薄くなり、原水がフィルタを完全に浸すようにな
ったら、再度濾過が始まるように設定すれば良い。
【0101】また濾過装置FDや66を除去物の回収装
置として用いても良い。例えば半導体ウェハのシリコン
屑が入った原水タンク50が所定の濃度になったら、凝
集沈殿を行わず、濾過装置66(FD)で分離しても良
い。分離されたシリコン屑は、薬品で反応していない純
度の高いものであり、再度溶融されてウェハ用のSiの
インゴットにしても良い。また瓦の材料、セメント、コ
ンクリートの材料等と、色々な分野に再利用が可能であ
る。
【0102】以上述べたように、図8のシステムでは、
原水タンク50、濾過装置(浸漬・吸引)53、小型ポ
ンプ57で構成される。
【0103】特に第1のフィルタが目詰まりしない様
に、低圧で吸引している(図12を参照)ため、ポンプ
57は小型ポンプでよい。また従来は、原液がポンプを
通過するため、ポンプ内部が摩耗し、寿命が非常に短か
った。しかし本構成は、濾過水がポンプ57を通過する
ため、その寿命もはるかに長くなった。従ってシステム
の規模が小さくでき、ポンプ57を稼働するための電気
代は約1/5〜1/4となり、更にはポンプの取り替え
費用も大幅に抑えられ、イニシャルコストで1/3、ラ
ンニングコスト全体で約1/5とメイテナンスコストが
大幅に削減できた。実験に依れば1年はメンテナンスを
加えることなく稼動が可能である。
【0104】また濾過装置53は、図5〜7のように補
強用の枠30とフィルタ膜31、32および枠30に取
り付けられたパイプ34からなる単純構造で、他には濾
過水を輸送するためのパイプが設けられているのみであ
る。
【0105】フィルタ膜は、ポリオリフィン系の膜で、
落としても割れず機械的強度が高く、酸・アルカリ等の
薬品に対して耐性が高いものである。そのため従来は、
図12に示すように、原水濃度として300ミリグラム
/リットル程度がマックスであったが、本装置では、約
3倍の濃度の900ミリグラム/リットルと高濃度まで
対応でき、フィルタ膜を付けた状態で、直接薬品による
凝集沈殿も可能となった。
【0106】また原水タンクを利用して凝集沈殿させる
場合、余分な配管やポンプ等が不要となり、省資源型の
濾過システムが可能となった。例えば5台のダイシング
装置が取り付けられているシステムでは、1回〜2回/
年の凝集沈殿ですむ。ここでダイシングしたウェハは、
5インチウェハ、625μm厚、重量6グラム程度で、
これを幅が40μmのブレードで、ダイシング深さ18
0〜200μmの溝を形成し、格子状に平均160本形
成するとして算出すると、スラッジ(シリコン屑)は、
約0.3グラム程度(1枚あたり約5%)が発生する。
【0107】また濾過装置は、吸引濾過で、図12に示
すように、低流速・低圧力で濾過するため、フィルタ膜
の細孔まで微粒子が入り込まず、また第2のフィルタ膜
の形成により、前述した第1のフィルタ膜の細孔への微
粒子の入り込みを更に防止でき、濾過性能を向上させる
ことが可能となった。またエアーバブリング等の外力発
生手段により連続的に濾過が可能となった。ここでの濾
過(吸引)速度は、0.3〜0.5メートル/Day、濾
過(吸引)圧力は、0.2〜0.5kg/cm2であり、濾過
膜の寿命は、5年以上が見込める。また濾過速度、濾過
圧力は、第1のフィルタ膜が破壊や変形する事により、
第2のフィルタ膜が破壊される事のない範囲内で設定さ
れ、濾過速度は、0.01〜5メートル/Day、濾過
圧力は、0.01kg/cm2〜1.03Kgf/cm2(1
気圧)までは実質可能である。
【0108】また、0.3メートル/Dayで吸引した
場合、1日で252リットル/(フィルタ膜1枚)の原
水を処理でき、0.5メートル/Dayで吸引した場
合、1日で450リットル/(フィルタ膜1枚)の原水
を処理できる。尚、フィルタの枠のサイズは約100c
m×50cm×10mmである。
【0109】またダイシング工程では、3〜5リットル
/minの純水が必要で、例えば年間で18000トン
を使う。従来は、ダイシング用の純水を作るのに、50
0円〜1000円/トンがかかった。しかし本システム
の採用により、濾過水が再利用できるため、コスト削減
が可能となった。前述したようにイニシャルコストで1
/3、ランニングコスト全体で約1/5とメイテナンス
コストが大幅に削減できた。
【0110】更には、従来濃縮された原液は、産業廃棄
物として処理していたが、これも300万円/年ほどか
かった。しかし濾過水を再利用したり、分離されたSi
を再利用することで、廃液処理が実質ゼロとなり、約9
7.6%の再資源化率となった。
【0111】一方、濾過膜内部へのシリコン屑の付着
が、防止でき、従来必要とされた逆洗浄は、殆ど不要と
なった。
【0112】以上、被除去物としてSiウェハから発生
するシリコン屑で説明してきたが、本発明は、実施例の
最初に説明したように、色々な分野で活用が可能であ
る。しかもこれらの分野に於いて、排水は地球環境に何
らかの害を与えていたが、本発明を採用することにより
その害を大幅に低減させることができるものである。
【0113】特に、ダイオキシンを有する物質を発生す
るごみ焼却所、放射能発生物質を精製しているウラン精
製工場、また有害物質が含まれた粉体を発生させる工場
があるが、これらは本発明の採用により有害物質を持っ
ている屑が大きなモノから小さなモノまで限りなく取り
除くことできる。
【0114】また被除去物が、周期表の中で、2a族〜
7a族、2b族〜7b族の元素のうち少なくとも一つを
含む無機固形物であれば、これらのものは本発明を採用
することにより殆ど取り除くことができる。続いて、図
8の濾過システムにダイシング装置のシステムを取り付
けた例を図9に示す。ダイシング装置およびその周辺が
異なり、他の部分は図8と同じであるので、同じ箇所に
ついてはその説明を省略する。
【0115】符号Wは、ダイシング装置のテーブルに取
り付けられた半導体ウェハであり、DBは、ダイシング
ブレードである。またSW1、SW2は、ダイシングブ
レードに純水をかけるシャワーである。またSW3は、
ウェハWをシャワーリングするシャワーで、ダイシング
時に発生するシリコン屑をウェハから取り除いている。
このシャワーSW3の位置は、ウェハの真上から、斜め
からと色々なタイプがあり、ここでは特に限定されな
い。ウェハ表面に水の流れが発生すればよい。
【0116】ウェハWの下方には、排水を受ける容器B
Lがあり、受け皿BLの一部に原水タンク50へとつな
がるパイプ51が取り付けられている。
【0117】従って図8でも説明したように、ダイシン
グ装置で発生した排水は、原水タンク50、濾過装置5
3を介して、再度きれいな水(濾過水)となり、パイプ
56、パイプ60を介して再利用される。濾過水がパイ
プ71を介してダイシング装置の純水として再利用され
ても良いし、パイプ72を介して別の所で再利用されて
も良い。仮に別の所で再利用される場合は、パイプ71
は取り除かれ、パイプ70からは、別途純水が供給され
る。もちろん自然界に戻すことも可能である。続いて、
図9の概念図から実際のシステムとして図10を使って
説明する。
【0118】まず工業用水タンク101に、工業用水が
貯められる。この工業用水は、ポンプP1でフィルタ1
02、103を介して濾過水タンク104へ輸送され
る。フィルタ102は、カーボンフィルタであり、ゴ
ミ、有機物が取り除かれる。またフィルタ103は、フ
ィルタ102から発生するカーボンを取り除くものであ
る。
【0119】続いて濾過水は、ポンプP2で、逆浸透濾
過装置105を介して純水タンク106へ輸送される。
この濾過装置105は、逆浸透膜を使ったものであり、
ここで0.1μm以下の屑(ゴミ)が取り除かれる。そ
して純水タンク106の純水は、UV殺菌装置107、
吸着装置108,109および純水の抵抗値を下げる装
置110を介して純水タンク111に輸送される。
【0120】UV殺菌装置107は、字の如く紫外線に
より純水を殺菌し、符号108、符号109は、イオン
交換し、イオンを除去する装置である。また符号110
は、純水の中に炭酸ガスを混入させるものである。これ
は、純水の抵抗値が高いと、ブレード等にチャージアッ
プが発生する等問題が発生するため、故意的にその抵抗
値を下げている。
【0121】そしてポンプP3を使いダイシング装置D
Mに純水を供給している。符号112は、約0.22μ
m以上の屑(ゴミ)を再度取り除いている。
【0122】続いてダイシング装置DMで発生した排水
は、ポンプP4を使って原水タンク113に貯められ、
前半で述べた濾過装置113で濾過される。これは、図
5〜図8に述べたものと同様のものである。そして濾過
装置114で濾過された濾過水は、濾過水タンク104
に戻され、再利用される。またこの濾過装置114のフ
ィルタ径、濾過能力によっては、実線で示すように純水
タンク106に戻しても良い。
【0123】ここで濾過装置114において、濾過水に
シリコン屑が混入した場合は、図4の様に原水タンク1
13に戻されることはいうまでもない。また符号101
から逆浸透濾過装置105、殺菌装置からフィルタ11
2までのシステムは、従来より採用されているものであ
る。
【0124】一方、原水タンク113は、図8で採用し
た原水タンク50であり、原水タンク113に浸水型の
濾過装置が設けられることで、原水タンク自身が濃縮水
タンクになり、またフィルタ膜がシリコン屑も含めてフ
ィルタとして機能し、またシリコン屑が濾過水に混入さ
れた場合は、図8の様にバルブ58を使って原水タンク
に戻している。
【0125】更に図11にバックグラインド装置を示
す。図9のダイシング装置の代わりに本装置を取り付け
ても、やはり排水にはSi屑が混入されているので前実
施例を採用することができる。ダイシング装置の代わり
に本装置を取り付ければよい。
【0126】バックグラインドもダイシングと同様にタ
ーンテーブル200があり、この上に少なくとも一枚の
ウェハ201が載置されている。そして上から砥石20
2がウェハに当接され、ウェハ裏面が削られる。そして
ノズル204は、図9、図10の様にパイプ60からろ
過水が供給され、再利用できるように構成されている。
ここでターンテーブル200は、枚葉型で回転してお
り、砥石も回転している。また排水受け容器203は、
グラインドの際に発生した排水を受け、パイプ51を介
して原水タンク50に輸送される。
【0127】
【発明の効果】本発明によれば、半導体の加工屑は、例
えばダイシング、ミラーポリッシング、バックグライン
ド等の機械加工等で発生するものであり、加工屑の大き
さに分布を有し、形状は殆どが実質的に異なるものであ
る。従ってこの加工屑を層状に積層する事で加工屑と加
工屑の間には、色々なサイズ、色々な形状の隙間が発生
し、この隙間が小さな加工屑の捕獲孔として機能し、更
には流体の通過孔として機能する。そして膜が成長して
いくに従い、0.1μm以下の小さな加工屑までも捕獲
し、流体を濾過していくことが可能となる。
【0128】また第1のフィルタで加工屑を濾過してい
くと、第1のフィルタの孔よりも小さな加工屑は通過す
るが、第1のフィルタの孔よりも大きな加工屑は捕獲さ
れる。そして第1のフィルタに捕獲された加工屑と加工
屑との間には、色々な形状の隙間が形成され、この隙間
が加工屑の捕獲孔として機能し、更には流体の通路とし
て機能する。また第2のフィルタは、加工屑の集合体で
あるが、第1のフィルタに支持されているため、フィル
タとしての機能を維持していくことが可能となる。
【0129】また第1のフィルタで加工屑を濾過する
と、最初は、第1のフィルタの孔よりも小さな加工屑が
通過し、この時の濾過された流体は、再利用できない
し、自然環境にも戻せない。しかしこの加工屑が入った
濾過水を循環させていくに従い、第1のフィルタの表面
には、加工屑の層が成長し、加工屑と加工屑との間に色
々なサイズ、形状の隙間を形成し、次第に小さな加工屑
までも捕獲できるようになる。
【0130】また加工屑の大きさが異なって流体中に含
まれると、加工屑から構成されるフィルタは、色々な大
きさの加工屑が組み合わさって層状に形成される。従っ
て大きな隙間も小さな隙間も形成される。そしてこれら
の隙間に別の加工屑が捕獲され、最終的には小さな加工
屑が捕獲できる隙間も形成される。しかも隙間が大量に
形成されるため、流体の通路も確保でき、流体の透過率
を拡大できる。
【0131】また一般的には、捕獲したい小さな加工屑
を考慮して、フィルタの孔は小さく形成される。しかし
このフィルタの孔には加工屑がすぐに捕獲されるため、
目詰まりが早い。一方、第1のフィルタの孔の大きさ
を、小さな加工屑と大きな加工屑の間にすると、最初は
小さな加工屑は通過するが、大きな加工屑は捕獲されて
いく。そして加工屑が成長していくに従い、色々な隙間
を形成しながら小さな加工屑を捕獲するようになる。し
かもこの隙間が流体の透過率を大きくし、目詰まりの抑
制された濾過が可能となる。
【0132】また新しい第1のフィルタで加工屑の除去
が開始される時、小さな加工屑は第1のフィルタの孔を
通過してしまう。またある時間除去を停止すると、フィ
ルタの表面の加工屑は、集まって形成されているため、
次第にその層が崩れ、除去を再開した時、小さな加工屑
は、第1のフィルタの孔を通過してしまう。
【0133】前記流体を循環させることで、加工屑で成
る膜が成長し、所定の時間の後には、小さな加工屑まで
も捕獲できる膜となる。従ってこの小さな加工屑も捕獲
できる膜に成長したことを確認した後、濾過すれば、所
定の加工屑の含有率で濾過が可能となる。
【0134】また第2のフィルタは、加工屑の集合体で
成るため、何らかの原因で濾過精度が低下することも考
えられる。その時は、循環させて第2のフィルタを成長
させ、濾過精度を向上させることができる。また循環さ
せることで濾過された流体の利用を停止することも可能
となる。従って事故等により大量の加工屑が入った濾過
流体を再利用側に供給することを防止できるため、再利
用側での事故を未然に防ぐことができる。
【0135】吸引型にすることにより、流体が貯められ
るタンクは、開放型ですむため、タンクの構造が簡単で
コストも少なくてすむ。また第1のフィルタの上には、
比較的大きい加工屑から積層されるため、吸引の方が流
体を濾過しやすい。更には、吸引型の方がフィルタにか
かる圧力が小さくてすみ、加工屑から成る膜の破壊を防
止できる。
【0136】また第2のフィルタは、加工屑が集まって
構成されるため、第2のフィルタ全体を取り除くこと
も、第2のフィルタの表層を取り除くことも簡単にでき
る。例えば、気泡を発生し、第2のフィルタの表面に通
過させることも容易である。従って第2のフィルタのリ
フレッシュ、または機能維持が容易にできる。
【0137】またセラミックも有機系高分子も原理的に
は可能である。しかしセラミックは、衝撃や振動に対し
て弱くクラックが発生し易い。また価格も非常に高い。
一方、有機高分子は、衝撃や振動に対して強く、加工も
非常に簡単であり価格はセラミックに比べて格段に安
い。またポリオレフィン系は、アルカリにも酸にも耐性
が良く、薬品の混入された流体にも使用できる。
【0138】更には加工屑の膜が精度の高いフィルタと
成るため、安価な設備費、低ランニングコストの濾過装
置ができる。しかも流体の再利用、捕獲された加工物の
再利用が可能なことから、産業廃棄物として出す量も大
幅に減らすことができる。
【0139】更にまた、本発明によれば、結晶インゴッ
ドをウェハまで機械加工する工程または半導体ウェハを
機械加工する工程で発生した被除去物を、ウェハ用のシ
リコンのインゴットとして再利用することができる。従
って、半導体装置を加工する工程で発生する被除去物の
回収率を大幅に向上させることが可能となり、リサイク
ル効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るフィルタ膜を説明す
る図である。
【図2】 本発明の実施形態に係るフィルタ膜を説明す
る図である。
【図3】 ダイシング時に発生する排水中のシリコン屑
の粒度分布を説明する図である。
【図4】 本発明の濾過方法を説明する図である。
【図5】 本発明に採用する濾過装置を説明する図であ
る。
【図6】 本発明に採用する濾過装置を説明する図であ
る。
【図7】 図5や図6の濾過動作を説明する図である。
【図8】 本発明の濾過方法を説明するシステム図であ
る。
【図9】 本発明の濾過方法をダイシング装置に採用し
たシステムを説明する図である。
【図10】 本発明の濾過方法を説明するシステム図で
ある。
【図11】 バックグラインド等の研削または研磨方法
を説明する図である。
【図12】 本発明の濾過システムと従来型の装置を比
較した図である。
【図13】 従来の濾過システムを説明する図である。
【符号の説明】
10 第1のフィルタ膜 11 フィルタ孔 12 金属屑 13 第2のフィルタ膜 20 原水タンク 21 フィルタ膜 23 濾過水 24 ポンプ 25 切り替えバルブ 30 枠 31、32 第1のフィルタ 34 パイプ 50 原水タンク 52 原水 53 濾過装置 54 気泡発生装置 67 センサ DM ダイシング装置 DB ブレード W ウェハ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/304 611 622 特許法第30条第1項適用申請有り 平成11年9月1日 工業調査会発行の「電子材料 Vol.38,No.9」 に発表 Fターム(参考) 4D066 BA01 BA03 BB14 CA01 CB06 4G072 AA01 BB01 BB12 HH01 QQ13 UU30

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶インゴットをウェハまで機械加工す
    る工程または半導体ウェハを機械加工する工程で発生し
    た被除去物を含む排水を濾過して高濃度に濃縮して固め
    られた前記被除去物の固形物を、ウェハ用のシリコンの
    インゴットとして再利用することを特徴とした被除去物
    の再利用方法。
  2. 【請求項2】 前記被除去物には化学薬品が含まれない
    ことを特徴とする請求項1記載の被除去物の再利用方
    法。
  3. 【請求項3】 前記半導体ウェハを機械加工する工程
    は、ダイシング、バックグラインド、ウェハポッシング
    またはCMPであることを特徴とする請求項1記載の被
    除去物の再利用方法。
  4. 【請求項4】 前記固形物は、瓦、セメントまたはコン
    クリートの材料として再利用されることを特徴とする請
    求項1記載の被除去物の再利用方法。
  5. 【請求項5】 結晶インゴットをウェハまで機械加工す
    る工程および半導体ウェハを機械加工する工程で発生し
    た被除去物を含む排水を原水タンクに排出し、 前記原水タンクの排水を濾過装置を介して所定の濃度に
    し、 所定の濃度になった前記排水を回収手段に移送し、排水
    に圧力を加えて前記排水の濃度を濃くし、前記被除去物
    からなる所定の含水率の固形物を再利用する被除去物の
    再利用方法に於いて、 前記固形物をウェハ用のシリコンのインゴットとして再
    利用することを特徴とした被除去物の再利用方法。
  6. 【請求項6】 前記被除去物には化学薬品が含まれない
    ことを特徴とする請求項5記載の被除去物の再利用方
    法。
  7. 【請求項7】 前記半導体ウェハを機械加工する工程
    は、ダイシング、バックグラインド、ウェハポッシング
    またはCMPであることを特徴とする請求項5記載の被
    除去物の再利用方法。
  8. 【請求項8】 前記固形物は、瓦、セメントまたはコン
    クリートの材料として再利用されることを特徴とする請
    求項5記載の被除去物の再利用方法。
  9. 【請求項9】 半固形物にされた被除去物を再溶融して
    ウェハ用のシリコンのインゴットとして再利用する被除
    去物の再利用方法であって、前記被除去物は原水タンク
    の中で高濃度に濃縮された排水から分離されたものであ
    ることを特徴とする被除去物の再利用方法。
  10. 【請求項10】 前記被除去物を含む前記排水は縦型の
    フィルタの表面に形成された自己形成膜によって前記原
    水タンク内で高濃度に濃縮され、前記被除去物は半固形
    物として再利用されることを特徴とする請求項9記載の
    被除去物の再利用方法。
  11. 【請求項11】 前記被除去物はシリコン屑であること
    を特徴とする請求項9または請求項10のいずれかに記
    載の被除去物の再利用方法。
  12. 【請求項12】 前記被除去物は、結晶インゴットをウ
    ェハまで機械加工する工程または半導体ウェハを機械加
    工する工程で発生したものであることを特徴とする請求
    項9または請求項10のいずれかに記載の被除去物の再
    利用方法。
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