JP2008159638A - デラフォッサイト構造を持つ層状酸化物熱電材料 - Google Patents

デラフォッサイト構造を持つ層状酸化物熱電材料 Download PDF

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Abstract


【課題】化学的に安定であり、大きな無次元性能指数をもつ酸化物熱電材料、特に330
℃〜880℃程度の温度範囲で優れた性能を有する高温型熱電発電材料を開発すること。
【解決手段】一般式CuFe1−xNi(0.01≦x≦0.05)で示されるデ
ラフォッサイト構造を持つ層状酸化物からなるp型熱電変換材料。CuFe1−xNi
は不活性ガス中で1060℃まで安定であり、850℃を超える温度でのNaの蒸発
が懸念されるNaCoOに代わる高温型p型熱電材料として期待される。
【選択図】図6

Description

本発明は、熱電変換特性を有するデラフォッサイト構造を持つ層状酸化物からなる熱電
変換材料に関する。
電気エネルギーを熱エネルギー(冷却)に変えるペルチェ効果や熱エネルギーを電気エ
ネルギーに変えるゼーベック効果は、PbTe,BiTeなどの物質で実現されてい
る。近年、実用レベルの性能を持ったp型熱電材料としてNaCoO系(Na系)、C
Co系(Ca系),BiSrCo系(Bi系)などのCo系複合酸
化物が開発されている。
n型熱電材料としては、In(ZnO)に代表されるYbFe類縁型層
状構造の多結晶は、m=3のとき無次元性能指数ZT=σST/κが極大となり(ZT
=0.12,T=1050K)、3価のInを2価のCdで置換するとさらにZTが増加
する(ZT=0.15,T=1050K)(特許文献1)。
遷移金属元素の複合酸化物としては、Ti(Mは、Ta,Nb,Vから選ば
れた少なくとも1種)で示されるn型熱電材料の発明(特許文献2)が特許出願されてい
る。この発明のなかで最も高い出力因子σSは、x=0.94,y=0.05(Ta)
に対して得られた1.6×10−4W/Kmである。
ABO(A=Cu,Ag,B=Al,In,Ga,Sc,Y,La)で示されるデラフ
ォッサイト構造の化合物は、平面型表示装置の透明電極をはじめ、新しい導電性透明酸化
物として特許出願されている(特許文献3)。
デラフォッサイト構造を持つ化合物の中でCuFeOは唯一、正負両方のゼーベック係
数をとりうる。n型の単結晶CuFeOのゼーベック係数は温度に依存し、250℃で
−600mV/Kである(非特許文献1)。
非平衡状態で作製されたデラフォッサイト構造の酸化物薄膜にキャリアをドープするこ
とによって無次元性能指数ZTが室温で1.0を超える高効率熱電薄膜材料の発明が出願
されている(特許文献4)。この用途は、主にペルチェ効果を利用した冷却である。
特開2005-79565号公報 特開2005-276959号公報 特開平11-278834号公報 特開2005-276952号公報 P.Dordor et al., Crystal Growth and Electrical Properties of CuFeO2 Single Crystals, Journal of Solid State Chemistry 75(1988)105-112
熱電変換材料の性質としては、高い変換効率を得るために、高いゼーベック係数(α)
、高い電気伝導度(σ)、低い熱伝導率(κ)が要求される。酸化物熱電変換材料は、既
存のPbTeの使用温度の上限である600℃を超える高温で耐熱性があること、金属系
熱電変換材料と異なり高温での酸化による性能劣化が少なく化学的に安定であること、生
体に対して有害でないこと、原料が安価であることなどの特徴を有しているが、キャリア
移動度が低く、電気伝導度も低いという問題があった。
NaCoO単結晶は1に近い無次元性能指数を示すが、化学的に不安定である。
NaCoO中のNaは850℃を超えると蒸発する傾向がある。また、NaCoO
(p型)とCa0.92La0.08MnO(n型)でp−n接合を作って345℃で
10日間連続で発電実験を行ったところ、17%の出力減少が見られた。さらには、室温
で数日放置すると水を吸って電気伝導率が低下する現象が確認されている。このため、長
期にわたって安定に電力を供給可能な発電素子を作製することができない。そこで、本発
明は、化学的に安定であり、大きな無次元性能指数をもつ酸化物熱電材料、特に330℃
〜880℃程度の温度範囲で優れた性能を有する高温型熱電発電材料を開発することを目
的とする。
本発明者は、コバルト酸化物と共通の構造単位を持ち、アルカリ金属イオンを含まない
CuFe1−xNiがFe酸化物として初めての有望な高温型熱電発電材料であ
ることを見出した。
すなわち、本発明は、一般式CuFe1−xNi(0.01≦x≦0.05)で
示されるデラフォッサイト構造を持つ層状酸化物からなるp型熱電変換材料、である。
本発明は、CuFeOのFe3+をイオン半径の近いNi2+で置換してキャリアを
導入し電気伝導率σの改善による性能指数Z=Sσ/κの向上を図ることができた。
本発明のp型熱電変換材料は、330℃〜880℃の高温で良い電気伝導性を持ち、ゼ
ーベック係数は400〜550μV/Kにも及ぶ。無次元性能指数は、室温においてZT
=0.03程度であるが、温度の上昇とともに増加し880℃ではZT=0.14に達し
ており、熱電発電材料として有用である。
CuFe1−xNiは不活性ガス中で1060℃まで安定であり、850℃を超
える温度でのNaの蒸発が懸念されるNaCoOに代わる高温型p型熱電材料として
期待される。
図1は、デラフォッサイト構造を持つCuFeOの説明図である。二次元構造を持つ
FeO層と、O−Cu−Oからなるダンベルを二次元的に並べたO−Cu−O層とから
構成されている。デラフォッサイト構造の酸化物は、層状構造を有することを特徴とし、
層に平行な方向と垂直な方向とで電気伝導度及び熱伝導率の異方性を生じる。
本発明のp型熱電変換材料は、一般式CuFe1−xNi(0.01≦x≦0.
05)で示されるデラフォッサイト構造を持つ層状酸化物である。CuFeO層状酸化
物においてFeを少量のNiと置換することにより、室温以上で電気伝導率が著しく改善
された。ゼーベック係数の低下にもかかわらず電気伝導率の増加がこれを上回り、出力因
子Sσは増加する。
NiによるFeの置換はx=0.01〜0.05の範囲が有効である。FeをNiで1
〜3at%置換することによって達成された値は、NaCoOの出力因子に匹敵する。
4at%以上置換しても出力因子が増加しないのは、通常の固相反応法ではこれ以上Niを
置換できないためである。したがって、NiによるFeの置換は、より好ましくは、x=
0.01〜0.03の範囲である。
本発明の熱電気変換材料は、所定の割合で混合した原料粉末を焼結することによって複
合酸化物の焼結体を形成することによって製造される。この複合酸化物の焼結体は、Cu
源としてCuO又はCuO、Fe源としてFe、及びNi源としてNiOを使用
して製造することができる。これら粉末原料をCuO:Fe:NiO=2:1−x
:2xまたはCuO:Fe:NiO=1:1−x:2x (0.01≦x≦0.0
5)となるように混合し、固相反応により原料粉を化合させて目的酸化物を得るために金
属鋳型に入れて圧粉体に加圧成形し、焼結する。焼結体の密度は理論値の95%以上とす
ることが望ましく、そのため、好ましくは100kg/cmの以上の圧力で加圧成形し
、焼結するかホットプレスする。加圧力の上限は装置の能力の限度内でできるだけ大きい
ことが望ましいが、400kg/cm程度以下でよい。
CuFe1−xNi複合酸化物の焼結は、大気中、アルゴン等の不活性ガス気流
中、真空中のいずれの雰囲気でも良く、 原料混合粉末を850℃から1060℃の範囲
で12〜24時間加熱して反応させる。大気中で加熱するとスピネル型のCuFe
やNiFeが不純物として生成しやすくなるので好ましくない。加熱温度が850
℃よりも低過ぎると目的酸化物ではないスピネル構造の相が不純物として現れるので不適
当であり、1060℃を超えると目的酸化物が溶解するので1060℃以下が好ましい。
加熱時間が12時間よりも短いと焼結が不十分であり24時間を越えても焼結がさらに進
まないので上限は24時間程度でよい。
一般に、焼結体密度は電気伝導率、熱伝導率に大きく影響し、焼結体密度が大きいほど
(単結晶密度に近づくほど)電気伝導率、熱伝導率は増大する傾向があるが、CuFe
−xNi複合酸化物は850℃から1060℃の範囲で加熱焼結すれば、理論値の
ほぼ95%以上の焼結体密度が得られる。
上記の焼結法の他に溶融法、水熱合成法など複合酸化物の製造に用いられる方法で製造
することもできる。さらに、上記の方法で得られるバルク材料を原料としてパルスレーザ
ー蒸着(PLD)法によりc軸配向薄膜試料を作成できる。c軸配向薄膜では、伝導面であるa-
b面が薄膜面内にあるため、バルク試料より高い電気伝導性が得られる。従って、無次元
性能指数は単結晶に近づいて大きくなる。
一般式CuFe1−xNiで示されるp型熱電変換材料とn型熱電変換材料をp
−n接合することにより熱電変換発電装置、特に高温型の熱電変換発電装置とすることが
できる。熱電変換発電装置は、多数のp−n接合を電気的に直列に接続し上下二枚のセラ
ミックス平板で挟んで固定したものである。p−n接合はセラミクス平板に接着され、一
方の平板が熱源に接触し、他の一方は大気中にある。このため、p−n接合の熱源側に熱
膨張が生じるが、p型、n型材料が同様の結晶構造をもつ場合は熱膨張係数がほぼ等しい
ため接合の破壊を免れることができるのでn型材料としてもデラフォッサイト構造をとる
材料を用いることが好ましい。
また、性能指数が同じでも、電気伝導率、ゼーベック係数、熱伝導率が大きく異なる場
合、発電性能にとって不利になる。p型、n型材料が、ともにデラフォッサイト構造をと
る場合は、上記物理量も大きな差がないため、熱電変換発電装置の製作に有利である。
実施例として、CuFe1−xNiの製造と熱電性能評価を示す。CuO、
Fe、 及びNiOをCuO:Fe:NiO=1:1−x:2x(x=0.
01〜0.05)となるように混合し、この原料混合粉末を金属鋳型に入れて200kg
/cmの圧力で成形した。原料混合粉末の成形体を、アルゴンガス中、1050℃で管
状焼結炉において12時間加熱して反応させた。なお、比較のために、NiO無添加(x
=0)の焼結体を同条件で作製した。焼結体の密度はNiO無添加材で4.91g/cm
であり、x=0.05の材料で5.09g/cmである。
炉冷した後、焼結体(反応生成物)の粉末X線回折を行った。図2に、x=0.03の
粉末X線回折強度のリートベルト解析結果を示す。測定強度はデラフォッサイト構造から
予想される計算強度と一致した。ただし、本発明の組成ではx=0.05を超えると単相
領域を外れるので少量のNiFe(スピネル)とCuOが不純物として観測され
た。
焼結体をダイヤモンドカッターにより矩形状に切断し熱伝導率、電気伝導率、ゼーベッ
ク係数を測定した。図3、4に、一般式CuFe1−xNi(0.01≦x≦0.
05)で示される熱電変換材料のxの値と熱伝導率、電気伝導率の関係をそれぞれ示す。
図3に示されるように、x=0.01の場合、780℃における熱伝導率(κ)は3W/
mKであり、通常の酸化物に比べて低い。また、図4に示されるように、測定した温度領
域(室温〜830℃)において、電気伝導率は、xの値が0と0.01の間で急激に増加
しており、330℃〜730℃において最大値17S/cmをとる(x=0.01〜0.
03)。室温近傍では10S/cmしかなく、330℃〜730℃の高温で良い電気伝導性を
もつことがわかる。
図5に、一般式CuFe1−xNiで示される熱電変換材料のxの値とゼーベッ
ク係数の関係を示す。ゼーベック係数はxの値の増加とともに減少する。CuFe1−x
Ni (0.01≦x≦0.03)のゼーベック係数は880℃において550μ
V/Kに達する。
図6に、一般式CuFe1−xNiで示される熱電変換材料のxの値と無次元性
能指数の関係を示す。x=0.01で、880℃において0.14に達している。この値
は、800Kにおける多結晶Na0.7CoOのZTと同程度である。
本発明の一般式CuFe1−xNi(0.01≦x≦0.05)で示されるp型
のデラフォッサイト型化合物を使用することにより不活性ガス中で1060℃まで材料の
化学的不安定性による出力低下無しに電力を供給でき、熱源側と大気側との温度差による
歪にも耐えうる熱電変換発電装置の製作が可能になる。このような装置は、自動車のエン
ジンなどよりも比較的温度の高い発電所や溶鉱炉などへの装着により効率よく発電できる
デラフォッサイト構造を持つCuFeOの模式図である。 実施例1で得られた一般式CuFe0.97Ni0.03で示される熱電変換材料の粉末X線回折強度のリートベルト解析結果パターン図である。 実施例1で得られた一般式CuFe1−xNiで示される熱電変換材料のxの値と熱伝導率を示すグラフである。 実施例1で得られた一般式CuFe1−xNiで示される熱電変換材料のxの値と電気伝導率の関係を示すグラフである。 実施例1で得られた一般式CuFe1−xNiで示される熱電変換材料のxの値とゼーベック係数の関係を示すグラフである。 実施例1で得られた一般式CuFe1−xNiで示される熱電変換材料のxの値と無次元性能指数の関係を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 一般式CuFe1−xNi(0.01≦x≦0.05)で示されるデラフォッサイ
    ト構造を持つ層状酸化物からなるp型熱電変換材料。
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