本発明は、磁気共鳴イメージング装置及び電磁石装置に係り、特に、筒状のコイル容器内に複数対の環状コイルを軸方向に離して収納し、コイル容器の開口部に撮像磁場を形成する水平磁場型と称される磁気共鳴イメージング装置及び電磁石装置に関する。
磁気共鳴イメージング (MRI:Magnetic Resonance Imaging) 装置は、撮像領域の磁場内に置かれた被検体に高周波パルスを照射したときに生じる核磁気共鳴現象を利用して被検体の物理的、化学的性質を表すMR像を得ることができ、特に、医療診断に用いられている。このようなMRI装置は、一般に、被検体が搬入される撮像領域内に均一な静磁場を印加するための磁石装置と、撮像領域に向けて高周波パルスを照射するRFコイルと、撮像領域からの核磁気共鳴信号を受信する受信コイルと、核磁気共鳴信号に空間位置情報を与えるための傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイルとを備えて構成されている。被検体から発生される核磁気共鳴信号は撮像領域の静磁場強度に相関していることから、MR像の空間(位置)解像度を高めるために、磁石装置が発生する静磁場強度に要求される均一精度は、磁場強度の百万分の1程度の誤差が問題にされる。
このようなMRI装置における撮像領域の磁場は、大別して次の3種類の磁場により構成される。
(1)静磁場
時間的に定常で空間的にも一定な磁場で、通常0.1から数テスラ以上の強さであり、撮像空間(通常直径で30〜40cmの球もしくは楕円球の空間)内で、数ppm程度の誤差範囲に押さえることが要求される。
(2)傾斜磁場
磁気共鳴信号に空間位置情報を付与するための磁場であり、例えば直交3軸方向にそれぞれ傾斜を有する磁場で、例えば1秒程度以下の時定数で変化する磁場である。
(3)高周波磁場
被検体内の特定の原子を選択的に励起させる特定の周波数(数kHz以上)の電磁波の高周波パルスにより形成される。
静磁場は、通常、永久磁石もしくはコイルに電流を流して磁界を発生する電磁石により形成される。さらに、撮像空間の静磁場を均一にするために、磁性体を適宜配置して磁場を補正する。このような静磁場中に被検体を位置させて、高周波磁場を印加することにより、静磁場強度と高周波磁場の周波数によって特定される原子が選択的に励起されて被検体から核磁気共鳴信号が出力される。その核磁気共鳴信号が発生した被検体の部位の位置情報を付与するために、3次元の傾斜磁場を印加する。この傾斜磁場は、数Hzから100kHz程度まで、時間的に変化するパルス磁場であり、通常、3種類の傾斜磁場コイルに時間的に変動する電流を流すことによって発生する。
従来、MRI用の磁石装置として、円筒状のコイル容器内に軸方向に離して複数の円形コイルを収納し、コイル容器の内筒より内側の撮像空間に均一な静磁場を形成するように構成された水平磁場型と称されるMRI装置が知られている。この場合、撮像領域となる均一磁場空間は、円筒状のコイル容器より内側の撮像空間に形成される。このため、被検体はコイル容器の軸と直交する円形断面の狭い撮像空間(開口部)に置かれることになる。通常、被検体である患者は仰向けになって寝た姿勢で撮像されるから、上下方向に比べて、コイル容器の軸と直交する水平方向において広い撮像空間が必要となる。しかし、上記軸と直交する、撮像空間の縦断面が円形断面である場合は、被検体の上下に無駄な空間が生じる一方、被検体の左右側が狭くなるため、患者がストレスを感じる。
そこで、このようなストレスを緩和するため、MRI装置には、できるだけ広く、開放的な撮像空間を形成することが要請されている。しかし、単に、被検体に合わせて撮像空間を左右に大きくすると、円形コイルの直径が大きくなり、静磁場均一度の調整が煩雑になるとともに、磁気エネルギーが増大して、コイル支持や保護構造の強度を増加させる必要があり、MRI装置の大型化につながるという問題がある。
一方、特許文献1及び非特許文献1には、コイルの断面形状を楕円形にして、被検体が挿入される撮像空間の左右の寸法を広げることにより、開放的な横長の撮像空間を形成することが提案されている。
しかし、非特許文献1に記載のように、楕円形の横長の撮像空間を形成する場合、上下方向の無駄な空間を減らそうとすると、楕円形の撮像空間は、楕円の性質から左右の端部において上下方向の幅が狭くなる。このため、被検体を左右に移動できる範囲が狭くなる。この課題は、特許文献1に記載されたMRI装置においても生じる。
本発明は、被検体の撮像範囲を拡大でき、小型化できる磁気共鳴イメージング装置及び電磁石装置を提供できることを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明の磁気共鳴イメージング装置は、被検体が挿入される開口部を形成する内筒と該内筒に同軸に設けられた外筒とを有してなる環状のコイル容器と、前記コイル容器内に収納され前記開口部に撮像磁場を形成する複数の環状コイルとを備えてなる磁気共鳴イメージング装置において、
前記複数の環状コイルは、環状の縦横比が異なる扁平に形成され、前記撮像磁場を中心として前記コイル容器の軸方向の対称位置の同軸上に、それぞれ扁平方向を合わせて配置された複数対の環状コイルを有し、前記複数対の環状コイルのうち少なくとも一対の環状コイルの縦横比が他の環状コイルの縦横比と異なる非相似形に形成される。
すなわち、少なくとも一対の環状コイルの縦横比が他の環状コイルの縦横比と異なる非相似形に形成することにより、各対の環状コイルがそれぞれ形成する非軸対称の磁場を組み合わせて非軸対称成分を互いに補完し合うことができるから、あるいは打ち消し合うことができるから、環状コイルを環状の縦横比が異なる扁平に形成しても、撮像空間の静磁場の均一度を調整することができる。また、環状コイルを扁平に形成できるから、これに合わせて開口部を扁平に形成できるので、被検体の撮像範囲を拡大することができ、拡大された撮像範囲において鮮明なMRI像を得ることができる。
少なくとも一対の環状コイルの縦横比が他の環状コイルの縦横比と異なる非相似形に形成する場合において、前記撮像磁場の中心に近い前記一対の環状コイルの縦横比が、該中心から遠い前記一対の環状コイルの縦横比よりも小さく形成することができる。
また、本発明において、前記複数対の環状コイルのうち少なくとも一対の環状コイルの電流方向が他の環状コイルの電流方向の逆にすることができる。これにより、例えば、主コイルとシールドコイルの電流方向は逆の関係にあるから、一対の主コイルが形成する非軸対称磁場の成分を打ち消すように、一対のシールドコイルの形状及びターン数を設計する。さらに、この場合、前記シールドコイルの縦横比が前記主コイルの縦横比よりも大きく形成することができる。
さらに、前記複数対の環状コイルの内側領域と外側領域に磁性体を配置し、該磁性体は、扁平環状の横方向の外側領域に内側領域よりも多く配置され、扁平環状の縦方向の内側領域に外側領域よりも多く配置することができる。これにより、非軸対称の静磁場を弱めたい方位の環状コイルの内側に磁性体を配置することにより、軸対称の均一な静磁場空間を形成することができる。逆に、静磁場を強めたい方位の環状コイルの外側に配置することにより、軸対称の均一な静磁場空間を形成することができる。
ところで、円形コイルが作る磁場分布はコイル軸に関して軸対称であるから、均一磁場の設計は複数の環状コイルの軸方向のコイル配置のみを考えるだけで最適化できる。しかし、本発明の具体例に用いられる環状コイル、すなわち、内筒を挟んで上下方向で対向するコイル部間の第1距離よりも、内筒を挟んでコイル容器の軸と直交する水平方向で対向するコイル部間の第2距離が長くなるように構成された環状コイルが作る磁場分布は、コイル軸に関して非軸対称になるから、径方向の磁場を均一化する工夫が必要である。
ここで、非特許文献1のようなコイル断面が楕円形の環状コイルの場合、楕円の曲率は連続的に変化するからコイル形状を関数で表すことができ、磁場分布の解析が容易である。したがって、コイル軸に関して軸対称の磁場を生成するために、縦横比(アスペクト比)が異なる複数の楕円形の環状コイルの組み合わせを解析的に求めることが可能である。しかし、本発明の具体例に用いられる上記の環状コイルの場合は、コイル周回方向の曲率が不連続に変化する部分を含むから、コイル形状を簡単な一律の関数で表すことができない。したがって、非特許文献1の磁場均一化手法をそのまま適用できない。なお、環状コイルの縦横比とは、第1距離を第2距離で割った値である。
そこで、本発明に用いられる好ましい電磁石装置の撮像空間の静磁場の均一度は、次に述べる3つの手法を単独又は組み合わせて調整する。
(1)環状コイルの形状等による静磁場の均一度調整
複数対の環状コイルの少なくとも一対の環状コイルを、他の環状コイルと非相似形に形成することにより、各対の環状コイルがそれぞれ形成する非軸対称の磁場を組み合わせて、非軸対称成分を互いに補完し合うことにより、あるいは打ち消し合うことにより、撮像空間の静磁場の均一度を調整することができる。
例えば、複数対の環状コイルの構成が、静磁場を発生する少なくとも一対の主コイルと、その主コイルの漏れ磁場を抑制する一対のシールドコイルとを含んでいる場合、主コイルとシールドコイルの電流方向は逆の関係にあるから、一対の主コイルが形成する非軸対称磁場の成分を打ち消すように、一対のシールドコイルの形状及びターン数を設計する。例えば、シールドコイルの縦横比を、主コイルの縦横比よりも大きく、すなわち、シールドコイルを円形に近い形に形成し、主コイルを横長に形成する。
また、コイルに流す電流の向きが異なるコイルと、相似形でない非円形コイルを組み合わせることにより、撮像空間の静磁場の均一度を調整することができる。
また、複数対の環状コイルのうち、静磁場の撮像空間に近い一対の環状コイルの縦横比を、他の環状コイルの縦横比に対して小さく形成することにより、撮像空間の静磁場の均一度を調整することができる。
(2)磁性体による静磁場の均一度調整
鉄等の軟磁性材の磁性体は、磁場中に配置されると磁化されて磁場を発生する起磁力源となる。例えば、一対の環状コイルで定義される仮想筒状領域の内側に磁性体を配置すると、撮像領域の静磁場を弱めるように作用する。また、仮想筒状領域の外側に磁性体を配置すると、撮像領域の静磁場を強めるように作用する。
したがって、非軸対称の静磁場を弱めたい方位の仮想筒状領域の内側に磁性体を配置することにより、軸対称の均一な静磁場空間を形成することができる。逆に、静磁場を強めたい方位の仮想筒状領域の外側に配置することにより、軸対称の均一な静磁場空間を形成することができる。
(3)シミングによる静磁場の均一度の微調整
上記の(1)、(2)の調整後に、コイルや磁性体の設置精度による微細な不均一を調整するため、周知のように、磁性体片を撮像領域に近い位置に配置するシミングにより静磁場不均一を補正する。
本発明によれば、被検体の撮像範囲を拡大でき、かつ小型化できる磁気共鳴イメージング装置及び電磁石装置を得ることができる。
以下、本発明の磁気共鳴イメージング装置を実施例に基づいて説明する。
本発明の好適な一実施例である磁気共鳴イメージング装置(MRI装置と称する)を、図1〜図3を用いて説明する。本実施例のMRI装置は、電磁石装置16を有するガントリー15を備えている。電磁石装置16は、非円形に形成された複数対の環状コイルを筒状のコイル容器1に収納して形成されている。真空容器であるコイル容器1は、外筒2と内筒3の両端を側板4で閉鎖して構成されている。外筒2と内筒3との間に、環状空間が形成される。ガントリー15は、被検体を支持した寝台(図示せず)が挿入される、撮像空間である開口部5を形成している。開口部5は、貫通孔であり、内筒3の内側に形成される。複数対の環状コイルは、コイル容器1内の環状空間に配置されたヘリウム容器(図示せず)内に収納された超電導コイルであり、開口部5を取り囲んでいる。そのヘリウム容器は、内部に複数対の環状コイルを超伝導状態に保つために液体ヘリウムを充填している。コイル容器1は断熱のために内部が真空雰囲気となっている。そして、複数対の環状コイルによって、開口部5に磁気共鳴撮像用の静磁場を形成するようになっている。なお、内筒3の、コイル容器1の軸、すなわち開口部5の軸に直交する縦断面形状は、レーストラック状の横長形状に形成することが望ましい。一方、外筒2の、開口部5の軸に直交する縦断面形状は、内筒3と相似形である必要はなく、複数対の環状コイルを収納可能に形成される。
ガントリー15は、図示されていないが、コイル容器1の内側、外側及び側面にそれぞれカバーを設置している。すなわち、外カバー(図示せず)が、外筒2の外側に配置され、外筒2を取り囲んでいる。内カバー(図示せず)が、内筒3の内側に配置され、内筒3の内面を覆っている。このため、開口部5は、内カバーの内面によって形作られている。コイル容器1の両端に設けられたそれぞれの側板4を覆うように側面カバー(図示せず)が2枚設置される。これらの側面カバーは、外カバー及び内カバーの両端に別々に設けられる。
筒状のカバー、外筒2及び内筒3は、水平方向に伸びている。このため、開口部5及びコイル容器1の軸も、水平方向(第1水平方向)に延びている。
コイル容器1の内筒3の、開口部5の軸に直交する縦断面形状について、詳細に説明する。内筒3の、コイル容器1の軸、すなわち開口部5の軸と直交する水平方向(以下、単に、第2水平方向という)で対向する内面17間の距離は、上下方向で対向する内面17間の距離よりも長くなっている。内面17に、図2(A)に示すように、a〜fの6点の位置を付している。内面17は、上下方向に対向する一対の第1面(直線部b−c及び直線部e−f)、及び第2水平方向に対向する一対の第2面(円弧部b−a−f及び円弧部c−d−e)を含んでいる。第1面は第2水平方向に形成され、第2面は上下方向に形成される。一対の第1面は一対の第2面にそれぞれつながっている。円弧部b−a−f及び円弧部c−d−eは、開口部5の軸心Oから第2水平方向にずれた位置に中心O1、O2を有する半円である。円弧部b−a−f及び円弧部c−d−eは、曲線部の一種である。直線部b−c及び直線部e−fは、円弧部b−a−f及び円弧部c−d−eよりも曲率の大きな曲線部にすることも可能である。例えば、円弧部b−a−f及び円弧部c−d−eの半径を半円よりも大きくする。この場合には、直線部b−c及び直線部e−fの長さは半円の場合よりも長くする必要がある。
また、内面17は、第2水平方向において、円弧部a−b、直線部b−c及び円弧部c−dによって形成された第1面及び円弧部d−e、直線部e−f及び円弧部f−aによって形成された第2面を有しているとも言える。これらの第1面及び第2面は、上下方向で対向して配置され、円弧部a−bと円弧部f−aでつながり、円弧部c−dと円弧部d−eでつながっている。直線部b−cは、円弧部d−eと円弧部f−aの間に配置され、これらの円弧部とつながっている。直線部e−fは、円弧部d−eと円弧部f−aの間に配置され、これらの円弧部とつながっている。
ガントリー15の図示されていない内カバーの、開口部5の軸に直交する縦断面形状は、前述したコイル容器1の内筒3の、開口部5の軸に直交する縦断面形状よりも小さくなっており、後者の形状と相似形をしている。内カバーの、第2水平方向で対向する内面間の距離(開口部5の幅)は、上下方向で対向するその内面間の距離(開口部5の幅)よりも大きくなっている。内カバーの内面は、内面17と同様に、上下方向に対向し第2水平方向において直線部を形成する一対の第1面、及び一対の第1面にそれぞれつながって第2水平方向に対向し軸方向において円弧部を形成する一対の第2面を含んでいる。第1面は第2水平方向に形成され、第2面は上下方向に形成される。また、内カバーの内面は、内面17と同様に、第2水平方向において、一対の第1曲線部及びこの一対の第1曲線部に挟まれてこれらの第1曲線部につながる直線部によって形成される第1面、及びこの第1面と軸方向で対向して第1面につながり、第2水平方向において、一対の第1曲線部及びこの一対の第1曲線部に挟まれてこれらの第1曲線部につながる直線部によって形成される第2面を含んでいる。
電磁石装置15によって、図2(A)に示すように、開口部5の中央部(開口部5の軸心付近)に位置する撮像領域6に均一な静磁場が形成される。この撮像領域6は、一般に球形領域であるが、本実施例では、縦断面の形状を横長の開口部5に合わせて扁平状に形成している。しかし、これに限られるものではない。寝台に支持された被検体7を開口部5内に挿入して、このように形成される撮像領域6内に被検体7の撮像部位を合わせて、MR像を取得する。このとき、被検体7の左右に十分な空間を確保できるから、被検体7は閉塞感などのストレスを受けることがない。なお、開口部5の横幅が十分に広いから、図2(B)に示すように、被検体7を第2水平方向にずらして、どの位置にある撮像部位でも撮像領域6の中心に合わせるように運用することができる。例えば、通常撮像し難い肩部、特に腕と肩との関節付近(例えば腋の下)を撮像領域6の中心に位置させることができ、その部位の鮮明なMR像を得ることができる。
電磁石装置16のコイル容器1内の環状空間に配置された複数対の環状コイルの具体的な構造を、図3〜図9を参照して説明する。図3において、コイル軸8(開口部の軸心Oと一致)と直交する第2水平方向をX軸、コイル軸8に直交する上下方向をY軸、コイル軸8をZ軸とする。図5には、撮像領域6を参考のため円形で示している。
図3、図5に示すように、本実施例の複数対の環状コイルは、撮像領域6を取り囲んで、コイル軸8方向に離して対称に配置された二対の主コイルMC1,MC2と、一対のシールドコイルSC1を有して構成されている。それらのコイルは、全て、対向する一対の円弧部11を一対の直線部12でそれぞれ連結したレーストラック状に形成されており、内筒3と外筒2との間に配置されている。内筒3を取り囲んで配置された主コイルMC1は、撮像領域6の静磁場を主に発生する環状コイルである。内筒3の外側で撮像領域6の近く配置された主コイルMC2は、静磁場補正用の環状コイルである。シールドコイルSC1は、主コイルMC1,MC2の漏れ磁場を抑制する環状コイルである。これらの複数対の環状コイルは、例えば、直列に接続され、同一値の電流が流されるようになっている。また、各対の環状コイルが発生する磁場は、各環状コイルのターン数を変えて調整されている。また、シールドコイルSC1には、主コイルMC1,MC2と逆方向の電流を流す向きに直列接続されている。また、図5に示すように、シールドコイルSC1は、主コイルMC1と軸方向のほぼ同一位置に配置されている。なお、図3には示されていないが、図5に示すように、主コイルMC1,MC2の間に一対のシムコイルCC1が配置されている。
主コイルMC1,MC2及びシールドコイルSC1の具体的な構造を、主コイルMC1を例に取り、図4を用いて説明する。
主コイルMC1は、内筒3を挟んで上下方向で対向するコイル部間の第1距離よりも、内筒3を挟んで第2水平方向で対向するコイル部間の第2距離が長くなるように構成されている。主コイルMC1は、上下方向で対向する一対の第1コイル部(直線部b−c及び直線部e−f)、及び第2水平方向で対向する一対の第2コイル部(円弧部b−a−f及び円弧部c−d−e)を含んでいる。第1コイル部は第2水平方向に形成され、第2コイル部は上下方向に形成される。それぞれの第1コイル部は各第2コイル部につながっている。円弧部b−a−f及び円弧部c−d−eは、開口部5の軸心Oから第2水平方向にずれた位置に中心を有する半円である。
また、主コイルMC1は、第2水平方向において、円弧部a−b、直線部b−c及び円弧部c−dによって形成された第コイル部及び円弧部d−e、直線部e−f及び円弧部f−aによって形成された第2コイル部を有しているとも言える。これらの第1コイル部及び第2コイル部は、上下方向で対向して配置され、円弧部a−bと円弧部f−aでつながり、円弧部c−dと円弧部d−eでつながっている。直線部b−cは、円弧部d−eと円弧部f−aの間に配置され、これらの円弧部とつながっている。直線部e−fは、円弧部d−eと円弧部f−aの間に配置され、これらの円弧部とつながっている。
主コイルMC2及びシールドコイルSC1も、主コイルMC1と同様な構成を有する。
一方、図6に示すように、主コイルMC1,MC2の、それぞれの一対の第1コイル部間の距離はほぼ同じであるが、それぞれの一対の第2コイル部間の距離がMC1<MC2に形成されているため、(MC1の縦横比)>(MC2の縦横比)になっている。つまり、撮像領域6に近い一対の主コイルMC2の縦横比を、主コイルMC2よりも撮像領域6に近い主コイルMC1の縦横比に対して小さくする。
このように(MC1の縦横比)>(MC2の縦横比)の関係に構成することにより、それら二対の主コイルMC1,MC2により形成される静磁場分布を図6に等高線で示す。同図において、×印が示された領域は、磁場が弱くなっている領域である。二対の主コイルMC1,MC2により発生される磁場強度は十分であるが、図6に示すように、撮像領域6の中心部が高い分布となり、周回方向にも均一となっていない分布となる。つまり、等高線と撮像領域6の円が交わっているから、第2水平方向では周辺で磁場が強く、上下方向では磁場が弱くなっている。
一方、シールドコイルSC1は、主コイルMC1,MC2の外形よりも十分に大きく形成されている。このシールドコイルSC1単独による磁場分布を図7に示す。図示のように、シールドコイルSC1は逆向の磁場を発生するため、撮像領域6の中心部の磁場を弱める磁場分布を作る。つまり、主コイルMC1,MC2が作る第2水平方向及び上下方向の磁場分布を打ち消す方向の磁場を作る。シールドコイルSC1は、主コイルMC1,MC2のそれぞれの縦横比よりも大きくなっている。
図8に、主コイルMC1,MC2とシールドコイルSC1を合成した磁場分布を示す。同図に示すように、撮像領域6の中心部の磁場が弱められ、比較的均一な磁場分布になる。図示例では、撮像領域6の周辺で、上下方向に対して第2水平方向の磁場が若干強い状態となっており、周回方向の磁場分布も均一ではない。
図8のような上下方向及び第2水平方向の磁場分布の補正は、主コイルMC1,MC2とシールドコイルSC1の縦横比を変えることによって調整できるが、本実施例では、開口部5を横長にすることを主眼とし、シムコイルCC1によって上下方向及び第2水平方向の磁場分布の不均一を補正するようにしている。このシムコイルCC1により、図8の磁場分布は、図9に示すように、撮像領域6を含む広い領域の静磁場を均一にすることができる。つまり、シムコイルCC1に、図8の第2水平方向に横長の磁場分布を平坦にする磁場分布を持たせることにより、図9に示すように、長めの横長領域に均一な静磁場を作ることができる。
本実施例のように、複数対の環状コイルの形状、ターン数及び電流方向等を異ならせることにより、レーストラック状のコイル群により形成される静磁場の均一度を調整できる。例えば、一対の主コイルMC1を、主コイルMC2及びシールドコイルSC1の形状と非相似形に形成することにより、それらの環状コイルが形成する非軸対称の磁場を互いに補完し合い、あるいは打ち消し合うことにより、撮像空間の静磁場の均一度を調整することができる。
また、上記実施例に代えて、例えば、シールドコイルSC1の縦横比を、主コイルMC1,MC2の縦横比よりも小さく、すなわち、シールドコイルを横長に形成することができる。また、コイルに流す電流の向きが異なるコイルと、相似形でないレーストラック状コイルを組み合わせることにより、撮像空間の静磁場の均一度を調整することができる。
本実施例のMRI装置は、内カバーの内面の、開口部5の軸に直交する縦断面形状が、前述したようなレーストラック状の形状をしているため、開口部5の上下方向の幅を、第2水平方向における開口部5の両端部においても、寝台に載置された被検体を移動できる程度に十分に広くできる。従って、被検体7のどの位置にある撮像部位でも撮像領域6の中心に位置合せでき、前述したように、その部位の鮮明なMR像を得ることができる。特に、腕と肩との関節付近でも鮮明なMR像を得ることができる。
楕円形の撮像空間で本実施例と同様な撮像範囲を実現しようとすると、楕円形の撮像空間は前述したように左右の端部での上下方向の幅が狭くなるため、第2水平方向における撮像空間の幅を本実施例でのその幅よりも大きくしないと、腕と肩との関節付近を撮像領域の中心に位置させることができない。換言すれば、本実施例における開口部5の第2水平方向における幅を、楕円形状の開口部のそれよりも狭くできる。このため本実施例は、電磁石装置のコイル容器1の大きさが小さくなり、MRI装置を小型化できる。
レーストラック状の形状の開口部5を形成できる本実施例のMRI装置は、撮像空間断面の開放感を持たせることができ、被検体7がストレスを感じることなく開放的な雰囲気で撮像を行うことができる。また、医師や検査技術者からみても、開口部5内の被検体2にアクセスしやすい開放的なMRI装置とすることができる。
本実施例で用いられる環状コイルは、一対の円弧部を一対の直線部で連結したレーストラック状の形状をしているため、コイルの製造工程を簡単化できる。
なお、ガントリーの内カバーの内面形状をレーストラック状の形状にできるのは、主コイルMC1、主コイルMC2及びシールドコイルSC1がレーストラック状の形状になっており、コイル容器1の内筒3の内面もレーストラック状の形状になっていることが貢献している。
また、本実施例では、図4に示すレーストラック状の環状コイルを適用した例を説明したが、図4の構造の替りに、図10に示すレーストラック状の環状コイルを用いても良い。つまり、図10のレーストラック状の環状コイルは、第2水平方向で対向する一対の円弧部a−b及びc−dと、この一対の円弧部a−b及びc−dを曲線部a−d及びb−cで連結して形成される。なお、それらの曲線部は、その円弧部の半径よりも大きな半径の1つ又は複数の円弧により形成することができる。また、円弧部は、図10に示すような180度の円弧に限らず、少なくとも90度以上の円弧であれば、第2水平方向両端の上下方向の開口部寸法を楕円よりも大きくして、撮像空間断面の開放感を持たせることができる。
以上に述べたそれぞれの曲線部は、いずれも開口部5の外側に向かって凸になるように形成される。
ここで、コイルに流す電流の向きが異なるコイルと、相似形でないレーストラック状コイルを組み合わせることにより、撮像空間の静磁場の均一度を調整する実施例1に代えて、又は実施例1に加えて、磁性体を配置して静磁場の均一度を調整する実施例2のMRI装置について説明する。
図11(A)〜(C)に、磁性体を配置して静磁場の均一度を調整する例をそれぞれ示す。図11(A),(B)においては、レーストラック状に形成された一対の主コイルMC1,MC2を一括して、一対の静磁場発生コイル21として示している。また、図11(C)においては、レーストラック状に形成された一対の主コイルMC1,MC2を一対の静磁場発生コイル21とし、一対のシールドコイルSC1を一対の静磁場発生コイル22として示している。
前述したように、鉄等の軟磁性材の磁性体は、磁場中に配置されると磁化されて磁場を発生する起磁力源となるため、一対の静磁場発生コイル21、22との位置関係によって、撮像領域6の磁場を強めたり弱めたりすることができる。
例えば、図11(A)において、一対の静磁場発生コイル21を結んで形成される仮想筒状領域の内側(静磁場発生コイル21より内側)に磁性体25を配置すると、撮像領域6の静磁場を弱めるように作用する。また、仮想筒状領域の外側(静磁場発生コイル21より外側)に磁性体26を配置すると、撮像領域6の静磁場を強めるように作用する。つまり、仮想筒状領域の内側と外側に配置する磁性体25,26の位置及び体積を調整することによって、軸対称の均一な静磁場空間を形成することができる。
例えば、図11(A)の例では、一対の円弧部21aに近い撮像領域の磁場は、直線部21bに比べて強いことから、円弧部21aの内側に磁性体25を多めに配置して弱められている。また、直線部21bに近い撮像領域6の磁場は、円弧部21aに比べて弱いことから、直線部21bの外側に磁性体26を多めに配置している。また、円弧部21aの外側及び直線部21bの内側には、少な目の磁性体25,26を配置している。なお、磁性体25,26の形状は、板状又は棒状などの他、種々の形状を採用できる。
図11(B)の例では、図11(A)における円弧部21aの外側及び直線部21bの内側の磁性体25,26を削除した例である。また、図11(C)の例のように、静磁場発生コイル21と静磁場発生コイル22の仮想円筒状領域により形成される空間に、磁性体27を配置することができる。
図11に示したように、非軸対称性の静磁場を弱めたい方位の仮想筒状領域の内側に磁性体を配置し、静磁場を強めたい方位の仮想筒状領域の外側に配置することにより、非軸対称性の静磁場を補正して、軸対称の均一な静磁場空間を形成することができる。
本実施例は、実施例1で生じる効果も得ることができる。
また、実施例1と実施例2を組み合わせて、非軸対称な磁場成分を補正することにより、撮像空間内の磁場の不均一性を数ppmオーダまで低減できる。
さらに、実施例1、2による磁場調整後に、コイルや磁性体の設置精度による微細な不均一を調整するため、周知のように、小さな磁性体片を撮像領域に近い位置に配置するシミングにより静磁場不均一を補正することができる。
以上説明した実施例1、2によれば、被検体の左右に十分な空間を確保できるとともに、撮像領域に均一な静磁場を形成することができる。しかし、複数対の環状コイルをレーストラック状に形成すると、これに伴ってコイル容器の開口部及びガントリーの開口部の、開口部5の軸と直交する縦断面もレーストラック状となるから、傾斜磁場コイルの形状及び配置が問題となる。
すなわち、本発明の他の実施例である実施例3のMRI装置に用いられる電磁石装置の断面は、図11に示すように、外筒2及び縦断面がレーストラック状の内筒3を有するコイル容器1内に、レーストラック状の主コイル21及びシールドコイルSC1が収納され、主コイル21が形成する仮想筒状領域の内側と外側に磁性体配置領域33,34が設けられる。主コイル21及びシールドコイルSC1は超電導コイルであり、ヘリウム容器に収納されている。そして、コイル容器1の内筒3の内側に、点線で示した筒状の傾斜磁場コイルの配置領域35が設けられる。さらに、傾斜磁場コイルの配置領域35には、図示していないが、高周波磁場を印加するとともに核磁気共鳴信号を受信するアンテナ、シミング用の磁性片配置領域などが設けられる。さらに、図示していないが、実施例1で述べたカバーがコイル容器1の周囲を取り囲んでいる。このカバーの一部である筒状の内カバーが、配置領域35を内側から覆うように配置されている。
配置領域35に配置された傾斜磁場コイル(図示せず)は、図12に示したX,Y軸方向に傾斜した磁場を撮像領域6に印加して、核磁気共鳴信号にX,Y軸方向の位置情報を付与する。一般に、傾斜磁場コイルは、X軸傾斜磁場コイルと、Y軸傾斜磁場コイルが設けられる。また、図示していないが、Z軸方向に傾斜した磁場を撮像領域に印加するZ軸傾斜磁場コイルが設けられる。
本実施例では撮像空間を横長に形成したことから、図12から明らかなように、撮像領域の中心Oを基準にX,Y軸方向に同じ傾斜を有する磁場を発生する必要がある。しかし、上下(Y軸)方向と水平(X軸)方向の傾斜磁場コイルは、中心Oまでの距離が異なることから、特性が異なった傾斜磁場コイルを形成しなければならない。このように特性が異なった2つの傾斜磁場コイルを用いても、それらのコイルに流す通電波形を電源により調整することにより、所望の傾斜磁場を形成することは可能である。しかし、2つの傾斜磁場コイルの応答特性が異なると、高速に傾斜磁場の応答を要求するMRI装置では撮像に影響が生ずる場合がある。
そこで、図13に示すように、X方向には広がっているが、X=0の面に対して対称の場合には傾斜磁場方向を45度傾いた方向とし、互いには90度異なった方向に傾いている2つの傾斜磁場コイルとすることにより、2つの傾斜磁場コイルの形状を同一にすることができる。その結果、2つの傾斜磁場コイルのインダクタンスや抵抗を同一にでき、特性を同じにできる。本実施例の傾斜磁場コイルによれば、電源の性能限界に近い高速な応答を要求する場合でも、傾斜磁場の方向に依存しない傾斜磁場応答性能を得ることができる。
本実施例は、実施例1及び2で生じる効果も得ることができる。
前述の各実施例は、開口部5の外面、すなわち内カバーの内面が、上下方向に対向し第2水平方向において直線部を形成する一対の第1面、及び一対の第1面にそれぞれつながって第2水平方向に対向し軸方向において円弧部を形成する一対の第2面を含んでいるガントリーを用いたMRI装置に対するものである。その内カバーの内面の形状を変えた他のMRI装置の構成を、図14を用いて以下に説明する。
図14(A)に示すMRI装置27は、ガントリー15Aを備えている。ガントリー15Aは、電磁石装置を有し、電磁石装置のコイル容器の表面をカバーで覆っている。カバーは、筒状の外カバー28、筒状の内カバー29、及び一対の側面カバー31を含んでいる。内カバー29は、コイル容器の内側に位置してコイル容器の内面を覆い、内面30によって開口部5を形作っている。外カバー28は、コイル容器の外面を覆っている。側面カバー31は、コイル容器の側板の表面を覆い、外カバー28及び内カバー29の両端に設置されている。
内カバー29の内面30の、開口部5の軸に直交する縦断面形状について説明する。内カバー29の、第2水平方向で対向する内面30間の距離(開口部5の幅)は、上下方向で対向する内面30間の距離よりも長くなっている。内面30は、上下方向に対向する一対の第1面(曲線部b−c及び曲線部e−f)、及び第2水平方向に対向する一対の第2面(円弧部b−a−f及び円弧部c−d−e)を含んでいる。第1面は第2水平方向に形成され、第2面は上下方向に形成される。一対の第1面は一対の第2面にそれぞれつながっている。円弧部b−a−f及び円弧部c−d−eは、開口部5の軸心Oから第2水平方向にずれた位置に中心O1、O2を有する半円である。曲線部b−c及び曲線部e−fは、例えば、円弧部b−a−f及び円弧部c−d−eよりも曲率(半径)の大きな円弧部である。
また、内面30は、第2水平方向において、円弧部a−b、曲線部b−c及び円弧部c−dによって形成された第1面及び円弧部d−e、曲線部e−f及び円弧部f−aによって形成された第2面を有しているとも言える。これらの第1面及び第2面は、上下方向で対向して配置され、円弧部a−bと円弧部f−aでつながり、円弧部c−dと円弧部d−eでつながっている。曲線部b−cは、円弧部d−eと円弧部f−aの間に配置され、これらの円弧部とつながっている。曲線部e−fは、円弧部d−eと円弧部f−aの間に配置され、これらの円弧部とつながっている。
MRI装置27に用いられるコイル容器の内筒の内面の、開口部5の軸に直交する縦断面形状は、内面30のその縦断面形状と相似形をしている。
図14(B)に示すMRI装置27Aは、ガントリー15Bを備えている。ガントリー15Bは、コイル容器の表面を覆うカバーとして、MRI装置27のうちカバー29の替りに筒状の内カバー29Aを用いたものである。
内カバー29Aの内面30Aの、開口部5の軸に直交する縦断面形状について説明する。第2水平方向で対向する内面30A間の距離は、上下方向で対向する内面30A間の距離よりも長くなっている。内面30Aは、上下方向に対向する一対の第1面(曲線部a−b、直線部b−c及び曲線部c−dにて形成される面、及び曲線部e−f、直線部f−g及び曲線部g−hにて形成される面)、及び第2水平方向に対向する一対の第2面(直線部a−h及び直線部d−e)を含んでいる。第2水平方向に形成される一対の第1面は、上下方向に形成される一対の第2面は、それぞれつながっている。本実施例における曲線部は例えば円弧部である。
MRI装置27Aに用いられるコイル容器の内筒の内面の、開口部5の軸に直交する縦断面形状は、内面30Aのその縦断面形状と相似形をしている。
図14(C)に示すMRI装置27Bは、ガントリー15Cを備えている。ガントリー15CBは、コイル容器の表面を覆うカバーとして、MRI装置27のうちカバー29の替りに筒状の内カバー29Bを用いたものである。
内カバー29Bの内面30Bの、開口部5の軸に直交する縦断面形状について説明する。第2水平方向で対向する内面30B間の距離は、上下方向で対向する内面30B間の距離よりも長くなっている。内面30Bは、上下方向に対向する一対の第1面(曲線部a−b−c及び曲線部d−e−f)、及び第2水平方向に対向する一対の第2面(曲線部b−a−f及び曲線部c−d−e)を含んでいる。第2水平方向に形成される一対の第1面は、上下方向に形成される一対の第2面は、それぞれつながっている。本実施例における曲線部は例えば円弧部である。
また、内面30Bは、第2水平方向において、曲線部a−b、曲線部b−c及び曲線部c−dによって形成された第1面及び曲線部d−e、曲線部e−f及び曲線部f−aによって形成された第2面を有しているとも言える。これらの第1面及び第2面は、上下方向で対向して配置され、曲線部a−bと曲線部f−aでつながり、曲線部c−dと曲線部d−eでつながっている。曲線部b−cは、曲線部d−eと曲線部f−aの間に配置され、これらの曲線部とつながっている。曲線部e−fは、曲線部d−eと曲線部f−aの間に配置され、これらの曲線部とつながっている。曲線部b−c、e−fは、曲線部b−a−f、c−d−eよりも曲率が大きくなっている。例えば、曲線部b−c、e−f、及び曲線部b−a−f、c−d−eは、それぞれ円弧部であり、曲線部b−c、e−fの半径は曲線部b−a−f、c−d−eの半径よりも大きくなっている。
MRI装置27Bに用いられるコイル容器の内筒の内面の、開口部5の軸に直交する縦断面形状は、内面30Bのその縦断面形状と相似形をしている。
上記した内面30,30A,30Bの、開口部5の軸に直交する縦断面形状は、レーストラック状の形状である。MRI装置27,27A,27Bの各コイル容器内に設置された、それぞれの一対の主コイルMC1,一対の主コイルMC2、及び一対のシールドコイルSC1の、開口部の軸方向から見た形状も、大きさは異なるが該当する内面30,30A,30Bのレーストラック状の形状と類似したレーストラック状の形状を有している。
上記したそれぞれの内筒の内面形状を有するMRI装置27,27A,27Bは、実施例1で生じる効果を得ることができる。
本発明の一実施例であるMRI装置の電磁石装置の主要部外観を斜視図である。
図1に示す電磁石装置を用いた撮像時の被検体と撮像領域との関係を示す概念図である。
図1に示す電磁石装置の複数対の環状コイルの構成を示す斜視図である。
図3に示す環状コイルのうちの主コイルMC1をコイル軸方向から見た図である。
本発明の他の実施例の複数対の環状コイルの構成をコイル軸の直交方向から見た図である。
図5の複数対の環状コイルをコイル軸方向から見た図及び2つの主コイルにより形成される撮像領域の磁場分布の一例を示す図である。
図5のシールドコイルにより形成される撮像領域の磁場分布の一例を示す図である。
図5の2つの主コイル及びシールドコイルにより形成される撮像領域の磁場分布の一例を示す図である。
図8の磁場分布をシムコイルにより補正した後の撮像領域の磁場分布の一例を示す図である
環状コイルの変形例を説明する図である。
本発明の他の実施例である実施例2のMRI装置における、磁性体を配置した電磁石装置の構成を示す説明図である。
本発明の他の実施例である実施例3のMRI装置における、傾斜磁場コイルを配置した電磁石装置の構成を示す説明図である。
図12に示す電磁石装置に係る傾斜磁場コイルの実施例を説明する図である。
本発明の他の実施例であるMRI装置のガントリーの開口部軸方向から見た図である。
符号の説明
1 コイル容器(真空容器)
2 外筒
3 内筒
5 開口部(撮像空間)
6 撮像領域
7 被検体