JP2008132650A - 強化繊維積層体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形体にした際に優れた表面品位を得ることができる一方向強化繊維基材の利点を維持しつつ、取扱い性や賦形性、成形の際の樹脂含浸性を大幅に改善可能な、強化繊維積層体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】強化繊維を一方向に引き揃えた一方向強化繊維基材が2層重ねられ、該2層の一方向強化繊維基材が、層間に介在された熱可塑性樹脂からなる結着材で互いに固着され、該2層の一方向強化繊維基材を一体的に扱うことが可能な強化繊維積層体、およびその製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、繊維強化樹脂の成形に用いられる強化繊維積層体およびその製造方法に関し、とくに、強化繊維を一方向に引き揃えた一方向強化繊維基材を用いて、優れた取扱い性や賦形性を発揮し得る特定の形態に形成した強化繊維積層体およびその製造方法に関する。
繊維強化樹脂の成形に用いられる強化繊維基材として、一方向強化繊維基材は、それ自体、強化繊維を単に一方向に引き揃えた基材であるので、一般に、強化繊維がばらけやすく、割れ(糸間の隙間)も起きやすく、ドライの基材として取扱い性が悪い。また、一方向に引き揃えられた基材特有の異方性を有するため、複雑な形状、例えば曲面形状や凹凸形状への賦形を行いづらい。直線的に配向されている強化繊維の配向方向における剛性により、賦形の際に割れ(糸間の隙間)が生じやすく、割れが生じると、成形の際にその部分が樹脂リッチとなり、樹脂硬化の際に引けが生じやすい。このような引けが、とくに成形体の表面に生じると、望ましくない凹凸感が生じ、表面品位を所望の品位に保つことが難しくなる。さらに、織物基材では、織糸のクリンプによる隙間を通して樹脂が良好に流れるが、一方向強化繊維基材では、とくに強化繊維が密に引き揃えられた基材では、このような樹脂流動のための隙間がなく、樹脂の流動性が悪く、樹脂を含浸しづらい。
一方、一方向強化繊維基材自体は、強化繊維を単に一方向に引き揃えた基材であるため、凹凸のない、平坦なシート状基材に形成でき、多かれ少なかれ凹凸や織り目が生じる織物の形態の強化繊維基材に比べ、成形体の表面に配置された場合に、平滑で、かつ不都合な模様などが生じることのない、優れた表面品位を確保できるという利点も有している。
一方向強化繊維基材を用いた繊維強化樹脂成形用強化繊維基材は種々知られており、一方向強化繊維基材と他の強化繊維基材との間に熱可塑性樹脂材料を配置して、これらを熱融着するようにしたものも知られているが(例えば、特許文献1、2)、これらは、基本的に多層積層体としての強化繊維積層体を形成するための構成であり、必ずしも上記のような一方向強化繊維基材特有の問題を解消する構成とはなっていない。
特開2005−22396号公報 特開2006−27091号公報
そこで本発明の課題は、とくに、前述した一方向強化繊維基材特有の問題に着目し、成形体にした際に優れた表面品位を得ることができるという一方向強化繊維基材の利点を維持しつつ、一方向強化繊維基材を用いる場合の問題点であった取扱い性や賦形性、成形の際の樹脂含浸性を大幅に改善可能な、強化繊維積層体およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る強化繊維積層体は、強化繊維を一方向に引き揃えた一方向強化繊維基材が2層重ねられ、該2層の一方向強化繊維基材が、層間に介在された熱可塑性樹脂からなる結着材で互いに固着されていることを特徴とするものからなる。
すなわち、2層の一方向強化繊維基材が互いに固着されて一体的に取り扱われる形態となる。2層の一方向強化繊維基材の強化繊維が結着材を介して互いに固定・保持し合うことになるので、1層のみの一方向強化繊維基材の場合に比べ、強化繊維がばらけたり、割れ(糸間の隙間)が生じたりすることが防止あるいは抑制され、取扱い性が大幅に向上される。また、賦形の際にも割れ(糸間の隙間)が生じにくくなり、割れが生じた場合の樹脂リッチ部分や樹脂硬化の際の引けの問題が解消される。とくに、成形体の表面形成部位にこの強化繊維積層体を配置することにより、平滑な、かつ望ましくない模様等が現れることのない、良好な表面品位が容易に得られることになる。
このような本発明に係る強化繊維積層体においては、上記2層の一方向強化繊維基材の強化繊維の配向方向が互いに異なる方向に設定されていることが好ましい。とくに、上記2層の一方向強化繊維基材の強化繊維の配向方向が、上記強化繊維積層体を用いて成形される成形体の負荷方向に対応させて設定されていることが好ましい。このようにすれば、異方性の高い一方向強化繊維基材を用いる場合にあっても、成形される繊維強化樹脂の機械特性を、必要とされる方向に対して最大限高く発揮させることが可能になる。
本発明に係る強化繊維積層体は、上記のような構成の強化繊維積層体を一単位として、それを積層した構成とすることができる。すなわち、本発明は、強化繊維を一方向に引き揃えた一方向強化繊維基材が2層重ねられ、該2層の一方向強化繊維基材が、層間に介在された熱可塑性樹脂からなる結着材で互いに固着されて単位強化繊維積層体が形成され、該単位強化繊維積層体が複数層積層されていることを特徴とする強化繊維積層体についても提供する。
このような単位強化繊維積層体の積層構成においては、各単位強化繊維積層体は上述した作用効果を維持しながら、単位強化繊維積層体同士は固着されていないので、この間で必要に応じて相対的にずれることができ、曲面や凹凸面に沿わせて賦形する際にも、単位強化繊維積層体間で適度なずれが自然に発生して、割れ等を発生させることのない良好な賦形が可能になる。
この単位強化繊維積層体の積層構成においては、さらに、他の強化繊維基材、例えば強化繊維の織物基材や単層の一方向強化繊維基材などが積層されていてもよい。上記単位強化繊維積層体がいずれかの層に含まれていればよく、好ましくは少なくとも一方の表層として含まれていることが望ましい。
また、中間層として、上記単位強化繊維積層体よりも樹脂流動抵抗の低い樹脂流動媒体が配置されていることが好ましい。一方向強化繊維基材は、前述したように織物基材に比べて隙間が少ないので樹脂が流動しにくいが、この樹脂の流動しにくさを、中間に配置した樹脂流動媒体によってカバーするのである。樹脂流動媒体としては、例えば合成繊維製網状体を適用できる。
また、樹脂の流動性を向上するために、上記強化繊維積層体の実質的に全域にわたって、少なくとも上記2層の一方向強化繊維基材からなる強化繊維積層体をその厚み方向に貫通する針状孔が穿孔されている構成を採用できる。この針状孔の穿孔構造は、一つの単位強化繊維積層体に対しても採用できるし、上記の複数層が積層された強化繊維積層体に対しても採用できる。とくに、積層数が8層以上、目付では2,000g/m2 以上の場合は効果的である。
上記結着材としては、上記強化繊維積層体に含浸されるマトリックス樹脂に相溶可能な熱可塑性樹脂からなることが好ましい。これによって、成形後の成形体におけるこの部分を、均質層に形成でき、機械特性の局部的なばらつきの発生が防止される。
本発明においては、上記一方向強化繊維基材の強化繊維の種類はとくに限定しないが、代表的には炭素繊維を使用できる。
本発明に係る強化繊維積層体の製造方法は、強化繊維を一方向に引き揃えた一方向強化繊維基材上に熱可塑性樹脂からなる結着材を付与し、該結着材の上に別の一方向強化繊維基材を積み重ね、該結着材を介して2層の一方向強化繊維基材を互いに固着することを特徴とする方法からなる。結着材を介して互いに固定・保持し合う2層の一方向強化繊維基材が互いに固着されて一体的に取り扱われる形態となるので、前述の如く、取扱い性が大幅に向上され、賦形性も大幅に向上される。
この強化繊維積層体は、より具体的には、例えば、上記結着材を一旦加熱溶融させた後冷却して一方の一方向強化繊維基材上に固定し、結着材が固定された一方向強化繊維基材上に他方の一方向強化繊維基材を積み重ね、再加熱して上記結着材を溶融させた後冷却することにより、一方向強化繊維基材同士を互いに固着することにより製造できる。
また、この製造方法においては、上記2層の一方向強化繊維基材の強化繊維の配向方向を互いに異なる方向に設定することができ、その場合、2層の一方向強化繊維基材の強化繊維の配向方向が、前記強化繊維積層体を用いて成形される成形体の負荷方向に対応させて設定されている構成とすることができる。
また、互いに固着された2層の一方向強化繊維基材の積層構成とすることもできる。すなわち、強化繊維を一方向に引き揃えた一方向強化繊維基材上に熱可塑性樹脂からなる結着材を付与し、該結着材の上に別の一方向強化繊維基材を積み重ね、該結着材を介して2層の一方向強化繊維基材を互いに固着することにより、単位強化繊維積層体を形成し、該単位強化繊維積層体を複数層積層することを特徴とする強化繊維積層体の製造方法である。単位強化繊維積層体に加え、さらに、他の強化繊維基材を積層することもできる。
また、前記同様、中間層として、上記単位強化繊維積層体よりも樹脂流動抵抗の低い樹脂流動媒体を配置することができる。樹脂流動媒体としては、例えば合成繊維製網状体やガラス繊維製不織布などを用いることができる。
上記熱可塑性樹脂からなる結着材は、例えば織布または不織布の形態で付与することもできるし、短繊維、粒体または粉体の形態で付与することもできる。2層の一方向強化繊維基材が互いに固着された状態では、この結着材は層間の全面にわたって広がっている必要はなく、両層の固着に必要な程度に、点在していればよい。
また、前記同様、樹脂の流動性を向上させるためには、上記強化繊維積層体の実質的に全域にわたって、少なくとも上記2層の一方向強化繊維基材からなる強化繊維積層体をその厚み方向に貫通する針状孔を穿孔する方法、あるいは、結着材として、強化繊維積層体に含浸されるマトリックス樹脂に相溶可能な熱可塑性樹脂を用いる方法を採用することが好ましい。
このような製造方法においても、一方向強化繊維基材の強化繊維としてはとくに限定されないが、代表的には炭素繊維を用いることができる。
このように、本発明に係る強化繊維積層体およびその製造方法によれば、成形体の優れた表面品位を得ることができるという一方向強化繊維基材の特性を活かしつつ、一方向強化繊維基材を用いた強化繊維積層体の取扱い性や賦形性、成形の際の樹脂含浸性を大幅に改善することができ、表面品位に優れた成形体の製造が可能になる。また、良好な樹脂含浸と、特定の結着材の選定により、良好で均一な機械特性を有する成形体を容易に製造できるようになる。
以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明に係る強化繊維積層体の基本構成について、図1を参照して説明する。図1に示すように、強化繊維積層体1は、例えば配向が異なる(L軸、M軸方向)強化繊維の一方向強化繊維基材(以下、UD基材と略称することもある。)2,4を2層積層した構成を有し、該2層の層間に配置された結着材(バインダー)3で該2層が互いに固着されている。結着材3は熱可塑性樹脂からなり、図1は、結着材3が加熱溶融性織布又は不織布で構成される場合の例を示している。
結着材3の材質は熱可塑性樹脂であり、例えば以下の種類のものが使用できる。例えばポリエステル、ポリオレフィン、スチレン系樹脂、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリジシクロペンタジエン、ポリカーボネート、ポリメチレンメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリアリレート、ポリエーテルニトリル、ポリイミド、ポリアミドイミド、フェノール、フェノキシ、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、更にエラストマー(好ましくはブタジエン・アクリロニトリル、そのカルボン酸またはアミン変性体、フルオロエラストマー、ポリシロキサンエラストマー、)、ゴム(ブタジエン、スチレン・ブタジエン、スチレン・ブタジエン・スチレン、スチレン・イソプレン・スチレン、天然ゴム等)、RIM用樹脂(例えばポリアミド6、ポリアミド12、ポリウレタン、ポリウレア、ポリジシクロペンタジエンを形成する触媒等を含むもの)、環状オリゴマー(ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等を形成する触媒等を含むもの)等や、これらの共重合体、変性体、および2種類以上ブレンドした樹脂等を使用することができる。中でも、不織布として入手が容易なポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイドから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
強化繊維を一方向に引き揃えた一方向強化繊維基材の強化繊維としては、複合材料用の強化繊維糸条として使用できるものを用いることが好ましく、例えば、炭素繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維等の無機繊維、および、アラミド、パラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリビニルアルコールおよびポリイミド等の有機繊維等が挙げられ、これらの1種または2種類以上を併用することもできる。中でも、炭素繊維は、比強度、比弾性率に優れており、好ましく用いられる。
強化繊維糸条は、取扱い性や多軸成形材料の製造時またはステッチング時の耐擦過性を向上させるために、0.2〜2.5重量%の集束剤(サイジング剤)が付着されていることが好ましい。上記範囲内の集束剤が付着されている繊維糸条では、毛羽発生が効率的に抑えられる。
また、強化繊維糸条は、無撚でも有撚でも使用することができるが、引張強度や圧縮強度等の力学特性の面からは、実質的に無撚(1ターン/m未満)のものが好ましい。
上記のような強化繊維積層体は、基本的に、例えば次のような方法によって製造できる。すなわち、クリールより引き出し、引き揃えてUD基材(基材4又は2)を製造する際に、シート状の上記結着材3を引き揃えられた該UD基材(4又は2)の上に配設し、例えば上方より遠赤外線ヒータで加熱して該結着材3を一旦溶融させた後、その後の工程で冷却して固着させる。その上に、別方向に配向したUD基材(2又は4)を配置し、再加熱して融着させた後冷却して固着させる。これにより、UD基材2、4を互いに固着し、目標とする単位強化繊維積層体1が作製される。
結着材には別の構成も採用できる。例えば、上述の織布や不織布の様な形態ではなく、独立した長さ3mm以下の短繊維や直径1mm近辺の粒子状、或いは粒径が0.1mm以下の粉体状になった熱可塑性樹脂を、UD基材の上に適度(1g/m2以上、30g/m2以下)に且つほぼ均一に散布し、それら樹脂をUD基材に固着し、その上に他方のUD基材を重ねて、図2に示すように両UD基材2、4を結着材5を介して互いに固着した強化繊維積層体10とすることができる。図3は、図2の一部を拡大図示している。即ち、引き揃えられたUD基材2の上に、上記形態の熱可塑性樹脂(タッキーファイヤー)5が隣り合う複数の強化繊維束に跨って固着し、形態を保持している状態を示す。
この熱可塑性樹脂としては、上述の織布や不織布に適用できる樹脂と同様の樹脂が適用できるが、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイドから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
図3に示した形態のUD基材は、例えば図4に示すように作製することができる。図4に示す方法においては、クリールスタンド群31から引き出され供給されてきた強化繊維束を速度規制ロール32を介して走行させながらUD基材33としてシート状に引き揃え、その上に、ホッパー34に貯蔵されていた熱可塑性樹脂からなるタッキーファイヤー5を、タッキーファイヤー塗布ヘッド35のUD基材33の幅方向に延びるスリットより散布し、上方より赤外線ヒータ等からなる固着ヒータ36にて熱可塑性樹脂を加熱溶融させてタッキーファイヤー5を平坦化した後、冷風送風手段37からの冷風で冷却して熱可塑性樹脂をUD基材33の上面に固着させる。その後、該樹脂が固着された面側を、別途供給されるカバーフィルム38(例えば、ポリエチレン(PE)フィルム)にてカバーし、巻取ロール39として巻き取る。そして、上述したUD基材同士の積層時に、巻取ロール39から巻き出し、カバーフィルム38を除去した状態で、上述の如き積層に供すればよい。例えば、別方向に配向されたUD基材を配設しながらホットプレスなどの手段で熱可塑性樹脂を再加熱し、該熱可塑性樹脂でUD基材同士固着させて積層する。
樹脂流動含浸性の改善は、例えば次のように行われる。前述したように、UD基材の欠点の1つに、織物のようなクリンプによる隙間が無いため、樹脂の流動性が織物より遙かに悪いことがある。特に、2層のUD基材の層間に配設した熱可塑性樹脂が有るため、つまり、破れたフイルムが層間に貼られた状態と同等の状態となるため、一層基材厚み方向への樹脂の流動性を悪くしている。従って、積層数が増せば増すほど、厚み方向への樹脂の流動抵抗が高くなり、極めて樹脂流動、含浸が難しくなってくる。その結果として、未含浸(ボイド)や、気泡が抜けきれずにピンホールが多発することになる。
このような基材厚み方向への樹脂流動、含浸性を改善するためには、例えば図5に示すように、生け花に用いる「剣山」の様に、金属板に直径が3mm以下の針7(先端は細く尖っている)を所定のピッチ(例えば3mm〜30mm)で埋め込み固定した穿孔治具6と、該穿孔治具6の針7のピッチと同一のピッチの孔を備えた多孔板8(図中の中心線のピッチで貫通孔有り)の間にUD基材の強化繊維積層体1を配設し、予め加熱された多孔板8から受熱して、強化繊維積層体1中の熱可塑性樹脂が軟化した状態でプレスすることによって強化繊維積層体1を穿孔し(図6の状態)、その状態で冷却して穿孔状態を保持する。このようにすれば、その穿孔部より樹脂が基材厚み方向に流動し、含浸していくようになる。勿論、単位強化繊維積層体1を所望の枚数だけ積層した後で、上記穿孔操作を行ってもよいが、積層枚数によっては細い針が貫通できない場合があるので、1つの単位強化繊維積層体1毎に操作する方が好ましい。
また、別の樹脂流動性向上策として、次のような方法を採用することもできる。
(1)図7に示すように、単位強化繊維積層体1を積層して所望の板厚を要するFRP製品をRTM成形方法等で成形する場合、積層基材11の外周端部から樹脂を流動させていくが、積層基材11の面方向(長手方向)には織物のようなクリンプによる隙間が無いためや、各単位強化繊維積層体1の基材層間に熱可塑性樹脂が基材に固着した状態で存在するため、非常に樹脂流動抵抗が大きく、その方向には樹脂が流れにくい。
(2)その面方向への樹脂の流動性改善策として、上記樹脂流動抵抗が単位強化繊維積層体1よりも極端に低い樹脂流動媒体12を積層基材の中間部に配置し、積層基材端部から注入した樹脂を先ず上記樹脂流動媒体12に流して、該樹脂流動媒体12の(積層基材11の)面方向全体に樹脂を充填すると共に(又は、充填させた後に)、積層基材11の厚み方向に樹脂を流動、含浸させる。特に、厚み方向へは樹脂は殆ど毛細管現象で浸透していく。
(3)前述したような穿孔を施した基材を用いる方が、単純に毛細管現象で浸透させていくよりは遙かに含浸速度は速く、且つ確実であることは言うに及ばない。
(4)上記樹脂流動媒体12としては、強化繊維からなる積層基材11の面方向の樹脂流動抵抗より低い樹脂流動特性(例えば、積層基材11に対して1/2〜1/20の流動抵抗)をなす媒体であれば殆ど適用可能であるが、材質として繊維強化樹脂成形品のマトリックス樹脂との接着性や濡れ性が所定の特性を下回らない様に選定する必要がある。その様な特性をクリアーすると共に経済性の面からも、樹脂製のものが望ましいが、無機繊維の強化繊維を用いてもよい。樹脂製としては、低い流動抵抗をなすように構成しやすい織布や不織布が形成可能な熱可塑性樹脂が最適である。特に、短繊維又は連続繊維からなるマット形態や、連続繊維でもメッシュ状(網状体)の織物等は好適である。
また、樹脂充填量の観点から樹脂流動媒体12の目付としては、10〜1500g/m2の範囲とすることが好ましい。具体的な材料としては、下記のものが挙げられる。
(1)耐炎糸不織布、トラスコ中山(株)製カーボンフェルト50CF(布帛の形態:フェルト状不織布、目付:680g/m2)。
(2)コンティニアスストランドマット、日本板硝子社製(布帛の形態:ガラス連続繊維不織布、目付:300〜600g/m2)。
(3)メッシュ織物、NBC社製ナイロンメッシュNB20(布帛の形態:ナイロン平織物、厚み:520μm)。
また、上記樹脂流動媒体12は、積層基材11の中間辺りの1箇所に限定するものではなく、積層厚みに応じて適時増やしてもよい。特に、意匠面側にはボイドやピンホールが発生しないように表層に近い位置にも配置するとより効果的である。
また、上記樹脂流動媒体12は、少なくとも積層基材11よりは長く、出来るだけバリ形成部まで延在していることが、注入後の樹脂の樹脂流動媒体12への円滑な流動が可能となることや成形後のバリ除去の容易さの観点から極めて好ましい。バリ形成部においては、樹脂流動媒体12が積層基材11の少なくとも一部を覆っていることが外観の連続性を保つ上でさらに好ましい。このバリ部へ延在させる長さとしては、3〜100mmが材料効率の観点から好ましく、5〜30mmがより好ましい。
次に、本発明における積層構成と従来技術の積層構成とを、実施例、比較例により比較する。
実施例1
図7に示した構成が、本発明の積層構成の一例であり、中間層の樹脂流動媒体12の上部に強化繊維積層体1を3層、下部に2層ずつ積層させた多層積層体11を示したものである。
(1)強化繊維積層体1:東レ(株)製炭素繊維“トレカ”T700×12K糸を、強化繊維積層体1の目付が300g/m2になるように幅1mまで引き揃えた一方向配向基材を上下2層に配設した。上下2層の配向角度は互いの交差角度が90度をなす。
(2)層間の結着材は、目付が80g/m2、融点が220℃、溶融粘度が90Pa・s(270℃、剪断速度1000/s)のポリアミド6製不織布を用いた。
(3)強化繊維積層体1の積層方法としては、先ず炭素繊維“トレカ”T700×12K糸を多数本のクリールから引き出し、引き揃えて配列し(その際の目付は150g/m2)、同時にその配列した炭素繊維シートの上に結着剤としてのポリアミド6製不織布を配設しながらロールに巻き取る。その間、途中で約200℃に加熱したホットロールでそれらをプレスし、その後冷風(常温)を上方から吹き付けて冷却する。その後、巻き取った結着材が付着した炭素繊維シートを1m長さに切断して、切断していない結着材付着の炭素繊維シート上に、交差角度が90度になるように配置する。その際、互いに結着材が付着した面同士を合わせ、再度上記ホットロールでそれらをプレスし、その後冷却してUD積層体を形成する。
(4)中間層の樹脂流動媒体は、日本板硝子社製コンティニアスストランドマット(布帛の形態:ガラス連続繊維不織布、目付:350g/m2)を用いた。
(5)上記積層方法で形成された上下5層の強化繊維積層体1のうち、意匠面とする上部3層の内の最表層以外について、樹脂流動含浸性を向上させるために、直径1.5mm×(突出)長さ6mmでピッチが18mmで碁盤目状に配列された針を有する穿孔治具と約200℃に加熱された多孔板を用いて該強化繊維積層体1それぞれに貫通孔を形成した(図5、6に示した通り)。
比較例1
図8に従来の積層構成を有する多層積層体13を示す。
(1)各層は総て炭素繊維“トレカ”T700×12K糸の一方向基材シート(幅1m)(2)一方向基材シート20,22は0度方向、一方向基材シート21は90度方向、及び一方向基材シート40,42は+45度方向、一方向基材シート41は−45度方向に配向している。
(3)各1層毎の層間に、熱可塑性樹脂を主体とする結着材で層間を結合している。結着材には上記実施例1と同様のポリアミド6製不織布を用いた。
(4)積層方法は、炭素繊維シートが予めポリアミド6糸条を50〜100mmピッチで横糸として製織された一方向織物の状態であって、それらを所定の方向に上記結着材を層間に挟みながら積層した後、約200℃でホットプレスして各層間を固着する。
本発明では別の積層構成とすることもできる。すなわち、
(1)本発明の目的の一つは、意匠面の改善である。特に、強化繊維織物のクリンプが原因で生じるマトリックス樹脂の硬化ヒケ斑による表面(意匠面)の凹凸を低減させることにある。従って、少なくとも意匠面側の最外層に織物ではなく、クリンプが存在しない一方向強化繊維基材層を配置することが目的であり、何ら不都合を生じるとなく配置できることが特徴である。
(2)図7に示した様に総ての強化繊維基材を一方向強化繊維基材にする必要は無く、図9に示す様に、少なくとも意匠面側の最外層だけを一方向強化繊維基材の単位強化繊維積層体1とし(図には反対側もバランス上、単位強化繊維積層体1を配設してある)、それ以外の殆どを非一方向強化繊維基材、例えば織布(織物)14を配置した形態とすることもできる。勿論、不織布でも問題ない。
実施例2
(1)両側表層は、実施例1と同様に強化繊維に東レ(株)製炭素繊維“トレカ”T700×12K糸を用い、単位強化繊維積層体1の目付が300g/m2になるように幅1mまで引き揃えた一方向配向基材を上下2層に配設した。上下2層の配向角度は互いの交差角度が90度をなす。
(2)但し、層間の結着材はポリフェニレンサルファイド製不織布で、目付が54g/m2、融点が280℃、溶融粘度が60Pa・s(330℃、せん断速度1000/s)である。
(3)単位強化繊維積層体1以外の強化繊維として、中間層の樹脂流動媒体12を介して上部に2層、下部に1層強化繊維織物を積層した。その強化繊維織物は、東レ(株)製炭素繊維“トレカ”T300×6K糸クロス〔品番CO6644〕(目付は約300g/m2)である。
(4)また、該中間層の樹脂流動媒体12は、NBC社製ナイロン6平織物〔NB−20〕を使用した。
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の成形、評価
(1)上記の本発明及び従来技術で形成した積層基材(図7〜9)を用いて、RTM成形方法でCFRP成形体を試作した結果を示す。
(2)成形条件、手順は以下の通りである。
(a)試作品の形状、寸法
形状は、図10及び図11に示す通り断面が段付き部を有する矩形状皿状体。
寸法は、外周がほぼ70cm角で、最大深さが15cm。板厚が1.2〜1.5mm。
(b)成形手順
1)図7〜9に示す積層基材(11、13、15)を作成する。
2)それら平面状の積層基材(11、13、15)を図10に示す成形体の形状に、予め賦形する。
その方法は、図示は省略するが、図10や図11の下型19と同等のAL製賦形型上に積層基材(11、13、15)を配置し、その上からバギング用フィルムを被せ、フィルムと型面とのシール処理をしてフィルム内をゆっくり減圧して行く。その際賦形型は、型内に内蔵したヒータにてUD積層体の固着材として用いた熱可塑性樹脂の軟化温度まで加熱しておく。減圧して真空圧で賦形された積層基材(11、13、15)は、型を冷却或いは該積層基材を冷風で冷却して賦形した形状(成形体の形状)に固定させる。
3)賦形された積層基材(11、13、15)の強化繊維部の外周端部をほぼ成形品寸法まで鋏みにてトリミングする。一方中間層部に配置した樹脂流動媒体は、上記強化繊維部の外周端部より少々(5〜20mm程度)大きめにトリミングする。
4)賦形した後に外周端部をトリミングした積層基材(11、13、15)を、予め成形面上に離型剤が塗布されたRTM成形型の下型19にレイアップする。
5)レイアップ後、上型18を下降させて下型19に上記積層基材(11、13、15)を密着させるために押圧する。
6)上下型が密着し締結した後、型内を減圧して型内の空気を排除する。
7)型は当初より(約100℃に)加熱しておき、型内の減圧が終了した後、直ちにエポキシ樹脂を約0.5MPaの樹脂圧で型内への樹脂注入を開始する。
8)樹脂を注入し、積層基材(11、13、15)への含浸が終了した時点から、約20分加熱保持する。
9)その後、上型18を上昇させて開放し、下型19から成形品(16,17)を脱型する。
(3)成形時間の比較
本発明の積層基材11を用いたRTM成形時の樹脂流動含浸時間は、約5分であった。本発明のもう1つの積層基材15を用いた場合の樹脂流動含浸時間は、樹脂が流れやすい織物を用いていたためと流動抵抗となる層間の固着材が少ないことから短くなり、約3.5分であった。
一方、従来技術の積層基材13を用いた場合は、樹脂流動含浸に18.5分を要した。従来技術の場合が本発明に比べ数倍も樹脂含浸に時間を要した理由は、(1)基材の面方向への樹脂流動抵抗を低減する樹脂流動媒体を適用していないこと、(2)UD基材間毎に樹脂流動抵抗の大きい固着材を用いていること、(3)段付き角部の隙間が大きく、樹脂の流れがその様な隙間に速く流れ、樹脂流動のバランスが悪いこと等が挙げられる。
(4)成形品の比較
積層基材11、13、15の内、本発明にて構成した積層基材11、15を用いたものは、図10に示すように、RTM成形された成形体(16)はほぼ金型形状通りに成形できている。即ち、段付き部の角部にも強化繊維がしっかり充填されている。一方、従来技術で構成した積層基材13を用いたものは、図11に示すように、RTM成形された成形体(17)は段付き部の角部での強化繊維が丸味を帯びて該角部に樹脂過多部(図示していない)を形成し、それによって金型形状をなしている。この樹脂過多部は強化繊維が充填できていないので強度が低く、クラックが生じやすい問題がある。
(5)比較考察
従来技術の積層基材13に樹脂過多部が発生した原因は、UD基材毎に固着材で固定しているため、前記減圧による賦形の段階から変形がしづらく(固着材は、加熱によって軟化はしているが、変形抵抗は大きい)、曲率の小さい形状への追随が困難なために、RTM成形型内でも段付き角部に強化繊維基材が完全に密着出来ていないことが原因である。一方、本発明で構成した積層基材11,15は結着材で固定されたUD基材は高々2層であるため変形に対して極めて柔軟であり、かなり小さな曲率半径まで追随できるため、RTM成形型の段付き角部にも完全に強化繊維が到達できていた。
以上の実施例、比較例の結果も含めて本発明による効果をまとめてみると、以下のようになる。
(1)意匠面の品位向上
強化繊維を表層に織物や不織布を用いる場合に比べて、表面凹凸(粗さ)が大幅に低下し、平滑性大幅に向上した。具体的には、強化繊維の織物基材の種類やUD基材のデニールなどでかなり異なるが、FRP成形体の表面粗さは、織物使いでは0.8〜3.5μmで有るのに対し、UD基材使いでは0.3〜1.2μmと大きく改善される。
(2)賦形性の改善
従来のUD基材積層体は各層間を固着材で固定するため、例え賦形時に加熱して固着材を軟化させるとしても、本発明(結着材は2層単位である)のように、単位UD積層体間では互いに変形力を発生し合うことがないため変形抵抗が大きく、即ち本発明は賦形性にも大きな優位性がある。
(3)成形性の向上
1)本発明では、積層基材の中間辺りに樹脂流動抵抗の低い樹脂流動層を配置することにより、成形体の面方向への樹脂流動性が高く、従来技術に対して大幅な樹脂流動含浸時間の短縮が図れる。更に、基材に小径の貫通孔を設けることにより、一層の樹脂流動含浸性が向上し、短時間で且つ欠陥などが殆ど生じない成形が可能となる。
2)上記作用効果により、含浸時間の短縮ばかりでなく、気泡を含む樹脂が基材面方向から厚み方向に流動する際に各積層基材間に気泡が滞留するため(所謂、濾過作用が働き)、意匠表面まで気泡が流れないためボイドやピンホールなどの表面欠陥が無くなる。
3)積層基材の変形抵抗が小さいことから賦形性、金型形状への追随性が高く、曲率半径の小さい複雑形状まで容易に成形可能となる。
本発明を適用して成形されるFRP成形体の適用分野としては、例えば以下のような分野を挙げることができる。
(1)航空機部材、鉄道車両部材、自動車部材、自動二輪車部材などの輸送用分野
(2)テニスラケット、ゴルフシャフト、スキー、スノーボード、ボートなどのスポーツ用品分野
(3)風車ブレード、ロボットアーム、医療機器(X線天版など)、ロールなどの一般産業用分野
中でも、要求強度が高く、表面意匠性が問われる用途に好適である。
本発明に係る強化繊維積層体およびその製造方法は、あらゆる強化繊維プラスチックの成形用に適用でき、とくに高い表面品位が要求される分野に好適なものである。
本発明の一実施態様に係る強化繊維積層体の分解斜視図である。 本発明の別の実施態様に係る強化繊維積層体の分解斜視図である。 図2の強化繊維積層体の部分斜視図である。 結着剤付与方法の一例を示す概略構成図である。 穿孔方法の一例を示す概略断面図である。 図5の次のステップを示す概略断面図である。 本発明のさらに別の実施態様に係る強化繊維積層体の断面図である。 従来の強化繊維積層体の断面図である。 本発明のさらに別の実施態様に係る強化繊維積層体の断面図である。 本発明に係る強化繊維積層体を用いた成形の一例を示す概略構成図である。 従来の強化繊維積層体を用いた成形の一例を示す概略構成図である。
符号の説明
1、10 強化繊維積層体(単位強化繊維積層体)
2,4 一方向強化繊維基材
3、5 結着材
11、15 強化繊維積層体(複数層を積層した単位強化繊維積層体)
12 樹脂流動媒体
14 織布(織物)
16 成形体
18 上型
19 下型
31 クリールスタンド群
32 速度規制ロール
33 UD基材
34 ホッパー
35 タッキーファイヤー塗布ヘッド
36 固着ヒータ
37 冷風送風手段
38 カバーフィルム
39 巻取ロール

Claims (23)

  1. 強化繊維を一方向に引き揃えた一方向強化繊維基材が2層重ねられ、該2層の一方向強化繊維基材が、層間に介在された熱可塑性樹脂からなる結着材で互いに固着されていることを特徴とする強化繊維積層体。
  2. 前記2層の一方向強化繊維基材の強化繊維の配向方向が互いに異なる、請求項1に記載の強化繊維積層体。
  3. 前記2層の一方向強化繊維基材の強化繊維の配向方向が、前記強化繊維積層体を用いて成形される成形体の負荷方向に対応させて設定されている、請求項2に記載の強化繊維積層体。
  4. 強化繊維を一方向に引き揃えた一方向強化繊維基材が2層重ねられ、該2層の一方向強化繊維基材が、層間に介在された熱可塑性樹脂からなる結着材で互いに固着されて単位強化繊維積層体が形成され、該単位強化繊維積層体が複数層積層されていることを特徴とする強化繊維積層体。
  5. さらに、他の強化繊維基材も積層されている、請求項4に記載の強化繊維積層体。
  6. 中間層として、前記単位強化繊維積層体よりも樹脂流動抵抗の低い樹脂流動媒体が配置されている、請求項4または5に記載の強化繊維積層体。
  7. 前記樹脂流動媒体が合成繊維製網状体からなる、請求項6に記載の強化繊維積層体。
  8. 前記強化繊維積層体の実質的に全域にわたって、少なくとも前記2層の一方向強化繊維基材からなる強化繊維積層体をその厚み方向に貫通する針状孔が穿孔されている、請求項1〜7のいずれかに記載の強化繊維積層体。
  9. 前記結着材が、前記強化繊維積層体に含浸されるマトリックス樹脂に相溶可能な熱可塑性樹脂からなる、請求項1〜8のいずれかに記載の強化繊維積層体。
  10. 前記一方向強化繊維基材の強化繊維が炭素繊維からなる、請求項1〜9のいずれかに記載の強化繊維積層体。
  11. 強化繊維を一方向に引き揃えた一方向強化繊維基材上に熱可塑性樹脂からなる結着材を付与し、該結着材の上に別の一方向強化繊維基材を積み重ね、該結着材を介して2層の一方向強化繊維基材を互いに固着することを特徴とする、強化繊維積層体の製造方法。
  12. 前記結着材を一旦加熱溶融させた後冷却して一方の一方向強化繊維基材上に固定し、結着材が固定された一方向強化繊維基材上に他方の一方向強化繊維基材を積み重ね、再加熱して前記結着材を溶融させた後冷却することにより、一方向強化繊維基材同士を互いに固着する、請求項11に記載の強化繊維積層体の製造方法。
  13. 前記2層の一方向強化繊維基材の強化繊維の配向方向を互いに異なる方向に設定する、請求項11または12に記載の強化繊維積層体の製造方法。
  14. 前記2層の一方向強化繊維基材の強化繊維の配向方向が、前記強化繊維積層体を用いて成形される成形体の負荷方向に対応させて設定されている、請求項13に記載の強化繊維積層体の製造方法。
  15. 強化繊維を一方向に引き揃えた一方向強化繊維基材上に熱可塑性樹脂からなる結着材を付与し、該結着材の上に別の一方向強化繊維基材を積み重ね、該結着材を介して2層の一方向強化繊維基材を互いに固着することにより、単位強化繊維積層体を形成し、該単位強化繊維積層体を複数層積層することを特徴とする、強化繊維積層体の製造方法。
  16. さらに、他の強化繊維基材も積層する、請求項15に記載の強化繊維積層体の製造方法。
  17. 中間層として、前記単位強化繊維積層体よりも樹脂流動抵抗の低い樹脂流動媒体を配置する、請求項15または16に記載の強化繊維積層体の製造方法。
  18. 前記樹脂流動媒体として合成繊維製網状体を用いる、請求項17に記載の強化繊維積層体の製造方法。
  19. 前記結着材を織布または不織布の形態で付与する、請求項11〜18のいずれかに記載の強化繊維積層体の製造方法。
  20. 前記結着材を短繊維、粒体または粉体の形態で付与する、請求項11〜18のいずれかに記載の強化繊維積層体の製造方法。
  21. 前記強化繊維積層体の実質的に全域にわたって、少なくとも前記2層の一方向強化繊維基材からなる強化繊維積層体をその厚み方向に貫通する針状孔を穿孔する、請求項11〜20のいずれかに記載の強化繊維積層体の製造方法。
  22. 前記結着材として、前記強化繊維積層体に含浸されるマトリックス樹脂に相溶可能な熱可塑性樹脂を用いる、請求項11〜21のいずれかに記載の強化繊維積層体の製造方法。
  23. 前記一方向強化繊維基材の強化繊維として炭素繊維を用いる、請求項11〜22のいずれかに記載の強化繊維積層体の製造方法。
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