JPWO2020129295A1 - 防水工法及び防水構造 - Google Patents
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Abstract
床(12)と前記床(12)の縁から上方に立ち上がる壁(14)とを有する建築物(10)の防水工法は、前記床(12)の表面にシート状防水部材(20)を載置する工程と、前記シート状防水部材(20)の表面と前記壁(14)の表面(18)の両面に跨るように接着部材(26)を貼合する工程と、前記壁(14)の表面と前記シート状防水部材(20)の表面にそれぞれ、前記接着部材(26)を覆うように、仕上げ部材(28,30)を塗布する工程とを備え、前記接着部材(26)は、第1主面と第2主面を有するシート状接着材料からなり、前記第1主面を構成する粘着剤層(42)を介して前記シート状防水部材(20)と前記壁(14)に固定され、前記第2主面を構成する起毛層(41)又は無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層に前記仕上げ部材(28,30)が塗布される。
Description
本発明は、防水工法及び防水構造、特に、床面の防水工法及び防水構造に関する。
コンクリート構造の建築物を造る場合、まず柱と床をコンクリートで造り、次に隣接する柱の間に煉瓦等のブロックを積んで壁を造り、その後、壁の表面に化粧用モルタルを塗り、最後に化粧モルタルの上に塗料を塗って又はタイルを貼って仕上げる方法を採ることがある。
このような建築物のコンクリート床面に防水工事を施す場合、打設したコンクリートに所要強度が発現するのを待ってレイタンスを除去し、その後、必要な防水処理(例えば、防水モルタル、防水塗料を塗布する処理)を施す必要がある。そのために、コンクリートの凝結後、高圧の水をコンクリート表面に吹き付けて洗浄し、又はコンクリート表面に水を掛けながらワイヤブラシ等で表面を粗く仕上げることによってレイタンスを除去する方法が一般的に採用されている。しかし、これらのレイタンス除去作業は、いずれも相当な時間と労力を要する。
そのため、地域によっては、又は国によっては、コンクリート表面に空気を吹き付けるだけの簡単な作業で埃を除去した後、モルタルに樹脂を混合したポリマーセメントモルタルや防水塗料をコンクリートの表面に塗ることによって防水処理が施されている。また、コンクリートと防水塗料との接着性を高めるために、コンクリート表面にプライマーを塗布することもある。しかし、レイタンスが完全に除去されていないコンクリート表面に防水材料やプライマーを施工してもコンクリートと防水材料との間に十分な接着力が得られず、半年又は1年後には防水材料にクラックが発生する。また、上述のような簡単な作業で埃をきれいに除去しても、養生後のコンクリートの上を作業者が歩いたり、コンクリートの上で作業を行ったりすることもあり、その都度、コンクリートが剥離して、次々と緩んだ骨材が露出するため、その表面に防水塗料やプライマーを施工しても同様な不具合が発生する。また、防水モルタルや防水塗料の代わりに防水用粘着テープ(シート)を利用した防水処理をしても、該粘着テープ(シート)をコンクリート表面に十分に密着させることが困難で剥がれてしまう。このような不具合の程度は、質の悪いコンクリートを使用した場合に、より顕著となる。
このような問題を解消する方法として、コンクリートの硬化が始まったばかりの極めて早い時期に、まだ湿潤状態にあるコンクリートの表面に、水セメント比が小さく且つ接着力が強い緻密なカチオン樹脂モルタル等の高性能防水材を薄く塗って金鏝押さえする防水工法が特許文献1に開示されている。
また、屋上、外廊下等雨水にさらされる床面とその立上り部分を防水するための工法において、従来技術の厚い床面用防水シートを用いた防水工法の作業性を改善し、あわせて完全な防水を実現する方法として、薄手防水シートを巧みに組み合わせて使用する防水工法が特許文献2に開示されている。
しかし、特許文献1に記載の方法は、水セメント比の調整や防水材を塗布するタイミングが難しく、適正な防水効果を得るためには相当な熟練を要するという問題がある。
また、特許文献2に記載の方法は、建築物の立上り部分と接着された薄手防水シートの上に床面用防水シートを設置し、該薄手防水シートと該床面用防水シートとを熱溶着又は接着剤で接着する防水工法であるが、現場において、薄手防水シートと床面用防水シートとを熱溶着や接着剤で、隙間なく、短時間で均一に接合し、適正な防水効果を得るためには、多くの熟練と時間(接着剤の乾燥、硬化時間等)を要するという問題がある。
さらに、立上り部分や床面に凹凸があった場合、その影響で、薄手防水シートと立上り部分の接着剤部分や、薄手防水シートと床面用防水シートの接着部分に隙間ができてしまい、適正な防水効果が得られないおそれがある。
このように、従来の防水工法は、作業性や防水性の点で、まだまだ改善の余地がある。
本発明は、防水処理のための前処理(レイタンス除去)を無くし、また熟練を要することなく、簡単且つ確実に防水処理を施すことができる防水工法及び防水構造を提供するものである。
本発明の実施形態は、床と前記床の縁から上方に立ち上がる壁とを有する建築物の防水工法であって、
前記床の表面にシート状防水部材を載置する工程と、
前記シート状防水部材の表面と前記壁の表面の両面に跨るように接着部材を貼合する工程と
前記壁の表面と前記シート状防水部材の表面にそれぞれ、前記接着部材を覆うように、仕上げ部材を塗布する工程とを備えており、
前記接着部材は、
第1主面と第2主面を有するシート状接着材料からなり、
前記第1主面は粘着剤層で構成され、
前記第2主面は起毛層又は無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層で構成され、
前記第1主面の前記粘着剤層を介して前記シート状防水部材と前記壁に固定され、
前記第2主面の起毛層又は無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層に前記仕上げ部材が塗布される、ことを特徴とする建築物の防水工法である。
前記床の表面にシート状防水部材を載置する工程と、
前記シート状防水部材の表面と前記壁の表面の両面に跨るように接着部材を貼合する工程と
前記壁の表面と前記シート状防水部材の表面にそれぞれ、前記接着部材を覆うように、仕上げ部材を塗布する工程とを備えており、
前記接着部材は、
第1主面と第2主面を有するシート状接着材料からなり、
前記第1主面は粘着剤層で構成され、
前記第2主面は起毛層又は無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層で構成され、
前記第1主面の前記粘着剤層を介して前記シート状防水部材と前記壁に固定され、
前記第2主面の起毛層又は無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層に前記仕上げ部材が塗布される、ことを特徴とする建築物の防水工法である。
[床、壁]
建築物の床の表面を構成する材料には、例えば、木製板、モルタル、又はコンクリート(軽量気泡コンクリート建材を含む。)等が利用できる。床の縁から立ち上がる壁の表面を構成する材料には、例えば木製板、モルタル、コンクリート、煉瓦、コンクリートブロック等が利用できる。床の表面に載置するシート状防水部材には、例えば、後述する高分子シート又は金属シート等が利用できる。床および壁の仕上げ部材は、限定的ではなく、例えば、後述する木製板、モルタル、コンクリート等が利用できる。
建築物の床の表面を構成する材料には、例えば、木製板、モルタル、又はコンクリート(軽量気泡コンクリート建材を含む。)等が利用できる。床の縁から立ち上がる壁の表面を構成する材料には、例えば木製板、モルタル、コンクリート、煉瓦、コンクリートブロック等が利用できる。床の表面に載置するシート状防水部材には、例えば、後述する高分子シート又は金属シート等が利用できる。床および壁の仕上げ部材は、限定的ではなく、例えば、後述する木製板、モルタル、コンクリート等が利用できる。
[シート状防水部材]
シート状防水部材は、防水構造の防水機能が損なわれない限り特に限定されないが、高分子シート又は金属シートから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。高分子シートとしては、樹脂シート、ゴムシート等が挙げられ、ゴムシートには天然ゴムシート、合成ゴムシートが含まれる。
シート状防水部材は、防水構造の防水機能が損なわれない限り特に限定されないが、高分子シート又は金属シートから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。高分子シートとしては、樹脂シート、ゴムシート等が挙げられ、ゴムシートには天然ゴムシート、合成ゴムシートが含まれる。
樹脂シートとしては、例えば、塩化ビニルシート、ポリプロピレンシート、ポリエチレンシート、ポリエステルシート、フッ素樹脂シート、ポリイミドシート、ポリアミドシート、ポリスチレンシート、テフロン(登録商標)シート、ABSシート等が挙げられる。ゴムシートとしては、イソブチレン・イソプレン・ゴム(ブチルゴム)シート、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)シート、クロロプレンゴム(CR)シート、ニトリルゴム(NBR)シート、耐候性ニトリルゴムシート、耐ガソリンニトリルゴムシート、水素化NBRシート、スチレン・ブタジエン・ゴム(SBR)シート、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)シート、ウレタンゴムシート、天然ゴムシート等が挙げられる。これらのシートの中でも、加工性、耐水性、耐候性に優れたブチルゴムシートとEPDMシートが特に好ましい。金属シートとしては、アルミシート、ステンレスシート、亜鉛シート、ブリキシート、トタンシート、銅シート等が挙げられる。
シート状防水部材の大きさ・形状は、防水構造の防水機能が損なわれない限り、特に限定されるものでなく、例えば、載置する床表面と同じ大きさ・形状を有する一枚のシートであってもよい。また、床面よりも大きなシート状防水部材を採用する場合、このシート状防水部材を折り曲げて使用してもよい。この場合、折り曲げて重ね合わせたシート状防水部材の端部は防水性を有する粘着テープ、接着テープ、粘着剤、接着剤、防水性塗料等で接着することが好ましい。また、複数のシート状防水部材を床面に重ねてもよい。作業性や仕上がりの外観の観点からは、シート状防水部材の大きさ・形状は、載置する床表面と同じ大きさ・形状であることが好ましい。
シート状防水部材は、所定の幅(例えば、30〜200cm)を有する長尺帯状のシートであってもよい。この種のシート状防水部材を採用する場合、シート状防水部材を平行に配置するのが好ましい。隣接するシート状防水部材は、それらの端部を重ねるか、突き合わせることが好ましい。いずれの場合でも、隣接するシート状防水部材の継目は、防水性を有する粘着テープ、接着テープ、粘着剤、接着剤、防水性塗料等で覆うことが好ましい。これらの中でも、作業性の観点及び後述する理由から、粘着テープを使用するのがより好ましく、不織布基材の粘着テープを使用するのが更に好ましい。また、帯状のシート状防水部材を複数層に重ねる場合、例えば一層目を縦方向に平行に配置し、二層目を直交する横方向に平行に配置してもよい。
シート状防水部材の端部は、床面と壁面との境界に揃えてもよいし、壁面から若干離してもよいし、壁面の下端から所定の高さまで立ち上げてもよい。いずれの形態であっても、シート状防水部材の端部は、防水性を有する粘着テープ等の接着部材によって壁面に固定される。作業性や仕上がりの外観の観点からは、シート状防水部材の端部は、床面と壁面との境界に揃えることが好ましい。
シート状防水部材の端部を床面と壁面の境界に揃える場合、又は壁面から若干離した場合、接着部材は壁の表面とシート防水部材の表面の両面に跨ってL状に屈曲して(L状に曲げた状態で)貼り付けられる。これにより、シート状防水部材の端部辺は壁に固定される。一方、シート防水部材を壁面に沿って上方に伸ばす場合、接着部材は壁と壁に沿って伸びるシート状防水部材に跨ってほぼ真っ直ぐに貼り付けられる。これにより、シート状防水部材の端部辺は壁に固定される。
シート状防水部材の厚さは、防水構造の防水機能が損なわれない限りにおいては特に限定されるものではないが、0.5〜10mmが好ましい。厚さが0.5mmよりも小さくなると、施工時にシート状防水部材が破損する危険がある。例えば、床表面に大きな凹凸があると、そこでシート状防水部材に大きな力が作用して破れ、所望の防水機能が得られなくなることがある。他方、厚さが10mmを超えると、防水性の観点では問題ないが、載置時や切断時の作業性が低下することがある。
[接着部材]
接着部材は、第1主面と第2主面を有するシート状接着材料からなり、第1主面は粘着剤層で構成され、第2主面は起毛層又は無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層で構成され、第1主面の粘着剤層を介してシート状防水部材の表面と壁の表面の両面に跨って貼り付けられる。すなわち、この接着部材により、シート状防水部材の端部辺は壁に固定される。
接着部材は、第1主面と第2主面を有するシート状接着材料からなり、第1主面は粘着剤層で構成され、第2主面は起毛層又は無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層で構成され、第1主面の粘着剤層を介してシート状防水部材の表面と壁の表面の両面に跨って貼り付けられる。すなわち、この接着部材により、シート状防水部材の端部辺は壁に固定される。
(基材)
シート状接着材料の基材には、特に限定されるものではないが、例えば、布生地、可撓性樹脂フィルム、又は紙等を用いることができる。これらの中ででも、しなやかさ(段差追従性)の観点から、布生地を用いることが好ましい。本願明細書において、布生地は、織物布や編物布の他に不織布をも含む概念で使用されている。
シート状接着材料の基材には、特に限定されるものではないが、例えば、布生地、可撓性樹脂フィルム、又は紙等を用いることができる。これらの中ででも、しなやかさ(段差追従性)の観点から、布生地を用いることが好ましい。本願明細書において、布生地は、織物布や編物布の他に不織布をも含む概念で使用されている。
基材の一方の表面には粘着剤層が設けられる。この場合、粘着剤層の表面が第1主面を構成する。粘着剤層は、防水性の粘着剤を、例えば片面離型紙の離型面等に塗工、担持した粘着テープの形として基材の一方の表面に貼合・転写することにより設ける。
基材の他方の表面には仕上げ部材との密着性の観点から、起毛層が設けられる。この場合、起毛層の表面が第2主面を構成する。基材の構成については、特に限定されるものではないが、例えば、(1)基材が布生地の場合、その表面が第2主面の起毛層を構成することもあるし、(2)基材を構成する布生地の上に該基材を構成する布生地とは異なる布生地を接着、融着や交絡により積層して第2主面の起毛層を構成することもある。すなわち、基材の表面そのものが起毛状を呈する布生地(起毛処理により表面を起毛させた布生地も含む)の場合、その表面がそのまま第2主面の起毛層となるので、シート状接着材料の基材としては1層構成となる(上記(1))。また、(2)起毛状を呈さない布生地の上に、表面が起毛状を呈する布生地を積層した場合、シート状接着材料の基材としては複層構成となる(上記(2))。また、(3)基材が布生地以外の材料(例えば、可撓性樹脂フィルムや紙)で構成される場合、この材料の表面に、表面が起毛状を呈する布生地を接着や融着により積層して第2主面の起毛層を構成する。この場合も、シート状接着材料の基材としては複層構成となる。
上記のように、基材の他方の表面に、起毛層が設けられた構成の基材を用いた場合、第2主面の起毛層は、その表面に塗布された仕上げ部材(例えば、モルタル)を起毛層の繊維間の空隙(開口部)に侵入させ、繊維に十分に絡ませる役割をするので、仕上げ部材が第2主面に強固に保持される。仕上げ部材がモルタルの場合、セメント粒子が水と共に起毛層の繊維間の空隙に侵入し、繊維に十分に絡むので、乾燥前(養生前)及び乾燥後(養生後)にあっても、壁に貼り付けられた接着部材の第2主面を覆うようにモルタルを塗布した際に、モルタルが第2主面から脱落することが防止される。
第2主面は、起毛層の代わりに、無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層としてもよい。
上記のように、基材の他方の表面に、無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層が設けられた構成の基材を用いた場合、第2主面の無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層は、その表面に塗布された仕上げ部材(例えば、モルタル)となじみが良く、さらにその表面の凹凸形状がアンカーコート的な役割をするので、仕上げ部材が第2主面に強固に保持される。仕上げ部材がモルタルの場合、セメント粒子が水と共に無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層の凹凸部分に対して十分に投錨するので乾燥前(養生前)及び乾燥後(養生後)にあっても、壁に貼り付けられた接着部材の第2主面を覆うようにモルタルを塗布した際に、モルタルが第2主面から脱落することが防止される。
(起毛層)
本願発明の基材は、上述したように、少なくとも一方の表面(第2主面)に起毛層が設けられる。「起毛層」とは、典型的には、織物布、編物布、不織布等の布生地を構成する繊維層の表面繊維束を、例えば、砥粒や針等の突起を多数有する回転ロール、回転ブラシ等で擦る等の二次加工的な起毛処理により開繊し、構成繊維層の表面を毛羽立たせた状態の層のことを言うが、本願発明においては、さらに、上記の二次加工的な起毛処理を施していない布生地であっても、一次加工品としての布生地状態において、その布生地の構成繊維層の表面に元々、産毛状の繊維、ほつれた繊維、ループ状の繊維等が存在している状態を有する場合や、繊維と繊維との絡み合いにより微細な隙間を形成している状態を有する場合も、該表面層は「起毛層」に包含する。
本願発明の基材は、上述したように、少なくとも一方の表面(第2主面)に起毛層が設けられる。「起毛層」とは、典型的には、織物布、編物布、不織布等の布生地を構成する繊維層の表面繊維束を、例えば、砥粒や針等の突起を多数有する回転ロール、回転ブラシ等で擦る等の二次加工的な起毛処理により開繊し、構成繊維層の表面を毛羽立たせた状態の層のことを言うが、本願発明においては、さらに、上記の二次加工的な起毛処理を施していない布生地であっても、一次加工品としての布生地状態において、その布生地の構成繊維層の表面に元々、産毛状の繊維、ほつれた繊維、ループ状の繊維等が存在している状態を有する場合や、繊維と繊維との絡み合いにより微細な隙間を形成している状態を有する場合も、該表面層は「起毛層」に包含する。
シート状接着材料の基材の少なくとも一方の表面(第2主面)に起毛層が設けられる場合、基材としては、上述したように布生地を用いることが好ましいが、汎用性の観点から、起毛不織布を用いることがより好ましい。本願明細書において、「起毛不織布」とは、一般的な一次加工品としての不織布の状態で少なくともモルタル等の仕上げ部材に接する面(粘着剤層が設けられた面とは反対側の面)の繊維が何等かの加工(例えば、エンボス加工)によって過度に圧縮されていない不織布、短繊維主体で構成された不織布、又は一次加工品の不織布の少なくとも仕上げ部材に接する面に起毛処理(二次加工処理)が施されて一次加工品の不織布に比べて起毛量が増大された不織布等である。なお、一次加工品としての不織布とは、織物でないシート状の繊維集合体から成り、繊維同士の部分融着、繊維同士の部分圧着、樹脂や接着剤、粘着剤による繊維同士の部分接着、繊維同士の交絡などによって形成されたものを言う。
起毛不織布には、乾式法、湿式法、スパンボンド法、メルトブローン法、エアーレイド法等で製造したフリースを、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、水流交絡法(スパンレース法)等により結合した一次加工品の不織布が含まれる。例えば、サーマルボンド法により結合した不織布の場合、平滑性のある熱ロールでプレスしながらフリースを構成する繊維を部分的に融着したフラットタイプ不織布、オーブン内でフリースの中に高温熱風を通過させることでフリースを構成する繊維を部分的に融着したエアースルータイプ不織布は、起毛層を構成する不織布として利用可能である。ただし、エンボス模様を有する熱ロールでプレスしながらフリースを構成する繊維を融着したエンボスタイプ不織布は、表面起毛量や構成繊維間の空隙量が少なく、モルタル等の化粧用仕上げ部材との密着が不十分となり、化粧用仕上げ部材を壁に塗布する作業中に化粧用仕上げ部材が不織布表面から脱落してしまうおそれがあるので、起毛層を構成する不織布としては適当でない。
基材を構成する不織布と起毛層を構成する不織布はそれぞれ、単層であっても良いし、複数の層(例えばスパンボンド不織布とメルトブローン不織布)を積層したものであっても良い。とりわけ、汎用性、強度、表面起毛量、構成繊維間の空隙量等の観点から、フリースを構成する繊維を熱圧着やエアースルーにより部分的に熱融着させて繊維同士を結合したスパンボンド不織布を用いることが好ましい。
スパンボンド不織布を構成する連続長繊維は、例えば熱可塑性樹脂からなる。熱可塑性樹脂としては、溶融紡糸が可能な熱可塑性樹脂を使用することができる。その熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−66等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、乳酸系ポリエステル等の生分解性樹脂、ポリフェニレンサルファイド等を挙げることができ、これら熱可塑性樹脂は単独で使用しても、二種以上を混合して使用してもよい。
連続長繊維としては単一型、及び複合型を挙げることができ、複合型の繊維(複合繊維)の断面構造は鞘芯型、偏心鞘芯型、並列型、多層型、海島型等の何れでも良い。連続長繊維は、異なる樹脂成分からなる複合繊維であることが好ましい。連続長繊維は、非熱融着性複合繊維であっても良いし、熱融着性複合繊維であっても良いが、不織布製造時の繊維交点の熱融着性を考慮したとき熱融着性複合繊維であることが好ましい。熱融着性複合繊維とは、少なくとも融点差が10℃以上、好ましくは15℃以上ある低融点樹脂と高融点樹脂とからなり、繊維表面の少なくとも一部が連続する低融点樹脂により形成された二種以上の樹脂からなる熱可塑性樹脂から作られた繊維をいう。熱融着性複合繊維の断面構造は、鞘芯型、偏心鞘芯型、並列型、多層型、海島型等の断面構造の何れでも良いが、熱融着性複合繊維の熱接着性の観点から鞘芯型が好ましい。例えばポエチレンテレフタレートとポリエチレンの熱融着性複合繊維の鞘芯型等が好ましい。
一次加工品の不織布は、少なくともモルタル等の仕上げ部材と接する面に二次加工としての起毛処理を施してその起毛処理面を粘着テープの支持面(第2主面)としてもよい。不織布の起毛処理としては、一般的には、(1)不織布の表面の繊維をロータリーダイカッター等により切断して起毛させる方法、(2)ニードルパンチ等のカギ針を不織布に抜き差しすることにより繊維を引っ掛けて起毛させる方法、(3)水、空気等の高速流体により、不織布の繊維を浮かせたり切断して起毛させる方法、(4)凹凸表面を有するロールと平滑表面を有するロール間の接圧圧接により不織布の繊維にダメージを与えた後、不織布を延伸することにより繊維をループ状に起毛させたり切断して起毛させる方法、(5)表面に砥粒や針等の突起を多数有する回転ロール、回転ブラシ等で不織布の表面を擦ることにより起毛させる方法等が挙げられる。これらの中でも、強度の高い不織布が得られる点から、上記(2)の繊維を引っ掛けて起毛させる方法、上記(5)の表面を擦って起毛させる方法が好ましい。これらの起毛処理の中でも、強度の観点から、(2)繊維を引っ掛けて起毛させる方法、あるいは(5)表面を擦って起毛させる方法が好ましい。
起毛処理を施す前の一次加工としての不織布は、汎用性、強度、表面起毛量、構成繊維間の空隙量等の観点から、フリースを構成する繊維を熱圧着やエアースルーにより部分的に熱融着させて繊維同士を結合したスパンボンド不織布を用いることが好ましい。
織物布や編物布についても、上述した起毛処理により、不織布と同様に、表面の繊維を起毛させることができる。
(無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層)
無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層を第2主面として構成する場合、基材としては、織物布、編物布、不織布等の布生地、可撓性樹脂フィルム、叉は紙等を用いることができるが、しなやかさ、汎用性の観点から、不織布を用いることが好ましい。
無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層を第2主面として構成する場合、基材としては、織物布、編物布、不織布等の布生地、可撓性樹脂フィルム、叉は紙等を用いることができるが、しなやかさ、汎用性の観点から、不織布を用いることが好ましい。
無機粒子としては、特に限定はされないが、例えば、フリント(SiO2)、ガーネット(Al2O3・3FeO・3SiO2)、エメリー(Al2O3・Fe2O4)等の天然研磨剤や、炭化珪素(SiC)、溶融アルミナ(Al2O3)、ダイヤモンド(C)等の人造研磨材や、その他ミクロンサイズの粒子を用いることができる。
有機粒子としては、特に限定はされないが、例えば、アクリル系粒子、アクリル−スチレン系粒子、メラミン系粒子、ベンゾグアナミン系粒子、アクリロニトリル系粒子、その他ミクロンサイズの粒子が用いることができる。
接着剤としては、グルー・ニカワ・ゼラチン等の天然産接着剤や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の合成樹脂接着剤が用いられる。
第2主面に無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層を有するシート状接着材料は、布生地、可撓性樹脂フィルム、叉は紙等の基材の一方の表面(第2主面)に、無機粒子あるいは有機粒子を分散した接着剤塗液を塗工・乾燥して形成し、もう一方の面に防水性粘着剤層を貼合・転写することにより得られる。
第2主面が起毛層叉は無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層を有する布生地、可撓性樹脂フィルム、紙等の基材の厚さは、特に限定されるものではないが、100〜1000μmの範囲が好ましい。
以上で説明した、表面が起毛層又は無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層を有する布生地、可撓性樹脂フィルム、紙等の基材の裏面に粘着剤層を設けた接着部材によれば、布生地、可撓性樹脂フィルム、紙等の基材の表面(起毛層又は無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層)に塗布された仕上げ部材のモルタル等が良好に密着し、乾燥前(養生前)も乾燥後(養生後)も仕上げ面が壁面に安定して支持される。
(粘着剤層)
接着部材の第1主面を構成する粘着剤は、ブチルゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。これらの中でも、防水性、段差追従性、煉瓦の壁材やポリプロピレンシートやポリエチレンシートのようなオレフィン系シート状防水部材との密着性に優れるブチルゴム系粘着剤を用いることがより好ましい。ブチルゴム系粘着剤は、例えば、再生ブチルゴムやレギュラーブチルゴムに対して、粘着付与剤、充填剤、軟和剤、及びその他添加剤、必要に応じて架橋剤、架橋助剤を混合したものからなる。
接着部材の第1主面を構成する粘着剤は、ブチルゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。これらの中でも、防水性、段差追従性、煉瓦の壁材やポリプロピレンシートやポリエチレンシートのようなオレフィン系シート状防水部材との密着性に優れるブチルゴム系粘着剤を用いることがより好ましい。ブチルゴム系粘着剤は、例えば、再生ブチルゴムやレギュラーブチルゴムに対して、粘着付与剤、充填剤、軟和剤、及びその他添加剤、必要に応じて架橋剤、架橋助剤を混合したものからなる。
ブチルゴム系粘着剤のブチルゴムとしては、加工性の面から再生ブチルゴムを使用することが好ましい。該ブチルゴムのムーニー粘度ML1+4(100℃)は20〜100の範囲であることが好ましい。ブチルゴムの他に、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ポリイソブチレン等の合成ゴムを混合して用いても良い。
粘着付与剤としては、例えば、石油系樹脂、フェノール系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂など、ブチルゴム系と相溶する各種の樹脂を用いることができる。このような粘着付与剤は、ゴム系ポリマー100質量部当たり、20〜200質量部となる割合で用いることが好ましい。
ブチルゴム系粘着剤に任意成分として用いられる充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、酸化マグネシウム等が挙げられ、該充填剤の使用量は、ゴム系ポリマー100質量部当たり、5〜200質量部となる割合で用いることが好ましい。また、軟和剤としては、ポリブテン、プロセスオイル等が挙げられ、該軟和剤の使用量は、ゴム系ポリマー100質量部当たり、5〜150質量部となる割合で用いることが好ましい。その他に、老化防止剤、可塑剤等を用いても良い。
架橋剤としては、チウラム加硫剤、キノイド加硫剤、キノンジオキシム加硫剤、マレイミド加硫剤から選択される少なくとも一種を含む架橋剤を用いることできる。具体的には、チウラム加硫剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等が、キノイド系加硫剤としては、ポリ−p−ジニトロソベンゼン等が、キノンジオキシム加硫剤としては、p−キノンジオキシム、p,p´−ジベンゾイルキノンジオキシム等が、マレイミド加硫剤としては、N,N´−m−フェニレンジマレイミド、N,N´−p−フェニレンジマレイミド、N,N´−エチレンジマレイミド等が挙げられる。上記架橋剤は、ゴム系ポリマー100質量部当たり、0.5〜20質量部となる割合で用いることが好ましい。
ブチルゴム系粘着剤の厚さは、特に限定されるものではないが、50〜500μmの範囲であることが好ましい。ブチルゴム系粘着剤は、通常は有機溶剤や水を使用せずに粘着剤組成物を得ることができるので、カレンダー塗工等により、粘着剤の層厚さを厚くすることができる。これにより、粘着テープの段差追従性が良好となる。
ブチル系ゴム粘着剤は、セメント、モルタル、コンクリート、煉瓦、ブロック等に高い接着力を発揮するため、シート状防水部材を壁面に固定する接着部材として好ましい。
[仕上げ部材]
壁の表面に塗布される仕上げ部材とシート状防水部材に塗布される仕上げ部材には、同じ仕上げ部材を使ってもよいし、異なる仕上げ部材を使ってもよい。また、壁とシート防水部材に同じ仕上げ部材、例えばモルタルを塗布する場合、壁に塗布するモルタルの水セメント比とシート防水部材に塗布するモルタルの水セメント比は違ってもよい。
壁の表面に塗布される仕上げ部材とシート状防水部材に塗布される仕上げ部材には、同じ仕上げ部材を使ってもよいし、異なる仕上げ部材を使ってもよい。また、壁とシート防水部材に同じ仕上げ部材、例えばモルタルを塗布する場合、壁に塗布するモルタルの水セメント比とシート防水部材に塗布するモルタルの水セメント比は違ってもよい。
壁に仕上げ部材を塗布する作業とシート防水部材に仕上げ部材を塗布する作業は並行して行ってもよいし、壁に仕上げ部材を塗布した後にシート防水部材に仕上げ部材を塗布してもよいし、その逆でもよい。
このような構成を備えた上述の実施形態による防水工法及び防水構造は、
前記床の表面にシート状防水部材を載置する工程と、
前記床と前記壁との境界部において、前記シート状防水部材と前記壁との上に接着部材を固定する工程と、
前記壁の表面と前記シート状防水部材の表面にそれぞれ、前記接着部材を覆うように、仕上げ部材を塗布する工程とを備えており、
前記接着部材は、
第1主面と第2主面を有するシート状接着材料からなり、
前記第1主面は粘着剤層で構成され、
前記第2主面は起毛層又は無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層で構成され、
前記第1主面の前記粘着剤層を介して前記シート状防水部材と前記壁に固定され、
前記第2主面の起毛層又は無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層に前記仕上げ部材が塗布されるものである。
前記床の表面にシート状防水部材を載置する工程と、
前記床と前記壁との境界部において、前記シート状防水部材と前記壁との上に接着部材を固定する工程と、
前記壁の表面と前記シート状防水部材の表面にそれぞれ、前記接着部材を覆うように、仕上げ部材を塗布する工程とを備えており、
前記接着部材は、
第1主面と第2主面を有するシート状接着材料からなり、
前記第1主面は粘着剤層で構成され、
前記第2主面は起毛層又は無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層で構成され、
前記第1主面の前記粘着剤層を介して前記シート状防水部材と前記壁に固定され、
前記第2主面の起毛層又は無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層に前記仕上げ部材が塗布されるものである。
したがって、床表面の状態に拘わらず、例えば、床表面がコンクリート面である場合、コンクリートに十分な強度が発現しているか否か、また、コンクリート表面にレイタンスや埃等が存在しているか否か、さらにコンクリート表面に凹凸があるか否かに拘わらず、構築された直後の床表面にシート状防水部材を載置し、さらに該シート状防水部材の上に仕上げ部材を載置して、防水処理を図ることができる。そのため、床と壁を構築してから防水処理までの作業期間を大幅に短縮できる。また、防水処理は、床表面にシート状防水部材を載置し、例えば、床と前記壁との境界部において、壁にシート状防水部材を、接着部材の粘着剤層を介して壁に固定するだけの簡単な作業であるから、熟練を必要としない。したがって、経験の少ない作業員によっても、信頼性の高い防水構造が得られる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態に係る床防水構造及び床防水工法を説明する。以下の説明では、本発明の床防水構造及び床防水工法を、コンクリート製の床と該床の縁から上方に立ち上がる壁とを備えた建築物に適用した例を示す建築物としては、戸建て住宅、集合住宅、マンション、ビル、工場、病院、施設等が挙げられる。
図1は実施形態1に係る床防水構造10を示す。以下、床防水構造10の構成を、床防水構造10の施工方法とともに説明する。
床防水構造100が適用される建築物10は、床12と、床12の縁から垂直に立ち上がる壁14を有する。実施形態では、床12はコンクリートで造られており、壁14は煉瓦で造られている。
床12を構成する材料、特に床の表面16を構成している材料は、コンクリートに限らず、その他の材料(例えば、木製板、モルタル、又は軽量気泡コンクリート建材)であってもよい。壁14を構成する材料、特に壁の表面18を構成している材料は、煉瓦に限らず、その他の材料(例えば、木製板、モルタル、軽量気泡コンクリート、又はコンクリートブロック)であってもよい。
防水構造100は、床12の表面16に載置されたシート状防水部材20を有する。実施形態において、シート状防水部材20はブチルゴムシート又はEPDMシートである。シート状防水部材20の厚さは0.5〜10mmが好ましい。
図2、3に示すように、シート状防水部材20は、床12と壁14の施工が完了後、床12の上に載置される。床12の表面16がコンクリートの場合、コンクリートの表面は十分に硬化していることが好ましいが、完全に硬化している必要はない。また、コンクリートの表面は、多少の埃があっても構わないし、レイタンスが殆ど残っている状態又は一部が残っている状態でも構わない。さらに、コンクリートの表面は、多少の凹凸があっても構わない。
シート状防水部材20は、床面積よりも大きな一枚のシートであってもよい。この場合、シート状防水部材20の縁を床12と壁14の境界に合わせて切断する。
シート状防水部材20は、所定の幅(例えば、30〜200cm)を有する長尺帯状のシートであってもよい。この場合、シート状防水部材20を平行に並べて配置するのが好ましい。隣接するシート状防水部材20は、図7に示すように、それぞれの長手方向縁を突き合わせ、その突き合わせ部22を接着部材24で覆うことによって、隣接するシート状防水部材20を互いに固定し、突き合わせ部22からの漏水を防止することが好ましい。シート状防水部材20の厚さが小さい場合、隣接するシート状防水部材20の長手方向縁部を重ね合わせ、両者の重ね合わせ部分を、防水性を有する粘着テープ、接着テープ、粘着剤、接着剤、防水性塗料で接着するか、上層シート状防水部材の縁を下層シート部材に接着剤で接着することによって、そこからの漏水を防止することが好ましい。
複数のシート状防水部材20を重ねてもよい。例えば、長尺帯状のシート状防水部材を使用する場合、第1層(下層)のシート状防水部材を床12の幅に合わせて縦あるいは横方向に配置し、第2層(上層)のシート状防水部材を第1層(下層)のシート状防水部材に直交するように横あるいは縦方向に配置してもよい。
図4に示すように、床12に載置したシート状防水部材20の縁部(床と壁の境界に隣接した部分)は、接着部材26で壁14に対して固定される。このとき、接着部材26は、これを途中(この場合、床と壁の境界)でL字状に折り曲げ、一方をシート状防水部材20の表面に接着し、他方を床12の縁から上方に立ち上がる壁14の表面18に接着する。これにより、接着部材26の粘着剤層がシート状防水部材20の表面と壁14の表面18に密着して、シート防水部材20と壁14との間を密閉する。
実施形態において、シート状防水部材20を互いに接続する接着部材24とシート状防水部材20を壁14に固定する接着部材26の両方又は一方は、図9に示すように、基材41と該基材41の少なくとも一方の面(図の下面)に防水性を有する粘着剤層42とを備えた粘着テープが好ましい。この実施形態では、基材41には起毛不織布が用いられ、この起毛不織布が表面に起毛層を構成する。とりわけ、フリースを構成する繊維を熱圧着やエアースルーにより部分的に熱融着させて繊維同士を結合したスパンボンド不織布あるいはこの表面を更に起毛処理した不織布を用いることが好ましい。粘着テープの粘着剤にはブチルゴム系粘着剤が用いられる。この粘着テープによれば、図4に示す状態で、表面に起毛不織布が露出している。したがって、後に説明するように、壁14の表面18にモルタルを塗布した場合、また、シート状防水部材20の表面にモルタルを塗布した場合、塗布したモルタルが不織布の繊維間の空隙に浸透するとともに、表面の起毛繊維に絡み付き、モルタルの密着性が向上する。また、ブチルゴム系粘着剤層は、壁14の表面18及びシート状防水部材20の表面と良好に密着する。
図10に示すように、接着部材24,26の基材51を起毛不織布以外の材料で形成し、基材51の一方の面(図の下面)に防水性の粘着剤層52を設ける一方、基材51の他方の面(図の上面)に起毛不織布からなる起毛層53を設けてもよい。この実施形態において、起毛不織布以外の材料には、起毛状を呈さない不織布、織物布、編物布、可撓性樹脂フィルム又は紙が用いられる。
図9と図10に示すいずれの形態にあっても、基材と不織布は単一の層で形成する必要はなく、複数の層を重ねて形成してもよい。
別の実施形態において、図11に示すように、接着部材24、26の基材63を布生地、可撓性樹脂フィルム、叉は紙のいずれかの材料で形成し、基材63の一方の面(図の下面)に防水性の粘着剤層62を設ける一方、基材63の他方の面(図の上面)に無機粒子あるいは有機粒子65が分散された接着剤64のコーティング層66を設けてもよい。
シート状防水部材20を壁14に固定した後、図5に示すように、壁14の表面18に接着された接着部材26を覆うように、壁14の表面18には壁用仕上げ材であるモルタル28が塗布される。モルタル28の厚さは3〜10mmが好ましい。モルタル28が最終仕上がり面であることもあれば、モルタル28の上に更に化粧用タイル又は化粧用シートを貼り付けることもある。
図6に示すように、シート状防水部材20の表面には床用仕上げ材であるモルタル30が塗布される。モルタル30の厚さは、床面に要求される強度やモルタル30の上に配置する材料に応じて適宜決定される。
上述のように、壁面のモルタル28を塗布した後に床面のモルタル30を塗布してもよいし、逆に、床面のモルタル30を塗布した後に壁面のモルタル28を塗布してもよい。また、壁面のモルタル28と床面のモルタル30の配合、例えば水セメント比や細骨材の配合比は同じでも違ってもよい。
図7に示すように、床面のモルタル30の上には床材32が載置される。床材32は、例えば、木製床材(フローリング)、タイル(磁器タイル、ビニルタイル、コルクタイル)、又はカーペットである。
このように、上述した防水構造及び防水工法によれば、防水構造の最下層にシート防水部材が配置され、このシート防水部材によって防水機能が発揮される。また、シート防水部材は、通常は、その下の床面に接着しないが、一部を接着しても良い。シート防水部材をその下の床面に接着しない場合、床表面の状態、例えば上述の実施形態のようにコンクリートが完全に硬化していない状態、コンクリート表面のレイタンスが完全に又は一部が除去されていない状態、コンクリート表面に埃が存在する状態、またコンクリート表面に多少の凹凸が存在する状態であっても、シート防水部材を床面に載置できる。そのため、コンクリートに所望の強度が発現するのを待たずに、防水工事を始めることができる。また、シート防水部材をその下の床面に一部接着した場合、シート防水部材を仮固定することができ、その後の作業が進めやすくなる。
上述の実施形態は種々改変可能である。例えば、上述の実施形態ではシート状防水部材20の縁を床12と壁14の境界に一致させたが、図8に示すように、シート状防水部材20の端部を壁14に沿って所定長さに立ち上げてもよい。この場合、図示するように、シート状防水部材20の端部は接着部材26を略平面状に貼り付けることにより壁14の表面18に固定される。
上述の実施形態によれば、防水処理のための前処理(レイタンス除去)を無くし、また熟練を要することなく、簡単且つ確実に防水処理を施すことができる防水工法及び防水構造を提供することができ、床と壁を有するあらゆる構造物の防水に適用可能である。
100:防水構造
10:建築物
12:床
14:壁
16:床の表面
18:壁の表面
20:シート状防水部材
22:突き合わせ部(継目)
24:接着部材
26:接着部材
28:モルタル(壁)
30:モルタル(床)
32:床材
10:建築物
12:床
14:壁
16:床の表面
18:壁の表面
20:シート状防水部材
22:突き合わせ部(継目)
24:接着部材
26:接着部材
28:モルタル(壁)
30:モルタル(床)
32:床材
Claims (10)
- 床(12)と前記床(12)の縁から上方に立ち上がる壁(14)とを有する建築物(10)の防水工法であって、
前記床(12)の表面(16)にシート状防水部材(20)を載置する工程と、
前記シート状防水部材(20)の表面と前記壁(14)の表面(18)の両面に跨るように接着部材(26)を貼合する工程と、
前記壁(14)の表面(18)と前記シート状防水部材(20)の表面にそれぞれ、前記接着部材(26)を覆うように、仕上げ部材(28,30)を塗布する工程とを備えており、
前記接着部材(26)は、
第1主面と第2主面を有するシート状接着材料からなり、
前記第1主面は粘着剤層(42)で構成され、
前記第2主面は起毛層(41)又は無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層(66)で構成され、
前記第1主面の前記粘着剤層(42)を介して前記シート状防水部材(20)と前記壁(14)に固定され、
前記第2主面の起毛層(41)又は無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層(66)に前記仕上げ部材(28,30)が塗布される、ことを特徴とする防水工法。 - 前記接着部材(26)の前記起毛層は、織物、編物、又は起毛不織布で形成されている、ことを特徴とする請求項1の防水工法。
- 前記接着部材(26)は基材(41)を有し、
前記基材(41)は不織布で構成されており、
前記不織布が起毛不織布で形成されており、
前記起毛不織布が前記起毛層を構成している、ことを特徴とする請求項1に記載の防水工法。 - 前記接着部材(26)は、基材(51)と、前記基材(51)の上に配置された不織布(53)とを備えており、
前記不織布(53)は起毛不織布で形成されており、
前記起毛不織布(53)が前記起毛層を構成している、ことを特徴とする請求項1に記載の防水工法。 - 前記起毛不織布は、全体がエンボス加工により圧縮されていない不織布である、ことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の防水工法。
- 床(12)と前記床(12)の縁から上方に立ち上がる壁(14)とを有する建築物(10)の防水構造であって、
前記床(12)の表面(16)に載置されたシート状防水部材(20)と、
前記シート状防水部材(20)の表面と前記壁(14)の表面(18)の両面に跨るように貼合されて前記シート状防水部材(20)を固定する接着部材(26)と、
前記壁(14)の表面と前記シート状防水部材(20)の表面にそれぞれ、前記接着部材(26)を覆うように塗布された仕上げ部材(28,30)とを備えており、
前記接着部材(26)は、
第1主面と第2主面を有するシート状接着材料からなり、
前記第1主面は粘着剤層(42)で構成され、
前記第2主面は起毛層(41)又は無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層(66)で構成され、
前記第1主面の前記粘着剤層(42)を介して前記シート状防水部材(20)と前記壁(14)に固定され、
前記第2主面の前記起毛層(41)又は無機粒子あるいは有機粒子が分散された接着剤コーティング層(66)に前記仕上げ部材(28,30)が塗布された、ことを特徴とする防水構造。 - 前記接着部材(26)の前記起毛層は、織物、編物、又は起毛不織布で形成されている、ことを特徴とする請求項6の防水構造。
- 前記接着部材(26)は基材(41)を有し、
前記基材(41)は不織布で構成されており、
前記不織布が起毛不織布で形成されており、
前記起毛不織布が前記起毛層を構成している、ことを特徴とする請求項6に記載の防水構造。 - 前記接着部材(26)は、基材(51)と、前記基材(51)の上に配置された不織布(53)とを備えており、
前記不織布(53)は起毛不織布で形成されており、
前記起毛不織布が前記起毛層を構成している、ことを特徴とする請求項6に記載の防水構造。 - 前記起毛不織布は、全体がエンボス加工により圧縮されていない不織布である、ことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の防水構造。
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