JP2008133316A - 含ケイ素水溶性高分子化合物及びその製造方法、コーティング剤組成物、並びに該組成物が被覆・処理された物品 - Google Patents
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Abstract
Description
このような複合材料から作られる積層板については、機械的強度、電気特性、耐水耐煮沸性、耐薬品性、耐候性といった種々の物性を改良するため、上記無機補強材料をγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤で予備処理してから有機樹脂で処理することで、無機質補強剤と樹脂の接着性を向上させる方法が提案されている。
しかし、今後更に金属代替を進めるためには、従来のガラス繊維強化フェノール樹脂成形材料にはない高強度を有することがポイントとなってくる。高強度を達成するためには、上記に示すようなガラス繊維をアミン系シランカップリング剤で処理してマトリックス樹脂との密着性を上げる方法が数多く提案されている。しかし、これらカップリング剤単独処理だけによる強度向上効果には限界がある。そこで、ガラス繊維とマトリックス樹脂の密着性を更に改善するための手法について幾つか提案されている。
即ち、本発明は、下記含ケイ素水溶性高分子化合物、その製造方法、コーティング剤組成物、該組成物が被覆・処理された物品を提供する。
請求項1:
下記一般式(1)
で表される繰り返し単位を有する、複数の一級アミノ基と加水分解性シリル基又はシラノール基を持つことを特徴とする含ケイ素水溶性高分子化合物。
請求項2:
下記一般式(2)
で表される繰り返し単位を有する、複数の一級アミノ基と加水分解性シリル基又はシラノール基を持つことを特徴とする含ケイ素水溶性高分子化合物。
請求項3:
アミノ基の一部が塩酸塩及び/又は有機酸塩となっている、請求項1又は2記載の含ケイ素水溶性高分子化合物。
請求項4:
0.003≦n/(m+n)≦0.9である、請求項1〜3のいずれか1項記載の含ケイ素水溶性高分子化合物。
請求項5:
平均分子量が300〜3000である、請求項1〜4のいずれか1項記載の含ケイ素水溶性高分子化合物。
請求項6:
下記一般式(3)
で示される一級アミノ基を有する水溶性高分子化合物と、下記一般式(4)
Y−X−Si(OR)a(CH3)3-a (4)
(但し、Yはハロゲン原子であり、Xは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン鎖であり、置換基は炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又はアセチル基であり、aは1〜3の整数である。)
で示されるケイ素化合物をアルコール及び/又は水中で反応させた後、発生したハロゲン化水素を中和することを特徴とする下記一般式(1)
で表される繰り返し単位を有する複数の一級アミノ基と加水分解性シリル基又はシラノール基を持つことを特徴とする含ケイ素水溶性高分子化合物の製造方法。
請求項7:
下記一般式(3)
で示される一級アミノ基を有する水溶性高分子化合物と、下記一般式(5)
CH2=CR’−COO−X−Si(OR)b(CH3)3-b (5)
(但し、Xは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン鎖であり、置換基は炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又はアセチル基であり、R’は水素原子又はメチル基であり、bは1〜3の整数である。)
で示されるケイ素化合物をアルコール及び/又は水中で反応させた後、発生したハロゲン化することを特徴とする下記一般式(2)
で表される繰り返し単位を有する複数の一級アミノ基と加水分解性シリル基又はシラノール基を持つことを特徴とする含ケイ素水溶性高分子化合物の製造方法。
請求項8:
請求項6記載の製造法において、式(3)の水溶性高分子化合物と式(4)のケイ素化合物とをアルコール及び/又は水中で反応させ、その後発生したハロゲン化水素の中和を行わないことを特徴とする式(1)の水溶性高分子化合物のアミノ基の一部がハロゲン化水素酸塩となっている含ケイ素水溶性高分子化合物の製造方法。
請求項9:
0.003≦n/(m+n)≦0.9である、請求項6〜8のいずれか1項記載の含ケイ素水溶性高分子化合物の製造方法。
請求項10:
平均分子量が300〜3000である、請求項6〜9のいずれか1項記載の含ケイ素水溶性高分子化合物の製造方法。
請求項11:
請求項1〜5のいずれか1項記載の含ケイ素水溶性高分子化合物と水及び/又は有機溶剤を含むことを特徴とするコーティング剤組成物。
請求項12:
請求項11記載のコーティング剤組成物を被覆及び処理してなる物品。
本発明のケイ素含有水溶性高分子化合物は、一般式(1)
及び一般式(2)
で表される。
この場合、m,nは、好ましくは10≦m≦100,1≦n≦80であり、更に好ましくは、10≦m≦75,1≦n≦50である。
なお、式(1),(2)の高分子化合物において、その末端は水素原子である。
好ましくは、下記一般式(3)
で示される一級アミノ基を有する水溶性高分子化合物と、上記式(4)で示されるハロゲン原子含有ケイ素化合物又は上記式(5)で示される(メタ)アクリロキシ基を有するケイ素化合物とをアルコール及び/又は水中で反応させる。
この場合、アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールといった炭素数1〜4の低級アルコール等が挙げられ、特にメタノール、エタノールが好ましい。
また、アルコール及び/又は水の仕込量は、不揮発分が20〜50質量%となる量とすることが好ましい。なお、アルコールと水とを混合使用する場合、水1質量部に対してアルコールが7〜9質量部の割合であることが好ましい。
反応温度は、一般に100℃以下、特に25〜70℃が好ましい。反応時間は適宜選定されるが、通常1〜100時間、特に2〜50時間である。
従って、上記式(3)の高分子化合物と式(4)又は(5)のケイ素化合物とは、上記m,nとなるように選定、使用することが好ましい。
なお、式(1),(2)の高分子化合物は、塩酸或いは酢酸等の有機酸で中和することにより、アミノ基の一部が塩酸塩、有機酸塩となるが、式(3)の高分子化合物と式(4)のケイ素化合物とを反応させた場合、生成するハロゲン化水素を除去しない場合、式(1)の高分子化合物において、アミノ基がハロゲン化水素酸塩である高分子化合物を得ることができる。
なお、この分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値である。
15質量%ポリアリルアミン水溶液〔日東紡績(株)製、PAA−01型、平均分子量1000〕500.0質量部を減圧下で水分を除去し、メタノールを加えて溶媒交換し、15質量%メタノール溶液とした。この中に3−クロロプロピルトリメトキシシラン65.5質量部(0.33モル)を加えて、60℃〜70℃で40時間撹拌した。反応が進行することで生成する塩酸により反応溶液中のクロルイオン含有量は増加する。そこで、この溶液のクロルイオン含有量を硝酸銀を用いた電位差滴定により測定したところ、溶液中のクロルイオン含有量は2.0質量%であり、反応が完了した場合に発生するクロルイオン量と同じ量であることから、反応が完結したことを確認した。また、この溶液をガスクロマトグラフィーで測定したところ、原料の3−クロロプロピルトリメトキシシランのピークが検出されなかった。また、ケイ素のNMRを測定したところ、3−クロロプロピルトリメトキシシランのシグナルは無く、新たに目的化合物由来と思われるシグナルを確認した。以上より、反応は完了したと判断し、この溶液に更にソディウムメチラート17.82質量部(0.33モル)を加えて、60℃〜70℃で1時間撹拌し、溶液中のアミン塩酸塩を塩化ナトリウムへと変換した。その後、析出した塩化ナトリウムを濾過し、メタノールで希釈して有効成分が15質量%となるように調整した。この溶液は、水と速やかに混和する黄色透明の溶液で、pH12.2、粘度8.6mPa・sであり、塩化ナトリウム由来のクロルイオンを0.5質量%含有しており、基体ポリマー部分の重合度は約17であり、平均構造式は[CH2CH(CH2NH2)]12.75[CH2CH(CH2NHCH2CH2CH2Si(OCH3)3)]4.25であった。
15質量%ポリアリルアミン水溶液〔日東紡績(株)製、PAA−01型、平均分子量1000〕500.0質量部を減圧下で水分を除去し、メタノールを加えて溶媒交換し、15質量%メタノール溶液とした。この中に3−クロロプロピルトリメトキシシラン32.8質量部(0.17モル)を加えて、60℃〜70℃で40時間撹拌した。反応が進行することで生成する塩酸により反応溶液中のクロルイオン含有量は増加する。そこで、この溶液のクロルイオン含有量を硝酸銀を用いた電位差滴定により測定したところ、溶液中のクロルイオン含有量は1.0質量%であり、反応が完了した場合に発生するクロルイオン量と同じ量であることから、反応が完結したことを確認した。また、この溶液をガスクロマトグラフィーで測定したところ、原料の3−クロロプロピルトリメトキシシランのピークが検出されなかった。また、ケイ素のNMRを測定したところ、3−クロロプロピルトリメトキシシランのシグナルは無く、新たに目的化合物由来と思われるシグナルを確認した。以上より、反応は完了したと判断し、この溶液に更にソディウムメチラート8.9質量部(0.17モル)を加えて、60℃〜70℃で1時間撹拌し、溶液中のアミン塩酸塩を塩化ナトリウムへと変換した。その後、析出した塩化ナトリウムを濾過し、メタノールで希釈して有効成分が15質量%となるように調整した。この溶液は、水と速やかに混和する黄色透明の溶液で、pH12.3、粘度2.1mPa・sであり、塩化ナトリウム由来のクロルイオンを0.4質量%含有しており、基体ポリマー部分の重合度は約17であり、平均構造式は[CH2CH(CH2NH2)]14.87[CH2CH(CH2NHCH2CH2CH2Si(OCH3)3)]2.13であった。
20質量%ポリアリルアミン水溶液〔平均分子量700〕500.0質量部を減圧下で水分を除去し、メタノールを加えて溶媒交換し、15質量%メタノール溶液とした。この中に3−クロロプロピルトリメトキシシラン83.4質量部(0.42モル)を加えて、60℃〜70℃で40時間撹拌した。反応が進行することで生成する塩酸により反応溶液中のクロルイオン含有量は増加する。そこで、この溶液のクロルイオン含有量を硝酸銀を用いた電位差滴定により測定したところ、溶液中のクロルイオン含有量は2.0質量%であり、反応が完了した場合に発生するクロルイオン量と同じ量であることから、反応が完結したことを確認した。また、この溶液をガスクロマトグラフィーで測定したところ、原料の3−クロロプロピルトリメトキシシランのピークが検出されなかった。また、ケイ素のNMRを測定したところ、3−クロロプロピルトリメトキシシランのシグナルは無く、新たに目的化合物由来と思われるシグナルを確認した。以上より、反応は完了したと判断し、この溶液に更にソディウムメチラート22.7質量部(0.42モル)を加えて、60℃〜70℃で1時間撹拌し、溶液中のアミン塩酸塩を塩化ナトリウムへと変換した。その後、析出した塩化ナトリウムを濾過し、メタノールで希釈して有効成分が15質量%となるように調整した。この溶液は、水と速やかに混和する黄色透明の溶液で、pH11.8、粘度5.3mPa・sであり、塩化ナトリウム由来のクロルイオンが0.5質量%含有しており、基体ポリマー部分の重合度は約12であり、平均構造式は[CH2CH(CH2NH2)]8.93[CH2CH(CH2NHCH2CH2CH2Si(OCH3)3)]3.07であった。
20質量%ポリアリルアミン水溶液〔平均分子量2500〕500.0質量部を減圧下で水分を除去し、メタノールを加えて溶媒交換し、15質量%メタノール溶液とした。この中に3−クロロプロピルトリメトキシシラン85.4質量部(0.43モル)を加えて、60℃〜70℃で40時間撹拌した。反応が進行することで生成する塩酸により反応溶液中のクロルイオン含有量は増加する。そこで、この溶液のクロルイオン含有量を硝酸銀を用いた電位差滴定により測定したところ、溶液中のクロルイオン含有量は2.0質量%であり、反応が完了した場合に発生するクロルイオン量と同じ量であることから、反応が完結したことを確認した。また、この溶液をガスクロマトグラフィーで測定したところ、原料の3−クロロプロピルトリメトキシシランのピークが検出されなかった。また、ケイ素のNMRを測定したところ、3−クロロプロピルトリメトキシシランのシグナルは無く、新たに目的化合物由来と思われるシグナルを確認した。以上より、反応は完了したと判断し、この溶液に更にソディウムメチラート22.7質量部(0.42モル)を加えて、60℃〜70℃で1時間撹拌し、溶液中のアミン塩酸塩を塩化ナトリウムへと変換した。その後、析出した塩化ナトリウムを濾過し、メタノールで希釈して有効成分が15質量%となるように調整した。この溶液は、水と速やかに混和する黄色透明の溶液で、pH11.5、粘度15.1mPa・sであり、塩化ナトリウム由来のクロルイオンが0.5質量%含有しており、基体ポリマー部分の重合度は約44であり、平均構造式は[CH2CH(CH2NH2)]33.04[CH2CH(CH2NHCH2CH2CH2Si(OCH3)3)]10.96であった。
15質量%ポリアリルアミン水溶液〔日東紡績(株)製、PAA−01型、平均分子量1000〕500.0質量部を減圧下で水分を除去し、メタノールを加えて溶媒交換し、15質量%メタノール溶液とした。この中に3−クロロプロピルトリメトキシシラン65.5質量部(0.33モル)を加えて、60℃〜70℃で40時間撹拌した。反応が進行することで生成する塩酸により反応溶液中のクロルイオン含有量は増加する。そこで、この溶液のクロルイオン含有量を硝酸銀を用いた電位差滴定により測定したところ、溶液中のクロルイオン含有量は2.0質量%であり、反応が完了した場合に発生するクロルイオン量と同じ量であることから、反応が完結したことを確認した。また、この溶液をガスクロマトグラフィーで測定したところ、原料の3−クロロプロピルトリメトキシシランのピークが検出されなかった。また、ケイ素のNMRを測定したところ、3−クロロプロピルトリメトキシシランのシグナルは無く、新たに目的化合物由来と思われるシグナルを確認した。以上より、反応は完了したと判断し、この溶液をメタノールで希釈して有効成分が15質量%となるように調整した。この溶液は、水と速やかに混和する黄褐色透明の溶液で、pH11.1、粘度9.6mPa・sであり、アミン塩酸塩由来のクロルイオンが2.0質量%含有しており、基体ポリマー部分の重合度は約17であり、平均構造式は[CH2CH(CH2NH2)]12.75[CH2CH(CH2NHCH2CH2CH2Si(OCH3)3)]4.25であった。
15質量%ポリアリルアミン水溶液〔日東紡績(株)製、PAA−01型、平均分子量1000〕500.0質量部を減圧下で水分を除去し、メタノールを加えて溶媒交換し、15質量%メタノール溶液とした。この中に3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン77.2質量部(0.33モル)を加えて、60℃〜70℃で5時間撹拌した。反応が進行することで原料の3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランは消費される。そこで、この溶液をガスクロマトグラフィーで測定したところ、原料の3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランのピークが検出されなかった。また、ケイ素のNMRを測定したところ、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランのシグナルは無く、新たに目的化合物由来と思われるシグナルを確認した。以上より、反応は完了したと判断し、溶液をメタノールで希釈して有効成分が15質量%となるように調整した。この溶液は、水と速やかに混和する黄色透明の溶液で、pH11.7、粘度2.7mPa・sであり、基体ポリマー部分の重合度は約17であり、平均構造式は[CH2CH(CH2NH2)]12.75[CH2CH(CH2NHCH2CH2COOCH2CH2CH2Si(OCH3)3)]4.25であった。
15質量%ポリアリルアミン水溶液〔日東紡績(株)製、PAA−25型、平均分子量25000、重合度約439〕500.0質量部を減圧下で水の溜去を行った。水が減少するにつれて粘度が増加し、ハンドリングが非常に困難な状態になり、これ以上の水分除去が不可能となった。この中にメタノールを加えて固形分を溶解し、15質量%メタノールと水の混合溶液とした。この中に3−クロロプロピルトリメトキシシラン65.5質量部(0.33モル)を加えたところ、シランのゲル化が起こり、これ以上の合成が不可能となった。
15質量%ポリアリルアミン水溶液〔日東紡績(株)製、PAA−25型、平均分子量25000、重合度約439〕500.0質量部を減圧下で水の溜去を行った。水が減少するにつれて粘度が増加し、ハンドリングが非常に困難な状態になり、これ以上の水分除去が不可能となった。この中にメタノールを加えて固形分を溶解し、15質量%メタノールと水の混合溶液とした。この中に3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン77.2質量部(0.33モル)を加えたところ、シランのゲル化が起こり、これ以上の合成が不可能となった。
15質量%ポリアリルアミン水溶液〔日東紡績(株)製、PAA−01型、平均分子量1000〕500.0質量部を減圧下で水分を除去し、メタノールを加えて溶媒交換し、15質量%メタノール溶液とした。この中に3−クロロプロピルトリメトキシシラン260.7質量部(1.31モル)を加えて、60℃〜70℃で40時間撹拌した。反応が進行することで生成する塩酸により反応溶液中のクロルイオン含有量は増加する。そこで、この溶液のクロルイオン含有量を硝酸銀を用いた電位差滴定により測定したところ、溶液中のクロルイオン含有量は6.1質量%であり、反応が完了した場合に発生するクロルイオン量と同じ量であることから、反応が完結したことを確認した。また、この溶液をガスクロマトグラフィーで測定したところ、原料の3−クロロプロピルトリメトキシシランのピークが検出されなかった。また、ケイ素のNMRを測定したところ、3−クロロプロピルトリメトキシシランのシグナルは無く、新たに目的化合物由来と思われるシグナルを確認した。以上より、反応は完了したと判断し、この溶液に更にソディウムメチラート70.7質量部(1.31モル)を加えて、60℃〜70℃で1時間撹拌し、溶液中のアミン塩酸塩を塩化ナトリウムへと変換した。その後、析出した塩化ナトリウムを濾過し、メタノールで希釈して有効成分が15質量%となるように調整した。この溶液は、黄色透明の溶液で、pH12.1、粘度10.3mPa・sであり、塩化ナトリウム由来のクロルイオンが0.5質量%含有しており、基体ポリマー部分の重合度は約17であり、平均構造式は[CH2CH(CH2NHCH2CH2CH2Si(OCH3)3)]17であった。しかし、この溶液を水と混和させると白濁してしまい、水溶性が不十分であった。
15質量%ポリアリルアミン水溶液〔日東紡績(株)製、PAA−01型、平均分子量1000〕500.0質量部を減圧下で水分を除去し、メタノールを加えて溶媒交換し、15質量%メタノール溶液とした。この中に3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン306.5質量部(1.31モル)を加えて、60℃〜70℃で5時間撹拌した。反応が進行することで原料の3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランは消費される。そこで、この溶液をガスクロマトグラフィーで測定したところ、原料の3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランのピークが検出されなかった。また、ケイ素のNMRを測定したところ、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランのシグナルは無く、新たに目的化合物由来と思われるシグナルを確認した。以上より、反応は完了したと判断し、溶液をメタノールで希釈して有効成分が15質量%となるように調整した。この溶液はpH11.9、粘度6.5mPa・sであり、基体ポリマー部分の重合度は約17であり、平均構造式は[CH2CH(CH2NHCH2CH2COOCH2CH2CH2Si(OCH3)3)]17であった。しかし、この溶液を水と混和させると白濁してしまい、水溶性が不十分であった。
3−アミノプロピルトリメトキシシランをメタノールを用いて15質量%の溶液とし、プライマー組成物を得た。
15質量%ポリアリルアミン水溶液〔日東紡績(株)製、PAA−01型、平均分子量1000〕500.0質量部を減圧下で水分を除去し、メタノールを加えて溶媒交換し、15質量%メタノール溶液とすることで、プライマー組成物を得た。
接着性試験用ポリウレタンエラストマーの調製
数平均分子量1000のポリオキシテトラメチレングリコール150質量部、1,6−キシレングリコール100質量部、水0.5質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート200質量部及びジメチルホルムアミド800質量部を撹拌しつつ混合して90℃に加熱し、そのまま2時間撹拌して反応させた後、ジブチルアミンを3質量部添加して反応を停止させ、次いで過剰量のアミンを無水酢酸で中和してポリウレタンエラストマーを得た。
プライマーの接着試験
ガラス板、鉄板、アルミ板夫々に対し本実施例及び比較例で得た前記プライマー組成物を刷毛で塗布し、120℃で5分間乾燥した後、更にポリウレタンエラストマーを刷毛で塗布し、100℃で10分間乾燥した。次いで、得られた塗膜に1mm間隔で縦横に切れ目を入れて100個の碁盤目を形成させた後、セロハンテープで圧着してから剥離させて、剥離した碁盤目の数からプライマーのウレタン樹脂及び無機基材との接着性を評価した。実施例で得たプライマーに関してはいずれの基材の場合にも剥離した碁盤目はまったく無く、極めて接着性能が良好であった。
プライマーの水溶性試験
本実施例及び比較例で得られたプライマー組成物を10質量%の水溶液として約10時間静置した。その後溶液の不溶分による濁り及び析出物、層分離等の有無を目視で確認した。
Claims (12)
- アミノ基の一部が塩酸塩及び/又は有機酸塩となっている、請求項1又は2記載の含ケイ素水溶性高分子化合物。
- 0.003≦n/(m+n)≦0.9である、請求項1〜3のいずれか1項記載の含ケイ素水溶性高分子化合物。
- 平均分子量が300〜3000である、請求項1〜4のいずれか1項記載の含ケイ素水溶性高分子化合物。
- 下記一般式(3)
で示される一級アミノ基を有する水溶性高分子化合物と、下記一般式(4)
Y−X−Si(OR)a(CH3)3-a (4)
(但し、Yはハロゲン原子であり、Xは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン鎖であり、置換基は炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又はアセチル基であり、aは1〜3の整数である。)
で示されるケイ素化合物をアルコール及び/又は水中で反応させた後、発生したハロゲン化水素を中和することを特徴とする下記一般式(1)
で表される繰り返し単位を有する複数の一級アミノ基と加水分解性シリル基又はシラノール基を持つことを特徴とする含ケイ素水溶性高分子化合物の製造方法。 - 下記一般式(3)
で示される一級アミノ基を有する水溶性高分子化合物と、下記一般式(5)
CH2=CR’−COO−X−Si(OR)b(CH3)3-b (5)
(但し、Xは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン鎖であり、置換基は炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又はアセチル基であり、R’は水素原子又はメチル基であり、bは1〜3の整数である。)
で示されるケイ素化合物をアルコール及び/又は水中で反応させた後、発生したハロゲン化することを特徴とする下記一般式(2)
で表される繰り返し単位を有する複数の一級アミノ基と加水分解性シリル基又はシラノール基を持つことを特徴とする含ケイ素水溶性高分子化合物の製造方法。 - 請求項6記載の製造法において、式(3)の水溶性高分子化合物と式(4)のケイ素化合物とをアルコール及び/又は水中で反応させ、その後発生したハロゲン化水素の中和を行わないことを特徴とする式(1)の水溶性高分子化合物のアミノ基の一部がハロゲン化水素酸塩となっている含ケイ素水溶性高分子化合物の製造方法。
- 0.003≦n/(m+n)≦0.9である、請求項6〜8のいずれか1項記載の含ケイ素水溶性高分子化合物の製造方法。
- 平均分子量が300〜3000である、請求項6〜9のいずれか1項記載の含ケイ素水溶性高分子化合物の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載の含ケイ素水溶性高分子化合物と水及び/又は有機溶剤を含むことを特徴とするコーティング剤組成物。
- 請求項11記載のコーティング剤組成物を被覆及び処理してなる物品。
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