JP4814765B2 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents
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Description
この水平磁場型のMRI装置は、一般に、被検体が入る空間が狭く、圧迫感や閉所感を受ける患者(被検体)が、長時間に渡って検査を受けられない問題がある。また、水平磁場型のMRI装置における被検体の挿入空間が狭いことは、各種オペレーションの自由度が制限される問題がある。
しかし、垂直磁場型のMRI装置は、二つに分割された真空容器が垂直方向に対向する状態を維持するために、機械的剛性を高くすることが要求される。さらに、撮像領域に傾斜磁場を発生させるためにそれぞれの真空容器に固定される一対の傾斜磁場発生部は、後記するように振動の発生源となり、画像の画質を劣化させる原因になる。
この非磁性でかつ導電性の部材は、超伝導コイルが振動することにより生じる均一磁場の乱れを、導電性部材に発生する渦電流によって乱れをキャンセルする磁場を発生させることで、撮像空間に安定な均一磁場を得るものである。
しかし、MRI装置に、比重の高いステンレス材質が多用されることは、MRI装置の重量が大きくなることを招来し、好ましくない。
また、傾斜磁場発生部と真空容器との間に前記したような部材を配置する構成も、所望とする効果を得ようとすると、係る部材が被検体が挿入される空間を広く占有することとなり、好ましくない。
そして、前記対向部材の一部であって前記支持部材に接続する第1対向部材と、前記傾斜磁場発生部が固定される第2対向部材と、が段差して形成される収容空間に前記傾斜磁場発生部が収容され、前記第1対向部材において、前記支持部材と材質が同じであって前記第1対向部材と剛性が同じである平板部材に対比して、周回方向の電気抵抗が大きくなる構成が施されているか、
または、前記対向部材又は少なくともその一部の表面に、放射状に並んで配置される複数の補強板が設けられているか、
または、前記対向部材又は少なくともその一部の表面に、放射状に並んで刻まれる複数の割溝が設けられていることを特徴とする。
このように発明が構成されることにより、MRI装置は、機械的剛性を犠牲にしたり被検体が挿入される空間を狭めたりすることなく、真空容器に渦電流が発生しない構成が達成される。
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)を説明する。
図1に全体斜視図が示されているようにMRI装置10は、一対の静磁場発生部30,30が連結部材12により垂直方向を向く中心軸Zが回転対称軸となるように対向して連結され、その間の空間を撮像領域Rとして、この撮像領域Rを挟むようにして傾斜磁場発生部13,13が配置され、さらにこの撮像領域Rに被検体Pを位置させるためのベッド台Dが設けられている。
このように構成されることによりMRI装置10は、撮像領域Rの関心領域(通常1mm厚のスライス面)だけにNMR現象を発現させて、被検体Pの断層を画像化するものである。
この傾斜磁場発生部13,13は、MRI装置10の動作時に撮像領域Rの直交する三方向に対し、任意に切り替えて、傾斜磁場を重畳させるものである(図2で示す矢印は、中心軸Z方向に直交する一方向に重畳された傾斜磁場の方向と強さの例を示している)。このように撮像領域Rにおける磁場の強度が、直交する三方向に任意に切り替わって傾斜することにより、NMR現象が発現する三次元位置が明らかになる。
この発生した電磁力は、傾斜磁場発生部13,13を水平方向及び垂直方向に、前記パルスに対応した周波数の振動力となる。
なお、図示しない輻射板が、真空容器40と冷媒容器35との間に設けられ、真空容器40から冷媒容器35に向かう熱輻射が遮蔽される。また、図示しない強磁性体(鉄など)を、中心軸Zと同軸に適宜配置して、撮像領域Rに磁力線をさらに誘導し、均一磁場の強度を増幅させる場合もある。
ここで、超電導コイルとは、冷媒容器35に充填されている冷媒L(例えば、液体ヘリウム)により臨界温度より低温に冷却されると常電導状態から超電導状態に転移して電気抵抗がゼロとなるものであって、環状の電流が減衰することなく永久に循環するものである。
一般に、シールドコイル32は、撮像領域Rからの距離がメインコイル31よりも遠い位置に配置され、MRI装置10の外部に漏洩する不要な静磁場を打ち消すように作用するものである。
なお、前記した図示しない強磁性体は、冷媒容器35の内部に冷媒Lとともに収容される場合もあるし、冷媒容器35の外部でかつ真空容器40の内部となるように収容される場合もある。
ところで、固定部材33は、真空容器40から冷媒容器35に向かう熱抵抗を大きくするために、一般に細長い形状をとることが望ましい。しかし、このような細長い形状は、固定部材33にとって、機械的な剛性が低下することとなる。
このように、真空容器40に対して超電導コイル31,32を支持する固定部材33の剛性が低いことは、外力が作用すると超電導コイル31,32は撮像領域Rに対し容易に変位してしまうことになる。
従って、本発明に係るMRI装置10の特徴として、後記するように、そのような外力(具体的には傾斜磁場コイル13から発生する不要な漏れ磁場)が超電導コイル31,32に付与されることを防止する構成が求められる。
支持部材44は、ステンレス材質などの非磁性体でかつ弾性率の高い材質で構成されており、MRI装置の各種構成要素(冷媒容器35等)を支持する基盤となる。なお、図示しないが、連結部材12(図1参照)の両端は、この支持部材44に接続することにより、天地方向に配置される一対の静磁場発生部30,30を支持している。
このように構成されることにより、第1対向部材41は、中心軸Z周りの周回方向の電気抵抗が大きくなる構成となる。
なお、第2対向部材42及び内側筒43においても、第1対向部材41と同様に周回方向の電気抵抗が大きくなる構成が施されていてもよい。しかし、第2対向部材42及び内側筒43を支持部材44と同じステンレス材質で構成したとしても、次に説明するような渦電流が発生しても撮像領域Rに与えられる変動磁場の影響は小さいと考えられる。
図3(b)に示す比較例は、実施例(図3(a))の第1対向部材41に対応する部位(対向面F´)が、支持部材44と材質が同じ(比較例の場合、ステンレス材質)であって剛性が第1対向部材41と同じであると仮定される平板部材で構成されている場合を示している。
係る平板部材と対比して、第1対向部材41は、周回方向の電気抵抗が大きくなるように構成される点において、両者は相違している。
このようにして、比較例で示される真空容器40´の対向面F´を構成する平板部材に発生した渦電流は、新たな変動磁場B(図中二点鎖線で表示)を誘導する。
この変動磁場Bは、超電導コイル31,32が形成する均一磁場に重畳して、撮像領域Rにおける磁場の均一性を乱し、撮像される画像が劣化する。
図4を参照して本発明の第2実施形態について説明する。
図4(a)は第2実施形態に係るMRI装置の静磁場発生部30の中心軸Zを含む縦断面図であり、図4(b)は第2実施形態に係るMRI装置に適用される第1対向部材41aを分離して示す斜視図である。
なお、本実施形態における構成要素のうち第1実施形態と共通するものに関しては、図中同一の符号を付すとともに、すでにした説明を援用して記載を省略する。
ここで、面板46は、前記したような支持部材44の材質よりも電気抵抗率の高い材質で構成されていてもよいが、板厚を薄くして支持部材44と同じ材質(ステンレス材質)で構成されてもよい。
このように第1対向部材41aが構成されることにより、支持部材44と材質が同じであって剛性が同じであると仮定される平板部材(図3(b)比較例参照)に対比して、中心軸Z周りの周回方向の電気抵抗が大きくなる。周回方向に流れる電流に直交する第1対向部材41a(面板46)の断面積を小さくすることができるからである。
これにより、MRI装置10(図1参照)の動作中に傾斜磁場発生部13が振動しても第1対向部材41aに発生する渦電流が抑制され、この渦電流により誘導される変動磁場が重畳して、撮像領域Rの均一磁場を乱すことがない。
図5を参照して本発明の第3実施形態について説明する。
図5(a)は第3実施形態に係るMRI装置の静磁場発生部30の中心軸Zを含む縦断面図であり、図5(b)は第3実施形態に係るMRI装置に適用される第1対向部材41bを分離して示す斜視図である。
なお、本実施形態における構成要素のうち第1実施形態と共通するものに関しては、図中同一の符号を付すとともに、すでにした説明を援用して記載を省略する。
ここで、面板48は、支持部材44と材質が同じ(ステンレス材質)で構成してもよいが特に限定はない。
このように第1対向部材41bが構成されることにより、支持部材44と材質が同じであって剛性が同じであると仮定される平板部材(図3(b)比較例参照)に対比して、中心軸Z周りの周回方向の電気抵抗が大きくなる。周回方向に流れる電流に直交する第1対向部材41a(面板48)の断面積のうち最小値を小さくとることができるからである。
これにより、MRI装置の動作中に傾斜磁場発生部13が振動しても第1対向部材41bに発生する渦電流が抑制され、この渦電流により誘導される変動磁場が重畳して、撮像領域Rの均一磁場を乱すことがない。
図6を参照して本発明の第4実施形態について説明する。
図6(a)は第4実施形態に係るMRI装置の静磁場発生部30の中心軸Zを含む縦断面図であり、図6(b)は第4実施形態に係るMRI装置に適用される環状部材51を分離して示す斜視図である。
なお、本実施形態における構成要素のうち第1実施形態と共通するものに関しては、図中同一の符号を付すとともに、すでにした説明を援用して記載を省略する。
これにより、MRI装置の動作中に傾斜磁場発生部13からの漏れ磁場が発生すると、環状部材51に渦電流が発生し、超伝導コイル31、32を切る変動磁場が遮蔽され、超伝導コイルに発生する振動電磁力が低減する。反対に、超伝導コイル31、32が振動することにより発生する静磁場均一度の乱れを環状部材51の渦電流磁場によってキャンセルし、撮像領域Rの均一磁場を乱すことがない。
また周回方向の電気抵抗が大きくなる構成も、対向部材の一部(第1対向部材41)においてのみ採用されているわけではなく、対向部材の全般に亘って採用されていてもよく、装置にとって全体最適化が図れるその他の特定の部位に採用されてもよく、係る構成が採用される対向部材の部位は特に限定されるものではない。
13 傾斜磁場発生部
30 静磁場発生部
31 メインコイル(超電導コイル)
32 シールドコイル(超電導コイル)
35 冷媒容器
40 真空容器
41,41a,41b 第1対向部材(対向部材)
42 第2対向部材(対向部材)
43 内側筒
44 支持部材
47 補強板
49 割溝
51 環状部材
F 対向面
L 冷媒
P 被検体
R 撮像領域
U 収容空間
V 密閉空間
Z 中心軸
Claims (5)
- 永久電流を超電導コイルに循環させて撮像領域に均一磁場を発生させる一対の静磁場発生部と、前記撮像領域に傾斜磁場を発生させる一対の傾斜磁場発生部と、を備える磁気共鳴イメージング装置において、
前記静磁場発生部は、
前記超電導コイル及びこの超電導コイルを冷却する冷媒を少なくとも収容する冷媒容器と、
前記傾斜磁場発生部を前記撮像領域に対向するように固定する対向部材及び支持部材により少なくとも形成されるとともに前記冷媒容器を真空状態で保持する真空容器と、を有し、
前記対向部材の一部であって前記支持部材に接続する第1対向部材と、前記傾斜磁場発生部が固定される第2対向部材と、が段差して形成される収容空間に前記傾斜磁場発生部が収容され、
前記第1対向部材において、前記支持部材と材質が同じであって前記第1対向部材と剛性が同じである平板部材に対比して、周回方向の電気抵抗が大きくなる構成が施されていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 永久電流を超電導コイルに循環させて撮像領域に均一磁場を発生させる一対の静磁場発生部と、前記撮像領域に傾斜磁場を発生させる一対の傾斜磁場発生部と、を備える磁気共鳴イメージング装置において、
前記静磁場発生部は、
前記超電導コイル及びこの超電導コイルを冷却する冷媒を少なくとも収容する冷媒容器と、
前記傾斜磁場発生部を前記撮像領域に対向するように固定する対向部材及び支持部材により少なくとも形成されるとともに前記冷媒容器を真空状態で保持する真空容器と、を有し、
前記対向部材又は少なくともその一部の表面に、放射状に並んで配置される複数の補強板が設けられてなることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 永久電流を超電導コイルに循環させて撮像領域に均一磁場を発生させる一対の静磁場発生部と、前記撮像領域に傾斜磁場を発生させる一対の傾斜磁場発生部と、を備える磁気共鳴イメージング装置において、
前記静磁場発生部は、
前記超電導コイル及びこの超電導コイルを冷却する冷媒を少なくとも収容する冷媒容器と、
前記傾斜磁場発生部を前記撮像領域に対向するように固定する対向部材及び支持部材により少なくとも形成されるとともに前記冷媒容器を真空状態で保持する真空容器と、を有し、
前記対向部材又は少なくともその一部の表面に、放射状に並んで刻まれる複数の割溝が設けられてなることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記対向部材又は少なくともその一部が、前記支持部材の材質よりも電気抵抗率の高い材質からなることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記対向部材には、前記傾斜磁場発生部の外周を囲むように、前記支持部材の材質よりも電気抵抗率の低い材質からなる環状部材が設けられていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
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