JP2008123602A - 垂直磁気記録媒体 - Google Patents

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礼子 荒井
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博之 鈴木
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Abstract

【課題】垂直磁気記録媒体において、軟磁性下地層に起因する媒体ノイズを増加させることなく、軟磁性下地層に挿入される非磁性層の膜厚制御が容易で、かつ軟磁性下地層の耐食性を向上する。
【解決手段】垂直磁気記録媒体は、基板11上に密着層12が形成され、密着層上に軟磁性下地層13が形成され、軟磁性下地層上にシード層14及び中間層15が形成され、中間層上に垂直記録層16が形成されている。軟磁性下地層13は第一軟磁性層131及び第二軟磁性層133と、第一軟磁性層131及び第二軟磁性層133の間に配置された反強磁性結合層132とを有し、第一軟磁性層131及び第二軟磁性層133はFeを主成分とした合金から形成され、反強磁性結合層133はRu−Fe合金から形成されてなり、Feの含有率が40at%〜75at%である。
【選択図】図9

Description

本発明は、磁気記録媒体に係り、特に高密度磁気記録に好適な垂直磁気記録媒体に関する。
近年、パーソナルコンピュータのみならず家庭用の電気製品にも小型で大容量の磁気ディスク装置が搭載されるなど、磁気記録装置の大容量化の要求は強く、記録密度の向上が求められている。これまで、磁気ヘッドや磁気記録媒体などの開発が精力的に行われてきた中、記録方式の主流が面内磁気記録方式から垂直磁気記録方式へ移行し、さらなる記録密度向上が可能になった。垂直磁気記録媒体においては、軟磁性下地層を有する二層垂直磁気記録媒体とすることで、磁気ヘッドからの記録磁界の効率を上げることができ、記録膜の保磁力増加に対応可能なことが知られている。
軟磁性下地層は磁気ヘッドからの記録磁界を環流させる役割を果たすため、記録層と比較して、飽和磁束密度(Bs)の高い軟磁性材料を形成する必要があり、そのため軟磁性下地層起因のノイズが問題となってきた。このノイズの主な原因は軟磁性層に生成された磁壁からの漏洩磁場によるもので、これまで磁壁の生成を抑制する方法や漏洩磁場を減少させる方法が検討されてきた。
たとえば特許文献1および特許文献2に開示されているように、軟磁性下地層と基板との間に硬磁性ピンニング層を設け、軟磁性下地層の磁化を一方向に揃える方法や、特許文献3に開示されているように、磁気スピンの方向をそろえた反強磁性との交換結合により軟磁性下地層の磁壁移動を抑止する方法が提案されている。また、特許文献4に開示されているように、軟磁性下地層を非磁性層で互いに分離された二層以上の軟磁性層で構成し、非磁性膜にRuを用いることで、二層の軟磁性下地層を反強磁性的に交換結合させる方法が提案されている。この積層された軟磁性層の磁化を逆向きにする方法は、磁壁からの漏洩磁場が発生しにくいため、磁区制御層が無くてもスパイクノイズや記録磁化の減磁の抑制が可能であり、浮遊磁界耐性も向上する。特許文献5には、反強磁性結合している二層の非晶質軟磁性層の磁気モーメントを等しくすることにより、層間で磁束が環流するためにスパイクノイズおよび再生信号の振幅変調の抑制に大きな効果があること、第一非晶質軟磁性層および第二非晶質軟磁性層の半径方向に一軸異方性を付与し、保磁力を小さくすることで、浮遊磁界耐性の向上に効果があることが記載されている。また、特許文献5には、非磁性層をCo系の強磁性層で挟んだサンドイッチ構造とするか、あるいは非磁性層にRuCo、RuFeを用いることにより、非晶質軟磁性層間に働く反強磁性結合を強くできることが記載されている。
特開平7−129946号公報 特開平11−191217号公報 特開平6−103554号公報 特開2001−155321号公報 特開2005−302238号公報
上記のとおり、軟磁性下地層に用いる材料は、高Bsで、ディスク基板の半径或いは周方向に一軸異方性が付与されており、表面平坦性に優れていれば特に限定するものではなく、これまではCo或いはFeを主成分とした非晶質合金が用いられてきた。しかしながら最近になって、垂直磁気記録媒体の軟磁性下地層が腐食するという問題が浮上し、特にCo合金を用いた場合に腐食が起こりやすくなることが明らかになってきた。Co合金は耐食性に優れていないばかりでなく、水溶液環境中において非常に卑な電位を持つために、近接する中間層との間においてガルバニック腐食(異種金属間腐食)を生じる。中間層としてよく知られているRuまたはRu合金は貴金属であるために非常に電位が高く、両者の電位差は1.0V程度にも達するため、Co合金の腐食がガルバニック腐食により、単体の腐食よりも非常に加速されるのである。これに対しFe系合金は、耐食性はCo合金とさほど変わらないものの電位が比較的高く、Ruと隣接してもガルバニック腐食はほとんど起こらない。
前述のとおり、軟磁性下地層起因のノイズを解消するという点で、二層の軟磁性層をRu非磁性層で分離させ、反強磁性的に交換結合させる方法は非常に有効である。軟磁性層の交換結合を最大にするRu非磁性層の最適膜厚は、軟磁性層の材料によって異なる。軟磁性層にCo合金を用いた場合には、Ruの最適膜厚は1nm前後であるが、Fe合金の材料を用いた場合には、最適膜厚は0.4nm程度と非常に薄い。さらに、軟磁性層にFe合金の材料を用いた場合には、後述するように交換結合磁界のRu膜厚依存性もCo合金を用いた場合に比べ大きいため、膜厚マージンが狭く、量産を考慮するとその制御が難しい。
そこで本発明は、軟磁性下地層の交換結合磁界を低下させることなく、軟磁性下地層に挿入される非磁性層の膜厚制御が容易で、かつ軟磁性下地層の耐食性にも優れた磁気記録媒体を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係わる垂直磁気記録媒体は、基板と、基板上に形成された密着層と、密着層上に形成された軟磁性下地層と、軟磁性下地層上形成されたにシード層及び中間層と、中間層上に形成された垂直記録層とを有し、軟磁性下地層が第一軟磁性層及び第二軟磁性層と、第一軟磁性層と第二軟磁性層の間に配置された反強磁性結合層とを有し、軟磁性層はFeを主成分とした合金から形成され、反強磁性結合層はRu−Fe合金から形成されてなり、Feの含有率が40at%〜75at%であることを特徴とする。
前記反強磁性結合層であるRu−Fe合金に、Cr或いはCoを添加することができる。Crの添加はターゲットの耐食性に効果があり、一方Coの添加は、軟磁性下地層の磁気特性(高Hex、高Hs)に効果がある。
本発明によれば、軟磁性下地層の交換結合磁界を低下させることなく、軟磁性下地層に挿入される非磁性層の膜厚制御が容易で、かつ軟磁性下地層の耐食性にも優れた垂直磁気記録媒体を提供することができる。
垂直磁気記録媒体を、ANELVA製スパッタ装置(C3010)を用いて作製した。このスパッタ装置は10個のプロセスチャンバと1個の基板導入チャンバから構成され、それぞれのチャンバは独立に排気されている。全てのチャンバの排気能力は6×10−6Pa以下である。
本発明の垂直磁気記録媒体は、基板上に密着層が形成され、密着層上に軟磁性下地層が形成され、軟磁性下地層上に中間層が形成され、中間層上に垂直記録層が形成されている。
基板はガラス基板、NiPめっき膜をコーティングしたAl合金基板、シリコンなどのセラミックス基板、さらにテクスチャ加工により表面に同心円状の溝が形成された基板を用いることができる。
密着層の材料としては、基板とその上に形成される軟磁性下地層との密着性が良く、表面平坦性に優れていれば特に限定するものではないが、Al,Ti,Ni,Ta,Cr,Zr,Co,Hf,Si,Bの少なくとも二種以上の金属を含む合金で構成することが好ましい。より具体的には、AlTi,NiTa,AlTa,CrTi,CoTi,NiTaZr,NiCrZr,CrTiAl,CrTiTa,CoTiNi,CoTiAl等を用いることができる。
軟磁性層下地層は、飽和磁束密度(Bs)が少なくとも1テスラ以上で、ディスク基板の半径方向に一軸異方性が付与されており、ヘッド走行方向に測定した保磁力が1.6kA/m以下であることが望ましい。具体的には、Feを主成分とし、これにCo,Ta,Hf,Nb,Zr,Si,B,C、Mo等を添加した非晶質合金あるいは微結晶質合金を用いると上記特性が得られやすい。その膜厚は100nm以下で用いることによりスパイクノイズを抑制でき、かつ浮遊磁界耐性を向上することができる。
軟磁性下地層のノイズをより低減するために、軟磁性下地層に非磁性層を挿入し、この非磁性層を介して上下の軟磁性層を反強磁性的に結合させる。非磁性層の上側の軟磁性層と下側の軟磁性層の磁気モーメントを等しくすると両層の間で磁束が還流し、両層の磁区状態がより安定化されるので好ましい。非磁性層の材料としてはRuFe、或いはRuFeX(XはCr,Co)を用いることが望ましい。
軟磁性下地層に一軸異方性を確実に付与するために、磁界中冷却工程を行うことが望ましい。磁界は基板半径方向に印加することが望ましく、軟磁性層の半径方向の磁化が飽和する必要があり、磁界の大きさは少なくともディスク基板上で4kA/m以上であれば良い。冷却温度は、理想的には室温まで冷却することが望ましいが、媒体製造プロセス時間の短縮を考慮すると60〜100゜C程度まで下げるのが現実的である。また、冷却工程の導入箇所は、媒体形成プロセスにより必ずしも軟磁性層形成後である必要はなく、シード層、中間層或いは記録層を形成した後であっても良い。
中間層としては、Ru単体か、Ruを主成分とした六方稠密構造(hcp)や面心立方構造(fcc)の合金、或いはグラニュラ構造を有する合金を用いることができる。また、中間層は単層膜でもよいが、結晶構造の異なる材料を用いた積層膜でもよい。さらに、中間層の結晶配向を向上するために、軟磁性下地層の上にシード層(結晶配向層)を形成するのがより望ましい。
垂直記録層としては、少なくともCoとPtを含む合金を用いることができる。またCoCrPtを主成分とし、それに酸化物を添加したグラニュラ構造を有する合金、具体的にはCoCrPt−SiO,CoCrPt−MgO,CoCrPt−TaOx,CoCrPt−TiOxなどを用いることができる。上記酸化物グラニュラ層を第一記録層とし、その上に酸化物を含まないCoCrを主成分とした第二記録層を形成した積層構造を用いることもできる。さらに、 (Co/Pd)多層膜,(CoB/Pd)多層膜,(Co/Pt)多層膜,(CoB/Pt)多層膜等の人工格子膜を用いることができる。
垂直記録層の保護層としては、カーボンを主体とする厚さ2nm以上、6nm以下の膜を形成し、さらにパーフルオロアルキルポリエーテル等の潤滑層を用いることが好ましい。これにより信頼性の高い垂直記録媒体が得られる。
媒体の記録再生特性はスピンスタンドによって評価した。評価に用いたヘッドは、記録用のTS(Trailling shield)型ライタと再生用のスピンバルブ型リーダを併せ持つ複合型ヘッドである。リーダのシールド間距離は50nm、トラック幅は120nmである。書き込み電流は40mAに設定した。スキュー角を0度として、0.014sec/rev(4200rpm)で円板の半径23mmを測定した。媒体S/Nは線記録密度18.8kfc/mm(1mm当たり18.8キロフラックスチェンジ)の信号を記録したときの再生出力と積分ノイズの比として求めた。記録トラック幅を示すMCWは6.26kfc/mmで信号を両サイド書いた後、中心部に3.76kfc/mmの信号を重ね書きし、左右に残った信号のオフトラックプロファイルから算出した。
媒体の耐食性の評価は以下の手順で行った。まず、温度60゜C、相対湿度90%以上の高温多湿状態の条件下にサンプルを96時間放置する。次に、Optical Surface Analyzerを用いて半径14mmから25mmまでの範囲内における腐食点の数をカウントし、以下のようにランク付けした。カウント数が30未満のものをA、30以上80未満のものをB、80以上のものをCとして評価した。実用的にはB以上のランクが望ましい。
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
<実施例1>
図1に、実施例1の垂直磁気記録媒体の層構成を示す。基板11には表面に同心円状の溝が形成された厚さ0.635mm、直径65mm(2.5インチ型)のガラスディスク基板を用い、スパッタリング法により密着層12、軟磁性下地層13、結晶配向層14、中間層15、垂直記録層16、保護層17を順次形成し、潤滑剤18を塗布した。図2に、実施例1で用いたターゲット組成とArガス圧および膜厚を示す。
基板11上に密着層12であるAlTiを10nm、その上に第一軟磁性層131であるFeCoTaZrを30nm、反強磁性結合層132であるRuFeを0.2〜1.2nm、第二軟磁性層133であるFeCoTaZrを30nm、を順に形成し、基板11を約80°C以下まで磁界中冷却した。さらにシード層14であるNiTaを2nm、中間層15であるRuを二層に分けて(下半分をガス圧1Pa、スパッタ速度4nm/s、上半分をガス圧5.5Pa、スパッタ速度1.5nm/s)、16nm形成した。さらに第一記録層161であるCoCrPt−SiOを14nm、第二記録層162であるCoCrPtを7nm積層して記録層16を形成し、その上に保護層17であるカーボン層を5nm形成した。その後、パーフルオロアルキルポリエーテル系の材料をフルオルカーボン材で希釈した潤滑剤18を塗布し、表面にバニッシュをかけて実施例1である垂直記録媒体を作製した。スパッタガスとしてはArを使用し、磁気記録層を形成する際には酸素を20mPaの分圧で添加した。保護層17を形成する時は、製膜時のAr圧力0.6Paに対し窒素を50mPaの分圧で添加した。
上記実施例1による垂直記録媒体の軟磁性下地層13の磁気特性について試料振動型磁力計(VSM)を用いて評価した。垂直記録媒体の半径23mmの位置を中心として8mm角に切断したサンプルの、径方向および周方向の磁化曲線を測定した。その代表的な結果を図2に示す。図3(a)に示す、基板の半径方向に磁界を印加して測定した磁化曲線は、ゼロ磁界を含むある範囲で安定なレベルを有するステップ状の形状をしている。これは軟磁性下地層の磁化容易軸が径方向を向いていることを示しており、この安定なレベルの磁界範囲で、第一軟磁性層131と第二軟磁性層133が反強磁性的に結合していることを示している。この安定なレベルから遷移する磁界を交換結合磁界Hexとして定義する。実際の測定結果である図3(a)の磁化曲線では、勾配の極大値である図中のHex+およびHex−は、Y軸を中心に概ね対称で、その大きさはほぼ等しく、これらの平均の値を軟磁性下地層の交換結合磁界Hexとする。一方、図3(b)に示す、基板の周方向に磁界を印加して測定した磁化曲線は、原点から飽和磁場付近まで単調に変化している。この飽和磁界をHsと定義し、Hexと同様に、図中のHs+とHs−との平均とした。
次に、反強磁性結合層132であるRuFeの膜厚を変化させて、Hexの膜厚依存性を調べた。その結果を図4に示す。ここでRuFeのFe添加量は50at%と70at%である。比較のために反強磁性結合層132にRuを用いたサンプルを用意し、同様に評価した。比較例の他の層構成は実施例1と同じである。HexはRuFe或いはRuの膜厚に対してピークをもつ。RuFeのピーク値はRuに比較して大きく、Ruが3.64kA/mに対し、RuFe50は4.10kA/m、RuFe70は4.38kA/mであった。さらにピーク値を示す膜厚は、Ruの場合0.4nmであるのに対し、RuFe50では0.62nm、RuFe70では0.85nmとFe添加量が多いほど厚い側にシフトすることが分かった。また、Hexが3.2kA/m以上となる膜厚は、Ruが0.35〜0.45nm、RuFe50が0.55〜0.75nm、RuFe70が0.7〜1.0nmとなり、Ruに対してRuFeの方が、またRuFeにおいてはFe添加量の多い方が膜厚マージンも広くなることが分かった。
そこで、RuFeのFe添加量とHexのピーク値、RuFeの最適膜厚との関係をさらに詳しく調べた。その結果を図5に示す。Fe添加量が25at%までは最適膜厚はRuの場合と殆ど変わらないが、さらにFeの添加量を増やすと最適膜厚は厚くなる。75at%で0.85nmとなり、Ruに比較して厚さが約2倍になることが分かった。次にHex及びHsとFe添加量の関係を調べた。Fe添加量とHexとの関係を図6に、Hsとの関係を図7に示す。Hex、Hsともに、RuFeの最適膜厚と同様に、Fe添加量が25at%までは殆ど変化しないが、30at%を超えると増大する傾向にある。Hexは、おおよそ75at%で最大になり、さらにFeの添加量を増やしていくと、逆に減少することが分かった。一方Hsは、Fe添加量が60at%を超えたところでほぼ飽和し、その値が100kA/mとRuの時の3倍近く大きくなることがわかった。
上記現象の原因を調べるため、XRDにてRuFeの結晶配向を調べた。評価には、基板上にAlTiを5nm、FeCoTaZrを30nm、RuFeを20nm形成したサンプルを用いた。その結果、Hex、Hsともに大きな値が得られたRuFe(Fe含有量が75at%以下)は、Ruと同じhcp構造であったのに対し、Feが80at%添加された膜は、hcp構造とbcc構造の混層になっていることが分かった。従って、反強磁性結合層132に用いる膜の結晶構造はhcp構造であることが望ましいこと分かった。
次に、RuFeの腐食性を調べるために、水溶液中における浸漬電位測定を行った。試験には基板上にAlTiを5nm、RuFeを50nm形成したサンプルを用いた。試験溶液はシュウ酸水溶液(pH3.1、温度25°C)を使用し、銀塩化銀電極(KCl飽和)を基準とし、10分間測定した。試料面積は1cmとし、それ以外の面は被覆している。その結果を図8に示す。比較のために軟磁性下地層のFeCoTaZr膜の電位も調べた。Ruは電位が高くおおよそ600mVであり、一方FeCoTaZrの電位は−400mVとRuに比較してかなり低く、両者の電位差が大きいことが分かる。つまり、この電位差によって両者間にガルバニック腐食が生じてしまう。RuにFeを添加していくと電位は徐々に低下し、Feを添加するほどガルバニック腐食が起こりにくくなり、耐食性が向上すると予想される。
上記反強磁性結合層132のFe添加量を振った媒体1−1〜1−9を用意し、RW特性、及び耐食性を評価した。その結果を図9にまとめた。比較のためにRu反強磁性結合層を用いた媒体1−10を用意した。いずれの媒体も媒体S/Nは同程度であったが、Fe含有量が増えるに従って、記録トラック幅を示すMCWが狭くなっている事がわかった。耐食性はFe含有量に依らず、いずれの媒体もBランク以上と良好であった。腐食カウントは、Fe添加量が多くなるほど減少する傾向が見られ、50%以上でAランクレベルに改善された。
これらのことから、高い媒体S/Nと狭いMCWを得るためには、反強磁性結合層であるRuFeのFe添加量が40at%〜75at%、望ましくは50at%〜75at%が良いこと分かった。
以上の説明のとおり、上記実施例1の垂直磁気記録媒体によれば、軟磁性下地層起因の媒体ノイズを低減できるばかりでなく、軟磁性下地層に挿入される非磁性層の膜厚制御が容易で、ヘッドの書き滲みを抑え、かつ軟磁性下地層の耐食性を向上することができる。
<実施例2>
上記実施例1の媒体1−7と同じ層構成で、軟磁性下地層の組成が異なる媒体を作製し、実施例1と同じ手法でRW特性を評価した。軟磁性下地層以外の各層の組成、膜厚及び成膜プロセスは実施例1と同じである。図10に、各サンプル(媒体)の軟磁性層の組成と、RW特性の評価結果を図10に示す。サンプル2−1,2−2はFeCoTaZr合金で、サンプル2−3はFeCoTaZrB合金で、サンプル2−5,2−6はFeCoTaB合金で、サンプル2−7はFeCoTaZrMo合金である。いずれの媒体も高い媒体S/Nと狭いMCWが得られ、耐食性もBランク以上と良好であることが分かった。
<実施例3>
実施例1と同じ層構成で、反強磁性結合層132であるRuFeにCr或いはCoを添加した媒体を作製した。Crの添加はターゲットの耐食性に効果があり、一方Coの添加は、軟磁性下地層の磁気特性(高Hex、高Hs)に効果がある。反強磁性結合層以外の各層の組成、膜厚及び成膜プロセスは実施例1と同じである。図11に、各サンプル(媒体)の反強磁性結合層の組成と、実施例1と同じ手法で評価した媒体S/NとMCWの評価結果を示す。サンプル3−1〜3−3がRuFeCr合金であり、サンプル3−4〜3−6がRuFeCo合金である。いずれの場合も高い媒体S/Nと狭いMCWが得られ、耐食性のランクもBランク以上と良好であった。特にCrを添加した場合は、腐食カウントが低減する効果が見られている。これらのことから5−10%程度のCr或いはCoを添加しても、軟磁性下地層起因の媒体ノイズを低減できるばかりでなく、ヘッドの書き滲みを抑え、かつ耐食性に優れた高密度垂直磁気記録媒体を得ることができることが分かった。
実施例1の垂直磁気記録媒体の層構成を示す図である。 実施例1で用いたターゲット組成とArガス圧および膜厚を示す図である。 実施例1の垂直磁気記録媒体の軟磁性下地層の磁化曲線を示す図である。 実施例1の垂直磁気記録媒体の反強磁性結合層であるRuFeの膜厚と反強磁性結合磁界Hexとの関係を示す図である。 実施例1の垂直磁気記録媒体の反強磁性結合層であるRuFeのFe添加量と最適膜厚との関係を示す図である。 実施例1の垂直磁気記録媒体の反強磁性結合層であるRuFeのFe添加量と反強磁性結合磁界Hexとの関係を示す図である。 実施例1の垂直磁気記録媒体の反強磁性結合層であるRuFeのFe添加量と飽和磁界Hsとの関係を示す図である。 実施例1の垂直磁気記録媒体の反強磁性結合層であるRuFeのFe添加量と浸漬電位との関係を示す図である。 実施例1の垂直磁気記録媒体のR/W特性及び耐食性を評価した結果を示す図である。 実施例2の垂直磁気記録媒体のR/W特性及び耐食性を評価した結果を示す図である。 実施例3の垂直磁気記録媒体のR/W特性及び耐食性を評価した結果を示す図である。
符号の説明
11…基板、12…密着層、13…軟磁性下地層、14…シード層、15…中間層、16…垂直記録層、17…保護層、18…潤滑層、131…第一軟磁性層、132…反強磁性結合層、133…第二軟磁性層、161…第一記録層、162…第二記録層。

Claims (8)

  1. 基板上に軟磁性下地層を介して垂直記録層が形成された垂直磁気記録媒体において、
    前記軟磁性下地層はFeを主成分とする第一軟磁性層と、Feを主成分とする第二軟磁性層と、前記第一軟磁性層及び第二軟磁性層の間に配置された反強磁性結合層とを有し、
    前記反強磁性結合層はRu−Fe合金からなり、Feの含有率が40at%〜75at%であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  2. 前記反強磁性結合層のFeの含有率が50at%〜75at%であることを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録媒体。
  3. 前記第一及び第二軟磁性層は、非晶質であることを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録媒体。
  4. 前記第一及び第二軟磁性層は微結晶質であることを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録媒体。
  5. 基板上に軟磁性下地層を介して垂直記録層が形成された垂直磁気記録媒体において、
    前記軟磁性下地層はFeを主成分とする第一の軟磁性層と、Feを主成分とする第二の軟磁性層と、前記第一の軟磁性層及び第二の軟磁性層の間に配置された反強磁性結合層とを有し、
    前記反強磁性結合層はRu−Fe−Cr合金からなり、Feの含有率が40at%〜75at%であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  6. 前記反強磁性結合層のCrの含有率が5at%〜10at%であることを特徴とする請求項5記載の垂直磁気記録媒体。
  7. 基板上に軟磁性下地層を介して垂直記録層が形成された垂直磁気記録媒体において、
    前記軟磁性下地層はFeを主成分とする第一の軟磁性層と、Feを主成分とする第二の軟磁性層と、前記第一の軟磁性層及び第二の軟磁性層の間に配置された反強磁性結合層とを有し、
    前記反強磁性結合層はRu−Fe−Co合金からなり、Feの含有率が40at%〜75at%であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  8. 前記反強磁性結合層のCoの含有率が5at%〜10at%であることを特徴とする請求項7記載の垂直磁気記録媒体。
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