JP2008151297A - 軸受け及び軸受けの給油構造 - Google Patents

軸受け及び軸受けの給油構造 Download PDF

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Abstract

【課題】軸受けへの異物排出溝の形成を行うことなく、軸受けの内周面と軸の外周面との摺動面での異物による焼き付きを回避する。
【解決手段】軸受け6の給油孔9が軸受け座部4の油溝8におけるジャーナル2aの周方向についての端部の内壁面8aと重なるよう、それら給油孔9と油溝8の上記端部とのジャーナル2aの周方向についての相対位置が設定されている。このため、油溝8内の潤滑油が給油孔9を介してジャーナル2aの外周面に流れる際、油溝8の上記端部にて潤滑油の流れのよどみが生じることはなく、そのよどみによって同端部にて潤滑油に混入している異物が堆積することもない。従って、上記油溝8の端部にて堆積した異物が潤滑油の流れ等により流されて軸受け6の内周面とジャーナル2aの外周面との間に進入し、それら内周面と外周面との摺動面での焼き付きを招くことを回避できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、軸受け及び軸受けの給油構造に関するものである。
内燃機関等においては、クランクシャフトなど各種の軸を支持するための支持部が設けられており、その支持部には軸の外周面を囲うように配置された滑り軸受けが設けられている。こうした軸受けは、半円弧状をなす上下一組の上側メタルと下側メタルとによって構成され、それら上側メタル及び下側メタルによって上記軸を上下両側から挟み込むようにしている。そして、内燃機関におけるクランクシャフトなど各種の軸は、上記支持部に設けられた軸受けによって回転可能に支持されている。
また、内燃機関においては、軸の回転をスムーズに行うことを目的として、軸受けと軸との間に潤滑油を供給し、その潤滑油によって軸と軸受けとの間を潤滑することも行われている。例えば特許文献1では、軸受けに軸の周方向に所定間隔をおいて複数の給油孔を形成するとともに、支持部における軸受けの外周面に対応する部分に当該軸の周方向に延びて上記各給油孔と連通する油溝を形成している。更に、油溝に対し油供給路を接続し、その油供給路からの潤滑油を油溝及び各給油孔を介して軸の外周面に供給するようにしている。
特開2006−29523公報(段落[0012]〜[0014]、図1)
ところで、油溝において、油供給路との接続部分から給油孔との接続部分までの潤滑油の流通経路上、言い換えれば油供給路との接続部分から給油孔との接続部分までの最短経路上では、潤滑油がよどむことなく流れることから同潤滑油に混入している異物が堆積することはない。しかし、油溝における軸の周方向についての端部は、上記潤滑油の流通経路上から外れているため、潤滑油の流れのよどむ部分となる。このため、油供給路から支持部の油溝及び軸受けの給油孔を介して軸の外周面に潤滑油が流れる際、油溝の上記端部であって潤滑油の流れがよどむ部分では、潤滑油に混入している異物が堆積することとなる。そして、堆積した異物が油溝内の潤滑油の流れ等によって流されると、その異物が給油孔を介して軸受けの内周面と軸の外周面との間に進入し、それら内周面と外周面との摺動面での焼き付きの原因となるおそれがある。
こうした焼き付きを回避するため、特許文献1に示されるように、軸受け(上側メタル)の内周面に周方向に延びるとともに給油孔と連通する異物排出溝を形成することも考えられる。この場合、油溝で堆積した異物が給油孔を介して軸受けの内周面と軸の外周面との間に進入したとき、その異物は異物排出溝を通って上側メタルと下側メタルとの接触部分の間から外部に排出されるため、軸受けの内周面と軸の外周面との摺動面での上記異物に起因する焼き付きを回避できるようにはなる。しかし、軸受けの内周面に上記異物排出溝を形成すると、給油孔から軸の外周面側に流れた潤滑油のうち、異物排出溝を通って上側メタルと下側メタルとの接触部分の間へと漏れる潤滑油の量が多くなり、その分だけ軸受の内周面と軸の外周面との摺動面に供給される潤滑油の量が少なくなる。このため、軸受けの内周面と軸の外周面との摺動面に必要量の潤滑油を供給すべく、支持部の油溝から軸受けの給油孔へと流れる潤滑油の量を多くしなければならないという新たな問題が生じる。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、軸受けへの異物排出溝の形成を行うことなく、軸受けの内周面と軸の外周面との摺動面での異物による焼き付きを回避することのできる軸受け及び軸受けの給油構造を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、軸を支持するための支持部に同軸の外周面を囲うように設けられ、前記支持部に前記軸の周方向に延びるように形成された油溝内の潤滑油を前記軸の外周面に流す給油孔を前記周方向に所定間隔をおいて複数形成した軸受けにおいて、前記給油孔は、前記油溝と連通し、かつ前記油溝における前記周方向についての端部の内壁面と重なる位置に形成されていることを要旨とした。
上記構成によれば、支持部の油溝における軸の周方向についての端部の内壁面が軸受けの給油孔と重なっているため、油溝内の潤滑油は同油溝における上記端部から給油孔を介して軸の外周面に流れる。このため、油溝内の潤滑油が給油孔を介して軸の外周面に流れる際、油溝における上記端部にて潤滑油の流れのよどみが生じることはなく、そのよどみによって同端部にて潤滑油に混入している異物が堆積することもない。従って、上記油溝の端部にて堆積した異物が潤滑油の流れ等により流されて軸受けの内周面と軸の外周面との間に進入し、それら内周面と外周面との摺動面での焼き付きを招くことを回避できる。また、こうした焼き付きの回避を軸受けに異物排出溝を形成することなく実現でき、その異物排出溝の形成に伴い油溝から給油孔への潤滑油の給油量を多くしなければならなくなるということもない。
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記給油孔に関しては、前記油溝における前記周方向についての端部の内壁面が前記給油孔の内側面よりも同給油孔の中心寄りに位置するように形成されていることを要旨とした。
上記構成によれば、油溝の上記端部と重なる給油孔においては、油溝側の開口端における潤滑油の流通面積が同給油孔の他の部分における潤滑油の流通面積よりも小とされる。これにより、油溝の上記端部から給油孔の油溝側の開口端を介して同給油孔に流出する潤滑油の流速が、給油孔の他の部分における潤滑油の流速よりも速くなり、油溝の上記端部での異物の堆積をより効果的に抑制することができるようになる。
請求項3記載の発明では、請求項2記載の発明では、前記給油孔に関しては、前記油溝における前記周方向についての端部の内壁面と重なった部分における潤滑油の流通面積が前記油溝における潤滑油の流通面積よりも小となるよう、前記周方向についての位置決めが行われていることを要旨とした。
上記構成によれば、油溝内を流れる潤滑油の流速と比較して、油溝の上記端部から同端部と重なる給油孔における油溝側の開口端を介して同給油孔内に流れる潤滑油の流速を速めることができる。従って、潤滑油とともに油溝の上記端部に流れた異物が潤滑油によって同端部と重なる給油孔内へと勢いよく押し流され、油溝の上記端部での異物の堆積をより効果的に抑制することができるようになる。
請求項4記載の発明では、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、前記給油孔の内側面は、前記軸の外周面に向かうほど拡径するテーパ状に形成されていることを要旨とした。
上記構成によれば、油溝の上記端部と重なる給油孔においては、その油溝側の開口端にて潤滑油の流速を速めることができ、上記開口端から下流側に向かうほど給油孔の拡径によって潤滑油が流れやすくなる。従って、給油孔における油溝側の開口端にて潤滑油の流速を速めつつ、油溝の上記端部の内壁面と給油孔とを重ねることによって潤滑油が同給油孔を流れにくくなるということを最小限に抑えることができる。
請求項5記載の発明では、軸の外周面を囲うように配置された軸受けが設けられる支持部を備え、この支持部には前記軸受けに前記軸の周方向に所定間隔をおいて形成された複数の給油孔と連通するよう前記軸の周方向に延びるように油溝を形成し、その油溝から前記各給油孔に潤滑油を供給するとともに、同潤滑油を前記各給油孔から前記軸の外周面に流出させる軸受けの給油構造において、前記油溝に関しては、前記周方向についての端部が前記給油孔と連通し、かつ同端部の内壁面が前記軸受けにおける給油孔と重なるよう形成されていることを要旨とした。
上記構成によれば、支持部の油溝における軸の周方向についての端部の内壁面が軸受けの給油孔と重なっているため、油溝内の潤滑油は同油溝における上記端部から給油孔を介して軸の外周面に流れる。このため、油溝内の潤滑油が給油孔を介して軸の外周面に流れる際、油溝における上記端部にて潤滑油の流れのよどみが生じることはなく、そのよどみによって同端部にて潤滑油に混入している異物が堆積することもない。従って、上記油溝の端部にて堆積した異物が潤滑油の流れ等により流されて軸受けの内周面と軸の外周面との間に進入し、それら内周面と外周面との摺動面での焼き付きを招くことを回避できる。また、こうした焼き付きの回避を軸受けに異物排出溝を形成することなく実現でき、その異物排出溝の形成に伴い油溝から給油孔への潤滑油の給油量を多くしなければならなくなるということもない。
請求項6記載の発明において、請求項5記載の発明において、前記油溝に関しては、その前記周方向についての端部の内壁面が前記給油孔の内側面よりも同給油孔の中心寄りに位置するように形成されていることを要旨とした。
上記構成によれば、油溝の上記端部と重なる給油孔においては、油溝側の開口端における潤滑油の流通面積が同給油孔の他の部分における潤滑油の流通面積よりも小とされる。これにより、油溝の上記端部から給油孔の油溝側の開口端を介して同給油孔に流出する潤滑油の流速が速くなるため、油溝の上記端部での異物の堆積をより効果的に抑制することができる。
請求項7記載の発明では、請求項6記載の発明では、前記油溝に関しては、その前記周方向についての端部の内壁面と重なる前記給油孔における潤滑油の流通面積が前記油溝における潤滑油の流通面積よりも小となるよう、前記内壁面の前記周方向についての位置が定められていることを要旨とした。
上記構成によれば、油溝内を流れる潤滑油の流速と比較して、油溝の上記端部から同端部と重なる給油孔における油溝側の開口端を介して同給油孔内に流れる潤滑油の流速を速めることができる。従って、潤滑油とともに油溝の上記端部に流れた異物が潤滑油によって同端部と重なる給油孔内へと勢いよく押し流され、油溝の上記端部での異物の堆積をより効果的に抑制することができるようになる。
以下、本発明を、内燃機関のクランクシャフトを支持する軸受け、及び軸受けの給油構造に具体化した一実施形態について、図1〜図4に従って説明する。
内燃機関のシリンダブロックの下部には、図1に示されるように、クランクシャフト2を支持するための支持部3が設けられている。この支持部3は、シリンダブロックの下部に形成された軸受け座部4と、その軸受け座部4に対し下方からボルト等により取り付けられる軸受けキャップ5とを備え、それら軸受け座部4と軸受けキャップ5とによりクランクシャフト2のジャーナル2aを上下両側から挟んだ状態となっている。また、支持部3における軸受け座部4及び軸受けキャップ5のジャーナル2aの外周面と対抗する面には、その外周面全体を囲うように滑り軸受け6が設けられている。クランクシャフト2のジャーナル2aは、軸受け6により支持部3に回転可能に支持されている。
支持部3に設けられた軸受け6は、半円弧状をなす上下一組の上側メタル6aと下側メタル6bとによって構成されている。それら上側メタル6a及び下側メタル6bのうち、上側メタル6aは軸受け座部4におけるジャーナル2aの外周面との対向面に取り付けられており、下側メタル6bは軸受けキャップ5におけるジャーナル2aの外周面との対抗面に取り付けられている。そして、軸受けキャップ5を軸受け座部4に取り付けた状態にあっては、上側メタル6aと下側メタル6bとの周方向両端部同士が対応して位置するようになっている。
また、内燃機関においては、クランクシャフト2の回転をスムーズに行うことを目的として、軸受け6とジャーナル2aとの間に潤滑油を供給し、その潤滑油によって軸受け6とジャーナル2aとの間を潤滑することも行われている。ここで、軸受け6とジャーナル2aとの間に潤滑油を供給するための給油構造について詳しく説明する。
支持部3の軸受け座部4において、軸受け6の上側メタル6aの外周面に対応する部分には、潤滑油の流れ込む油供給路7に接続されるとともに上記外周面の周方向に延びる油溝8が形成されている。なお、上記油供給路7に流れ込む潤滑油は、オイルポンプから吐出されてシリンダブロックに供給され、そのシリンダブロックを通過した後のものである。また、軸受け6の上側メタル6aには、上記油溝8内の潤滑油をジャーナル2aの外周面に流すための給油孔9が上記周方向に所定間隔をおいて複数形成されている(この実施形態では二つ)。これら給油孔9は、図2に示されるように上側メタル6aにおける外周面側と内周面側とを連通するように形成され、図1に示されるように軸受け座部4の油溝8と連通している。従って、油供給路7から油溝8に流れ込んだ潤滑油は、各給油孔9を介してジャーナル2aの外周面に流出することとなる。
また、この実施形態の軸受け6及びその給油構造においては、潤滑油に混入している異物が油溝8内に堆積しないようにする構造が採用されている。具体的には、給油孔9が油溝8と連通し且つ油溝8における上記周方向についての端部の内壁面8aと重なるよう、給油孔9と油溝8の上記端部とのジャーナル2aの周方向についての相対位置が設定されている。
仮に、給油孔9と内壁面8aとが重なっておらず、例えば内壁面8aが図中の二点鎖線で示されるように位置したとすると、油溝8の上記端部が同油溝8における油供給路7との接続部分から給油孔9との接続部分までの潤滑油の流通経路上から外れて位置することとなる。ここで、油溝8における油供給路7との接続部分から給油孔9との接続部分までの潤滑油の流通経路上、言い換えれば油供給路7との接続部分から給油孔9との接続部分までの最短経路上では、ジャーナル2aの外周面に潤滑油を流す際に潤滑油がよどむことなく流れることから、同潤滑油に混入している異物が堆積することはない。しかし、上記潤滑油の流通経路上から外れた油溝8の上記端部(二点鎖線)では、潤滑油の流れのよどむ部分となるため、ジャーナル2aの外周面に潤滑油を流す際に潤滑油に混入している異物が堆積することとなる。そして、堆積した異物が油溝8内の潤滑油の流れ等によって流されると、その異物が給油孔9を介して軸受け6の内周面とジャーナル2aの外周面との間に進入し、それら内周面と外周面との摺動面での焼き付きの原因となるおそれがある。
しかし、上述したように給油孔9と油溝8の内壁面8aとのジャーナル2aの周方向についての相対位置を設定すれば、油溝8内の潤滑油が給油孔9を介してジャーナル2aの外周面に流れる際、油溝8の上記端部にて潤滑油の流れのよどみが生じることはなく、そのよどみによって同端部にて潤滑油に混入している異物が堆積することもない。従って、上記油溝8の端部にて堆積した異物が潤滑油の流れ等により流されて軸受け6の内周面とジャーナル2aの外周面との間に進入し、それら内周面と外周面との摺動面での焼き付きを招くことを回避できる。なお、上述した給油孔9と油溝8の内壁面8aとのジャーナル2aの周方向についての相対位置の設定に関しては、給油孔9の上記周方向についての位置設定によって実現してもよいし、油溝8における内壁面8aの同周方向についての位置設定によって実現してもよい。更に、これら給油孔9と内壁面8aとの両方の上記周方向についての位置設定を通じて実現するようにしてもよい。
次に、給油孔9と油溝8の上記端部の内壁面8aとの上記周方向についての位置関係をより詳しく説明する。なお、図1において、給油孔9及び油溝8はジャーナル2aの軸線を通過する鉛直線を中心とする左右対称となっていることから、ここでは図1の右側に位置する給油孔9及び内壁面8aを例としてそれらの上記周方向についての位置関係を詳しく説明する。
図3は図1の上側メタルを矢印A方向から見た拡大図であり、図4は図1の右側に位置する給油孔9及び内壁面8a回りの拡大断面図である。これらの図から分かるように、給油孔9と内壁面8aとの上記位置関係については、内壁面8aの給油孔9側の端部Tがその給油孔9の内側面よりも同給油孔9の中心線C寄り(この例では中心線C上)に位置するよう定められている。このため、給油孔9における油溝8側の開口端における潤滑油の流通面積(図3の領域Bの面積)は、同給油孔9の他の部分における潤滑油の流通面積よりも小となる。更に、給油孔9における油溝8側の開口端の潤滑油の流通面積が油溝8における潤滑油の流通面積より小となるように、それら給油孔9と内壁面8aとの上記位置関係が定められている。
以上のように給油孔9と内壁面8aとの上記位置関係を定めることによって、給油孔9における油溝8側の開口端における潤滑油の流通面積が、同給油孔9の他の部分における潤滑油の流通面積、及び油溝8内の潤滑油の流通面積よりも小となり、油溝8の上記端部から給油孔9の油溝8側の開口端を介して同給油孔9に流出する潤滑油の流速が速くなる。そして、このように油溝8の上記端部から給油孔9に流れる潤滑油の流速を速めることで、潤滑油とともに油溝8の上記端部に流れた異物が潤滑油によって同端部から給油孔9へと勢いよく押し流されるため、その端部での異物の堆積をより効果的に抑制することができるようになる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)軸受け6(上側メタル6a)の給油孔9が軸受け座部4の油溝8におけるジャーナル2aの周方向についての端部の内壁面8aと重なるよう、それら給油孔9と油溝8の上記端部(内壁面8a)とのジャーナル2aの周方向についての相対位置が設定されている。このため、油溝8内の潤滑油が給油孔9を介してジャーナル2aの外周面に流れる際、油溝8の上記端部にて潤滑油の流れのよどみが生じることはなく、そのよどみによって同端部にて潤滑油に混入している異物が堆積することもない。従って、上記油溝8の端部にて堆積した異物が潤滑油の流れ等により流されて軸受け6の内周面とジャーナル2aの外周面との間に進入し、それら内周面と外周面との摺動面での焼き付きを招くことを回避できる。また、こうした焼き付きの回避を軸受け6に異物排出溝を形成することなく実現でき、その異物排出溝の形成によって潤滑油の漏れ量が増大する分だけ、油溝8から給油孔9への潤滑油の給油量を多くしなければならなくなるということもない。
(2)給油孔9と内壁面8aとの上記周方向の上記位置関係については、内壁面8aの給油孔9側の端部Tがその給油孔9の内側面よりも同給油孔9の中心線C寄りに位置するよう定められている。このため、給油孔9における油溝8側の開口端における潤滑油の流通面積(図3の領域Bの面積)は、同給油孔9の他の部分における潤滑油の流通面積よりも小となる。従って、油溝8の上記端部から給油孔9の油溝8側の開口端を介して同給油孔9に流出する潤滑油の流速が、給油孔9の他の部分における潤滑油の流速よりも速くなり、油溝8の上記端部での異物の堆積をより効果的に抑制することが可能になる。
(3)また、給油孔9と内壁面8aとの上記位置関係に関しては、給油孔9における油溝8側の開口端の潤滑油の流通面積が油溝8における潤滑油の流通面積より小となるようにも定められている。このため、油溝8の上記端部から給油孔9の油溝8側の開口端を介して同給油孔9に流出する潤滑油の流速が速くなる。そして、このように油溝8の上記端部から給油孔9に流れる潤滑油の流速を速めることで、潤滑油に混入している異物が油溝8の上記端部から給油孔9へと勢いよく押し流されるため、その端部での異物の堆積をより効果的に抑制することができるようになる。
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・図5に示されるように、油溝8と給油孔9との連通状態を保持しつつ同油溝8の内壁面8aの端部Tが給油孔9の内側面と重なるよう、給油孔9と内壁面8aとにおけるジャーナル2aの周方向についての相対位置を定めてもよい。この場合も、上記(1)と同等の効果が得られるようになる。ただし、上記のように油溝8の内壁面8aの端部Tが給油孔9の内側面と重なるよう上側メタル6aを軸受け座部4に取り付けるためには、その取り付けに高い精度が要求されることとなる。仮に、こうした要求を満たすことができず、図5に示される端部Tが例えば図中の右方向にずれた状態になると、その分だけ油溝8内に潤滑油の流れのよどみができて異物の堆積が生じることとなる。この点、上記実施形態のように内壁面8aの端部Tを給油孔9の内側面よりも中心線C寄りに位置させれば、端部Tが多少図中の右方向にずれたとしても給油孔9の内側面に対し図中の方向にはみ出すことはなく、油溝8に上述したような潤滑油の流れのよどみが生じることはない。このため、上側メタル6aを軸受け座部4に取り付ける際に高い精度が要求されることもなくなる。
・上記のように油溝8の内壁面8aの端部Tを給油孔9の内側面と重ねた場合、例えば図6に示されるように給油孔9の内径を小さく設定し、同給油孔9における油溝8側の開口端における潤滑油の流通面積が油溝8内における潤滑油の流通面積よりも小さくなるようにすることが好ましい。この場合も上記(3)と同等の効果が得られるようになる。
・上記実施形態では給油孔9の内側面を同給油孔9の内径が中心線方向について一定となるよう形成したが、図7に示されるように給油孔9の内側面をジャーナル2aの外周面に向かうほど拡径するテーパ状に形成してもよい。この場合、給油孔9において、その油溝8側の開口端にて潤滑油の流速を速めることができ、上記開口端から下流側に向かうほど給油孔9の拡径によって潤滑油が流れやすくなる。従って、給油孔9における油溝8側の開口端にて潤滑油の流速を速めつつ、油溝8の上記端部の内壁面8aと給油孔9とを重ねることによって潤滑油が同給油孔9内を流れにくくなるということを最小限に抑えることができる。
・給油孔9の油溝8側の開口端における潤滑油の流通面積(図3の領域Bの面積)が油溝8内における潤滑油の流通面積よりも小となるようにすることは必須ではない。
・軸受け6(上側メタル6a)に給油孔9を二つ以上設けてもよい。
・クランクシャフト2以外の軸を支持する軸受け及びその給油構造に本発明を適用してもよい。この場合、下側メタル6bに複数の給油孔を形成し、その給油孔に潤滑油を供給する油溝を形成するようにしてもよい。また、こうした給油構造を採用したときには、油溝8や上側メタル6a側の給油孔9を省略することも可能である。
本実施形態の軸受け及びその給油構造を示すシリンダブロック下部の拡大断面図。 上記軸受けを構成する上側メタルを示す斜視図。 図1の上側メタルを矢印A方向から見た拡大図。 図1の右側に位置する給油孔9及び内壁面8a回りの拡大断面図。 給油孔9及び内壁面8aの他の例を示す拡大断面図。 給油孔9の他の例を示す拡大断面図。 給油孔9の他の例を示す拡大断面図。
符号の説明
2…クランクシャフト、2a…ジャーナル、3…支持部、4…軸受け座部、5…軸受けキャップ、6…軸受け、6a…上側メタル、6b…下側メタル、7…油供給路、8…油溝、8a…内壁面、9…給油孔。

Claims (7)

  1. 軸を支持するための支持部に同軸の外周面を囲うように設けられ、前記支持部に前記軸の周方向に延びるように形成された油溝内の潤滑油を前記軸の外周面に流す給油孔を前記周方向に所定間隔をおいて複数形成した軸受けにおいて、
    前記給油孔は、前記油溝と連通し、かつ前記油溝における前記周方向についての端部の内壁面と重なる位置に形成されている
    ことを特徴とする軸受け。
  2. 前記給油孔に関しては、前記油溝における前記周方向についての端部の内壁面が前記給油孔の内側面よりも同給油孔の中心寄りに位置するように形成されている
    請求項1記載の軸受け。
  3. 前記給油孔に関しては、前記油溝における前記周方向についての端部の内壁面と重なった部分における潤滑油の流通面積が前記油溝における潤滑油の流通面積よりも小となるよう、前記周方向についての位置決めが行われている
    請求項2記載の軸受け。
  4. 前記給油孔の内側面は、前記軸の外周面に向かうほど拡径するテーパ状に形成されている
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の軸受け。
  5. 軸の外周面を囲うように配置された軸受けが設けられる支持部を備え、この支持部には前記軸受けに前記軸の周方向に所定間隔をおいて形成された複数の給油孔と連通するよう前記軸の周方向に延びるように油溝を形成し、その油溝から前記各給油孔に潤滑油を供給するとともに、同潤滑油を前記各給油孔から前記軸の外周面に流出させる軸受けの給油構造において、
    前記油溝に関しては、前記周方向についての端部が前記給油孔と連通し、かつ同端部の内壁面が前記軸受けにおける給油孔と重なるよう形成されている
    ことを特徴とする軸受けの給油構造。
  6. 前記油溝に関しては、その前記周方向についての端部の内壁面が前記給油孔の内側面よりも同給油孔の中心寄りに位置するように形成されている
    請求項5記載の軸受けの給油構造。
  7. 前記油溝に関しては、その前記周方向についての端部の内壁面と重なる前記給油孔における潤滑油の流通面積が前記油溝における潤滑油の流通面積よりも小となるよう、前記内壁面の前記周方向についての位置が定められている
    請求項6記載の軸受けの給油構造。
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