JP2008121375A - 防水施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明又は半透明の接合テープ6を採用して、接着作業中及び接着作業後に、防水シート2、及び、目地5(あるいは、防水シートの端部同士を重ね合わせた重ね部と、重ね合わせの下側の防水シートにおける前記重ね部以外の部分との境界部)を透視しながら、接着作業を行えるようにした防水施工方法を提供する。
【選択図】図1
Description
この複合防水工法にあっては、下地上に敷設した防水シート間の目地を覆うように接合テープを接着して、目地の両側の防水シート同士を接合することが広く行われている。そして、接合テープによる防水シートの接合後、防水シート上に、例えば2液型ウレタン防水材等の液状の塗膜防水材を施工して防水塗膜を形成する(例えば特許文献1)。
また、この複合防水工法では、防水シートとして、下地に接合される面(以下、下地接合面とも言う)に、下地から気化して放出される水分等のガスを脱気ベントに導くための脱気用溝を形成したものを採用して通気路を形成すること(脱気工法)が広く採用されている。
複合防水工法において、接合テープは、目地の両側の防水シートを引き留めて、防水シートの移動を規制する役割を果たす。目地に対する接合テープの接着位置のずれが大きいと、目地を介して片側の防水シートに対する接合テープの接着面積が小さくなって、防水シートの移動を規制する機能が充分に発揮されなくなる可能性がある。施工完了後の下地の変形等に伴う防水シートの移動によって目地が拡大し防水シート間に大きい隙間が生じると、接合テープに防水シート間の隙間に落ち込むような撓みが生じやすくなり、防水塗膜に溝状の凹みを発生させて美観を損なう等の問題が生じる。また、接合テープの接着作業中の防水シートの不用意な位置ずれ等によって、隣り合う防水シート間に大きい隙間が生じたまま、接合テープの接着作業を行ってしまった場合も、同様に、防水塗膜に溝状の凹みを発生させる原因となる。
しかしながら、接合テープとしては、従来、PET(Polyethylene Terephthalate)等からなる不透明の着色樹脂製フィルム基材に接着剤層を積層したものが一般的であり、接合テープの接着作業において目地の位置を確認しにくく、防水シートの端部同士を突き合わせた目地に接合テープの幅方向中央を位置合わせして、接合テープを、目地を介して両側の防水シートに均等に接着することは容易では無い。このため、目地の両側の防水シートとの接着状態を確実に確保するために、従来は、幅寸法を大きくした接合テープを使用していることが実情であった。
しかしながら、幅寸法が大きい接合テープの使用は、接着作業の労力増大、作業時間の延長を招くため、問題を根本的に解決できる対策が求められるようになってきた。
第1の発明では、下地上に敷設した防水シート同士間の目地、あるいは、互いに隣り合う防水シートの端部同士を重ね合わせた重ね部の上側の防水シートの端部と下側の防水シートにおける前記重ね部の前記上側の防水シートが重ね合わされていない部分との境界部、であるシート境界部を覆うようにして、樹脂フィルムであるテープ基材に接着材層が積層され前記防水シートを透視可能な透明又は半透明の接合テープを接着して、前記シート境界部の両側の防水シートを接合した後、防水シート上に塗膜防水材を施工することを特徴とする防水施工方法を提供する。
第2の発明では、帯状に形成された前記接合テープの幅方向中央に、前記接合テープの長手方向全長にわたって、マーキングが線状に延在形成されており、前記シート境界部に前記マーキングを位置決めして、前記接合テープを前記シート境界部を覆うように接着することを特徴とする第1の発明の防水施工方法を提供する。
第3の発明では、前記シート境界部の両側の防水シートの端部にプライマーを塗布した後、前記接合テープを、前記プライマーが硬化した接着用塗膜に接着させて前記シート境界部を覆うように設けることを特徴とする第1又は第2の発明の防水施工方法を提供する。
第4の発明では、前記接合テープが、防水シートの下地とは反対側の防水材施工面の色、あるいは、前記シート境界部の両側の防水シートの端部に塗布した着色プライマーの色、とは異なる色の有色接合テープであることを特徴とする第1〜3のいずれかの発明の防水施工方法を提供する。
このため、シート境界部を覆うようにして接合テープを接着する作業を、簡単に、しかも、未接着部分が発生しないように確実に行うことができ、接着作業の労力軽減、作業時間の短縮も容易に実現できる。
また、接合テープとして、幅寸法が無用に大きいものを使用する必要が無くなり、接合テープの幅寸法を縮小できる。このことも、接着作業の労力軽減、作業時間の短縮に寄与する。
図1は、本発明に係る防水施工方法を適用して、下地1上に、該下地1上に敷設した防水シート2(シート層2A)と、この防水シート2(シート層2A)上に形成した防水塗膜3(防水層)とを具備する構造の複合防水層4を構築した状態を示す断面図である。
図1において、下地1は、ここではコンクリート下地であり、例えば、コンクリート造建物の陸屋根、ベランダ、人工地盤、床(室内床)等である。
なお、図1において、上側を「上」、下側を「下」として説明する。
この防水シート2は、アスファルトシート21側の下地接合面2aを下地1に対面させて、下地1上に敷設される。
また、この防水シート2の下地接合面2aには、気化して下地1から放出される水分等のガスを脱気用ベントに導く通気路を確保するための脱気用溝23が形成されている。
図1では、下地1上に互いに端部を突き合わせるようにして複数敷設された防水シート2の脱気用溝23を、防水シート2間の目地5(シート境界部)を介して通気可能に連通させることで、脱気用の通気路を形成している。
図6においても、上側を「上」、下側を「下」として説明することは、図1の場合と同じである。
ここでは、まず、図1の構成のシート層2Aの場合について説明する。
塗膜防水材としては、JIS A 6021に表示されるものであれば、いずれも適用可能である。
なお、塗膜防水材の「塗布」は、吹き付け、ローラー塗り、刷毛塗り等を含む。
また、防水塗膜としては、液状の塗膜防水材中に補強繊維を埋設したFRPも採用可能である。
図2は、接合テープ6の構造の一例を示す断面斜視図である。
接合テープ6としては、合成樹脂フィルムからなるテープ基材61の片面に接着材層62を積層、一体化したものである。
テープ基材61及び接着材層62は透明又は半透明のものを採用し、これにより、接合テープ6は、防水シート2に接着したときに防水シート2を透視可能(図3参照)な透明又は半透明に構成される。
接合テープ6のテープ基材61としては、ジョイント用ラップテープとしての機能させるための強度が必要であり、フィルム材質として、例えば、PET、ポリプロピレン、ポリエチレン等を採用できる。また、複数枚の合成樹脂フィルムを積層して一体化した複合品や、ラミネート品等も採用可能である。
テープ基材61としては、接合テープ6を防水シート2に接着したときの防水シート2に対する浮き上がり部分(図3中、符号8の未接着部分)の視認性向上の点で、粗面化等の表面加工を施していない、滑らかな表面を有するものが好ましい。
また、接着材層62としては、防水シート2に接着した接合テープ6を介して透視する防水シート2の視認性確保のため、透明又は半透明のものを採用することは言うまでもない。
ここでは、一例として、まず、テープ基材61及び接着材層62の内、少なくともテープ基材61に有色半透明のものを採用して、有色(有色半透明)になっている接合テープ6を例示する。
有色(有色半透明)のテープ基材61としては、例えば、染料や顔料等の着色剤の混入、印刷等によって着色したものの他、テープ基材61を形成する樹脂フィルムの樹脂自体が有色のものも採用できる。
なお、有色半透明の接着材層62についても、例えば、染料や顔料等の着色剤の混入、印刷等によって着色したものや、接着材層62を形成する樹脂自体が有色のもの、を採用できる。
接合テープ6の色と、防水シート2の塗膜形成面2bの色との関係については、後に詳述する。
まず、下地1上に防水シート2を敷設して、下地1上面を覆う。
防水シート2は、長尺帯状、あるいは、長方形状等の適宜形状に形成したものを、複数枚使用して、下地1上に敷き並べて、下地1上面を覆うようにする。隣り合う防水シート2は、端部同士を突き合わせて、大きく隙間が空かないようにする。
このとき、接合テープ6は、幅方向中央が前記目地5上となるように位置合わせして、目地5の両側の防水シート2上に接着する。また、目地5の両側の防水シート2に対する接合テープ6の接着は、具体的には、接合テープ6を接着材層62が下側の向きで、目地5にて互いに突き合わされている防水シート2の端部上の塗膜形成面2b上に設置して、接着材層62の接着力によって防水シート2に接着する。また、目地5に位置合わせして目地5を介して両側の防水シート2上にセットした接合テープ6は、ハンドローラ等の工具を使用して転圧し、未接着部分8が生じないように、接着材層62を防水シート2にしっかりと押し付けて接着させる。
なお、マーキング63としては、図4に例示したような、連続する線状のものに限定されず、例えば、点線等であっても良い。
また、前記接合テープ6は、防水シート2上に施工する塗膜防水材が目地5に入り込んで通気路を塞ぐことを防止する機能(防水材侵入防止機能)と、通気路からのガスの漏出による防水塗膜3の膨れを防止する機能(ガス漏出防止機能)とを果たす。
また、前記接合テープ6は、アスファルトシート21の片面全体に面材22が積層状態に設けられている構成の防水シート2のアスファルトシート21の油分、可塑剤が、目地5から防水塗膜3へ移行することをブロックする機能を果たす。
ここで、厚みの両側の面の内の片面が合成樹脂フィルム(面材22)によって形成されている防水シート2の場合、「防水シート2の塗膜形成面2bの色」は、面材22が遮光性であれば面材22自体の色、面材22が透明であれば面材を透過して見えるアスファルトシート21(あるいは、アスファルトシート21と面材22との間に設けた介在層)の色である。
すなわち、図3に示すように、防水シート2の塗膜形成面2bの色と異なる色の有色合テープ6を採用して防水シート2に接着すると、無色透明の接合テープ6を使用した場合に比べて、未接着部分8と、接合テープ6が防水シート2に確実に接着された部分(接着部分7)とで、視覚的に、色の違い(明度及び/又は彩度の違い)が大きくなり、未接着部分を視認しやすくなる。
この場合、例えば、有色接合テープ6として、防水シート2の塗膜形成面2bに比べて、色の明度が高い有色接合テープ6(明るい色の有色接合テープ)を採用したときは、未接着部分8が接着部分7に比べて格段に明るい色に見え、逆に、有色接合テープ6として、防水シート2の塗膜形成面2bに比べて、色の明度が低い有色接合テープ6(暗い(黒っぽい)色の有色接合テープ)を採用したときは、未接着部分8が接着部分7に比べて格段に暗い(黒っぽい)色に見えることになる。
無色透明の防水シート2を用いた場合は、目地5を覆うようにして防水シート2に貼り付けた接合テープ6と、接合テープ6の周囲に露出する塗膜形成面2bとの色の違いが小さいため、防水シート2の塗膜形成面2bの色と異なる色の有色接合テープ6を採用した場合に比べて、接合テープ6の幅方向両端部における未接着部分8の視認性が低下する。
これにより、複合防水層4が構築される。
この場合、例えば、防水シート2の塗膜形成面2bの材質、凹凸の存在等に幅広く対応して、接着用塗膜9によって、接合テープ6の接着材層62の接着性が良好な接着面(上面)を得ることが可能であり、防水シート2に対する接合テープ6の接着強度を容易に確保できる、といった利点がある。
接着用塗膜9を形成するために防水シート2上に塗布するプライマーとしては、例えば、アスファルトプライマー、水性塗料等が好ましい。
アスファルトプライマー、水性塗料といったプライマーを防水シート2の塗膜形成面2bを形成する面材22に塗布して接着用塗膜9を形成することで、平滑な接着面を形成できる。
透明又は半透明の接合テープ6であれば、接着作業中及び接着作業後も、防水シート2の位置を目視確認できるので、防水シート2の位置がずれたまま施工を進行してしまう、といった不都合を確実に防止できる利点もある。
従来の一般的な不透明の接合テープの幅寸法は50mm程度であるが、本発明によれば幅寸法が30mm程度であっても、接合テープとしての機能を確保できる。また、幅寸法が30mmの接合テープを用いた試験施工の結果、熟練者で無くても、目地5に対する接合テープ2の位置合わせを簡単に行え、目地5に対する接合テープ2の位置の誤差が僅かで済み、施工性に問題が無く、目地5を介して両側の防水シート2同士の接合を確実に実現できることが確認できた。
接合テープ6の幅寸法の縮小も、接着作業の労力軽減、作業時間の短縮に寄与する。
未接着部分8が発見されたら、例えば、ローラによる転圧等の押し付け作業のやり直し、接合テープの貼り直し等の未接着部分解消作業によって、未接着部分8を無くす。これにより、未接着部分から目地5への塗膜防水材の侵入、未接着部分からのガスの漏出による防水塗膜3の膨れ等の不都合を確実に防止できる。
図6に示す複合防水層4(図6中、符号4A)は、下地1上に複数枚の防水シート2を敷設し、互いに隣り合う防水シート2の一方の端部(符号201)の上に、他方の防水シート2の端部(符号202)を重ね合わせ(ラップさせ)て接続した構成のシート層2Bと、この防水シート2(シート層2B)上に形成した防水塗膜3(防水層)とを具備する。
複合防水層4Aは、防水シート2の端部同士をラップさせたシート層2Bの構成のみが、図1等に例示した複合防水層4と異なる。防水シート2、接合テープ6、防水塗膜3、防水塗膜3を形成するための塗膜防水材は、本実施形態において既に説明したものを用いることができる。
前記複合防水層4Aは、下地1上にシート層2Bを施工した後、防水塗膜3を形成することで構築される。
つまり、互いに隣り合う防水シート2の端部201、202同士を重ね合わせた重ね部205の上側の防水シート2の端部201(詳細には、端部201の先端。縁)と、下側の防水シート2における前記重ね部205の前記上側の防水シート2の端部201が重ね合わされていない部分との境界部203を覆うように、接合テープ6を上から接着して、前記境界部203を介して両側の防水シート2同士を接続する。
図6では、接続部204にて重ね合わされている防水シート2の端部201、202が、接合テープ6の接着作業時の転圧によって厚みが若干圧縮されたままの状態で構築された複合防水層4Bを示す。防水シート2の厚みの圧縮によって、境界部203では、重ね部205の上側の防水シート2の端部201と、下側の防水シート2における前記重ね部205の上側の防水シート2が重ね合わされていない部分との間の段差が縮小するため、段差が殆ど(あるいは全く)無い状態とすることができる。
但し、防水シート2の厚さ寸法が大きくなく、重ね部205の上側の防水シート2の端部201と、下側の防水シート2における前記重ね部205の上側の防水シート2が重ね合わされていない部分との間の段差が、接合テープ6の接着作業や防水塗膜3の膜厚安定に支障の無い程度であれば、接合テープ6の接着作業時の転圧等によって防水シート2の厚みを圧縮させる必要性は無い。
接合テープ6としては、図4に例示したマーキング63付きの接合テープ64を採用して、マーキング63を、前記境界部203に対する接合テープの位置合わせに利用することも可能も可能であることは言うまでも無い。
また、図5の場合と同様に、前記境界部203の両側の防水シート2上に接着用塗膜を形成し、この接着用塗膜に接合テープ6を接着する、ことも採用可能である。
防水シートとしては、アスファルトシートの片面に不織布が設けられている構造のものに限定されず、例えば、アスファルトシート自体を防水シートさせたものや、合成ゴム、塩化ビニル等の合成樹脂製のシート(樹脂非発泡体シート)、樹脂発泡体シート、複数枚の樹脂製シートを積層して一体化したシート等も採用可能である。
また、防水シートとしては、必ずしも、脱気用溝が形成されたものに限定されず、脱気用溝を省略した構造のものも採用可能である。
接着用塗膜を形成するためのプライマーの塗布は、必ずしも、下地上への敷設が完了した防水シートについて行うことに限定されない。例えば、下地への施工前の防水シートの端部に、プライマーの塗布によって、予め、接着用塗膜を形成することも可能である。但し、下地上での施工のために、防水シートを現場で切断して寸法調整することにも柔軟に対応できる点で、プライマーの塗布による接着用塗膜の形成は、下地上への敷設が完了した防水シートに行うことが有利である。
Claims (4)
- 下地上に敷設した防水シート同士間の目地、あるいは、互いに隣り合う防水シートの端部同士を重ね合わせた重ね部の上側の防水シートの端部と下側の防水シートにおける前記重ね部の前記上側の防水シートが重ね合わされていない部分との境界部、であるシート境界部を覆うようにして、樹脂フィルムであるテープ基材に接着材層が積層され前記防水シートを透視可能な透明又は半透明の接合テープを接着して、前記シート境界部の両側の防水シートを接合した後、防水シート上に塗膜防水材を施工することを特徴とする防水施工方法。
- 帯状に形成された前記接合テープの幅方向中央に、前記接合テープの長手方向全長にわたって、マーキングが線状に延在形成されており、
前記シート境界部に前記マーキングを位置決めして、前記接合テープを前記シート境界部を覆うように接着することを特徴とする請求項1記載の防水施工方法。 - 前記シート境界部の両側の防水シートの端部にプライマーを塗布した後、前記接合テープを、前記プライマーが硬化した接着用塗膜に接着させて前記シート境界部を覆うように設けることを特徴とする請求項1又は2記載の防水施工方法。
- 前記接合テープが、防水シートの下地とは反対側の防水材施工面の色、あるいは、前記シート境界部の両側の防水シートの端部に塗布した着色プライマーの色、とは異なる色の有色接合テープであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防水施工方法。
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