JP2008121808A - 自動変速機 - Google Patents

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Natsuki Sada
夏木 佐田
Nobukazu Ike
宣和 池
Satoru Kasuya
悟 糟谷
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Abstract

【課題】一方のクラッチのクラッチドラムに他方のクラッチの油圧サーボを内包する構造にあって、製造工程の簡易化、加工の容易化、コンパクト化等を図ることが可能な自動変速機を提供する。
【解決手段】自動変速機1にあっては、第3のクラッチC−3の油圧サーボ40を形成するクラッチドラム42に、第4のクラッチC−4の油圧サーボ50が内包されている。該クラッチドラム42は、該油圧サーボ50が配設される中空軸部42cを有しており、この中空軸部42cの一部とクラッチドラム52とピストン部材53とによって該油圧サーボ50の作動油室56を形成すると共に、該クラッチドラム52の中空軸部52cと中空軸部42cとに互いにスプライン部42s、52sを形成し、これらスプライン部42s、52sのスプライン係合によって、クラッチドラム42とクラッチドラム52とを回転連結する。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば車輌等に搭載される自動変速機に係り、詳しくは、一方のクラッチのクラッチドラムに他方のクラッチの油圧サーボが内包された構造を有する自動変速機に関する。
近年、車輌等に搭載される自動変速機は、燃費向上等の要求から例えば前進8速段等の多段化が図られていると共に、車輌搭載性の観点からコンパクト化も求められている。そのため、自動変速機構の出力部材(カウンタギヤ)の変速比を生成するプラネタリギヤセットの1つの回転要素に例えば減速回転と入力回転などの2種類の回転を選択的に入力するものがある。そして、このような自動変速機にあって、1つのクラッチドラムの内部に他のクラッチを内包して配置し、これにより自動変速機のコンパクト化を図ったものが提案されている(特許文献1、及び特許文献2参照)。
即ち、これらの自動変速機においては、減速プラネタリギヤからの減速回転をプラネタリギヤセットの回転要素(例えばサンギヤS2)に出力自在にする第3のクラッチC−3のクラッチドラム内に、入力軸の入力回転を同じ回転要素(例えばサンギヤS2)に出力自在にする第4のクラッチC−4が配置されており、それらの両クラッチドラムが互いに相対回転しなように回転連結されている。
特開2005−207579号公報 特開2005−273768号公報
ところで、上記特許文献1のものは、上記2つのクラッチドラムを回転連結するために、外周側の両クラッチドラムのドラム部分をスプライン係合する手法と(特許文献1の図1、図2、図3参照)、内周側の両クラッチドラムの中空軸部分をスプライン係合する手法と(特許文献1の図4参照)が提案されている。しかしながら、上記外周側のドラム部分をスプライン係合させるものは、両クラッチドラムのドラム部分の間に第3のクラッチC−3のピストン部材を介在して配置する必要があるため、該ピストン部材を櫛歯状に形成して、それら両クラッチドラムの間を通す必要があり、構造やピストンの加工が複雑になってしまうという問題がある。
一方、上記内周側の中空軸部分をスプライン係合させるものは、構造が簡易になるものの、第4のクラッチC−4のクラッチドラムの内周側を中空軸状に形成して第3のクラッチのクラッチドラムの中空軸上を被嵌させ、その先端部分においてスプライン係合させているため、その第4のクラッチC−4のクラッチドラムの中空軸部分を存する分、該第4のクラッチC−4の油圧サーボの作動油室の受圧面積(チャンバ面積)が小さくなって、該第4のクラッチC−4の伝達トルク容量が小さくなってしまったり、反対にその伝達トルク容量を大きくするためには油圧サーボ自体を外径方向に大きくする必要が生じて、自動変速機の径方向の肥大化を招く虞もある。
また、上記第4のクラッチC−4の油圧サーボの油室の受圧面積をできるだけ確保するため、両クラッチドラムの中空軸部分の先端部分を内周側に屈曲形成し、つまりスプライン係合部分をできるだけ内周側に配置しているが、それによって、スプライン部分の外径が小さくなり、第4のクラッチC−4のクラッチドラムと第3のクラッチC−4のクラッチドラムとの間の伝達トルク容量を確保するために、スプライン部分を軸方向に長くする必要があり、自動変速機の軸方向短縮化の妨げになるという問題もある。
更に、第4のクラッチC−4のクラッチドラムの中空軸部分を形成したため、第4のクラッチC−4の油圧サーボの油室にケースのボス部から作動油圧を供給するためには、該ボス部と第3のクラッチC−3のクラッチドラムとの間だけでなく、両クラッチドラムの間もシールする必要が生じ、シール部材(Oリング)が1対多く必要となってしまうと共に、そのシール部材に対向する面(即ち第3のクラッチのクラッチドラムの中空軸外周面)を研磨する必要も生じるという問題もある。
一方、上記特許文献2のものは、上記2つのクラッチドラムを回転連結するために、第3のクラッチのクラッチドラムの中空軸の外周面に第4のクラッチC−4のクラッチドラムの内周端部を溶接により固着している(特許文献2の図2参照)。しかしながら、このように第3のクラッチのクラッチドラムに第4のクラッチC−4のクラッチドラムを溶接するためには、該第3のクラッチのクラッチドラム内に該第3のクラッチの油圧サーボを組付けた後に溶接を行い、その後、さらに第4のクラッチの油圧サーボの組付けを行う必要があり、組付け工程や加工が複雑になってしまうという問題がある。
なお、上記特許文献2のものは、第3のクラッチのクラッチドラムをケースのボス部に対して回転支持するベアリングやブッシュ等の軸受部材がなく、該ボス部とクラッチドラムとの間に各油路をシールするシール部材を配置しているため、シール部材の耐久性の観点から所定のクリアランスが必要なことから、該ボス部により第3のクラッチのクラッチドラムを直接回転支持することも現実的に不可能であり、つまり現実的にこのような構造で自動変速機を構成することは困難である。
そこで本発明は、一方のクラッチのクラッチドラムに他方のクラッチの油圧サーボを内包する構造にあって、製造工程や加工を容易にすることが可能であり、かつ該他方のクラッチの伝達トルク容量を確保すると共にコンパクト化を図ることも可能な自動変速機を提供することを目的とするものである。
請求項1に係る本発明は(例えば図1乃至図4参照)、一方のクラッチ(C−3)の油圧サーボ(40)を形成するクラッチドラム(42)に、該クラッチドラム(42)と軸方向の同方向に開口したクラッチドラム(52)を有する他方のクラッチ(C−4)の油圧サーボ(50)が内包され、前記他方のクラッチ(C−4)のクラッチドラム(52)に伝達された回転を前記一方のクラッチ(C−3)のクラッチドラム(42)を介して伝達する自動変速機(1)において、
前記一方のクラッチ(C−3)のクラッチドラム(42)は、内周部に軸状に形成され、前記他方のクラッチ(C−4)の油圧サーボ(50)が外周側に配設される一方の軸部(42c)を有し、
前記他方のクラッチ(C−4)のクラッチドラム(52)は、内周部に軸状に形成され、かつ前記一方の軸部(42c)上に嵌合される他方の軸部(52c)を有し、
前記他方のクラッチ(C−4)のクラッチドラム(52)と、前記一方の軸部(42c)上に摺動自在に配設された前記他方のクラッチ(C−4)のピストン(53)と、前記一方の軸部(42c)の外周面の一部と、によって前記他方のクラッチ(C−4)の油圧サーボ(50)の作動油室(56)を形成すると共に、
前記他方の軸部(52c)の内周面と、前記一方の軸部(42c)の外周面と、に互いにスプライン係合するスプライン部(42s、52s)を形成し、
前記スプライン部(42s、52s)のスプライン係合によって、前記一方のクラッチ(C−3)のクラッチドラム(42)と前記他方のクラッチ(C−4)のクラッチドラム(52)とを回転連結した、
ことを特徴とする自動変速機(1)にある。
請求項2に係る本発明は(例えば図2参照)、前記他方の軸部(52c)の内周面に、前記一方の軸部(42c)と前記他方のクラッチ(C−4)のクラッチドラム(52)との間をシールして、前記他方のクラッチ(C−4)の油圧サーボ(50)の作動油室(56)を形成するシール部材(a42)を備え、
前記他方の軸部(52c)の内周面に形成されたスプライン部(52s)は、該内周面における、前記シール部材(a42)に対して軸方向における前記一方のクラッチ(C−3)の油圧サーボ(40)側に形成されてなる、
請求項1記載の自動変速機(1)にある。
請求項3に係る本発明は(例えば図2参照)、前記一方の軸部(42c)は、前記他方のクラッチ(C−4)のクラッチドラム(52)から伝達される伝達トルクが前記スプライン部(42s、52s)を介して伝達されるトルク伝達部(42d)と、該トルク伝達部(42d)から一体的に延設され、前記他方のクラッチ(C−4)の油圧サーボ(50)が配設される非トルク伝達部(42e)と、からなり、
前記一方の軸部(42c)は、前記トルク伝達部(42d)の肉厚が厚く形成されると共に、前記非トルク伝達部(42e)の肉厚が前記トルク伝達部(42d)よりも薄く形成されることによって、段差部(42f)を有し、
前記段差部(42f)は、前記他方のクラッチ(C−4)のクラッチドラム(52)の軸方向位置を位置決めしてなる、
請求項1または2記載の自動変速機(1)にある。
請求項4に係る本発明は(例えば図2参照)、駆動源からの入力回転が入力される入力軸(7)と、
ケース(6)より延設されたボス部(6a)に対して回転固定された第1のサンギヤ(S1)と、前記入力軸(7)に連結される第1のキャリヤ(CR1)と、それら回転固定された第1のサンギヤ(S1)及び入力回転が入力される第1のキャリヤ(CR1)によって減速回転を出力する第1のリングギヤ(R1)と、を有し、前記一方のクラッチ(C−3)のクラッチドラム(42)の開口側に配置された減速プラネタリギヤ(DP)と、を備え、
前記第1のサンギヤ(S1)は、前記一方のクラッチ(C−3)側の側面に環状の凹部(S1a)を備え、
前記一方の軸部(42c)は、中空軸状に形成されると共に前記ボス部(6a)の外周側に回転自在に配置され、かつ先端部(42g)が前記第1のサンギヤ(S1)の凹部(S1a)の内部に挿入されて配置され、
前記一方の軸部(42c)の先端部(42g)と前記ボス部(6a)との間に介在し、少なくとも一部が前記減速プラネタリギヤ(DP)とオーバーラップした回転支持部材(b1)を備え、
前記一方のクラッチ(C−3)のクラッチドラム(42)は、前記ボス部(6a)に対し、前記回転支持部材(b1)により回転自在に支持されてなる、
請求項1ないし3のいずれか記載の自動変速機(1)にある。
請求項5に係る本発明は(例えば図1及び図3参照)、第1のクラッチ(C−1)の係合により前記第1のリングギヤ(R1)の減速回転を入力する第2のサンギヤ(S2)と、
第3のクラッチ(C−3)の係合により前記第1のリングギヤ(R1)の減速回転を入力し、かつ第4のクラッチ(C−4)の係合により前記第1のキャリヤ(CR1)を介した前記入力軸(7)の回転を入力し、かつ第1のブレーキ(B−1)の係止により回転が固定される第3のサンギヤ(S3)と、
前記第3のサンギヤ(S3)に噛合するロングピニオン(P3)と、前記第2のサンギヤ(S2)に噛合するショートピニオン(P4)と、を有し、第2のブレーキ(B−2)の係止により回転が固定され、かつ第2のクラッチ(C−2)の係合により前記入力軸(7)の回転を入力する第2のキャリヤ(CR2)と、
前記ロングピニオン(P3)に噛合すると共に、カウンタギヤ(8)に回転連結される第2のリングギヤ(R2)と、からなるプラネタリギヤセット(PU)を備え、
前記一方のクラッチは、前記第3のクラッチ(C−3)であり、
前記他方のクラッチは、前記第4のクラッチ(C−4)である、
請求項4記載の自動変速機(1)にある。
請求項6に係る本発明は(例えば図1、図3、及び図4参照)、前記第1のクラッチ(C−1)を係合すると共に、前記第2のブレーキ(B−2)を係止することにより前進1速段を、
前記第1のクラッチ(C−1)を係合すると共に、前記第1のブレーキ(B−1)を係止することにより前進2速段を、
前記第1のクラッチ(C−1)と前記第3のクラッチ(C−3)とを係合することにより前進3速段を、
前記第1のクラッチ(C−1)と前記第4のクラッチ(C−4)とを係合することにより前進4速段を、
前記第1のクラッチ(C−1)と前記第2のクラッチ(C−2)とを係合することにより前進5速段を、
前記第2のクラッチ(C−2)と前記第4のクラッチ(C−4)とを係合することにより前進6速段を、
前記第2のクラッチ(C−2)と前記第3のクラッチ(C−3)とを係合することにより前進7速段を、
前記第2のクラッチ(C−2)を係合すると共に、前記第1のブレーキ(B−1)を係止することにより前進8速段を、
前記第3のクラッチ(C−3)又は前記第4のクラッチ(C−4)を係合すると共に、前記第2のブレーキ(B−2)を係止することにより後進段を、それぞれ達成してなる、
請求項5記載の自動変速機(1)にある。
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
請求項1に係る本発明によると、他方のクラッチのクラッチドラムと、一方の軸部上に摺動自在に配設された他方のクラッチのピストンと、一方の軸部の外周面の一部と、によって他方のクラッチの油圧サーボの作動油室を形成すると共に、他方のクラッチのクラッチドラムにおける他方の軸部の内周面と一方の軸部の外周面とに互いにスプライン係合するスプライン部を形成し、スプライン部のスプライン係合によって、一方のクラッチのクラッチドラムと他方のクラッチのクラッチドラムとを回転連結したので、例えば一方のクラッチのピストン部材を櫛歯状に形成したり、クラッチドラム同士を溶接したりすることを不要とすることができ、製造工程を容易にすることができるものでありながら、他方のクラッチのクラッチドラムにおいて内周側に、該他方のクラッチのピストン部材やリターンプレートの内周側を通る軸部を形成することを不要とすること(つまり他方の軸部を短縮化すること)ができ、該他方のクラッチの油圧サーボにおけるチャンバ面積を大きく確保することができると共に、自動変速機の径方向のコンパクト化を図ることができる。
また、他方のクラッチの油圧サーボの作動油室を、一方の軸部の一部に形成(つまり直接的に配置)するので、他方のクラッチの油圧サーボに作動油圧を供給するためのクラッチドラム同士間のシール部材を不要とすることができ、部品点数の削減を図ることができて、かつクラッチドラムにおけるシール面の研磨も1箇所不要とすることができ、クラッチドラムの加工を容易にすることができる。
更に、クラッチドラム同士を内周側にてスプライン係合するものにあって、スプライン部を従来に比して外径側に配置することができるので、該スプライン部の軸方向の長さを短縮することができ、自動変速機の軸方向の短縮化も図ることができる。
請求項2に係る本発明によると、他方の軸部の内周面に形成されたスプライン部を、該内周面におけるシール部材に対して軸方向における一方のクラッチの油圧サーボ側に形成したので、他方のクラッチの油圧サーボの作動油室内にスプライン部を形成することなく、該作動油室の外部においてクラッチドラム同士をスプライン係合させることができ、つまり該作動油室を形成する一方の軸部の外周面の一部を、シール面として1度の研磨だけで加工することを可能にすることができる。
請求項3に係る本発明によると、一方の軸部は、他方のクラッチのクラッチドラムから伝達される回転力が前記スプライン部を介して伝達されるため、トルク伝達部の肉厚が厚く形成されると共に、非トルク伝達部の肉厚がトルク伝達部よりも薄く形成されることによって段差部を有しており、該段差部が、他方のクラッチのクラッチドラムの軸方向位置を位置決めするので、回転伝達を行わない非トルク伝達部の肉厚を薄くすることによって、他方のクラッチの油圧サーボにおけるチャンバ面積を大きくすることができ、かつ径方向のコンパクト化を図ることができるものでありながら、該非トルク伝達部とトルク伝達部とによる段差部を利用することができ、つまり他方のクラッチのクラッチドラムの軸方向位置を位置決めする部材を新たに設けることを不要とすることができて、部品点数の削減を図ることができる。
請求項4に係る本発明によると、減速プラネタリギヤの第1のサンギヤが、一方のクラッチ側の側面に環状の凹部を備えており、一方のクラッチのクラッチドラムにおける一方の軸部の先端部を第1のサンギヤの凹部の内部に挿入して配置すると共に、該先端部とボス部との間に、少なくとも一部が減速プラネタリギヤとオーバーラップするように回転支持部材を配置して、該回転支持部材によってボス部に対し該クラッチドラムを回転自在に支持したので、該回転支持部材によって一方のクラッチのクラッチドラムをボス部に対して精度良く支持することができるものでありながら、軸方向のコンパクト化を図ることができる。
請求項5に係る本発明によると、一方のクラッチは、減速回転を伝達する第3のクラッチであり、他方のクラッチは入力回転を伝達する第4のクラッチであるので、大きな伝達トルク容量が必要とされる第3のクラッチの摩擦板を第4のクラッチの摩擦板よりも外周側に配置することができ、かつ第3のクラッチの油圧サーボのチャンバ面積を第4のクラッチの油圧サーボに比して大きくすることができる。
請求項6に係る本発明によると、前進8速段及び少なくとも後進1速段を達成する自動変速機にあって、製造工程や加工の容易化を図ることができ、かつコンパクト化も図ることができる。
以下、本発明に係る実施の形態を図1乃至図4に沿って説明する。図1は本発明に係る自動変速機を示す断面図、図2は本発明に係る自動変速機の一部を示す拡大断面図、図3は本自動変速機を模式的に示すスケルトン図、図4は本自動変速機の係合表である。
なお、本発明に係る自動変速機は、例えばFF(フロントエンジン・フロントドライブ)タイプ等の車輌に搭載されて好適な自動変速機であり、図1、図2、図3中における左右方向が実際の車輌搭載状態における左右方向(或いは左右逆方向)に対応するが、説明の便宜上、エンジン等の駆動源側である図中右方側を「前方側」、図中左方側を「後方側」というものとする。
まず、本発明を適用し得る自動変速機1の概略構成について図1及び図3に沿って説明する。図1に示すように、例えばFFタイプの車輌に用いて好適な自動変速機1は、ハウジングケース6Aとミッションケース6Bとによって構成されたケース6を備えており、該ケース6の前方側に、不図示のエンジンに接続し得る自動変速機1としての入力部材(フロントカバー及びセンターピース)10を有している。また、該自動変速機1は、上記ハウジングケース6A内に、ロックアップクラッチ2aを有するトルクコンバータ2が配置されており、ミッションケース6B内に、変速機構3、カウンタシャフト部4、及びディファレンシャル部5が配置されている。
該トルクコンバータ12は、例えばエンジン(不図示)の出力軸と同軸上である変速機構3の入力軸7Aを中心とした軸上に配置されており、該変速機構3は、該入力軸7Aと同軸上で接続された中心軸7Bを中心とした軸上に配置されている。また、カウンタシャフト部4は、それら入力軸7A及び中心軸7Bと平行な軸上であるカウンタシャフト12上に配置されており、ディファレンシャル部5は、該カウンタシャフト12と平行な軸上に不図示の左右車軸を有する形で配置されている。
なお、図1に示す断面展開図は、自動変速機1を平面的に展開して示しているものであって、上記入力軸7A及び中心軸7Bと、カウンタシャフト12と、不図示の左右車軸15,15とは、側面視くの字状の位置関係である。
上記変速機構3には、上記トルクコンバータ2を介してエンジンからの回転が伝達される入力軸7Aが備えられており、該入力軸7Aの後方側に接続配置された中心軸7Bが備えられている。即ち、本自動変速機1においては、上記入力軸7Aと中心軸7Bとによって広義としての入力軸7が構成されている。そして、該変速機構3には、上記入力軸7A上において、プラネタリギヤ(減速プラネタリギヤ)DPが備えられ、該中心軸7B上において、プラネタリギヤユニット(プラネタリギヤセット)PUが備えられている。
上記プラネタリギヤDPは、図1及び図3に示すように、第1のサンギヤS1、第1のキャリヤCR1、及び第1のリングギヤR1を備えており、該第1のキャリヤCR1に、第1のサンギヤS1に噛合するピニオンP2及び第1のリングギヤR1に噛合するピニオンP1を互いに噛合する形で有している、いわゆるダブルピニオンプラネタリギヤである。
一方、該プラネタリギヤユニットPUは、4つの回転要素として第2のサンギヤS2、第3のサンギヤS3、第2のキャリヤCR2、及び第2のリングギヤR2を有し、該第2のキャリヤCR2に、第3のサンギヤS3及び第2のリングギヤR2に噛合するロングピニオンP3と、第2のサンギヤS2に噛合するショートピニオンP4とを互いに噛合する形で有している、いわゆるラビニヨ型プラネタリギヤである。
上記プラネタリギヤDPの第1のサンギヤS1は、ケース6に対して回転が固定されている。また、上記第1のキャリヤCR1は、上記入力軸7Aに接続されて、該入力軸7Aの回転と同回転(以下、「入力回転」という。)になっていると共に、第4のクラッチC−4に接続されている。更に、第1のリングギヤR1は、該固定された第1のサンギヤS1と該入力回転する第1のキャリヤCR1とにより、入力回転が減速された減速回転になると共に、第1のクラッチC−1及び第3のクラッチC−3に接続されている。
上記プラネタリギヤユニットPUの第3のサンギヤS3は、第1のブレーキB−1に接続されてケース6に対して固定自在となっていると共に、上記第4のクラッチC−4及び上記第3のクラッチC−3に接続されて、第4のクラッチC−4を介して上記第1のキャリヤCR1の入力回転が、第3のクラッチC−3を介して上記第1のリングギヤR1の減速回転が、それぞれ入力自在となっている。また、上記第2のサンギヤS2は、第1のクラッチC−1に接続されており、上記第1のリングギヤR1の減速回転が入力自在となっている。
更に、上記第2のキャリヤCR2は、中間軸7Bを介して入力軸7Aの回転が入力される第2のクラッチC−2に接続されて、該第2のクラッチC−2を介して入力回転が入力自在となっており、また、ワンウェイクラッチF−1及び第2のブレーキB−2に接続されて、該ワンウェイクラッチF−1を介してケース6に対して一方向の回転が規制されると共に、該第2のブレーキB−2を介して回転が固定自在となっている。そして、上記第2のリングギヤR2は、ミッションケース6Bに固定されたセンターサポート部材9に対して回転自在に支持されたカウンタギヤ8に接続されている。
また、上記カウンタギヤ8には、上記カウンタシャフト部4のカウンタシャフト12上に固定されている大径ギヤ11が噛合しており、該カウンタシャフト12には、外周面上に形成されている小径ギヤ12aを介してディファレンシャル部5のギヤ14が噛合している。そして、該ギヤ14は、ディファレンシャルギヤ13に固定されており、ディファレンシャルギヤ13を介して左右車軸15,15に接続されている。なお、図1に示す符号15は、車軸15,15が嵌合される嵌合穴を便宜的に指している。
つづいて、上記構成に基づき、変速機構3の作用について図3及び図4に沿って説明する。
例えばD(ドライブ)レンジであって、前進1速段(1st)では、図4に示すように、第1のクラッチC−1及びワンウェイクラッチF−1が係合される。すると、図3に示すように、固定された第1のサンギヤS1と入力回転である第1のキャリヤCR1によって減速回転する第1のリングギヤR1の回転が、第1のクラッチC−1を介して第2のサンギヤS2に入力される。また、第2のキャリヤCR2の回転が一方向(正転回転方向)に規制されて、つまり第2のキャリヤCR2の逆転回転が防止されて固定された状態になる。すると、第2のサンギヤS2に入力された減速回転が、固定された第2のキャリヤCR2を介して第2のリングギヤR2に出力され、前進1速段としての正転回転がカウンタギヤ8から出力される。
なお、エンジンブレーキ時(コースト時)には、第2のブレーキB−2を係止して第2のキャリヤCR2を固定し、該第2のキャリヤCR2の正転回転を防止する形で、上記前進1速段の状態を維持する。また、該前進1速段では、ワンウェイクラッチF−1により第2のキャリヤCR2の逆転回転を防止し、かつ正転回転を可能にするので、例えば非走行レンジから走行レンジに切換えた際の前進1速段の達成を、ワンウェイクラッチF−1の自動係合により滑らかに行うことができる。
前進2速段(2nd)では、図4に示すように、第1のクラッチC−1が係合され、第1のブレーキB−1が係止される。すると、図3に示すように、固定された第1のサンギヤS1と入力回転である第1のキャリヤCR1によって減速回転する第1のリングギヤR1の回転が、第1のクラッチC−1を介して第2のサンギヤS2に入力される。また、第1のブレーキB−1の係止により第3のサンギヤS3の回転が固定される。すると、第2のキャリヤCR2が第2のサンギヤS2よりも低回転の減速回転となり、該第2のサンギヤS2に入力された減速回転が該第2のキャリヤCR2を介して第2のリングギヤR2に出力され、前進2速段としての正転回転がカウンタギヤ8から出力される。
前進3速段(3rd)では、図4に示すように、第1のクラッチC−1及び第3のクラッチC−3が係合される。すると、図3に示すように、固定された第1のサンギヤS1と入力回転である第1のキャリヤCR1によって減速回転する第1のリングギヤR1の回転が、第1のクラッチC−1を介して第2のサンギヤS2に入力される。また、第3のクラッチC−3の係合により第1のリングギヤR1の減速回転が第3のサンギヤS3に入力される。つまり、第3のサンギヤS3及び第2のサンギヤS2に第1のリングギヤR1の減速回転が入力されるため、プラネタリギヤユニットPUが減速回転の直結状態となり、そのまま減速回転が第2のリングギヤR2に出力され、前進3速段としての正転回転がカウンタギヤ8から出力される。
前進4速段(4th)では、図4に示すように、第1のクラッチC−1及び第4のクラッチC−4が係合される。すると、図3に示すように、固定された第1のサンギヤS1と入力回転である第1のキャリヤCR1によって減速回転する第1のリングギヤR1の回転が、第1のクラッチC−1を介して第2のサンギヤS2に入力される。また、第4のクラッチC−4の係合により第1のキャリヤCR1の入力回転が第3のサンギヤS3に入力される。すると、第2のキャリヤCR2が第2のサンギヤS2よりも高回転の減速回転となり、該第2のサンギヤS2に入力された減速回転が該第2のキャリヤCR2を介して第2のリングギヤR2に出力され、前進4速段としての正転回転がカウンタギヤ8から出力される。
前進5速段(5th)では、図4に示すように、第1のクラッチC−1及び第2のクラッチC−2が係合される。すると、図3に示すように、固定された第1のサンギヤS1と入力回転である第1のキャリヤCR1によって減速回転する第1のリングギヤR1の回転が、第1のクラッチC−1を介して第2のサンギヤS2に入力される。また、第2のクラッチC−2の係合により第2のキャリヤCR2に入力回転が入力される。すると、該第2のサンギヤS2に入力された減速回転と第2のキャリヤCR2に入力された入力回転とにより、上記前進4速段より高い減速回転となって第2のリングギヤR2に出力され、前進5速段としての正転回転がカウンタギヤ8から出力される。
前進6速段(6th)では、図4に示すように、第2のクラッチC−2及び第4のクラッチC−4が係合される。すると、図3に示すように、第4のクラッチC−4の係合により第3のサンギヤS3に第1のキャリヤCR1の入力回転が入力される。また、第2のクラッチC−2の係合により第2のキャリヤCR2に入力回転が入力される。つまり、第3のサンギヤS3及び第2のキャリヤCR2に入力回転が入力されるため、プラネタリギヤユニットPUが入力回転の直結状態となり、そのまま入力回転が第2のリングギヤR2に出力され、前進6速段としての正転回転がカウンタギヤ8から出力される。
前進7速段(7th)では、図4に示すように、第2のクラッチC−2及び第3のクラッチC−3が係合される。すると、図3に示すように、固定された第1のサンギヤS1と入力回転である第1のキャリヤCR1によって減速回転する第1のリングギヤR1の回転が、第3のクラッチC−3を介して第3のサンギヤS3に入力される。また、第2のクラッチC−2の係合により第2のキャリヤCR2に入力回転が入力される。すると、該第3のサンギヤS3に入力された減速回転と第2のキャリヤCR2に入力された入力回転とにより、入力回転より僅かに高い増速回転となって第2のリングギヤR2に出力され、前進7速段としての正転回転がカウンタギヤ8から出力される。
前進8速段(8th)では、図4に示すように、第2のクラッチC−2が係合され、第1のブレーキB−1が係止される。すると、図3に示すように、第2のクラッチC−2の係合により第2のキャリヤCR2に入力回転が入力される。また、第1のブレーキB−1の係止により第3のサンギヤS3の回転が固定される。すると、固定された第3のサンギヤS3により第2のキャリヤCR2の入力回転が上記前進7速段より高い増速回転となって第2のリングギヤR2に出力され、前進8速段としての正転回転がカウンタギヤ8から出力される。
後進1速段(Rev1)では、図4に示すように、第3のクラッチC−3が係合され、第2のブレーキB−2が係止される。すると、図3に示すように、固定された第1のサンギヤS1と入力回転である第1のキャリヤCR1によって減速回転する第1のリングギヤR1の回転が、第3のクラッチC−3を介して第3のサンギヤS3に入力される。また、第2のブレーキB−2の係止により第2のキャリヤCR2の回転が固定される。すると、第3のサンギヤS3に入力された減速回転が、固定された第2のキャリヤCR2を介して第2のリングギヤR2に出力され、後進1速段としての逆転回転がカウンタギヤ8から出力される。
後進2速段(Rev2)では、図4に示すように、第4のクラッチC−4が係合され、第2のブレーキB−2が係止される。すると、図3に示すように、第4のクラッチC−4の係合により第1のキャリヤCR1の入力回転が第3のサンギヤS3に入力される。また、第2のブレーキB−2の係止により第2のキャリヤCR2の回転が固定される。すると、第3のサンギヤS3に入力された入力回転が、固定された第2のキャリヤCR2を介して第2のリングギヤR2に出力され、後進2速段としての逆転回転がカウンタギヤ8から出力される。
なお、例えばP(パーキング)レンジ及びN(ニュートラル)レンジでは、第1のクラッチC−1、第2のクラッチC−2、第3のクラッチC−3、及び第4のクラッチC−4が解放される。すると、第1のキャリヤCR1と第3のサンギヤS3との間、第1のリングギヤR1と第3のサンギヤS3及び第2のサンギヤS2との間、即ちプラネタリギヤDPとプラネタリギヤユニットPUとの間が切断状態となる。また、入力軸7と第2のキャリヤCR2との間が切断状態となる。これにより、入力軸7とプラネタリギヤユニットPUとの間の動力伝達が切断状態となり、つまり入力軸7とカウンタギヤ8との動力伝達が切断状態となる。
つづいて、自動変速機1において、本発明に係る第3のクラッチC−3、第4のクラッチC−4、及び減速プラネタリギヤDP等が配置されている前方部分を、図2に沿って詳細説明する。ミッションケース6Bの内側には、入力軸7A上にプラネタリギヤDPが配置されており、第1のサンギヤS1と、第1のキャリヤCR1と、第1のリングギヤR1とが配置されている。このうち第1のサンギヤS1は、入力軸7Aの外周面に被嵌されるとともに前方に延びるスリーブ部材90に一体的に固定されている。このスリーブ部材90は、ニードルベアリングb2を介して入力軸7Aを回転自在に支持すると共に、ミッションケース6Bの前方に設けられたオイルポンプ85のポンプカバー80の内径側から後方に延設されたボス部80aの内周面に一体的に固定されており、これらスリーブ部材90とボス部80aとによって、広義としてのケース6から延設されたボス部6aを構成している。従って、第1のサンギヤS1は、ケース6に対して回転不能に固定されている。
また、該第1のサンギヤS1は、前方側(後述の第3及び第4のクラッチC−3,C−4の油圧サーボ40,50側)の側面に環状の凹部S1aを有しており、上記ポンプカバー80のボス部8aの先端部分が該凹部S1a内に挿入された形で配置されている。このボス部8aの先端部分の外周側にはブッシュ(回転支持部材)b1が配設されており、該ブッシュb1を介して後述の第3のクラッチC−3のクラッチドラム42を回転自在に支持している。
上記第1のキャリヤCR1は、後キャリヤプレートCR1aと前キャリヤプレートCR1bとを有していて、上記ピニオンP1,P2を回転自在に支持している。これらピニオンP1,P2は相互に噛合されるとともに、該ピニオンP2はサンギヤS1に、また該ピニオンP1はリングギヤR1にそれぞれ噛合している。後キャリヤプレートCR1aは、入力軸7Aの外周面から外径側に向かってフランジ状に延設された部分に固着されている。この入力軸7Aのフランジ状の部分は、上記第1のサンギヤS1に対してスラストベアリングb3によって回転自在に支持されている。一方、前キャリヤプレートCR1bは、略々中空円板状に形成されていると共に、外周から前方に一体的にハブ部CR1cが延設されている。このハブ部CR1cの外周面には、後述の第4のクラッチC−4の内摩擦板51bがスプライン係合されている。
第1のリングギヤR1は、その外周面にドラム状部材96がスプライン係合されている。該ドラム状部材96は、略々円板状に形成された支持部材95に支持されており、該支持部材95は、スラストベアリングb4,b5によって、上記入力軸7A(のフランジ状の部分)と後述する第1のクラッチC−1のクラッチドラム22とに対して回転自在に支持されている。上記ドラム状部材96の内周側においては、上記第1のリングギヤR1と支持部材95とがスナップリング97によって軸方向に位置決めされていると共に、該ドラム状部材96の外周面においては、後述の第3のクラッチC−3の内摩擦板41bと第1のクラッチC−1の内摩擦板21bとがスプライン係合されている。また、該ドラム状部材96の前端部96aは、内周側に向けて屈曲形成されており、詳しくは後述するように、内周側から潤滑油が供給された際に、該前端部96aと上記スナップリング97とによって潤滑油の油溜まりを形成し、該ドラム状部材96に形成された油孔を介して第3のクラッチC−3の摩擦板31への潤滑油の供給量を充分にかつ安定的に確保している。
一方、上記プラネタリギヤDPの後方側、詳しくは上記支持部材95の後方側には、第1のクラッチC−1の油圧サーボ20が配置されている。該第1のクラッチC−1は、外摩擦板21a及び上述の内摩擦板21bからなる摩擦板21と、この摩擦板21を接断させる上記油圧サーボ20とを備えており、上述のように該摩擦板21がリングギヤR1に接続されたドラム状部材96の外周側に配置されると共に、該油圧サーボ20が、該摩擦板21の内周側に配置されている。
該油圧サーボ20は、クラッチドラム22、ピストン部材23、リターンプレート24、リターンスプリング25を有しており、これらにより、作動油室26、キャンセル油室27を構成している。クラッチドラム22は、内周側部材22Aと外周側部材22Bとがカシメられて一体に構成されており、内径側から外径側に延びるフランジ部22aと、このフランジ部22aの外周から上記摩擦板21の外周側まで延びるドラム部22bと、内径側が入力軸7Aに回転自在に支持される中空軸部22cとを有している。
このうち、フランジ部22aの前方側には、ピストン部材23と対向する部分に、上記作動油室26を構成するためのシリンダ部22dが形成されている。また、ドラム部22bは、内周側にスプラインが形成されており、上記摩擦板21の外摩擦板21aがスプライン係合されている。一方の中空軸部22cは、内周側がベアリングb6によって入力軸7Aに対して回転自在に支持されており、外周側において、ピストン部材23が軸方向摺動自在に嵌合されていると共に、リターンプレート24がスナップリング29によって位置決めされる形で配設されている。なお、該中空軸部22cの先端には、上記スラストベアリングb4が配設されており、上記支持部材95を回転自在に支持している。
また、上記ピストン部材23は、上述のクラッチドラム22のフランジ部22aの前方に、上記シリンダ部22dに対向して軸方向移動自在に配置されており、2本のシールリングa11,a12により、クラッチドラム22との間に油蜜状の作動油室26を構成している。また、ピストン部材23の外周側には、押圧部23aが延設されており、該押圧部23aが上記摩擦板21に対抗配置されている。また、該押圧部23aの外周面にはスプラインが形成されており、上記ドラム部22bの内周側に形成されたスプラインにスプライン係合している。
リターンプレート24は、上述したように、中空軸部22cに嵌合されたスナップリング29によって後側への移動が規制されている。リターンプレート24は、その後方に配置されたピストン部材23との間に、リターンスプリング25が縮設されると共にシールリングa13により油蜜状のキャンセル油室27を構成している。なお、上記リターンプレート24は、上記リターンスプリング25の付勢力に基づき前方側に常時付勢されて、つまりクラッチドラム22に対して固定された形となっている。
上記第1のクラッチC−1の外周側、詳しくは該第1のクラッチC−1、プラネタリギヤDP、第4のクラッチC−4、及び第3のクラッチC−3の外周側を覆う形で、第1のブレーキB−1が配置されている。該第1のブレーキB−1は、外摩擦板61a及び上述の内摩擦板61bからなる摩擦板61と、この摩擦板61を接断させる上記油圧サーボ60とを備えており、該内摩擦板61bが詳しくは後述する第3のクラッチC―3のクラッチドラム42の外周側にスプライン係合している。また、一般に多板式ブレーキは、外摩擦板がケース6の内周面に形成されたスプラインに対してスプライン係合して回転係止の役目を果たすが、本自動変速機1においては、カウンタシャフト部4を変速機構3に近づけてコンパクト化を図っているため(図1参照)、それらカウンタシャフト部4と変速機構3との間のミッションケース6Bを切り欠いている。そのため、本第1のブレーキB−1においては、上記カウンタギヤ8を支持するセンターサポート部材9に固定したブレーキドラム64を設けて、該ブレーキドラム64に外摩擦板61aをスプライン係合させている。
上記油圧サーボ60は、上記オイルポンプ85のポンプボディ81の後面側に形成されたシリンダ部62、ピストン部材63、リターンスプリング65及びリテーナプレート67,68を有しており、該シリンダ部62と該ピストン部材63とにより作動油室66を構成している。該ピストン部材63は、作動ピストン63Aと押圧ドラム63Bとが固着されて構成されており、該押圧ドラム63Bは、後方側の先端部分63aが摩擦板61に対抗配置されるように延設されている。
上記リターンスプリング65の両端部には、リテーナプレート67,68が係着されており、これらリテーナプレート67,68は押圧ドラム63Bの外周側にスプライン係合されておりと共に、一方のリテーナプレート68が上記ブレーキドラム64に当接され、かつ他方のリテーナプレート67がスナップリング69により押圧ドラム63Bに対して前後方向に位置決めされることで、上記リターンスプリング65が縮設配置されている。従って、上記作動油室66に作動油圧が供給されると、ピストン部材63により摩擦板61を押圧して第1のブレーキB−1を係止させ、該作動油室66から作動油圧が排出されると、リターンスプリング65がスナップリング69を介してピストン部材63を前方側に付勢して第1のブレーキB−1を解放させる。
つづいて、本発明の要部となる第3のクラッチC−3及び第4のクラッチC−4について説明する。上記第1のブレーキB−1の内周側にあって、プラネタリギヤDPの外周側から前方側には、第3のクラッチC−3が第4のクラッチC−4を内包する形で配置されている。該第3のクラッチC−3は、外摩擦板41a及び上述の内摩擦板41bからなる摩擦板41と、この摩擦板41を接断させる油圧サーボ40とを備えており、該内摩擦板41bは、上述のようにドラム状部材96を介してリングギヤR1にスプライン係合されている。
上記油圧サーボ40は、クラッチドラム42、ピストン部材43、リターンプレート44、リターンスプリング45を有しており、これらにより、作動油室46、キャンセル油室47を構成している。クラッチドラム42は、内周側部材42Aと外周側部材42Bとがカシメられて一体に構成されており、内径側から外径側に延びるフランジ部42aとこのフランジ部42aの外周から上記第1のクラッチC−1の後方まで延びるドラム部42bと、内径側がボス部6aに回転自在に支持されている中空軸部(一方の軸部)42cとを有している。
このうち、フランジ部42aの後方側には、ピストン部材43と対向する部分に、上記作動油室46を構成するためのシリンダ部42hが形成されている。クラッチドラム42のドラム部42bは、後述の第4のクラッチC−4の外径側を通って、内周側に上記外摩擦板41aがスプライン係合されていると共に、上記第1のクラッチC−1の後方まで延設されており、前述のプラネタリギヤユニットPUの第3のサンギヤS3から延設された部材に接続される形となっている。なお、該ドラム部42bの後側外周面には、上記第1のブレーキB−1の内摩擦板41bがスプライン係合されている。即ち、該第1のブレーキB−1が係止すると、クラッチドラム42の回転が固定されることとなる。また、フランジ部42aの前方側と上記オイルポンプカバー80との間には、ワッシャ89が該オイルポンプカバー80に取付けられた形で配置されており、クラッチドラム42とオイルポンプカバー80との接触が防止されている。
一方の中空軸部42cは、後述のスプライン部42sよりも前方側が、後述の第4のクラッチC−4が係合した際にトルク伝達(回転力の伝達)を行うことになるため、肉厚の厚く形成された根元部(トルク伝達部)42dとなっており、後方側がトルク伝達を行わないため、該根元部42dよりも肉厚が薄く形成された形で延設された延設部(非トルク伝達部)42eとなっている。また、中空軸部42cには、これら根元部42dと延設部42eとの段差によって段差部42fが形成されており、この段差部42fの直ぐ後側には、後述の第4のクラッチC−4のクラッチドラム52にスプライン係合するためのスプライン部42sが形成されている。更に、中空軸部42cの延設部42eの先端部42gは、前述の第1のサンギヤS1の凹部S1a内に挿入される形で配置されており、前述のブッシュb1によってポンプカバー80のボス部80aに対して回転自在に精度良く支持されている。即ち、該ブッシュb1は、プラネタリギヤDPと軸方向にオーバーラップした形で配設されており、これによって、自動変速機1の軸方向のコンパクト化を可能にしている。
一方、上記ピストン部材43は、上述のクラッチドラム42のフランジ部42aの後方にあって、上記中空軸部42cの根元部42d上に嵌合する形で上記シリンダ部42hに対向して軸方向移動自在に配置されており、2本のシールリングa31,a32により、クラッチドラム42との間に油蜜状の作動油室46を構成している。また、ピストン部材43の後方外周側には、ドラム部43aが延設されており、該ドラム部43aは、その後端が摩擦部材41に対向配置されている。また、該ドラム部43aの外周面にはスプラインが形成されており、上記クラッチドラム42のドラム部42bの内周側に形成されたスプラインにスプライン係合している。
リターンプレート44は、上述の中空軸部42cの根元部42dに嵌合されたスナップリング49によって後側への移動が規制されている。リターンプレート44は、その前方に配置されたピストン部材43との間に、リターンスプリング45が縮設されるとともにシールリングa33により油蜜状のキャンセル油室47を構成している。なお、上記リターンプレート44は、上記リターンスプリング45の付勢力などに基づき後方側に常時付勢されて、つまりクラッチドラム42に対して固定された形となっている。
上記第3のクラッチC−3のクラッチドラム42内にあって、即ちプラネタリギヤDPの前側には、第4のクラッチC−4が配置されている。該第4のクラッチC−4は、外摩擦板51a及び前述の内摩擦板51bからなる摩擦板51と、この摩擦板51を接断させる油圧サーボ50とを備えている。この油圧サーボ50は、シリンダ部52dが形成されたクラッチドラム52、ピストン部材53、リターンプレート54、リターンスプリング55を有しており、これらにより、作動油室56、キャンセル油室57を構成している。
クラッチドラム52は、内周側部材52Aと外周側部材52Bとがカシメられて一体に構成されており、上記第3のクラッチC−3のクラッチドラム42と同方向(後方側)に向けて開口していると共に、内径側から外径側に延びるフランジ部52aと、このフランジ部52aの外周から上記摩擦板51の外周側まで延びるドラム部52bと、内径側が上記クラッチドラム42の中空軸部42cの延設部42eに嵌合する中空軸部(他方の軸部)52cとを有して構成されている。この中空軸部52cの内周面には、後方側にシールリングa42が装着されていると共に、そのシールリング(シール部材)a42の前方側(つまりシールリングa42に対して第3のクラッチC−3の油圧サーボ40側)にスプライン部52sが形成されており、該スプライン部52sが上記スプライン部42sにスプライン係合することによって、該クラッチドラム52と上記クラッチドラム42とが回転連結されている。該スプライン部52sは、クラッチドラム52のフランジ部52aの径方向内周側、即ち軸方向の略々同じ位置に形成されており、該クラッチドラム52の回転(トルク)を該クラッチドラム42に伝達する際のトルク伝達経路が最短距離となる構成であるので、つまり中空軸部52cの後方側が回転伝達することなく、中空軸部52cの後方側の肉厚を薄くすることを可能としている。また、フランジ部52aの前面は、上述の段差部42fに当接して軸方向に位置決め支持されている。
一方、フランジ部52aの後方側には、シリンダ部52dが形成されており、ピストン部材53は、クラッチドラム52のフランジ部52aの後方外周側にあって、該シリンダ部52dに対向配置されていると共に、上記第3のクラッチC−3のクラッチドラム42の延設部42e上に軸方向移動自在に配置されていている。そして、上記クラッチドラム52と上記クラッチドラム42との間はシールリングa42により、該クラッチドラム42とピストン部材53との間はシールリングa41により、クラッチドラム52とピストン部材53との間はシールリングa43により、それぞれシールされており、つまりクラッチドラム52のシリンダ部52dとピストン部材53と上記クラッチドラム42の延設部42eの一部とによって、油蜜状の作動油室36を形成している。なお、作動油室56は、クラッチドラム52を介さず、詳しくは後述するクラッチドラム42の油路c41より直接作動油が供給されるので、クラッチドラム52を介して作動油を供給する場合に比して1対のシールリングを減らすことが可能となり、かつそのシール面の研磨加工も不要とすることができ、部品点数を低減することが可能となると共に加工を容易にすることが可能となる。
リターンプレート54は、上述のクラッチドラム42の中空軸部42cの延設部42eに嵌合されたスナップリング59によって後側への移動が規制されている。リターンプレート54は、その前方に配置されたピストン部材53との間に、リターンスプリング55が縮設されるとともにシールリングa44により油蜜状のキャンセル油室57を構成している。なお、上記リターンプレート54は、上記リターンスプリング55の付勢力などに基づき後方側に常時付勢されて、クラッチドラム42に対して固定された形となっていると共に、該リターンプレート54からの反力に基づくリターンスプリング55の付勢力に基づき、ピストン部材53を介してクラッチドラム52を上記クラッチドラム42の段差部42fに常時付勢し、つまり上記クラッチドラム52もクラッチドラム42に対して固定された形となっている。
つづいて、各構成要素の油路構造について説明する。上記スリーブ部材90には、不図示の油圧制御装置から第1のクラッチC−1用の作動油圧が供給される油路c11が形成されており、該油路c11は、該スリーブ部材90と入力軸7Aとの間をシールリングa52,a53にシールされて、該入力軸7A内に形成された油路c12,c13,c14に連通されている。また、該油路c14は、該入力軸7Aとクラッチドラム22との間をシールリングa54,a56にシールされて、該クラッチドラム22に形成された油路c15に連通して、作動油室26に連通されている。
上記スリーブ部材90には、不図示の油圧制御装置から第3のクラッチC−3用の作動油圧が供給される油路c31が形成されており、該油路c31は、上記ポンプカバー80のボス部80aに形成された油路c32に連通されている。該油路c32は、該ポンプカバー80のボス部80aとクラッチドラム42との間をシールリングa57,a58にシールされて、該クラッチドラム42に形成された油路c33に連通して、作動油室46に連通されている。
同様に、上記スリーブ部材90には、不図示の油圧制御装置から第4のクラッチC−4用の作動油圧が供給される油路(不図示)が形成されており、該油路は、上記ポンプカバー80のボス部80aに形成された油路c41に連通されている。該油路c41は、該ポンプカバー80のボス部80aとクラッチドラム42との間をシールリングa59,a60にシールされて、該クラッチドラム42に形成された油路c42に連通して、作動油室56に連通されている。
なお、図示を省略したが、ポンプボディ81内には不図示の油圧制御装置から第1のブレーキB−1用の作動油圧が供給される油路が形成されており、該油路が作動油室66に直接的に連通されている。
ついで、潤滑油の供給について説明する。例えば不図示のオイルポンプにより発生した油圧に基づき潤滑油が上記ポンプカバー80及びそのボス部80aに形成された油路c51に供給されると、油路c52に供給され、上記クラッチドラム42と上記ザイケルワッシャ89との間が潤滑されると共に、該クラッチドラム42と該ポンプカバー80との間を通って外周側に供給され、第1のブレーキB−1の油圧サーボ60等が潤滑される。また、上記油路c51からは、ポンプカバー80のボス部80aに形成された油路c53にも潤滑油が供給され、上記シールリングa58,a59にシールされた形で油路c54に供給され、つまり第3のクラッチC−3の油圧サーボ40のキャンセル油室47にキャンセル油として供給される。なお、上記油路c51からは、ポンプカバー80のボス部80aに形成された不図示の油路を介して第4のクラッチC−4の油圧サーボ50のキャンセル油室57にもキャンセル油として供給される。
一方、上記油路c51の内周側は、上記スリーブ部材90と入力軸7Aとの間をシールリングa51,a52にシールされて、該入力軸7A内に形成された油路c55,c56,c57,c58,c60に潤滑油が供給される。該油路c57より外周側に供給された潤滑油は、ニードルベアリングb2、スラストベアリングb3を潤滑しつつ、プラネタリギヤDPに供給される。更に、該プラネタリギヤDPまで供給された潤滑油は、上述したドラム状部材96における前端部96aとスナップリング97とによって形成された油溜まりに受け留められ、該ドラム状部材96に形成された潤滑孔を介して第3のクラッチC−3の摩擦板31に適宜に供給される。
また、上記油路c58より外周側に供給された潤滑油は、その一部が支持部材95の前方側に供給され、スラストベアリングb5を潤滑しつつ第1のキャリヤCR1のオイルレシーバないし上記ドラム状部材96の油溜まりに供給される。該オイルレシーバによって受け留められた潤滑油は、ピニオンP1,P2のピニオンシャフト内を介して両ピニオンP1,P2を潤滑した後、上記ドラム状部材96の油溜まりに供給される。そして、上記油路c60より外周側に供給された潤滑油は、クラッチドラム22内に形成された油路c61に供給され、上記第1のクラッチC−1の油圧サーボ20のキャンセル油室27にキャンセル油として供給される。
以上説明したように、本発明に係る自動変速機1によると、第4のクラッチC−4のクラッチドラム52と、第3のクラッチC−3のクラッチドラム42の中空軸部42c上に摺動自在に配設されたピストン53と、該中空軸部42cの外周面の一部とによって、第4のクラッチC−4の油圧サーボ50の作動油室56を形成すると共に、第4のクラッチC−4のクラッチドラム52の内周面と該中空軸部42cの外周面とに互いにスプライン係合するスプライン部52s,42sを形成し、スプライン部52s,42sのスプライン係合によって、第3のクラッチC−3のクラッチドラム42と第4のクラッチC−4のクラッチドラム52とを回転連結したので、例えば第3のクラッチC−3のピストン部材42の外周部分を櫛歯状に形成したり、クラッチドラム42,52同士を溶接したりすることを不要とすることができ、製造工程を容易にすることができるものでありながら、第4のクラッチC−4のクラッチドラム52において内周側に、ピストン部材53やリターンプレート54の内周側を通る中空軸部52cを形成することを不要とすること(つまり中空軸部52cを短縮化すること)ができ、該第4のクラッチC−4の油圧サーボ50における作動油室56の受圧面積(チャンバ面積)を大きく確保することができると共に、自動変速機1の径方向のコンパクト化を図ることができる。
また、第4のクラッチC−4の油圧サーボ50の作動油室56を、第3のクラッチC−3のクラッチドラム42の中空軸部42cの一部に形成し、つまり該作動油室56を直接的にクラッチドラム42に配置するので、第4のクラッチC−4の油圧サーボ50に作動油圧を供給するためのクラッチドラム42,52同士間のシール部材を不要とすることができ、部品点数の削減を図ることができて、かつクラッチドラム52におけるシール面の研磨も1箇所不要とすることができ、クラッチドラム52の加工を容易にすることができる。
更に、クラッチドラム42,52同士を内周側にてスプライン係合するものにあって、スプライン部42s,52sを従来に比して外径側に配置することができるので、該スプライン部42s,52sの軸方向の長さを短縮することができ、自動変速機1の軸方向の短縮化も図ることができる。
また、第4のクラッチC−4のクラッチドラム52の内周面に形成されたスプライン部52sを、該内周面におけるシールリングa42に対して第3のクラッチC−3の油圧サーボ40側に形成したので、第4のクラッチC−4の油圧サーボ50の作動油室56内にスプライン部52sを形成することなく、該作動油室56の外部においてクラッチドラム42,52同士をスプライン係合させることができ、つまり該作動油室56を形成する中空軸部42cの外周面の一部を、シール面として研磨する際に、例えばシールリングa41,42の間にスプラインを形成すると、2箇所のシール面の研磨が必要となってしまうが、該スプライン42sがシールリングa41,42間に存在せず、従って、1度の研磨だけで加工することを可能にすることができる。
更に、中空軸部42cは、第4のクラッチC−4のクラッチドラム52から伝達される回転力がスプライン部42s,52sを介して伝達されるため、根元部42dの肉厚が厚く形成されると共に、延設部42eの肉厚が根元部42dよりも薄く形成されることによって段差部42fを有しており、該段差部42fが、第4のクラッチC−4のクラッチドラム50の軸方向位置を位置決めするので、回転伝達を行わない延設部42eの肉厚を薄くすることによって、第4のクラッチC−4の油圧サーボ50における作動油室56の受圧面積(チャンバ面積)を大きくすることができ、かつ径方向のコンパクト化を図ることができるものでありながら、根元部42dと延設部42eとによる段差部42fを位置決め部分として利用することができ、つまり第4のクラッチC−4のクラッチドラム52の軸方向位置を位置決めする部材を新たに設けることを不要とすることができて、部品点数の削減を図ることができる。
また、プラネタリギヤDPの第1のサンギヤS1が、第3のクラッチC−3側の側面に環状の凹部S1aを備えており、第3のクラッチC−3のクラッチドラム42における中空軸部42cの先端部42gを第1のサンギヤS1の凹部S1aの内部に挿入して配置すると共に、該先端部42gとボス部6aとの間に、プラネタリギヤDPとオーバーラップするようにブッシュb1を配置して、該ブッシュb1によってボス部6aに対し該クラッチドラム42を回転自在に支持したので、該ブッシュb1によって第3のクラッチC−3のクラッチドラム42をボス部6aに対して精度良く支持することができるものでありながら、軸方向のコンパクト化を図ることができる。
また、減速回転を伝達するために、大きな伝達トルク容量が必要とされる第3のクラッチC−3の摩擦板41を、入力回転を伝達する第4のクラッチC−4の摩擦板51よりも外周側に配置することができ、かつ第3のクラッチC−3の油圧サーボ40の作動油室46の受圧面積(チャンバ面積)を第4のクラッチC−4の油圧サーボ50に比して大きくすることができる。
なお、以上説明した本発明に係る実施の形態においては、例えば前進8速段及び後進2速段を達成するFFタイプの車輌に用いて好適な自動変速機1に適用したものを説明したが、一方のクラッチのクラッチドラムに他方のクラッチの油圧サーボが内包され、かつクラッチドラム同士を回転連結するものであれば、どのような自動変速機であっても本発明を適用し得る。
本発明に係る自動変速機を示す断面図。 本発明に係る自動変速機の一部を示す拡大断面図。 本自動変速機を模式的に示すスケルトン図。 本自動変速機の係合表。
符号の説明
1 自動変速機
6 ケース
6a ボス部
7 入力軸
8 カウンタギヤ
40 油圧サーボ
42 クラッチドラム
42c 一方の軸部(中空軸部)
42s スプライン部
42d トルク伝達部(根元部)
42e 非トルク伝達部(延設部)
42f 段差部
42g 先端部
50 油圧サーボ
52 クラッチドラム
52c 他方の軸部(中空軸部)
52s スプライン部
53 ピストン
56 作動油室
a42 シール部材(シールリング)
b1 回転支持部材(ブッシュ)
DP 減速プラネタリギヤ
S1 第1のサンギヤ
S1a 凹部
CR1 第1のキャリヤ
R1 第1のリングギヤ
PU プラネタリギヤセット
S3 第2のサンギヤ
S2 第3のサンギヤ
CR2 第2のキャリヤ
P3 ロングピニオン
P4 ショートピニオン
R2 第2のリングギヤ
C−1 第1のクラッチ
C−2 第2のクラッチ
C−3 一方のクラッチ、第3のクラッチ
C−4 他方のクラッチ、第4のクラッチ
B−1 第1のブレーキ
B−2 第2のブレーキ
F1 ワンウェイクラッチ

Claims (6)

  1. 一方のクラッチの油圧サーボを形成するクラッチドラムに、該クラッチドラムと軸方向の同方向に開口したクラッチドラムを有する他方のクラッチの油圧サーボが内包され、前記他方のクラッチのクラッチドラムに伝達された回転を前記一方のクラッチのクラッチドラムを介して伝達する自動変速機において、
    前記一方のクラッチのクラッチドラムは、内周部に軸状に形成され、前記他方のクラッチの油圧サーボが外周側に配設される一方の軸部を有し、
    前記他方のクラッチのクラッチドラムは、内周部に軸状に形成され、かつ前記一方の軸部上に嵌合される他方の軸部を有し、
    前記他方のクラッチのクラッチドラムと、前記一方の軸部上に摺動自在に配設された前記他方のクラッチのピストンと、前記一方の軸部の外周面の一部と、によって前記他方のクラッチの油圧サーボの作動油室を形成すると共に、
    前記他方の軸部の内周面と、前記一方の軸部の外周面と、に互いにスプライン係合するスプライン部を形成し、
    前記スプライン部のスプライン係合によって、前記一方のクラッチのクラッチドラムと前記他方のクラッチのクラッチドラムとを回転連結した、
    ことを特徴とする自動変速機。
  2. 前記他方の軸部の内周面に、前記一方の軸部と前記他方のクラッチのクラッチドラムとの間をシールして、前記他方のクラッチの油圧サーボの作動油室を形成するシール部材を備え、
    前記他方の軸部の内周面に形成されたスプライン部は、該内周面における、前記シール部材に対して軸方向における前記一方のクラッチの油圧サーボ側に形成されてなる、
    請求項1記載の自動変速機。
  3. 前記一方の軸部は、前記他方のクラッチのクラッチドラムから伝達される伝達トルクが前記スプライン部を介して伝達されるトルク伝達部と、該トルク伝達部から一体的に延設され、前記他方のクラッチの油圧サーボが配設される非トルク伝達部と、からなり、
    前記一方の軸部は、前記トルク伝達部の肉厚が厚く形成されると共に、前記非トルク伝達部の肉厚が前記トルク伝達部よりも薄く形成されることによって、段差部を有し、
    前記段差部は、前記他方のクラッチのクラッチドラムの軸方向位置を位置決めしてなる、
    請求項1または2記載の自動変速機。
  4. 駆動源からの入力回転が入力される入力軸と、
    ケースより延設されたボス部に対して回転固定された第1のサンギヤと、前記入力軸に連結される第1のキャリヤと、それら回転固定された第1のサンギヤ及び入力回転が入力される第1のキャリヤによって減速回転を出力する第1のリングギヤと、を有し、前記一方のクラッチのクラッチドラムの開口側に配置された減速プラネタリギヤと、を備え、
    前記第1のサンギヤは、前記一方のクラッチ側の側面に環状の凹部を備え、
    前記一方の軸部は、中空軸状に形成されると共に前記ボス部の外周側に回転自在に配置され、かつ先端部が前記第1のサンギヤの凹部の内部に挿入されて配置され、
    前記一方の軸部の先端部と前記ボス部との間に介在し、少なくとも一部が前記減速プラネタリギヤとオーバーラップした回転支持部材を備え、
    前記一方のクラッチのクラッチドラムは、前記ボス部に対し、前記回転支持部材により回転自在に支持されてなる、
    請求項1ないし3のいずれか記載の自動変速機。
  5. 第1のクラッチの係合により前記第1のリングギヤの減速回転を入力する第2のサンギヤと、
    第3のクラッチの係合により前記第1のリングギヤの減速回転を入力し、かつ第4のクラッチの係合により前記第1のキャリヤを介した前記入力軸の回転を入力し、かつ第1のブレーキの係止により回転が固定される第3のサンギヤと、
    前記第3のサンギヤに噛合するロングピニオンと、前記第2のサンギヤに噛合するショートピニオンと、を有し、第2のブレーキの係止により回転が固定され、かつ第2のクラッチの係合により前記入力軸の回転を入力する第2のキャリヤと、
    前記ロングピニオンに噛合すると共に、カウンタギヤに回転連結される第2のリングギヤと、からなるプラネタリギヤセットを備え、
    前記一方のクラッチは、前記第3のクラッチであり、
    前記他方のクラッチは、前記第4のクラッチである、
    請求項4記載の自動変速機。
  6. 前記第1のクラッチを係合すると共に、前記第2のブレーキを係止することにより前進1速段を、
    前記第1のクラッチを係合すると共に、前記第1のブレーキを係止することにより前進2速段を、
    前記第1のクラッチと前記第3のクラッチとを係合することにより前進3速段を、
    前記第1のクラッチと前記第4のクラッチとを係合することにより前進4速段を、
    前記第1のクラッチと前記第2のクラッチとを係合することにより前進5速段を、
    前記第2のクラッチと前記第4のクラッチとを係合することにより前進6速段を、
    前記第2のクラッチと前記第3のクラッチとを係合することにより前進7速段を、
    前記第2のクラッチを係合すると共に、前記第1のブレーキを係止することにより前進8速段を、
    前記第3のクラッチ又は前記第4のクラッチを係合すると共に、前記第2のブレーキを係止することにより後進段を、それぞれ達成してなる、
    請求項5記載の自動変速機。
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