JP2008153038A - プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光効率を向上させるとともに、製造コストを削減できる3電極面放電方式のプラズマディスプレイパネルを提供する。
【解決手段】3電極面放電方式のプラズマディスプレイパネル100の製造方法であって、前面板1または誘電体10上にレジスト層15を形成するレジスト層形成工程と、レジスト層15に、所望の電極パターンに対応する形状の開口部15a,26aを形成する開口部形成工程と、開口部15a,26aの前面板1または誘電体10上、およびレジスト層15上に表示電極(X)5,(Y)6またはアドレス電極(A)8なる電極層をPVDにより堆積する電極層形成工程と、レジスト層15およびその上に形成された電極層を、前面板1または誘電体10から剥離する剥離工程とを含み、レジスト層15が前面板1または誘電体10への堆積領域外に形成されるように、レジスト層15を、開口部15a,26aにおいて、ひさし型に形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル、特に3電極面放電方式のプラズマディスプレイパネルおよびその製造方法に関するものである。
従来、プラズマディスプレイパネルに関しては、各種文献、特に特許庁の平成16年度特許出願技術動向調査報告書「プラズマディスプレイパネルの構造と製造方法」に示されているように、様々な放電方式、構造、および製造方法が発明されている。
その中でも現在の主流となっているAC型プラズマディスプレイパネルに関する発明の経緯を以下に簡単に述べる。最初の発明は、イリノイ大学のアパーチャマトリクス型といわれるAC型プラズマディスプレイパネル(特許文献1および2)であり、この方式は、蛍光体を挟んだ対向放電型であるため蛍光体を劣化させるという重大な問題があった。そこで、この問題を解決するため、ベル研や富士通により放電電極と蛍光体とを分離して放電させる面放電方式が発明された(非特許文献1および特許文献3)。ところが、この方式は、互いに交差するX電極とY電極との間に誘電体層を挟む2電極放電方式であるため、X電極とY電極との交差領域に強い電界がかかり、誘電体層が破壊するという問題があった。
そこで、この問題を解決するために、現在の基本形となっている、図16に示す3電極面放電方式が考案された(特許文献4)。この方式は、主放電電極のX電極およびY電極を平行に配置して電界を集中させないで面放電を起こさせるものであり、X−Y電極にアドレス電極を交差させて、短時間のアドレス放電のみ電界集中させるようにしているため、誘電体層へのダメージを低減することができる。ところが、この方式でも、厚膜誘電体を挟んだアドレス電極との交差領域の耐圧が不十分であり、誘電体層の破壊を完全に防ぐことはできない。
その後、この耐圧不良等の問題を解決するための技術として、例えば特許文献5〜7に示される技術が検討されているが、以下に示す理由あるいは予想される問題から、いまだ実現に至っていない。
その理由としては、これらの製造方法では、X−Y電極にCr/Cu/Crの薄膜層をフォトリソ・エッチング法により形成した後、第1の誘電体層で覆い、その上にX−Y電極に直交するように、アドレス電極(Cr/Cu/Cr)をフォトリソ・エッチング法で形成し、さらにその上に第2の誘電体層を形成している。この誘電体層は、鉛系の低融点ガラスペーストを塗付焼成(550℃以上)する場合と、ホウケイ酸ガラスを蒸着法あるいはCVD法で形成する場合、およびその組合せで形成する場合がある。
ガラスペーストを塗付・焼成した場合、第1の誘電体層上の電極形成を行うフォトリソ・エッチング工程で、第1の誘電体層がエッチングされるという問題がある。また、第2の誘電体層を焼成する際、第1の誘電体層が溶融して、耐圧不良等を引き起こす問題もある。また、電極をAgペースト等の厚膜材料で形成する場合、Agペーストの焼成(550℃以上)が加わるため、第1の誘電体層が2回も溶融され、ますます耐圧不良等を引き起こすという問題がある。
また、誘電体を蒸着あるいはCVDで形成した場合、フォトリソ・エッチング法により形成した電極側面が、図17および図18に示すように、Cu層のオーバーハングや引き込みにより複雑な形状となるため、誘電体層10a(図18)で電極を完全に覆うことができず、耐圧不良になるという問題点がある。特にアドレス電極では、図18に示す電極露出(18c)が多く、電気的スパークが発生して、断線したり、黒点欠陥になるという問題点がある。
そこで、アドレス電極AとX−Y主放電電極(表示電極)とを背面板と前面板とに完全に分離する、3電極放電方式が提案され、現在この方式が主流となっている。図19は、3電極放電方式のプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す斜視図である。
G.W.Dick, etd, A Planar Single-Substrate AC Plasma Display with CapACitive Vias IEEE Trans. Electron Decries, vol. ED-26,No.8 1979 pp.1168-1172 USP3559190 特公昭45-10704 特開昭48-38670(昭和48年6月7日公開) 特開昭55-113237(昭和55年9月1日公開) 特開昭57−7851(昭和57年1月16日公開) 特開2001-283735(平成13年10月12日公開) 特開2004-273285(平成16年9月30日公開)
ところが、上記の方式は、発光効率等の性能面と作り易さという製造面で、以下に示す問題点がある。
まず、性能面について以下に示す。
(1)放電空間を確保するための放電距離、すなわち背面板に形成したアドレス電極と前面板に形成した主放電電極(X電極あるいはY電極)との間の距離が、100μm以上と長くなっているため、アドレス放電をさせる際の放電開始電圧として、200V以上の高い電圧が必要になるという問題点がある。この方式は、放電空間を広げることができるため発光効率を向上できる点では有効であるが、放電空間が広がるほどアドレス放電開始電圧が上昇してしまう問題点がある。
(2)アドレス電極はR,G,Bの各色に対応した数の電極が必要であるため、小型パネルでの高精細化が困難である。また、高精細化に伴って、放電空間が小さくなるため、発光効率が低下する。そこで、深さ方向に空間を広げることが考えられるが、前記の理由でアドレス放電距離が長くなり、アドレス放電開始電圧が上昇してしまうという問題点がある。
(3)アドレス放電時には、弱い放電ではあるが、対向放電であるため蛍光体が劣化するという問題点がある。
(4)背面板にアドレス電極が設けられるため、蛍光体の裏側に可視光を反射するAl等の高反射膜が形成できない。そのため、蛍光体表面から発生した可視光の約半分は背面板側に抜けてしまい、発光効率を上げられないという問題点がある。
次に、製造面では、前面板および背面板の両方に電極形成工程があるため、工程数が長く、製造コストが高いという問題点がある。具体的には、図20に示す、従来の3電極放電方式のプラズマディスプレイパネルのフォトリソグラフィ・エッチングプロセスを用いた製造工程では、前面板の作製:40工程、背面板の作製:48工程、パネルの組立:16工程で、合計104工程数となる。
また、誘電体層および隔壁にガラス・セラミックス系の厚膜を用いて高温で焼成を行っているため、液晶等の他のディスプレイに比べて、耐熱性が強く求められるという問題点を抱えている。
このように、従来の3電極面放電方式およびアドレス対向放電方式が抱えている様々な問題を解決できる新しい3電極面放電方式のプラズマディスプレイパネルおよびその製造方法は、いまだ実現されていない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、発光効率を向上させるとともに、製造コストを削減できる3電極面放電方式のプラズマディスプレイパネルおよびその製造方法を提供することである。
本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記課題を解決するために、第1の基板上に主放電電極、誘電体、アドレス電極および保護膜を順に形成すると共に、該第1の基板に対向する第2の基板上に、蛍光体で覆われた放電空間を内部に有する隔壁を形成してなるプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記第1の基板上または前記誘電体上にレジスト層を形成するレジスト層形成工程と、前記レジスト層に、所望の電極パターンに対応する形状の開口部を形成する開口部形成工程と、前記開口部の前記第1の基板上または前記誘電体上、および前記レジスト層上に前記主放電電極または前記アドレス電極なる電極層をPVDにより堆積する電極層形成工程と、前記レジスト層および前記レジスト層上に形成された前記電極層を、前記第1の基板または前記誘電体から剥離する剥離工程とを含み、前記レジスト層が、前記電極層の前記第1の基板または前記誘電体への堆積領域外に形成されるように、該レジスト層を、前記開口部において、ひさし型に形成することを特徴としている。
上記の構成によれば、前記電極層は、第1の基板上または誘電体上にPVDにより堆積される。また、前記レジスト層は、該レジスト層が前記電極層の前記第1の基板または前記誘電体への堆積領域外に形成されるように、前記開口部において、ひさし型に形成される。
これにより、第1の基板上または誘電体上にPVDにより堆積される電極層は、該第1の基板上または誘電体上において、レジスト層と完全に分離することが可能となる。そのため、レジスト層を剥離する際に、第1の基板または誘電体と、電極層との間に隙間が生じたり剥離したりする膜はがれが生じることがない。
したがって、良好な断面形状を有する電極層を形成することができるため、後の工程において、電極層を誘電体または保護膜で完全に覆うことができる。そのため、従来の問題点である耐圧不良を防ぐことができる。また、特にアドレス電極では、外部に触れる保護膜からの露出を防ぐことができるため、電気的スパークによる露出部分の劣化に伴う断線や黒点欠陥の形成を防ぐことができる。
また、上記の構成によれば、電極層は、PVDにより堆積される。これにより、特にアドレス電極の形成時においても、従来のように該アドレス電極が堆積される誘電体の溶融による耐圧不良が起こらない。このように、誘電体の破壊を防ぐことができるため、表示性能の劣化を防ぐことができる。
さらに、上記の構成によれば、主放電電極およびアドレス電極を第1の基板に形成することができるため、従来の、主放電電極とアドレス電極とを第1の基板と第2の基板とに完全に分離する3電極放電方式と比較して、放電空間を確保するための放電距離すなわち主放電電極とアドレス電極との間の距離を小さくすることができる。そのため、アドレス放電をさせる際の放電開始電圧を、従来より下げることができる。また、第2の基板にアドレス電極がないため、従来より放電空間を広げることができるため、発光効率を向上させることができる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法において、前記電極層形成工程により前記第1の基板上または前記誘電体上に堆積された前記電極層における端部の断面形状が、前記第1の基板または前記誘電体に対してテーパ形状であることが好ましい。
これにより、前記第1の基板上または前記誘電体上に堆積された前記電極層を誘電体または保護膜で、容易に覆うことが可能となる。したがって、従来の問題点である耐圧不良を防ぐことができるとともに、特にアドレス電極では、外部に触れる保護膜からの露出を確実に防ぐことができるため、電気的スパークによる露出部分の劣化に伴う断線や黒点欠陥の形成を防ぐことができる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法において、前記電極層をリフトオフ方式により、薄膜形成することが好ましい。
これにより、フォトリソ・エッチング法を用いる必要がないため、誘電体の溶融に伴う耐圧不良を防ぐことができる。また、電極層におけるCuのオーバーハングや引き込みによる複雑な形状とならないため、電極層を誘電体または保護層で完全に覆うことができ、耐圧不良を防ぐことができる。また、誘電体上に前期電極層を形成する際、エッチィングにより誘電体が侵食されるという問題もなくすことができる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法において、前記第2の基板に形成される前記隔壁の内側に、蛍光体を励起して発生される可視光を反射する反射膜を形成する反射膜形成工程をさらに含むことが好ましい。
これにより、背面方向に散逸する可視光も反射して、輝度向上に有効利用できる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法において、前記主放電電極が、Cr/Cu/Cr、または、Ti/Cu/Ti、の金属薄膜多層膜で形成されていることが好ましい。
これにより、低抵抗で、高接着性と熱安定性とを有する高精細な電極パターンを形成できる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法において、前記アドレス電極が、Cr/Cu/Cr、Ti/Cu/Ti、Cr/Al/Cr、または、Ti/Al/Ti、のいずれかの金属薄膜多層膜で形成されていることことが好ましい。
これにより、低抵抗で、高接着性と熱安定性を有する高精細な電極パターンを形成できる。また、この後に誘電体を形成する高温焼成工程(約600℃)がないため、低融点で、成膜速度に優れたAlを用いることができる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記記載のプラズマディス
プレイパネルの製造方法において、前記誘電体が、厚膜誘電体を塗付焼成することにより、または、薄膜誘電体を蒸着あるいはCVDのいずれかの方法により形成されていることが好ましい。
このように、目的に応じて、厚膜、薄膜いずれの方法においても誘電体を形成できる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記記載のプラズマディス
プレイパネルの製造方法において、前記アドレス電極は、該アドレス電極の、前記第2の基板に対向する面内における短辺側の幅が、前記第2の基板における隔壁の、該アドレス電極に対向する面内における短辺側の幅と略一致するように形成されていることが好ましい。
これにより、アドレス電極が隔壁によって隠されるため、主放電電極との誤放電を防止できる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記記載のプラズマディス
プレイパネルの製造方法において、前記アドレス電極は、前記第2の基板における前記放電空間の内部を臨む突起部を有していることが好ましい。
上記の構成によれば、アドレス放電させる突起部が放電空間の内部に面しているため、アドレス放電を容易に起こさせ、アドレス放電時の開始電圧を下げることができる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記記載のプラズマディス
プレイパネルの製造方法において、前記隔壁により前記第2の基板面において格子状に形成されて、それぞれが前記放電空間を形成する複数の画素において、前記アドレス電極が、1画素ごとに前記隔壁に対向配置されるとともに、前記突起部が各画素に対応して該アドレス電極に千鳥状に形成されることが好ましい。
これにより、アドレス電極ラインを従来の約半分にすることができるため、回路コストの大幅な低減が期待できる。また、アドレスピッチを小さくすることが可能となるため、高精細なプラズマディスプレイパネルを実現することができる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記記載のプラズマディス
プレイパネルの製造方法において、前記主放電電極と前記アドレス電極との交差領域における各電極の、前記第2の基板に対向する面内における配線幅が、該交差領域外における各電極の配線幅よりも小さいことが好ましい。
これにより、前記主放電電極と前記アドレス電極との交差領域近傍での放電が起こらないようにすることができるとともに、交差領域における静電容量そのものを小さくすることができる。そのため、背面板にアドレス電極を形成する場合と同程度の静電容量を実現することができ、交差部領域における静電容量による消費電力の増加を抑えることができる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記記載のプラズマディス
プレイパネルの製造方法において、前記第1の基板において、前記誘電体が厚膜誘電体と薄膜誘電体とから構成されていることが好ましい。
これにより、厚膜誘電体だけでは難しい静電容量の低減が、誘電率の低い薄膜誘電体により可能となる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記記載のプラズマディス
プレイパネルの製造方法において、前記アドレス電極は、前記薄膜誘電体上に形成されていることが好ましい。
これにより、前記主放電電極と前記アドレス電極との交差領域における静電容量を、従来と比較して下げることができるため、消費電力の増加を抑えることができる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記記載のプラズマディス
プレイパネルの製造方法において、前記アドレス電極と前記薄膜誘電体とが、リフトオフ方式により連続して薄膜形成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、焼成工程の工数を削減できるとともに、エッチング法を利用することがないため、プラズマディスプレイパネルの製造工程を短縮することができる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記記載のプラズマディス
プレイパネルの製造方法において、前記薄膜誘電体が、3以下の誘電率を有する誘電体から形成されていることが好ましい。
これにより、容量を低減し、消費電力を低減できる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記記載のプラズマディス
プレイパネルの製造方法において、前記第1の基板における前記保護膜の、前記第2の基板に対向する面が、MgOで覆われていることが好ましい。
これにより、アドレス電極と誘電体とを保護することができる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記記載のプラズマディス
プレイパネルの製造方法において、前記第2の基板はガラス基板からなり、該ガラス基板には、前記放電空間を内部に有する溝部が形成されていることが好ましい。
このように、ガラス基板に直接、放電空間を形成することができるため、製造工程を簡素化できるとともに、製造コストをさらに削減することができる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記記載のプラズマディス
プレイパネルの製造方法において、前記溝部の開口部における、前記アドレス電極の長辺方向に平行する、前記アドレス電極に対向する面に、切り欠き部が形成されていることが好ましい。
これにより、第1の基板および第2の基板を封着する工程において、真空排気を容易にし、かつチャージアップを防止することができる。また、隣り合う画素(セル)同士で、前記切り欠き部を介してわずかに導通することができるため、電荷が画素に蓄積し過ぎることを防ぐことができる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記記載のプラズマディス
プレイパネルの製造方法において、前記第2の基板はガラス基板からなり、該ガラス基板の前記第1の基板に対向する面に、所望のパターンを形成したレジスト層を保護膜として、サンドブラスト法を用いて前記溝部を形成することが好ましい。
このように、サンドブラスト法を利用するため、製造工程をさらに短縮することができる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記記載のプラズマディス
プレイパネルの製造方法において、前記第2の基板はガラス基板からなり、該ガラス基板に押圧成形により、前記溝部を形成することが好ましい。
このように、溝部を押圧成形により形成することにより、製造工程を短縮することができる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記記載のプラズマディス
プレイパネルの製造方法において、前記第2の基板の前記溝部に、Alからなる、蛍光体を励起して発生される可視光を反射する反射膜を蒸着により形成することが好ましい。
これにより、製造工程を短縮させた、発光効率の高いプラズマディスプレイパネルを製造することができる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記記載のプラズマディス
プレイパネルの製造方法において、前記反射膜を前記溝部に形成する際、リフトオフ方式により、レジスト層を保護膜として形成することが好ましい。
これにより、隔壁頂部の絶縁性を確保しながら、容易に反射膜を形成できる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記記載のプラズマディス
プレイパネルの製造方法において、前記第2の基板が、金属基板からなることが好ましい。
これにより、第2の基板が反射膜の機能を兼ねるため、反射膜を生成する工程を省略することができる。よって、プラズマディスプレイパネルの製造工程をさらに短縮することができる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記記載のプラズマディス
プレイパネルの製造方法において、前記第2の基板が、Al材で構成されていることが好ましい。
これにより、第2の基板の軽量化を図ることができるため、移動や壁掛け等の掲載が容易なプラズマディスプレイパネルを実現することができる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、上記記載のプラズマディス
プレイパネルの製造方法において、前記第2の基板は、ホイール状の金属製の薄板からなり、押圧形成により前記溝部が形成され、前記溝部の表面には絶緑膜が形成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、第2の基板は、ホイール状の金属製の薄板からなるため、押圧形成により容易に溝部を形成できるため、製造コストをさらに削減することができる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルは、上記記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法により製造されるものである。
これにより、従来の耐圧不良や表示性能の劣化を防ぐことができるため、発光効率を向上させるとともに、製造コストを削減できる3電極面放電方式のプラズマディスプレイパネルを提供することができる。
本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、以上のように、前記第1の基板上または前記誘電体上にレジスト層を形成するレジスト層形成工程と、前記レジスト層に、所望の電極パターンに対応する形状の開口部を形成する開口部形成工程と、前記開口部の基板上または誘電体上、および前記レジスト層上に前記主放電電極または前記アドレス電極なる電極層をPVDにより堆積する電極層形成工程と、前記レジスト層および前記レジスト層上に形成された前記電極層を、前記第1の基板または前記誘電体から剥離する剥離工程とを含み、前記レジスト層が、前記電極層の前記基板または前記誘電体への堆積領域外に形成されるように、該レジスト層を、前記開口部において、ひさし型に形成する構成である。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルは、上記製造方法により製造される構成である。
これにより、発光効率を向上させるとともに、製造コストを削減できる3電極面放電方式のプラズマディスプレイパネルおよびその製造方法を提供することができるという効果を奏する。
(実施の形態1)
本発明の一実施形態について図面に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
本実施の形態におけるプラズマディスプレイパネルは、耐圧に優れ低誘電率な誘電体層を挟んでX−Y電極と、アドレス電極の3電極を集約した前面板と、深い隔壁およびその内部に高反射率と蛍光体を形成した背面板とを貼り合わせた、単純な構造からなる3電極AC型プラズマディスプレイパネルである。以下、このプラズマディスプレイパネルとその製造方法について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態におけるプラズマディスプレイパネル100の概略構成を示す斜視図である。
図1に示すプラズマディスプレイパネル100は、例えば、以下の性能を向上させるための構成を有している。
(i)アドレス放電開始電圧を大幅に低減させることができる。
(ii)放電空間を広げてプラズマ放電効率を向上させることができる。
(iii)蛍光体の塗付表面積を拡大して、可視光発生量を増加させることができる。
(iv)蛍光体と隔壁との間に高反射膜を形成して背面板側に逃げる可視光を有効に利用することができる。
プラズマディスプレイパネル100は、図1に示すように、前面板(第1の基板)1と、背面板(第2の基板)2とを貼り合わせて、両基板の間の領域に放電ガスを封入して、画像を表示できるようにして構成したものである。
前面板1には、水平方向にm本の、主放電電極である表示電極(X)5および表示電極(Y)6と、垂直方向に3n本のアドレス電極(A)8とが形成されている。表示電極(X)5および(Y)6には、主放電を起こさせるための突起電極5aおよび6aが、各セルに対応して配置されている。なお、前面板1は、ガラス基板であることが好ましい。
アドレス電極(A)8は、背面板2の隔壁頂部9に略一致して、隔壁頂部9の幅内に収まる幅で形成されているとともに、アドレス電極(A)8から表示電極5aおよび6aの方向に突出するアドレス突起電極(突起部)8aを備えている。
表示電極(X)5および(Y)6と、アドレス電極(A)8との間には、誘電体層10が形成され、アドレス電極(A)8上には保護層11が形成されている。
背面板2には、R,G,Bを仕切るためのボックス型の隔壁12が形成され、その内側に反射膜13と蛍光体14が形成されている。各ボックスにおけるアドレス電極(A)8方向に直交する方向の隔壁12には、排気およびチャージアップ防止用の小さな切り欠き部9aが形成されている。なお、背面板2は、前面板1と同様、ガラス基板であることが好ましいが、耐熱性の高い樹脂や金属等の無機物でも可能である。
図2は、プラズマディスプレイパネル100の製造工程の手順を示す図である。以下、この手順に従って説明する。
〔1〕前面板(第1の基板)1の作製
<レジスト層形成工程(図2(1))>
まず基板3として150mm角、厚さ2.8mmのガラス基板(商品名:PD200、旭硝子社製)を準備する。
この基板3を洗浄後、表面にネガ型のドライフィルムレジスト(東京応化工業製)を貼り付けて、レジスト層15を形成する。この貼り付け方法としては、加熱機構付きラミネーターを用いて、約100℃に加熱したローラ間に基板3とドライフィルムとを挿入することにより貼り付ける。この工程ではガラス/レジスト間に発生する泡を抑えることが重要で、温度、押圧およびスピード等を検討し、最も適切な条件(約100℃、0.3MPa、0.84mmin)を見出して行う。なお、ドライフィルムレジストの厚さは、例えば約25μmである。
<開口部形成工程(図2(2))>
次に、図1および図3に示す表示電極パターンを作るため、レジスト層15に以下の方法で表示電極形成用リフトオフ用開口部パターンを形成する。図3に示す設計パターンは、1セルが500×300μm、表示電極(X)5および(Y)6のライン&スペースが150×350μm、そしてT字部形状が25μmの配線幅で、頂部幅200μmから構成されている。このパターンを、露光光源として超高圧水銀灯を用い、2枚の露光マスク24(設計パターンとそれより5μm外周が大きいCr遮光部24aを持つマスク)を介してレジスト層15に対し、完全遮光部15aと半露光部15bと完全露光部15cとなるように2回露光(100mJ/cm回)を行う。このとき、開口部形成部位(完全遮光部15a)への積算露光量は0、半露光部15bへの積算露光量は100mJ/cm、完全露光部15cへの積算露光量は200mJ/cmとする。その後、1%炭酸ナトリウムアルカリ水溶液を用いて現像する。
以上により厚さ25μmのレジスト層15に図2(2)に示すようなひさし部15bを有する開口部パターンを形成することができる。このひさし部15b(図4参照)は、例えば、高さhが1〜4μm、奥行きwが2〜5μmである。また、開口部15aの上部レジスト開口幅は約20μm、下部レジスト開口幅は約28μmである。形成された断面形状は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することができる。
なお、開口部15aは、上述の寸法体系に限定されるものではなく、レジスト層15が、後の工程で形成される表示電極(X)5および(Y)6の、前面板1への堆積領域外に形成されるように、ひさし型に形成することが好ましい。
ここで、開口部15aの断面形状の一例を、図4を用いて以下の関係式に示す。すなわち、図4に示すように、開口部15aの断面形状は、レジスト層15と基板3との境界部に高さhで奥行きwの隙間を有するひさし型の形状であり、レジスト層15を挟んで隣り合う2つの開口部15aとの間隔(2c)、基板3上の薄膜層(表示電極)5,6の厚さ(T)、および薄膜層形成工程において薄膜層5,6が前記隙間へ回り込む距離(d)が、0.06×T≦h≦4×d、かつ、d<w≦(2c)/6の関係を満たすことが好ましい。これにより、レジスト層15を、薄膜層5,6の、基板3への堆積領域外に形成することができる。
なお、上述のひさし型は1層のレジスト層15により形成される構成であるが、該ひさし型は2層のレジスト層により形成される構成であってもよい。この2層構造のひさし型は、感光性を有せず現像液に溶ける、基板側の第1のレジスト層(下層)、および、感光性を有する、第1のレジスト層上の第2のレジスト層(上層)により形成することができる。それぞれのレジスト層の厚さについては、特に限定されるものではないが、例えば、第1のレジスト層では1〜5μm、第2のレジスト層では20μm以下であることが好ましい。
<薄膜層(表示電極)形成工程(図2(3))>
次に、表示電極(X)5および(Y)6を構成する多層薄膜を得るため、前面板1上および開口部15aを有するレジスト層15上全面に多層薄膜層を形成する。表示電極は、Cr/Cu/Cr、または、Ti/Cu/Ti、の金属薄膜多層膜で形成されていることが好ましい。ここでは、多層薄膜は、図2の拡大した断面図に示すように、酸化クロム層16/クロム層17/銅層18/クロム層19/酸化スズ系保護層20から構成されている。
まず、酸化クロム層16からなる膜厚50nmの低反射層を形成する。酸化クロム層16は、Crペレット(純度:99.99質量%)を用い、酸素を含む雰囲気下でイオンプレーティング法により形成することができる。さらに、同じCrペレット(純度:99.99質量%)を用い、アルゴンの不活性雰囲気下でイオンプレーティング法により膜厚100nmのCr層17を形成する。次いで、このCr層17の上に、Cuペレット(純度:99.99質量%)を用いた以外は同様の方法で、膜厚1000nmのCu層18を積層し、さらにCu層18の上に、膜厚100nmのCr層19を同様に形成する。
さらに、薄膜層(積層電極層)の最上面である接着層の上面にSnOを主成分とする保護層20を積層する。SnOを主成分とする保護層20は、SnOを97質量%、Taを3質量%含有するターゲットを用いて、アルゴンに酸素を1%添加した雰囲気下で、スパッタリング法により厚さ200nmに形成する。
これにより、酸化クロム層16からなる低反射層と、Cr層17からなる接着層と、Cu層18からなる電極層と、Cr層19からなる接着層と、保護層20とが積層された薄膜層(表示電極(X)5および(Y)6)が形成される。
<レジスト層剥離工程(図2(4))>
次に、レジスト層15と、レジスト層15上に形成された薄膜層とを基板3から剥離する。具体的には50℃に加熱した3%水酸化ナトリウム水溶液中に約1分間浸漬した後、ナイロン製のブラシで軽くブラッシングしてレジスト層15を剥離し、さらに基板3を揺動させてレジスト層15を完全に剥離させ、最後に約40℃に加熱した純水で洗浄する。
以上の方法で得られた薄膜層(表示電極)5,6は、図2(4)に示すように、断面形状が良好な台形状または両端部が基板3の上面に対してテーパ形状で、薄膜層5,6は層状に積層され、かつCu層18の端部のすそのまで、上層のCr層19およびSnOを主成分とする保護層20で覆われている。また、パターン幅が設計値の±1.5μm以内に収まっており、良好な精度を示している。このようにリフトオフ方式による良好な表示電極パターンを得ることができる。
このように、本実施の形態1における製造方法によれば、レジスト層15の開口部15aは、レジスト層15が、薄膜層、すなわち表示電極(X)5および(Y)6の、基板3への堆積領域外に形成されるように、ひさし型に形成されるため、レジスト層15を剥離する際に生じる、表示電極(X)5および(Y)6と基板3との間に隙間が生じたり剥離したりする膜はがれを防ぐことができる。そして、形成された表示電極(X)5および(Y)6の断面形状は、台形状または、両端部が基板3の上面に対してテーパ形状となるため、後の誘電体形成工程において、表示電極(X)5および(Y)6を誘電体層10で完全に覆うことができる。そのため、従来生じていた耐圧不良の問題を解決することが可能となる。
<誘電体形成工程(図2(5))>
次に、前記表示電極パターンを形成した基板3上の封着部、すなわち表示電極(X)5および(Y)6の、基板3への堆積領域よりも一回り大きい領域に、誘電体層10を形成する。この誘電体層10は、Pbフリーの低融点ガラスフリットとエチルセルロースと有機溶剤とからなる誘電体ペーストをスクリーン印刷法によりパターン印刷し、600℃×30minの条件で大気中で加熱、焼成して形成する。焼成後の誘電体膜厚は所望の約20μmとなる。
このようにして形成した誘電体層10中には、図5に示すように、表示電極(X)5および(Y)6の端部25(側面)に大きな泡の発生は見当たらず、非常に良好な状態となる。従来のエッチング法で形成した表示電極の場合には、表示電極の側面にCu層が露出する(図20(4)参照)ため、誘電体層10の焼成工程で酸化が激しく起こり、それが誘電体層10中に溶けて大きな泡を発生させ、耐圧を著しく低下させるという問題があったが、本実施の形態1ではCu層18の全体をCr層19やSnO系の保護層20で覆うことができるため、その問題を完全に解決することができる。
<アドレス電極形成工程(図2(6))>
次に、誘電体層10上に、表示電極(X)5および(Y)6に直交して、セルの境界(背面板2の隔壁頂部9)に略一致し、かつ放電領域内に小さなアドレス突起電極8aを有するアドレス電極(A)8を形成する。なお、アドレス電極(A)8は、Cr/Cu/Cr、Ti/Cu/Ti、Cr/Al/Cr、または、Ti/Al/Ti、のいずれかの金属薄膜多層膜で形成されることが好ましい。
このアドレス電極(A)8の形成方法は、表示電極(X)5および(Y)6の形成方法とほぼ同様に、リフトオフ方式を用いることができる。すなわち、誘電体層10上に上述した方法と同様な条件でドライフィルムレジスト層26を形成し、ひさし型の断面形状を有するレジスト開口部26aを形成する。
次に、誘電体層10上およびレジスト層26上にイオンプレーティング法を用いて、表示電極(X)5および(Y)6と同様に、アドレス電極(A)8となる薄膜層を形成する。この薄膜層は、最初に膜厚500nmのSiO誘電体薄膜層21を形成する。あるいは予め誘電体層10上に、膜厚500nmのSiO誘電体薄膜層22を形成する。次いで、膜厚100nmのCr層17からなる接着層、膜厚2000nmのCu層18、膜厚100nmのCr層19からなる上層の接着層を形成する。なお、SiO誘電体薄膜層21あるいは22はなくても構成は可能である。
次に、レジスト層26を同様な方法で剥離し、アドレス電極パターンを形成する。アドレス電極パターンの幅は約0.04mm、アドレス突起電極8aは0.04mm×0.05mmの長方形型である。
以上の方法により、誘電体層10上に良好なアドレス電極(A)8を形成することができる。従来のエッチング法では、Cr層およびCu層をエッチングする際に塩酸系や過マンガン酸カリ系の強酸および強アルカリが必要であるため、それらによって誘電体ガラスが侵蝕および白濁し、良好なアドレス電極を形成することが不可能であった。
これに対して、本実施の形態1では、リフトオフ方式を用いているため、以下の理由でその影響が全くない。すなわち、上述したレジストパターンのひさし型の開口部26aにおいて、レジスト剥離時に弱アルカリ溶液(水酸化ナトリウム、1%炭酸ナトリウム等)を用いるため、誘電体層10の表面に形成された水酸基を含むわずかな層が取れるだけで、その後の性能に全く影響がない。むしろ、アドレス電極層となる誘電体層10に付着していた異物等の汚れを取り除くことができ、その後の薄膜形成工程の不良を激減させるという重大な効果をもたらす。
このように、本実施の形態1における製造方法では、厚膜誘電体上に容易に薄膜電極を形成することができる。
また、アドレス電極(A)8は背面板2の隔壁頂部9の幅内に略一致させて位置させるとともに、アドレス放電させるアドレス突起電極8aを隔壁頂部9からはみ出して形成しているため、アドレス面放電を容易に起こさせ、アドレス放電の電圧を下げることができる。
なお、本実施の形態1における電極形成工程においては、基板3上に表示電極(X)5および(Y)6、誘電体層10上にアドレス電極(A)8を形成する方法として、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法といったPVD(物理的蒸着法)を用いることができる。
<保護層形成工程(図2(7))>
次に、アドレス電極パターンを形成した誘電体層10上の封着部の内側に略一致した領域に、保護層11を形成する。
この保護層11は、膜厚約700nmのMgOからなる。MgO層の形成は、MgOペレット(純度:99.99質量%)を用い、アルゴンに酸素を1%含む真空雰囲気下でイオンプレーティング法により形成する。
このように形成したアドレス電極(A)8の断面形状は、図2(7)の拡大断面図に示すように、アドレス電極薄膜の断面が良好な形状を有している。
従来のエッチング法で形成した場合、表示電極形成工程で述べたように、Cu層の側面が露出し、MgO薄膜で完全に覆うことは不可能であるが、本実施の形態1による製造方法によれば、アドレス電極(A)8を保護層11で完全に覆うことができる。そのため、従来生じていた耐圧不良や発光効率の低下を防ぐことができる。また、アドレス電極では、外部に触れる保護膜からの露出を防ぐことができるため、電気的スパークによる露出部分の劣化に伴う断線や黒点欠陥の形成を防ぐことができる。
以上の図2(1)〜図2(7)に示す方法により形成した、表示電極(X)5および(Y)6とアドレス電極(A)8とを有する前面板1によれば、1回の焼成工程で、耐圧不良や発光効率の低下を防ぐことが可能となる。
〔2〕背面板(第2の基板)2の作製
<レジスト層形成工程(図2(8))>
本実施の形態1における背面板2は、アドレス電極(A)8がないため、基板4に直接溝部4aを形成して、R,G,Bのセルを形成する方法である。
まず基板4として、前面板1(基板3)と同様、150mm角、厚さ2.8mmのガラス基板(商品名:PD200旭硝子社製)を準備する。
この基板4を洗浄後、表面にネガ型のドライフィルムレジスト(東京応化工業製)を貼り付けて、レジスト層23を形成する。この貼り付け方法としては、加熱機構付きラミネーターを用いて、約100℃に加熱したローラ間に基板4とドライフィルムとを挿入して貼り付ける。この工程でもガラス/レジスト間に発生する泡を抑えることが重要で、温度、押圧およびスピード等を検討し、最も適切な条件(約100℃、0.2MPa、0.7mmin)を見出して行う。なお、ドライフィルムレジストの厚さは、例えば約100μmである。
<ボックス型セルレジストパターン形成工程(図2(9)>
次に、このレジスト層23に、以下の方法でボックス型セルパターンを形成する。すなわち、ガラス板にボックス型の遮光パターンを形成した露光用マスク27を準備する。ボックス型セルの寸法は0.3mm×0.5mm、開口部は0.25mm×0.45mmである。ボックス型セルの隔壁12の幅は50μmとした。また、20μm幅の溝用パターンをボックス型セルの短手方向の隔壁12の上部に形成する。
次に、超高圧水銀灯を露光光源として、前記マスク27を介してレジスト層23を露光する。この時の適切な露光量は200mJ/cmである。その後、1%炭酸ナトリウムアルカリ水溶液を用いて現像する。これにより、設計寸法に近いボックス型セルパターンが形成される。
<ボックス型セル溝部形成工程(図2(10))>
次に、ボックス型セルの溝部4aを、いわゆるサンドブラスト法により形成する。
まず、前記ボックス型のレジスト層28をマスクとして、上部からSiC微粒子(平均粒径20μm)をノズルから噴出し、基板4に直接加工を行う。加工条件は、ノズルからSiC微粒子の噴出圧力0.15Mpa、ノズルと基板との距離20mm等の条件で加工を行った。
このように加工を行うことにより、ボックス型セルの開口部寸法よりわずかに広く((0.26mm〜0.27mm)×(0.46mm〜0.47mm))、かつ深さ方向に最大300μmのボックス型セル形状が得られる。これにより、ボックス型セルの内壁の表面積は、従来の約150μmの深さを持つセル形状と比較して、約1.5倍に達し、後の工程で形成する蛍光体の塗付面積を拡大することができる。
また、ボックス型セルの短手方向の隔壁12には、20μm幅の開口レジストパターンに対して、同様の幅で、かつ深さ方向に約40μmの切り欠き部9aを形成している。この溝部4aは、後の工程において、真空排気を容易にし、かつチャージアップを防止するために有用となるものである。
なお、溝部4aは、ガラス基板に押圧成形により形成してもよい。
<反射膜形成工程(図2(11))>
次に、前記のボックス型セルの溝部4aの内壁に反射膜13を形成する。
まず、サンドブラスト法で形成した溝部4aの内壁面にはSiC微粒子や加工されたガラス粉が多数存在しているため、超音波を印加したドライエアクリーナーを用いて、このガラス粉を取り除く。
次に、Alペレット(約99.99質量%)を用いて、EB蒸着法により、平坦部の膜厚が約300nmのAl層となるように、セル溝部4aの内壁面およびレジスト層28上に形成する。これにより、セル溝部4aの内壁側面には約半分150nm程度の膜が形成され、反射膜13として十分機能する。
次に、レジスト層28と、レジスト層28上に形成された薄膜層とを基板4から剥離する。具体的には、50℃に加熱した3%水酸化ナトリウム水溶液中に約1分間浸漬した後、ナイロン製のブラシで軽くブラッシングしてレジスト層28を剥離し、さらに基板4を揺動させてレジスト層28を完全に剥離させ、最後に約40℃に加熱した純水で洗浄する。
以上のように、リフトオフ方式により、ボックス型セルの頂部を除く内壁にAl反射膜13を形成することにより、各セルが互いに電気的に絶緑された状態で、かつセル間が短手方向の頂部に形成した切り欠き部9a(図1参照)を介してわずかに導通し、電荷がセルに蓄積し過ぎることを防ぐことができる。
このように、上述した反射膜形成方法は、あらゆる目的を満たす反射膜を容易に形成できる極めて優れた方法である。
なお、本実施の形態1におけるプラズマディスプレイパネル100は、蛍光体を励起して発生する可視光が反射膜で反射されて外部に表示できるので、直接光に反射光が加わって、輝度向上が期待できる。また、上述の反射膜形成工程を省略することができるため、工程の簡略化を図ることができる。
<蛍光体形成工程(図2(12))>
次に、ボックス型セル内に蛍光体14を形成する。
蛍光体14は希土類元素を発光中心としたR(主成分;(Y,Gd)BO:Eu),G(主成分;ZnSiO:Mn),B(主成分;BaMgAl10O17:Eu)の蛍光体粉末を、アクリル樹脂をバインダーに有機溶剤でペースト状にしたもの(日亜化学工業社製)を準備した。これらのペーストを、スクリーン印刷法を用いて各セルの溝部4aに落とし込むように3回印刷した後、約80℃で乾燥する。その後、大気中で徐々に加熱してMax400℃まで昇温して、バインダー樹脂を分解・燃焼させて蛍光体14を形成する。この際、予めディスペンサーで封着のためのガラスフリットペーストを封着領域に塗付・乾燥しておき、蛍光体焼成と同時に仮焼成をしておく。
また、あらかじめ基板4に形成した排気孔に、同様のガラスフリットが底部に仮付けされた排気管をセットして、クリップで押圧した状態で同時に焼成・接着する。
このように形成した蛍光体14の表面積は従来に比べて、約1.5倍大きく、発光効率の向上が期待できる。
以上の図2(8)〜図2(12)に示すように、背面板2には、アドレス電極(A)8が形成されないため、深さ方向に約1.5倍以上、蛍光体表面積で約1.5倍以上拡大することができ、かつ頂部を除く隔壁12の内面にAl等の金属反射膜を蒸着で形成して可視光を反射させることができる。そのため、発光効率を大幅に上げることが可能となる。したがって、上記の製造方法によれば、従来に比べて深さ方向に放電空間が広く、蛍光体表面積が大きく、かつAl反射膜のある、発光効率の高い理想的な背面板2を形成することができる。
(3)パネルの組立
<封着工程(図2(13))>
作製した背面板2に、前面板1の電極形成面を内側にして、前面板1と位置を合わせ、仮固定した後、バネクリップで封着近傍を押さえ込んだ状態で約400℃昇温して封着する。その後、背面板2に取り付けた排気管からパネル内部の気体を真空排気する。その際、最大350℃程度まで昇温して内部の吸着ガスを取り除き、10−5Pa程度まで真空に引いた後、Ne−5%Xe混合ガスを封入し、排気管を溶着して封着を完了する。
以上のように、前面板1の作製、背面板2の作製およびそれらの組立を行うことによって、図1に示すプラズマディスプレイパネル100が製造される。なお、図2(13)に示すプラズマディスプレイパネル100の拡大した断面図を、図9および図10に示す。
ここで、上述の方法により製造したプラズマディスプレイパネル100を用いてプラズマ放電をさせた結果を考察する。図6は、上述の方法により製造したプラズマディスプレイパネル100の概観図である。
この表示方法としては、表示電極(Y)6をスキャン電極として、各表示電極(Y)6に順次スキャン電圧を印加するとともに、選択したいセルのアドレス電極(A)8にアドレス電圧を印加する。そして、選択したアドレス電極(A)のアドレス突起電極8aと表示電極(Y)6との間でアドレス放電を起こさせて、これにより発生した電荷を表示電極(Y)6の誘電体上に壁電荷として付着させる。その後、Yの表示電極群とXの表示電極群との間に交互にサスティン電圧を印加することで、選択されたセルのみでNe−Xeのプラズマ放電を起こさせて、発生した真空紫外線で蛍光体を励起して、R,G,Bの可視光を発生させ、その組合せで各種所望の階調を表示する。
従来のプラズマディスプレイパネルの構成では200V以上であるアドレス放電電圧を、本実施の形態1におけるプラズマディスプレイパネル100では約半減することができる。また、絶対的な輝度や効率を比較することが難しいので、図19に示すような従来のセル溝深さからなるパネルと比較すると、同一電力で輝度が約2倍となる。このように、本実施の形態1のプラズマディスプレイパネル100によれば、消費電力の低減、および表示性能の向上が期待できる。
次に、プラズマディスプレイパネル100の主要な製造工程数を比較した。図1に示す本実施の形態1におけるプラズマディスプレイパネル100の製造工程では、前面板1の作製:28工程、背面板2の作製:18工程、パネルの組立:16工程の各工程数で、合計62工程数であった。これに対して、図19および図20に示す従来の代表的なプラズマディスプレイパネルの製造工程では、前面板の作製:40工程、背面板の作製:48工程、パネルの組立:16工程の各工程数で、合計104工程数である。これらを比較すると、本実施の形態1におけるプラズマディスプレイパネル100の製造工程は、従来に比べ、約60%と劇的に低減されている事が分かる。
この製造工程の短縮は、アドレス電極(A)8を前面板1に移して、リフトオフ法により薄膜パターン形成を行い、背面板2の製造工程を大幅に簡略化したことと、背面板2にアドレス電極(A)8を形成する必要がなくなったこととに起因する。特に、背面板2では、アドレス電極(A)8を形成する必要がないので、ガラス基板4(背面板2)に直接隔壁12用のレジストパターンを形成した後、サンドブラスト法で溝部4aを形成して隔壁12を作製できるため、製造工程を簡素化できる。そのため、背面板2の製造工程数が、従来の約38%と半分以下となる。しかも、これまで使用していた隔壁12用のガラス粉末ペーストを用いる必要がなく、材料コストの低減およびこの製造工程での様々な不良を一気に解消し、安定した平坦性の高い低コストな背面板2を作製することができるという効果をも奏する。
ここで、42インチのプラズマディスプレイパネルを製造すると仮定して、同一条件で生産すると仮定したときの製造原価を計算すると、相対的に設備投資額が約75%、材料費が約70%程度となり、製造原価は60%程度まで低減できると予想できる。
このように、本発明の実施の形態1によれば、プラズマディスプレイパネルの表示性能の向上と、製造コストの削減を実現することができる。
ここで、従来技術でも述べたように、これまでもどちらか一方のガラス基板に3電極を形成して面放電を行う方法が、厚膜および薄膜誘電体とAg厚膜およびCr/Cu/Cr薄膜の電極との全ての組合せが提案されてきたが、耐圧不良等の問題を解決できず、しかも製造工程が長いという問題がある。
また、これまで550℃〜610℃程度の高温焼成で形成した誘電体上にエッチングで薄膜パターンを直接形成する方法は、誘電体が酸や強アルカリ溶液に弱いため困難であった。また、エッチングでパターンを形成する場合、端部がなめらかな順テーパにはならないため、MgO等の薄膜のみで端部を覆って耐圧を確保することが出来ず、さらに厚膜誘電体で覆うと従来と同様の耐圧不良等の問題があり、いずれにしても良好な電極層を形成することが困難であった。
これに対して、本実施の形態1におけるプラズマディスプレイパネル100は、上述のように、誘電体層10上にリフトオフ法を用いて直接アドレス電極薄膜を形成し、かつその上に厚膜誘電体ではなく、保護膜(MgO等)11のみで保護する構成である。
本実施の形態1において用いたリフトオフ法によれば、レジスト層の現象および剥離時にNaCOやNaOHの弱アルカリ溶液を用いるが誘電体にはほとんどダメージを与えず、かつ化学エッチングをしないので薄膜端部をなめらかな順テーパ状に形成することができる。そのため、その後の薄膜(MgO等)の形成のみでカバレジが完全にできる。従って、厚膜誘電体の焼成も必要ない。
また、電極をAg電極などの厚膜で形成すると、焼成(550℃以上)時に誘電体層が溶融してしまうことと、厚膜電極の厚さおよびピンホール等を含めて、薄膜(MgO等)のみで耐圧を確保するカバレジは非常に困難となるが、本実施の形態1におけるリフトオフ法によれば、薄膜電極の形成を容易に実現することも可能となる。
また、従来、アドレス電極(A)8を前面板1に形成する方式では、表示電極(X)5および(Y)6との交差部(交差領域)に高い静電容量を形成するため、交差部8bでの充放電電流により消費電力が増加するという問題点がある。
この点、本実施の形態1では、図3に示すように、交差部(交差領域)8bを含めてアドレス電極(A)8を背面板2の隔壁12上に、隔壁頂部9の幅より小さくして配置させることで交差部8b近傍の放電が起こらないようにするとともに、静電容量そのものを小さくするため、交差部8bの表示電極(X)5および(Y)6とアドレス電極(A)8とを細かく(電極幅を20μm以下)するとともに、低誘電率(ε≦7〜9)の厚膜誘電体(厚さ15〜20μm)の上に、低誘電率(ε=2〜3)の薄膜誘電体、例えばSiO等をアドレス電極(A)8直下に形成している。
これにより、背面板2にアドレス電極(A)8を形成する場合と同程度の静電容量を実現でき、交差部8bにおける静電容量による消費電力の増加を抑えることができる。この場合にはもちろん薄膜誘電体をアドレス電極(A)8の直下だけではなく、前面に形成しても同等の効果が得られることはいうまでもない。
(変形例1)
本実施の形態1におけるプラズマディスプレイパネル100の構成において、図1に示す構成の変形例について説明する。図7は、この変形例1としてのプラズマディスプレイパネル100aの概略構成を示す斜視図であり、図8は、表示電極(X)5および(Y)6と、アドレス電極(A)8との配列状態を示す平面図である。変形例1のプラズマディスプレイパネル100aの製造方法は、図1に示すプラズマディスプレイパネル100の製造方法と同一である。
プラズマディスプレイパネル100aでは、図7に示すように、各セル領域の各アドレス電極(A)8のアドレス突起電極8aを、図8に示す8b−1、8c−1のように、千鳥状すなわち1画素幅当たり対角に2個設けることで、アドレス電極(A)8を図1に示す構成に対して、1本おきに配置する構成である。
ここで、プラズマディスプレイパネル100aの表示方法について以下に説明する。
まず、表示電極(Y)6をスキャン電極として、各表示電極(Y)6に順次スキャン電圧を印加するとともに、選択したいセルのアドレス電極(A)8にアドレス電圧を印加する。そして、選択したセルのアドレス電極(A)8の2つのアドレス突起電極8aと表示電極(Y)6との間でアドレス放電を起こさせて、発生した電荷を表示電極(Y)6の誘電体上に壁電荷として付着させる。その後、Yの表示電極群とXの表示電極間に一対おきに交互にサスティン電圧を印加することで、選択されたセルのみでNe−Xeのプラズマ放電を起こさせて、発生した真空紫外線で蛍光体を励起して表示することができる。
この表示方法では、アドレス放電を起こさせたとき、2つのセルが同時に選択されてしまうため、それを回避して、1つのセルを選択するために、X−Yのサスティン放電を1対おきに行うことである。すなわち、図8を用いて説明すると、まず表示電極ライン5−2とアドレス電極ライン8−1とに電圧を印加すると、表示電極5a−1−4とアドレス突起電極8b−2、および表示電極5a−2−3とアドレス突起電極8c−1とが放電し、5a−1−4と5a−2−3の表示電極部の誘電体に壁電荷が付着して2つのセルが選択される。そこで、今、表示電極5a−1−4のセルを選択したい場合、引き続いて印加するサスティン電圧を表示電極ライン5−1を跳び越して、5−2と5−3に印加すれば、表示電極5a−1−4と表示電極5a−1−5のX−Y放電のみが表示選択できる。これらを全セルについて制御することで、画像表示が可能となる。
これにより、アドレス電極ラインを半分にすることができるため、回路コストの大幅な低減が期待できる。また、高精細なプラズマディスプレイパネルを実現する上で、アドレスピッチが小さくなり、高精細化が難しかった問題を解決できる可能性がある。すなわち、アドレスピッチが2倍になるため高精細化に極めて有利となり、例えば、フルスペックハイビジョン(走査線数;1920×1080本)を16:9の42インチで実現する場合、アドレスピッチはハイビジョン(走査線数;1024×768本、アドレスピッチ;0.32mm)のアドレスピッチと同等(0.17→0.34mmピッチ)にできるため、製造が容易となる。また、32インチでもフルスペックハイビジョンのアドレスピッチを(0.13→0.27ピッチ)にできるため、製造が可能となる。
従来の構成では、背面板にアドレス電極を形成する場合、R,G,Bが隔壁で仕切られているため、各々1本のアドレス電極線が必要、すなわち1画素当たり3本必要なため、高精細化するとピッチが小さくなり、かつ放電空間が小さくなるため、放電効率が低下する。これが、プラズマディスプレイパネルが小型、高精細化に不向きであるという理由である。このように、プラズマディスプレイパネルは、液晶ディスプレイに比べ、セルサイズが小さくなると放電空間が狭くなり、かつアドレスピッチが小さくなるため、高精細化の面で不利であった。
しかしながら、本構成のプラズマディスプレイパネル100aによれば、セルの深さ、すなわち溝部4aの深さ方向の放電空間の拡大、およびアドレスピッチの拡大により高精細化にも十分対応することが可能となる。
(変形例2)
本実施の形態1におけるプラズマディスプレイパネル100の製造方法において、図1に示す構成の他の変形例について説明する。図11は、この変形例2としてのプラズマディスプレイパネル100bの概略構成を示す斜視図である。
これまでの例では、表示電極(X)5および(Y)6に、Cr/Cu/Crの多層金属薄膜を用いているが、変形例2においては、セルの表示開口率を上げるために、表示電極(X)5および(Y)6に、透明電極薄膜を利用している。以下に、その形成方法を示す。なお、透明電極以外の製造工程は、上述の実施の形態1において図2に基づき説明した方法と同じである。
まず、用意した前面板1のガラス基板上にCr/Cr/Cu/Crからなるバス電極7ラインを上述のリフトオフ法で形成した後、バス電極ラインとガラス基板表面上にSnO系透明電極をスパッタリング法で膜圧200nm成膜する。
次に、YAGレーザを用いたマスクプロジェクション方式により、T字型の表示電極パターンを直接加工で形成する。この方法は、1セルに略一致した領域を加工するためのSiのマスクにレーザを照射し、前面板1を高速で移動させながら、所望のT字パターンを形成する。セル間は数μmオーバーラップさせて加工を行う。レーザは波長1064nmのNd:YAGレーザ(パルス)で、パルス幅8ns、周波数50Hz、エネルギー密度6J/cmの加工条件で、1ショットで加工を行う。
図12はこの方法によって加工した透明電極の良好なパターンを示している。このように透明電極パターンをレーザにより直接加工形成できる。この後の製造工程は上述の実施の形態1と同一である。
このようにして製造したプラズマディスプレイパネル100bの動作は、上述の実施の形態1におけるプラズマディスプレイパネル100と同一であるが、表示性能面においては、開口率が向上する分、輝度が向上する。また、製造面においても、台形状の断面形状を示す金属薄膜多層膜の端部を200nmの膜厚からなるSnO系薄膜で厚く覆うことができるため、誘電体からの保護性能が一層向上することが期待できる。
なお、変形例1の表示電極パターンを透明電極で形成することにより、上述の効果と同様な効果を生み出すことはいうまでもない。
(変形例3)
本実施の形態1におけるプラズマディスプレイパネル100の構成において、図1に示す構成の他の変形例について説明する。図13は、この変形例3としてのプラズマディスプレイパネル100cの概略構成を示す斜視図である。変形例3のプラズマディスプレイパネル100cにおける前面板1の製造方法は、図1に示すプラズマディスプレイパネル100の前面板1の製造方法と同一である。
プラズマディスプレイパネル100cでは、図13に示すように、背面板2を金属のプレス成形を利用して形成する。その方法を以下に説明する。
まず、厚さ数十μm、例えば厚さ30μmからなるAlのシートを準備する。また、セル形状に略一致した金型一対を準備し、図14に示すように、約200℃に加熱してプレス成形を行う。プレス成形の際、裏面型の隔壁12に隙間が残り、強度が不足する場合は、その後、さらに大きめのオス金型で、図15に示すように、約350℃で再度プレスして隔壁12の貼り合わせ接合を行い強固なボックス型セル構造を形成する。それと同時に、隔壁頂部9を酸化させてAlを形成し、絶緑処理を行い背面板2を形成する。隔壁12の形状はストレート、ボックス、蜂の巣等、容易で自在にプレス成形できるため、製造コストのさらなる削減に繋がる。
この場合、Al自体が反射膜になっているので、反射膜を形成する必要はない。この後の蛍光体形成から組立工程までは、平板1に固定したまま、上述の実施の形態1と同様な方法で行う。
このようにして製造したプラズマディスプレイパネル100cの動作もこれまでと同様である。表示性能面では、反射の効果が大きく、かつ深いボックス型の理想形状を形成することができるため、これまで以上の性能向上が期待できる。また、製造面においては、プレス成形が可能であるため、製造工程が極めて短く、さらに製造コストを削減することができる。
また、軽量のAlを使うことにより、これまでの重量を半分近くにでき、移動や壁掛け等の掲載が容易になることはいうまでもない。
なお、本変形例3ではAlを用いたが、他の加工性の良い金属を用いても同様な効果が得られることはいうまでもない。
また、本変形例3の構成に、上述の変形例1および2の前面板1と組み合わせても同様な効果が得られる。
また、上述の変形例1〜3を含む本実施の形態において、表示電極(X)5および(Y)6とアドレス電極(A)8の交差部(交差領域)8b(図3参照)を小さくして、容量を低減させることで、消費電力を抑制することが可能である。
以上のように、3電極AC型プラズマディスプレイパネルにおいて、従来種々の問題から不可能であった、一方の基板に電極を集めて動作させる方式が、本実施の形態における方法を用いることで可能になるとともに、プラズマディスプレイパネルの表示性能(発光効率向上、高精細化)の大幅な向上と製造工程の大幅な短縮が可能となる。したがって、これまでにないコストパフォーマンスに優れたプラズマディスプレイパネルを提供することができる。また、化学エッチングレスや焼成回数の低減等、環境に優しい方式であり、かつ発光効率の向上によって消費電力を大幅に低減出来ることから、今後年間生産が数千万台になると予想されているプラズマディスプレイパネル製品を地球環境にやさしい製品に変えることが期待できる。
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、特に3電極面放電方式のプラズマディスプレイパネルに適用可能である。
本発明の一実施の形態におけるプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す斜視図である。 前記プラズマディスプレイパネルの製造工程の手順を示す図である。 前記プラズマディスプレイパネルにおける表示電極パターンを示す図である。 レジスト層の開口部形成工程において形成される開口部の断面形状の一例を示す図である。 表示電極上に誘電体層を形成した状態を示す図である。 図2に示す製造工程により製造されたプラズマディスプレイパネルの概観図である。 変形例1としてのプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す斜視図である。 表示電極とアドレス電極との配列状態を示す平面図である。 図1に示すプラズマディスプレイパネルのA−A′断面図である。 図1に示すプラズマディスプレイパネルのB−B′断面図である。 変形例2としてのプラズマディスプレイパネル100bの概略構成を示す斜視図である。 変形例2に示す製造方法によって加工した透明電極パターンを示す図である。 変形例3としてのプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す斜視図である。 プレス成形を行う際の金型と被加工材の概略構成を示す断面図である。 プレス成形を行う際の金型と被加工材の概略構成を示す断面図である。 従来の3電極面放電方式のプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す図である。 従来の、フォトリソ・エッチング法により形成した電極側面の概略構成を示す断面図である。 図17に示す電極に誘電体層を形成した状態の概略構成を示す断面図である。 従来の3電極放電方式のプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す斜視図である。 従来の3電極放電方式のプラズマディスプレイパネルの、フォトリソグラフィ・エッチング法を用いた製造工程の手順を示す図である。
符号の説明
1 前面板(第1の基板)
2 背面板(第2の基板)
3 基板
4 基板
5 表示電極(X)(主放電電極)
5a 突起電極
6 表示電極(Y)(主放電電極)
6a 突起電極
8 アドレス電極(A)
8a アドレス突起電極(突起部)
8b 交差部(交差領域)
9 隔壁頂部
9a 切り欠き部
10 誘電体層(誘電体)
11 保護層(保護膜)
12 隔壁
13 反射膜
14 蛍光体
15,23,26 レジスト層
15a,26a 開口部
14a 溝部
100,100a、100b、100c プラズマディスプレイパネル

Claims (26)

  1. 第1の基板上に主放電電極、誘電体、アドレス電極および保護膜を順に形成すると共に、該第1の基板に対向する第2の基板上に、蛍光体で覆われた放電空間を内部に有する隔壁を形成してなるプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
    前記第1の基板上または前記誘電体上にレジスト層を形成するレジスト層形成工程と、
    前記レジスト層に、所望の電極パターンに対応する形状の開口部を形成する開口部形成工程と、
    前記開口部の前記第1の基板上または前記誘電体上、および前記レジスト層上に前記主放電電極または前記アドレス電極なる電極層をPVDにより堆積する電極層形成工程と、
    前記レジスト層および前記レジスト層上に形成された前記電極層を、前記第1の基板または前記誘電体から剥離する剥離工程とを含み、
    前記レジスト層が、前記電極層の前記第1の基板または前記誘電体への堆積領域外に形成されるように、該レジスト層を、前記開口部において、ひさし型に形成することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  2. 前記電極層形成工程により前記第1の基板上または前記誘電体上に堆積された前記電極層における端部の断面形状が、前記第1の基板または前記誘電体に対してテーパ形状であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  3. 前記電極層をリフトオフ方式により、薄膜形成することを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  4. 前記第2の基板に形成される前記隔壁の内側に、蛍光体を励起して発生される可視光を反射する反射膜を形成する反射膜形成工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  5. 前記主放電電極が、Cr/Cu/Cr、または、Ti/Cu/Ti、の金属薄膜多層膜で形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  6. 前記アドレス電極が、Cr/Cu/Cr、Ti/Cu/Ti、Cr/Al/Cr、または、Ti/Al/Ti、のいずれかの金属薄膜多層膜で形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  7. 前記誘電体が、厚膜誘電体を塗付焼成することにより、または、薄膜誘電体を蒸着あるいはCVDのいずれかの方法により形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  8. 前記アドレス電極は、該アドレス電極の、前記第2の基板に対向する面内における短辺側の幅が、前記第2の基板における隔壁の、該アドレス電極に対向する面内における短辺側の幅と略一致するように形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  9. 前記アドレス電極は、前記第2の基板における前記放電空間の内部を臨む突起部を有していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  10. 前記隔壁により前記第2の基板面において格子状に形成されて、それぞれが前記放電空間を形成する複数の画素において、前記アドレス電極が、1画素ごとに前記隔壁に対向配置されるとともに、前記突起部が各画素に対応して該アドレス電極に千鳥状に形成されることを特徴とする請求項9に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  11. 前記主放電電極と前記アドレス電極との交差領域における各電極の、前記第2の基板に対向する面内における配線幅が、該交差領域外における各電極の配線幅よりも小さいことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  12. 前記第1の基板において、前記誘電体が厚膜誘電体と薄膜誘電体とから構成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  13. 前記アドレス電極は、前記薄膜誘電体上に形成されていることを特徴とする請求項12に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  14. 前記アドレス電極と前記薄膜誘電体とが、リフトオフ方式により連続して薄膜形成されていることを特徴とする請求項12に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  15. 前記薄膜誘電体が、3以下の誘電率を有する誘電体から形成されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  16. 前記第1の基板における前記保護膜の、前記第2の基板に対向する面が、MgOで覆われていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  17. 前記第2の基板はガラス基板からなり、該ガラス基板には、前記放電空間を内部に有する溝部が形成されていることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  18. 前記溝部の開口部における、前記アドレス電極の長辺方向に平行する、前記アドレス電極に対向する面に、切り欠き部が形成されていることを特徴とする請求項17に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  19. 前記第2の基板はガラス基板からなり、該ガラス基板の前記第1の基板に対向する面に、所望のパターンを形成したレジスト層を保護膜として、サンドブラスト法を用いて前記溝部を形成することを特徴とする請求項17に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  20. 前記第2の基板はガラス基板からなり、該ガラス基板に押圧成形により、前記溝部を形成することを特徴とする請求項17に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  21. 前記第2の基板の前記溝部に、Alからなる、蛍光体を励起して発生される可視光を反射する反射膜を蒸着により形成することを特徴とする請求項17〜20のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  22. 前記反射膜を前記溝部に形成する際、リフトオフ方式により、レジスト層を保護膜として形成することを特徴とする請求項21に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  23. 前記第2の基板が、金属基板からなることを特徴とする請求項1〜22のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  24. 前記第2の基板が、Al材で構成されていることを特徴とする請求項1〜23のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  25. 前記第2の基板は、ホイール状の金属製の薄板からなり、押圧形成により前記溝部が形成され、前記溝部の表面には絶緑膜が形成されていることを特徴とする請求項17〜24のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  26. 請求項1〜25のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法により製造されるプラズマディスプレイパネル。
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