JP2019199117A - 台車用カバー及びその取付構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】平滑性を損なわずに台車用カバーを強固に固定する。【解決手段】本発明の台車用カバー10は、板状の母材12に樹脂の被膜20が設けられて成り、有底筒状の支持部材42を含んでいる。支持部材42は、底部42aに挿通孔44が形成されると共に、開放端42bにフランジ部46が形成されている。支持部材42は、母材12の貫通孔16に挿入ないし圧入され、フランジ部46が貫通孔16の周縁に当接した状態で、フランジ部46を覆うように母材12に被膜20が設けられることによって、台車用カバー10に固定される。そして、支持部材42に挿入されるボルト50と、台車70側から締め付けられるナット56とが利用されて、台車用カバー10が台車70に固定されるため、台車用カバー10を強固に固定しながらも、フランジ部46が樹脂の被膜20により覆われ、台車用カバー10の平滑性を維持することができる。【選択図】図10

Description

本発明は、板状の母材に樹脂の被膜を設けて成る鉄道車両の台車用カバーと、その取付構造とに関するものである。
鉄道車両の台車には、主電動機やブレーキ装置等をはじめとして、鉄道車両を軌道に沿って進行させるための様々な機材が搭載されている。このため、台車の下部には様々な機材により凹凸が形成されており、この凹凸によって鉄道車両の進行時に空気の流れが乱されることに起因して、特に高速で進行する鉄道車両において、騒音の発生や、路盤から跳ね上げられる飛来物(バラストや雪が押し固められた氷塊等)の衝突が問題視されている。これを解決するために、台車の下部にカバーを設置することで、台車の下部を平滑化して空気の流れを整風する発案がなされている(例えば、特許文献1参照)。
特開平7−125635号公報
ここで、上述したように台車にカバーを設置する場合、メンテナンス等を考慮して着脱可能に取り付けながらも、強固に固定する必要があり、又、カバーの平滑性を損なわないように取り付ける必要もある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、平滑性を損なわずに台車用カバーを強固に固定することにある。
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
(1)板状の母材に樹脂の被膜を設けて成る、鉄道車両の台車用カバーであって、台車に対する取り付け用のボルトとして、頭部及び軸部を有する第1形態のボルト又は軸部を有する第2形態のボルトの、何れか一方が挿入される複数の支持部材を含み、前記支持部材は、前記第1形態のボルトの頭部、或いは、前記第2形態のボルトに対応するナットを、内部に配置可能な内径を有する有底筒状をなし、その底部には前記第1形態のボルトの頭部径及び前記ナットの外径より小さく、前記第1形態のボルトの軸部径及び前記第2形態のボルトの軸部径より大きい内径の挿通孔が、開放端には外周方向に広がるフランジ部が、形成されており、前記母材には、前記支持部材を挿入ないし圧入可能な内径の貫通孔が形成され、前記フランジ部が前記貫通孔の軸方向一方側の周縁に当接した状態で、少なくとも前記フランジ部を覆うように前記母材に前記被膜が設けられている台車用カバー(請求項1)。
本項に記載の台車用カバーは、台車の下部を平滑化し、台車の下部の凹凸に起因する騒音を抑制するものである。又、この台車用カバーは、板状の母材に樹脂の被膜が設けられて成るものであり、複数の支持部材を含んでいる。これらの支持部材は、台車に対する取り付け用のボルトとして、頭部及び軸部を有する第1形態のボルト又は軸部を有する第2形態のボルトの、何れか一方が挿入されるものである。そして、支持部材は、そのような第1形態のボルトの頭部、或いは、第2形態のボルトに対応するナットを、内部に配置可能な内径を有する有底筒状をなしている。更に、支持部材の底部には、第1形態のボルトの頭部径及び第2形態のボルトに対応するナットの外径より小さく、かつ、第1形態のボルトの軸部径及び第2形態のボルトの軸部径より大きい内径の、挿通孔が形成されている。加えて、支持部材の開放端には、外周方向に広がるフランジ部が形成されている。
又、母材には、台車に対する固定部分となる複数の位置に、支持部材を挿入ないし圧入可能な内径の貫通孔が形成されている。このような母材に対し、支持部材の各々は、底部側を先端にして貫通孔に挿入ないし圧入され、フランジ部が貫通孔の軸方向一方側の周縁に当接した状態で、少なくともフランジ部を覆うように母材に被膜が設けられることによって、台車用カバーに固定される。これにより、台車用カバーに対して支持部材が、母材に対し支持部材を固定するための要素を特段用いることなく、強固に固定されながらも、母材から僅かに隆起する支持部材のフランジ部が、樹脂の被膜により覆われるため、台車用カバーの平滑性が維持されることとなる。更に、母材の貫通孔の軸方向一方側の周縁に、支持部材のフランジ部に対応した形状の座繰り部を設けることとすれば、母材からのフランジ部の隆起が解消され、台車用カバーの平滑性が向上されることになる。
一方、台車用カバーの取り付け時に、取り付け用のボルトとして第1形態のボルトが用いられる場合、第1形態のボルトは、軸部側を先端にして、上記のように母材に固定された支持部材の開放端側から挿入される。そして、第1形態のボルトの軸部が、支持部材の挿通孔に挿通された後、台車の固定部分に挿通され、ボルトの頭部が支持部材の底部に当接するまで挿入される。この状態で、ボルトの軸部の先端から、台車の固定部分を挟み込むようにして、第1形態のボルトに対応するナットが締め付けられることで、第1形態のボルトの頭部とナットとの間に作用する引張力を、台車用カバー側では、母材に強固に固定された支持部材により受けることになる。
他方、台車用カバーの取り付け時に、取り付け用のボルトとして第2形態のボルトが用いられる場合、第2形態のボルトは、例えば、軸部の一端側に対応するナットが仮留めされた状態で、軸部の他端側を先端にして、上記のように母材に固定された支持部材の開放端側から挿入される。そして、第2形態のボルトの軸部が、支持部材の挿通孔に挿通された後、台車の固定部分に挿通され、仮留めされたナットが支持部材の底部に当接するまで挿入される。この状態で、ボルトの軸部の他端側から、台車の固定部分を挟み込むようにして、軸部の他端側に対応するナットが締め付けられると共に、軸部の一端側に仮留めされていたナットが締め付けられることで、軸部の両端のナット間に作用する引張力を、台車用カバー側では、母材に強固に固定された支持部材により受けることになる。上記のように、第1形態のボルトと第2形態のボルトとの、何れのボルトが用いられる場合であっても、台車用カバーが台車に対して強固に固定されるものとなる。
(2)上記(1)項において、前記母材が不織布で形成され、前記被膜がポリウレア樹脂で形成される台車用カバー(請求項2)。
本項に記載の台車用カバーは、例えば熱成形等で加工された不織布製の母材に、例えば吹き付け等により、ポリウレア樹脂の被膜が設けられた構造を有している。ポリウレア樹脂は、一般的に、軽量でありながらも柔軟性及び強度に優れており、更に、硬化が早く作業性にも優れている。又、母材に用いられる不織布も軽量であり、引張強度等が優れたものもあるため、そのような不織布を用いることが好ましい。このような母材に対し、ポリウレア樹脂の被膜が設けられていることで、鉄道車両の走行風等によって跳ね上げられた飛来物は、台車用カバーのポリウレア樹脂が設けられた面に衝突することになる。このため、飛来物の衝突エネルギーがポリウレア樹脂によって効果的に吸収・分散されつつ、不織布及びポリウレア樹脂が有する強度によって、鉄道車両の運行に影響を与えるような台車用カバーの破損が防止されるものである。
更に、不織布で構成される母材と、ポリウレア樹脂の被膜との双方が軽量であるため、鉄道車両の高速化にも寄与するものとなる。又、本項に記載の台車用カバーは、上記のような構成を有しているため、万が一破損したとしても、破損部分を補うように不織布を配置してポリウレア樹脂で被覆することで修復され、更に、破損個所が小さい場合はポリウレア樹脂のみで修復することも考えられる。加えて、母材を構成する不織布の積層数及び圧縮率や、被膜を構成するポリウレア樹脂の膜厚及び品種等、調整可能なパラメータを多く有しているため、様々な要求に対応するものとなる。又、複数の支持部材は、不織布製の母材に設けられた貫通孔に挿入ないし圧入され、少なくともフランジ部が覆われるように、母材にポリウレア樹脂の被膜が設けられることによって、台車用カバーに対してより強固に固定されるものである。
(3)上記(1)(2)項に記載の台車用カバーの前記支持部材の底部と前記台車との間に、前記第1形態のボルトの軸部或いは前記第2形態のボルトの軸部が挿通される筒状の衝撃吸収部材が配置される台車用カバーの取付構造(請求項3)。
本項に記載の台車用カバーの取付構造は、上記(1)(2)項に記載した台車用カバーの支持部材の底部と、台車用カバーを取り付ける台車との間に、取り付け用の第1形態のボルトの軸部或いは第2形態のボルトの軸部が挿通される、筒状の衝撃吸収部材が配置されるものである。すなわち、衝撃吸収部材は、その貫通した中空部が、支持部材の底部に形成された挿通孔と連通するように配置される。そして、上記(1)項に記載したように、支持部材の開放端側から挿入される第1形態或いは第2形態のボルトは、支持部材の挿通孔に続いて、衝撃吸収部材の中空部と台車の固定部分とに軸部が挿通され、第1形態のボルトの頭部又は第2形態のボルトに仮留めされたナットが、支持部材の底部に当接するまで挿入される。この状態で、第1形態のボルトの軸部の先端からナットが締め付けられることで、或いは、第2形態のボルトの軸部の両端側でナットが締め付けられることで、衝撃吸収部材が介在した状態で、台車に対して台車用カバーが固定される。
これにより、鉄道車両の走行風等によって跳ね上げられた飛来物が台車用カバーに衝突すると、台車用カバーで受けた衝突エネルギーが、衝撃吸収部材によって大幅に吸収される。このため、鉄道車両の運行に影響を与えるような台車用カバーの破損が防止されることとなる。更に、上記(2)項の台車用カバーを取り付ける場合は、衝撃吸収部材の弾性力と、主にポリウレア樹脂により付与される台車用カバーの弾性力との双方によって、衝撃や曲げに対応するものとなるため、台車用カバーの破損がより効果的に防止されるものとなる。なお、軸部を有する第2形態のボルトを用いる場合、衝撃吸収部材の両端から第2形態のボルトの軸部の両端が突出する態様で、衝撃吸収部材により第2形態のボルトを保持させてもよい。この場合、衝撃吸収部材から突出した軸部の一端が、支持部材の底部側から挿通孔に挿通され、衝撃吸収部材から突出した軸部の他端が、台車の固定部分に挿通された状態で、台車用カバーと台車との間に衝撃吸収部材が介在することになる。
(4)上記(3)項において、前記複数の支持部材が固定された前記台車用カバーの取付部分のうち、少なくとも一部の取付部分は、取付フレームを介して台車に取り付けられる台車用カバーの取付構造(請求項4)。
本項に記載の台車用カバーの取付構造は、複数の支持部材が固定された台車用カバーの取付部分のうち、少なくとも一部の取付部分が、取付フレームを介して台車に取り付けられるものである。この際、衝撃吸収部材は、台車用カバーと取付フレームとの間に配置される。取付フレームは、例えば、台車用カバーが固定されるフレーム部と、台車の任意の位置に固定される脚部とで構成される。これにより、凹凸が形成された台車の下部に対して、意図した位置に容易に台車用カバーが取り付けられることとなる。
本発明は上記のような構成であるため、平滑性を損なわずに台車用カバーを強固に固定することが可能となる。
本発明の実施の形態に係る台車用カバーが取り付けられた台車を示しており、(a)は平面図、(b)は側面図である。 図1に示した台車用カバーの平面図である。 図1に示した台車用カバーの同形状を有する1組の部位のうち、一方の部位を示す斜視図である。 図1に示した台車用カバーの構造を示す断面図である。 図1に示した台車用カバーの同形状を有する1組の部位のうち、一方の部位の母材を構成する複数の不織布製基材を示す平面図である。 図5に示した母材を構成する複数の不織布製基材のうち、直交して接続される基材間の接続構造を示すイメージ図である。 図5に示した母材を構成する複数の不織布製基材のうち、同平面上で接続される基材間の接続構造を示すイメージ図である。 本発明の実施の形態に係る台車用カバーの、複数の支持部材の取り付け位置を示す概略的な平面図である。 図8に示した台車用カバーの複数の支持部材の取り付け位置及びその近傍領域の断面図である。 図8に示した台車用カバーと台車或いは取付フレームとの固定構造を示すイメージ図であり、(a)は第1形態のボルトとナットとを用いた形態、(b)は第1形態のボルトとねじ座とを用いた形態である。 図10に示した支持部材の平面図である。 本発明の実施の形態に係る台車用カバーの取付構造を示しており、(a)は斜視図、(b)は側面からの内部透視イメージ図である。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面に基づいて説明する。ここで、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、詳しい説明を省略することとし、又、図面の全体を通して、同一部分若しくは相当する部分は、同一の符号で示している。
図1は、鉄道車両の台車70に取り付けた状態の、本発明の実施の形態に係る台車用カバー10を模式的に示しており、図2は、台車用カバー10単体の平面図である。説明の便宜上、図1(a)では、台車用カバー10で覆われる台車70の範囲をハッチングで示しており、又、図1及び図2では、図中左方向を鉄道車両の進行方向として説明する。
まず、図1を参照して、本実施例における台車70の構成について簡単に説明すると、台車70は、一対の側梁とそれらを接続する横梁とを含む台車枠72、夫々2つの車輪76を有する一対の輪軸74、車輪76毎に設けられたブレーキ装置78、輪軸74を回転させるための一対の主電動機80、主電動機80の回転動力を減速させながら輪軸74へと伝える一対の歯車装置82、台車枠72と車体90との間に配置される一対の空気ばね84、及び、蛇行動を抑える一対のヨーダンパ86等を含んでいる。そして、図1(a)で確認できるように、台車70は、ヨーダンパ86を除いた上記の各構成要素が、平面視で台車70の中心点70bを基準とした点対称位置に配置されている。
上記のような台車70に対し、台車用カバー10は、輪軸74、車輪76、ブレーキ装置78、歯車装置82、空気ばね84の一部、及び、ヨーダンパ86を除いた、台車枠72の一部や主電動機80等を含む、台車70の大部分を下方から覆うように、後述する取付フレーム60を介して取り付けられている。より詳しくは、台車用カバー10は、図2に示すように、平面視で中心点10aを基準とする点対称形状を有しており、台車用カバー10の中心点10aが、平面視で台車70の中心点70bと重なる位置に設置されている。又、本実施例の台車用カバー10は、上述の如く台車70を覆いながらも一部を露出させるように、平面視で鉄道車両の進行方向を基準とした前方側及び後方側(図中左側及び右側)の端縁に、複数の凹凸が形成されている。なお、図示の台車用カバー10の形状は一例であり、台車用カバー10の形状を限定するものではない。
更に、本実施例において、台車用カバー10は、同形状を有する1組の部位24A、24Bが、平面方向に並べられて台車70に固定されることで形成されている。部位24A、24Bの各々は、図3に示すような形状を有しており、このような同一の形状を有する1組の部位24A、24Bが、図2で確認できるように、平面視で台車70の中心点70bに対して、位相が互いに180°異なるように配置されている。なお、台車用カバー10を形成する同形状を有する部位の組数は、1組に限定されるものではなく、2組以上であってもよい。2組以上の場合であっても、同形状を有する部位同士が、中心点70bに対して位相が互いに180°異なるように配置されることになる。
台車用カバー10は、1組の部位24A、24Bが上記のように配置された状態で、台車用カバー10の基礎部分を構成する平板部30、平板部30の平面視での各端縁に沿って設けられた、前方流線部26、後方流線部28、及び、側壁部32を含んでいる。図2及び図3を参照して、平板部30は、台車用カバー10が台車70に取り付けられた状態で、路盤と対向して配置される平板状の部分であり、本実施例では、部位24Aに含まれる平板部30Aと、部位24Bに含まれる平板部30Bとで構成されている。前方流線部26は、平板部30の、鉄道車両の進行方向を基準とした前方側(図2中左側)の端縁に沿って設けられ、前方に向かうにつれて上方側(図2中左側に向かうにつれて図2中紙面手前側)へと、湾曲して延びている。
又、上述したように、台車用カバー10の前方側の端縁には、複数の凹凸が形成されているため、これら複数の凹凸に対応するように、本実施例では、前方流線部26として4つの前方流線部26A〜26Dが設けられている。ここで、台車用カバー10の前方側の端縁の中で、最も前方側に突出すると共に、最も幅方向(図2中上下方向)の長さが大きい端縁に設けられた、前方流線部26Cは、他の前方流線部26A、26B、26Dと比較して、湾曲の曲率が小さくなっている。なお、前方流線部26A、26Bは部位24A側に含まれ、前方流線部26C、26Dは部位24B側に含まれている。
後方流線部28は、平板部30の、鉄道車両の進行方向を基準とした後方側(図2中右側)の端縁に沿って設けられ、後方に向かうにつれて上方側(図2中右側に向かうにつれて図2中紙面手前側)へと、湾曲して延びている。又、上述したように、台車用カバー10の後方側の端縁には、複数の凹凸が形成されているため、これら複数の凹凸に対応するように、本実施例では、後方流線部28として4つの後方流線部28A〜28Dが設けられている。ここで、台車用カバー10の後方側の端縁の中で、最も後方側に突出すると共に、最も幅方向(図2中上下方向)の長さが大きい端縁に設けられた、後方流線部28Bは、他の後方流線部28A、28C、28Dと比較して、湾曲の曲率が小さくなっている。なお、後方流線部28A、28Bは部位24A側に含まれ、後方流線部28C、28Dは部位24B側に含まれている。
一方、側壁部32は、鉄道車両の進行方向(図2中左右方向)に沿って、平板部30から上方側(図2中紙面手前側)へ向かって立設されるものであり、本実施例では、8つの側壁部32A〜32Hが設けられている。側壁部32B、32Fは、平板部30の、鉄道車両の幅方向を基準とした両側(図2中下側及び上側)の端縁に沿って設けられ、他の側壁部32は、前方流線部26同士或いは後方流線部28同士を接続するように設けられている。具体的に、側壁部32Aは、前方流線部26A、26B間を接続するように、側壁部32Hは、前方流線部26B、26C間を接続するように、側壁部32Gは、前方流線部26C、26D間を接続するように、夫々設けられている。又、側壁部32Cは、後方流線部28A、28B間を接続するように、側壁部32Dは、後方流線部28B、28C間を接続するように、側壁部32Eは、後方流線部28C、28D間を接続するように、夫々設けられている。なお、側壁部32A〜32Dは部位24A側に含まれ、側壁部32E〜32Hは部位24B側に含まれている。
ここで、上述したように、台車用カバー10は、同一形状を有する1組の部位24A、24Bが、平面視で台車70の中心点70bに対して、位相が互いに180°異なるように配置されて形成され、その際に台車70の中心点70bと重なる台車用カバー10の中心点10aを基準として、平面視で点対称形状を有している。このため、以下に列挙する各部の組は、平面視で向きが180°異なるだけの同形状の部分である。すなわち、図3に示すように、前方流線部26A及び後方流線部28D、前方流線部26B及び後方流線部28C、後方流線部28A及び前方流線部26D、後方流線部28B及び前方流線部26C、平板部30A及び平板部30B、側壁部32A及び側壁部32E、側壁部32B及び側壁部32F、側壁部32C及び側壁部32G、側壁部32D及び側壁部32Hは、夫々、同形状の部分である。
次に、本発明の実施の形態に係る台車用カバー10の構造について説明する。台車用カバー10は、その全体にわたって、図4に示すような断面構造を有しており、板状の不織布製基材14で構成された母材12の両面に、ポリウレア樹脂の被膜20が設けられている。母材12に用いられる不織布は、例えば、プレス型で熱成形をするように圧縮されて、板状に成形される。又、母材12に用いられる不織布の材料として、例えば、PP(ポリプロピレン)繊維とガラス繊維との組み合わせが挙げられ、入手性や強度等の観点から、特にホモポリマーPP繊維とロービングガラス繊維との組み合わせが好ましい。しかしながら、状況に応じて、他の材料の不織布を用いてもよい。
ポリウレア樹脂の被膜20は、例えば、母材12に吹き付け等で形成される。被膜20に用いられるポリウレア樹脂は、一般的に、軽量性、柔軟性及び強度に優れており、母材12に粘り強い変形追従性を付加する。又、本発明の実施の形態に係る台車用カバー10に用いるポリウレア樹脂は、難燃性に優れた配合のものを用いることが好ましい。一例として、母材12の厚みt1及び被膜20の厚みt2を挙げると、母材12の厚みt1は5mm程度、被膜20の厚みt2は2mm程度であるが、これらに限定されることなく、台車用カバー10に要求される性能等に応じて、適切な値を取り得るものである。又、本実施例では、母材12の両面にポリウレア樹脂の被膜20が設けられているが、これに限定されることなく、母材12の、台車70に取り付けられた状態で外側を向く面12aにのみ、ポリウレア樹脂の被膜20が設けられていてもよい。
上記のような断面構造を有する台車用カバー10は、まず、複数の板状の不織布製基材14が組み合わされて、台車用カバー10を形成する1つの部位24の母材12が形成された後に、ポリウレア樹脂の被膜20が設けられる。図5には、台車用カバー10を形成する1組の部位24A、24Bのうち、一方の部位24の母材12を示している。これに限定されるものではないが、図5の例において、母材12は、10枚の板状の不織布製基材14A〜14Jが接合されて形成されている。更に図3も参照して、具体的に、10枚の板状の不織布製基材14A〜14Jは、部位24の以下の部分を構成するものである。
すなわち、不織布製基材14Cは前方流線部26A又は後方流線部28Dを、不織布製基材14Dは前方流線部26B又は後方流線部28Cを、不織布製基材14Eは後方流線部28A又は前方流線部26Dを、不織布製基材14Fは後方流線部28B又は前方流線部26Cを、夫々構成するものである。これら4枚の不織布製基材14C〜14Fは、湾曲した板状に成形される。又、不織布製基材14A及び14Bは平板部30A又は30Bを、不織布製基材14Gは側壁部32A又は側壁部32Eを、不織布製基材14Hは側壁部32B又は側壁部32Fを、不織布製基材14Iは側壁部32C又は側壁部32Gを、不織布製基材14Jは側壁部32D又は側壁部32Hを、夫々構成するものである。これら6枚の不織布製基材14A、14B、14G〜14Jは、平坦な板状に成形される。なお、本実施例では、不織布製基材14を成形する成形機の大きさの制約が考慮されて、平板部30A又は30Bを構成する不織布製基材14が、不織布製基材14Aと14Bとに分けられている。
上述した10枚の不織布製基材14A〜14Jは、例えば、図6及び図7に示すような、溶融樹脂34を利用した熱溶着によって接合される。図6には、不織布製基材14Aと14Hとの接合や、不織布製基材14Cと14Hとの接合等の、略直交する位置関係で接合される不織布製基材14同士の接合方法を示している。この接合方法では、まず、接合する2つの不織布製基材14の突き合わせ部の間に、接合用の溶融樹脂34を流し込んで2つの不織布製基材14を接合する。更に、この接合箇所の延在方向(図6における紙面と直交する方向)に沿って、接合箇所を両側から挟み込むようにして、2枚の不織布製の薄膜36を溶融樹脂34により貼り付けるものである。
一方、図7には、不織布製基材14Aと14Bとの接合等の、同平面上で接合される不織布製基材14同士の接合方法を示している。この接合方法では、まず、接合する2枚の不織布製基材14の双方に、同じ面積の接合代14aを、互いに向き合うように接合箇所に沿って形成する。この接合代14aは、不織布製基材14を他の領域の1/2程度の厚みまで圧縮することによって形成する。そして、2枚の不織布製基材14の接合代14aの間に溶融樹脂34を流し込み、接合代14a同士を密着させて、全体が平坦になるように接合するものである。なお、この接合方法で接合する不織布製基材14は、接合代14aを形成することを考慮した大きさに、予め成形しておくものとする。又、不織布製基材14同士の接合方法は、上記の方法に限定されるものではなく、溶融樹脂34を用いた別の接合方法や、溶融樹脂34を用いない他の接合方法であってもよい。
続いて、図8には、本発明の実施の形態に係る台車用カバー10に設けられる、複数の支持部材42の位置を模式的に示している。これら複数の支持部材42は、台車用カバー10が台車70に対して取り付けられる際に用いられるものであり、図示の例では、部位24A、24B毎に16箇所の、合計で32箇所に支持部材42が設けられている。各支持部材42が設けられた位置は、台車70に対する固定部分となる。そして、台車用カバー10は、図9に示すように、不織布製基材14で構成される母材12の、台車70に対する固定部分及びその近傍の領域12bが、他の領域よりも厚みが小さくなっている。このような母材12の固定部分及びその近傍の領域12bは、不織布製基材14が圧縮されることで形成される。一例として、母材12の固定部分及びその近傍の領域12bの厚みt3は、母材12の他の領域の厚みt1の45〜55%であるが、これに限定されることなく、他の値であってもよい。
なお、不織布製基材14が圧縮されることで形成される、母材12の厚みが小さい領域は、上述した母材12の固定部分及びその近傍の領域12bに限定されることはなく、例えば、台車用カバー10の剛性を高めることが要求される、任意の部分的な領域に形成してもよい。更に、上述した母材12の固定部分及びその近傍の領域12bを含み、台車用カバー10の剛性を部分的に高める方法は、不織布製基材14を圧縮して母材12の厚みを小さくする方法に限定されるものではなく、他の方法であってもよい。例えば、母材12の一方の面の任意領域に金属板を配置し、ポリウレア樹脂の被膜20によって金属板ごと覆うことで、金属板を配置した領域の剛性を高めることとしてもよい。
図8に示した複数の支持部材42の各々は、例えば金属製で、図10及び図11に示すような形状を有しており、本実施例では、台車用カバー10の台車70への取り付け時に、頭部52及び軸部54を有する第1形態のボルト(六角ボルト)50が挿入される。より詳しくは、支持部材42は、有底の円筒状をなしており、その底部42aに挿通孔44を備えると共に、開放端42bには外周方向に広がるフランジ部46が形成されている。支持部材42は、その内部にボルト50の頭部52を配置可能な内径を有しており、挿通孔44は、ボルト50の頭部52の頭部径より小さく、ボルト50の軸部54の軸部径より大きい内径を有している。
そして、上記のような形状の支持部材42は、図10に示すように、底部42a側を先端にして、母材12に設けられた貫通孔16に挿入又は圧入されている。この際、支持部材42は、開放端42bに設けられたフランジ部46が、貫通孔16の軸方向一方側(図中下側)の周縁に設けられた座繰り部18に当接するまで、挿入又は圧入される。すなわち、母材12には、複数の支持部材42を挿入又は圧入するための複数の貫通孔16が形成され、各貫通孔16の軸方向一方側の周縁に座繰り部18が設けられている。例えば、貫通孔16は、母材12が繰り抜かれることで形成され、座繰り部18は、母材12が僅かに圧縮されることで形成される。
更に、支持部材42は、上記のように母材12に挿入又は圧入された状態で、少なくともフランジ部46が被膜20により覆われることで、台車用カバー10に固定されている。図示の例では、ポリウレア樹脂の被膜20が、支持部材42の内部まで入り込んでおり、又、母材12の図中上側の面に設けられた被膜20が、支持部材42の底部42a側を僅かに覆っている。すなわち、台車用カバー10は、図5のような母材12が形成された後、上述したように複数の支持部材42が母材12に挿入又は圧入され、この状態でポリウレア樹脂の被膜20が設けられることで、図3に示した部位24A及び24Bが形成されるものである。なお、図2及び図3では、支持部材42の図示を省略している。
ここで、図10に示されている台車用カバー10の領域は、図9に示した母材12の固定部分及びその近傍の領域12bに対応する部分である。又、母材12の貫通孔16の周縁には、座繰り部18が設けられていなくてもよく、この場合は、フランジ部46が貫通孔16の周縁に当接するまで、支持部材42が貫通孔16に挿入又は圧入され、この状態で少なくともフランジ部46が被膜20により覆われる。更に、図10の例における支持部材42は、母材12の貫通孔16に挿入又は圧入された状態で、母材12の図中上側の面から、その面に設けられる被膜20の厚みと略同じ距離まで突出しているが、被膜20の厚みよりも大きく突出していてもよい。
次に、図10〜図12を参照して、本発明の実施の形態に係る台車用カバー10の取付構造について説明する。図12に示すように、台車用カバー10の取付構造40は、複数の衝撃吸収部材48と、取付フレーム60とを含んでいる。複数の衝撃吸収部材48は、図8に示した台車用カバー10の複数の支持部材42の位置に対応した32箇所に配置される。衝撃吸収部材48の各々は、例えばゴム等の弾性を有する材料で形成され、本実施例では円筒状をなしている。又、衝撃吸収部材48は、図10に示すように、図中上下方向に貫通した中空部48aが、ボルト50の軸部径より僅かに大きい内径を有している。そして、衝撃吸収部材48は、支持部材42の貫通孔44と中空部48aとが連通するように配置される。
又、図12を参照して、本実施例では、32箇所に配置される衝撃吸収部材48のうち、符号48Aで示す衝撃吸収部材48から図中左上方向に並ぶ4つの衝撃吸収部材48と、符号48Bで示す衝撃吸収部材48から図中右下方向に並ぶ4つの衝撃吸収部材48とを除いた、残り24箇所の衝撃吸収部材48の上に、取付フレーム60が設置される。取付フレーム60は、衝撃吸収部材48を介して台車用カバー10に固定されるフレーム部60aと、フレーム部60aから上方へ延びる複数の脚部60bとを含んでいる。そして、衝撃吸収部材48の上に取付フレーム60が設置された状態で、図10(a)に示すように、本実施例では、頭部52及び軸部54を有する第1形態のボルト(六角ボルト)50と、このボルト50に対応するナット56とによって、台車用カバー10に対して取付フレーム60が固定される。
具体的には、ボルト50が軸部54側を先端にして、支持部材42の開放端42bから底部42aの挿通孔44に挿入され、挿通孔44に続いて衝撃吸収部材48の中空部48aに挿入される。更に、衝撃吸収部材48の上に設置された取付フレーム60の、フレーム部60aに予め設けられた挿入孔60cに挿入された後、軸部54の先端からナット56が締め付けられている。なお、ナット56と取付フレーム60のフレーム部60aとの間には、スプリングワッシャ58が介在している。
上記のようにして、取付フレーム60が固定された台車用カバー10は、図1(b)に示したように、取付フレーム60側を上方にして、下方から台車70に対して取り付けられる。このとき、取付フレーム60の複数の脚部60bの先端が、台車70の適切な箇所に固定されると共に、取付フレーム60が固定されていない台車用カバー10の残りの固定部分は、台車70(本実施例では主電動機80)に直結される。すなわち、図12に示した、衝撃吸収部材48Aから図中左上方向に並ぶ4つの衝撃吸収部材48と、衝撃吸収部材48Bから図中右下方向に並ぶ4つの衝撃吸収部材48とは、図1に示す台車70の一対の主電動機80に下方から当接する。そして、図10(a)に示すように、ボルト50の軸部54が、主電動機80に予め設けられた挿入孔80aに挿入され、ナット56により締め付けられることで、主電動機80に対して台車用カバー10が直結される。なお、台車用カバー10を直結する台車70の部位は、主電動機80以外の部位であってもよい。
ここで、台車用カバー10を、取付フレーム60又は台車70に固定する際に使用する締結部材は、第1形態のボルト50とナット56とに限定されるものではなく、他の組み合わせであってもよい。例えば、図10(b)には、ナット56に代えて、取付フレーム60又は台車70に溶接されたタップ穴付のねじ座57を利用した形態を示している。この形態の場合、ボルト50の頭部52と支持部材42の底部42aとの間に、スプリングワッシャ58が介在した状態で、ねじ座57に対して第1形態のボルト50が締め付けられることで、台車用カバー10と取付フレーム60或いは台車70とが固定される。
加えて、第1形態のボルト50は、六角ボルトに限定されるものではなく、六角穴ボルト等の、頭部52と軸部54とを有する他のボルトであってもよい。更に、第1形態のボルト50に代えて、頭部52を有さずに軸部54を有する、植込みボルト等の第2形態のボルトを利用してもよい。この場合は、図10(a)を参照して、支持部材42の挿通孔44と、衝撃吸収部材48の中空部48aと、取付フレーム60の挿入孔60c或いは主電動機80の挿入孔80aとに、第2形態のボルトが挿通される。そして、支持部材42側の第2形態のボルトの先端と、取付フレーム60或いは主電動機80側の第2形態のボルトの先端との双方から、第2形態のボルトに対応するナットが締め付けられることによって、台車用カバー10と取付フレーム60又は主電動機80とが固定される。
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係る台車用カバー10は、図1に示すように、台車70の下部70aを平滑化し、台車70の下部70aの凹凸に起因する騒音を抑制可能なものである。又、この台車用カバー10は、図4に示すように、板状の母材12に樹脂の被膜20が設けられて成るものであり、更に、図8に示すように、複数の支持部材42を含んでいる。これらの支持部材42は、台車70に対する取り付け用のボルトとして、頭部及び軸部を有する第1形態のボルト又は軸部を有する第2形態のボルトの、何れか一方が挿入されるものである。図10及び図11には、頭部52及び軸部54を有する第1形態のボルト50を使用した例を示している。そして、支持部材42は、そのような第1形態のボルト50の頭部52、或いは、第2形態のボルトに対応するナットを、内部に配置可能な内径を有する有底筒状をなしている。更に、支持部材42の底部42aには、第1形態のボルト50の頭部径及び第2形態のボルトに対応するナットの外径より小さく、かつ、第1形態のボルト50の軸部径及び第2形態のボルトの軸部径より大きい内径の、挿通孔44が形成されている。加えて、支持部材42の開放端42bには、外周方向に広がるフランジ部46が形成されている。
又、母材12には、台車70に対する固定部分となる複数の位置に、支持部材42を挿入ないし圧入可能な内径の貫通孔16が形成されている。このような母材12に対し、支持部材42の各々は、底部42a側を先端にして貫通孔16に挿入ないし圧入され、フランジ部46が貫通孔16の軸方向一方側(図中下側)の周縁に当接した状態で、少なくともフランジ部46を覆うように母材12に被膜20が設けられることによって、台車用カバー10に固定される。これにより、台車用カバー10に対して支持部材42を、母材12に対し支持部材42を固定するための要素を特段用いることなく、強固に固定しながらも、母材12から僅かに隆起する支持部材42のフランジ部46が、樹脂の被膜20により覆われるため、台車用カバー10の平滑性を維持することができる。更に、図示の例では、母材12の貫通孔16の軸方向一方側の周縁に、支持部材42のフランジ部46に対応した形状の座繰り部18を設けているため、母材12からのフランジ部46の隆起が解消され、台車用カバー10の平滑性を向上することができる。
一方、図10の例のように、台車用カバー10の取り付け時に、取り付け用のボルトとして第1形態のボルト50が用いられる場合、第1形態のボルト50は、軸部54側を先端にして、上記のように母材12に固定された支持部材42の開放端42b側から挿入される。そして、第1形態のボルト50の軸部54が、支持部材42の挿通孔44に挿通された後、台車70の挿入孔80aに挿通され、ボルト50の頭部52が支持部材42の底部42aに当接するまで挿入される。この状態で、図10(a)の例では、ボルト50の軸部54の先端から、台車70の固定部分を挟み込むようにして、第1形態のボルト50に対応するナット56が締め付けられ、図10(b)の例では、ボルト50の軸部54の先端が、台車70の固定部分に溶接されたタップ穴付のねじ座57に螺合される。これにより、第1形態のボルト50の頭部52とナット56又はねじ座57との間に作用する引張力を、台車用カバー10側では、母材12に強固に固定された支持部材42により受けることになる。
他方、台車用カバー10の取り付け時に、取り付け用のボルトとして第2形態のボルトが用いられる場合、第2形態のボルトは、例えば、軸部の一端側に対応するナットが仮留めされた状態で、軸部の他端側を先端にして、上記のように母材12に固定された支持部材42の開放端42b側から挿入される。そして、第2形態のボルトの軸部が、支持部材42の挿通孔44に挿通された後、台車70の挿入孔80aに挿通され、仮留めされたナットが支持部材42の底部42aに当接するまで挿入される。この状態で、ボルトの軸部の他端側から、台車70の固定部分を挟み込むようにして、軸部の他端側に対応するナットが締め付けられると共に、軸部の一端側に仮留めされていたナットが締め付けられることで、軸部の両端のナット間に作用する引張力を、台車用カバー10側では、母材12に強固に固定された支持部材42により受けることになる。上記のように、第1形態のボルト50と第2形態のボルトとの、何れのボルトが用いられる場合であっても、台車用カバー10を台車70に対して強固に固定することが可能となる。
又、本発明の実施の形態に係る台車用カバー10は、図4に示すように、例えば熱成形等で加工された不織布製の母材12に、例えば吹き付け等により、ポリウレア樹脂の被膜20が設けられた構造を有している。ポリウレア樹脂は、一般的に、軽量でありながらも柔軟性及び強度に優れており、更に、硬化が早く作業性にも優れている。又、母材12に用いられる不織布も軽量であり、引張強度等が優れたものもある。このような母材12に対し、ポリウレア樹脂の被膜20が設けられていることで、鉄道車両の走行風等によって跳ね上げられた飛来物は、台車用カバー10のポリウレア樹脂が設けられた面に衝突することになる。このため、飛来物の衝突エネルギーをポリウレア樹脂によって効果的に吸収・分散しつつ、不織布及びポリウレア樹脂が有する強度によって、鉄道車両の運行に影響を与えるような台車用カバー10の破損を防止することができる。
更に、不織布で構成される母材12と、ポリウレア樹脂の被膜20との双方が軽量であるため、鉄道車両の高速化にも寄与することができる。又、本発明の実施の形態に係る台車用カバー10は、上記のような構成を有しているため、万が一破損したとしても、破損部分を補うように不織布を配置してポリウレア樹脂で被覆することで修復することができ、更に、破損個所が小さい場合はポリウレア樹脂のみで修復することも可能である。加えて、母材12を構成する不織布の積層数及び圧縮率や、被膜20を構成するポリウレア樹脂の膜厚及び品種等、調整可能なパラメータを多く有しているため、様々な要求に対応することが可能となる。又、図10に示すように、複数の支持部材42は、不織布製の母材12に設けられた貫通孔16に挿入ないし圧入され、少なくともフランジ部46が覆われるように、母材12にポリウレア樹脂の被膜20が設けられることによって、台車用カバー10に対してより強固に固定することができる。
一方、図12に示すように、本発明の実施の形態に係る台車用カバーの取付構造40は、複数の筒状の衝撃吸収部材40を備えている。衝撃吸収部材48の各々は、図10に示すように、台車用カバー10の支持部材42の底部42aと、台車用カバー10を取り付ける台車70との間に介在し、取り付け用の第1形態のボルト50の軸部54或いは第2形態のボルトの軸部が挿通される。すなわち、衝撃吸収部材48は、その貫通した中空部48aが、支持部材42の底部42aに形成された挿通孔44と連通するように配置される。そして、上述したように、支持部材42の開放端42b側から挿入される第1形態のボルト50(或いは第2形態のボルト)は、支持部材42の挿通孔44に続いて、衝撃吸収部材48の中空部48aと台車70の挿入孔80aとに軸部54が挿通され、第1形態のボルト50の頭部52(又は第2形態のボルトに仮留めされたナット)が、支持部材42の底部42aに当接するまで挿入される。この状態で、第1形態のボルト50の軸部54の先端からナット56が締め付けられることで、第1形態のボルト50の軸部54がねじ座57に螺合されることで、或いは、第2形態のボルトの軸部の両端側でナットが締め付けられることで、衝撃吸収部材48が介在した状態で、台車70に対して台車用カバー10が固定される。
これにより、鉄道車両の走行風等によって跳ね上げられた飛来物が台車用カバー10に衝突すると、台車用カバー10で受けた衝突エネルギーを、衝撃吸収部材48によって大幅に吸収することができる。このため、鉄道車両の運行に影響を与えるような台車用カバー10の破損を防止することができる。更に、ポリウレア樹脂の被膜20が設けられた台車用カバー10を取り付ける場合は、衝撃吸収部材48の弾性力と、主にポリウレア樹脂により付与される台車用カバー10の弾性力との双方によって、衝撃や曲げに対応するものとなるため、台車用カバー10の破損をより効果的に防止することが可能となる。なお、軸部を有する第2形態のボルトを用いる場合、衝撃吸収部材48の両端から第2形態のボルトの軸部の両端が突出する態様で、衝撃吸収部材48により第2形態のボルトを保持させてもよい。この場合、衝撃吸収部材48から突出した軸部の一端が、支持部材42の底部42a側から挿通孔44に挿通され、衝撃吸収部材48から突出した軸部の他端が、台車70の挿入孔80aに挿通された状態で、台車用カバー10と台車70との間に衝撃吸収部材48が介在することになる。
又、本発明の実施の形態に係る台車用カバーの取付構造40は、図12に示すように、複数の支持部材42が固定された台車用カバー10の取付部分のうち、少なくとも一部の取付部分が、取付フレーム60を介して台車70に取り付けられるものである。この際、衝撃吸収部材48は、台車用カバー10と取付フレーム60との間に配置される。取付フレーム60は、台車用カバー10が固定されるフレーム部60aと、台車70の任意の位置に固定される脚部60bとで構成される。これにより、凹凸が形成された台車70の下部70a(図1参照)に対して、意図した位置に容易に台車用カバー10を取り付けることができる。なお、取付フレーム60の形状は、図12の例に限定されるものではなく、他の形状であってもよい。又、それに対応して、複数の支持部材42が固定された台車用カバー10の取付部分のうち、取付フレーム60を介して台車70に取り付けられる取付部分も任意である。
10:台車用カバー、12:母材、16:貫通孔、20:被膜、40:取付構造、42:支持部材、42a:底部、42b:開放端、44:挿通孔、46:フランジ部、48(48A、48B):衝撃吸収部材、50:第1形態のボルト、52:頭部、54:軸部、60:取付フレーム、70:台車

Claims (4)

  1. 板状の母材に樹脂の被膜を設けて成る、鉄道車両の台車用カバーであって、
    台車に対する取り付け用のボルトとして、頭部及び軸部を有する第1形態のボルト又は軸部を有する第2形態のボルトの、何れか一方が挿入される複数の支持部材を含み、
    前記支持部材は、前記第1形態のボルトの頭部、或いは、前記第2形態のボルトに対応するナットを、内部に配置可能な内径を有する有底筒状をなし、その底部には前記第1形態のボルトの頭部径及び前記ナットの外径より小さく、前記第1形態のボルトの軸部径及び前記第2形態のボルトの軸部径より大きい内径の挿通孔が、開放端には外周方向に広がるフランジ部が、形成されており、
    前記母材には、前記支持部材を挿入ないし圧入可能な内径の貫通孔が形成され、前記フランジ部が前記貫通孔の軸方向一方側の周縁に当接した状態で、少なくとも前記フランジ部を覆うように前記母材に前記被膜が設けられていることを特徴とする台車用カバー。
  2. 前記母材が不織布で形成され、前記被膜がポリウレア樹脂で形成されることを特徴とする請求項1記載の台車用カバー。
  3. 請求項1又は2記載の台車用カバーの前記支持部材の底部と前記台車との間に、前記第1形態のボルトの軸部或いは前記第2形態のボルトの軸部が挿通される筒状の衝撃吸収部材が配置されることを特徴とする台車用カバーの取付構造。
  4. 前記複数の支持部材が固定された前記台車用カバーの取付部分のうち、少なくとも一部の取付部分は、取付フレームを介して台車に取り付けられることを特徴とする請求項3記載の台車用カバーの取付構造。
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