JP5395339B2 - 表装材及び表面仕上げ方法 - Google Patents

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Description

この発明は、建築物の内外壁表面,床面等の任意の表面部位へ適用される表装材と、この表装材を利用する表面仕上げ方法関する。
従来、シート状の表装材としては、建築物の内装用壁紙があるが、これは、屋外に用いた時の耐久性を考慮したものとなっていない。
特開昭59−106660号公報 上記の特許文献1に記載された発明は、建築物の外部表面への適用を考えた表装材であるが、模造タイル状とするために、網目基材を下地板に埋め込む形で、異種または異色の塗装材により下地板と模造タイル面を形成するものであり、またその施工方法についてはほとんど触れられていなかった。
特開昭63−125332号公報 上記の特許文献2に記載された発明は、単に繊維状シート(防燃性部材)上に水性弾性塗料を用いた防水層と化粧用塗料による化粧層の組み合わせに過ぎなかった。
特願平2−199456号の明細書及び図面 一方、本件出願人は、上記の特許文献3において、これらの点を改良する新規な表装材と、これを用いた仕上げ方法の発明を提案している。しかし、特許文献3において提案された発明は、外壁外装面に適用しうる表装材を選定し、シート間のジョイントを考慮した上での防水性や納まりについては解決しているものの、下地に対する接着力については、辺部において粘着材に頼ることになり、充分な強さを発現できない場合もあった。
特公平7−59841号公報 特公平7−68746号公報 更に、本件出願人は、上記の特許文献4及び特許文献5において、シート(表装材)間のジョイントからなる防水性や納まりについて十分考慮した上で、なおかつ多種多様な下地に対する接着力を考慮した表装材と、この表装材を利用した仕上げ方法の発明を提案している。
特許文献4及び特許文献5に開示された発明では、表装材を下地に対して強く固定するために、好適な形態のアンカーピンないし釘等の固定用金具を併用している。又、この発明に用いられる表装材は、特許文献3においても説明したが、シートを概ね矩形とし、その隣接する2辺には目地部を兼ねた重ね合わせ部を有し、他の2辺の裏面には、粘着材を塗布したものとなっている。
しかしながら、建築物の内外壁表面、床面等の任意の表面部位への表装材の適用に当たっては、表装材の接着力を更に向上させ、より確実に下地に固定させて、表装材の落下、剥離の面からの安全性を高めることが望まれる。
更に、タイル、モルタル等で既に表装され、かつその表装がある程度劣化した建築物表面部位の改修等においては、下地であるタイルやモルタル等の部分的な浮きや剥落等の不具合を十分に防止できる表面仕上げとするためには、表装材の相互の接着力と下地への固定力が十分に大きくなければならない。
そこで本発明は、このような表面仕上げを可能とする表装材及び表面仕上げ方法を提供することを、解決すべき課題とする。更に本発明は、このような表装材及び表面仕上げ方法において、好ましい防水性、透湿性、外観等を確保することをも、解決すべき課題とする。
(第1発明)
上記課題を解決するための本願第1発明の構成は、シート状の基材部の表面側に装飾的外観を持つ化粧材部を塗装又は接着させてなり、建築物における任意の表面部位に複数枚貼付して当該表面部位を仕上げるための表装材であって、
前記化粧材部は矩形の平面形状を有し、前記基材部は隣接する2辺A、A’では化粧材部と端縁を揃えると共に他の隣接する2辺B、B’では重ね代部が張出した大きさを持ち、基材部の裏面側における2辺A、A’の端縁又はその近傍に沿って粘着材層を形成した粘着材部と、この粘着材部を覆うように離型紙を貼付した離型紙部とを備え、かつ前記重ね代部には、少なくとも表装材固定用具の打ち込み予定部をカバーする範囲に1枚又は2枚以上の補強用シートを積層接着させた、表装材である。
(第2発明)
上記課題を解決するための本願第2発明の構成は、前記第1発明に係る補強用シートを、重ね代部のうち施工時において目地部となるべき部分を避けて積層接着させた、表装材である。
(第3発明)
上記課題を解決するための本願第3発明の構成は、前記第1発明又は第2発明に係る表装材の重ね代部において、その裏面側には前記補強用シートを積層接着させ、その表面側には第1発明に記載した前記粘着材部と重ね合わすこととなる部位に粘着材層を形成した粘着材部を設け、かつ、この粘着材部を覆うように離型紙を貼付した、表装材である。
(第4発明)
上記課題を解決するための本願第4発明の構成は、前記第1発明〜第3発明のいずれかに係る基材部が、化粧材部と合致する大きさの基材部本体と、この基材部本体を構成するシート材に対して別貼りのシート材を接着させることにより構成される重ね代部とからなるものである、表装材である。
(第5発明)
上記課題を解決するための本願第5発明の構成は、下記(1)〜(3)のいずれかに記載の表装材セットである。
(1)第4発明に記載の表装材における、前記別貼りのシート材と、この別貼りのシート材が未だ接着されていない状態にある前記表装材とからなる表装材セット。
(2)第1発明〜第4発明のいずれかに記載の表装材における、前記補強用シートと、この補強用シートが未だ積層接着されていない状態にある前記表装材とからなる表装材セット。
(3)第1発明〜第4発明のいずれかに記載の表装材における、前記別貼りのシート材と、前記補強用シートと、これらの別貼りのシート材及び補強用シートが未だ接着あるいは積層接着されていない状態にある前記表装材とからなる表装材セット。
(第6発明)
上記課題を解決するための本願第6発明の構成は、建築物における任意の表面部位に、第1発明〜第4発明のいずれかに記載の表装材を複数枚、所望の目地幅を開けながら、又は目地幅をとらずに貼付して表面仕上げを行う仕上げ方法であって、下記の(a)〜(d)の工程を含む、表面仕上げ方法である。
(a)離型紙を剥がした第1の表装材を建築物の表面部位に接着材を用いて貼付し、その重ね代部の補強用シート積層部にアンカーピンを打ち込んで表装材を固定した後、
(b)第1の表装材の2辺B、B’のそれぞれの重ね代部上に第2の表装材の離型紙で保護された粘着材部を重ねる状態で、これらの第2の表装材を上記の目地設定のもとに接着材を用いて貼付し、
(c)次いで第2の表装材の離型紙を剥がして、その粘着材部を第1の表装材の重ね代部に接着すると共に、第1の表装材における上記の固定具打ち込み部を第2の表装材の化粧材部で覆い、
(d)これらの第2の表装材の重ね代部の補強用シート積層部に前記固定用具を打ち込んでこれらの表装材を固定する。
(第7発明)
上記課題を解決するための本願第7発明の構成は、前記第6発明に係るアンカーピンが、押さえワッシャを併用するタイプ又は扁平なヘッドを備えるタイプの機械式定着型又は樹脂定着型のアンカーピンである、表面仕上げ方法である。
(第8発明)
上記課題を解決するための本願第8発明の構成は、前記第6発明又は第7発明に係る建築物の表面部位が垂直面又は傾斜面である場合において、その表面部位の右側下方あるいは左側下方の隅部に、前記第1の表装材をその2辺A、A’が隅部の2辺上に位置するように貼付して前記(a)の工程を行う、表面仕上げ方法である。
(第9発明)
上記課題を解決するための本願第9発明の構成は、前記第6発明〜第8発明のいずれかに係る建築物の表面部位にモルタルないしモルタルを含む仕上げ材からなる既存の仕上げ層が存在する場合において、表装材に対するアンカーピンの打ち込み部位の数を前記仕上げ層の厚さの増大に応じて増やす、表面仕上げ方法である。
(第10発明)
上記課題を解決するための本願第10発明の構成は、前記第6発明〜第9発明のいずれかに係る建築物の表面部位の仕上げが、建築物の表面部位に既存の仕上げ層が存在し、かつ劣化した表面部位を含む改修である、表面仕上げ方法である。
本発明によれば、第1の表装材の重ね代部上に第2の表装材の化粧材部を重ねる状態で施工されるので、目地幅を開けるか否かに関わらず、下地が露出せず、防水性に優れた表面仕上げが可能となる。特に第8発明の表面仕上げによる場合は、垂直面又は傾斜面の下方の表装材の重ね代部上に垂直面又は傾斜面の上方の表装材が重なるので、降雨等に対する防水性がとりわけ優れている。
隣接する表装材は、一方の表装材の重ね代部に対して他方の表装材の裏面側に設けた粘着材部が接着されるので、表装材相互間の接着力が高い。表装材の重ね代部の表面側において、上記の粘着材部と対応する部位にも粘着材部を設けた場合、表装材相互間の接着力が更に高まる。しかも、表装材の重ね代部に対しては、他の表装材を重ねる前にアンカーピン等の表装材固定用具を打ち込むので、下地に対して強く固定され、かつ、他の表装材を重ねることにより固定用具が隠されるので、優れた外観が保たれる。
表装材固定用具は、重ね代部において、固定用具の打ち込み予定部をカバーする範囲に積層接着された補強用シートの部分に打ち込まれる。固定用具としてはワッシャ併用のアンカーピン等の任意の種類の固定用具を自由に選択して打ち込むことができ、これによって表装材に対して十分に強い固定力を実現できる。又、固定用具の打ち込み部は補強用シートの1枚又は2枚以上の積層接着で十分に補強されているので、非常に大きな引き裂き強度あるいはせん断強度を示し、大きな負荷に十分に耐える。更に、好ましくは、表装材に対するアンカーピンの打ち込み部位の数を、仕上げ層の厚さの増大に応じて増やす。従って、表面劣化したタイル壁やモルタル壁の改修においても、劣化した下地の部分的な浮きや剥落等を十分に防止できる。
補強用シートを、重ね代部のうち施工時において目地部となるべき部分を避けて積層接着させた場合、目地幅を開けるか否かに関わらず、目地部では補強用シートの積層構造となっていないので、表面仕上げの目地部における透湿性が確保される。
基材部が、化粧材部と合致する大きさの基材部本体と、この基材部本体を構成するシート材に対して別貼りのシート材を接着させることにより構成される重ね代部とからなる構成とした場合、表装材の製造工程においては、化粧材部と基材部本体が積層された大面積のシート体を製造して所要のサイズにカッティングすることにより、別貼りのシート材を未だ接着させていない状態の表装材を効率的に大量生産することができる。別貼りのシート材は、上記の表装材の大量生産の後に、あるいは施工現場において、基材部本体の裏側に接着させることができる。
次に、本発明の実施形態をその最良の形態を含めて説明する。
〔表装材〕
本発明の表装材は、建築物の任意の表面部位に複数枚貼付して当該表面部位を仕上げるためのものである。ここにいう「建築物の任意の表面部位」とは、例えば建築物の壁部の外表面や内表面、床面等を指すが、これらに限定されない。
表装材は、少なくとも以下の(1)〜(5)の構成要素を備える。なお、第5発明に関して前記したように、表装材は、下記(2)に記載する別貼りのシート材を未だ接着させていない状態、及び/又は、重ね代部に対して下記(3)の補強用シートを未だ積層接着させていない「セット物」の状態で製造、流通、保管されても良い。
(1)装飾的外観を持ち矩形の平面形状を有する化粧材部。化粧材部は、天然石やその砕石,着色骨材,着色プラスチック粒,プラスチック砕粒を、合成樹脂エマルション,溶剤型合成樹脂,ホットメルト樹脂等により成形したものが適するが、ステンレスやアルミニウム薄板またはその上に塗装したものも利用できる。
化粧材部は、後述の基材部の表面側に塗装又は接着させてなる。例えば、建築用吹付材を基材部上に塗装することにより化粧材部とすることができる。基材部上への化粧材部の複合化については、目地兼重ね代部分を除く部分への張り合わせ、あるいは塗装によってなすことができる。
(2)シート状の基材部。この基材部は、隣接する2辺A、A’では化粧材部と端縁を揃えると共に他の隣接する2辺B、B’では重ね代部が張出した大きさを持つ。重ね代部は、目地部を兼ねる。基材部においては、4辺の端縁が化粧材部と合致した基材部本体に対して、その隣接する2辺B、B’に別貼りのシート材を接着させて重ね代部を構成しても良い。
この基材部あるいは別貼りのシート材の素材としては、不織布,ガラスクロス,セラミックペーパー,合成紙等を例示できる。これらのシート材としては、透湿性と、引き裂き強度あるいはせん断強度とを備えるものが好ましい。
(3)重ね代部の表側面又は裏側面において、アンカーピン等の表装材固定用具の打ち込み予定部をカバーする範囲に1枚又は2枚以上積層接着させた補強用シート。
補強用シートの積層枚数は、「表装材固定用具の打ち込み予定部における、必要なせん断強度の確保」という見地から、適宜に決定される。ここにいう「必要なせん断強度」は、本発明に係る表面仕上げ方法において施工完了後に表装材固定用具の打ち込み部に負荷する荷重との関係で相対的に決まるので、一律にせん断強度の値を規定することはできない。
補強用シートを重ね代部の裏側面に積層接着させる場合、重ね代部の表面側には、後述の粘着材部に対応する部位に他一方の粘着材部を設けることもできる。
補強用シートは、固定用具の打ち込み予定部をカバーする範囲に積層接着させる限りにおいて、その面積や平面形状は任意である。
ここにおいて、「表装材固定用具の打ち込み予定部をカバーする範囲」とは、少なくとも表装材固定用具の軸体が通過する部分及びその近傍部分をカバーする範囲を言う。この範囲は、例えば表装材固定用具がワッシャ併用型のアンカーピンや扁平なヘッドを備えるものである場合において、より好ましくは、これらのワッシャや扁平なヘッドの全体が当接する面積部分をカバーする範囲であるが、打ち込み予定部における必要なせん断強度が確保される限りにおいて、ワッシャ等の径よりも狭い範囲をカバーしていても良い。
補強用シートとしては、例えば、表装材固定用具の打ち込み幅をカバーする幅を持つ帯状のものを用いることが便宜である。「固定用具の打ち込み幅をカバーする幅」とは、例えば固定用具がワッシャを伴うものである場合は、より好ましくは、ワッシャの径と同等以上の幅であることをいう。
補強用シートは、重ね代部のうち施工時において目地部となるべき部分を避けて積層接着させることが好ましい。「目地部となるべき部分」とは、表装材の施工時において一定の目地幅を開ける場合にはその目地幅全体を指し、目地幅をとらない場合には目地としての表装材境界部を指す。補強用シートの素材としては、上記の基材部等の場合と同様のもので良いが、引き裂き強度あるいはせん断強度の特に大きいものが好ましい。
(4)基材部の裏面側に粘着材層を形成した粘着材部。粘着材部は、基材部の裏面側における2辺A、A’の端縁又はその近傍に沿って帯状に設けられる。粘着材部の幅は基材部の重ね代部の幅よりも狭いことが好ましいが、基材部の重ね代部の幅と同等又はそれ以上の幅であっても良い。粘着材部に用いる粘着材としては、アクリルゴム系あるいは非加硫ブチルゴム系のものが特に良く、他にもシリコーンゴム系,スチレンブタジエンゴム系,ポリイソプレン系,ポリビニルエーテル系等の粘着材を利用することができる。
(5)粘着材部を覆うように離型紙を貼付した離型紙部。この離型紙は、表装材の製造後、施工前において粘着材部を保護するためのものであり、施工時には所定の手順に従って剥がされる。離型紙は、粘着テープ,ラベル等に通常用いられる公知材料である。紙にフッ素樹脂,シリコーン樹脂等を塗布したものを利用すれば良い。
〔表装材の実施形態例〕
本発明に係る表装材を、図面に基づいて更に具体的に説明する。
図1は表装材1の正面図(表面図)を示す。表装材1の表面側においては、矩形の平面形状を有する化粧材部2がシート状の基材部3の表側の面上に形成されている。基材部3は、図の左側と下側との隣接する2辺A、A’では化粧材部2と端縁を揃えており、図の右側と上側との隣接する2辺B、B’では一定の幅に重ね代部4が張出している。化粧材部2の厚さは必要に応じて任意に設計される。基材部3の厚さは、化粧材部2に比べて十分に薄いことが好ましく、例えば2mm程度、又はそれ以下とされる。後述の補強用シートや別貼りのシート材も同等の厚さが好ましい。重ね代部4は、施工時いおいて目地ともなる部分であるが、その幅は、重ね代が十分に取れ、外壁表面に施工した場合の接着面積が確保されるようにすると、20〜100mmが適当である。
この重ね代部4上には、粘着材層を帯状に形成した表側の粘着材部5を設けている。表側の粘着材部5は、表装材1の施工時において、隣接する表装材1の裏面側に設けた裏側の粘着材部(後述)と重なる部位に設けている。粘着材部5は離型紙7によって覆われ保護されているが、図1においては離型紙7の図示を省略する。
表装材1には、その裏面側において構成の異なる2つの実施形態がある。これらの実施形態を、表装材1の背面図(裏面図)である図2、図3と、図1のX−X線に沿う断面図である図4、図5によって説明する。断面図においては、図示の便宜上から、各部分の厚さを実際以上に誇張して示している。
まず、上記の第1の実施形態を図2と図4に示すが、基材部3の裏面側においては、前記2辺A、A’の端縁に沿って粘着材を塗布した裏側の粘着材部6と、この粘着材部6を覆うように離型紙を貼付した離型紙部7を備えている。図示の便宜上、離型紙部7の離型紙は一部切り欠き状態で示している。そして、基材部3の重ね代部4の裏面側には、固定用具の打ち込み予定部をカバーする範囲で、補強用シート8を積層接着させている。図示の実施形態においては固定用具は表装材1の1辺B側近傍の所定部分に打ち込む予定であるため、この部分をカバーする範囲に補強用シート8を積層接着させている。なお、補強用シート8は、図2に示すように、重ね代部4のうち施工時において目地部となるべき部分9を避けて積層接着させている。
次に、上記の第2の実施形態を図3と図5に示すが、上記第1の実施形態との相違点は、基材部3の重ね代部4が別貼りのシート材10によって構成されている点である。この点を分かり易く示すために、図3においては、図2の場合と同様に設けている裏側の粘着材部6及び離型紙部7を省略して図示している。図3において、基材部3は、化粧材部2と合致する大きさの基材部本体3’と、この基材部本体3’を構成するシート材に対して別貼りのシート材10を接着させることにより構成される重ね代部4とからなる。
〔表面仕上げ方法〕
本発明の表面仕上げ方法は、上記いずれかの表装材を複数枚用い、建築物における外壁の外表面や内表面、内壁の表面,床面等の任意の表面部位に、所望の目地幅を開けながら、又は目地幅をとらずに貼付して表面仕上げを行う仕上げ方法である。前記したように、本発明の表面仕上げ方法は、建築物の表面部位にタイル、モルタル等で表装された既存の仕上げ層が存在し、かつ、それらの表装が劣化した表面部位を含む改修としても、極めて好ましく行われる。ここに「表装が劣化した表面部位を含む改修」とは、表装が劣化した表面部位の改修と、表装が劣化した部位を一部に含む表面部位の改修とを包含する。
この表面仕上げ方法は下記の(a)〜(d)の工程を含む。即ち、(a)の工程から始まり、次いで(b)〜(d)の順序の工程を繰り返すことにより行われる。実際には、上記の(a)の工程に先立って、アンカーピンの固定予定位置にピン孔を形成する工程を行う。アンカーピンの軸径(軸体の先端部分を拡開させるタイプでは拡開前の軸径)をXmmとした場合、ピン孔の孔径は、通常、(X+0.5〜2)mmとすることが好ましい。又、アンカーピンの軸部根元形状がヘッド部に対してテーパ状を呈する場合、ピン孔の開口部をこれに適合するように形成し、打ち込まれたアンカーピンのヘッド部が壁面から浮いた状態とならないようにすることが好ましい。
(a)工程:離型紙を剥がした第1の表装材を建築物の表面部位に接着材を用いて貼付し、その重ね代部の補強用シート積層部にアンカーピンないし釘等の固定用具を打ち込んで表装材を固定する。
この(a)工程は、床面への施工においては上下がないので任意の隅から張り始めれば良いが、建築物の表面部位が例えば垂直な又は傾斜した壁面等のように高低差を持つ場合においては、下方の隅部から始めるのが好ましい。より正確に言えば、被施工面の右側下方あるいは左側下方の隅部に最初の表装材を貼付し、その際に表装材の2辺A、A’が隅部の2辺上に位置するように貼付することが好ましい。即ち、壁面の下部から張り始め、上部へ向かって張り上げることにより、下部シートの目地兼重ね代部分が、上部シートの粘着材部の下になるので、雨水等の侵入を有効に防止できる。
この(a)工程及び次の(b)工程において表装材を建築物の表面部位に貼付するために用いる接着材としては、例えば合成ゴム系,酢酸ビニル系,ポリマーセメント系,アクリルゴム系など各種の接着材を使用できる。
(b)工程:第1の表装材の2辺B、B’の重ね代部上に各1枚の第2の表装材の離型紙で保護された粘着材部を重ねる状態で、これらの第2の表装材を上記の目地設定のもとに接着材を用いて貼付する。
(c)工程:第2の表装材の離型紙を剥がして、その粘着材部を第1の表装材の重ね代部に接着すると共に、第1の表装材における上記の固定用具打ち込み部を第2の表装材の化粧材部で覆う。このように、固定用具は、表装材の重ね代部分であり、かつ他の表装材により覆われる部分に用いるので、仕上げ面に表れることはない。
(d)工程:これらの第2の表装材の重ね代部の補強用シート積層部に前記固定用具を打ち込んでこれらの表装材を固定する。
以上の(a)〜(d)の工程により、施工直後からの表装材の完全接着が可能となり、表面仕上げがたとえタイル、モルタル等の劣化した表装面の改修であっても、表装材の落下や剥離の危険性がなくなった。図7では、このようにして施工する際の途中における正面図を示している。この図における例では、まず表装材1の大きさに応じて割り付けを行ない、下部より段ごとに目地兼重ね代部分が表に現われるようにして順に張り付けていく。表装材1の固定力強化のために打ち込まれた固定用具11は、次に貼付される表装材1によって順次隠されていく。図示のものは、いわゆる「うま目地」による施工であるが、いわゆる「いも目地」による施工も可能である。
〔固定用具〕
本発明に係る表面仕上げ方法では、表装材を下地(建築物の表面部位)に接着するための接着材に加え、表装材を下地に対して強く固定するために固定用具を併用する。本発明に係る表面仕上げ方法においては、固定用具としてアンカーピンを用いる。
ワッシャを併用するアンカーピンの一例を、図6(a)〜図6(c)に示す。このアンカーピン20は、その軸体がスリーブ21とピン22とからなる二重構造であり、スリーブ21にはスリット23とフランジ24が形成されている。そしてピン22をスリーブ21中に打撃して打ち込むと、スリーブ21におけるスリット23で分割された先端部分の内周に2段の高さに形成された凸部25をピン22が押し拡げ、そのためスリーブ21の先端部分が拡開するようになっている。このアンカーピン20は、使用時、軸体をワッシャ26の中心孔27に通し、ワッシャ併用型として用いることができる。
アンカーピンの種類としては図示のものに限定されず、いわゆる機械式定着型又は樹脂定着型の各種のアンカーピンを任意に選択して用いることができる。アンカーピンの形態としては、押さえワッシャを併用するタイプ、扁平なヘッドを備えるタイプ等を好ましく例示することができるが、これら以外のタイプのアンカーピンも用いることができる。上記した押さえワッシャを併用するタイプのアンカーピンとしては、ワッシャがアンカーピンと一体的に構成されているものや、別体のワッシャを挟み込んで使用するものがある。又、アンカーピンの軸体が二重構造であり、中心の軸体を打撃して打ち込むことにより外側の軸体の先端部分が拡開するタイプのアンカーピンを特に好ましく用いることができる。
アンカーピンの具体例としては、菊水化学工業(株)製のMA専用アンカーピン、全国ビルリフォーム工事業共同組合が採用しているGNSアンカーピン、(株)リノテック製のノックスアンカー、イープランナー(株)製のワッシャー付アンカー、サンコーテクノ(株)製のオールアンカー、日本ヒルティ(株)製のASAアルサスアンカー等を挙げることができる。
〔建築物躯体上に既存モルタル層等が存在する場合の表面処理〕
建築物壁面の躯体上に既存モルタル層等が存在する場合におけるアンカーピンの使用等について、以下に述べる。
このような場合、アンカーピンの長さは、「モルタル層等の厚さ+25mm」以上、あるいは、「モルタル層等の厚さ+30mm」程度であることが好ましい。
表装材に対するアンカーピンの打ち込み部位の数は、アンカーピンに対して予想される負荷の荷重に対応して増減することができる。
例えば第9発明において前記したように、建築物の表面部位にモルタルないしモルタルを含む仕上げ材からなる既存の仕上げ層が存在する場合において、表装材に対するアンカーピンの打ち込み部位の数を前記仕上げ層の厚さの増大に応じて増やすことができる。ここにおいて、「仕上げ材」とは、塗装仕上げとなる建築用仕上げ塗材あるいは左官仕上げとなる陶磁器タイルを含むものである。
なお、前記した補強用シートの積層枚数も、この荷重に対応して増減することができる。この荷重としては、本発明に係る表装材自体に起因するものと、既存モルタル層等に起因するものとが考えられるが、後者の要因が圧倒的に大きい。
本願発明者が行った実験によれば、建築物壁面の躯体上に10cm未満の既存モルタル層が存在する表面部位に対して、平面寸法が60cm×90cmである本発明の表装材を用いて表面仕上げする場合、各表装材に対するアンカーピンの打ち込み部位は2ケ所で足りる。上記の既存モルタル層の厚さが10cm以上で30cm未満である場合には、各表装材に対するアンカーピンの打ち込み部位は4ケ所とするのが適当である。
表装材に対するアンカーピンの打ち込み部位は、表装材の重ね代部の内の補強用シートを積層接着した部分であれば特段に限定されない。例えば、図7に関して前記した実施形態例の場合のように、重ね代部4の上辺の左右端部をアンカーピン打ち込み部位とすることができる。なお、図7では重ね代部4を上側と右側に位置するように貼り付けを行っているので、左側に位置する表装材の貼り付けを行い、次に右隣りの表装材を貼り付けた後、前記の左側表装材の上辺の右端部にアンカーピンの打ち込みを行う。このように一行分(横方向一列分)の表装材の貼り付けが終了した後、その上方に位置する表装材を貼り付けることで、上方の表装材により上記のアンカーピン位置は隠れることとなる。従って、図7に示す場合は各表装材に対するアンカーピンの打ち込み部位は、2ケ所である。又、表装材に対するアンカーピンの打ち込み部位を、例えば重ね代部の上辺の中央部としたり、又、重ね代部の上辺の左右端部及び中央部としたりする等のバリエーションを持たせることができる。これらの場合において、各表装材に対するアンカーピンの打ち込み部位の数は、いわゆる「うま目地」か「いも目地」かによっても異なる場合があり、煩雑であるため詳細な説明を省略する。
(実施例1:施工テスト)
本実施例では、この発明による表装材1を製作して施工テストを実施した。本実施例における表装材1では、ポリエステル製不織布の両面にアクリル樹脂ペイントをナイフコーターによりコーティングしたシートを基材部3とした。
化粧材部2は、基材部3の表側表面に目地兼重ね代部4を残して、下記の表1に示す「実施配合1」による塗料を吹付により塗装して形成させた。なお、表装材1の寸法は60cm×90cmとし、目地兼重ね代部4は、塗装した不織布を露出させて、4cm幅とした。重ね代部4の裏側面には、ポリエステル製不織布からなる幅3.5cmの帯状の補強用シート8を積層接着させた。表側の粘着材部5及び裏側の粘着材部6には、厚さ0.2mm、幅2cmとした非加硫ブチルゴムシートを用いた。
このような表装材を600枚製作し、コンクリートブロック造りで高さ2mの堀に前記図7のように施工して、施工性や納まりを確認した。
施工時の表装材1を下地に接着させるための接着材としては、下記の表2の「実施配合2」に示すポリマーセメントを用いた。また、被施工面はコンクリートブロック下地であるためアンカーを使用した。アンカーピンとしては、日本ヒルティ(株)製のASAアルサスアンカーを用いて施工を行った。
施工のプロセスは前記の第6発明に従ったものであるが、第6発明の(a)の工程に先立って、アンカーピンの固定予定位置にピン孔を形成する工程を行った。ピン孔の孔径は、上記アンカーピンの拡開前の軸径よりも0.5mm大きくした。
施工テストの結果は、心配されていたアンカーピンの頭部が表装材の表面に現れることもなく、接着材の厚みと、重ね代部分の厚みにより、ピン頭の厚みが吸収され、全く気にならない状態で表装材を張り上げることができた。また施工性についても、さほど手間がとられることもなく施工できた。
(実施例2:重ね代部の強度試験−1)
本実施例では、重ね代部に対する補強用シートの積層接着によるせん断強度の向上を確認するため、実施例1で前記した、ポリエステル製不織布の両面にアクリル樹脂ペイントをナイフコーターによりコーティングしたシート(以下、「MAメジシート」と呼ぶ)が1枚のもの、及びこれを2枚重ね、3枚重ねとした試験体について最大引張力(N)を測定した。
MAメジシートが1枚の場合は、重ね代部に補強用シートを積層接着させていない比較例に相当する。一方、MAメジシートが2枚重ねの場合は、重ね代部に補強用シートを1枚積層接着させた実施例に相当する。MAメジシートが3枚重ねの場合は、重ね代部に補強用シートを2枚積層接着させた実施例に相当する。
図8(a)及び図8(b)に示すように、厚さ50mmのコンクリート板12に
上記シートが1枚、2枚重ね、又は3枚重ねとなった試験体13をワッシャー付きのアンカーピン14で取り付けた。なお、試験体13の一端側には、引張試験時にシート体である試験体13を変形させない(面で均一に引張る状態を確保する)ため、接着剤でスレート板15を接着させてある。
ワッシャー付きのアンカーピン14としては、下記の(1)〜(3)に示すものを用いた。
(1)アンカーピンとしては菊水化学工業(株)製のMA専用アンカーピン55を用い、その専用ワッシャー(外径25mm)を併用したもの。
(2)アンカーピンとしてはサンコーテクノ(株)製のオールアンカーSY−650を用い、その専用ワッシャーA(外径20mm)を併用したもの。
(3)アンカーピンとしてはサンコーテクノ(株)製のオールアンカーSY−650を用い、その専用ワッシャーB(外径30mm)を併用したもの。
以上について、引張試験機である(株)オリエンテック社製のTENSILON試験機UCT−500を用いて、引張速度5mm/min.で最大引張力(N)を測定した。その結果を、表3に示す。
なお、いずれの試験体についても3個のサンプルを用いて試験しており、表3中における「試験体1〜試験体3」はそれら各サンプルの測定結果であり、「AVE.」はそれらの平均値を示す。
表3のように、いずれの試験においても、比較例に対して実施例の測定結果が顕著に優れ、MAメジシートの重ね枚数が多いほど、効果が顕著に向上していることが分かる。
なお、ワッシャー付きのアンカーピンの種類によって最大引張力(N)の絶対値には差異が認められる。その理由は次のように考えられる。
即ち、上記の各試験においては、アンカーピンの打ち込みのために、予め図9(a)の左側の図に示すようなストレートなピン孔を形成したが、これに対して、サンコーテクノ(株)製のオールアンカーは、アンカーピンの軸部根元形状がヘッド部に対してテーパ状を呈する。そのため、アンカーピンの打ち込み時において、図9(b)の左側の図に示すように、アンカーピン14のヘッド部がコンクリート板12から浮いた(ワッシャの押さえが甘い)状態となっていたのである。この場合、図9(a)の右側の図に示すようなテーパ状の開口部を持つピン孔を形成しておけば、図9(b)の右側の図に示すように、ワッシャの押さえの甘さを防止できる。
(実施例3:重ね代部の強度試験−2)
本実施例では、ワッシャー付きのアンカーピンとして、実施例2で最も好ましい結果を得た前記(1)に示すものを用いた場合に試験対象を絞り、MAメジシートが1枚のもの、及びこれを2枚重ね、3枚重ね、4枚重ねとした試験体について最大引張力(N)を測定した。
MAメジシートを2枚重ね、3枚重ね、4枚重ねとした試験体においては、シートの向き、シート同士の重ね方と接着方法を、実際の表面仕上げの施工時と同様になるように試験体を作製した。なお、いずれの試験体についても15個のサンプルを用いて試験した。
これらの試験体について、実施例2の場合と同様に上記のワッシャー付きのアンカーピンで試験体をコンクリート板に取り付け、実施例2の場合と同じ引張試験機でを用いて、引張速度5mm/min.で最大引張力(N)を測定した。その結果を、表4に示す。 表4では各試験体の15個のサンプルの平均値を示している。、
表4のように、いずれの試験においても、比較例に対して実施例の測定結果が顕著に優れ、MAメジシートの重ね枚数が多いほど、効果が顕著に向上していることが分かる。表4の結果において、各試験体の15個のサンプル間に測定値の大きなバラツキはなく、許容応力度を平均値の1/3とすることした。
本発明によって、表装材の接着力を更に向上させ、より確実に下地に固定させて、表装材の落下、剥離の面からの安全性を高めた表装材が提供される。
表装材の例を示す正面図である。
第1の実施形態に関する図1の1部切り欠きにより示す背面図である。
第2の実施形態に関する図1の1部切り欠きにより示す背面図である。
第1の実施形態に関する図1のX−X線断面図である。
第2の実施形態に関する図1のX−X線断面図である。
ワッシャ併用型アンカーピンの一例を示す図であり、図6(a)はスリーブとピンとの分離した状態での斜視図を、図6(b)はこれらの縦断面図を、図6(c)は併用されるワッシャを、それぞれ示す。
施工例の正面図である。
実施例2の試験方法を示す図である。図8(a)が平面図を示し、図8(b)がその中央縦断面図を示す。
ワッシャの押さえに対するピン孔形状の影響を示す図である。
符号の説明
1 表装材
2 化粧材部
3 基材部
4 重ね代部
5、6 粘着材部
7 離型紙部
8 補強用シート
10 別貼りシート
20 固定用具

Claims (9)

  1. 透湿性を備えるシート状の基材部の表面側に装飾的外観を持つ化粧材部を塗装又は接着させてなり、建築物における任意の表面部位に複数枚貼付して当該表面部位を仕上げるための表装材であって、
    前記化粧材部は矩形の平面形状を有し、前記基材部は隣接する2辺A、A’では化粧材部と端縁を揃えると共に他の隣接する2辺B、B’では重ね代部が張出した大きさを持ち、基材部の裏面側における2辺A、A’の端縁又はその近傍に沿って粘着材層を形成した粘着材部と、この粘着材部を覆うように離型紙を貼付した離型紙部とを備え、かつ前記重ね代部には、該重ね代部のうち施工時において目地部となるべき部分を避けて、少なくともワッシャ併用型のアンカーピンであり又は扁平なヘッドを備えるアンカーピンである表装材固定用具の打ち込み予定部をカバーする範囲に1枚又は2枚以上の補強用シートを積層接着させたことを特徴とする表装材。
  2. 前記表装材の重ね代部において、その裏面側には前記補強用シートを積層接着させ、その表面側には請求項1に記載した前記粘着材部と重ね合わすこととなる部位に粘着材層を形成した粘着材部を設け、かつ、この粘着材部を覆うように離型紙を貼付したことを特徴とする請求項1に記載の表装材。
  3. 前記基材部が、化粧材部と合致する大きさの基材部本体と、この基材部本体を構成するシート材に対して別貼りのシート材を接着させることにより構成される重ね代部とからなるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表装材。
  4. 下記(1)〜(3)のいずれかに記載の表装材セット。
    (1)請求項3に記載の表装材における、前記別貼りのシート材と、この別貼りのシート材が未だ接着されていない状態にある前記表装材とからなる表装材セット。
    (2)請求項1〜請求項3のいずれかに記載の表装材における、前記補強用シートと、この補強用シートが未だ積層接着されていない状態にある前記表装材とからなる表装材セット。
    (3)請求項3に記載の表装材における、前記別貼りのシート材と、前記補強用シートと、これらの別貼りのシート材及び補強用シートが未だ接着あるいは積層接着されていない状態にある前記表装材とからなる表装材セット。
  5. 建築物における任意の表面部位に、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の表装材を複数枚、所望の目地幅を開けながら貼付して表面仕上げを行う仕上げ方法であって、下記(a)〜(d)の工程を含むことを特徴とする表面仕上げ方法。
    (a)離型紙を剥がした第1の表装材を建築物の表面部位に接着材を用いて貼付し、その重ね代部の補強用シート積層部の適部にアンカーピンを打ち込んで表装材を固定した後、
    (b)第1の表装材の2辺B、B’のそれぞれの重ね代部上に第2の表装材の離型紙で保護された粘着材部を重ねる状態で、これらの第2の表装材を上記の目地設定のもとに接着材を用いて貼付し、
    (c)次いで第2の表装材の離型紙を剥がして、その粘着材部を第1の表装材の重ね代部に接着すると共に、第1の表装材における上記の固定具打ち込み部を第2の表装材の化粧材部で覆い、
    (d)これらの第2の表装材の重ね代部の補強用シート積層部に前記固定用具を打ち込んでこれらの表装材を固定する。
  6. 前記アンカーピンが、押さえワッシャを併用するタイプ又は扁平なヘッドを備えるタイプの機械式定着型又は樹脂定着型のアンカーピンであることを特徴とする請求項5に記載の表面仕上げ方法。
  7. 前記建築物の表面部位が垂直面又は傾斜面である場合において、その表面部位の右側下方あるいは左側下方の隅部に、前記第1の表装材をその2辺A、A’が隅部の2辺上に位置するように貼付して前記(a)の工程を行うことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の表面仕上げ方法。
  8. 前記建築物の表面部位にモルタルないしモルタルを含む仕上げ材からなる既存の仕上げ層が存在する場合において、表装材に対するアンカーピンの打ち込み部位の数を前記仕上げ層の厚さの増大に応じて増やすことを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれかに記載の表面仕上げ方法。
  9. 前記建築物の表面部位の仕上げが、建築物の表面部位に既存の仕上げ層が存在し、かつ劣化した表面部位を含む改修であることを特徴とする請求項5〜請求項8のいずれかに記載の表面仕上げ方法。
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