JP2008156448A - スチールコード被覆用ゴム組成物およびそれを用いたベルトを有するタイヤ - Google Patents

スチールコード被覆用ゴム組成物およびそれを用いたベルトを有するタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】環境に配慮することも、将来の石油資源の供給量の減少に備えることもでき、石油資源由来の原材料を主成分とするスチールコード被覆用ゴム組成物と比較しても、さらに、気泡の発生を抑制し、転がり抵抗を低減させ、加工性、ロール作業性、コードとの接着性および耐久性をバランスよく向上させることができるスチールコード被覆用ゴム組成物、ならびにそれを用いたベルトを有するタイヤを提供する。
【解決手段】ジエン系ゴム100重量部に対して、チッ素吸着比表面積が100〜200m2/gであるシリカを40〜80重量部、シランカップリング剤を1〜15重量部、およびホウ酸亜鉛を0.5〜4重量部含有するスチールコード被覆用ゴム組成物、ならびにそれを用いたベルトを有するタイヤ。
【選択図】なし

Description

本発明は、スチールコード被覆用ゴム組成物およびそれを用いたベルトを有するタイヤに関する。
一般に、自動車用タイヤには大きな荷重がかかるため、補強材としてスチールコードが用いられている。とくに走行中にタイヤが発熱することによって、ゴムとスチールコードとが剥離すると、致命的なタイヤ故障の原因となる。
スチールコード被覆用ゴム組成物として、従来は、カーボンブラックを主な補強剤として使用されてきた。しかし近年、地球環境保全に対する関心が高まり、自動車においても例外ではなく、CO2排出抑制の規制が強化され、さらに、石油資源は有限であって供給量が年々減少していることから、将来的に石油価格の高騰が予測され、カーボンブラックなどの石油資源由来の原材料の使用には限界がみられる。このような背景から、タイヤを構成する部材にシリカなどを用いる手法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。しかし、シリカを用いた場合、ゴム組成物のムーニー粘度が上昇し加工性が悪化するという問題があった。この問題を解決するために、コード被覆用ゴム組成物に特定のシリカを用いて、転がり抵抗を低減し、加工性を向上させる手法も知られている。しかし、加工性を低下させないシリカでは、充分な補強性が得られないという問題もあった。
そこで、補強性を向上させるために、シリカとカップリング剤を用いて、シリカ表面とシラノール基とカップリング剤のエトキシ基の反応によりゴムを補強する手法も知られている。この場合は、混練り中にこの反応を促進させるために、混練り時の温度を140℃以上に上げることが必要となる。ただし、これだけではベース練り工程において、充分にシリカ表面のシラノール基とエトキシ基が反応しないため、スチールコードをゴム組成物で被覆するトッピング工程においてこの反応が進み、発生したエタノールが被覆したゴム組成物にたまり、いわゆるブリスターという現象が発生する。これが発生すると、トッピング工程でのライン速度を落とす必要が生じたり、ブリスターの部分のゴム厚さが不均一になり、その部分のスチールコードとゴムとの接着が悪化するという問題もある。また未反応のシランカップリング剤がロールの金属酸化物層と反応し、ゴムがロールから剥がれないという現象が生じ、生産性が悪化するという問題もあった。
特開2003−64222号公報
本発明は、環境に配慮することも、将来の石油資源の供給量の減少に備えることもでき、石油資源由来の原材料を主成分とするスチールコード被覆用ゴム組成物と比較しても、さらに、気泡の発生を抑制し、転がり抵抗を低減させ、加工性、ロール作業性、コードとの接着性および耐久性をバランスよく向上させることができるスチールコード被覆用ゴム組成物、ならびにそれを用いたベルトを有するタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ジエン系ゴム100重量部に対して、チッ素吸着比表面積が100〜200m2/gであるシリカを40〜80重量部、シランカップリング剤を1〜15重量部、およびホウ酸亜鉛を0.5〜4重量部含有するスチールコード被覆用ゴム組成物に関する。
前記スチールコード被覆用ゴム組成物は、さらに、ジエン系ゴム100重量部に対して、酸化亜鉛を10〜20重量部、硫黄を3.5〜6重量部、および有機酸コバルトを0.5〜2重量部含有することが好ましい。
前記シランカップリング剤は、以下の化学式で表されることが好ましい。
(RO)3−Si−(CH2x−Sn−(CH2x−Si−(OR)3
(式中、Rは直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜8のアルキル基、xは1〜8の整数、nはポリスルフィド部の硫黄原子の数を表し、n=2であるシランカップリング剤の含有率が全シランカップリング剤の60重量%以上であり、nの平均値は2〜3である)
前記スチールコード被覆用ゴム組成物は、ベースゴムの混練り温度が140〜160℃であることが好ましい。
また、本発明は、前記スチールコード被覆用ゴム組成物を用いたベルトを有するタイヤに関する。
本発明によれば、ジエン系ゴム、所定のシリカ、シランカップリング剤およびホウ酸亜鉛を所定量含有することで、環境に配慮することも、将来の石油資源の供給量の減少に備えることもでき、石油資源由来の原材料を主成分とするスチールコード被覆用ゴム組成物と比較しても、さらに、気泡の発生を抑制し、転がり抵抗を低減させ、加工性、ロール作業性、コードとの接着性および耐久性をバランスよく向上させることができるスチールコード被覆用ゴム組成物、ならびにそれを用いたベルトを有するタイヤを提供することができる。
本発明のスチールコード被覆用ゴム組成物は、ジエン系ゴム、シリカ、シランカップリング剤およびホウ酸亜鉛を含有する。
ジエン系ゴムとしては、とくに制限はなく、たとえば、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)などがあげられる。なかでも、環境に配慮し、将来の石油資源の供給量の減少に備えるという理由から、NRおよびENRが好ましく、NRがより好ましい。
NRとしては、とくに制限されるわけではなく、TSR20、RSS♯3などのゴム工業において一般的に使用されているものを使用することができる。
シリカとしてはとくに制限はなく、湿式法または乾式法により調製されたものを用いることができる。
シリカのチッ素吸着比表面積(以下、BETとする)は100m2/g以上、好ましくは120m2/g以上である。シリカのBETが100m2/g未満では、シリカの配合による補強性の改善効果が充分ではなく、ベルトエッジ耐久性が低下する。また、シリカのBETは200m2/g以下、好ましくは180m2/g以下である。シリカのBETが200m2/gをこえると、加工性が悪化する。なお、シリカのBETは、ASTM−D−4820−93に準じて測定できる。
シリカの配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して40重量部以上、好ましくは50重量部以上である。シリカの配合量が40重量部未満では、ゴムの補強効果が乏しく、ベルトエッジ耐久性が悪化する。また、シリカの配合量は80重量部以下、好ましくは70重量部以下である。シリカの配合量が80重量部をこえると、ムーニー粘度が上昇し、加工性が悪化する。
本発明で使用するシランカップリング剤は、以下の化学式で表されることが好ましい。
(RO)3−Si−(CH2x−Sn−(CH2x−Si−(OR)3
(式中、Rは直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜8のアルキル基、xは1〜8の整数、nはポリスルフィド部の硫黄原子の数を表し、n=2であるシランカップリング剤の含有率が全シランカップリング剤の60重量%以上であり、nの平均値は2〜3である)
式中において、Rは直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。
Rの炭素数は1〜8が好ましく、2〜7がより好ましい。Rの炭素数が0では、アルコキシ基が存在せず、シリカとシランカップリング剤との結合性が損なわれる傾向がある。また、Rの炭素数が8をこえると、シリカとシランカップリング剤との親和性が損なわれる傾向がある。
xは1〜8が好ましく、2〜7がより好ましい。xが0では、そのようなシランカップリング剤は化学的に不安定となり、ゴム組成物中におけるシランカップリング剤の分解および劣化が促進してしまう傾向がある。xが8をこえると、充分な補強効果を得るために必要なシランカップリング剤の含有量が過度に増大してしまう傾向がある。
nはポリスルフィド部の硫黄原子の数をあらわす。ここでnの平均値は2〜3が好ましい。nの平均値が2未満では、シランカップリング剤の分解温度が高くなり、より高温で混練りすることが可能となるが、加硫速度が速くなる傾向があり、3をこえると、シランカップリング剤の分解温度が低くなり、混練り中に分解しやすく、硫黄原子を放出して、混練り中にゴム焼けの問題が発生しやすい傾向がある。
このような条件をみたすシランカップリング剤は、たとえば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィドなどがあげられ、これらのシランカップリング剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、n=2であるシランカップリング剤の含有率は、全シランカップリング剤の60重量%以上が好ましい。n=2であるシランカップリング剤の含有率が60重量%未満では、混練り時の温度を140〜160℃に設定した場合にシランカップリング剤中の硫黄が放出されやすくなり、混練り中にゴムの加硫が進み、加工性が悪化する傾向がある。とくに、n=2であるシランカップリング剤の含有率は100重量%が最も好ましい。
シランカップリング剤の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して、1重量部以上、好ましくは2重量部以上である。シランカップリング剤の配合量が1重量部未満では、ゴム組成物の補強効果が充分に得られず、また、ムーニー粘度が大きくなり、加工性が悪化する。また、シランカップリング剤の配合量は15重量部以下、好ましくは12重量部以下である。シランカップリング剤の配合量が15重量部をこえると、ゴム組成物の物性および加工性の改善が見られず、さらにシランカップリング剤は高価な材料なので、ゴム組成物のコストが高くなる。
本発明に用いられるホウ酸亜鉛としては、四ホウ酸亜鉛(ZnB47)、メタホウ酸亜鉛(Zn(BO22)、塩基性ホウ酸亜鉛(ZnB47・2ZnO)、三ホウ酸二亜鉛3.5水和物(2Zn・3B23・3.5H2O)などがあげられる。
ホウ酸亜鉛の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して0.5重量部以上、好ましくは1重量部以上である。ホウ酸亜鉛の配合量が0.5重量部未満では、トッピング工程でのブリスターを止める効果が少なく、生産性が悪化したり、スチールコードとの接着性が悪化したりする。また、ホウ酸亜鉛の配合量は4重量部以下、好ましくは3重量部以下である。ホウ酸亜鉛の配合量が4重量部をこえても、ブリスター抑制の改善効果が飽和し、逆に、スチールコードとの接着性やベルトエッジ耐久性が低下する。
本発明のゴム組成物は、スチールコードとの接着性を向上させるために、酸化亜鉛、硫黄および有機酸コバルトを含有することが好ましい。
酸化亜鉛としては、とくに制限はなく、ゴム工業で通常使用されるものを使用することができる。
酸化亜鉛の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して10重量部以上が好ましく、13重量部以上がより好ましい。酸化亜鉛の配合量が10重量部未満では、ゴムとスチールコードとの接着性が低下し、ベルトエッジ耐久性に劣る傾向がある。また、酸化亜鉛の配合量は20重量部以下が好ましく、18重量部以下がより好ましい。酸化亜鉛の配合量が20重量部をこえると、酸化亜鉛の分散性が悪化し、酸化亜鉛の配合量が少ない場合と同様に、ベルトエッジ耐久性が低下する傾向がある。
本発明で使用できる硫黄としては、硫黄がゴム表面にブルーミングするのを抑制し、ゴム組成物の接着性を向上させ、タイヤ製造時にベルトエッジ部の接着不良を抑制できることから、不溶性硫黄が好ましく、具体的には、フレキシス製のクリステックスHSOT20や、三新化学工業(株)製のサンフェルEXなどがあげられる。
硫黄の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して3.5重量部以上が好ましく、4重量部以上がより好ましい。硫黄の配合量が3.5重量部未満では、接着強度および耐久性に劣る傾向がある。また、硫黄の配合量は6重量部以下が好ましく、5.5重量部以下がより好ましい。硫黄の配合量が6重量部をこえると、ゴムの耐熱劣化性が悪化するとともに、硫黄の多量配合によりゴム中に溶解しない硫黄分がゴム表面に析出するブルーミングという現象が発生しやすくなり、ムーニー粘度が高くなりやすいシリカ配合のゴム混練り時の厳密な温度管理が必要となり、生産性が悪くなる傾向がある。なお、硫黄として不溶性硫黄を配合する場合、硫黄の配合量とは、不溶性硫黄中のオイル分を除いた純硫黄の配合量を表す。
本発明で使用できる有機酸コバルトとしては、たとえば、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、オレイン酸コバルト、マレイン酸コバルトなどがあげられ、これらの有機酸コバルトは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、ゴム分子を酸化劣化させにくいという理由から、ステアリン酸コバルトが好ましい。
有機酸コバルトの配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して0.5重量部以上が好ましい。有機酸コバルトの配合量が0.5重量部未満では、スチールコードとゴムとの接着性が悪化する傾向がある。また、有機酸コバルトの配合量は2重量部以下が好ましい。有機酸コバルトの配合量が、2重量部をこえると、有機酸コバルトの酸化作用により、ゴムの分子が酸化劣化し、加硫ゴムの補強性が低下したり、スチールコードの真鍮メッキ層とゴム中の硫黄との反応性が低下して接着性が悪化したりする傾向がある。
本発明では、所定のシリカを配合することでゴムの補強性を向上させ、シリカを配合することにより悪化する加工性を改善させるためにシランカップリング剤を配合するだけでなく、さらに、ホウ酸亜鉛を配合することで、シランカップリング剤の反応性を高め、トッピング加工時におけるブリスターや、ロール作業性を向上させることができる。
本発明のスチールコード被覆用ゴム組成物は、石油外資源を主成分とすることで、環境に配慮し、将来の石油の供給量の減少に備えることを目的としており、カーボンブラック、石油資源由来の樹脂、プロセスオイルなどを使用しないことが好ましい。
本発明のスチールコード被覆用ゴム組成物には、前記ジエン系ゴム、シリカ、シランカップリング剤、ホウ酸亜鉛、酸化亜鉛、硫黄および有機酸コバルト以外にも、従来ゴム工業において使用される配合剤、たとえば、各種老化防止剤、各種加硫促進剤などを、必要に応じて適宜配合することができる。
本発明のスチールコード被覆用ゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどでジエン系ゴム、シリカ、シランカップリング剤、ホウ酸亜鉛および必要に応じて前記配合剤を混練りし、その後加硫することにより、本発明のスチールコード被覆用ゴム組成物を製造することができる。
なお、本発明のスチールコード被覆用ゴム組成物を製造する際には、ベースゴムの混練り温度(混練り時の排出温度)を140℃〜160℃とすることが好ましい。ベースゴムの混練り温度が140℃未満では、ゴム、シリカ、シランカップリング剤などの反応が進みにくくなり、転がり抵抗を低減させ、接着性および耐久性に優れたゴム組成物を得られない傾向があり、160℃をこえると、シランカップリング剤から硫黄が放出されやすくなり、混練り中にゴムの加硫がはじまり、加工性が悪化する傾向がある。
本発明のスチールコード被覆用ゴム組成物は、ゴムとスチールコードとの接着強度に優れているという理由から、スチールコードを被覆してカーカスまたはベルトとして使用することが好ましく、ベルトとして使用することがより好ましい。
本発明のタイヤは、本発明のスチールコード被覆用ゴム組成物を用いて、通常の方法により製造することができる。すなわち、スチールコードを、必要に応じて前記配合剤を配合した未加硫の状態の本発明のスチールコード被覆用ゴム組成物で被覆することでたとえば、ベルトの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、本発明のタイヤを製造することができる。
このように、本発明のスチールコード被覆用ゴム組成物を用いることで、本発明のタイヤを環境に配慮することも、将来の石油の供給量の減少に備えることもできるエコタイヤとすることができる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例および比較例で使用した各種薬品をまとめて説明する。
天然ゴム(NR):TSR20
シリカ(1):デグッサ社製のウルトラジルVN3(BET:175m2/g)
シリカ(2):ローディア社製の115GR(BET:112m2/g)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi75(ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、以下の化学式において、Rはエチル基である)
(RO)3−Si−(CH2x−Sn−(CH2x−Si−(OR)3
(式中、nはポリスルフィド部の硫黄原子の数を表し、n=2であるシランカップリング剤の含有率が全シランカップリング剤の60重量%以上であり、nの平均値は2〜3である)
ホウ酸亜鉛:ボラックス(BORAX)社製のファイヤーブレークZB(Fire Break ZB)
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
有機酸コバルト:大日本インキ化学工業(株)製のステアリン酸コバルト(コバルト含有量:10.0重量%)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
不溶性硫黄:フレキシス社製のクリステックスHSOT20(硫黄80重量%およびミネラルオイル20重量%含む不溶性硫黄)
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDZ(N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
実施例1〜2および比較例1〜4
表1に示す配合処方にしたがい、(株)神戸製鋼所製のバンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を150℃の条件下で6分間混練りし、混練り物を得た。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を添加し、98℃の条件下で5分間混練りし、未加硫ゴム組成物を得た。さらに、得られた未加硫ゴム組成物を170℃の条件下で14分間プレス加硫し、実施例1〜2および比較例1〜4の加硫ゴム組成物を得た。
(加工性)
前記未加硫ゴム組成物から所定のサイズの試験片を作製し、JIS K 6300「未加硫ゴムの試験方法」に準じて、ムーニー粘度試験機を用いて、1分間の予熱によって熱せられた130℃の温度条件にて、小ローターを回転させ、4分間経過した時点でのムーニー粘度(ML1+4、130℃)を測定し、比較例1のムーニー粘度指数を100とし、以下の計算式により、各配合のムーニー粘度を指数表示した。なお、ムーニー粘度指数が大きいほどムーニー粘度が小さく、加工性に優れることを示す。
(ムーニー粘度指数)=(比較例1のムーニー粘度)
÷(各配合のムーニー粘度)×100
(ロール作業性)
前記加硫ゴム組成物の作製におけるオープンロールを用いる工程において、ロール温度を70±3℃、25±3℃に調節した2台のオープンロールを用いて、ロール作業性を評価した。具体的には、ロール温度を70±3℃に調節したオープンロールでゴムを練り込み、ゴム温度が70℃以上になったことを確認した後、ロール温度を25±3℃に調節したオープンロールを用いて練り込み、ロール表面とゴムとの密着程度を以下の基準で評価した。
3点:ゴムをロールから引き剥がすことができ、ロール作業性に優れる。
2点:ゴムをロールから引き剥がすことはできるが、手でゴムをロールから引き剥がす操作が必要であり、ロール作業性は、許容レベルである。
1点:ゴムがロールに密着し、ロールを用いて連続作業ができない。ロールをいったん停止させ、ゴムをロール表面から操作が必要となり、ロール作業性に劣る。
(エアーインテスト)
前記加硫ゴム組成物から、5cm四方、厚さ1cmのゴム試験片を切り取り、温度を130℃に調節したオーブン中で1時間放置した。その後、ゴム試験片を取り出し、ゴム試験片の内部を観察し、以下の基準により、気泡の発生の有無を評価した。
5点:エアー(気泡)がまったく認められない。
4点:直径1mm以下の細かいエアー(気泡)が少数確認できる。
3点:直径1mm以上の大きいエアー(気泡)が少数確認できる。
2点:直径1mm以上の大きいエアーが多数発生し、外観上も膨らんでいるのがわかる。
1点:多数のエアー(気泡)がつながって空洞になっている。
(コード接着性)
真鍮メッキを施したスチールコードを25mm間隔に22本並べ、これを前記未加硫ゴム組成物で被覆し、170℃の条件下で14分間プレス加硫し、試験片を作製した。その後、スチールコードからゴムを剥離させ、スチールコードがゴムで被覆されている程度を、目視にて評価した。
5点:スチールコードの全面がゴムで覆われている。
4点:スチールコードがゴムに覆われていない部分が少数(5ヵ所以内)がある。
3点:スチールコードがゴムに覆われていない部分が多数(10ヵ所以内)ある。
2点:スチールコードのほとんど全面がゴムで覆われていない。
1点:スチールコードが、ゴムで覆われている部分がない。
(転がり抵抗指数)
スチールコードを前記未加硫ゴム組成物で被覆し、ベルトの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で14分間プレス加硫し、試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15、Hレンジ)を製造した。
転がり抵抗試験機を用いて、製造した試験用タイヤの転がり抵抗を測定し、比較例1の転がり抵抗指数を100とし、以下の計算式により、各配合の転がり抵抗を指数表示した。なお、転がり抵抗指数が大きいほど、転がり抵抗を低減でき、好ましいことを示す。
(転がり抵抗指数)=(比較例1の転がり抵抗)/(各配合の転がり抵抗)×100
(耐久性試験)
製造したタイヤに酸素を40%、チッ素を60%の割合で注入し、内圧を200MPaに設定し、温度を60℃に設定したオーブンに3週間保管して老化させ、JIS規格の荷重100%、走行速度110km/hで、ドラム上を30000km走行させた。その後、タイヤの周上の4ヵ所からカットセクションを切り出し、その切断面にて、ベルトエッジと隣接するベルトエッジにて発生するセパレーションの長さ(セパレーション長さ)を測定し、それを8ヵ所について合計し、比較例1のベルトエッジ耐久性指数を100とし、以下の計算式により、各配合のセパレーション長さの合計を指数表示した。なお、ベルトエッジ耐久性指数が大きいほど、ベルトエッジ耐久性に優れることを示す。
(ベルトエッジ耐久性指数)=(比較例1のセパレーション長さの合計)
÷(各配合のセパレーション長さの合計)×100
前記評価結果を表1に示す。
Figure 2008156448
比較例1は、カーボンブラックを配合する従来の配合である。
ホウ酸亜鉛の配合量が少ない比較例2および3では、気泡の発生を抑制することができず、ロール作業性を向上させられないため、生産性に劣っていた。
ホウ酸亜鉛の配合量が多い比較例4では、スチールコードとの接着性が悪化するうえに、ベルトエッジ耐久性も悪化した。
それに対して、実施例1および2では、シリカ、シランカップリング剤およびホウ酸亜鉛を所定量配合しており、気泡の発生を抑制し、転がり抵抗を低減させ、加工性、ロール作業性、コードとの接着性および耐久性をバランスよく向上させることができた。

Claims (5)

  1. ジエン系ゴム100重量部に対して、
    チッ素吸着比表面積が100〜200m2/gであるシリカを40〜80重量部、
    シランカップリング剤を1〜15重量部、および
    ホウ酸亜鉛を0.5〜4重量部含有するスチールコード被覆用ゴム組成物。
  2. さらに、ジエン系ゴム100重量部に対して、
    酸化亜鉛を10〜20重量部、
    硫黄を3.5〜6重量部、および
    有機酸コバルトを0.5〜2重量部含有する請求項1記載のスチールコード被覆用ゴム組成物。
  3. シランカップリング剤が、以下の化学式で表される請求項1または2記載のスチールコード被覆用ゴム組成物。
    (RO)3−Si−(CH2x−Sn−(CH2x−Si−(OR)3
    (式中、Rは直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜8のアルキル基、xは1〜8の整数、nはポリスルフィド部の硫黄原子の数を表し、n=2であるシランカップリング剤の含有率が全シランカップリング剤の60重量%以上であり、nの平均値は2〜3である)
  4. ベースゴムの混練り温度が140〜160℃である請求項1、2または3記載のスチールコード被覆用ゴム組成物。
  5. 請求項1、2、3または4記載のスチールコード被覆用ゴム組成物を用いたベルトを有するタイヤ。
JP2006345826A 2006-12-22 2006-12-22 スチールコード被覆用ゴム組成物およびそれを用いたベルトを有するタイヤ Expired - Fee Related JP5122123B2 (ja)

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