JP2018023407A - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】患者空間を狭めることなく、振動の低減が可能なMRI装置1を提供する。【解決手段】撮像空間(8)に均一磁場(7)を発生させる静磁場発生源(2a、2b)と均一磁場(7)を補正するための第1磁性体(2g)および第2磁性体(2h)と、第1磁性体(2g)と一体化した金属板部材を(5)有する静磁場発生装置(2)を備え、静磁場発生装置(2)の中心軸方向に関して、第1磁性体の撮像空間(8)側端部が、金属板部材(5)の撮像空間(8)側端部よりも撮像空間(8)側に配置される。【選択図】図2

Description

本発明は、静磁場発生源と磁場補正のための磁性体を備えた磁気共鳴イメージング(以下、MRI;Magnetic Resonance Imagingと称す)装置に関する。
静磁場発生源と、磁場補正のための磁性体を備えたMRI装置においては、振動によって静磁場発生源と磁性体に相対変位が生じると、均一磁場が乱れて撮像が困難となる。MRI装置の振動低減に関する従来技術として、超電導コイルを格納する真空容器と磁極突起部の間に筒形状の非磁性良導体を設けることで、傾斜磁場発生装置の漏れ磁場を遮蔽して超電導コイルの振動を低減する技術がある(特許文献1参照)。また、磁性体と真空容器との間に支持材を配置することで、構造を補強して堅固にする技術がある(特許文献2参照)。
特許第3774141号公報 特許第4179578号公報
しかし特許文献1では、磁極突起部と超電導コイルの上下対向面がほぼ面一もしくは磁極突起部の方が対向面側に突出しており、非磁性良導体が超電導コイルの対向面側端部の一部を覆う構造となるため、非磁性良導体が磁極突起部よりも対向面側に突出する。また特許文献2でも、支持材が磁性体より対向面側にも配置されている。これらの技術では、いずれも磁性体より対向面側に構造体が配置されることとなり、患者空間が狭くなると考えられた。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、患者空間を狭めることなく、磁性体の振動の低減が可能なMRI(磁気共鳴イメージング)装置を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明は様々な実施形態を含むが、その一例として「少なくとも一対の超電導コイルを有し、前記一対の超電導コイルの間に撮像空間を有する磁気共鳴イメージング装置であって、前記超電導コイルの内径側に配置される円環状の第1磁性体と、第1磁性体の内径側に配置される円柱状の第2磁性体と、前記第1磁性体に固定された非磁性かつ導電性を有する金属板部材と、を備え、前記金属板部材は、前記撮像空間の中心に対する前記第1磁性体の最遠端部よりも遠い位置を含むように形成され、かつ前記超電導コイルの内径側であって前記第1磁性体の内径よりも外側に配置されている」ことを特徴とする。
本発明によれば、患者空間を狭めることなく、振動に寄る静磁場発生源と磁性体の総体変位の低減が可能なMRI(磁気共鳴イメージング)装置を提供できる。
本発明の第1の実施形態に係るMRI(磁気共鳴イメージング)装置の概略斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係るMRI装置の概略縦断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るMRI装置のうち静磁場発生源と磁性体と金属板部材の概略縦断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るMRI装置の概略縦断面図である。 本発明の第3の実施形態に係るMRI装置の上方からの概略透視図である。 本発明の第4の実施形態に係るMRI装置の概略縦断面図である。
静磁場発生装置は、被験者の入る空間を最大限に確保して閉塞感を和らげるために、開口部を大きくすることが望まれている。
静磁場発生装置、磁性体には、振動が発生する場合がある。この振動は、断層画像の劣化の原因となる場合が考えられる。特に、静磁場発生源と、磁場補正のための磁性体は、両者で均一磁場を形成しており、これらの間に相対変位が生じると均一磁場が乱れ易いため、断層画像が劣化し易い傾向がある。
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1に、本発明の第1の実施形態に係るMRI(磁気共鳴イメージング)装置1の概略斜視図を示す。図1に示すようにMRI装置1は筒状の筐体を有する。MRI装置1は、撮像空間8を挟むように上下一対の静磁場発生装置2が対向配置され、被検体10が寝台6に仰臥して撮像空間8に導入されても、検査者からアクセスされるための十分なガントリギャップを確保している。連結柱17は、上下一対の静磁場発生装置2の間にもうけられ、上下一対の静磁場発生装置2をそれぞれ連結して、上下一対の静磁場発生装置2を互いに離して保持している。また、MRI装置1は、導入された被検体10の生体組織を構成する原子核に核磁気共鳴を起こさせるために高周波信号を照射する照射コイル4と、被検体10から発せられる各々の信号に位置情報を与えるための傾斜磁場9を発生させる傾斜磁場発生装置3と、静磁場発生装置2が作る磁場の均一度を調整する磁性体であるシム鉄を格納したシムトレイ12(図示せず)と、シムトレイ12を収納するために傾斜磁場発生装置3の内部に設けられるシムトレイ穴(図示せず)と、被検体10から発せられる信号を受信するための受信コイル22と、被検体10を積載する寝台6等で構成されている。
静磁場発生装置2は、被検体10の生体組織を構成する原子のスピンを配向させるために、撮像空間8に均一磁場7(図2参照)を生成する。なお、均一磁場とは、撮像を実施するために十分な均一性を有する磁場を意味する。撮像空間8および均一磁場7は、この一対の静磁場発生装置2に挟まれた領域に形成される。
静磁場発生装置2は、発生した磁場を補正する上下一対の第1磁性体2g、第2磁性体2hを備える。更に、均一磁場7の均一度を高めるため、シム鉄を格納するシムトレイ12(図示せず)の他にシムコイル(図示せず)が静磁場発生装置2の撮像空間8側に設けられている。なお、シム鉄またはシムコイルのいずれか一方のみが設置されていてもよい。
静磁場発生装置2は、真空容器支持脚2fで支えられている。静磁場発生装置2は、垂直方向に沿ったz軸を中心軸とする円筒形状の部材である。なお、z軸は垂直方向に向いていることが望ましいが、現実的な設計条件や設置条件によって垂直面に対して傾きを有していてもよい。
傾斜磁場発生装置3は、静磁場発生装置2と中心軸を共通とする(z軸を中心軸とする)上下一対の円板形状の部材であり、一対の静磁場発生装置2の対それぞれの撮像空間8の側に配置されている。また、傾斜磁場発生装置3は、z軸方向に関して複数の傾斜磁場メインコイル3aと複数の傾斜磁場シールドコイル3bとが積層された構造を有する。また、傾斜磁場メインコイル3aと傾斜磁場シールドコイル3bとは、ビーズやガラス繊維クロス等の積層構造を含んだレジン3cによって固定されている。
照射コイル4は、静磁場発生装置2と中心軸を共通とする(z軸を中心軸とする)一対の円板形状の部材である。照射コイル4は、被検体10の生体組織を構成する原子の原子核に核磁気共鳴を起こさせるために、高周波信号を照射する。また、受信コイル22が、核磁気共鳴による磁気共鳴信号を受け取るために、寝台6に取り付けられている。
第1磁性体2gは、金属板部材5が固定される。金属板部材5は、第1磁性体2gと同じく円環状に設けられ、外径は静磁場メインコイル2aより小さい。また、z軸方向に関して、第1磁性体2gの撮像空間8側端部は、金属板部材5の撮像空間8側端部よりも、撮像空間8側に配置されている。z軸方向に関して、金属板部材5の撮像空間8と反対側の端部は、第1磁性体2gの撮像空間8と反対側の端部に突出していてもよい。
図2は、第1の実施形態に係るMRI装置1の概略縦断面図を示す。また図3は、図2のうちx or y>0、z>0の領域における本発明の構造を抜き出した図である。静磁場発生装置2は、複数の静磁場メインコイル2aと、複数の静磁場シールドコイル2bと、静磁場メインコイル2aと静磁場シールドコイル2bを冷媒と共に収納し冷却する冷却容器2eと、冷却容器2eを内包する構造を有し、真空容器2cから放射される輻射熱からシールドする輻射シールド板2dと、冷却容器2eと輻射シールド板2dとを真空環境下に収納し断熱する真空容器2cと、真空容器2cを設置床面に支持する真空容器支持脚2f(図1参照)と、冷却容器2eと輻射シールド板2dを真空容器2c内に断熱支持する荷重支持体(図示せず)等を有している。なお、静磁場メインコイル2aおよび静磁場シールドコイル2bは共に超電導コイルである。
静磁場メインコイル2aはリング形状を有しており、その中心軸はz軸と一致する。本実施例においては、静磁場メインコイル2aは、z軸方向に沿って複数(図3の例では2個(一対))配置されている。静磁場メインコイル2aは、撮像空間8に、均一磁場7である静磁場を生成する。なお、静磁場メインコイル2aは、撮像空間8以外にも、静磁場を生成し、特に、撮像空間8を中心としてz軸方向において、静磁場メインコイル2aよりも遠くの位置に漏れ磁場を生成させる。静磁場シールドコイル2bは、この漏れ磁場の大きさを小さくすることができる。
静磁場シールドコイル2bは、リング形状を有しており、その中心軸はz軸と一致する。静磁場シールドコイル2bは、z軸方向に複数(図3の例では2個(一対))配置されている。静磁場シールドコイル2bは、z軸方向において複数個配列されている静磁場メインコイル2aのうち両端に配置された一対の静磁場メインコイル2aの近傍に配置されている。静磁場シールドコイル2bは、撮像空間8を中心としたときに、z軸方向において両端に配置された一対の静磁場メインコイル2aよりも遠くに配置されている。
第1磁性体2g、第2磁性体2hは、静磁場メインコイル2a、2bが発生させた磁場を補正し、均一磁場7を形成する。第1磁性体2gは、z軸を中心とする円環状であり、その外径は静磁場メインコイル2aの内径より小さい。第2磁性体2hは、z軸を中心とする円柱状であり、その外径は第1磁性体2gの外径より小さい。
金属板部材5は、第1磁性体2gに対して取り付けられ、取り付け位置は第1磁性体2gの外径に沿うような円環状の領域である。したがって、金属板部材5によって形成される円環状の領域の内径が、第1磁性体2gの外径よりも大きい。金属板部材5のz軸方向の撮像空間8側端部は、第1磁性体2gのz軸方向の撮像空間8側端部よりも、z軸方向の撮像空間8と反対側に配置されている。これより、金属板部材5のz軸方向の撮像空間8側端部は、第1磁性体2gよりも撮像空間8側に突出することはない。一方、金属板部材5のz軸方向の撮像空間8と反対側の端部については、第1磁性体2gのz軸方向の撮像空間8と反対側の端部より突出していてもよい。
この金属板部材5の形状および配置関係を整理すると、次のように定義することもできる。すなわち、金属板部材5は、撮像空間8の中心に対する第1磁性体2gの最遠端部よりも遠い位置を含むように形成された部材である。かつ静磁場メインコイル2aの内径側であって第1磁性体2gの内径よりも外側に配置されている部材である。このような形状および配置関係を取ることによって、金属板部材5は静磁場メインコイル2aの磁場が集中する領域に設置され、後述する磁気粘性効果を効率的に得ることができる。
金属板部材5の材質は、主として、導電性を有するものが望ましく例えばアルミニウムや銅である。金属板部材5は周回方向に連続した一個の円環状の部材として形成される、もしくは周回方向に沿って複数の金属板部材5が並べられて円環を成すように形成されてもよい。または金属板部材5が円環を成さず、周回方向において部分的に設けられる態様でもよい。なお、金属板部材5は第1磁性体2gに対してボルトによる締結や、焼きばめ、接着、溶接後熱収縮による締め付けなどが考えられるが、非磁性の材質を用いることが望ましい。また、金属板部材5と第1磁性体2gの間には、断熱材を設けることが好ましい。
次に、MRI装置1における振動の抑制について説明する。
撮像時には、傾斜磁場発生装置3が有する傾斜磁場メインコイル3aと傾斜磁場シールドコイル3bにパルス状の電流が流れ、パルス状の傾斜磁場が発生するが、これに伴い、静磁場発生装置2を構成する真空容器2c、輻射シールド板2d、冷却容器2e、磁性体2g、2hなどでは、傾斜磁場発生装置3が発生させる傾斜磁場の一部(漏れ磁場)が作用することによって渦電流が生じる。この傾斜磁場に由来する渦電流と静磁場発生装置2によって生成される静磁場とがカップリングすることで、静磁場発生装置2にパルス状のローレンツ力が作用する。このローレンツ力によって静磁場発生装置2の各部材が振動する。
また、傾斜磁場発生装置3からパルス状の傾斜磁場が発生すると、静磁場メインコイル2a、2bに流れる直流電流や、磁性体2g、2hの磁化電流と、傾斜磁場の一部(漏れ磁場)とのカップリングにより、静磁場メインコイル2a、2b、磁性体2g、2hにローレンツ力が生じ、これらの部材が振動する。
更に、傾斜磁場発生装置3が配置されている領域にも、静磁場発生装置2によって静磁場が生成されているため、傾斜磁場発生装置3が有する傾斜磁場メインコイル3aと傾斜磁場シールドコイル3bにパルス状の電流が流れると、静磁場とのカップリングによりパルス状のローレンツ力が傾斜磁場メインコイル3aと傾斜磁場シールドコイル3bに作用して、傾斜磁場発生装置3が振動する。この傾斜磁場発生装置3の振動は、傾斜磁場発生装置3を静磁場発生装置2に対して取り付けている取付部材を介して静磁場発生装置2に伝搬し、静磁場発生装置2の各部材の振動を引き起こす。
以上のように、撮像時には静磁場発生装置2の各部に振動が生じ、これに伴って磁場を発生させる構造(静磁場メインコイル2a、静磁場シールドコイル2bや第1磁性体2g、第2磁性体2h)の振動ならびに構造に誘導された渦電流(真空容器2c、輻射シールド板2d、冷却容器2e、磁性体2g、2hなど)によって、均一磁場7が乱れる。中でも、静磁場メインコイル2a、2bと、磁性体2g、2hは、一体となって均一磁場7を形成するため、両者の間に振動によって相対変位が生じて位置関係が変わると、均一磁場7の乱れが大きくなり易い。特に本実施例のように、静磁場発生装置2が連結柱17によって上下一対の磁極を連結する構成の場合、リターンヨークによって磁極が連結される場合に比べ、磁性体2g、2hを支持する部材の剛性が小さくなり易く、静磁場メインコイル2a、2bと、磁性体2g、2hの相対変位が生じやすいと言える。
本実施例で説明するMRI装置1は、第1磁性体2gが金属板部材5を備えていることにより、磁気粘性効果によって静磁場メインコイル2a、2bとの相対変位を抑制する作用を有するため、撮像空間8を狭めることなく、均一磁場7の乱れを抑制する効果がある。
磁気粘性効果とは、磁場中で導体構造が運動する際に、運動速度に比例した減衰力が作用する現象である。磁場中で運動する導体構造には、速度起電力が生じて渦電流が誘導されるが、この渦電流が磁場とカップリングしてローレンツ力を生じる。このローレンツ力は、導体構造の運動を妨げる方向に作用するため、導体構造の運動を止めようとする働きがある。このため、磁場中で振動する導体構造には、振動を減衰させる力が作用する。MRI装置1のような強磁場を発生させる構造においては、磁気粘性効果は顕著となる。
以上に記した磁気粘性効果を、本実施例における作用として説明する。第1磁性体2gが静磁場メインコイル2a、静磁場シールドコイル2bに対して相対変位を生じようとすると、第1磁性体2gと一体となった金属板部材5に速度起電力による渦電流が誘導され、磁気粘性効果が生じて金属板部材5の振動が抑制され、一体となった第1磁性体2gの振動も抑制される。即ち、金属板部材5の第1磁性体2gへの設置により、静磁場メインコイル2a、静磁場シールドコイル2bと第1磁性体2gとの位置関係を一定に保とうとする力が作用することとなる。これにより、静磁場メインコイル2a、静磁場シールドコイル2bと第1磁性体2gの相対変位が抑制され、均一磁場7の乱れが抑制できる。
一方、本実施例における第1磁性体2gの撮像空間8側端部は、z軸方向に関し、金属板部材5の撮像空間8側端部よりも撮像空間8側に配置されているため、金属板部材5の設置によって撮像空間8が狭められることはない。第1磁性体2gの配置は撮像空間8に近いほど、静磁場メインコイル2a、静磁場シールドコイル2bが作る磁気エネルギーが小さくなり均一磁場7を形成する上で効率的である。そのため、第1磁性体2gの撮像空間8側端部は、静磁場メインコイル2aの撮像空間8側端部とほぼ面一、もしくは撮像空間8側に突出することが好ましい。なお、金属板部材5の撮像空間8側端部を、第1磁性体2gの撮像空間8側端部より突出させることは、静磁場メインコイル2aから距離の離れたところまでを金属板部材5が含むように形成することになる。このように金属板部材5を形成することも可能だが、磁気粘性効果を効率的に得ることはできないため、物量の面から望ましくない。したがって、上述したように、金属板部材5の撮像空間8側端部が、第1磁性体2gの撮像空間8側端部よりも遠い位置に設置されるような本実施形態の構成が、磁気粘性効果を得るための最小限の構成と言える。
一方、金属板部材5は、撮像空間8と反対側の端部が第1磁性体2gの撮像空間8と反対側の端部より突出する、すなわち金属板部材5が撮像空間8の中心に対して第1磁性体2gの最遠端部よりも遠い領域を含むように形成される。これは、静磁場メインコイル2aと距離の近い領域に金属板部材5を配置することとなるため、磁気粘性効果を効率的に得ることができ、効果的である。
なお、金属板部材5には渦電流が生じるため、発熱によって温度が上昇することがあるが、第1磁性体2gとの間に断熱材が設けられていると、熱伝導によって第1磁性体2gの温度が上昇することを抑制でき、第1磁性体2gの磁化変化による均一磁場7への影響を抑制できる。このため、金属板部材5と第1磁性体2gとの間に断熱材を設けることが好ましい。
以上のように、金属板部材5の設置によって、撮像空間8を狭めることなく、静磁場メインコイル2a、静磁場シールドコイル2bと第1磁性体2gとの相対変位を抑制でき、均一磁場7の乱れを抑制することができる。これにより、MRI装置1の振動に起因する誤差磁場による画像劣化を抑制することができる。
(第2の実施形態)
図4に、本発明の第2の実施形態に係るMRI装置1の概略縦断面図・正面図を示す。第2の実施形態のMRI装置1は、金属板部材5が第1磁性体2gの中心軸(z軸)に対して円環を成すように設けられている点において第1の実施形態と同様である。一方、第1の実施形態のMRI装置1と異なっている点は、金属板部材5によって形成される円環領域の外径が、第1磁性体2gの外径と面一もしくは小さいことである。
本構成によれば、第1磁性体2gの位置はそのままに、静磁場メインコイル2aや静磁場シールドコイル2bの内径を小さくすることができ、MRI装置1の磁気エネルギーが小さくなる。また、真空容器2cなどMRI装置1を構成する部材の内径を小さくすることができ、MRI装置1の重量が低減できる。また、病院サイトにおける緊急減磁などの際には、静磁場メインコイル2a、静磁場シールドコイル2bの電流に急速な減衰(超電導コイルの場合のクエンチ)が生じるが、この際に金属板部材5に生じる渦電流を低減し、電磁力を小さくする効果もある。
なお、金属板部材5の撮像空間8側端部は、第1磁性体2gの撮像空間8側端部より突出しなければ、第1磁性体2gの撮像空間8と反対側の端部より撮像空間8側に配置されていてもよい。
(第3の実施形態)
図5に、本発明の第3の実施形態に係るMRI装置1の概略縦断面図・正面図を示す。第3の実施形態のMRI装置1が、第1、第2の実施形態のMRI装置1と異なっている点は、金属板部材5が、周回方向にスリットなどの不連続部を有している点である。
本構成によれば、撮像時の傾斜磁場9の一部(漏れ磁場)によって金属板部材5に誘導される渦電流が低減でき、金属板部材5の発熱による第1磁性体2gの温度上昇を低減できる。これにより、渦電流が作る磁場や、第1磁性体2gの温度上昇による磁化の変化が低減され、均一磁場7に誤差磁場となって重畳することを抑制でき、断層画像の画質を向上することができる。
なお、金属板部材5の周回方向の不連続部の位置は、MRI装置1の連結柱17に近いことが好ましい。上記不連続部は、渦電流を低減するため磁気粘性効果も弱まることとなるが、連結柱17は、構造上MRI装置1の振動の節となり易く、振動の小さい箇所であれば、金属板部材5への不連続部を設けても磁気粘性効果への影響は小さいためである。
(第4の実施形態)
図6に、本発明の第5の実施形態に係るMRI装置1の概略縦断面図・正面図を示す。第3の実施形態のMRI装置1が、第1から第3の実施形態のMRI装置1と異なっている点は、金属板部材5が、MRI装置1の真空容器2cとの間に空間的にギャップを有している点である。
本構成によれば、第1磁性体2gの位置決めが、真空容器2cの製作精度や熱変形とは独立に実施でき、均一磁場7を作り易い利点がある。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれている。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。例えば、第1から第4の実施形態では、静磁場メインコイル2aと静磁場シールドコイル2bとして超電導コイルを取り上げたが、これに限らない。静磁場メインコイル2aと静磁場シールドコイル2bとして常電導コイルや永久磁石を用いてもよい。
1 磁気共鳴イメージング装置
2 静磁場発生装置
2a 静磁場メインコイル
2b 静磁場シールドコイル
2c 真空容器
2d 輻射シールド板
2e 冷却容器
2f 真空容器支持脚
2g 第1磁性体
2h 第2磁性体
3 傾斜磁場発生装置
3a 傾斜磁場メインコイル
3b 傾斜磁場シールドコイル
3c レジン
4 照射コイル
5 金属板部材
6 寝台
7 均一磁場
8 撮像空間
9 傾斜磁場
10 被検体
12 シムトレイ
17 連結柱
22 受信コイル

Claims (5)

  1. 少なくとも一対の超電導コイルを有し、前記一対の超電導コイルの間に撮像空間を有する磁気共鳴イメージング装置であって、
    前記超電導コイルの内径側に配置される円環状の第1磁性体と、
    第1磁性体の内径側に配置される円柱状の第2磁性体と、
    前記第1磁性体に固定された導電性を有する金属板部材と、
    を備え、
    前記金属板部材は、
    前記撮像空間の中心に対する前記第1磁性体の最遠端部よりも遠い位置を含むように形成され、かつ前記超電導コイルの内径側であって前記第1磁性体の内径よりも外側に配置されていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置
  2. 請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
    前記金属板部材は前記第1磁性体の外径に沿うように設けられ、
    前記金属板部材によって形成される円環領域の内径は、前記第1磁性体の外径よりも大きいことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  3. 請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
    前記金属板部材は前記第1磁性体の中心軸に対して円環を成すように設けられ、
    前記金属板部材によって形成される円環領域の外径は、前記第1磁性体の外径よりも小さい
    ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  4. 請求項2または請求項3に記載の磁気共鳴イメージング装置であって
    前記金属板部材は、周回方向に少なくとも1箇所で不連続である
    ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
    前記金属板部材が、前記超電導コイルを格納した真空容器から独立に支持される
    ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
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