以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
<システムの概要;第1実施形態>
図1は、画像形成システム(画像形成組織)の第1実施形態の全体概要を示す図である。第1実施形態の画像形成システム1は、オンデマンド印刷システム(オンデマンド印刷組織)として構成されており、各種の装置が、情報通信路9により接続されて構成されている。
一例として、画像形成システム1は、出力ジョブとしての印刷ジョブ(Print Job )を画像形成処理要求として発するユーザ側の装置である利用者端末100と、受信した印刷ジョブを処理する画像形成装置の一例である印刷装置200と、印刷可能ジョブを一覧表示して利用者に対して所望の印刷可能ジョブの印刷指示を促すオンデマンド端末300とを備える。なお、印刷装置200とオンデマンド端末300とは、一体的に構成されたものであってもよい。
また、画像形成システム1は、処理対象の文書を記憶・保持するサーバ装置(役務提供装置)の一例である文書管理サーバ400と、複数の印刷装置200を管理しつつ印刷サービス(印刷役務)を提供するサーバ装置の一例であるプリントサーバ(印刷役務提供装置)800とを備える。
また、本実施形態特有の構成要素として、画像形成システム1は、印刷対象となる文書の属性を管理する文書属性管理役務を提供するサーバ装置の一例である文書属性管理サーバ500と、印刷処理時の出力条件(印刷モードとも称する)を管理する出力条件管理役務を提供するサーバ装置の一例である印刷条件管理サーバ600も、情報通信路9により接続されて構成されている。
なお、文書属性管理サーバ500と印刷条件管理サーバ600とを纏めて、出力条件管理サーバ700として構築してもよい。また、出力条件管理サーバ700とプリントサーバ800とを纏めて画像出力管理サーバ702として構築してもよい。
なお、図示を割愛するが、印刷装置200には、たとえば、ステープラ、パンチング(穴開け)、折畳み(紙折り)、スタンプ(刻印)、などの後処理を行なう後処理装置が併設可能になっている。
情報通信路9は、有線および無線の何れの方式のものであってもよい。また、各装置の間を直接に接続する形態のものであってもよいし、局所的なLAN(Local Area Network;ローカルエリアネットワーク)であっても、あるいは公衆電話回線を利用したWAN(Wide Area Network ;広域ネットワーク)であってもよい。また、文書管理サーバ400をWeb上に配する場合には、情報通信路9は、インターネット(Internet)を利用したものであってもよい。ここでは、情報通信路9は、通信網(ネットワーク)構成のものとする。
このような構成の画像形成システム1は、複数の利用者が所定の印刷装置200を共有する印刷システムとなっている。ネットワークを介して接続されたコンピュータなどの利用者端末100より送信された印刷ジョブを、プリントサーバ800などからなる画像出力制御装置(プリンタ制御装置)を介して印刷装置200に送信して、印刷装置200より所望の印字を行なう形態の印刷システムとなっている。
ここで、印刷ジョブとは、利用者から見て印刷装置200で処理させる一纏まりの印刷処理単位を意味する。印刷ジョブには、出力処理対象の文書ファイルもしくはこの文書ファイルに対応するプリンタ言語の印刷データの他、出力設定を示す設定情報を含んでいる。なお、設定情報は、文書ファイルやプリンタ言語の印刷データの一部に記述してもよいし、文書ファイルやプリンタ言語の印刷データとは別のファイルにしてもよい。
図示した例では、2台の利用者端末100と、6台の印刷装置200と、3台のオンデマンド端末300と、1台の文書管理サーバ400と、1台の文書属性管理サーバ500と、1台の印刷条件管理サーバ600と、1台のプリントサーバ800とで、画像形成システム1が構成されているが、それぞれの設置台数は任意である。
利用者端末100は、文書管理サーバ400やプリントサーバ800に対して所望の文書の印刷指示を行なう。本例では、利用者端末100_Aは、文書管理サーバ400に予め保存している教材用の文書についての出力指示(印刷指示)を文書管理サーバ400を介してプリントサーバ800に発する。一方、利用者端末100_Bは、自身に保存しているあるいは作成したばかりの私用文書の出力指示(印刷指示)をプリントサーバ800に発する。
ここで、各利用者端末100は、図示を割愛するが、操作画面など表示する表示装置を備える。また、利用者端末100は、印刷に供される一般文書、表、図面、写真、あるいは小冊子などの文書ファイルを取得する文書取得装置としての機能を備える。
たとえば、利用者端末100は、一般文書や図面などの文書ファイルを取得する文書取得部と、文書取得部が取得した文書ファイルの印刷プレビューまたは実際の印刷出力などの印刷に関わる出力要求を発する出力要求部と、他の装置との間の中継(インタフェース;Interface )機能をなす中継部とを有する。
ここで、「ファイル(File)」とは、電子計算機で取り扱うデータを、一定の規則でハードディスクやフレキシブルディスクなどの記憶媒体に記録した情報を意味する。
中継(インタフェース)機能とは、2つ以上の機器(本実施形態の場合、利用者端末100と他の装置)を繋ぐ際の、データ転送速度やタイミング、手順などの規格に従った処理を実行する機能を意味する。
中継部は、利用者端末100に備えられる表示装置との間の中継機能をなす表示中継部と、文書管理サーバ400やプリントサーバ800との間の中継機能をなす通信中継部とを有する。
文書取得部は、たとえば、文書ファイルを生成する専用のハードウェア機能部を設ける、あるいは、文書ファイルを生成するアプリケーションソフトウェアが組み込まれた構成を採ることで、自身にて文書を作成することができるものであってもよい。また、自身では文書ファイルを作成する機能を有しないが、他の文書処理装置にて生成された文書ファイルを取り込むものであってもよい。
文書取得部に一般文書や図形などの文書データを生成するためのアプリケーションプログラムを組み込む場合、利用者端末100には、そのアプリケーションプログラムを動作させるための仕組みとして、電子計算機に準じた仕組みを採る。一例として、利用者端末100には、装置全体を制御する中央制御部を設け、この中央制御部に装置全体を制御するソフトウェアである基本ソフト(OS;Operating Systems/オペレーティング・システム)を組み込む。
これにより、利用者端末100は、プログラムに基づいてソフトウェア的に文書を作成する機能を実現するようになる。もちろん、文書を作成する機能だけでなく、出力要求部の機能をもソフトウェアで実現する仕組みを採用することもできるようになる。
すなわち、各種の機能部を構成するためのプログラムを格納したフレキシブルディスクやCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )などの可搬型のコンピュータ読取り可能な記憶媒体からプログラムを読み出して図示しないハードディスク装置などにインストールさせておき、ハードディスク装置からプログラムを読み出して図示しないCPUが後述する処理手順を実行することにより、各機能をソフトウェア的に実現することができる。
なお、プログラムは、コンピュータ読取り可能な記憶媒体に格納されて提供されてもよいし、有線あるいは無線による通信手段を介して配信されてもよい。また、これらのプログラムや当該プログラムを格納した記憶媒体は、既存のシステムやアプリケーションプログラムをバージョンアップするものとして提供されてもよい。あるいは、各機能部分をソフトウェア的に実現するパッチファイルあるいは付加モジュール、あるいは、一部の拡張機能に対応したオプションプログラム(いわゆるアドインソフトやアドオンソフト)として提供されてもよい。
また、他の利用者端末100にて生成された文書の取込みは、文書(の電子データ)が記憶された記憶媒体(記録媒体とも称される)の記憶情報を読み取ることで取得してもよいし、他の利用者端末100から文書(の電子データ)を情報通信路9を介して取得してもよい。
図示を割愛するが、出力要求部は、画像形成装置の一例である印刷装置200における画像形成機能に関する設定を行なうための設定画面上で、印刷出力処理用の各種の設定を利用者から受け付け、その印刷設定を示す出力設定情報を生成する出力設定ツールの一例である出力設定部を有する。出力設定部は、生成した出力設定情報を記述した出力設定ファイルを通信中継部に渡す。
なお、利用者端末100に出力設定部を備えていることは必須ではなく、出力要求部は、少なくとも印刷ジョブを出力側(本例では文書管理サーバ400やプリントサーバ800側)に発する機能を有していればよい。
たとえば、親展プリントのように予約出力モードで出力要求をプリントサーバ800側に発し、出力設定(印刷設定)は、印刷装置200側で設定すればよい。この場合、印刷装置200側に、出力設定部と同様の機能部が設けられる。
通信中継部は、文書取得部で取得された文書ファイルを文書管理サーバ400やプリントサーバ800に出力する。また、通信中継部は、出力設定部で生成された印刷設定情報を記述した出力設定ファイルと、文書取得部で取得された出力処理対象の文書ファイル(元の印刷データ)とを対応付けて、情報通信路9を介して、文書管理サーバ400やプリントサーバ800に出力する。あるいは、出力設定部で生成された印刷設定情報を記述した出力設定ファイルと、文書管理サーバ400に保存されている出力処理対象の文書ファイルを指示する情報とを対応付けて、情報通信路9を介して、文書管理サーバ400やプリントサーバ800に出力する。
なお、文書ファイルを文書管理サーバ400やプリントサーバ800に渡すのではなく、出力要求部にて、処理対象文書を印刷処理に好適なデータ(プリンタ言語の印刷データ)に変換して文書管理サーバ400やプリントサーバ800に渡すようにすることもできる。この場合、出力要求部には、元の印刷データである文書ファイルを、プリンタに対応するプリンタ言語に変換する機能を有するプリンタドライバを搭載する。
印刷装置200は、印刷ジョブの出力処理を実行する。ここで、印刷装置200は、図示を割愛したネットワークインタフェースを介してオンデマンド端末300に接続され、さらに情報通信路9を介してプリントサーバ800と接続されるようになっている。
この印刷装置200は、利用者端末100からプリントサーバ800を介して送信されるプリンタ言語の印字データを含む印刷ジョブを解析して、1ページずつ画像形成用のイメージデータに変換し、1ページごとに印刷する。なお、印刷装置200としては、いわゆるネットワークプリンタを採用することができる。
ここで、本例では、実習室Aに2台の印刷装置200_A1 ,200_A2 が配されており、実習室Bに2台の印刷装置200_B1 ,200_B2 が配されており、図書館に2台の印刷装置200_C1 ,200_C2 が配されているものとする。
オンデマンド端末300は、オンデマンド印刷モードで印刷するジョブの一覧を、図示を割愛した操作パネルの表示部に表示する。各印刷ジョブには、たとえば、課金、非課金、上限制限などの情報が表示される。
オンデマンド端末300は、印刷装置200とプリントサーバ800との間に介在して出力指示を発するようになっている。オンデマンド端末300は、印刷装置200のそれぞれに対して1対1で設けてもよいし、1台のオンデマンド端末300が複数台の印刷装置200を担当するようにしてもよい。
たとえば本例では、実習室Aに1台のオンデマンド端末300_Aが2台の印刷装置200_A1 ,200_A2 に対する出力指示に介在するように配されており、実習室Bに1台のオンデマンド端末300_Bが2台の印刷装置200_B1 ,200_B2 に対する出力指示に介在するように配されており、図書館に1台のオンデマンド端末300_Cが2台の印刷装置200_C1 ,200_C2 に対する出力指示に介在するように配されているものとする。
なお、図書館には、さらに図示を割愛した別のオンデマンド端末300_Dを設けてもよい。この場合、各オンデマンド端末300_C,300_Dが、それぞれ2台の印刷装置200_C1 ,200_C2 に対する出力指示に介在するように配することもできるし、オンデマンド端末300_C,300_Dの何れか一方が、印刷装置200_C1 ,200_C2 の何れか一方に対する出力指示に介在するように配することもできる。
<機能構成図;第1実施形態>
図2は、第1実施形態の画像形成システム1において、出力条件の管理機能に着目した機能構成を示すブロック図である。
文書属性管理サーバ500や印刷条件管理サーバ600、あるいは文書属性管理サーバ500および印刷条件管理サーバ600を含む出力条件管理サーバ700、さらには、プリントサーバ800をも含む画像出力管理サーバ702における出力条件の制御機能を実行する機能部を、以下、画像出力制御装置と称する。
ここでは、図1に示したように、画像出力制御装置として機能する印刷条件管理サーバ600が他のサーバと独立して設けられているものとして説明する。
本実施形態の画像形成システム1の特徴部分である画像出力制御装置は、日時と時刻を計時することで現在時刻を参照可能とする計時部720と、要求された印刷ジョブに対して適用すべき処理条件を制御する処理条件制御部730とを備える。なお、処理条件は、出力可否と印刷モードを含む意味である。
図示した例では、処理条件制御部730は、印刷条件管理サーバ600に備えられている。また、画像出力制御装置の主要部である処理条件制御部730の周辺部には、その他の各種のサーバが配設されている。
たとえば、文書管理サーバ400は、各種文書を保管するファイルサーバであり、ハードディスク装置やその他の記憶装置で構成された記憶媒体402を有する。記憶媒体402の保管場所である文書データベースDB1は、一例として、教官用、学生用、共通用など、所有者や利用目的などにより分類されている。文書管理サーバ400は、利用者自身もしくは第3者から提供される文書を、文書データベースDB1として記憶媒体402に記憶(格納)しておき、利用者からの要求に基づいてプリントサーバ800に指示された文書を渡す。
文書属性管理サーバ500は、文書管理サーバ400に保管されている各文書の印刷処理に関わる属性を保管するサーバであり、ハードディスク装置やその他の記憶装置で構成された記憶媒体502を有する。記憶媒体502は、処理対象のジョブの属性の一例である文書の印刷処理に関わる属性の情報を記憶する文書属性情報記憶部の一例である。
文書属性管理サーバ500は、各文書の印刷処理に関わる属性を、文書属性データベースDB2として記憶媒体502に記憶(格納)しておき、印刷条件管理サーバ600からの要求に基づいて指示された文書の属性を渡す。
ここで、文書の属性の種類は、たとえば、最初から文書に付与される属性と後から文書に付与される属性の2種類に大別することができる。最初から文書に付与される属性としては、たとえば、文書ファイルの保存先の位置を示すパス(Path)や文書の所有者を識別する情報が該当する。一方、後から文書に付与される属性としては、たとえば、初期設定の処理条件の一例であるデフォルトの印刷モード、教材用・私用・共有用などの文書の利用目的、あるいは印刷可能な印刷装置200などを識別する情報が該当する。印刷可能な印刷装置200の情報としては、たとえば、全て、実習室A,実習室B,および図書館の内の何れか1箇所、あるいは、各教室の任意の複数の組合せ(ただし「全て」は除く)などのようにして指定する。
印刷条件管理サーバ600は、印刷モードの変更を行なう管理サーバであり、ハードディスク装置やその他の記憶装置で構成された記憶媒体602を有する。記憶媒体602が、処理対象のジョブの属性に対して適用するべき、印刷装置200(画像形成装置)における処理対象の文書の画像形成処理時の処理条件を識別する定義情報を記憶する。印刷条件管理サーバ600は、記憶媒体602に記憶されている定義情報に処理対象のジョブを突き当てる(照合する)ことで、処理対象のジョブの属性に応じて処理条件を制御する。
ここで、印刷ジョブの属性としては、以下のようなものが存在する。たとえば、印刷ジョブに含まれるプリンタ言語の印刷データの元となる文書の属性(種類)や、印刷ジョブを要求する利用者の属性(印刷ジョブの所有者とも称する)や、印刷ジョブで規定されている出力先の印刷装置200の設置場所とその設置場所の本来の使用目的(いわゆるその設置場所で実施される行事)などがある。行事では、ジョブの処理結果の出力文書が使用されることもあり、そのため、ジョブの処理条件を決定する際には、その行事の実施予定時刻や、その行事が実施される場所との関連を考慮する必要もある。これらは、単独で取り扱うことができるし、相互に関連して取り扱うこともできる。
このため、印刷条件管理サーバ600は、実施場所の一例である教室名や図書館、および、その実施場所(教室や図書館)にある印刷装置200やオンデマンド端末300の一覧が記録されたデータを実施場所データベース(あるいは出力装置データベースとも称する)DB3として、また、行事名の一例である授業名や講義名、その行事の主催者名(本例では教官名)、実施予定時間帯、行事の実施場所(本例では教室名)、および印刷装置200の使用有無が記録されたデータを時間割データベースDB4として、記憶媒体602に記憶(格納)しておく。
さらに、行事とその行事への参加者(本例では授業や講義の受講者)の一覧が記録されたデータを参加者データベースDB6として、また、行事とその行事における出力条件(印刷可否や印刷データ)を定義したデータを出力条件データベースDB7として、記憶媒体602に記憶(格納)しておく。
なお、さらに、これらを組み合わせて、印刷ジョブの属性(特に本実施形態では文書と関連する行事の時間割が主)に対して適用する出力条件(印刷可否や印刷データ)を定義したデータを判定規則データベースDB8として、記憶媒体602に記憶(格納)しておくようにしてもよい。
記憶媒体602は、画像形成装置一例である印刷装置200の設置場所の情報を実施場所データベースDB3として記憶する出力処理場所情報記憶部と、ジョブの処理結果の出力文書を使用するイベント(行事)を識別するイベント識別情報を記憶するイベント情報記憶部と、イベント識別情報と出力文書を使用するイベントが実施される実施予定時刻(時間割,スケジュール)を対応付けて時間割データベースDB4として記憶する時間割情報記憶部の一例である。
また、記憶媒体602は、行事を識別するイベント識別情報とその行事への参加者を識別する参加者識別情報とを対応付けて記憶する参加者情報記憶部と、行事に対して適用する処理条件の定義情報を処理条件データベースDB7として記憶する処理条件情報記憶部と、処理対象のジョブの属性に対して適用する処理条件の定義情報を判定規則データベースDB8として記憶する定義情報記憶部の一例である。なお本実施形態では、イベント情報記憶部と時間割情報記憶部の機能を1つのデータベースで実現し得るように、時間割データベースDB4の構造を工夫する。
ここで、各データベースDB2〜DB8は、処理条件制御部730の管理下において情報管理可能に構成さえすればよく、異なるサーバコンピュータに配設してもよいし、同一のサーバコンピュータに設けるようにしてもよい。何れにしても、各データベースDB2〜DB8は、印刷ジョブの属性情報を記憶するジョブ属性記憶部として機能するもので、行事およびその行事の実施予定時間(時間割)などをはじめとする要素間の紐付け(関連)を記憶する。さらに好ましくは、文書の属性や画像形成装置の設置場所、利用者などのその他の要素を紐付けして記憶するようにする。
実施場所データベースDB3の情報には、行事の実施場所を識別する情報と、その実施場所に設置されている画像形成装置(本例では印刷装置200)やオンデマンド端末300を識別する情報とを含むものとする。これらは、1つのデータベースで管理するようにしてもよいし、複数のデータベースの組合せにしてもよい。
たとえば、行事の実施場所を識別する情報とその実施場所に設置されているオンデマンド端末300を識別する情報とを含む第1の実施場所データベースDB3_A(特に、端末設置場所データベースDB3_Aと称する)と、各オンデマンド端末300を識別する情報とそのオンデマンド端末300が出力指示を管理する印刷装置200を識別する情報とを含む第2の実施場所データベースDB3_B(特に、端末管理印刷装置データベースDB3_Bと称する)との組合せにすることができる。
時間割データベースDB4に保存する時間割情報には、少なくとも、会議や授業や講義などの行事(催し物)の実施予定時刻を識別する情報(時間帯;日時)と、その行事を実施する場所を識別する情報とを含むものとする。また、イベント情報記憶部と時間割情報記憶部の機能を1つのデータベースで実現し得るように、さらに、各時間帯で実施される行事を識別する情報も含むものとする。
参加者データベースDB6に保存する行事への参加者を特定する情報には、少なくとも、行事の種類を識別する情報(たとえば授業名や講義名や会議名など)と、その行事への参加者を識別する情報(たとえば利用者ID)とを含むものとする。
処理条件データベースDB7に保存する処理条件の定義情報には、少なくとも、行事の種類を識別する情報(たとえば授業名や講義名や会議名など)と、各行事の種類に適合する出力条件(出力可否や印刷モード)を識別する情報とを含むものとする。
判定規則データベースDB8は、各データベースDB2〜DB7の組合せで構築すればよく、たとえば、この判定規則データベースDB8に保存する処理条件の定義情報には、少なくとも、行事の実施場所を識別する情報や行事の時間割を識別する情報を含むものとする。さらに好ましくは、処理対象の文書の属性を識別する情報や、各文書の属性に適合する出力条件(出力可否や印刷モード)を識別する情報など、その他の印刷ジョブの属性との任意の組合せの関係で、適合する出力条件を定義付けたものとするとよい。
何れにしても、処理対象のジョブの属性に適合する処理条件を処理条件データベースDB7や判定規則データベースDB8として記憶媒体602に記憶しておくことで、利用者が印刷したい文書に関して、特に本実施形態では、行事の時間割と連携して、各印刷ジョブについて処理条件を制御することで、管理者の負荷低減を図りながら出力装置(本例では印刷装置200やオンデマンド端末300)の不意の占有を回避するようにしている。
加えて、特別に処理条件を指定するなどの煩わしい操作を行なわなくとも、処理対象のジョブの属性に適合する処理条件を自動的に設定して、各印刷ジョブに適合させた処理条件で簡単に印刷処理を実行するようにし、その結果として、管理者や行事の主催者(たとえば教官)が処理条件の設定を都度する煩わしさを排除するようにしている。
ここで、「行事の時間割と連携して処理条件を制御する」とは、ジョブを利用者端末100から受信した順に処理するのではなく、出力先でジョブの処理結果として得られる出力文書が使用される行事の時間割に対応するジョブを優先的に処理するように処理順序を調停することを意味する。
たとえば、ジョブ要求を発した(受け付けた)現時点が、出力先で出力文書が使用される行事の実施時刻に適合する場合は直ちに出力処理を実行するように処理順序を調停するし、ジョブ要求を発した(受け付けた)現時点が、出力先で出力文書が使用される行事の実施時刻以前であればオンデマンド印刷モードにして処理待ちのジョブとしておく。
そして、処理待ちとなるジョブについては、ジョブを利用者端末100から受信した順に処理するのではなく、ジョブの処理結果で得られる出力文書が使用される行事の実施時刻に対応するジョブを優先的に処理するように処理順序を調停する。
印刷条件管理サーバ600は、印刷モードを適用するルール(処理条件)を一元管理することによって、どの印刷装置200で出力しても同じ印刷モードが適用されるようにしている。
印刷条件管理サーバ600は、文書属性管理サーバ500から、印刷ジョブの所有者、印刷モード、利用目的などの、処理対象文書の印刷処理に関わる属性を取得する。そして、取得した文書の属性と、予め記憶媒体602に登録している各データベースDB3〜DB8の登録情報に従って処理条件(印刷可否や印刷モード)を決定し、印刷ジョブに対して適切な処理条件を設定する。印刷条件管理サーバ600は、この処理条件の設定情報をプリントサーバ800に通知する。
プリントサーバ800は、文書管理サーバ400に保存している指定された文書(本例では教材が主)または利用者端末100から受け取った私用文書などの処理対象文書の印刷処理を管理する。
プリントサーバ800は、利用者端末100から要求された印刷ジョブに基づき、処理対象文書を記述した文書ファイルを、印刷処理に好適なデータ(印刷データ)に変換して、さらに1ページずつ画像形成用のページ画像(印刷イメージと称する)に変換(描画展開と称する)して出力処理を担当する印刷装置200に出力する。
ここで、本実施形態のプリントサーバ800は、利用者端末100から印刷要求が出されたプリンタ言語の印刷データを含む印刷ジョブを格納して印刷する機能、または利用者端末100からプリンタ言語の印字データを含まない印刷ジョブ情報のみを受け取り、利用者端末100の印刷順序を管理し、印刷順序になった利用者端末100もしくは文書管理サーバ400に対してプリンタ言語の印字データを含む印刷ジョブの送信許可を通知する機能、あるいは印刷装置200のステータスや印刷ジョブの各種情報などを取得し、利用者端末100に通知する機能などを有する。
たとえば、プリントサーバ800は、指示された印刷ジョブを保存するハードディスク装置やその他の記憶装置で構成された記憶媒体(以下スプールと称する)802と、スプール802内に印刷指示された印刷ジョブを待機状態で保持させる印刷蓄積部810と、指示された印刷ジョブを実行し、該当の印刷装置200に対して出力指示を行なう印刷指示部820とを備える。
また、プリントサーバ800は、オンデマンド端末300から送信された資格情報に基づいて利用者の同定を行なう認証部830と、認証部830での認証処理に必要となる認証情報(利用者資格情報とも称する)を記憶する記憶媒体832と、認証部830において同定された利用者が所有する印刷ジョブの一覧を取得するジョブ一覧取得部840とを備えている。ジョブ一覧取得部840は、印刷装置200の別に、複数のジョブのそれぞれについて、印刷装置200での画像形成処理の可否が分かるように区別して通知する通知部の機能を持つ。
記憶媒体832は、たとえば、利用者ID(Identification;識別子)と、パスワードと、利用者を識別する情報(たとえば利用者名)と、その利用者の属性(たとえば学生、講師、教官、研修生(インターン)などの区分)など一覧が記録されたデータを利用者データベースDB83として記憶(格納)しておく。
オンデマンド印刷時には、利用者は、利用者端末100にて、事前にプリントサーバ800に対して所望の文書の印刷指示を行なう。この印刷指示は、印刷蓄積部810を通じて、印刷待機ジョブとしてプリントサーバ800で管理されるスプール802内に蓄積される。
オンデマンド端末300は、利用者に対して、利用者資格情報としての利用者ID(Identification;識別子)とパスワードの入力を促す。利用者は、オンデマンド端末300に赴き、自身の利用者資格情報を入力する。なお、利用者資格情報の入力は利用者IDおよびパスワードを利用者自身が入力することに限定されるものではなく、たとえば、ICカードやRFID(無線タグとも称される)や生体情報などを利用してもよい。
オンデマンド端末300は、自身の端末情報と利用者により入力された利用者資格情報をプリントサーバ800の認証部830に送信する。認証部830は利用者資格情報の検証を行ない、オンデマンド端末300の端末情報と同定された利用者資格情報をジョブ一覧取得部840に通知する。
印刷指示部820は、処理条件制御部730と連携して、出力先として使用する印刷装置200における画像形成処理時の処理条件を制御する。この際には、その印刷装置200における画像形成処理の現時刻と、その印刷装置200から出力されるジョブの処理結果として得られる出力文書が使用される行事の時間割に対応するジョブを優先的に処理するように処理順序を調停する。
たとえば、ジョブ一覧取得部840はスプール802内で待機している同定利用者の印刷ジョブの一覧を取得する。このとき、各印刷ジョブに対して現日時に同定された利用者が利用できる印刷装置200(もしくは印刷装置200の出力指示に介在するオンデマンド端末300)を検出する。
また、ジョブ一覧取得部840は、印刷ジョブが印刷指示可能か否かを処理条件制御部730に問い合わせ、ジョブ一覧取得部840にて取得された印刷ジョブの一覧や、利用者が利用できる印刷装置200の情報を、オンデマンド端末300に応答する。問合せ結果は、印刷の可否のみならず、代替の印刷装置200を付加してもよい。また、問合せ結果を返送する代わりに、印刷不可と判定された印刷ジョブを一覧から間引くようにしてもよい。オンデマンド端末300は、印刷ジョブの一覧を表示して利用者による出力指示を受け付ける。
<印刷ジョブの属性と出力条件制御について>
ここで、処理条件制御部730は、文書属性管理サーバ500が管理している文書属性データベースDB2の情報と、印刷条件管理サーバ600が管理している実施場所データベースDB3、時間割データベースDB4、参加者データベースDB6、処理条件データベースDB7、および判定規則データベースDB8の情報に基づいて、利用者により要求された印刷ジョブに関して、指定された印刷装置200にて印刷が可能か否かや印刷可能であるときにはどのような印刷モードで処理するべきかを判定し、その判定結果に基づいて印刷処理を制御する。
本実施形態において、処理条件制御部730が出力条件を制御する際には、先ず、認証部830との協調処理により、印刷ジョブに対して同定された利用者が印刷可能か否かを判定する。つまり、本実施形態の処理条件制御部730は、利用者の側面から印刷可否を判定する印刷可否判定部の機能を備えている。
この処理条件制御部730は、各データベースDB2〜DB8(ジョブ属性情報記憶部)から、利用者情報、場所情報、時間情報などの印刷処理に関わる関連情報や、文書の印刷処理に関わる属性情報などを取得し、ジョブ一覧取得部840からの問合せに対して、印刷ジョブに対して同定された利用者がオンデマンド端末300(詳しくは印刷装置200)にて印刷可能かどうかを判定する。
記憶媒体602に登録されている判定規則データベースDB8の定義情報を参照して、印刷ジョブの属性との関係で適切な出力条件を設定するようにする。文書の使用される場所や行事の実施される場所や印刷装置を始めとする、施設、人、組織、それらに関する費用や情報など、特定のファシリティを限定した利用者(履修者や会議参加者など)が使用する状況下においても、適切な印刷処理を実行するように制御するのである。
ここで、印刷ジョブの属性としては、先にも述べたが、以下のようなものが存在する。たとえば、印刷ジョブに含まれるプリンタ言語の印刷データの元となる文書の属性(種類)や、印刷ジョブを要求する利用者の属性(印刷ジョブの所有者とも称する)や、印刷ジョブで規定されている出力先の印刷装置200の設置場所とその設置場所の本来の使用目的などがある。また、要求された印刷ジョブの現在時刻と行事の時間割とも関係を持つ。これらは単独で取り扱うことができるし、相互に関連して取り扱うこともできる。
たとえば、処理対象の文書の種類と、出力先に指定する印刷装置200が設置されている場所との関係で、出力可否や印刷モードを制御する必要性が生じる。また、処理対象の文書の作成者や使用者(纏めて文書の所有者と称する)と、出力先に指定する印刷装置200が設置されている場所との関係で、出力可否や印刷モードを制御する必要性が生じる。また、これらは、処理対象の文書の属性と行事との関係、および出力要求のあった現在時刻と行事の時間割との関係で、出力可否や印刷モードを制御する必要性が生じる。
一例としては、文教分野においては、出力対象文書、授業や講義の種類、参加している学生の人数、教室の場所、教官の種類などによって、オンデマンドプリントの印刷モードを切り替えることがある。たとえば、教育現場に設置されている印刷装置200を出力先に指定する場合、教官が作成した教材が処理対象文書であるのか、それとも、一般文書、表、図面、あるいは写真などの、一般人が作成した私用文書が処理対象文書であるのかによって、出力可否や印刷モードを制御する必要性が生じる。
また、会議においては、出力対象文書、会議の種類、参加者の人数、会議室の場所、主催者の種類などによって、オンデマンドプリントの印刷モードを切り替えることがある。たとえば、会議室に設置されている印刷装置200を出力先に指定する場合、主催者が作成した会議資料が処理対象文書であるのか、それとも、一般文書、表、図面、あるいは写真などの、一般人が作成した私用文書が処理対象文書であるのかによって、出力可否や印刷モードを制御する必要性が生じる。
つまり、処理対象の文書が行事(授業や講義や会議など)で使用される文書(教材や会議資料など)であるのか一般の私用文書であるのかや、その文書の出力要求が、何れに時間割のときに発せられたのかによって、出力可否や印刷モードを制御する必要性が生じる。たとえば、行事の最中(授業中や会議中など)に当該行事用の文書について出力要求があったときには直ちに出力しても不都合はないと考えられる。
また、行事の最中に、別の行事(別の授業や別の会議など)に使用される文書について出力要求があったときには、直ちに出力するのは問題であるから、一時的に保留させるオンデマンド印刷にするのが好ましいと考えられる。たとえば、別の授業用の教材が、時間割において、次の授業に使用されるものである場合や、別の会議用の資料が、時間割において、次の会議に使用されるものである場合が該当する。
また、行事の最中に、当該行事に関係しない私用文書について出力要求があったときには印刷を許可しないのが好ましいと考えられる。授業時間中や会議中に、授業や会議に関係しない私用文書の出力を許可するのは問題があると考えられるからである。
また、行事の最中でなければ、その行事の実施場所(教室や会議室など)に設置さている印刷装置200を汎用のプリンタとして一般に利用可能にしても不都合はないであろうから、文書の種類を問わず、直ちに出力しても差し支えないと考えられる。
なお、印刷処理を実行する際には、無料で実行するようにしてもよいし、有料で実行するようにしてもよい。たとえば、行事(授業や会議など)に関係する文書(教材や会議資料など)について、その行事の最中に出力処理を実行する場合であれば無料で処理するのが好ましいと考えられる。
これに対して、行事(授業や会議など)に関係する文書(教材や会議資料など)について、別の行事の最中に出力要求があったときには、オンデマンド印刷で処理するのが好ましいと考えられるが、この際には、無料/有料の何れを採用しても差し支えないと考えられる。また、行事の最中でないときに、文書の種類を問わず直接プリントを許可するのが好ましいと考えられるが、この際には、無料/有料の何れを採用しても差し支えないと考えられる。
このため、利用者端末100からプリントサーバ800へ、イベント(行事)に関わる印刷要求が行なわれると、プリントサーバ800は、記憶媒体832に利用者データベースDB83として登録された印刷要求に係る利用者資格情報や、各データベースDB2〜DB8に登録されている利用者に関連したイベントの識別情報、時刻情報、それらイベントごとに必要とされる書類を出力する出力期限情報などに基づいて、この印刷要求がイベントに係るものか否かを判定する。
印刷要求がイベントに係るものであると判定すると、プリントサーバ800は、イベントに係る出力期限、優先プリント出力期間、優先度などを読み出し、指定された印刷装置200へ出力するデータの出力条件を生成する。
このとき、本実施形態の処理条件制御部730は、印刷しようとしている文書の種類(属性)、文書の所有者(出力指示を発した利用者)、出力先の印刷装置200の設置場所などの印刷ジョブの属性に基づいて、印刷モードの切替えや出力可否管理を自動的に、また適切に行なう。
この際、本実施形態では、さらに処理対象のジョブの処理結果で得られる出力文書に関わりを持つ行事の時間割をも考慮する点に特徴を有する。授業の時間割や会議室予約などの、行事のスケジュールと連動することで、管理者にとってより柔軟と感じられるような、オンデマンドシステム環境を構築するのである。
たとえば、授業の種類、参加している学生の人数、教室の場所、教官の種類などによって、オンデマンドプリントの印刷モードを自動的に切り替える。このとき、オンデマンド印刷システムの特性を残しつつ、文書と関わりを持つ行事の時間割と連動させた制御を行なうことで、管理者の負荷低減を図りながら、印刷装置200やオンデマンド端末300の不意の占有を回避するようにする。
たとえば、印刷する文書に対して必要な優先度は、時間に対して常に一定であるものばかりではなく、たとえば会議などの日時、関連する利用者などが予め設定可能な行事やスケジュール(時間割)に応じて、関連資料を印刷する場合のように、行事の開催日時と関連した特定の期間にのみ緊急性が増すものもある。
たとえば、月次定例の会議に関する資料を印刷する場合に、諸般の事情から月次定例会議の開催する日時が前後することもある。つまり、印刷ジョブの実際の出力順の要望度合いは、処理対象のジョブの処理結果で得られる出力文書に関わりを持つ行事の時間割と関連しており、必ずしも、印刷ジョブの送信順でなくてもよいことになる。
たとえば、ほぼ同時期に複数の印刷ジョブがプリントサーバ800に送信されているときに、印刷ジョブを送信した順序に沿って出力処理を実行するのではなく、処理対象のジョブの処理結果で得られる出力文書に関わりを持つ行事の時間割に基づいて実際の処理順を調停することで、行事の時間割に合わせて、ジョブを送信した利用者が印刷された画像(文書、図画など)を受け取るために印刷装置200の前へ脚を運んだとき、他の利用者が送信した画像の印刷が終了するまで待たされるような事態を回避するようにする。
印刷装置200を使用できる利用者間に競合が生じ得るような環境下において、授業や講義の時間割や会議室予約などの行事の時間割(スケジュール)と、出力される文書の受取りタイミングとの連携をとることで、待ち時間の発生ができるだけ少なくなるように、各印刷ジョブの処理条件を制御するのである。
<データベースの登録情報>
図3は、文書属性管理サーバ500の記憶媒体502に保存される文書属性データベースDB2の登録情報の一例を示す図である。図3に示すように、文書属性データベースDB2は、処理対象の文書名(特に教材名)と授業名とを対応付けて保存している。これにより、何れの教材が何れの授業で使用されるものであるのかが特定されるようになっている。
図示した例では、教材A,Dは授業Aで使用されるもの、教材Bは授業Bで使用されるもの、教材Cは授業Cで使用されるものとなっている。この文書属性データベースDB2に未登録の文書は、授業に使用される教材ではないと特定される。
また、図4〜図7は、印刷条件管理サーバ600の記憶媒体602に保存される各データベースDB3,DB4,DB6,DB7の登録情報の一例を示す図である。たとえば、図4に示すように、実施場所データベースDB3は、複数のデータベースの組合せにしている。
具体的には、行事の実施場所を識別する情報とその実施場所に設置されているオンデマンド端末300を識別する情報とを含む端末設置場所データベースDB3_Aと、各オンデマンド端末300を識別する情報とそのオンデマンド端末300が出力指示を管理する印刷装置200を識別する情報とを含む端末管理印刷装置データベースDB3_Bとの組合せにしている。
これにより、設置場所と、その設置場所に存在するオンデマンド端末300と、各オンデマンド端末300が出力指示を管理する印刷装置200とを対応付けて保存している。これにより、何れの場所に何れのオンデマンド端末300や印刷装置200が設置されているのかが特定されるようになっている。
図示した例では、図1に対応して、実習室Aに1台のオンデマンド端末300_Aが配されており、このオンデマンド端末300_Aは、2台の印刷装置200_A1 ,200_A2 の出力指示を管理するようになっていることが特定される。また、実習室Bに1台のオンデマンド端末300_Bが配されており、このオンデマンド端末300_Bは、2台の印刷装置200_B1 ,200_B2 の出力指示を管理するようになっていることが特定される。また、図書館に2台のオンデマンド端末300_C,300_Dが配されており、各オンデマンド端末300_C,300_Dは、それぞれ2台の印刷装置200_C1 ,200_C2 の出力指示を管理するようになっていることが特定される。
また、図5に示すように、時間割データベースDB4は、行事(本例では講義)の実施予定時間を識別する情報(実施予定時間帯)と実施場所と行事(本例では講義)の内容とを対応付けて保存している。これにより、何れの時間帯に何れの場所で何れの講義が実施されるのかが特定されるようになっている。
なおここで示した時間割データベースDB4の登録例は一例に過ぎず、たとえば、図示した情報以外に、行事名(本例では講義名)と行事の主催者(本例では教官名)と印刷装置200の使用可否(プリンタ使用可否)なども対応付けて保存するようにしてもよい。
また、図6に示すように、参加者データベースDB6は、行事(本例では講義)の種類を識別する情報(講義名)と、その行事への参加者を識別する利用者IDとを対応付けて保存している。これにより、何れの行事に何れの者が参加し得るのかが特定されるようになっている。
図示した例では、文化人類学の講義には、利用者IDがtanakaである者およびsaitohである者が、特別セミナーの講義には利用者IDがsatoである者が、またプログラミング言語C演習の講義には利用者IDがsatoである者が、それぞれ参加し得るようになっていることが分かる。
また、図7に示すように、処理条件データベースDB7は、行事(本例では講義)の種類を識別する情報(講義名)と各行事の種類に適合する出力条件(出力可否や印刷モードなど)を識別する情報とを対応付けて保存している。これにより、各行事に適合した出力条件が特定されるようになっている。
ここで、本実施形態の「印刷モード」とは、文書の印刷における印刷方法や課金方法を意味する。具体的には、出力制限、直接プリント(直接印刷)、オンデマンド印刷、課金の有無などがある。また、オンデマンド印刷かつ課金無しの印刷モードであるオンデマンド課金印刷など、これらを組み合わせた処理モードも存在する。
なお、出力制限とは、出力枚数の上限を設定して制限範囲内で印刷を許可する印刷モードである。また、直接プリントとは、プリントサーバ800のスプール802に印刷ジョブを一時的に保存することなく、直ちに、指定された印刷装置200にて印刷処理を実行する印刷モードである。
一方、オンデマンド印刷(On Demand Print )とは、プリントサーバ800のスプール802に印刷ジョブを一時的に保存しておき、所定のタイミングで利用者の操作に基づくオンデマンド端末300あるいはオンデマンド端末300と同等の機能を持つその他の装置(後述する第2実施形態を参照)からの出力要求を受けたときに、所定の印刷装置200にて印刷処理を実行する印刷モードである。
ここで、所定の印刷装置200とは、印刷ジョブで指定されている印刷装置200の場合もあれば(第1実施形態の場合)、利用者の近傍に存在するその時点で使用可能な印刷装置200(後述する第2実施形態の場合)などが該当する。
図7に示す処理条件データベースDB7の例では、講義の種類に対して、具体的に、処理条件を定義付けている。たとえば、文化人類学の講義中には、10枚以下の範囲内で印刷出力を許可している。また、特別セミナーの実施中には、印刷出力を禁止している。また、プログラミング言語C演習の講義では、特定のアプリケーション(たとえばビジュアルC用のアプリケーション(VC))による印刷のみ許可するようにしている。
なお、ここで示した処理条件データベースDB7は、印刷ジョブに適合する処理条件を定義付ける際の一例に過ぎず、印刷ジョブに適合する処理条件を制御する際の判定規則は、様々なものを適用することができ、講義の種類との対応付けに限らず、時間割や、文書の属性や、その他の要素との関連を設けることによって、よりきめ細やかな設定により柔軟な制御を行なうようにしてもよい。
たとえば、印刷条件の判定に当たっては、授業名、スケジュール、処理対象文書の種類、および印刷装置200が設置されている場所(本例では教室)を判定指標とした判定規則データベースDB8を構築してもよい。これにより、何れかの授業や講義が何れかの場所で実施中のときに、ある文書についてその実施場所の印刷装置200を使用した印刷要求があったとき、どのような処理条件で処理されるのかが特定されるようになる。
なお、判定規則データベースDB8におけるスケジュールの中身は時間割データベースDB4を参照することで特定されるようする。また、印刷装置200が設置されている場所の中身は、実施場所データベースDB3を参照することで特定されるようにする。
また、このような規則に限らず、たとえば、優先順位順に、1)授業Aは授業中であれば利用教室で当該授業の教材に限り直接印刷モード、それ以外はオンデマンド課金モード、2)授業Bは常にオンデマンド課金モード、3)実習室Aは常にオンデマンド課金モード、4)教材以外は常にオンデマンド課金モード、などのルールを採用してもよい。
図8は、プリントサーバ800の記憶媒体832に保存される利用者データベースDB83の登録情報の一例を示す図である。図8に示すように、利用者データベースDB83は、利用者IDと、パスワードと、利用者名と、その利用者の属する区分と、備考と、その他の情報とを対応付けて保存している。この利用者データベースDB83に未登録の者は、当該システムの正規の利用者でない。これにより、システムにアクセスして印刷処理を要求した者が、システムで管理している正規の者であるのか否かが特定されるようになっている。
<ジョブの一覧表示>
図9は、ジョブ一覧取得部840により取得される印刷ジョブの一覧に基づく表示画面の一例を示す図である。第1実施形態の画像形成システム1では、ジョブ一覧取得部840は、取得した印刷ジョブの一覧や、必要に応じて、利用者が利用できる印刷装置200の情報を、オンデマンド端末300に応答する。
たとえば、該当利用者の所有するオンデマンド印刷対象の印刷ジョブの内、各印刷ジョブで指定されている当該オンデマンド端末300が管理する印刷装置200での画像形成処理(印刷処理)の可否が分かるように、複数のジョブを区別して利用者に通知するとよい。
具体的には、印刷が可能なものは、普通の輝度で表示(ハイライト表示と称する)する。一方、印刷不可能なものは、印刷指示ができないように、当該印刷不可能なジョブを半輝度(グレイアウトとも称する)で表示する、あるいは非表示にして印刷不可と判定された印刷ジョブを一覧から間引くようにする。また、該当利用者の所有するオンデマンド印刷対象の印刷ジョブの中に、このような印刷不可能なジョブが存在するときには、表示や音声で警告メッセージを発するようにしてもよい。
また、ジョブ一覧取得部840は、このような印刷不可能なジョブについて、ジョブの画像形成処理を可能な他の画像形成装置、つまり代行印刷可能な代替装置(印刷装置200や印刷装置200を管理するオンデマンド端末300)を見つけて、代替装置の情報(特に所在場所)を提示するようにしてもよい。代替装置の提示手法としては、たとえば、印刷不可能なジョブを半輝度で表示するときには、その表示に対応付けて、代替装置の機種名や設置場所の情報を同時に表示する手法を採るとよい。
たとえば、図示した例では、田中さんが、実習室Aで開催される文化人類学の講義で使用する文書としての“レポート.@@1”および“実験結果.@@2”と、私用文書としての“ようこそ日本へ.@@3”の出力要求を、文化人類学の講義が始まる前に、文化人類学の講義が実施される実習室Aに設置の印刷装置200_A1 (または200_A2 )を出力先として発していた場合において、講義中に待機ジョブの一覧を表示させた場合を示している。
なお、各文書の“@@#”(#は1,2,3)は、たとえば、テキストファイルであるのか所定のワードプロセッサで作成された文書ファイルであるのか、表計算ソフトで作成された表ファイルであるのかなど、文書ファイルの識別子を示す。
この場合、講義開始前に出力要求が発せられているので、文化人類学の講義で使用する“レポート.@@1”および“実験結果.@@2”に関しては、出力条件がオンデマンド印刷に設定されることになるし、実習室Aで、文化人類学の講義中に印刷装置200_A1 で印刷が可能であるから、これらはハイライトで表示される。
この一覧表示における左側のチェック欄にマークをして出力対象のジョブを選択してからスタートキーをクリックすることで、選択されたジョブの実際の出力処理の指示が印刷装置200_A1 に発せられることになる。
一方、私用文書である“ようこそ日本へ.@@3”に関しては、文化人類学の講義中に使用されるものではなく、出力条件は、“講義中には印刷禁止”が設定されることになるから、この文書は、たとえば、半輝度で表示される。
このとき、オンデマンド端末300_Aが管理する印刷装置200_A1 以外で、その時点で使用可能な他のオンデマンド端末300が管理する印刷装置200(たとえばオンデマンド端末300_Bが管理する印刷装置200_B1 ,200_B2 )を見つけ、当該ジョブを印刷可能な代替装置として、その情報(図示した例では“端末Bで印刷できます”のメッセージ)を半輝度で提示する。
<処理手順;第1実施形態>
図10は、第1実施形態の画像形成システム1における処理条件制御部730での処理条件の決定手順の基本例と、決定された処理条件に基づく出力処理の一例を示すフローチャートである。先ず、印刷ジョブには、処理対象の文書を特定する情報と、印刷出力処理に使用する印刷装置200を特定する情報とが含まれているものとする。
また、前提として、プリントサーバ800は、利用者が要求したジョブを、処理条件制御部730での処理条件の判定処理が完了するまで、一時停止状態にしておく。この一時停止状態は、図示を割愛したワークメモリにジョブデータを保存することで対処するようにしてもよいし、印刷蓄積部810におけるスプール802を利用したオンデマンド用のジョブ蓄積と同じように取り扱ってもよい。ここでは、前者で説明する。
たとえば、利用者は、利用者端末100にて、事前に文書管理サーバ400やプリントサーバ800に対して、所望の文書の印刷要求を発する(S100)。これを受けて、プリントサーバ800は、印刷ジョブを受け取る。プリントサーバ800において、印刷蓄積部810は、印刷ジョブを受け付けると(S102−YES)、先ず、その印刷指示のジョブを、ワークメモリに保存してジョブを一時停止する(S104)。また、印刷蓄積部810は、受け付けた印刷ジョブの情報を印刷条件管理サーバ600に通知する(S106)。
印刷条件管理サーバ600において、処理条件制御部730は、印刷ジョブを受け付けると(S120−YES)、先ず、印刷ジョブを受け付けた現在時刻を計時部720を利用することで確認し(S122)、その現在時刻に基づき、印刷ジョブが割り当てられる行事の時間帯を特定する(S124)。
また、処理条件制御部730は、印刷ジョブを文書属性データベースDB2と突き合わせることで印刷ジョブの文書属性を特定するとともに、出力先の印刷装置200、現在の時間、文書属性をキーに、処理条件データベースDB7や判定規則データベースDB8に突き合わせることによって(S126)、要求された印刷ジョブに適用すべき処理条件を特定する(S128)。処理条件制御部730は、この特定した処理条件をプリントサーバ800に通知する(S129)。
プリントサーバ800側においては、通知された処理条件に従って、指定された印刷装置200に対して印刷処理を実行させる。たとえば、通知された処理条件が印刷禁止であるときには(S130−禁止)、プリントサーバ800は、印刷ジョブに対して、印刷禁止の処理(ジョブのキャンセル)を行なう(S132)。
また、通知された処理条件が直接プリントを含むときには(S130−直接)、印刷指示部820は、直ちに、指定された印刷装置200にて印刷処理を実行するように制御する(S184)。
また、通知された処理条件がオンデマンド印刷を含むときには(S130−オンデマンド)、印刷蓄積部810は、スプール802に印刷ジョブを一時的に保存しておくように制御する(S134)。この後、プリントサーバ800は、オンデマンド端末300から認証情報を受信するまで待機する(S165)。
そして、オンデマンド端末300から認証情報を受信し(S165−YES)、さらに出力要求を受けたときに(S180−YES)、印刷指示部820は、指定された印刷装置200にて印刷処理を実行するように制御する(S184)。
たとえば、利用者は、オンデマンド端末300に赴き、当該利用者の資格情報を入力する(S160)。各オンデマンド端末300は、利用者に対して利用者IDとパスワードの入力を促しており、これらの利用者資格情報の入力を受け付けると(S162−YES)、利用者より入力された利用者資格情報と自身の端末情報とを認証情報としてプリントサーバ800の認証部830に通知し、認証情報を契機とするプリントサーバ800からの検証結果の情報を待つ(S164)。
認証部830は、オンデマンド端末300から不適正な利用者資格情報と端末情報とを受け取ると(S165−NO)、認証情報の再度の受付けをオンデマンド端末300に要求する(S166)。一方、認証部830は、オンデマンド端末300から適正な利用者資格情報と端末情報とを受け取ると(S165−YES)、利用者資格情報の検証を行ない(S167)、同定された利用者情報を検証結果としてジョブ一覧取得部840に通知する(S168)。
ジョブ一覧取得部840は、スプール802内で待機している同定利用者のジョブの一覧を取得する(S170)。このとき、ジョブ一覧取得部840は、各ジョブに対して、現日時に同定された利用者が利用できる出力装置(印刷装置200や、印刷装置200の出力指示を管理するオンデマンド端末300)を検出する(S172)。
なお、応用例として、該当のオンデマンド端末300の管理する印刷装置200にて印刷不可能なジョブが存在する場合、代替可能な出力装置を見つける。
なお、応用例として、ジョブ属性(利用者端末100のIPアドレス、出力枚数、カラーモードなど)をきめ細やかに設定可能とすることで、より柔軟な制御を行なうようにしてもよい。
ジョブ一覧取得部840は、このようにして取得した待機ジョブの一覧情報や使用可能な印刷装置200や代替装置の情報をオンデマンド端末300に応答(通知)する(S174)。
オンデマンド端末300は、このようにして取得された情報に基づいて、待機ジョブの一覧を表示する(S176)。このとき、各ジョブに対して、自端末が管理する印刷装置200にてジョブを印刷可能と記録されている場合には当該ジョブの印刷指示を有効とし、記録されていない場合は当該ジョブをグレイアウトで表示する。利用者は、待機ジョブの一覧から、出力対象のジョブを選択して実際の出力処理の指示を発する(S178)。
プリントサーバ800の印刷指示部820は、オンデマンド端末300から不適切な出力要求を受けたときには(S180−NO)、再度、待機ジョブの一覧を表示してジョブ選択の再度の受付けを行なうようオンデマンド端末300に要求する(S182)。一方、印刷指示部820は、オンデマンド端末300から適切な出力要求を受けたときには(S180−YES)、指定された印刷装置200にて印刷処理を実行するように制御する(S184)。また、オンデマンド印刷であるのか直接プリントであるのかに拘わらず、通知された処理条件が課金処理有りを含むときには、印刷装置200と協働して課金処理を実行する(S184)。
<システムの概要;第2実施形態>
図11は、画像形成システム(画像形成組織)の第2実施形態の全体概要を示す図である。第2実施形態の画像形成システム1は、第1実施形態の画像形成システム1におけるオンデマンド端末300に代えてあるいは併設して、オンデマンド端末300と同等の機能を持つその他の装置を備える点に特徴を有する。
「その他の装置」としては、たとえば携帯電話やPHS(Personal Handy-phone System )端末などの持ち運び可能な端末(以下移動端末302と称する)を使用するとよい。移動端末302は、表示パネル部302a、操作キー部302b、およびアンテナ302cを具備しており、アンテナ302cを介して無線にて情報通信路9と接続される。
この第2実施形態では、移動端末302にてジョブ一覧や特定ジョブを印刷可能な出力装置の情報を表示して、その表示に基づく出力指示を移動端末302(もしくは印刷装置200や印刷装置200を管理するオンデマンド端末300)にて受け付け、出力処理を実行する点に特徴を有する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
オンデマンド端末300と同等の機能を持つようにされた移動端末302は、利用者が自由に持ち運び可能なものであり、印刷装置200とプリントサーバ800との間に介在して待機ジョブの一覧や使用可能な出力装置の情報を表示したり、出力指示を発したりするようになっている。1台の移動端末302にて、各場所に設置されている全ての印刷装置200の出力指示を担当することが可能になっている。
オンデマンド端末300を併設する場合、待機ジョブの一覧や使用可能な出力装置の情報を先ず移動先の移動端末302にて表示して、実際の出力指示は、使用可能な身近の印刷装置200を管理するオンデマンド端末300の設置されている場所に出向いてそのオンデマンド端末300にて行なうようにしてもよい。この際には、第1実施形態と同様に、待機ジョブの一覧や使用可能な出力装置の情報をオンデマンド端末300にて表示してから、出力対象のジョブの選択を受け付ける。
<機能構成図;第2実施形態>
図12は、第2実施形態の画像形成システム1において、出力条件の管理機能に着目した機能構成を示すブロック図である。プリントサーバ800は、第1実施形態の構成に加えて、WWW(World Wide Web)や電子メールの機能を利用して移動端末302からジョブ一覧情報の表示要求を受け付けるジョブ一覧表示要求受信部850と、移動端末302の所在位置の情報を取得する位置情報取得部860と、スプール802内で待機している同定利用者のジョブの一覧や各ジョブに対して現日時に同定された利用者が利用できる出力装置(印刷装置200)の情報を示すジョブ一覧情報を生成するジョブ一覧情報生成部870とを備えている。
本実施形態では、ジョブ一覧取得部840とジョブ一覧情報生成部870とによって、位置情報取得部860が取得した利用者の所在位置の情報に基づいて、その利用者の近傍に存在する印刷装置200を特定し、その情報を利用者に通知する処理装置特定通知部880が構成されるようになっている。
ジョブ一覧表示要求受信部850は、移動端末302からジョブ一覧情報の表示要求を受け付ける際、利用者の資格情報を移動端末302を介して取得し、その情報を認証部830に渡す。また、移動端末302の持つGPS(Global Positioning Systems;全地球測位システム)などを利用した位置情報検出機能によって取得される移動端末302の位置情報を位置情報取得部860に通知する。
位置情報取得部860は、移動端末302の位置情報を参照して、プリントサーバ800が管理している複数の印刷装置200の中から、現日時に同定された利用者(つまり移動端末302)に近い位置に所在する印刷装置200の情報を検索し、ジョブ一覧取得部840に通知する。
ここで、移動端末302に近い位置に所在する印刷装置200の情報をジョブ一覧取得部840に通知するに当たっては、最近傍の1台のみの情報を提示してもよいし、近い順に複数台の情報を提示してもよい。
ジョブ一覧情報生成部870は、電子メールの形式や、HTML(Hypertext Markup Language )やXML(Extensible Markup Language)などで記述されたWeb画面の形式で、使用可能な印刷装置200の別にジョブ一覧情報を生成し、生成したジョブ一覧情報を移動端末302に送信する。
つまり、第2実施形態の画像形成システム1では、WWWや電子メールの機能を利用し、遠隔地にて自分の所有するジョブ一覧や特定ジョブを印刷可能な印刷装置200の情報を確認し、また、GPSなどの位置情報検知機能と連動することで、所望のジョブを印刷できる身近な出力装置の情報を知り得るようにするのである。
なお、移動端末302にて実際の出力指示を可能とする場合、ジョブ一覧情報生成部870は、待機ジョブの一覧や使用可能な出力装置の情報をWeb画面で生成して移動端末302に送信する。印刷指示部820は、このWeb画面上で入力される利用者の指示に基づいて処理を行なう。
このとき、印刷指示部820は、処理条件制御部730と連携して、処理装置特定通知部880が特定した印刷装置200における画像形成処理時の処理条件を制御する。この際にも、その印刷装置200における画像形成処理の現時刻と、その印刷装置200から出力されるジョブの処理結果として得られる出力文書が使用される行事の時間割に対応するジョブを優先的に処理するように処理順序を調停する。
<処理手順;第2実施形態>
図13は、第2実施形態の画像形成システム1における処理条件制御部730での処理条件の決定手順の基本例と、決定された処理条件に基づく出力処理の一例を示すフローチャートである。なお、第2実施形態の処理ステップには、200番台の番号を付すとともに、第1実施形態と同様または類似の処理ステップには、第1実施形態の10番台および1番台と同じ番号を付す。
利用者は、利用者端末100にて、事前に文書管理サーバ400やプリントサーバ800に対して、所望の文書の印刷要求を発した後(S200)、移動端末302を利用してプリントサーバ800にアクセスし、利用者資格情報を入力するなどして、WWWや電子メールの機能を利用し、遠隔地にて、自分の所有する待機ジョブの一覧表示の要求をプリントサーバ800のジョブ一覧表示要求受信部850に発する(S240)。このとき、移動端末302は、GPSなどの位置情報検知機能によって取得される当該移動端末302の位置情報をジョブ一覧表示要求受信部850を介して位置情報取得部860に通知する。
認証部830は、移動端末302からジョブ一覧表示要求受信部850を介して利用者資格情報を受け取ると(S245−YES)、利用者資格情報の検証を行ない(S246)、同定された利用者情報を検証結果としてジョブ一覧取得部840に通知する(S248)。
ジョブ一覧取得部840は、スプール802内で待機している同定利用者のジョブの一覧を取得する(S250)。このとき、位置情報取得部860は、移動端末302からジョブ一覧表示要求受信部850を介して受信した移動端末302の位置情報を参照して、プリントサーバ800が管理している複数の印刷装置200の中から、現日時に同定された利用者(つまり移動端末302)に近い位置に所在する印刷装置200の情報を検索することで、移動端末302に身近の使用可能な印刷装置200を検証し、この検証結果をジョブ一覧取得部840に通知する(S252)。
ジョブ一覧取得部840は、このようにして取得した待機ジョブの一覧情報や使用可能な印刷装置200の情報をジョブ一覧情報生成部870に渡す。ジョブ一覧情報生成部870は、電子メールの形式やWeb画面の形式で、印刷装置200の別にジョブ一覧情報を生成し、生成したジョブ一覧情報を移動端末302に送信する(S254)。
移動端末302は、ジョブ一覧情報生成部870から送信されたジョブ一覧情報を受信すると、その情報を、移動端末302に備えられている表示パネル部302aで表示する(S256)。利用者は、この表示画面にて、自分の所有するジョブ一覧や特定ジョブを印刷可能な身近な印刷装置200の情報を確認してから、出力を希望する印刷ジョブを印刷可能な印刷装置200の設置場所に出向く(S258)。
利用者は、出力を希望する印刷ジョブを印刷可能な印刷装置200の設置場所に到着すると、たとえば、当該利用者の資格情報を入力して、待機ジョブの一覧を確認するなど、第1実施形態のS160〜S276と同様にする(S260)。そして、出力を希望するジョブを選択して出力指示を発する(S278)。
なお、この際の入力操作や確認は移動端末302にて行なってもよいし、オンデマンド端末300が併設されているときには、オンデマンド端末300にて行なってもよい。また、このとき、プリントサーバ800側では、第1実施形態と同様に、認証情報の検証、ジョブ一覧情報の取得、使用可能な印刷装置200の検証などを実行する。
<電子計算機を利用した構成例>
図14は、出力条件を制御する処理条件制御部730を具備する画像出力制御装置900のハードウェア的な構成の一例を示す図である。画像出力制御装置900は、ハードウェア的には汎用的なパーソナルコンピュータ(パソコンと称する)で実現できる。なお、文書管理サーバ400や文書属性管理サーバ500や印刷条件管理サーバ600やプリントサーバ800に関しては、ハードウェア的には汎用的なパーソナルコンピュータ(パソコンと称する)やサーバコンピュータで実現できる。
つまり、本実施形態の画像出力制御装置900は、各種の機能部の一部を、ハードウェア処理回路により構成することに限らず、その機能を実現するプログラムコードに基づき電子計算機(コンピュータ)と同様の仕組みを用いてソフトウェア的に実現することが可能である。
電子計算機と同様の仕組みで、出力条件を制御する処理条件制御機能をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成する処理プログラムが、その処理プログラムを記憶したCD−ROMやフレキシブルディスクなどの記憶媒体(記録媒体)から、装置内部の記憶媒体(記憶媒体)にインストールされる。
処理プログラムを記憶した記憶媒体は、コンピュータのハードウェア資源に備えられている読取装置に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気などのエネルギの状態変化を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読取装置にプログラムの記述内容を伝達できるものである。
なお、処理条件制御機能をコンピュータに実行させるプログラムは、CD−ROMなどの記憶媒体を通じて配布されることに限らず、ダウンロードサイトなどの他のサーバなどからインターネットなどのネットワーク(有線であるか無線であるかは問わない)を経由してプログラムをダウンロード(コンピュータに転送)して取得したり、あるいは更新したりしてもよい。コンピュータでは、そのようにして転送されてくるプログラムを受信し、内蔵するハードディスクなどの記憶媒体にインストールする。
また、処理条件制御機能を実現するプログラムコードを記述したファイルとしてプログラムが提供されるが、この場合、一括のプログラムファイルとして提供されることに限らず、コンピュータで構成されるシステムのハードウェア構成に応じて、個別のプログラムモジュールとして提供されてもよい。
たとえば、図14に示すように、コンピュータシステムとして構成される画像出力制御装置900は、装置全体の動作を制御するシステム制御部902を装置本体900aに備える。本実施形態において、システム制御部902は、処理条件制御機能を実現する処理条件制御部730としての機能を持つ。
システム制御部902は、具体的には、コントローラ部(制御部)904と、図示したハードディスク装置(HDD)918あるいは光/磁気ディスク装置919や、図示を割愛した、フレキシブルディスク(FD)ドライブ、CD−ROM(Compact Disk ROM)ドライブ、半導体メモリコントローラなどの、所定の記憶媒体からデータを読み出したり記録したりするための記録・読取制御部906とを有する。
なお、ハードディスク装置918や光/磁気ディスク装置919は、装置本体900a内ではなく、外部に情報蓄積装置900bとして設けるようにしてもよい。この態様は、特に、文書管理サーバ400や文書属性管理サーバ500や印刷条件管理サーバ600やプリントサーバ800を構成する場合に好適である。
コントローラ部904は、CPU912、読出専用の記憶部であるROM913、随時書込みおよび読出しが可能であるとともに揮発性の記憶部の一例であるRAM915、および不揮発性の記憶部の一例であるRAM(NVRAMと記述する)916を有する。
なお、上記において“揮発性の記憶部”とは、装置の電源がオフされた場合には、記憶内容を消滅してしまう形態の記憶部を意味する。一方、“不揮発性の記憶部”とは、装置のメイン電源がオフされた場合でも、記憶内容を保持し続ける形態の記憶部を意味する。記憶内容を保持し続けることができるものであればよく、半導体製のメモリ素子自体が不揮発性を有するものに限らず、バックアップ電源を備えることで、揮発性のメモリ素子を“不揮発性”を呈するように構成するものであってもよい。
また、半導体製のメモリ素子により構成することに限らず、磁気ディスクや光ディスクなどの媒体を利用して構成してもよい。たとえば、ハードディスク装置918や光/磁気ディスク装置919を不揮発性の記憶部として利用できる。また、CD−ROMなどの記憶媒体から情報を読み出す構成を採ることでも不揮発性の記憶部として利用できる。
また、コンピュータシステムと同様の仕組みで構成された画像出力制御装置900は、装置の操作指示を受け付けるなどの利用者インタフェースをなす機能部としての指示受付部952と、操作時のガイダンス画面(操作メニュー)や装置の動作状態や処理結果などの所定の情報を利用者に提示する表示出力部954と、各機能部との間のインタフェース機能をなすインタフェース部(IF部)990とを、装置本体900aに有する。
インタフェース部990としては、処理データ(文書データや設定ファイルを含む)や制御データの転送経路であるシステムバス991の他、たとえば、操作パネル部992aおよび操作キー部992bを具備した利用者インタフェース部992や、プロトコル制御を実行しネットワークとのインタフェース機能をなす通信インタフェース部994や、その他の外部デバイスとのインタフェース機能をなすデバイスインタフェース部を有する。
通信インタフェース部994は、LANやWANなどの有線形態のネットワークを制御するネットワークコントローラ942や、公衆回線網(たとえば電話回線)などを通じ、コンピュータ同士でデータをやり取りするときに利用するモデム944などの通信制御機能を持つ。なお、ネットワークは、有線形態のものに限らず、無線形態のネットワークであってもよく、この場合無線仕様のネットワークコントローラ946が設けられる。
デバイスインタフェース部は、後述するように、各種のデバイス装置をコントロールする。
指示受付部952としては、たとえば、利用者インタフェース部992の操作キー部992bを利用することができる。あるいは、キーボード952aやマウス952bなどを利用することもできる。
利用者インタフェース部992やキーボード952aやマウス952bは、図示を割愛するが、キーボード952aからのキー入力およびマウス952bといったポインティングデバイスからの入力を制御するそれぞれに応じたデバイスインタフェース部を介してシステムバス991に接続される。
表示出力部954は、表示制御部と表示装置とを備える。表示装置としては、たとえば、利用者インタフェース部992の操作パネル部992aを利用することができる。あるいは、CRT(Cathode Ray Tube;陰極線管)やLCD(Liquid Crystal Display;液晶)などでなるその他のディスプレイ部954aを利用することもできる。
また、画像出力制御装置900には、前述の各機能部の他にも、装置機能に応じた特有の機能部も設けられる。一例として、各種の記憶媒体に保存する文書データ(文書のプリンタ言語の印刷データ)やその設定ファイルや、各データベースなどのデータ量を少なくする機能を持つ場合であれば、データの圧縮伸張処理やデータ加工などの処理を実行するデータ処理部980が設けられる。
各種のデバイスは、それらに応じたアプリケーションプログラムとコントローラ部904による全体を制御するアプリケーションプログラム(オペレーティング・システム用のソフトウェアなど)との連携(協調動作)によって、文書生成や取得並びに保存やその文書に関連する印刷出力用のデータ(プリンタ言語の印刷データ)の取得並びに保存といった文書出力処理(印刷出力処理;印刷プレビュー用の処理を含む)に関わる各種のサービスを提供するように構築される。
このため、一例として、アプリケーションプログラムとしては、OSの他に、印刷出力に関わる出力設定を実行するためのプリンタドライバや処理条件の制御を実行するためのソフトウェアが組み込まれる。
これら各デバイス用の各アプリケーションは、アプリケーションごとに、追加(インストール)、仕様変更(バージョンアップやバグ修正などの同一バージョン内での微小変更)、または削除(アンインストール)することができし、アプリケーションを構成するモジュールごとにも、追加、仕様変更、あるいは削除することができる。
CPU912は、システムバス991を介してシステム全体の制御を行なう。ROM913は、CPU912が使用する制御プログラムを含む各種固定データを格納する。RAM915は、SRAM(Static Random Access Memory )などで構成され、プログラム制御変数や各種処理のためのデータなどを格納し、また、所定のアプリケーションプログラムに従って演算して得たデータや外部から取得したデータなどを一時的に格納する領域を含んでおり、CPU912がデータ処理などを行なう際に、ワークメモリなどの用途に使用される。
NVRAM916は、制御パラメータや処理されたデータなどを記憶しておくものであり、バックアップされる。特に、本実施形態の構成では、文書出力処理(特に出力条件の制御処理)に関連する各種のデータを保存する機能をなすようになっている。
また、ハードディスク装置918や光/磁気ディスク装置919は、フレキシブルディスク907aやCD−ROM907bなどの可搬型の記憶媒体907から取り込んだ文書出力処理用のプログラムや各種のアプリケーションプログラム、あるいはフォントデータや利用者ファイルといった利用者データや制御管理データを保持したり、自装置で取得したデータや外部から取得したデータなどを大量に一時的に格納したりする領域を含んでおり、入出力インタフェース機能をなす記録・読取制御部906によりデータの読出しや書込みが制御される。
このような構成により、所定の指令にて、文書出力(印刷)機能を実現する際の処理条件制御機能を実行するプログラムが記憶されているCD−ROMなどの読取可能な記憶媒体から、あるいは通信網を介して、RAM915に文書出力処理プログラム(プリンタ制御プログラムとも称する)がインストールされ、また指示受付部952を介した操作者による指令や所定の条件を契機とする自動処理にて文書出力処理プログラムが起動される。
CPU912は、この文書出力処理プログラムに従って前述の出力条件の制御処理に伴う処理ステップを実行し、処理結果をRAM915やハードディスク装置918などの記憶装置に格納し、必要により操作パネル部、あるいはCRTやLCDなどの表示装置に必要な情報を提示出力する。文書出力処理を実行するプログラムが記録した記憶媒体を用いることにより、既存のシステムを変えることなく、処理条件制御機能を実行する画像出力制御装置900を汎用的に構築することができる。
なお、このようなコンピュータを用いた構成に限らず、前述のように、各機能部の処理をなす専用のハードウェアの組合せにより、処理条件制御機能を実行することを可能とする画像出力制御装置900を構成することもできる。また、文書出力処理のための一連の処理はハードウェア、またはソフトウェアの一方のみで実行されることに限らず、両者の複合構成によって実行することも可能である。
また、前述の文書出力処理は、前述の記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。
1…画像形成システム、100…利用者端末、200…印刷装置、300…オンデマンド端末、302…移動端末、400…文書管理サーバ、402…記憶媒体、500…文書属性管理サーバ、502…記憶媒体、600…印刷条件管理サーバ、602…記憶媒体、700…出力条件管理サーバ、702…画像出力管理サーバ、720…計時部、730…処理条件制御部、800…プリントサーバ、802…スプール、810…印刷蓄積部、820…印刷指示部、830…認証部、840…ジョブ一覧部、850…ジョブ一覧表示要求受信部、860…位置情報取得部、870…ジョブ一覧情報生成部、880…処理装置特定通知部、9…情報通信路、900…画像出力制御装置