JP2008128772A - 薄膜ガスセンサ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ダイアフラム構造のSi基板1と、Si基板1上に多層構造の支持層2,3,4,を介して形成されたヒータ層5と、ヒータ層5の上にSiO2絶縁膜6を介して形成された一対の感知膜電極7と、これら一対の感知膜電極7にかかるように成膜されたSnO2感知膜8と、を有する薄膜ガスセンサにおいて、感知膜電極7を、研磨加工により平坦化処理したSiO2絶縁膜6の表面に形成する。
【選択図】図1
Description
これらの背景から、薄膜ガスセンサの普及率を向上させるべく、設置性の改善、具体的には、電池駆動を可能にしてコードレス化することが望まれている。
更に、薄膜ガスセンサの経時安定性を向上させるには、通電のオフ時間にセンサ表面に付着する水分その他の吸着物を脱離させてガス感知膜のSnO2表面をクリーニングすることが重要であり、検出前に100msec程度の時間をかけてセンサ温度を450℃まで加熱し、その直後に、検知対象ガスに応じた温度でガス検知を行っている。
図3において、両面に熱酸化膜2を0.3μmの厚さで形成したSi基板1の表面に、ダイアフラム構造の支持層となるSiN膜3とSiO2膜4とを順次、プラズマCVD法にてそれぞれ0.15μm、1μmの厚さで形成する。この上に、接合層として密着性の良いTa(Ti,Cr等でも良い)を0.05μmの厚さで形成し、その後、連続して、貴金属材料であるPtW(Pt+4wt%W)膜を0.5μmの厚さで形成し、更に連続して、接合層としてTaを0.05μmの厚さで形成した後、微細加工を行ってヒータ層5を形成する。
最後に、基板の裏面からドライエッチによりSi基板1の中央部を400μm径の大きさで完全に除去することにより、ダイアフラム構造を形成する。
図5から判るように、ヒータ層5及び感知膜電極7の厚さに起因した凹凸(凹凸による最大高低差0.7〜1.5μm)がSnO2感知膜8にも生じている。この最大高低差が発生する部分は、図4に長楕円形によって囲んだa部のように、ヒータ層5と感知膜電極7とが重なる部分である。この重なりを避けるためには、例えば感知膜電極7をヒータ層5の外側に配置することが考えられるが、SnO2感知膜8の温度にバラツキが生ずるため好ましくはない。
具体的には、SnO2感知膜は数十nmφの柱状晶の集合体からなっており、このようなSnO2感知膜を有する薄膜ガスセンサは、Si加工プロセスによって製造されるため、極めて量産性に優れ、特性(抵抗値)が均一かつ良好なガス感度を有し、応答速度も速い等の特徴を備えている。
図6は、従来技術により試作した同一ウェハ内のチップ(チップBとする)を20℃、60%RH、2000ppmのCH4ガス/空気に晒した場合の、SnO2感知膜の抵抗値(RCH4(2000ppm))とその頻度との関係を示している。なお、図6には、後述する本発明の実施形態により平坦化処理したチップ(チップAとする)の同一条件におけるSnO2感知膜の抵抗値と頻度との関係も併せて示してある。チップA,Bの個数は、何れも380個である。
しかるに、ガス警報器の製造上は、SnO2感知膜の抵抗値にバラツキが小さいことが望ましく、抵抗値の最大値/最小値は4未満であることが望まれる。
そこで、従来技術における抵抗値のバラツキの原因を調べたところ、SnO2感知膜8を成膜する部分の下地に、前述の図5に示したような凸凹が存在することが判明した。
また、感知膜電極を形成した後の、感知膜電極の表面と電気絶縁膜の表面との間の高低差が、0.5μm未満であることが望ましい。
まず、この実施形態において、図3におけるヒータ層5を形成するまでの製造工程は従来技術と同様である。
すなわち、前述したように、図3において、両面に熱酸化膜2を0.3μm形成したSi基板1の表面に、ダイアフラム構造の支持層となるSiN膜3とSiO2膜4とを順次、プラズマCVD法にてそれぞれ0.15μm、1μmの厚さで形成する。この上に、接合層として密着性の良いTaを0.05μmの厚さで形成し、その後、連続して、PtW(Pt+4wt%W)膜を0.5μmの厚さで形成し、更に連続してTaを0.05μmの厚さで形成した後、微細加工を行ってヒータ層5を形成する。ウエットエッチングのエッチャントとして、Taには水酸化ナトリウムと過酸化水素混合液を、Ptには王水をそれぞれ90℃に加熱して用いた。
なお、図1(A)において、6aは下地のヒータ層5に起因して形成されるSiO2の凸部、6bは凸部6a以外の表面部(凹部ともいう)を示している。
この場合、研磨は、下地にヒータ層5が存在する凸部6aから進行していくが、バフがあたる凹部6bについても速度は遅いが進行する。
SiO2絶縁膜6を1.5μm程度研磨し、平坦化処理すると、当初の図1(A)で凸部6aの最高高さと凹部6bの最低高さとの差(凹凸部の高低差)が0.6μm以上あったものが、0.1μm以下になる(図1(B))。なお、平坦化処理後の凹凸部の高低差としては、0.25μm未満であることが望ましい。
この図1(C)における感知膜電極7の表面とSiO2絶縁膜6の表面との間の高低差Δd1は、0.5μm未満であることが望ましい。
まず、SiO2絶縁膜6及び感知膜電極7の表面にレジストを塗布し、微細加工により、一対の感知膜電極7の表面、及び、一対の感知膜電極7間のSnO2感知膜を形成する部分のレジストを除去/開口したパターンに、レジストを加工する。その後、SnO2感知膜8をスパッタリングにより成膜する。SnO2感知膜8の成膜条件は、スパッタリング装置出力100W、圧力1Pa、Ar+O2の雰囲気中で成膜温度100℃である。SnO2感知膜8の成膜後に、レジストのリフトオフを行う。図1(D)は、このリフトオフ後の状態を示しており、6aはSnO2感知膜8の凸部、6bは凹部である。
本実施形態によれば、図2における凹凸部の高低差Δd2が0.2μm未満と小さいため、従来技術による図7と異なってSnO2柱状晶の並びに乱れが生じていない。
最後に、基板の裏面からドライエッチによりSi基板1の中央部を400μm径の大きさにて完全に除去し、ダイアフラム構造を形成する。
一方、SiO2絶縁膜6の研磨及び平坦化処理を施した本実施形態に係るチップAでは、凹凸部の高低差が0.5μm未満と小さいため、SnO2柱状晶間の粗の部分が少なくマイクロクラックがほとんど存在しないため、抵抗値のバラツキが少ないものと推定される。
しかし、この平坦化処理は、SiO2絶縁膜の表面にSi基板を貼り付けるための前処理であり、SiO2絶縁膜の表面には厳密な平坦性が要求されることになる。一方、本実施形態におけるSiO2絶縁膜6の平坦化処理は、SnO2感知膜8の柱状晶の成長に乱れが生じない程度の平坦性を得ることができれば良いため、特許文献2ほどの研磨精度は要求されないものである。
2:熱酸化膜
3:SiN膜
4:SiO2膜
5:ヒータ層
6:SiO2絶縁膜
6a:凸部
6b:凹部
7:感知膜電極
8:SnO2感知膜
Claims (6)
- ダイアフラム構造の基板と、この基板上に支持層を介して形成されたヒータ層と、このヒータ層の上に電気絶縁膜を介して形成された一対の感知膜電極と、これら一対の感知膜電極にかかるように成膜された金属酸化物からなるガス感知膜と、を有する薄膜ガスセンサにおいて、
前記感知膜電極を、研磨加工により平坦化処理した前記電気絶縁膜の表面に形成したことを特徴とする薄膜ガスセンサ。 - 請求項1に記載した薄膜ガスセンサにおいて、
前記感知膜電極を形成する前の、前記電気絶縁膜の表面における凹凸部の高低差が、0.25μm未満であることを特徴とする薄膜ガスセンサ。 - 請求項1または2に記載した薄膜ガスセンサにおいて、
前記感知膜電極を形成した後の、前記感知膜電極の表面と前記電気絶縁膜の表面との間の高低差が、0.5μm未満であることを特徴とする薄膜ガスセンサ。 - 基板上に熱酸化膜及び支持層を介してヒータ層を形成し、このヒータ層の上に電気絶縁膜を介して一対の感知膜電極を形成し、更に、これら一対の感知膜電極にかかるように金属酸化物からなるガス感知膜を成膜し、前記基板の中央部を除去してダイアフラム構造に形成される薄膜ガスセンサの製造方法において、
前記電気絶縁膜を成膜後にその表面を研磨して平坦化する処理を行い、平坦化した前記電気絶縁膜の表面に前記感知膜電極を形成することを特徴とする薄膜ガスセンサの製造方法。 - 請求項4に記載した薄膜ガスセンサの製造方法において、
前記感知膜電極を形成する前の、前記電気絶縁膜の表面における凹凸部の高低差が、0.25μm未満であることを特徴とする薄膜ガスセンサの製造方法。 - 請求項4または5に記載した薄膜ガスセンサの製造方法において、
前記感知膜電極を形成した後の、前記感知膜電極の表面と前記電気絶縁膜の表面との間の高低差が、0.5μm未満であることを特徴とする薄膜ガスセンサの製造方法。
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