JP2008125893A - 電磁石装置及び磁気共鳴撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1環状電流(J1)が順方向に循環する第1コイル(31)と、第2環状電流(J2)が逆方向に循環する第2コイル(32)と、複数の環状電流(J3-J6)が順方向及び逆方向が交互に循環するコイル群(30)と、を含み、第1コイル(31)、第2コイル(32)及びコイル群(30)は、この順番で仰角θが大きくなるように配置され(θ1<θ2<θ3)、仰角θ2と、仰角θ3と、を挟む角度領域には、第2コイル(32)及びコイル群(30)が含まれない空白領域(S)が存在することを特徴とする。
【選択図】図2
Description
一般に、後者の垂直磁場型のMRI装置は、前者に対比して、被検体を挿入する空間を広く確保でき、オペレーションの自由度が向上する点において優れている。
一方で、垂直磁場型のMRI装置は、環状に電流を循環させるコイル、均一磁場を高強度化・均一化させる強磁性体等を容器に収容し、高重量となった二つの容器を垂直方向に高い寸法精度で対向させるために機械的剛性が求められる。
また、医療用のMRI装置においては、より高度の医療診断を実践するために、撮像領域において形成される均一磁場が、広範囲に亘って高強度であることが要求されている(例えば、特許文献1)。
すなわち、均一磁場の領域を広範囲に亘って形成するためには、環状に循環させる環状電流の口径を大型化することが避けられない。このため、環状電流の口径を大型化すれば今度は、均一磁場の強度を維持するために電流値を高める必要が生じ、コイルの巻線数が増え高重量化する。もしくは、均一磁場の強度や均一性を確保するため、強磁性体の配置を増やすとしても高重量化する。
そして、これら大型化・重量化したコイル、強磁性体等の主要構成品を垂直方向に寸法精度を維持させて支持する機構も大掛かりになり、さらに外部に漏洩する磁場を遮蔽する機構を考慮するとなるとMRI装置はますます大型化・高重量化することになる。
又は、前記した構成において、前記コイル群に替えて、前記第1環状電流に誘導される静磁場により磁化する第1磁化部材に置換した構成としてもよい(請求項2)。
又は、前記した構成において、第2コイルに替えて、前記第1環状電流に誘導される静磁場により磁化する第2磁化部材に置換した構成としてもよい(請求項3)。
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態に係る磁気共鳴撮像装置(MRI装置)を説明する。
図1に全体斜視図が示されているようにMRI装置10は、電磁石装置11に撮像領域Uを挟むようにして一対の傾斜磁場発生部13,13及び磁場調整部14,14とが配置され、この撮像領域Uに被検体(図示せず)を挿入するためのベッド台Dが設けられている。さらに、MRI装置10は、図示されない構成要素として、被検体にNMR現象を発現させる共鳴周波数(数MHz以上)の電磁波を撮像領域Uに向けて照射するRF発振部(RF;Radio Frequency)と、NMR現象が発現し水素原子核のスピンの状態が変化する際に放出される応答信号を受信する受信コイルと、これら構成要素を制御する制御装置、受信した信号を処理して解析を行う解析装置とを備えている。
静磁場発生部15,15は、中心軸Zの周りを循環する環状電流により誘導される静磁場により撮像領域Uに均一磁場領域を形成する。この均一磁場領域における磁場の均一性は、磁場の変動(ゆらぎ)が百万分の1の程度(数ppm)の精度が要求される。この均一磁場領域は、時間的に変動しない定常な静磁場で、通常0.1から数テスラ以上の強度を有するものであり、通常、直径で30〜40cmの球状もしくは楕円状のを示す。
この容器20は、ステンレス材質などの非磁性体でかつ弾性率の高い材質で構成されており、支持部材12の一端に接続して、垂直方向に配置される静磁場発生部15,15を支持する基盤となる。また容器20の内部は、図示しない固定手段により前記した複数のコイル(符号29−36)が剛に固定され、コイルに電磁力が作用してもその位置が変位しないように構成されている。
この場合、容器20は、内部の密閉空間が真空状態に保持される真空容器であって、熱が伝導および対流によりコイル及びその冷媒に伝達するのを防止する。
ここで、超電導コイルとは、冷媒(例えば、液体ヘリウム)によって、臨界温度よりも低温に冷却されると常電導状態から超電導状態に転移して電気抵抗がゼロとなるものであって、環状の電流が減衰することなく永久に循環するものである。
このように窪み面25が形成されたことは、後記するようにドーム状に配列する複数のコイル(符号30−32)に対し、何ら構成上の干渉を及ぼすものでない。さらに、窪み面25により形成される空間に傾斜磁場発生部13及び磁場調整部14を配置させることが可能になることにより、被検体が挿入される空間(静磁場発生部15,15に挟まれる空間)を広く確保できる。つまり、撮像領域Uの大きさに対比して電磁石装置11を小型化することに寄与することになる。
なお、図中、環状電流の順方向を示す矢印を左回りに、逆方向を示す矢印を右回りに、示しているがその方向に限定されるものではない。
第3コイル33は、コイル群30のうち最外郭に位置するものであって、半径R3(<R2)の円環形状を有し、撮像領域Uの中心から中心軸Zの方向に高さH3(>H2)の位置に配置されている。そして、この第3コイル33には、中心軸Zの周りを順方向に第3環状電流J3が循環している。この順方向に循環する第3環状電流J3は、撮像領域Uに、均一磁場と同一方向の磁場を形成するとともにこの均一磁場の形成に関与する。
このように均一磁場の形成に関与するコイル(符号31−36)が配置されることにより、撮像領域Uの中心からその配置を見込むと、撮像領域Uに均一磁場領域を形成するのに関与する全ての部材が、ドーム状の面上に配列していることになる。
R6 < R5 < R4 < R3 < R2 < R1 …(2)
H6 ≧ H5 ≧ H4 ≧ H3 > H2 > H1 …(3)
図中、撮像領域Uの中心から放射状に示される濃淡(点を打った領域と打たない領域)は、複数のコイル(符号29−36)により形成された静磁場の磁束の分布に対応している。すなわち、環状電流が順方向に循環するコイル(例えば第1コイル31)と撮像領域Uの中心(以下、原点という)とを結ぶ面と、これに隣接し環状電流が逆方向に循環するコイル(例えば第2コイル32)と原点とを結ぶ面と、に囲まれる領域は、コイルの配列面Pから撮像領域Uの中心に向かうに従い磁束の分布が密になる領域となっている。
このような、原点の周回方向における磁束密度のゆらぎは、第2コイル32を見込む仰角θ2と、コイル群30を見込む仰角θ3と、を挟む角度領域に、第2コイル32及びコイル群30が含まれない空白領域Sが存在することがきっかけとなって発生する。
但し、逆方向の電流が循環するコイルは省略できる場合もある。この場合、次数は磁場の揺らぎの強くなった領域(図中で点を打っている領域)の数と考える。さらにこの考えで中心軸が磁場の強い領域となった場合(次数が奇数の場合に相当)には上下合わせて1と数える。
図3で示される第1実施形態においては、次数n=6のものが例示されている。
一般に高い次数nにより実現される均一磁場領域は、環状電流の方向が相違するコイルが近接して配置されることになるので、同じ電流でも低い次数のものに比べて弱い磁場強度になる。一方、低い次数nにより実現される場合は、原点の周回方向における磁束密度のゆらぎのピッチが大きくなるので、同じ電流でも高い次数のものに比べて均一磁場領域が小さくなる。
次に、図4を参照して本発明の第2実施形態に係る電磁石装置を説明する。
第2実施形態に係る電磁石装置11は、第1環状電流J1に誘導される静磁場により磁化する第1磁化部材41が、第1実施形態におけるコイル群30に替えて置換された構成となっている。
図3(b)は、仮想的に、コイルの配列面Pに環状電流Jが循環する場合を模式的に示す図であって、上向きの矢印は順方向に循環する環状電流Jを示し、下向きの矢印は逆方向に循環する環状電流Jを示している。また矢印の長さは電流値に対応している。
図3(c)は、図3(b)に示すように循環する仮想環状電流Jは、図示するように配置され中心軸方向に磁化している磁化部材40と等価であって置換可能であることを示している。
図3(d)は、図3(a)に示される複数のコイル(符号31−36)を配列面Pを循環する仮想的な環状電流Jに置き換えて示すとともに、複数のコイル(符号31−36)のうち一部を磁化部材41,42に置き換えて示した図である。
この図3(d)の平面座標の第1象限(上側)に示される構成について、第2実施形態として、図4に戻って、説明を続ける。
なお、図4に示される構成のうち、すでに説明を行ったものについては、図2と同じ符号を付して、それに該当する説明を援用することとして、作用・効果に関連した記載を省略することとする。
第1磁化部材41は、第1環状体43と第2環状体44とが、円板形状の連結板49により連結されている。そして、第1磁化部材41は、図示しない固定部材より容器20の内部に固定されている。
この連結板49は、存在することで、第1コイル31から誘導される磁束が増加して、撮像領域Uにおける磁場強度を向上させる効果が得られる。一方、連結板49を用いずに、第1環状体43及び第2環状体44はそれぞれ別個に容器20の内部に固定されていてもよい。
さらに、第2コイル32及び第1磁化部材41の位置関係は、第2コイル32を見込む仰角θ2と、第1磁化部材41を見込む仰角θ3と、を挟む角度領域に、第2コイル32及び第1磁化部材41が含まれない空白領域Sが存在するようにする。
このように第1コイル31、第2コイル32及び第1磁化部材41が配置されることにより、撮像領域Uの中心からその配置を見込むと、撮像領域Uに均一磁場領域を形成するのに関与する全ての部材が、ドーム状の面上に配列していることになる。
次に、図5を参照して本発明の第3実施形態に係る電磁石装置を説明する。
第3実施形態に係る電磁石装置11は、第1環状電流J1に誘導される静磁場により磁化する第2磁化部材42が、第2実施形態における第2コイル32に替えて置換された構成となっている。
なお、図5に示される構成のうち、すでに説明を行ったものについては、図2又は図4と同じ符号を付して、それに該当する説明を援用することとして、作用・効果に関連した記載を省略することとする。
第2磁化部材42は、第1コイル31よりも小径でかつ第1磁化部材41よりも大径でかつ第1環状電流J1に誘導される静磁場と同じ方向に磁化する。
このように第1コイル31、第1磁化部材41及び第2磁化部材42が配置されることにより、撮像領域Uの中心からその配置を見込むと、撮像領域Uに均一磁場領域を形成するのに関与する全ての部材が、ドーム状の面上に配列していることになる。
次に、図6を参照して本発明の第4実施形態に係る電磁石装置を説明する。
第4実施形態に係る電磁石装置は、次数nを可変して例示したものである。図6(a)にはn=5のものが示され、図6(b)にはn=7のものが示されている。そして、図6(a)(b)のそれぞれの平面座標第1象限(上側)には、第1実施形態に対応させた複数のコイル(符号30〜32)のみで実現したものを示し、平面座標第4象限(下側)には、第3実施形態に対応させた第1コイル31、磁化部材41,42で実現したものを示している。
実際に実用に供する磁石は、当然上下で同じ構造をとることは言うまでもないが、ここでは例示のために2種類の構成を一つの図に示している。
なお、図6に示される構成のうち、すでに説明を行ったものについては、図2,4,5と同じ符号を付して、それに該当する説明を援用することとして、作用・効果に関連した記載を省略することとする。
かかる作用・効果が得られるのは、以上の説明で例示された次数nが5,6,7の場合に限定されるものではなく、当然に、それより大きい又は小さい範囲の次数nにおいても次数の違いによる均一磁場領域の大きさが異なるが、同様に均一磁場の構成が構成される。
次数n=5で構成されている場合は、撮像領域Uの中心から見込む仰角θが40°を基準にして−12.5%から+37.5%の範囲(下限35°から上限55°)で設定されることが好ましい。
次数n=6で構成されている場合は、撮像領域Uの中心から見込む仰角θが35°を基準にして−12.5%から+37.5%の範囲(下限30.625°から上限48.125°)で設定されることが好ましい。
次数n=7で構成されている場合は、撮像領域Uの中心から見込む仰角θが30°を基準にして−12.5%から+37.5%の範囲(下限26.25°から上限41.25°)で設定されることが好ましい。
従って、電磁石装置11は、その被検体が挿入される空間の広さと、全体の大きさ(要請される小型化・軽量化の程度)との兼ね合いにおいて、前記したような好ましく設定される空白領域Sの範囲に特に拘泥されることなく、配列面Pの形状が適宜決定されるべきである。
これより、磁場調整部14は、その最外側が空白領域Sに含まれるように配置されこの空白領域Sから内側(θ3を含む領域で半径小の領域)にわたるように配置されることが、電磁石装置11の軽量化、被検体が挿入される有効空間の拡張の観点から好ましいといえる。
本実施形態における円錐面23が水平面となす角度は、原点から領域Sを見込む仰角と同程度であることが望ましく、具体的には、26°から40°程度の範囲で設定されることが望ましい。
11 電磁石装置
13 傾斜磁場発生部
14 磁場調整部
15 静磁場発生部
20 真空容器(容器)
22 側筒面
23 円錐面
24 内端面
25 窪み面
30 コイル群
31 第1コイル
32 第2コイル
41 第1磁化部材
42 第2磁化部材
43 第1環状体
44 第2環状体
J1 第1環状電流(環状電流)
J2 第2環状電流(環状電流)
J3 第3環状電流(環状電流)
J4 第4環状電流(環状電流)
J5 第5環状電流(環状電流)
J6 第6環状電流(環状電流)
P 配列面
S 空白領域(領域)
U 撮像領域(均一磁場領域)
Z 中心軸
n 次数
θ(θ1,θ2,θ3) 仰角
Claims (7)
- 中心軸の周りを循環する環状電流により誘導される静磁場を発生する一対の静磁場発生部を備え、
この一対の静磁場発生部が対向する空間に均一磁場領域を形成する電磁石装置において、
前記静磁場発生部は、
第1環状電流が前記中心軸の周りを順方向に循環する第1コイルと、
前記第1環状電流よりも小径の第2環状電流が前記中心軸の周りを逆方向に循環する第2コイルと、
前記第2環状電流よりも小径の複数の環状電流が前記中心軸の周りを順方向及び逆方向が交互に配列するよう循環するコイル群と、を少なくとも含み、
前記第1コイル、前記第2コイル及び前記コイル群は、この順番で前記均一磁場領域の中心から見込む仰角が大きくなるように配置され、
前記第2コイルを見込む仰角と、前記コイル群を見込む仰角と、が挟む角度領域には、前記第2コイル及び前記コイル群が含まれない領域が存在することを特徴とする電磁石装置。 - 中心軸の周りを循環する環状電流により誘導される静磁場を発生する一対の静磁場発生部を備え、
この一対の静磁場発生部が対向する空間に均一磁場領域を形成する電磁石装置において、
前記静磁場発生部は、
第1環状電流が前記中心軸の周りを順方向に循環する第1コイルと、
前記第1環状電流よりも小径の第2環状電流が前記中心軸の周りを逆方向に循環する第2コイルと、
前記第2コイルよりも小径でかつ前記第1環状電流に誘導される静磁場により磁化する第1磁化部材と、を少なくとも含み、
前記第1コイル、前記第2コイル及び前記第1磁化部材は、この順番で前記均一磁場領域の中心から見込む仰角が大きくなるように配置され、
前記第2コイルを見込む仰角と、前記第1磁化部材を見込む仰角と、が挟む角度領域には、前記第2コイル及び前記第1磁化部材が含まれない領域が存在することを特徴とする電磁石装置。 - 中心軸の周りを循環する環状電流により誘導される静磁場を発生する一対の静磁場発生部を備え、
この一対の静磁場発生部が対向する空間に均一磁場領域を形成する電磁石装置において、
前記静磁場発生部は、
第1環状電流が前記中心軸の周りを順方向に循環する第1コイルと、
前記第1コイルよりも小径でかつ前記第1環状電流に誘導される静磁場により磁化する第1磁化部材と、
前記第1コイルよりも小径でかつ前記第1磁化部材よりも大径でかつ前記第1環状電流に誘導される静磁場により磁化する第2磁化部材と、を少なくとも含み、
前記第1コイル、前記第2磁化部材及び前記第1磁化部材は、この順番で前記均一磁場領域の中心から見込む仰角が大きくなるように配置され、
前記第1磁化部材を見込む仰角と、前記第2磁化部材を見込む仰角と、が挟む角度領域には、前記第1磁化部材及び前記第2磁化部材が含まれない領域が存在することを特徴とする電磁石装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電磁石装置において、
前記静磁場発生部に含まれる構成品を収容する容器が設けられ、
前記容器の、前記均一磁場領域に対向する内端面には、前記中心軸に略直交する窪み面が設けられていることを特徴とする電磁石装置。 - 請求項4に記載の電磁石装置において、
前記容器には、外部に漏洩する静磁場を遮蔽するために、前記第1コイルよりも大径でかつ環状電流が逆方向に循環する遮蔽コイルがさらに収容され、
前記容器は、前記内端面から前記遮蔽コイルに隣接する側筒面にわたる部分において円錐面が形成されていることを特徴とする電磁石装置。 - 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電磁石装置において、
前記中心軸と直交する面内に磁性材料を任意に分布させ前記均一磁場領域における磁場分布を調整する磁場調整部の最外側が、前記領域に含まれるように配置されていることを特徴とする電磁石装置。 - 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電磁石装置を適用し、
前記均一磁場領域に傾斜磁場を発生する傾斜磁場発生部を備え、
前記均一磁場領域を撮像領域として磁気共鳴現象を利用した被検体の画像を撮像することを特徴とする磁気共鳴撮像装置。
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