JP2947029B2 - 垂直磁気記録媒体 - Google Patents

垂直磁気記録媒体

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JP2947029B2 JP27768793A JP27768793A JP2947029B2 JP 2947029 B2 JP2947029 B2 JP 2947029B2 JP 27768793 A JP27768793 A JP 27768793A JP 27768793 A JP27768793 A JP 27768793A JP 2947029 B2 JP2947029 B2 JP 2947029B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、垂直磁気記録媒体に係
り、特に軟磁性下地層を有する2層膜媒体に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】垂直磁気記録は、面内磁気記録よりも高
密度記録ができることから注目されており、これに用い
る媒体としては、非磁性基板上に形成された軟磁性下地
層と垂直磁気記録層とからなる2層膜媒体が多く検討さ
れている。このような2層膜媒体は、単磁極型ヘッドと
組み合わせることにより、効率の良い磁気記録再生がで
きる。中でも、Co−Zr系アモルファス軟磁性膜を下
地層とする2層膜媒体は、垂直配向性の鋭い垂直磁気記
録層を得ることができるため、記録効率の向上には特に
有効である。
【0003】しかし、この2層膜媒体をディスク状の媒
体として用いる場合には、信号記録後に、媒体を回転さ
せているだけで時間とともに減磁して、信号強度が減衰
してしまうという問題がある。この減磁現象は、媒体が
回転する際に、地磁気等の外部磁界の影響により、アモ
ルファス軟磁性下地層の磁化が容易に反転し、これに伴
う強い垂直磁界を発生する磁壁の移動により、垂直磁気
記録層の記録情報が消去されるためと考えられている。
【0004】そこで、本願出願人は先に、特願平4−1
03490号において、上記軟磁性下地層の上に針状粒
子を形成して表面に凹凸をつけることによって、減磁を
解消する方法を提案した。これを第1の従来例として説
明する。図3は、係る第1の従来例及び第2の比較例の
垂直磁気記録媒体の構成を模式的に示す部分断面図であ
る。同図において、21は鏡面研磨した円板状のガラス
基板であり、このガラス基板21の上には、例えばCo
−Zrを含むアモルファスの薄膜よりなる軟磁性下地層
24が形成されている。そして、この軟磁性下地層24
の表面には、多数の針状粒子27が形成される。この針
状粒子27としては軟磁性下地層24の構成材料である
Co−Zr系合金と固溶しにくい材料、例えばCu、S
n、Zn、Al、Cd、Pb等の金属やホイスカを形成
し易いものを用いる。そして、この針状粒子27の上に
垂直磁気記録層25が形成され、この垂直磁気記録層2
5の上には保護層26が形成された構成になっている。
【0005】そして、このような構成の垂直磁気記録媒
体12では、軟磁性下地層24の磁壁の移動が、針状粒
子27の存在により抑制されるため、軟磁性下地層24
の保磁力Hcをある程度大きくすることができ、外部磁
界の影響による経時変化を抑えることができ、従って減
磁の問題を解消する事ができる。
【0006】また、本願出願人はさらに、特願平5−6
3528号において、上記軟磁性下地層と基板との間に
カ−ボン層を設けた後、真空中で熱処理することによっ
て、減磁を解消する方法も提案した。これを第2の従来
例として説明する。図9は、第2の従来例の垂直磁気記
録媒体の構成を模式的に示す部分断面図である。同図に
おいて、31は鏡面研磨した円板状のガラス基板であ
り、このガラス基板31の上には、例えば50nmの膜
厚のクロム層32が形成されている。このクロム層32
の上には、カ−ボン層37が形成されている。このカ−
ボン層37の上には、例えばCo−Zr−Nb系のアモ
ルファスの薄膜よりなる軟磁性下地層34が形成されて
いる。そして、この軟磁性下地層34の上には、例えば
Co−Cr−Ta系のアモルファス薄膜よりなる垂直磁
気記録層35が形成され、この垂直磁気記録層35の上
には、例えばSiO2 よりなる保護層36が形成されて
いる。このような構成を有する垂直記録媒体13を、真
空中で、回転磁界を作用させながら、熱処理を行う。
【0007】このようにして得られる垂直磁気記録媒体
13においては、カ−ボンが、軟磁性下地層34中に拡
散されることにより、軟磁性下地層34の結晶化温度が
低くなり、比較的低温の熱処理により軟磁性下地層34
の結晶化を制御して、その保磁力(Hc)を適度な値に
上昇することができるため、減磁を生じない垂直磁気記
録媒体13を得ることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、以上説明し
た方法は、いずれも軟磁性下地層の抗磁力(Hc)を高
くすることによって、媒体回転に伴い発生する減磁を防
止するものである。軟磁性下地層のHcを高くする事
は、この軟磁性下地層の透磁率μを低下させる事にな
り、垂直記録媒体からの高い再生出力を得るには不利と
なる。また、軟磁性下地層と垂直磁気記録層とから構成
される垂直磁気記録媒体においては、軟磁性下地層に磁
壁が存在するため、この磁壁に起因する媒体ノイズが発
生する。
【0009】そこで、本発明は上記の点に着目して、垂
直磁気記録媒体において、媒体の回転による減磁を防止
し、媒体ノイズを低減し、高い再生出力を得ることが出
来るようにし、それにより、高性能且つ高品質な垂直磁
気記録媒体を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1による本発明の
垂直磁気記録媒体は、円板状の基板と、この基板上に形
成された軟磁性下地層と、この軟磁性下地層上に形成さ
れた垂直磁気記録層とを備えた垂直磁気記録媒体におい
て、前記基板と前記軟磁性下地層との間に、全ての磁化
方向が前記基板の半径方向の外周向き或いは中心向きの
いずれか一方向である磁化を有し、前記軟磁性下地層と
交換結合する硬磁性下地層を設けた事により、上述の目
的を達成するものである。
【0011】また、請求項2による本発明の垂直磁気記
録媒体は、円板状の基板と、この基板上に形成された軟
磁性下地層と、この軟磁性下地層上に形成された垂直磁
気記録層とを備えた垂直磁気記録媒体において、前記基
板と前記軟磁性下地層との間に、全ての磁化方向が前記
基板の半径方向の外周向き或いは中心向きのいずれか
方向であって、前記軟磁性下地層と交換結合すると共
に、磁化容易軸が前記基板の面内である面内配向硬磁性
下地層を設けた事により、上述の目的を達成するもので
ある。
【0012】また、請求項3による本発明の垂直磁気記
録媒体は、円板状の基板と、この基板上に形成された軟
磁性下地層と、この軟磁性下地層上に形成された垂直磁
気記録層とを備えた垂直磁気記録媒体において、前記基
板と前記軟磁性下地層との間に、全ての磁化方向が前記
基板の半径方向の外周向き或いは中心向きのいずれか
方向であって、前記軟磁性下地層と交換結合すると共
に、磁化容易軸が前記半径方向である半径配向硬磁性下
地層を設けた事により、上述の目的を達成するものであ
る。
【0013】また、請求項4による本発明の垂直磁気記
録媒体は、請求項3に記載の垂直磁気記録媒体であっ
て、前記半径配向硬磁性下地層をSm(サマリュウム)
を含むCo合金膜とした事により、上述の目的を達成す
るものである。
【0014】
【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の実施例に
ついて説明する。 <実施例1>図1は、本発明の垂直磁気記録媒体の第1
の実施例の構成を模式的に示す部分断面図である。同図
に示すように、この垂直磁気記録媒体10は、鏡面研磨
した円板状のガラス基板1と、このガラス基板1の上に
順に形成されたクロム層2、硬磁性下地層3、軟磁性下
地層4、垂直磁気記録層5及び保護層6とから構成され
ている。
【0015】以下、本発明の実施例1についてその具体
的な製造方法を説明する。ガラス基板1に形成する各層
2、3、4、5、6の成膜は、図7にその電極付近の概
略断面図を示したごときDCマグネトロンスパッタ装置
を用いておこなった。この装置では、例えばCo−Zr
−Nbのごときターゲット43の下方中央部には、第1
の希土類永久磁石41が、ターゲット43の下方外周部
には第2の希土類永久磁石42が配置されており、これ
ら第1と第2の希土類永久磁石41、42の極性は、図
7中に示したようにそれぞれ逆にしてある。また、ター
ゲット43の上方には、鏡面研磨した円板状のガラス基
板1が配置されている。このような配置によって、ガラ
ス基板1は前記した第1と第2の希土類永久磁石41、
42によって常にその半径方向に約4kA/mの磁界が
加えられる構成になっている。なお、これらの希土類永
久磁石41、42はマグネトロンの磁石としても作用
し、ターゲット43近傍のプラズマを集束させてハイレ
ートで成膜することにも寄与するものである。
【0016】また、この装置による成膜条件は、ガス圧
0.067PaのAr雰囲気で、電力密度を1.0〜
2.0W/cm2 、ターゲット−基板間距離を60m
m、基板温度を150℃〜250℃とした。なお、ター
ゲット43は硬磁性下地層3用として直径203mmの
Co−Cr15−Ta4 at%合金を使用し、軟磁性下地
層4用として直径203mmのCo−Zr7 −Nb5 a
t%合金を使用し、垂直磁気記録層5用として同サイズ
のCo−Cr15−Ta4 at%合金を使用し、保護層6
用として同サイズのSiO2 を使用した。
【0017】まず、直径95mmの鏡面仕上げのソーダ
ライムガラス基板1上にクロム層2を50乃至100n
mの膜厚で成膜し、その上に、Co−Cr15−Ta4 a
t%合金をタ−ゲット43として硬磁性下地層3を25
乃至200nmの膜厚で成膜した。クロム層2は、硬磁
性下地層3の磁化を面内配向させるために設けたもので
ある。なお、実際には、記録再生特性及び磁気特性に対
する硬磁性下地層3の膜厚依存性を見るために硬磁性下
地層3の膜厚について、25nm、50nm、100n
m、200nmの各膜厚のサンプルをそれぞれ複数個製
作した。
【0018】次いで、Co−Zr7 −Nb5 at%合金
をターゲット43として軟磁性下地層4を500nm成
膜後、直ちにCo−Cr15−Ta4 at%合金をターゲ
ット43として垂直磁気記録層5を75nm成膜した。
ここで直ちに成膜することにより、Co−Zr−Nbと
Co−Cr−Taとが直接結合し、強く垂直配向する垂
直磁気記録層5が得られる。最後に保護層6としてSi
O2 を10nm形成した。このようにして成膜を終えた
後、磁界中熱処理を行った。図8は、垂直磁気記録媒体
10の製造工程の1つである磁界中熱処理を説明するた
めの概念図である。図8に示すように、10-3Pa以下
の真空中雰囲気において、24kA/mの磁界中で成膜
後の垂直磁気記録媒体10をその回転中心軸9の回りに
回転させながら、300℃で、3時間の熱処理を行なっ
て、垂直磁気記録媒体10を得た。
【0019】ここで、本実施例1と特性比較するため
に、比較例1及び2の垂直磁気記録媒体を製作した。比
較例1の垂直磁気記録媒体11は、図2に示すように構
成されており、ガラス基板1と、この上に順に形成され
た軟磁性下地層4、垂直磁気記録層5及び保護層6とか
らなる。各層4、5、6の材質及び成膜条件は、上述の
実施例1の場合と同一である。
【0020】比較例2の垂直磁気記録媒体12は、図3
に示した第1の従来例と同一の構成とした。具体的に
は、軟磁性下地層24、垂直磁気記録層25、保護層2
6及び針状粒子27を成膜ないし形成するために、上述
した図7に示される構造のDCマグネトロンスパッタ装
置を使用した。タ−ゲット43は、軟磁性下地層24用
として、直径203mmのCo−Zr7 −Nb5 at%
合金上に、不純物としてのCu(7×7×1mm)をエ
ロ−ジョンエリア上に16個配置したものを用い、また
垂直磁気記録層25用として、同サイズのCo−Cr15
−Ta4 at%合金を用い、保護膜26用として、同サ
イズのSiO2 を用いた。基板21としては、直径95
mmの鏡面仕上げしたソ−ダライムガラスを用いた。
【0021】成膜条件は、ガス圧0.067PaのAr
雰囲気とし、電力密度を1.0〜2.0W/cm2
し、タ−ゲット−基板間距離を60mmとし、基板温度
を150℃とした。まず、ガラス基板21上に、軟磁性
下地層24を500nmの厚さに形成し、直ちに垂直磁
気記録層25を75nmの厚さに形成し、その後保護層
26を20nmの厚さに形成し、垂直磁気記録媒体12
を得た。なお、軟磁性下地層24を形成するとき、タ−
ゲット43には、針状粒子27形成用の不純物としての
Cuが配置されているので、軟磁性下地層24の表面に
は多数のCu針状粒子27が形成されてる。
【0022】次に、これらのサンプル(実施例1、比較
例1及び比較例2)の特性評価結果について説明する。
まず、記録再生特性について述べる。なお、これらのサ
ンプルについての記録再生特性は、トラック幅8μm、
主磁極厚0.4μm、コイル巻数60ターンの単磁極ヘ
ッドを用い、ディスク回転数2070rpm、線速度8
m/s、ヘッド浮上量80nmの条件で測定を行なっ
た。
【0023】100kHzの矩形波信号を記録再生し、
オシロスコ−プによって孤立波再生出力Ep-p (nV/
(μm・t・m/s))を測定した。ここで、再生出力
は、トラック幅(μm)、コイル巻数(t)及び線速度
(m/s)で、規格化してある。6.67MHzの信号
を記録再生し、そのときのノイズ成分とシステムノイズ
との差分を、帯域16MHzにわたってスペクトルアナ
ライザにより測定し、媒体ノイズ(μVrms )を得た。
また、垂直磁気記録媒体を回転開始した直後の再生出力
と、2×104 回転後の再生出力の比を減磁量(dB)
とした。一方、垂直磁気記録媒体の磁気特性について
は、VSMで評価した。各試料につき、M−H曲線を測
定し、軟磁性下地層/硬磁性下地層の複合層の透磁率μ
を得た。以上の測定結果を、表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】表1によれば、本発明の実施例1の垂直磁
気記録媒体10は、硬磁性下地層3を有しない比較例1
に対して、再生出力は同等であるが、媒体ノイズは低下
しており、結果として、S/Nが改善されており、減磁
量については測定限界程度にまで改善されており、減磁
量を改善した比較例2と同等である。なお、透磁率につ
いては、本発明の実施例1においては、下地層が軟磁性
下地層4のみからなる比較例1より劣るものの、針状粒
子を形成した比較例2より高い値を示している。
【0026】次に、軟磁性下地層/硬磁性下地層の複合
層のM−H(磁化)曲線を説明する。図5は、本発明の
垂直磁気記録媒体の第1の実施例を構成する軟磁性下地
層4/硬磁性下地層3の複合層のM−H曲線を示すグラ
フ図であり、横軸は印加磁界の強度を、縦軸は磁化を、
曲線l、mは飽和磁化曲線を、曲線n1、n2、n3は
マイナ−ル−プをそれぞれ示す。なお、このM−H曲線
の測定は基板の面内方向に磁界を印加して行ったので、
垂直磁気記録層5があっても、この垂直磁気記録層5
は、基板面に垂直方向に強い異方性を持つため、以下に
述べる測定結果に影響を与えない事が分かっている。
【0027】まず、磁化されていない複合層に、正方向
に増加する磁界Hを印加すると、図に示されていない初
磁化曲線を辿り、正方向に磁化され、硬磁性下地層3を
正方向に充分飽和する磁界強度である500OeでA点
に達し、磁化Mは正方向に飽和する。次に、印加磁界H
を減少させると、磁化Mは曲線mを辿り減少していく。
磁界Hが0に達すると、今度は負方向に磁界Hを増加さ
せていく。磁界Hが−Hc(抗磁力)に達すると、磁化
Mは0となる。さらに、負方向に磁界Hを増加させる
と、複合層は負方向に磁化され、磁界Hが−H1(反転
磁界とする)になるとB点に達する。
【0028】次に、B点において磁界を反転し、正方向
に磁界Hを変化させていくと、M−H曲線はマイナ−ル
−プを描き、曲線n1に沿って磁化Mは変化していく。
そして、磁化Mが0となったときの磁界HをHm(H
1)として求める。さらに磁界Hを正方向に変化させて
いくと、正方向に磁化され、C点を経て、磁界Hが50
0Oeになると再びA点に達する。この操作を繰り返
し、正の飽和磁界から磁界Hを−H2まで減少させ、そ
こで正方向に変化させると曲線n2とHm(H2)、正
の飽和磁界から磁界Hを−H3まで減少させ、そこで正
方向に変化させると曲線n3とHm(H3)が得られ
る。なお、負方向に充分飽和する磁界強度は、−500
OeでD点で示される。
【0029】一方、図6に、第2の比較例の垂直磁気記
録媒体12を構成する軟磁性下地層4のM−H曲線を示
す。同図において、横軸は印加磁界の強度を、縦軸は磁
化を、曲線r、sは飽和磁化曲線を、曲線t1、t2、
t3はマイナ−ル−プをそれぞれ示す。なお、垂直磁気
記録層25の測定に与える影響は、上述の本発明の実施
例と同様に無視できる。
【0030】まず、磁化されていない針状粒子27を含
む軟磁性下地層24に、正方向に増加する磁界Hを印加
すると、図に示されていない初磁化曲線を辿り、正方向
に磁化され、軟磁性下地層24を正方向に充分飽和する
磁界強度である500OeでA′点に達し、磁化Mは正
方向に飽和する。次に、印加磁界Hを減少させると、磁
化Mは曲線sを辿り減少していく。磁界Hが0に達する
と、今度は負方向に磁界Hを増加させていく。磁界Hが
−Hc(抗磁力)に達すると、磁化Mは0となる。さら
に、負方向に磁界Hを増加させると、軟磁性下地層24
は負方向に磁化され、磁界Hが−H1′(反転磁界とす
る)になるとB′点に達する。
【0031】次に、B点において磁界を反転し、正方向
に磁界Hを変化させていくと、M−H曲線はマイナ−ル
−プを描き、曲線t1に沿って磁化Mは変化していく。
そして、磁化Mが0となったときの磁界HをHm(H
1′)として求める。以下、上述の本実施例1の複合層
の場合と同様に測定した。
【0032】このようにして、反転磁界Hと、反転磁界
Hの時の磁化が0になる磁界Hm(H)との関係を求め
たのが、図4であり、同図は、軟磁性下地層/硬磁性下
地層の磁化曲線における規格化した印加(反転)磁界H
/Hc(このHcは抗磁力である)とマイナ−ル−プの
Hm(H)との関係を示すグラフ図である。図4におい
は、複合層の硬磁性下地層3の膜厚を、25nm、50
nm、100nm、200nmとしたときの結果と、比
較例2の結果とを示してある。
【0033】本発明の実施例1のM−H曲線を示す図5
において特徴的なのは、Hm(H)が負になっているこ
とである。これは、図4において、Hm(H)が負の領
域にラインが存在する事に相当する。図5には、A、
B、C各点における磁化の方向を四角枠内の矢印で示し
てあり(上段は軟磁性下地層4、下段は硬磁性下地層3
の磁化の方向をそれぞれ示す)、B点では、軟磁性下地
層4のみが負の方向に反転し、硬磁性下地層3は正方向
に磁化しているために、軟磁性下地層4と硬磁性下地層
3との磁気的相互作用により、C点では磁界は負である
にもかかわらず、軟磁性下地層4の磁化は正方向に復帰
している。
【0034】図4において、本発明の実施例1では硬磁
性下地層3の膜厚に係わらず、いずれも負の領域までラ
インが伸びており、磁気的相互作用が強いことを示して
いる。なお、後述の実施例2の説明において詳細に説明
してあるが、軟磁性下地層/硬磁性下地層の複合膜につ
いて、それらの間に交換相互作用または静磁結合を仮定
してシミュレ−ションを行い、M−H曲線を得ている
が、この方法により、上述の磁気的相互作用は交換相互
作用であることが確認されている。
【0035】つまり、図5に示すように、見掛けのHc
は約6Oeと減磁やスパイクノイズを防止するのに充分
大きく、且つ、軟磁性下地層4自体のHc(soft)はそ
れよりもずっと小さい。その数値は,図4及び以下に示
す式で推定できる。つまり、図4において、磁界Hによ
ってHm(H)が変化しているのは、硬磁性下地層3の
残存磁化が変化しているためであり、横軸が|H|/H
c=1の点(Hm(1))では、硬磁性下地層3の磁化
変化がほとんど無いと考えられ、軟磁性下地層4の磁化
だけが反転した状態であり、このHm(1)と−Hcと
の差が軟磁性下地層4のみの場合の抗磁力(Hc(sof
t))の2倍と考えられる。すなわち、次の式で表され
る。
【0036】
【数1】
【0037】これより、軟磁性下地層4自体のHc(so
ft)は、硬磁性下地層3が50nm以上のものではHc
の15%(1Oe)程度、25nmのものでも40%
(2〜2.5Oe)程度と評価され、軟磁性下地層4が
本来持っている軟磁気特性を保持するのに充分小さい値
である。このため、表1に示すように透磁率μ及び再生
出力EP-P は高い値を維持している。これに対し図6に
示す比較例2では、軟磁性下地層24そのもののHcが
高くなっているため、Hm(H)は常にHcとほぼ等し
く、図4のラインが負になることはない(なお、図6に
おいて、四角枠内の矢印は、A′、B′、C′、D′各
点における磁化の向きを示す)。従って、軟磁気特性が
損なわれており、透磁率μが低くなっている。このこと
と、またCuが添加してあるため、磁束密度が下がって
いることで出力が低くなっている。
【0038】なお、本実施例1において、円板状ガラス
基板上の硬磁性下地層を一方方向に磁化させるのには、
硬磁性下地層を形成するDCマグネトロンスパッタ時の
基板の半径方向に印加されている磁界によったが、これ
に限定されるものではなく、硬磁性下地層を形成後に、
半径方向の一方方向に着磁すること等によっても磁化出
来る事はいうまでもない。
【0039】<実施例2>図10は、本発明の垂直磁気
記録媒体の第2の実施例の構成を模式的に示す部分断面
図である。同図に示すように、垂直磁気記録媒体50
は、鏡面研磨した円板状のガラス基板1と、このガラス
基板1の上に順に形成された硬磁性下地層53、軟磁性
下地層4、垂直磁気記録層5及び保護層6とから構成さ
れている。
【0040】以下、本発明の第2の実施例についてその
具体的な製造方法を説明する。ガラス基板1に形成する
各層53、4、5、6の成膜には、上述の実施例1の製
造に際して使用した図7に示される構造のDCマグネト
ロンスパッタ装置を使用した。
【0041】成膜条件は、ガス圧0.067〜0.13
PaのAr雰囲気で、電力密度を0.5〜2.0W/c
2 、ターゲット−基板間距離を60mm、基板温度を
150℃〜250℃とした。なお、ターゲット43は硬
磁性下地層53用としては、直径203mmのCo上の
エロ−ジョンエリアとなるべき近辺に、Smのチップ
(サイズ:5×5×1mm)を32〜48個配置して構
成した複合タ−ゲットを使用した。また、ターゲット4
3は、軟磁性下地層4用としては、直径203mmのC
o−Zr5 −Nb4 at%合金を使用し、垂直磁気記録
層5用としては、同サイズのCo−Cr15−Ta4 at
%合金を使用し、保護層6用として同サイズのSiO2
を使用した。
【0042】まず、直径95mmの鏡面仕上げされたソ
ーダライムガラス基板1上に、上述したCo−Sm複合
タ−ゲットをタ−ゲット43として硬磁性下地層53を
100乃至200nmの膜厚で成膜した。硬磁性下地層
53中のSmの組成は、複合タ−ゲット上のSmチップ
数と配置関係及びスパッタ電力によって変化するが、得
られたSm組成比は11〜33at%であった。
【0043】次いで、Co−Zr5 −Nb4 at%合金
をターゲット43として軟磁性下地層4を500nm成
膜後、直ちにCo−Cr15−Ta4 at%合金をターゲ
ット43として垂直磁気記録層5を75nm成膜した。
ここで直ちに成膜することにより、Co−Zr−Nbと
Co−Cr−Taとが直接結合し、強く垂直配向する垂
直磁気記録層5が得られる。また、成膜中には、マグネ
トロンの磁石41、42によって、常に約4kA/mの
磁界が基板1の半径方向に加えられているので、硬磁性
下地層53と軟磁性下地層4の磁化及び磁化容易軸は基
板1の半径方向に揃えられる。最後に保護層6としてS
iO2 を15nm形成した。
【0044】このようにして成膜を終えた後、実施例1
と同様の磁界中熱処理を行った。すなわち、10-3Pa
以下の真空中雰囲気において、24kA/mの磁界中で
成膜後の垂直磁気記録媒体50をその回転中心軸の回り
に回転させながら、300℃で、3時間の熱処理を行な
って、垂直磁気記録媒体50を得た。
【0045】ここで、本実施例2と特性比較するため
に、上述の実施例1と比較例3を用いた。比較例3の垂
直磁気記録媒体は別に製作した。比較例3の垂直磁気記
録媒体51は、図11に示すように構成されており、ガ
ラス基板1と、この上に順に形成された軟磁性下地層
4、垂直磁気記録層5及び保護層6とからなる。各層
4、5、6の材質及び成膜条件は、上述の実施例2の場
合と同一である。
【0046】次に、これらの試料(実施例2、実施例1
及び比較例3)の特性評価結果について説明する。ま
ず、記録再生特性について述べる。なお、これらの試料
についての記録再生特性は、トラック幅8μm、主磁極
厚0.4μm、コイル巻数60ターンの単磁極ヘッドを
用い、ディスク回転数2070rpm、線速度8m/
s、ヘッド浮上量80nmの条件で測定を行った。
【0047】100kHzの矩形波信号を記録再生し、
オシロスコ−プによって孤立波再生出力Ep-p (nV/
(μm・t・m/s))を測定した。ここで、再生出力
は、トラック幅(μm)、コイル巻数(t)及び線速度
(m/s)で、規格化してある。比較例1に対する比を
dBで表した。6.67MHzの信号を記録再生し、そ
のときのノイズ成分とシステムノイズとの差分を、帯域
16MHzにわたってスペクトルアナライザにより測定
し、媒体ノイズ(μVrms )を得た。比較例1に対する
比をdBで表した。上記の孤立波再生出力Ep-p と媒体
ノイズの比をS/Nとし、比較例3に対する比をdBで
表した。また、垂直磁気記録媒体を回転開始した直後の
再生出力と、2×104 回転後の再生出力の比を減磁量
(dB)とし、実施例1に対する比をdBで表した。以
上の測定結果を、表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】表2によれば、本発明の実施例2の垂直磁
気記録媒体50は、硬磁性下地層53を有しない比較例
3に対して、再生出力は増加し、媒体ノイズは低下して
おり、結果として、S/Nが2.1dBと大幅に改善さ
れている。実施例1は比較例3に対してはS/Nは同等
である。本発明による垂直磁気記録媒体50は、減磁量
については測定限界程度にまで改善されており、減磁量
を改善した実施例1と同等である。
【0050】次に、磁気特性について説明する。垂直磁
気記録媒体の磁気特性については、VSMで評価した。
まず、CoSm膜単体の磁気特性を説明する。図15
は、本発明の垂直磁気記録媒体の実施例2における硬磁
性下地層53を構成するCoSm膜単体のM−H曲線を
示す図であり、円板状の基板1の面内について円周方向
と半径方向での測定結果を示す。同図にみるとおり、半
径方向のM−H曲線は、ほぼ1の角型比を示し、一方、
円周方向のM−H曲線は緩やかな傾斜を示す。これよ
り、CoSm膜は、半径方向に強く配向していることが
わかる。また、Smの組成比11〜33at%の範囲内
で同様のM−H曲線が得られており、保磁力Hcは50
〜100Oeの範囲であった。なお、このCoSm膜
は、上述した硬磁性下地層53の製法と同様に製作され
ており、磁界中熱処理も実施されている。
【0051】次に、硬磁性下地層/軟磁性下地層の複合
層のM−H曲線を説明する。まず、硬磁性下地層として
CoSm膜を、軟磁性下地層としてCoZrNb膜を用
いたときの複合層のM−H曲線の推定を、磁気的相互作
用を考慮したシミュレ−ションにより行った。図16に
は、シミュレ−ションに用いられたCoSm膜及びCo
ZrNb膜単体のM−H曲線を示す。図17は、CoS
m膜とCoZrNb膜の複合層について、CoSm膜と
CoZrNb膜との間に磁気的相互作用(静磁結合及び
交換結合)がないとしてシミュレ−ションした結果得ら
れたM−H曲線を示している。すなわち、図16中の2
曲線を単純に重ね合わせた結果が得られている。
【0052】一方、図18は、CoSm膜とCoZrN
b膜の複合層について、CoSm膜とCoZrNb膜と
の間に交換結合の磁気的相互作用のみがあるとしてシミ
ュレ−ションした結果得られたM−H曲線を示してい
る。見掛上の保磁力Hcは大きくなっている。また、図
20は、CoSm膜とCoZrNb膜の複合層につい
て、CoSm膜とCoZrNb膜との間に静磁結合の磁
気的相互作用のみがあるとしてシミュレ−ションした結
果得られたM−H曲線を示している。見掛上の保磁力H
cは負の値を示している。
【0053】実際の複合膜のM−H曲線を図14に示
す。図14において、(A)は、本発明の垂直磁気記録
媒体の実施例2を構成する、軟磁性下地層/硬磁性下地
層の複合層の間に中間層がある場合のM−H曲線を、
(B)は、本発明の垂直磁気記録媒体の実施例2を構成
する、軟磁性下地層/硬磁性下地層の複合層のM−H曲
線を、それぞれ示す。なお、硬磁性下地層としてCoS
m膜を、軟磁性下地層としてCoZrNb膜を、中間層
としては2nmのSiO2 層を、上述の実施例2と同様
に成膜した。
【0054】図14(A)に示すM−H曲線は、図17
に示すM−H曲線と相似であり、中間層の存在により、
CoSm膜とCoZrNb膜の磁気的相互作用が断ち切
られている。一方、図14(B)に示すM−H曲線は、
図18に示すM−H曲線と相似であり、CoSm膜とC
oZrNb膜との間には強い交換結合が作用しているこ
とがわかる。なお、図20に示すM−H曲線の形より、
CoSm膜とCoZrNb膜の間に、静磁結合が単独で
は作用していないことがわかる。
【0055】各試料につき、M−H曲線を測定し、軟磁
性下地層/硬磁性下地層の複合層の印加磁界とその磁界
に対応したマイナ−ル−プの反転磁界との関係を明らか
にした。軟磁性下地層/硬磁性下地層の複合層のM−H
(磁化)曲線を説明する。まず、図19に示した、複合
層について得られる、印加磁界Hと反転磁界Hmとの関
係を示すマイナ−ル−プについて説明する。図19にお
いて、横軸は印加磁界Hの強度を、縦軸は磁化Mを、u
は飽和磁化曲線(部分)を、vはマイナ−ル−プをそれ
ぞれ示す。なお、このM−H曲線の測定は基板1の面内
方向に磁界を印加して行ったので、垂直磁気記録層5が
あっても、この垂直磁気記録層5は、基板1面に垂直方
向に強い異方性を持つため、以下に述べる測定結果に影
響を与えない事が分かっている。
【0056】まず、磁化されていない複合層に、正方向
に増加する磁界Hを印加すると、図に示されていない初
磁化曲線を辿り、正方向に磁化され、硬磁性下地層を正
方向に充分飽和する磁界強度であるa点に達し、磁化M
は正方向に飽和する。次に、印加磁界Hを減少させる
と、磁化Mは曲線uを辿り減少していく。磁界Hが0に
達すると、今度は負方向に磁界Hを増加させていく。磁
界Hがc点で示す−Hc(保磁力)に達すると、磁化M
は0となる。さらに、負方向に磁界Hを増加させると、
複合層は負方向に磁化され、磁界Hが−H1になるとb
点に達する。
【0057】次に、b点において磁界を反転し、正方向
に磁界Hを変化させていくと、M−H曲線はマイナ−ル
−プを描き、曲線vに沿って磁化Mは変化していく。そ
して、磁化Mが0となったときのd点で示される磁界H
をHm(H1)として求める(Hmを反転磁界とす
る)。さらに磁界Hを正方向に変化させていくと、正方
向に磁化され、再びa点に達する。この操作を繰り返
し、印加磁界Hと反転磁界Hmとの関係を求めた。
【0058】図12に、本発明の実施例2である、硬磁
性下地層2が半径配向したCo−Smのときの軟磁性下
地層3/硬磁性下地層2の複合層の、印加磁界Hとその
磁界に対応したマイナ−ル−プの反転磁界Hmとの関係
を、実施例1と共に示す。本実施例2においては、Hが
50Oe(4kA/m)まではHmは負の一定の値を示
している。この事は、媒体の保存状態において、50O
eより小さな磁界が硬磁性下地層53の磁化と反対方向
に仮に加わっても、磁界を0に戻せば再び元の磁化状態
に復帰することを示している。
【0059】一方、実施例1の軟磁性下地層3/硬磁性
下地層7の複合層では、印加磁界Hに対してHmは単調
に変化しており、これは、媒体保存時に、反対方向に保
磁力をわずかに越える磁界が加わると、元の磁化状態に
は復帰せず、媒体を使用するときに、減磁、スパイクノ
イズを引き起こす危険性のあることを示すものである
(もちろん、上述の実施例1で説明したように、従来例
に対しては、保磁力そのものが遥かに大きくなってお
り、減磁が改善されていることは明白である)。
【0060】次に、硬磁性下地層53、3の結晶性をX
線解析法によって調べた結果について説明する。図13
は、本発明の垂直磁気記録媒体の実施例1及び実施例2
の垂直磁気記録媒体のX線回折パタ−ンを示す図であ
る。同図に示すように、実施例1の硬磁性下地層3にお
いては、bcc−Cr及びhcp−CoCrTaの明確
なピ−クが観測され、明らかに結晶質である事がわかっ
た。一方、本実施例2の硬磁性下地層53においては、
CoSmからのピ−クは観測されず、これより硬磁性下
地層53は、非晶質もしくは微結晶質であることがわか
った。なお、回折には、Cuタ−ゲットを使用し、実施
例2の場合は、回折ピ−クを確認するために、実施例1
に対し4倍のタ−ゲット電流を流した。
【0061】さらに、走査型電子顕微鏡(SEM)によ
って、単独に基板1上に作製された硬磁性下地層53、
3の薄膜表面を観察したところ、実施例1の硬磁性下地
層3については、明瞭な結晶粒が観察されたのに対し、
本実施例2の硬磁性下地層53のCoSmには、結晶粒
は見られず、表面も平滑である事がわかった。
【0062】なお、使用する硬磁性下地層53の磁気特
性および膜厚の範囲は、軟磁性下地層4の磁気特性、膜
厚との関連で決定され、図12に示したカ−ブにおい
て、Hmが立ち上がる磁界が外来磁界に比べて充分大き
くなるように、例えば500A/m以上になるように設
定すればよい。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1による本
発明の垂直磁気記録媒体によれば、円板状の基板と、こ
の基板上に形成された軟磁性下地層と、この軟磁性下地
層上に形成された垂直磁気記録層とを備えた垂直磁気記
録媒体において、前記基板と前記軟磁性下地層との間
に、全ての磁化方向が前記基板の半径方向の外周向き或
いは中心向きのいずれか一方向である磁化を有し、前記
軟磁性下地層と交換結合する硬磁性下地層を設けた事に
より、媒体の回転による減磁を防止し、媒体ノイズを低
減し、高い再生出力を得ることが出来、それにより、高
性能且つ高品質な垂直磁気記録媒体を提供する事が出来
る。
【0064】また、請求項2による本発明の垂直磁気記
録媒体によれば、円板状の基板と、この基板上に形成さ
れた軟磁性下地層と、この軟磁性下地層上に形成された
垂直磁気記録層とを備えた垂直磁気記録媒体において、
前記基板と前記軟磁性下地層との間に、全ての磁化方向
が前記基板の半径方向の外周向き或いは中心向きのいず
れか一方向であって、前記軟磁性下地層と交換結合する
と共に、磁化容易軸が前記基板の面内である面内配向硬
磁性下地層を設けた事により、媒体の回転による減磁を
防止し、媒体ノイズを低減し、高い再生出力を得ること
が出来、それにより、高性能且つ高品質な垂直磁気記録
媒体を提供する事が出来る。
【0065】また、請求項3による本発明の垂直磁気記
録媒体によれば、円板状の基板と、この基板上に形成さ
れた軟磁性下地層と、この軟磁性下地層上に形成された
垂直磁気記録層とを備えた垂直磁気記録媒体において、
前記基板と前記軟磁性下地層との間に、全ての磁化方向
が前記基板の半径方向の外周向き或いは中心向きのいず
れか一方向であって、前記軟磁性下地層と交換結合する
と共に、磁化容易軸が前記半径方向である半径配向硬磁
性下地層を設けた事により、媒体の回転による減磁を防
止し、媒体ノイズを低減し、高い再生出力を得ることが
出来、それにより、高性能且つ高品質な垂直磁気記録媒
体を提供する事が出来る。
【0066】また、請求項4による本発明の垂直磁気記
録媒体によれば、請求項3に記載の垂直磁気記録媒体で
あって、前記半径配向硬磁性下地層をSm(サマリュウ
ム)を含むCo合金膜とした事により、媒体の回転によ
る減磁を防止し、媒体ノイズを低減し、高い再生出力を
得ることが出来、それにより、高性能且つ高品質な垂直
磁気記録媒体を提供する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の垂直磁気記録媒体の第1の実施例の構
成を模式的に示す部分断面図である。
【図2】第1の比較例の垂直磁気記録媒体の構成を模式
的に示す部分断面図である。
【図3】第1の従来例及び第2の比較例の垂直磁気記録
媒体の構成を模式的に示す部分断面図である。
【図4】軟磁性下地層/硬磁性下地層のM−H曲線にお
ける規格化した印加磁界H/Hcとマイナ−ル−プのH
m(H)との関係を示すグラフ図である。
【図5】本発明の垂直磁気記録媒体の第1の実施例を構
成する軟磁性下地層/硬磁性下地層の複合層のM−H曲
線を示すグラフ図である。
【図6】第2の比較例の垂直磁気記録媒体を構成する軟
磁性下地層のM−H曲線を示すグラフ図である。
【図7】垂直磁気記録媒体の製造に使用されるDCマグ
ネトロンスパッタ装置のターゲット電極付近の構成を示
す概略断面図である。
【図8】垂直磁気記録媒体の製造工程の1つである磁界
中熱処理を説明するための概念図である。
【図9】第2の従来例の垂直磁気記録媒体の構成を模式
的に示す部分断面図である。
【図10】本発明の垂直磁気記録媒体の第2の実施例の
構成を模式的に示す部分断面図である。
【図11】第3の比較例の垂直磁気記録媒体の構成を模
式的に示す部分断面図である。
【図12】本発明の垂直磁気記録媒体の第1及び第2の
実施例の垂直磁気記録媒体を構成する軟磁性下地層/硬
磁性下地層の複合層の、印加磁界Hとその磁界に対応し
たマイナ−ル−プの反転磁界Hmとの関係を表すグラフ
図である。
【図13】本発明の垂直磁気記録媒体の第1及び第2の
実施例の垂直磁気記録媒体のX線回折パタ−ンを示す図
である。
【図14】本発明の垂直磁気記録媒体の第2の実施例を
構成する、軟磁性下地層/硬磁性下地層の複合層の間に
中間層がある場合とない場合のM−H曲線を示す図であ
る。
【図15】本発明の垂直磁気記録媒体の第2の実施例に
おける硬磁性下地層2を構成するCoSm膜単体のM−
H曲線を示す図である。
【図16】本発明の垂直磁気記録媒体の第2の実施例を
構成する軟磁性下地層と硬磁性下地層それぞれについ
て、シミュレ−ションした結果得られたM−H曲線を示
す図である。
【図17】本発明の垂直磁気記録媒体の第2の実施例を
構成する、軟磁性下地層/硬磁性下地層の複合層につい
て、軟磁性下地層と硬磁性下地層との間に磁気的相互作
用がないとしてシミュレ−ションした結果得られたM−
H曲線を示す図である。
【図18】本発明の垂直磁気記録媒体の第2の実施例を
構成する、軟磁性下地層/硬磁性下地層の複合層につい
て、軟磁性下地層と硬磁性下地層との間に交換相互作用
があるとしてシミュレ−ションした結果得られたM−H
曲線を示す図である。
【図19】印加磁界Hと反転磁界Hmとの関係を説明す
るためのマイナ−ル−プを示す図である。
【図20】本発明の垂直磁気記録媒体の第2の実施例を
構成する、軟磁性下地層/硬磁性下地層の複合層につい
て、軟磁性下地層と硬磁性下地層との間に静磁結合があ
るとしてシミュレ−ションした結果得られたM−H曲線
を示す図である。
【符号の説明】
1 円形基板 2 クロム層 3 硬磁性下地層 4 軟磁性下地層 5 垂直磁気記録層 6 保護層 9 回転中心軸 10 垂直磁気記録媒体(実施例1) 11 垂直磁気記録媒体(比較例1) 12 垂直磁気記録媒体(従来例1) 13 垂直磁気記録媒体(従来例2) 21 ガラス基板 24 軟磁性下地層 25 垂直磁気記録層 26 保護層 31 ガラス基板 32 クロム層 34 軟磁性下地層 35 垂直磁気記録層 36 保護層 37 カ−ボン層 41 第1の永久磁石 42 第2の希土類永久磁石 43 ターゲット 50 垂直磁気記録媒体(実施例2) 51 垂直磁気記録媒体(比較例1) 53 硬磁性下地層

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円板状の基板と、この基板上に形成された
    軟磁性下地層と、この軟磁性下地層上に形成された垂直
    磁気記録層とを備えた垂直磁気記録媒体において、 前記基板と前記軟磁性下地層との間に、全ての磁化方向
    が前記基板の半径方向の外周向き或いは中心向きのいず
    れか一方向である磁化を有し、前記軟磁性下地層と交換
    結合する硬磁性下地層を設けた事を特徴とする垂直磁気
    記録媒体。
  2. 【請求項2】円板状の基板と、この基板上に形成された
    軟磁性下地層と、この軟磁性下地層上に形成された垂直
    磁気記録層とを備えた垂直磁気記録媒体において、 前記基板と前記軟磁性下地層との間に、全ての磁化方向
    が前記基板の半径方向の外周向き或いは中心向きのいず
    れか一方向であって、前記軟磁性下地層と交換結合する
    と共に、磁化容易軸が前記基板の面内である面内配向硬
    磁性下地層を設けた事を特徴とする垂直磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】円板状の基板と、この基板上に形成された
    軟磁性下地層と、この軟磁性下地層上に形成された垂直
    磁気記録層とを備えた垂直磁気記録媒体において、 前記基板と前記軟磁性下地層との間に、全ての磁化方向
    が前記基板の半径方向の外周向き或いは中心向きのいず
    れか一方向であって、前記軟磁性下地層と交換結合する
    と共に、磁化容易軸が前記半径方向である半径配向硬磁
    性下地層を設けた事を特徴とする垂直磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の垂直磁気記録媒体であっ
    て、前記半径配向硬磁性下地層をSm(サマリュウム)
    を含むCo合金膜とした事を特徴とする垂直磁気記録媒
    体。
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