JP2008155471A - マーキングされた塗装品、マーキングされた塗装品の生産方法及び電子機器の筐体 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のレーザマーキングでは、樹脂のための着色剤或いは塗装剤のための着色剤としてカーボン入りの顔料を用いていたため、レーザ光が当たった照射部分のカーボンが焼け焦げて表面がゴツゴツしてしまい、印刷としての品位が劣る結果になっていた。
【解決手段】染料により着色された樹脂で作られたパネルケース11の表面に、その成型物11aよりも明度の高い塗装層25を形成し、その塗装層25の所望の部分をレーザマーキングにより除去してパネルケース11に、その成型物11aの地肌を露出させたマーキング部28を形成した。
【選択図】図3
【解決手段】染料により着色された樹脂で作られたパネルケース11の表面に、その成型物11aよりも明度の高い塗装層25を形成し、その塗装層25の所望の部分をレーザマーキングにより除去してパネルケース11に、その成型物11aの地肌を露出させたマーキング部28を形成した。
【選択図】図3
Description
本発明は、レーザマーキングによって作られる文字、図形、記号、模様等がマーキングされた塗装品、そのマーキングされた塗装品の生産方法、及び、マーキングされた塗装品を用いた電子機器の筐体に関するものである。
従来の、レーザマーキング方法としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、文字、記号、図形等のマーキング部をレーザ光の照射により形成するレーザマーキング方法およびマーキングシートに関するものが記載されている。この特許文献1に記載されたレーザマーキング方法は、「粘着層と、この粘着層の一面側に剥離可能に設けられた被覆シート層と、前記粘着層の他面側に設けられ、レーザ光の吸収性が良い有色層とを少なくとも有するマーキングシートに対して、レーザ光照射により前記有色層の所定箇所を除去して、マーキング部を形成する」ことを特徴としている。
このような構成を有するレーザマーキング方法によれば、「有色層の色と製品外表面の色とのコントラストによりマーキング部を表示できる構成とすることができ、そのため簡単な構成のマーキングシートにレーザ光を照射してマーキング部を形成するだけでよく、従来技術のような色調の異なる第2の色層を形成する必要がなく、製品外表面自身の色を利用してマーキング部の表示を良好に行うことができる。」(明細書の段落[0016])等の効果が期待される。
従来の、レーザマーキング方法の第2の例として、例えば、特許文献2に記載されているようなものもある。特許文献2には、各種の機器に組付けられる金属製部品の適所に、メーカー名、型式、品番等の各種の表示を付するマーキング方法及びそのマーキング方法を用いた金属製部品に関するものが記載されている。この特許文献2に記載されたマーキング方法は、「金属材からなる被処理部品の表面に塗装を施し、この塗装面にレーザ光を照射して所定のパターンの彫り込みを形成する」ことを特徴としている。
このような構成を有するマーキング方法によれば、「銘板や印刷原板を用いることなく低コストで所望の表示を部品外表面に簡単容易に付することができる。」(明細書の段落[0027])等の効果が期待される。
また、従来のレーザマーキング方法の第3の例として、例えば、特許文献3に記載されているようなものもある。特許文献3には、塗装した塗料にレーザ光を照射し、その照射部分の塗料を燃焼させて除去することによりマーキングを行う方式のレーザマーキングに関するものが記載されている。この特許文献3に記載されたレーザマーキング方法は、「塗装された塗料にレーザ光を照射し、その照射部分の塗料を燃焼させて除去することにより、マーキングを行う方法であって、上記塗料にレーザ光を吸収する成分として金属粉を混合し、その金属粉の発熱によって上記塗料を燃焼させる」ことを特徴としている。
このような構成を有するレーザマーキング方法によれば、「塗装された塗料にレーザ光を照射し、その照射部分の塗料を燃焼させて除去する方式のレーザマーキングにおいて、任意の色調の塗料を使用し、その色調を損なうことなく、良好にレーザマーキングすることができる」(明細書の段落[0013])等の効果が期待される。
特開平8−132258号公報
特開2000−334584号公報
特開2003−24868号公報
一般に、レーザ加工に用いられるレーザは、発振波長によって2つに大別される。その1は、発振波長が1064nmの近辺にあるものであり、光を増幅させる媒質・方式等の違いによって印字等の可能な対象物が異なっている。この発振波長1064nmのレーザは、樹脂及び金属の加工は良好であるが、透明な物体の加工を行うことはできない。この種のレーザの代表的なものとしては、YAG(Y3Al5O12:イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザ、YVO4レーザ、FAYbレーザをあげることができる。YAGレーザは、金属の彫刻が可能であり、波長の低いものも提供されている。YVO4レーザは、金属の印字が可能であり、微細なマーキングに向いている。また、FAYbレーザは、本体が小さく、励起効率が良いという特徴を有している。
その2は、発振波長が10600nmの近辺にあるものであり、この発振波長10600nmのレーザは、紙や透明な物体への印字が可能である。この種のレーザの代表的なものとしては、CO2レーザをあげることができる。CO2レーザは、樹脂及び透明な物体の加工は可能であるが、金属を加工することはできないという特徴を有している。
このレーザマーキングにおいて、使用する波長によって加工できる対象物が異なるのは、次のような理由による。即ち、加工対象物が金属の場合、発振波長が1064nmのレーザ光は金属に吸収されるため加工が可能となる。その一方、発振波長が10600nmのレーザ光は金属の表面で反射してしまうため、加工が不可能となる。これに対して、透明な物体の場合、発振波長が1064nmのレーザ光は透明物体を透過してしまうため加工が不可能となる。その一方、発振波長が10600nmのレーザ光は透明物体に吸収されるため加工が可能となることによる。
また、この種のマーキングが施される成型物の材料としては、その代表例として樹脂をあげることができる。樹脂には、天然樹脂と合成樹脂があり、また、熱可塑性のものと、熱硬化性のものに分けることができる。この樹脂は、材質によって性質は異なるが、一般的には、加工が容易であって、重量が比較的軽く、ある程度の強度も備えている等の特徴を有している。このような樹脂は、一般的には無色透明であるため、着色剤で色づけして使用されている。
この樹脂のための着色剤としては、一般的に顔料が用いられている。顔料は、彩色に利用される不溶性の有色又は無色の物質であり、その微粉末を適当な媒体(ビヒクル)に分散させ、プラスチック、ゴム等に直接練り込むことによって彩色に用いられている。この顔料系のものにはカーボン(C)が含まれており、そのカーボンは材料を簡単且つ確実に黒くすることができる。そのため、材料を黒くする場合には、カーボンの入った顔料を着色剤として使用している。ところが、カーボンの入った顔料が練り込まれた樹脂は、そのカーボンの存在によって材料自体が熱を持ち易くなる。そのため、カーボン入りの樹脂にレーザマーキングを施すと、レーザ加工時に、レーザ光が照射された部分のカーボンが焼け焦げてしまうという問題がある。
図6は、カーボンの入った塗装膜が、レーザ光の照射によって焼け焦げを生じた状態を断面して示す説明図である。図7は、図6に示す状態が生じた成型物のマーキング部をカメラで撮影して写真で表した説明図である。図6において、符号100は成型物であり、この成型物100の表面に塗装層101が設けられている。この塗装層101のうち、レーザ光が当たった照射部分102は、カーボンが焼け焦げて表面がゴツゴツしてしまい、印刷としての品位が劣る結果になっていた。この焼け焦げが大きくなると、材料自体に含まれているカーボンまでが焼け焦げてしまい、材料色が変化して指定された印刷色を忠実に出すことができないという問題があった。
これに対して、本願発明者が、樹脂のための着色剤として染料を使用したところ、マーキング部において、材料色が変化することなく、指定された印刷色を忠実に出すことができた。この染料と顔料とによる結果の違いを検討したところ、顔料にはカーボンが含まれているため、そのカーボンが焼け焦げることによって上記問題が生しており、染料にはカーボンが含まれていないため、そのような焼け焦げが生じないことが判明した。
解決しようとする問題点は、従来のレーザマーキングでは、樹脂のための着色剤或いは塗装剤のための着色剤としてカーボン入りの顔料を用いていたため、レーザ光が当たった照射部分のカーボンが焼け焦げて表面がゴツゴツしてしまい、印刷としての品位が劣る結果になっていたという点である。
本出願のマーキングされた塗装品は、染料により着色された樹脂で作られた成型物の表面に、その成型物よりも明度の高い塗装層を形成し、その塗装層の所望の部分をレーザマーキングにより除去して成型物に、その成型物の地肌を露出させたマーキング部を形成したことを最も主要な特徴とする。
本出願のマーキングされた塗装品の生産方法は、染料により着色された樹脂で作られた成型物の表面に、その成型物よりも明度の高い塗装層を形成する塗装工程と、塗装層の所望の部分をレーザマーキングにより除去して成型物に、その成型物の地肌を露出させたマーキング部を形成するレーザ除去工程と、からなることを特徴とする。
また、本出願の電子機器の筐体は、電子機器に用いられる筐体であって、その筐体は、染料により着色された樹脂で作られた成型物からなり、その成型物の表面に、その成型物よりも明度の高い塗装層を形成し、その塗装層の所望の部分をレーザマーキングにより除去して成型物に、その成型物の地肌を露出させたマーキング部を形成したことを特徴とする。
このように構成することにより、本出願のマーキングされた塗装品、その生産方法及び電子機器の筐体では、成型物を形成する樹脂のための着色剤として染料を使用することにより、レーザマーキングによるマーキング部において、成型物の材料色が変化することなく、指定された印刷色を忠実に出すことができ、指定された色を鮮やかに表示可能なマーキングを実現することができる。
指定された色を鮮やかに表示可能なマーキングされた塗装品、そのマーキングされた塗装品の生産方法、及び、マーキングされた塗装品を用いた電子機器の筐体を、簡単な構成によって実現した。
図1〜図5は、本発明の実施の形態の例を示すものである。即ち、図1及び図2は、本発明のマーキングされた塗装品を有する電子機器の第1の実施の例を示すビデオカメラのそれぞれ外観斜視図である。図3は、本発明のレーザマーカの概略構成を示す説明図、図4及び図5は本発明の塗装品にマーキングを施す状態を説明するそれぞれ説明図である。
まず、本発明のマーキングされた塗装品を有する電子機器の第1の実施の例としてあげる撮像装置について、図1及び図2を参照して説明する。図1〜図2に示す装置は、撮像装置の第1の実施の例として適用したデジタルビデオカメラ1である。このデジタルビデオカメラ1は、情報記憶媒体の一具体例を示す光ディスクを情報記憶メディアとして使用し、光学的な画像を、撮像機構の一具体例を示す撮像素子{例えば、CCD(電荷結合素子)、CMOSイメージセンサ等}で電気的な信号に変換して、その画像情報を光ディスクに記録したり、液晶ディスプレイ等の平面パネルからなる表示装置に表示できるようにしたものである。
しかしながら、本発明の電子機器の一具体例を示す撮像装置に使用される情報記憶媒体としては、この実施例で示す光ディスク(DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等)に限定されるものではなく、例えば、MO、FDその他の記録可能な光磁気ディスク、磁気ディスク等のディスク状記録媒体を用いることができる。これらのディスク状記録媒体を使用する電子機器としては、例えば、光磁気ディスクを用いる場合には光磁気ディスク式スチルカメラとして適用可能であり、更に、磁気ディスクを用いる場合には磁気ディスク式電子手帳として実現することができる。
また、本発明に適用可能な情報記憶媒体としては、上述したようなディスク状記録媒体に限定されるものではなく、例えば、磁気テープを使用したテープ状記憶媒体、半導体メモリを使用した半導体記憶媒体、メモリカードを使用したカード状記憶媒体等のように各種の記憶媒体を用いることができるものである。
図1及び図2に示すように、デジタルビデオカメラ1は、外観形態を構成する筐体の一具体例を示す外装ケース2と、この外装ケース2の内部に収納されると共に着脱自在に装着される光ディスクを回転駆動して情報信号の記録(書き込み)及び再生(読み出し)を行うディスクドライブ装置と、このディスクドライブ装置の駆動制御等を行う制御回路と、被写体の像を光として取り込んで撮像素子に導くレンズ装置3と、外装ケース2に回動自在に取り付けられた表示装置4等を備えて構成されている。
外装ケース2は、略直方体をなす中空の筐体からなり、左右方向に対向させて配置された駆動装置側パネル及び表示装置側パネルと、両パネルを組み合わせることによって構成される筒体の前側開口部を閉じるフロントパネルと、その筒体の後側開口部を閉じるリアパネルを有している。この外装ケース2は、長手方向を前後方向に設定すると共に幅方向に立ち上げたような状態で使用されている。この外装ケース2の上部に、レンズ系の撮像レンズである対物レンズ5を正面に露出させた状態でレンズ装置3が配設されている。
レンズ装置3は、そのレンズ系の光軸を水平方向に向けた状態で外装ケース2に取り付けられている。図示しないが、外装ケース2の内部において、レンズ装置3の後部に撮像素子が取り付けられている。そして、レンズ装置3の後方に、そのレンズ装置3から入力された被写体の画像を写し出すビューファインダ装置6が配置されている。更に、外装ケース2の上部には、ビデオライトや外付けマイクロホン等のアクセサリーが着脱自在に装着されるアクセサリーシューを露出させる開口部が設けられている。アクセサリーシューはビューファインダ装置6の直前に配置されており、通常は、開口部を開閉するシューキャップ7によって着脱可能に覆われている。更に、外装ケース2の前面には、フラッシュ装置の発光部8が配置され、また、ステレオ方式のマイクロホン9が内蔵されて配置されている。
外装ケース2の一方の側面には、表示装置4が姿勢変更可能に取り付けられている。表示装置4は、平板状の液晶ディスプレイ等からなる平面パネル10と、この平面パネル10が収納されたパネルケース11と、このパネルケース11を外装ケース2に対して姿勢変更可能に支持するパネル支持部12とを備えて構成されている。パネル支持部12は、垂直軸を回動中心としてパネルケース11を水平方向に略90度回動可能とした水平回動部と、水平軸を回動中心としてパネルケース11を前後方向に略180度回動可能とした前後回動部とを有している。
これにより、表示装置4は、図1に示すように外装ケース2の側面に収納した収納状態と、図2に示すようにパネルケース11を水平方向へ90度回動させて平面パネル10を後方へ対向させた状態と、その後方対向状態からパネルケース11を180度回動させて平面パネル10を前方へ対向させた状態と、それらの中間位置の状態とを任意に取ることができるようになっている。この表示装置4の上方の外装ケース2の上面には、複数の操作ボタンからなる操作部13が設けられている。
外装ケース2の表示装置4と反対側の側面には、光ディスクが着脱可能に装着されるディスク装着部を開閉自在に覆うディスクカバー14が開閉可能に設けられている。ディスクドライブ装置は、ターンテーブルに装着された光ディスクを所定速度(例えば、線速度一定)で回転駆動すると共に、光ピックアップを光ディスクの半径方向に移動させ、光ディスクの情報記録面に対して情報信号の記録(書き込み)及び/又は再生(読み出し)を行う装置である。このディスクドライブ装置を覆うディスクカバー14には、モード選択スイッチを兼ねる電源スイッチ15と、静止画の撮影を行うシャッタボタン16と、所定の範囲内で画像を連続的に拡大(テレ)又は縮小(ワイド)させるズームボタン17と、ディスクカバー14のロックとそのロック解除を行う開閉スイッチ18と、動画撮影を行う録画ボタン19等が設けられている。
電源スイッチ15は、回動操作によって電源をオン・オフ切り換える機能と、電源をオンした状態で回動操作することにより複数の機能モードを繰り返すように切り換える機能とを有している。更に、図示しないが、ディスクカバー14にはハンドベルトが取り付けられており、そのハンドベルトにはハンドパッドが装着されている。ハンドベルト及びハンドパッドは、外装ケース2を握るユーザーの手を支え、デジタルビデオカメラ1の取り落とし等を防止するものである。
また、外装ケース2の背面には、携帯用電源である図示しないバッテリー装置が着脱可能に装着されるバッテリー収納部21が設けられている。バッテリー収納部21は、外装ケース2の背面の略中央に配設されており、外装ケース2の背面を構成するリアパネルにおいて後方へ開口するように設けられている。この外装ケース2の背面のバッテリー収納部21の右側には前記録画ボタン19が配置されている。
図1に示すように、表示装置4のパネルケース11の表面の下部には、このデジタルビデオカメラ1の機種名を表す機種記号(この実施例では「ABC−123」)23がレーザマーキングによって設けられている。この機種記号23は、パネルケース11の成型物11aの表面に、塗装とUVコーティングを施した後、レーザマーカ30を使用してレーザマーキングすることによって形成されている。
図3及び図4に示すように、パネルケース11の成型物11aの表面には、適当な色を有する塗料を塗布することによって塗装層25が設けられている。この塗装層25を形成する工程が第1の層形成工程である。更に、塗装層25の上には、UV(紫外線)塗料をUVコーティングすることによって透明な透明層26が設けられている。この透明層26を形成する工程が第2の層形成工程である。この透明層26と塗装層25の所望部分をレーザ光で除去することにより、その除去部分によって所定の文字、数字、記号、図形、模様等を表示するレーザマーキングが形成される。塗装層25は、成型物11aよりも明度の高いものを使用する。なお、成型物11aの地肌は、黒色又は灰色が好適であるが、その他の色を用いることができることは勿論である。
成型物11aの材料としては、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)、PC(ポリカーボネート)+ABS等のプラスチックが好適である。しかしながら、成型物の材料として、その他のエンジニアリングプラスチックを適用できることは勿論のこと、金属、ガラス、セラミック等の各種の材料を適用できるものである。なお、成型物11aは、染料によって着色されたものを使用する。この場合、染料には、カーボン(C)の入っていないものが好ましいが、カーボンを含んでいるものを使用することもできる。
ここで、染料とは、可視光線を選択的に吸収して固有の色をもつ物質(色素)のうち、適当な染色法によって繊維に染着し、且つ、日光、洗濯、摩擦等の日常遭遇する外的条件に対して相当な堅牢度を示すものをいう。染料には、天然染料と合成染料とがある。有機化合物が発色するためには、可視領域(400nm〜800nm)の光を選択的に吸収する必要があり、このとき残りの色(補色)が黄、赤、緑などの色となって肉眼に見える。そして、可視領域の全部に亘って吸収が起これば、灰色又は黒色に見える。染色的に分類すると、直接染料、酸性染料、媒染染料、塩基性染料、硫化染料、建染め染料、可溶性建染め染料、分散染料、反応染料、油溶染料等に分類される。また、塗料としては、油性ペイント、ワニス、エナメルペイントなどの塗料、酒精(セラックス、白ラックス、速乾ニス)塗料、合成樹脂塗料(フェノール樹脂、エポキシ樹脂など)、セルロース誘導体の塗料等のように各種の塗料を適用することができる。
次に、レーザマーカ30の概略構成を、図3に示す。このレーザマーカ30は、レーザ光を被加工物に照射吸収させて加工を行うもので、レーザ光を発生させるレーザ発生部31と、このレーザ発生部31で発生したレーザ光を折り曲げて被加工物(成型物)に照射させるミラー32と、このミラー32を走行させたり回動させたりして被加工物の所定位置にレーザ光を照射させる駆動部33と、この駆動部33の動作を駆動制御する制御部34と、この制御部34を制御する制御信号を入力する操作部35等を備えて構成されている。
レーザマーカ30のレーザ発生部31としては、例えば、レーザ光の発振波長が1064nmタイプのYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザ、YVO4レーザ、FAYbレーザ等を代表例としてあげることができる。更に、レーザ発生部31は、少なくとも2種類の周波数によってレーザ光を発射できる機能を有している。第1の周波数は、5kHz乃至20kHzであり、最も好ましい周波数は10kHz程度である。この低い周波数のレーザ光では、成型物11aの表面に塗布される塗装層25を保護するための図示しないUV(紫外線)層(透明層)を破壊する。
また、第2の周波数は、100kHz乃至300kHzであり、最も好ましい周波数は200kHz程度である。この高い周波数のレーザ光では、低い周波数のレーザ光で前処理した前処理部に2度かきして、塗装層25を前処理部と同時に剥がす。これにより、成型物であるパネルケース11の表面に、レーザマーキングによって形成されたマーキング部28が出現される。この状態におけるマーキング部28は、図5に表したような状態で、認識される。これによれば、図7の状態に比べて、表示された文字の全体をはっきりと認識することが可能となり、綺麗な文字や数字、記号等を表示することが可能となる。
図5に示したように、透明層(UV層)を設けない場合には、適度な周波数を用いて、塗装層25を直接破壊する。この場合は、レーザ光の発振波長が10600nmタイプのCO2レーザ、その他のレーザを用いることもできる。即ち、成型物のマーキングは、例えば、レーザマーカ30を用いて次のようにして作られる。
レーザマーカ30の適当な周波数によるレーザ光で、塗装層25を剥がす。これにより、塗装層25の塗料のみを剥がし、成型物11aの表面を焼け焦がすことなく、材料の色そのものを印刷色としてマーキング部28を形成することができる。これは、成型物11aの着色剤として染料が用いられており、その染料にはカーボンが含まれていないため、レーザ光を照射されても焦げる成分がなく、従って、塗装だけを剥がして材料色そのものを印刷色として再現できたものである。
なお、高い周波数による2次加工を行う場合には、前処理部の全体を除去するようにしてもよく、また、前処理部の一部のみを除去するようにしてもよい。
なお、高い周波数による2次加工を行う場合には、前処理部の全体を除去するようにしてもよく、また、前処理部の一部のみを除去するようにしてもよい。
以上説明したように、本発明のマーキングされた塗装品、マーキングされた塗装品の生産方法、及び、マーキングされた塗装品を備えた電子機器の筐体によれば、染料のみで調色を行った成型物(材料)に塗装を行い、これをレーザマーキングすることにより、成型物にはレーザ光によって焼き焦げる成分がないため、塗装だけを剥がして材料色そのものを印刷色として再現することができる。そのため、レーザ光が当たってゴツゴツした部分が残ることなく、余分な部分を全て除去して地肌の綺麗な色を出すことができる。そのため、マーキング工程を簡単なものとして、綺麗なマーキングを安価に製造することができる。
本発明は、前述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、前記実施例では、撮像装置の具体例としてデジタルビデオカメラに適用した例について説明したが、アナログビデオカメラに適用できることは勿論のこと、電子スチルカメラ、DSC等の撮像装置、パーソナルコンピュータ、携帯電話、PHS、通信機器、パソコンの端末装置、電子辞書、DVDプレーヤ、カーナビゲーションその他各種の電子機器に適用できるものである。特に、小型で種類の多い物(仕向け地、機種が多い物)等に用いると好適である。また、前記実施例においては、表示装置のパネルケースにレーザマーキングを施した例について説明したが、その他の部位、例えば、外装ケース、シューキャップ、ディスクカバー、各種の操作ボタン等にマーキングしてもよいことは勿論である。
1…デジタルビデオカメラ(電子機器)、 2…外装ケース(筐体)、 3…レンズ装置、 4…表示装置、 11…パネルケース、 14…ディスクカバー、 23…機種記号、 25…塗装部、 28…マーキング部、 30…レーザマーカ、 31…レーザ発生部、 32…ミラー、 33…駆動部、 34…制御部、 35…操作部
Claims (7)
- 染料により着色された樹脂で作られた成型物の表面に、当該成型物よりも明度の高い塗装層を形成し、
前記塗装層の所望の部分をレーザマーキングにより除去して前記成型物に、当該成型物の地肌を露出させたマーキング部を形成した
ことを特徴とするマーキングされた塗装品。 - 前記成型物は、黒色又は灰色の地肌を有する樹脂によって作られている
ことを特徴とする請求項1記載のマーキングされた塗装品。 - 前記レーザマーキングは、波長が1064nmの近赤外線スペクトルの電磁波を放射するレーザマーカによって作られている
ことを特徴とする請求項1記載のマーキングされた塗装品。 - 染料により着色された樹脂で作られた成型物の表面に、当該成型物よりも明度の高い塗装層を形成する塗装工程と、
前記塗装層の所望の部分をレーザマーキングにより除去して前記成型物に、当該成型物の地肌を露出させたマーキング部を形成するレーザ除去工程と、からなる
ことを特徴とするマーキングされた塗装品の生産方法。 - 前記レーザ除去工程は、レーザマーカから波長が1064nmの近赤外線スペクトルの電磁波を放射して行う
ことを特徴とする請求項4記載のマーキングされた塗装品の生産方法。 - 電子機器に用いられる筐体であって、
前記筐体は、染料により着色された樹脂で作られた成型物からなり、
前記成型物の表面に、当該成型物よりも明度の高い塗装層を形成し、
前記塗装層の所望の部分をレーザマーキングにより除去して前記成型物に、当該成型物の地肌を露出させたマーキング部を形成した
ことを特徴とする電子機器の筐体。 - 前記成型物は、黒色又は灰色の地肌を有する樹脂によって作られている
ことを特徴とする請求項6記載の電子機器の筐体。
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