JP2004329526A - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】MRI装置の静磁場発生装置として、軸方向の長さが短くても、静磁場強度が高く、かつ広い範囲で高い静磁場均一度を得ることが可能な構成を提供する。
【解決手段】静磁場発生装置を、静磁場の方向を中心軸として構成される略円筒形状の静磁場発生源1と静磁場の方向に対して中心軸が有意な角度を持って配置される静磁場発生源2とから構成し、静磁場発生源1によって発生される静磁場と静磁場発生源2によって発生される静磁場とを重ね合わせることにより、高い静磁場強度と広い範囲で高い静磁場均一度を達成する。
【選択図】 図1
【解決手段】静磁場発生装置を、静磁場の方向を中心軸として構成される略円筒形状の静磁場発生源1と静磁場の方向に対して中心軸が有意な角度を持って配置される静磁場発生源2とから構成し、静磁場発生源1によって発生される静磁場と静磁場発生源2によって発生される静磁場とを重ね合わせることにより、高い静磁場強度と広い範囲で高い静磁場均一度を達成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、核磁気共鳴現象を利用して被検体である人体の所望部位の断層画像を撮影する磁気共鳴(以下「MRI」という)イメージング装置に関し、特に、静磁場発生装置を高い静磁場強度を発生させながら開放性に富んだ構成にする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
MRI装置には、静磁場発生源として、常電導磁石、永久磁石、超電導磁石を用いたものがあるが、高い静磁場強度を発生させるには、主として、円筒型の超電導磁石を用いて水平方向の静磁場を発生する静磁場発生装置が利用されている。
【0003】
しかし、上記の水平磁場方式の円筒型では、被検体である患者が撮影時に円筒内部の狭い計測空間に閉じこめられ、患者の全周囲が静磁場発生源に囲まれてしまう。この結果、患者が閉塞感を感じ、時には、患者が円筒内部に入ることを拒否する場合もある。また、静磁場発生装置の外部から、術者が患者へのアクセスすることも困難である。
【0004】
そのため、患者の閉塞感を軽減し患者へのアクセスを容易にするために、静磁場発生装置には開放性が求められている。開放性のある静磁場発生の方式として、水平磁場方式で軸長の短い円筒型と、垂直磁場方式の対向型と、水平磁場方式のダブルドーナツ型がある。
【0005】
水平磁場方式で軸長の短い円筒型の公知例として[特許文献1]の例がある。特許文献1では、コイルによって形成された環状の電磁石と、このコイル内に軸を共通にして配置された磁性材料の環状シムと、コイルの磁場と同じ方向の磁場を有し前記シム内に軸を共通にして配置された第1の永久磁石手段と、および前記第1の永久磁石手段内に軸を共通にして配置され前記第1の永久磁石手段によって形成される磁場とは反対方向の磁場を有する環状磁性材料とから構成され、前記環状磁性材料内の映像容積内に形成される磁場が実質的に均一となるようにされている。
【0006】
【特許文献1】
特開平06−304150号公報
【0007】
垂直磁場方式の対向型の例として、日立メディコ社製のAIRIS(永久磁石)やALTAIRE(超電導磁石)が製品として臨床の場に供給されている。また、特許文献として[特許文献2]と[特許文献3]がある。
【0008】
[特許文献2]では、一対の磁石と、各磁石をそれぞれ固定する一対の第1の継鉄と、一対の磁石が計測空間を間にして互いに対向配置されるように第1の継鉄を支持する第2の継鉄とを有しており、第1の継鉄は、磁石が固定された略円盤状の本体部と、この本体部の中心より後方に延設された結合部とを有し、この結合部に2本の第2の継鉄が設けられているものである。
【0009】
また、[特許文献3]は、それぞれ超電導コイル組立体を装着して上下に対向配置された強磁性体フレームを、磁束の帰還路を提供する機能を兼ねた4本の支柱で支えて、これらプレート間に静磁場を発生させるものである。
【0010】
【特許文献2】
特開平08−050170号公報
【特許文献3】
特開平07−327961号公報
【0011】
水平磁場方式のダブルドーナツ型の公知例として、[特許文献4]と[特許文献5]がある。[特許文献4]と[特許文献5]は、一対のドーナツ形環状の超電導磁石集成体が同心となるように空隙をおいて配置され、各々の集成体には超電導コイルを内部に備えた極低温剤圧力容器があって、非磁性の円筒形の分割材で集成体間に空隙を形成し、その空隙に静磁場空間形成するものである。
【0012】
【特許文献4】
特開2000−040615号公報
【特許文献5】
特開平09−187439号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
水平磁場方式で軸長の短い円筒型では、軸長を短くすればするほど、静磁場均一度を悪化させるため、高い静磁場均一度を維持しながら更に軸長を短くすることが困難である。したがって、現実的な静磁場均一度を達成するためには、ある程度の軸長が必要となり、結果として撮影時においては患者の体の一部しか円筒外部に出ないため、患者の閉塞感低減と、術者のアクセス性向上は困難となる。
【0014】
また、垂直磁場方式の対向型であっても、MRI装置に挿入された患者からみると、依然として上部に静磁場発生源が存在するため、完全な開放感は得られない。また、静磁場発生の効率が悪いために、1.2T(テスラ)以上の高い静磁場を発生することが困難である。
また、水平磁場方式のダブルドーナツ型では、開放性はあるものの静磁場均一度の得られる領域が20cm程度以下に制限され、装置性能上、好ましくないという課題がある。
【0015】
そこで本発明は、静磁場発生源の構成を工夫して、静磁場強度を低減することなく、より高い開放性の得られるらすることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は以下の様に構成される。
【0017】
(1)均一な静磁場を発生させる静磁場発生装置を有する磁気共鳴イメージング装置において、前記静磁場発生装置が、前記静磁場の方向を中心軸として構成される略円筒形状の外周形状と略軸中央部に空孔とを有する第1の静磁場発生源と、前記静磁場の方向に対して略平行な静磁場を発生する第2の静磁場発生源とを備え、前記第2の静磁場発生源の前記静磁場側の面が、前記静磁場の方向に対して略平行な平面を有するか、または、前記静磁場の方向に対して略平行であって左右方向の両側に凸となる湾曲面を有する。
【0018】
(2)好ましくは、前記(1)に於いて、前記第2の静磁場発生源は、前記第1の静磁場発生装置を間に挟んで配置された一対の静磁場発生要素からなる。
【0019】
(3)また、好ましくは、前記(1)または(2)に於いて、前記第2の静磁場発生源を構成する静磁場発生素子は円管形状であり、かつ、その中心軸が前記静磁場の方向に対して成す角度が90度以下とする。
【0020】
(4)また、好ましくは、前記(2)に於いて、前記一対の静磁場発生要素は、互いに異なる形状であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【0021】
(5)また、好ましくは、前記(2)に於いて、前記一対の静磁場発生要素は、前記第1の静磁場発生源に対して非対称に配置する。
【0022】
(6)また、好ましくは、前記(1)または(4)または(5)に於いて、前記静磁場の方向を水平方向とする。
【0023】
(7)また、好ましくは、前記(1)または(6)に於いて、前記第1の静磁場発生源の前記中心軸方向の長さが1.4mよりも短くする。
【0024】
これにより、軸方向の長さが短くても、静磁場強度が高く、かつ高い静磁場均一度度を得ることが可能となり、開放性の高い磁石構造を得ることが可能とすることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。なお、発明の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0026】
図1(A)に実施例1の断面図、図1(B)に斜視図を示す。なお、以下の実施例の説明では、超電導コイルを用いた超電導磁石の場合を説明するが、超電導コイルに限らず、常電導コイルを用いた常電導磁石でも可能である。
【0027】
本発明の静磁場発生装置は、円筒形状の静磁場発生源1(つまり、第1の静磁場発生源)と、静磁場発生源1を挟んで配置した静磁場発生源2(a,b)(つまり、第2の静磁場発生源)から構成される。均一な静磁場空間が、静磁場発生源1のほぼ中心軸上に形成され、その方向は軸方向と一致する。本実施例1では、静磁場発生源1及び、静磁場発生源2(a,b)共に静磁場を発生するためのコイルは一対としている。静磁場発生源2のコイルは、中心軸がほぼ鉛直方向であり、静磁場発生源1に対しては、対称に配置している。また、このコイルとしては、円形以外にも長円形などの形状も採用できる。
【0028】
本発明の動作説明の前に、従来技術による円筒型磁石について説明する。図10に、従来技術による軸長の長い磁石における静磁場分布を模式的に示す。本磁石構成では、軸方向に沿って起磁力の異なる複数の円形コイルを同軸上に配列している。各コイルの起磁力と位置を最適化することにより、中央部に均一な静磁場を発生している。磁束の流れを図中に模式的に示しているが、中央の均一磁場部分から離れるにつれ、磁束の向きや強度が乱れてくる。通常の全身撮影用装置では、均一な静磁場領域として直径40〜50cmの球形領域を必要とする。しかし、開放性を得るために軸方向を短くすると、急激に磁場均一空間が狭くなるため、従来技術では磁石の軸長として1.4m程度が最短である。
【0029】
本発明による静磁場発生装置の磁場分布を説明するために、図3と図4に、それぞれ静磁場発生源1と静磁場発生源2による磁束の流れを模式的に示す。
静磁場発生源1によって、静磁場発生源1の中心部において均一で強い磁場が発生するが、静磁場発生源1の軸長が短いために、軸方向に離れるにつれて急激に静磁場強度が弱まる。このため、均一静磁場の発生領域は軸方向に短い扁平な楕円球形状となる。
【0030】
一方、静磁場発生源2においては、磁束は静磁場発生源2bから2aに向かって流れるようにコイルの電流を設定する。この結果、前記の均一静磁場空間付近においてほぼ水平方向で、かつ、中心から離れるにつれて強まる磁束の流れが形成される。この静磁場分布を前記の図3の静磁場発生源1による静磁場分布とを重ね合わせることによって、軸方向にも均一な静磁場領域を広げることが可能となる。
【0031】
均一空間の領域は、各静磁場発生源の寸法や配置により決定されるが、静磁場発生源2は下側にしか配置されないため、上方に向かうにつれて静磁場強度は弱まるので、実際には三角柱状の均一空間が形成されることになる。何れにしても円筒形状の静磁場発生源1は、従来技術によるよりも軸長(L)を短く構成することが可能となり、開放性に優れた静磁場発生装置を得ることが出来る。
また、スペースを有効に利用するために、静磁場発生源2の上部を寝台の走行部分を載置するために使用する事も可能である。
【0032】
各図面には、超電導磁石を想定しているので、超電導コイルを冷却するためのクライオスタット(真空槽、ヘリウム槽)を描いている。通常、熱遮断のために用いられている熱シールド材が用いられ、超電導コイルは冷凍機により冷却されるが、図中には省略して描いていない。さらに、各超電導コイルを電気的に直列につなぐことにより、同一の電流を流せるので、静磁場均一度の調整を容易に出来る。また、熱的にも接続させることで、冷凍機の数を少なくすることが出来る。
【0033】
一方、常電導磁石による構成も可能であり、この場合にはクライオスタットは不要となる。常電導磁石の場合は、通常は、コイルの発熱を抑制するために水冷パイプなどによる冷却構造を必要とするが、図中には省略して描いていない。
【0034】
図2は図1に示す実施例1の変形であり、静磁場発生源2の静磁場側の面が、静磁場の方向に対して略平行であって両側に凸となる湾曲面を有する場合である。図2(A)に静磁場発生源2のコイル形状例を図2(B)に本発明の実施例1の静磁場発生源2の上面が湾曲面となる場合の斜視図を示す。コイルの周辺部を左右方向の両側に持ち上げることで、左右方向の均一度を改善できる。
【0035】
図5は、実施例2を示すものである。本実施例2では、静磁場発生源1は2つの超電導素子11,12(超電導コイル)から構成される。これにより、一つの場合よりも軸方向により広い範囲で均一な静磁場を得ることが可能である。また、更に径方向にもコイル数を増やすことが可能なので、径方向にも静磁場の均一度領域を拡張することが可能である。
【0036】
さらに、本実施例2では静磁場発生源2においても超電導コイル数を2個とし、その寸法と配置とを最適化することにより、より精細に静磁場均一度を制御している。これにより、軸方向の静磁場の均一領域をより拡張することが可能となる。また、図5では、静磁場発生素子2a1と2a2とをほぼ同軸の配置で描いているが、敢えて軸中心をずらすことにより、静磁場を均一に制御する範囲をより拡張することが出来る。一般的に超電導素子数を増やすことにより、均一度領域を拡張することが出来る。
【0037】
図6は、更に別の実施例3を示すもので、静磁場発生源2の静磁場発生素子を傾けて配置した例である。このような配置にすることで、磁束の分布が高さ方向に減衰する割合を低減できるので、均一な静磁場の領域を高さ方向に広げることが可能となる。
【0038】
図7は、別の実施例4を示すもので、静磁場発生源2aを2bに比較して小さくする。これにより、2a側からのアクセス性を向上させることが可能となる。但し、この場合には2a側の均一な静磁場領域は減少する。また、別の構造として、静磁場発生源2の幅方向の寸法を異ならせることも可能である。この場合にも寸法の小さい側で静磁場の均一度は低下するが、アクセス性は向上するので、必要に応じて構造を選択すればよい。
【0039】
図8は、別の実施例5を示すもので、図6の場合について静磁場発生源2のコイル数を増やす場合の構造例を示したものである。このように、各コイルの軸をずらして配置することで、軸方向の均一な静磁場領域をより広げることが可能となる。
【0040】
また、以上の実施例1〜5では、図に示さなかったが、静磁場均一度を向上させるために、静磁場発生源の表面に強磁性体や永久磁石などから構成されるいわゆるシム材(パッシブシム)を配置することにより、更に静磁場の均一領域を拡張することが出来る。あるいは、製作上の公差から生じる静磁場の不整成分を補正することが出来る。また、パッシブシム以外にもいわゆるシムコイルによるアクティブシムによる静磁場補正を併用することも可能である。
【0041】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、軸方向の長さが短くても、静磁場強度が高く、かつ広い範囲で高い静磁場均一度を得ることが可能となり、開放性の高い構造を持つ静磁場発生装置を構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)本発明の実施例1の磁石構造を示す図、(B)(A)の斜視図。
【図2】(A)本発明の実施例1の静磁場発生源2の上面が湾曲面となる場合の静磁場発生源2のコイル形状例、(B)本発明の実施例1の静磁場発生源2の上面が湾曲面となる場合の斜視図。
【図3】軸方向の短い磁石(静磁場発生源1)における磁束の分布。
【図4】静磁場発生源2における磁束の分布。
【図5】本発明の実施例2の磁石構造を示す図。
【図6】本発明の実施例3の磁石構造を示す図。
【図7】本発明の実施例4の磁石構造を示す図。
【図8】本発明の実施例5の磁石構造を示す図。
【符号の説明】
1,2,2a,2b…静磁場発生源
11,12 …静磁場発生素子(超電導コイル)
【発明の属する技術分野】
本発明は、核磁気共鳴現象を利用して被検体である人体の所望部位の断層画像を撮影する磁気共鳴(以下「MRI」という)イメージング装置に関し、特に、静磁場発生装置を高い静磁場強度を発生させながら開放性に富んだ構成にする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
MRI装置には、静磁場発生源として、常電導磁石、永久磁石、超電導磁石を用いたものがあるが、高い静磁場強度を発生させるには、主として、円筒型の超電導磁石を用いて水平方向の静磁場を発生する静磁場発生装置が利用されている。
【0003】
しかし、上記の水平磁場方式の円筒型では、被検体である患者が撮影時に円筒内部の狭い計測空間に閉じこめられ、患者の全周囲が静磁場発生源に囲まれてしまう。この結果、患者が閉塞感を感じ、時には、患者が円筒内部に入ることを拒否する場合もある。また、静磁場発生装置の外部から、術者が患者へのアクセスすることも困難である。
【0004】
そのため、患者の閉塞感を軽減し患者へのアクセスを容易にするために、静磁場発生装置には開放性が求められている。開放性のある静磁場発生の方式として、水平磁場方式で軸長の短い円筒型と、垂直磁場方式の対向型と、水平磁場方式のダブルドーナツ型がある。
【0005】
水平磁場方式で軸長の短い円筒型の公知例として[特許文献1]の例がある。特許文献1では、コイルによって形成された環状の電磁石と、このコイル内に軸を共通にして配置された磁性材料の環状シムと、コイルの磁場と同じ方向の磁場を有し前記シム内に軸を共通にして配置された第1の永久磁石手段と、および前記第1の永久磁石手段内に軸を共通にして配置され前記第1の永久磁石手段によって形成される磁場とは反対方向の磁場を有する環状磁性材料とから構成され、前記環状磁性材料内の映像容積内に形成される磁場が実質的に均一となるようにされている。
【0006】
【特許文献1】
特開平06−304150号公報
【0007】
垂直磁場方式の対向型の例として、日立メディコ社製のAIRIS(永久磁石)やALTAIRE(超電導磁石)が製品として臨床の場に供給されている。また、特許文献として[特許文献2]と[特許文献3]がある。
【0008】
[特許文献2]では、一対の磁石と、各磁石をそれぞれ固定する一対の第1の継鉄と、一対の磁石が計測空間を間にして互いに対向配置されるように第1の継鉄を支持する第2の継鉄とを有しており、第1の継鉄は、磁石が固定された略円盤状の本体部と、この本体部の中心より後方に延設された結合部とを有し、この結合部に2本の第2の継鉄が設けられているものである。
【0009】
また、[特許文献3]は、それぞれ超電導コイル組立体を装着して上下に対向配置された強磁性体フレームを、磁束の帰還路を提供する機能を兼ねた4本の支柱で支えて、これらプレート間に静磁場を発生させるものである。
【0010】
【特許文献2】
特開平08−050170号公報
【特許文献3】
特開平07−327961号公報
【0011】
水平磁場方式のダブルドーナツ型の公知例として、[特許文献4]と[特許文献5]がある。[特許文献4]と[特許文献5]は、一対のドーナツ形環状の超電導磁石集成体が同心となるように空隙をおいて配置され、各々の集成体には超電導コイルを内部に備えた極低温剤圧力容器があって、非磁性の円筒形の分割材で集成体間に空隙を形成し、その空隙に静磁場空間形成するものである。
【0012】
【特許文献4】
特開2000−040615号公報
【特許文献5】
特開平09−187439号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
水平磁場方式で軸長の短い円筒型では、軸長を短くすればするほど、静磁場均一度を悪化させるため、高い静磁場均一度を維持しながら更に軸長を短くすることが困難である。したがって、現実的な静磁場均一度を達成するためには、ある程度の軸長が必要となり、結果として撮影時においては患者の体の一部しか円筒外部に出ないため、患者の閉塞感低減と、術者のアクセス性向上は困難となる。
【0014】
また、垂直磁場方式の対向型であっても、MRI装置に挿入された患者からみると、依然として上部に静磁場発生源が存在するため、完全な開放感は得られない。また、静磁場発生の効率が悪いために、1.2T(テスラ)以上の高い静磁場を発生することが困難である。
また、水平磁場方式のダブルドーナツ型では、開放性はあるものの静磁場均一度の得られる領域が20cm程度以下に制限され、装置性能上、好ましくないという課題がある。
【0015】
そこで本発明は、静磁場発生源の構成を工夫して、静磁場強度を低減することなく、より高い開放性の得られるらすることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は以下の様に構成される。
【0017】
(1)均一な静磁場を発生させる静磁場発生装置を有する磁気共鳴イメージング装置において、前記静磁場発生装置が、前記静磁場の方向を中心軸として構成される略円筒形状の外周形状と略軸中央部に空孔とを有する第1の静磁場発生源と、前記静磁場の方向に対して略平行な静磁場を発生する第2の静磁場発生源とを備え、前記第2の静磁場発生源の前記静磁場側の面が、前記静磁場の方向に対して略平行な平面を有するか、または、前記静磁場の方向に対して略平行であって左右方向の両側に凸となる湾曲面を有する。
【0018】
(2)好ましくは、前記(1)に於いて、前記第2の静磁場発生源は、前記第1の静磁場発生装置を間に挟んで配置された一対の静磁場発生要素からなる。
【0019】
(3)また、好ましくは、前記(1)または(2)に於いて、前記第2の静磁場発生源を構成する静磁場発生素子は円管形状であり、かつ、その中心軸が前記静磁場の方向に対して成す角度が90度以下とする。
【0020】
(4)また、好ましくは、前記(2)に於いて、前記一対の静磁場発生要素は、互いに異なる形状であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【0021】
(5)また、好ましくは、前記(2)に於いて、前記一対の静磁場発生要素は、前記第1の静磁場発生源に対して非対称に配置する。
【0022】
(6)また、好ましくは、前記(1)または(4)または(5)に於いて、前記静磁場の方向を水平方向とする。
【0023】
(7)また、好ましくは、前記(1)または(6)に於いて、前記第1の静磁場発生源の前記中心軸方向の長さが1.4mよりも短くする。
【0024】
これにより、軸方向の長さが短くても、静磁場強度が高く、かつ高い静磁場均一度度を得ることが可能となり、開放性の高い磁石構造を得ることが可能とすることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。なお、発明の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0026】
図1(A)に実施例1の断面図、図1(B)に斜視図を示す。なお、以下の実施例の説明では、超電導コイルを用いた超電導磁石の場合を説明するが、超電導コイルに限らず、常電導コイルを用いた常電導磁石でも可能である。
【0027】
本発明の静磁場発生装置は、円筒形状の静磁場発生源1(つまり、第1の静磁場発生源)と、静磁場発生源1を挟んで配置した静磁場発生源2(a,b)(つまり、第2の静磁場発生源)から構成される。均一な静磁場空間が、静磁場発生源1のほぼ中心軸上に形成され、その方向は軸方向と一致する。本実施例1では、静磁場発生源1及び、静磁場発生源2(a,b)共に静磁場を発生するためのコイルは一対としている。静磁場発生源2のコイルは、中心軸がほぼ鉛直方向であり、静磁場発生源1に対しては、対称に配置している。また、このコイルとしては、円形以外にも長円形などの形状も採用できる。
【0028】
本発明の動作説明の前に、従来技術による円筒型磁石について説明する。図10に、従来技術による軸長の長い磁石における静磁場分布を模式的に示す。本磁石構成では、軸方向に沿って起磁力の異なる複数の円形コイルを同軸上に配列している。各コイルの起磁力と位置を最適化することにより、中央部に均一な静磁場を発生している。磁束の流れを図中に模式的に示しているが、中央の均一磁場部分から離れるにつれ、磁束の向きや強度が乱れてくる。通常の全身撮影用装置では、均一な静磁場領域として直径40〜50cmの球形領域を必要とする。しかし、開放性を得るために軸方向を短くすると、急激に磁場均一空間が狭くなるため、従来技術では磁石の軸長として1.4m程度が最短である。
【0029】
本発明による静磁場発生装置の磁場分布を説明するために、図3と図4に、それぞれ静磁場発生源1と静磁場発生源2による磁束の流れを模式的に示す。
静磁場発生源1によって、静磁場発生源1の中心部において均一で強い磁場が発生するが、静磁場発生源1の軸長が短いために、軸方向に離れるにつれて急激に静磁場強度が弱まる。このため、均一静磁場の発生領域は軸方向に短い扁平な楕円球形状となる。
【0030】
一方、静磁場発生源2においては、磁束は静磁場発生源2bから2aに向かって流れるようにコイルの電流を設定する。この結果、前記の均一静磁場空間付近においてほぼ水平方向で、かつ、中心から離れるにつれて強まる磁束の流れが形成される。この静磁場分布を前記の図3の静磁場発生源1による静磁場分布とを重ね合わせることによって、軸方向にも均一な静磁場領域を広げることが可能となる。
【0031】
均一空間の領域は、各静磁場発生源の寸法や配置により決定されるが、静磁場発生源2は下側にしか配置されないため、上方に向かうにつれて静磁場強度は弱まるので、実際には三角柱状の均一空間が形成されることになる。何れにしても円筒形状の静磁場発生源1は、従来技術によるよりも軸長(L)を短く構成することが可能となり、開放性に優れた静磁場発生装置を得ることが出来る。
また、スペースを有効に利用するために、静磁場発生源2の上部を寝台の走行部分を載置するために使用する事も可能である。
【0032】
各図面には、超電導磁石を想定しているので、超電導コイルを冷却するためのクライオスタット(真空槽、ヘリウム槽)を描いている。通常、熱遮断のために用いられている熱シールド材が用いられ、超電導コイルは冷凍機により冷却されるが、図中には省略して描いていない。さらに、各超電導コイルを電気的に直列につなぐことにより、同一の電流を流せるので、静磁場均一度の調整を容易に出来る。また、熱的にも接続させることで、冷凍機の数を少なくすることが出来る。
【0033】
一方、常電導磁石による構成も可能であり、この場合にはクライオスタットは不要となる。常電導磁石の場合は、通常は、コイルの発熱を抑制するために水冷パイプなどによる冷却構造を必要とするが、図中には省略して描いていない。
【0034】
図2は図1に示す実施例1の変形であり、静磁場発生源2の静磁場側の面が、静磁場の方向に対して略平行であって両側に凸となる湾曲面を有する場合である。図2(A)に静磁場発生源2のコイル形状例を図2(B)に本発明の実施例1の静磁場発生源2の上面が湾曲面となる場合の斜視図を示す。コイルの周辺部を左右方向の両側に持ち上げることで、左右方向の均一度を改善できる。
【0035】
図5は、実施例2を示すものである。本実施例2では、静磁場発生源1は2つの超電導素子11,12(超電導コイル)から構成される。これにより、一つの場合よりも軸方向により広い範囲で均一な静磁場を得ることが可能である。また、更に径方向にもコイル数を増やすことが可能なので、径方向にも静磁場の均一度領域を拡張することが可能である。
【0036】
さらに、本実施例2では静磁場発生源2においても超電導コイル数を2個とし、その寸法と配置とを最適化することにより、より精細に静磁場均一度を制御している。これにより、軸方向の静磁場の均一領域をより拡張することが可能となる。また、図5では、静磁場発生素子2a1と2a2とをほぼ同軸の配置で描いているが、敢えて軸中心をずらすことにより、静磁場を均一に制御する範囲をより拡張することが出来る。一般的に超電導素子数を増やすことにより、均一度領域を拡張することが出来る。
【0037】
図6は、更に別の実施例3を示すもので、静磁場発生源2の静磁場発生素子を傾けて配置した例である。このような配置にすることで、磁束の分布が高さ方向に減衰する割合を低減できるので、均一な静磁場の領域を高さ方向に広げることが可能となる。
【0038】
図7は、別の実施例4を示すもので、静磁場発生源2aを2bに比較して小さくする。これにより、2a側からのアクセス性を向上させることが可能となる。但し、この場合には2a側の均一な静磁場領域は減少する。また、別の構造として、静磁場発生源2の幅方向の寸法を異ならせることも可能である。この場合にも寸法の小さい側で静磁場の均一度は低下するが、アクセス性は向上するので、必要に応じて構造を選択すればよい。
【0039】
図8は、別の実施例5を示すもので、図6の場合について静磁場発生源2のコイル数を増やす場合の構造例を示したものである。このように、各コイルの軸をずらして配置することで、軸方向の均一な静磁場領域をより広げることが可能となる。
【0040】
また、以上の実施例1〜5では、図に示さなかったが、静磁場均一度を向上させるために、静磁場発生源の表面に強磁性体や永久磁石などから構成されるいわゆるシム材(パッシブシム)を配置することにより、更に静磁場の均一領域を拡張することが出来る。あるいは、製作上の公差から生じる静磁場の不整成分を補正することが出来る。また、パッシブシム以外にもいわゆるシムコイルによるアクティブシムによる静磁場補正を併用することも可能である。
【0041】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、軸方向の長さが短くても、静磁場強度が高く、かつ広い範囲で高い静磁場均一度を得ることが可能となり、開放性の高い構造を持つ静磁場発生装置を構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)本発明の実施例1の磁石構造を示す図、(B)(A)の斜視図。
【図2】(A)本発明の実施例1の静磁場発生源2の上面が湾曲面となる場合の静磁場発生源2のコイル形状例、(B)本発明の実施例1の静磁場発生源2の上面が湾曲面となる場合の斜視図。
【図3】軸方向の短い磁石(静磁場発生源1)における磁束の分布。
【図4】静磁場発生源2における磁束の分布。
【図5】本発明の実施例2の磁石構造を示す図。
【図6】本発明の実施例3の磁石構造を示す図。
【図7】本発明の実施例4の磁石構造を示す図。
【図8】本発明の実施例5の磁石構造を示す図。
【符号の説明】
1,2,2a,2b…静磁場発生源
11,12 …静磁場発生素子(超電導コイル)
Claims (7)
- 均一な静磁場を発生させる静磁場発生装置を有する磁気共鳴イメージング装置において、
前記静磁場発生装置が、
前記静磁場の方向を中心軸として構成される略円筒形状の外周形状と略軸中央部に空孔とを有する第1の静磁場発生源と、
前記静磁場の方向に対して略平行な静磁場を発生する第2の静磁場発生源とを備え、
前記第2の静磁場発生源の前記静磁場側の面が、
前記静磁場の方向に対して略平行な平面を有するか、または、
前記静磁場の方向に対して略平行であって左右方向の両側に凸となる湾曲面を有する
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項1に於いて、前記第2の静磁場発生源は、前記第1の静磁場発生装置を間に挟んで配置された一対の静磁場発生要素からなることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 請求項1または請求項2に於いて、前記第2の静磁場発生源を構成する静磁場発生素子は円管形状であり、かつ、その中心軸が前記静磁場の方向に対して成す角度が90度以下であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 請求項2に於いて、前記一対の静磁場発生要素は、互いに異なる形状であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 請求項2に於いて、前記一対の静磁場発生要素は、前記第1の静磁場発生源に対して非対称に配置されていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 請求項1または請求項4または請求項5に於いて、前記静磁場の方向が水平方向であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 請求項1または請求項6に於いて、前記第1の静磁場発生源の前記中心軸方向の長さが1.4mよりも短いことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003128674A JP2004329526A (ja) | 2003-05-07 | 2003-05-07 | 磁気共鳴イメージング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004329526A true JP2004329526A (ja) | 2004-11-25 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006230844A (ja) * | 2005-02-28 | 2006-09-07 | Hitachi Medical Corp | 磁気共鳴イメージング装置 |
-
2003
- 2003-05-07 JP JP2003128674A patent/JP2004329526A/ja active Pending
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JP4566024B2 (ja) * | 2005-02-28 | 2010-10-20 | 株式会社日立メディコ | 磁気共鳴イメージング装置 |
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