JP2008120781A - 羅漢果配糖体を含有する皮膚外用剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 皮膚を保護する新規で安全な皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】 羅漢果配糖体を含有することにより、表皮細胞賦活効果、線維芽細胞賦活効果、コラーゲン合成促進効果、過酸化脂質の細胞毒性抑制効果、および紫外線に対する皮膚保護効果を著しく増強することが可能となった。
【選択図】なし
【解決手段】 羅漢果配糖体を含有することにより、表皮細胞賦活効果、線維芽細胞賦活効果、コラーゲン合成促進効果、過酸化脂質の細胞毒性抑制効果、および紫外線に対する皮膚保護効果を著しく増強することが可能となった。
【選択図】なし
Description
本発明は、羅漢果配糖体を含有する新規で安全な皮膚外用剤を提供するものであって、表皮細胞賦活効果、線維芽細胞賦活効果、コラーゲン合成促進効果、過酸化脂質の細胞毒性抑制効果、紫外線に対する皮膚保護効果を有するものである。
洗剤中の界面活性剤や紫外線等の外来ストレスまたは加齢によって表皮ターンオーバーの異常や真皮の線維芽細胞の機能低下やマトリックス線維の減少または変性を生じ、シワの発生および皮膚弾性の低下などの皮膚老化現象をもたらす(非特許文献1、非特許文献2参照)。従って、皮膚の老化防止、改善作用を有する皮膚外用剤には、表皮細胞や線維芽細胞の賦活作用あるいはマトリックス線維であるコラーゲンの合成促進作用を有する肌荒れ改善成分や、紫外線障害から皮膚を保護する成分が配合されていることが有用とされている(非特許文献3参照)。
例えば、細胞賦活化剤として、アブラナ科ブラシカ属の抽出物(特許文献1参照)、ショウガ科ウコン属植物の抽出物(特許文献2参照);コラーゲン合成促進剤として、L−アスコルビン酸およびその誘導体(特許文献3参照)、グリコサミンおよびその誘導体(特許文献4参照);過酸化脂質や紫外線に対する細胞毒性抑制剤として、セイヨウスノキ抽出物(特許文献5参照)、ダイオウ抽出物(特許文献6参照)、グラブリジン(特許文献7参照)、セリシン(特許文献8参照)などが開示されている。また、紫外線の影響を抑制するために、酸化チタンや酸化亜鉛などの紫外線遮蔽剤や有機紫外線吸収剤を含んだサンスクリーン剤などが用いられてきた(非特許文献4、非特許文献5参照)。
しかしながら,上記開示されている成分の中には、作用が弱く、または、有効な効果を得るためにかなりの量を含有させなければならなかったり、中には、安定性が悪いものも存在するなどの問題点が多い。さらに、酸化チタンや酸化亜鉛などの紫外線遮蔽剤や有機紫外線吸収剤を含むサンスクリーン剤は、紫外線により二次的に活性酸素を発生させたり、紫外線吸収剤自体に皮膚刺激性があるなどの問題があることから、安全で、効果の高い皮膚外用剤の開発が望まれている。
一方、羅漢果抽出物については、皮膚外用剤への配合例として、皮脂の酸化を防ぎ、皮膚炎等の皮膚疾患を防ぐ化粧料があるが(特許文献9参照)、皮脂の抗酸化により皮膚を守る効果が実証されていない。また、羅漢果抽出物を含有するストレスによる肌荒れ予防改善も提案されているが(特許文献10参照)、効果が低い。このように、前記記載の先行技術にある羅漢果抽出物は、天然由来の多成分であるため、紫外線保護効果や肌荒れ改善効果の有する活性成分も含まれるものの、含量が低いか、阻害成分があるかのために、その効果は低い。
本発明者らは、羅漢果から濃縮精製した羅漢果配糖体の薬理作用を調べたところ、驚くべきことに細胞賦活作用、コラーゲン合成促進作用、過酸化脂質および紫外線保護作用を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、羅漢果配糖体を含有し、表皮細胞賦活作用、線維芽細胞賦活作用、コラーゲン合成促進作用、過酸化脂質の細胞毒性抑制作用、紫外線に対する皮膚保護作用を示す多機能性の皮膚外用剤に関するものである。
以上記載のごとく、本発明は、表皮細胞賦活作用、線維芽細胞賦活作用、コラーゲン合成作用、過酸化脂質の細胞毒性抑制作用、UVBの細胞毒性抑制作用を著しく有する多機能性の皮膚外用剤を提供できる。
羅漢果は、中国広西省の桂林周辺で育つ、ウリ科、ツルレイシ属の植物の果実である。植物の学名はSiraitia grosvenori Swingleという。古代より中国の民間薬として広く利用されており、のどの荒れおよび痛みの緩和、咳き止め、去痰、気管支炎の緩和、扁桃腺炎の緩和、解熱、胃腸の機能促進、ストレス解消、利尿、便秘解消など多数にのぼり、そのほかに高血圧症、糖尿病などを防止する作用、老化防止作用などの効果も有することが知られている。近年ではさらに、羅漢果には、フリーラジカル消去作用および抗過酸化効果を有する成分が含まれていることが明らかになっている(非特許文献6参照)。
本発明において羅漢果配糖体とは、以下の一般式を有するものを指す。組成物:
ここで、R1およびR2は、独立して、直鎖状もしくは分枝状に連結された糖残基およびその修飾物、修飾物はシクロアルキル、ハロゲン化されていてもよいアルキル、ハロゲン化されていてもよいアルケニル、ハロゲン化されていてもよいアルキニル、ハロゲン化もしくはアルキル化されていてもよいアリールアルキル、ハロゲン化されていてもよいアリールアルケニル、ハロゲン化されていてもよいアリールアルキニル、ハロゲン、アミノ、ホルミル、およびHからなる群から選択される;ただし、R1およびR2のうちの少なくとも一方は糖残基またはその修飾物である;また、R3はヒドロキシ基またはケトン基から選択される。
また、羅漢果配糖体がモグロサイドIV、モグロサイドV、シアメノサイドI、および11−オキソーモグロサイドVなどの配糖体の1種あるいは2種以上の混合物を含み、さらにモグロサイドIV、モグロサイドV、シアメノサイドI、および11−オキソーモグロサイドVの合計含有量が33重量%以上、好ましくは35重量%以上とする羅漢果からの抽出物である。また、モグロサイドIV、モグロサイドV、シアメノサイドI、および11−オキソーモグロサイドVは下表に示す。組成物:
羅漢果配糖体は羅漢果抽出物より匂いが弱く、色も薄いため、化粧品や皮膚外用剤などに配合しやすい。
羅漢果配糖体の製造方法は、羅漢果のような天然の羅漢果配糖体含有植物から抽出および単離してもよいし、合成してもよい。具体的には、例えば、羅漢果の果実を洗浄し、粉砕した後、水で抽出して得られた抽出液についてろ過、カラム吸収、カラム分離、回収、濃縮、乾燥などの工程を行なうことにより製造される(特許文献9)。
正木 仁、フレグランスジャーナル、26(4)、18−26(1998)
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特開2004−75632
特開2000−159656
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特開2002−68953
特開2000−281528
特開2004−250368
特開2003−252744
特開平11−46701
特開平2001−322939
本発明は羅漢果配糖体を含む水溶液の他に、必要に応じて保湿剤、防腐剤、界面活性剤、増粘剤、油剤、溶剤、香料、pH調整剤等を本発明の目的を達成する範囲内で適宜配合することができ、本発明の剤型は例えば、化粧水、ローション類、乳液類、クリーム類、パック類、ゲル等があり、皮膚外用剤として使用することができる。
羅漢果配糖体の配合量としては化粧品や皮膚外用剤の全成分組成物中、0.00001〜10重量%であり、より好ましくは、0.01〜1重量%である。この範囲であれば、羅漢果配糖体の表皮細胞賦活効果、線維芽細胞賦活効果、コラーゲン合成促進効果、過酸化脂質の細胞毒性抑制効果、紫外線に対する皮膚保護効果を著しく高めることができ、安全な皮膚外用剤として利用できる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳説する。また、用いた試験方法については以下に示す。
<表皮細胞賦活試験>正常ヒト表皮細胞を96ウエルプレートに2.5×104cells/wellの濃度で播種し、Humedia−KG2培地(クラボウ)で72hr培養した。組成物1〜4を含む培地に交換し、48hr後、0.5mg/mLMTT[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)2,5−ジフェニルテトラゾリンブロマイド](SIGMA)入り培地に交換した。3hr処理し、イソプロパノール(WAKO)でホルマザンを抽出し570nmの吸光度を測定した。細胞賦活率は式1で求めた。
試験物質無添加(0μg/mL)と比較すると、羅漢果配糖体の添加によって正常ヒト表皮細胞において著しい細胞賦活作用が認められ、その効果は化粧品によく用いられている植物抽出物であるアロエ抽出物よりも高かった(図1)。
<線維芽細胞賦活試験>正常ヒト線維芽細胞を96ウエルプレートに2×104cells/wellの濃度で播種し、5%FBS(大日本製薬)入りのDMEM(日水製薬)で24hr培養した。組成物1〜4を100倍希釈となるように添加した1%FBS入り培地に交換し、48hr後、1mg/mLMTT入り培地に交換した。3hr処理し、イソプロパノールで色素であるホルマザンを抽出し570nmの吸光度を測定した。細胞賦活率は式1で求めた。
試験物質無添加(0μg/mL)と比較すると、アロエ抽出物は殆ど細胞賦活効果が認められなかったのに対し、羅漢果配糖体の添加によって正常ヒト線維芽細胞において有意に細胞賦活作用が認められた(図2)。これらのことから、羅漢果配糖体は優れた皮膚細胞賦活効果を有することがわかった。
<コラーゲン合成促進試験>正常ヒト繊維芽細胞を2×104cells/wellの濃度で35mmディッシュに播種し、10%FBS入りのDMEM培地で24hr培養する。組成物1〜4を100倍希釈となるように添加した5%FBS入りのDMEM培地に交換後、6日間培養する。培養上清を取り、PIP EIA Kit(TaKaRa)を用いてコラーゲン量を測定し、式2でコラーゲン合成促進率を算出した。
試験物質無添加(0μg/mL)と比較すると、羅漢果配糖体の添加によって濃度依存的にコラーゲン合成促進作用が認められ、その効果は羅漢果抽出物(羅漢果を水、アルコールなどで抽出後、濃縮したもの)よりもきわめて高かく、低濃度で高い効果を示した(図3)。さらに、コラーゲン合成促進効果を有するアスコルビン酸よりも高かった。従って羅漢果配糖体にはしわやたるみ予防などの抗老化作用を期待されることが示唆された。
<過酸化脂質の細胞毒性抑制試験>ヒト線維芽細胞を96ウエルプレートに2×104cells/wellの密度で播種し、10%FBS入りのDMEMで培養した。24hr後に、過酸化脂質のモデル物質であるt−BuOOH(関東化学)および試験物質を含む1%FBS入りのDMEMに培地を交換した。さらに48hr培養後に1mg/mLMTT入り培地に交換し3hr処理した。その後、イソプロパノールでホルマザンを抽出し570nmの吸光度を測定した。細胞残存率は式3で求めた。
試験物質無添加(0μg/mL)と比較すると、羅漢果配糖体の添加によって濃度依存的に細胞残存率が高くなり、過酸化脂質の細胞毒性が抑制されたことがわかった(図4)。また、羅漢果抽出物よりも効果が高く、さらに、0.5μg/mLにおいて過酸化脂質消去効果などの抗酸化作用を有するビタミンEよりも過酸化脂質の細胞毒性抑制効果が高かった。このことから、羅漢果配糖体にはより過酸化脂質の障害からヒト線維芽細胞を保護する効果を有することがわかった。
<UVBによる細胞毒性抑制試験>正常ヒト表皮細胞を96ウエルプレートに2.5×104cells/wellの密度で播種し、HuMedia−KG2培地で培養した。48hr後に、試験物質入りの培地に交換し、さらに24hr培養する。PBS(−)で洗浄を行い、約50μLのPBS(−)を各ウエルに添加後、UVBランプ(312nm、コスモバイオ)で照射を行った。照射量の測定は紫外線照度計(マザーツール)を用いて行った。照射後、試験物質を含む培地で24hr培養し、0.5mg/mLMTT入り培地に交換し3hr処理した。その後、イソプロパノールでホルマザンを抽出し570nmの吸光度を測定した。
試験物質無添加(0μg/mL)と比較すると、羅漢果配糖体の添加により濃度依存的にUVB照射による細胞毒性を抑制することがわかった(図5)。このことから、羅漢果配糖体はUVB照射に対する保護作用を有することが明らかとなった。
羅漢果配糖体を含む皮膚外用剤は以下のように調製した。
セタノール 2.0、プロピレングリコール 2.0、ミリスチン酸イソプロピル 3.0、モノステアリン酸ポリエチレングリコール 2.0、カルボキシビニルポリマー 0.2、羅漢果配糖体 0.1、pH調整剤 適量、防腐剤 適量、精製水 残量 上記の配合でローションを製造した。
流動パラフィン 3.0、グリセリ脂肪酸エステル 3.0、ポリアクリル酸ナトリウム 0.5、キサンタンガム 0.1、羅漢果配糖体 0.01、pH調整剤 適量、防腐剤 適量、精製水 残量 上記の配合で乳液を製造した。
上記のことから、羅漢果配糖体を含有する組成物は、表皮細胞賦活作用、線維芽細胞賦活作用、コラーゲン合成促進作用、過酸化脂質の細胞毒性抑制作用およびUVBの細胞毒性抑制作用を有しており、肌荒れ改善効果および紫外線保護効果を著しく発揮することが明らかとなり、化粧品原料や皮膚外用剤としての有用性が期待される。
Claims (5)
- 羅漢果配糖体を含有する皮膚外用剤。
- 表皮細胞賦活効果、線維芽細胞賦活効果、コラーゲン合成促進効果、過酸化脂質の細胞毒性抑制効果、紫外線に対する皮膚保護効果のうちひとつ以上を有することを特徴とする請求項1記載の皮膚外用剤。
- 前記の羅漢果配糖体は以下の一般式を有する。組成物:
- 羅漢果配糖体0.00001重量%〜10重量%含む、請求項1、2の皮膚外用剤。
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