JP2008119861A - 保持パッド用ポリウレタンシートの表面平坦化方法 - Google Patents

保持パッド用ポリウレタンシートの表面平坦化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】保持面の平坦性を向上させることができ、被研磨物を確実に保持することができる保持パッド用ポリウレタンシートの表面平坦化方法を提供する。
【解決手段】成膜工程では、湿式成膜法でポリウレタン樹脂をシート状に形成し、ポリウレタンシートを得る。密着工程では、保持面となるポリウレタンシートのスキン層の表面に平坦な表面を有しポリウレタンシートより硬いフィルム状基材を加圧して密着させ、密着体を形成する。巻取工程では、密着体を正のドラフトで巻き取って巻取体を形成する。加熱工程では、ポリウレタンシートがフィルム状基材を密着させローラに巻き取られた巻取体の状態で、30〜50℃の温度下で12〜48時間加熱される。加熱によりフィルム状基材の平坦な表面がポリウレタンシートの保持面に転写される。
【選択図】図2

Description

本発明は保持パッド用ポリウレタンシートの表面平坦化方法に係り、特に、被研磨物を保持するための保持面を有し保持面側に微多孔が形成された保持パッド用ポリウレタンシートの表面平坦化方法に関する。
従来、レンズ、平行平面板、反射ミラー等の光学材料、ハードディスク用基板、シリコンウエハ、液晶ディスプレイ用ガラス基板等の材料(被研磨物)では、高精度な平坦性が要求されるため、研磨布を使用した研磨加工が行われている。通常、研磨加工には、被研磨物の両面を同時に研磨する両面研磨機、片面ずつ研磨する片面研磨機等が使用されている。片面研磨機では、表面が平坦な保持定盤に被研磨物を一面側で保持させ、表面が平坦な研磨定盤に装着した研磨布で被研磨物の他面(加工表面)側が研磨加工される。
片面研磨機を使用した研磨加工では、被研磨物の一面側を金属製の保持定盤と直接接触させると、被研磨物にスクラッチ(キズ)等が生じる。これを回避するため、例えば、弾力性を有する保持パッドが保持定盤に装着される。保持パッドが被研磨物及び保持定盤間に介在することでスクラッチ等を防止することはできるが、保持パッドの被研磨物保持性が不十分な場合には、研磨加工中に被研磨物が移動してしまうため、加工表面の平坦性が損なわれる。被研磨物の移動を防止するために型枠(テンプレート)等を使用した研磨加工も行われているが、型枠を使用することなく被研磨物を確実に保持することができる保持パッドが求められている。
一般に、保持パッドは、被研磨物を保持するための保持面を有するポリウレタンシート等の軟質プラスチックシートを備えている。ポリウレタンシートは、ポリウレタンを水混和性の有機溶媒に溶解させた樹脂溶液をシート状の成膜用基材に塗布後、水系凝固液中で樹脂を凝固再生させる湿式成膜法で形成されている。このため、ポリウレタンシートでは、保持面側に、スキン層を構成する緻密な微多孔が厚さ数μm程度にわたり形成されている。緻密な微多孔が形成されたスキン層の表面が被研磨物との接触性に優れるため、被研磨物を保持することが可能となり、保持面となる。ところが、湿式成膜法では、樹脂溶液が粘性を有するため、成膜用基材への塗布時に厚さバラツキが生じ、凝固再生時の有機溶媒と水系凝固液との置換による厚さバラツキも生じやすい。このため、保持面の平坦性が損なわれ大きく波打った表面となる。厚さバラツキが生じたポリウレタンシートを使用した保持パッドで被研磨物を保持して研磨加工を行うと、保持パッドの厚さの大きな部分で被研磨物にかかる圧力が大きくなるため、当該部分の加工表面が大きく研磨され(保持パッドの厚さバラツキが被研磨物に転写され)て、被研磨物の平坦性を損なうこととなる。
ポリウレタンシートの保持面を平坦化するため、ポリウレタンシートの形成後に保持面側にバフ処理(表面サンディング)が施されている。また、保持パッドの保持面側に表面が鏡面の矯正板を当てて、加圧加熱する矯正作業を行うことで、厚さバラツキを矯正して保持パッドの保持面を平坦化する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−151666号公報
しかしながら、上述したスキン層の厚さがポリウレタンシートの厚さバラツキより小さいことから、厚さバラツキを解消する程バフ処理するとスキン層が消失してしまうため、被研磨物保持性が低下する。また、スキン層を残したままでは厚さバラツキが残るため、被研磨物の加工表面の平坦性を向上させることが難しくなる。一方、特許文献1の技術では、矯正作業が保持パッドの一枚一枚に対して行われるため、作業効率が悪い、という問題がある。
本発明は上記事案に鑑み、保持面の平坦性を向上させることができ、被研磨物を確実に保持することができる保持パッド用ポリウレタンシートの表面平坦化方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、被研磨物を保持するための保持面を有し前記保持面側に微多孔が形成された保持パッド用ポリウレタンシートの表面平坦化方法であって、湿式成膜法で形成されたポリウレタンシートの前記保持面に、平坦な表面を有し前記ポリウレタンシートより硬いフィルム状基材を加圧して密着させ、密着体を形成する密着体形成ステップと、前記密着体形成ステップで形成された密着体を正のドラフトで巻き取って巻取体を形成する巻取体形成ステップと、前記巻取体形成ステップで形成された巻取体を所定時間加熱する加熱ステップと、を含む。
本発明では、湿式成膜法で形成されたポリウレタンシートの保持面に密着体形成ステップで平坦な表面を有しポリウレタンシートより硬いフィルム状基材を加圧して密着させ、密着体を形成し、巻取体形成ステップで正のドラフトで巻き取って形成された巻取体を加熱ステップで所定時間加熱する。この加熱ステップでの加熱により、ポリウレタンシートに形成された微多孔を残しつつ基材の平坦な表面が保持面に転写される。このため、保持面の平坦性を向上させることができ、平坦化された保持面で被研磨物を確実に保持することができる。
この場合において、密着体形成ステップと巻取体形成ステップとを連続して行うようにすれば、生産性を向上させることができる。密着体形成ステップで、保持面に基材を0.1〜1.0MPaで加圧して密着することが好ましい。また、巻取体形成ステップで、ドラフトを1.01〜1.10として巻き取るようにすれば、密着体に張力をかけながら巻取体を容易に形成することができる。また、基材の表面粗さRaを0.1〜0.5μmの範囲としてもよい。また、加熱ステップでの加熱温度および所定時間を30〜50℃で12〜48時間とすることが好ましい。巻取体形成ステップ後または加熱ステップ後に、ポリウレタンシートの保持面の背面側をポリウレタンシートの厚さが一様となるようにバフ処理するバフ処理ステップを更に含むようにしてもよい。フィルム状基材のショアA硬度を40〜95°としてもよい。また、基材をポリエチレンテレフタレートとすることができる。
本発明によれば、湿式成膜法で形成されたポリウレタンシートの保持面に密着体形成ステップで平坦な表面を有しポリウレタンシートより硬いフィルム状基材を加圧して密着させ、密着体を形成し、巻取体形成ステップで正のドラフトで巻き取って形成された巻取体を加熱ステップで所定時間加熱することにより、ポリウレタンシートに形成された微多孔を残しつつフィルム状基材の平坦な表面が保持面に転写されるので、保持面の平坦性を向上させることができ、平坦化された保持面で被研磨物を確実に保持することができる、という効果を得ることができる。
以下、図面を参照して、本発明を適用し製造した被研磨物保持用の保持パッドの実施の形態について説明する。
(構成)
図1に示すように、保持パッド1は、100%モジュラス(2倍長に引っ張る時の張力)が20MPa以下のポリウレタン樹脂で形成されたポリウレタンシート2を有している。ポリウレタンシート2は被研磨物を保持するための保持面Pを有しており、保持面Pは、平坦な表面を有しポリウレタンシート2より硬いフィルム状基材を加圧して密着させた密着体を熱処理することにより平坦化されている。保持面Pの背面側はポリウレタンシート2の厚さ(図1の縦方向の長さ)がほぼ一様となるようにバフ処理されている。
ポリウレタンシート2には、保持面P側に、図示しない緻密な微多孔が形成されたスキン層4を有している。スキン層4より内側には、ポリウレタンシート2の厚さ方向に沿って丸みを帯びた断面略三角状の発泡3が形成されている。発泡3の空間体積は、保持面P側の大きさが、保持面Pの背面側より小さく形成されている。発泡3同士の間のポリウレタン樹脂中には、スキン層4に形成された微多孔より大きく発泡3より小さな空間体積を有する図示を省略した発泡が形成されている。発泡3及び図示を省略した発泡は、スキン層4に形成された微多孔の空間体積の直径より大きい不図示の連通孔で立体網目状につながっている。保持面Pの背面側がバフ処理されているため、発泡3及び図示を省略した発泡の一部がバフ処理された面で開口している。
また、保持パッド1は、保持面Pの背面側(バフ処理された面側)に、基材の両面に粘着剤が塗着され研磨機に保持パッド1を装着するための両面テープ7の一面側が貼り合わされており、両面テープ7の他面側は剥離紙8で覆われている。
(製造)
保持パッド1は、図2に示す各工程を経て製造される。まず、準備工程では、ポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂を溶解可能な水混和性の有機溶媒のN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する。)及び添加剤を混合してポリウレタン樹脂を溶解させる。ポリウレタン樹脂には、100%モジュラスが20MPa以下のポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系等の樹脂から選択して用い、例えば、ポリウレタン樹脂濃度が30重量%となるようにDMFに溶解させる。添加剤としては、発泡3の大きさや量(個数)を制御するため、カーボンブラック等の顔料、発泡を促進させる親水性活性剤及びポリウレタン樹脂の凝固再生を安定化させる疎水性活性剤等を用いることができる。得られた溶液を濾過することで凝集塊等を除去した後、真空下で脱泡してポリウレタン樹脂溶液を得る。
成膜工程では、湿式法によりポリウレタン樹脂をシート状に形成する。すなわち、準備工程で得られたポリウレタン樹脂溶液を成膜用基材に連続的に塗布し、水系凝固液に浸漬することでポリウレタン樹脂をシート状に凝固再生させ、洗浄後乾燥させてポリウレタンシートを得る。成膜工程における塗布、凝固再生及び洗浄・乾燥の各処理は、図3に示す成膜装置で連続して実行される。
図3に示すように、成膜装置60は、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)製フィルムを使用した成膜用の基材43を供給する基材供給ローラ41、ポリウレタン樹脂を凝固再生させるための、ポリウレタン樹脂に対して貧溶媒である水を主成分とする凝固液25が満たされた凝固槽20、凝固再生後のポリウレタン樹脂を洗浄する水等の洗浄液35が満たされた洗浄槽30及びポリウレタン樹脂を乾燥させるためのシリンダ乾燥機50を連続して備えている。
基材供給ローラ41の下流側にはガイドローラ42が配置されており、ガイドローラ42の下流側には基材43にポリウレタン樹脂溶液45を略均一に塗布するためのナイフコータ46が配置されている。ナイフコータ46の下流側で凝固槽20の上方にはガイドローラ21が配置されている。
凝固槽20には、洗浄槽30側の内側下部にガイドローラ23が配置されている。凝固槽20の上方で洗浄槽30側には凝固再生後のポリウレタン樹脂を脱水処理するためのマングルローラ28が配置されている。マングルローラ28の下流側で洗浄槽30の上方にはガイドローラ31が配置されている。洗浄槽30には、基材43の搬送方向と同じ長手方向で上部に4本、下部に5本のガイドローラ33が上下交互となるように配設されている。洗浄槽30の上方でシリンダ乾燥機50側には、洗浄後のポリウレタン樹脂を脱水処理するためのマングルローラ38が配置されている。シリンダ乾燥機50には、内部に熱源を有する4本のシリンダが上下4段に配設されている。シリンダ乾燥機50の下流側には、乾燥後のポリウレタン樹脂を(基材43と共に)巻き取るためのローラ48が配置されている。なお、マングルローラ28、38、シリンダ乾燥機50及びローラ48は、図示を省略した回転駆動モータに接続されており、これらの回転駆動力により基材43が基材供給ローラ41からローラ48まで搬送される。基材43の搬送速度は、本例では2.5m/minに設定されており、1.0〜5.0m/minの範囲で設定されることが好ましい。
成膜工程の塗布処理では、準備工程で調製したポリウレタン樹脂溶液45が常温下でナイフコータ46により基材43に略均一に塗布される。このとき、ナイフコータ46と基材43の上面との間隙(クリアランス)を調整することで、ポリウレタン樹脂溶液45の塗布厚さ(塗布量)を調整する。
凝固再生処理では、ナイフコータ46でポリウレタン樹脂溶液45が塗布された基材43が、ガイドローラ21からガイドローラ23へ向けて凝固液25中に導入される。凝固液25中では、まず、塗布されたポリウレタン樹脂溶液45の表面側に微多孔が形成され厚さ数μm程度のスキン層4が形成される。その後、ポリウレタン樹脂溶液45中のDMFと凝固液25との置換の進行によりポリウレタン樹脂が基材43の片面にシート状に凝固再生する。このポリウレタン樹脂の凝固再生は、ポリウレタン樹脂溶液45が塗布された基材43が凝固液25中に進入してからガイドローラ23に到る間に完了する。DMFがポリウレタン樹脂溶液45から脱溶媒するときに、ポリウレタン樹脂中に発泡3が形成される。このとき、PET製フィルムの基材43が水を浸透させないため、ポリウレタン樹脂溶液45の表面側で脱溶媒が生じて基材43側が表面側より大きな発泡3が形成される。凝固再生したポリウレタンシートは、凝固液25から引き上げられ、マングルローラ28で余分な凝固液25が絞り落とされた後、ガイドローラ31を介して洗浄槽30に搬送され洗浄液35中に導入される。
洗浄・乾燥処理では、洗浄液35中に導入されたポリウレタンシートがガイドローラ33を上下交互に通過することにより洗浄される。洗浄後、ポリウレタンシートは洗浄液35から引き上げられ、マングルローラ38で余分な洗浄液35が絞り落とされる。その後、ポリウレタンシートがシリンダ乾燥機50の4本のシリンダ間を交互(図3の矢印方向)に、シリンダの周面に沿って通過することで乾燥する。乾燥後のポリウレタンシートは、基材43と共に巻取側のローラ48に巻き取られる。
(表面平坦化)
図2に示すように、密着工程、巻取工程および加熱工程は、保持パッド1に用いられるポリウレタンシート2の研磨面Pを平坦化する表面平坦化工程を構成する。密着工程および巻取工程では、基材43から乾燥後のポリウレタンシートを剥離し、スキン層4の表面(保持面P)にフィルム状基材を加圧しながら連続的に密着させる。フィルム状基材には、表面粗さRa(粗さ曲線を測定し粗さ曲線の平均線を求め、平均線から粗さ曲線までの偏差の絶対値の平均値)が0.1〜0.5μmのフィルムを用いることが好ましい。表面粗さRaが小さいほどポリウレタンシートの平坦化には効果があるものの、表面粗さRaを0.1μmより小さくしても平坦化効果がそれほど良化せず、かえってフィルム状基材の入手が難しくなり、反対に、表面粗さRaが0.5μmを超えるとポリウレタンシートの平坦化が難しくなる。また、ポリウレタンシートとフィルム状基材とを密着させた密着体を巻き取り、かつポリウレタンシートの表面にフィルム状基材の平坦面を転写するためには、フィルム状基材のショアA硬度(日本工業規格JIS K 6253−1997、加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法による硬度)を40〜95°(度)の範囲とし、圧縮率(日本工業規格JIS L 1021−1974、圧縮率及び圧縮弾性率、A法による圧縮率)を3〜10%の範囲とすることが好ましい。また、フィルム状基材の厚みは、ハンドリングのし易さから、0.1〜0.5mmの範囲とすることが好ましい。本例では、フィルム状基材としてPETフィルムが用いられる。密着工程における剥離処理、加圧・密着処理および巻取工程における巻き取り処理は、図4に示す密着処理機で連続して実行される。
図4に示すように、密着処理機70は、フィルム状基材63を供給するための基材供給ローラ64と、ポリウレタンシートの保持面Pにフィルム状基材63を加圧して密着するための1対の加圧ローラ66とを備えている。基材供給ローラ64は、加圧ローラ66の上方に配置されている。加圧ローラ66の上流側には、供給側として、成膜工程でポリウレタンシートが基材43と共に巻き取られたローラ48が配置されている。ローラ48の下流側で加圧ローラ66の上流側には、水平搬送ローラ61と、ローラ48からポリウレタンシートと共に引き出された基材43をポリウレタンシートから剥離するためのガイドローラ62とが配置されている。一方、加圧ローラ66の下流側には、搬送ローラ67と、フィルム状基材63が密着したポリウレタンシートを巻き取るためのローラ68とが配置されている。加圧ローラ66およびローラ68は、図示を省略した回転駆動モータに接続されており、これらの回転駆動力によりポリウレタンシートが供給側のローラ48から巻取側のローラ68まで搬送される。また、加圧ローラ66およびローラ68の表面速度は個別に設定可能であり、加圧ローラ66およびローラ68の間の巻取ドラフト(加圧ローラ66の表面速度に対するローラ68の表面速度の比)を調整することができる。ローラ68の表面速度が加圧ローラ66の表面速度より速い場合、巻取ドラフトは、正のドラフトとなる。
密着処理機70では、供給側のローラ48から引き出されたポリウレタンシートが基材43と共に水平搬送ローラ61を介して搬送される。ガイドローラ62でポリウレタンシートから基材43が剥離され、剥離された基材43がロール状に巻き取られる。基材43が剥離されたポリウレタンシートは、加圧ローラ66側に搬送され、基材供給ローラ64から保持面P側にフィルム状基材63が供給される。ポリウレタンシートおよびフィルム状基材63が加圧ローラ66間を通過することで加圧されて密着し、ポリウレタンシートとフィルム状基材63との密着体が形成される。このとき、加圧ローラ66間の加圧力を0.1〜1.0MPaに設定することが好ましい。加圧力が0.1MPaに満たない場合は、フィルム状基材63とポリウレタンシートとの密着度が弱くなるため好ましくない。一方、加圧力が1.0MPaを超えてもフィルム状基材63によるポリウレタンシートの平坦化効果がそれほど良化せず、かえって密着度が高くなりすぎるため、ポリウレタンシートからフィルム状基材63を剥離することが難しくなり、ポリウレタンシートの表面を傷つけてしまうおそれがある。フィルム状基材63が密着したポリウレタンシートは、搬送ローラ67を介してローラ68側に搬送される。
巻取工程では、密着処理機70の加圧ローラ66とローラ68とで、巻取ドラフトを正のドラフトに設定し、密着体に張力をかけながらローラ68に巻き取り、巻取体を形成する。このとき、巻取ドラフトを1.01〜1.10の範囲とすることが好ましい。巻取ドラフトが1.01に満たない場合は、ポリウレタンシートとフィルム状基材63との加圧状態を保持することが難しくなり好ましくない。反対に、巻取ドラフトが1.10を超えてもフィルム状基材63によるポリウレタンシートの平坦化効果がそれほど良化せず、かえって密着度が高くなりすぎるため、ポリウレタンシートからフィルム状基材63を剥離することが難しくなり、ポリウレタンシートの表面を傷つけてしまうおそれがある。巻取ドラフトは、ローラ68の表面速度を変更することで調整することができる。なお、フィルム状基材63と共に巻き取られたポリウレタンシートが解けるのを防止するために、巻取体の巻き終わり端部を粘着テープ等でしっかり止めておく。
図2に示す加熱工程では、フィルム状基材63と共に巻き取られたポリウレタンシートを加熱する。加熱は、ローラ68に巻き取られた巻取体の状態で、温度30〜50℃の温度下に12〜48時間保つことで行われる。加熱温度が30℃に満たないと、ポリウレタンシートが平坦化した状態となるのに時間が掛かりすぎてしまう。反対に、加熱温度が50℃を超えても、フィルム状基材63によるポリウレタンシートの平坦化効果がそれほど良化せず頭打ち状態となってしまう。また、熱履歴によりポリウレタンシート2の特性が損なわれるおそれがあるため好ましくない。一方、加熱時間が12時間に満たないと平坦化した状態を維持することができなくなる。反対に、48時間を超えた場合は、ポリウレタンシートの平坦化効果が頭打ち状態となってしまうため、それ以上の長い加熱時間を設定しても製造効率を低下させることとなり好ましくない。巻取工程でポリウレタンシートとフィルム状基材63との密着体が張力をかけながら巻き取られて巻取体が形成されているため、ローラ68に巻き取られた巻取体ではポリウレタンシートの厚さ方向(ローラ68の直径方向)に圧力がかかっている。このため、ポリウレタンシートは、加圧下で加熱され、フィルム状基材63が密着した保持面Pが平坦化される。この結果、平坦化された保持面Pを有するポリウレタンシート2が形成される。
バフ処理工程では、フィルム状基材63を密着させ加熱したポリウレタンシートの保持面Pの背面側にバフ処理が施される。バフ処理は、図5に示すバフ処理機で連続して実行される。
図5に示すように、バフ処理機80は、ポリウレタンシートをバフ処理するためのバフローラ72を備えている。バフローラ72の表面は、細かな砥粒が固着されたサンドペーパー等で覆われている。バフローラ72と対向する位置には、ポリウレタンシートを支持するためのプラテンローラ74が配置されている。プラテンローラ74は、ゴム製で表面が平坦に形成されている。バフローラ72及びプラテンローラ74間には間隙tが形成されている。間隙tの大きさを調整することで、ポリウレタンシートが所望の厚さとなるようにバフ量が調整される。バフローラ72の上流側には、供給側として、巻取工程で巻き取られ加熱工程で加熱されたローラ68が配置されている。バフローラ72の下流側には、ガイドローラ76と、バフ処理されたポリウレタンシートを(フィルム状基材63と共に)巻き取るためのローラ78とが配置されている。なお、バフローラ72、ローラ78は、それぞれ図示を省略した回転駆動モータに接続されており、これらの回転駆動力によりポリウレタンシートが供給側のローラ68から巻取側のローラ78まで搬送されバフ処理が施される。
バフ処理機80では、供給側のローラ68から引き出されたポリウレタンシートがフィルム状基材63と共にプラテンローラ74の方向に搬送される。このとき、プラテンローラ74にフィルム状基材63が接触するように搬送される。このため、ポリウレタンシートがバフローラ72側に位置している。また、供給側のローラ68と、巻取側のローラ78との間では、ポリウレタンシートの長手方向に張力がかかるため、フィルム状基材63の表面にはプラテンローラ74が圧接することとなる。プラテンローラ74およびバフローラ72間を通過するときに、ポリウレタンシートにバフ処理が施される。バフ処理されたポリウレタンシートは、フィルム状基材63と共にガイドローラ76を介して巻取側のローラ78に巻き取られる。
ここで、成膜工程からバフ処理工程までのポリウレタンシートの状態について説明する。図6(A)に示すように、成膜工程でローラ48に巻き取られたポリウレタンシートは基材43のPET製フィルム上に形成されている。湿式成膜時にはポリウレタンシートに厚さバラツキが生じるため、保持面P(スキン層4の表面)には凹凸が形成されている。図6(B)に示すように、密着工程で、基材43を剥離した後、保持面Pにフィルム状基材63が密着したポリウレタンシートは、保持面Pが略平坦となり、保持面Pの背面側に凹凸が出現する。図6(C)に示すように、バフ処理工程で、フィルム状基材63の表面にプラテンローラ74の表面を圧接し、保持面Pの背面側をバフ処理することで凹凸が除去される。これにより、図6(D)に示すように、保持面Pの背面側がバフ処理されたポリウレタンシートは、厚さバラツキが解消される。
図2に示すラミネート加工工程では、平坦化されたポリウレタンシート2の保持面Pの背面側に両面テープ7の一面側を貼り合わせる。両面テープ7の他面側には剥離紙8が貼付されている。円形等の所望の形状、サイズに裁断した後、汚れや異物等の付着がないことを確認する等の検査を行い保持パッド1を完成させる。なお、保持パッド1では、フィルム状基材63が保持面Pに密着した状態のまま残されている。
被研磨物の研磨加工を行うときは、両面テープ7の他面側に貼付されている剥離紙8を剥離し、片面研磨機の保持定盤に保持パッド1を装着する。保持面Pに密着したまま残されているフィルム状基材63を剥離した後、保持パッド1の保持面Pで被研磨物を保持させる。
(作用等)
次に、本実施形態の保持パッド1の製造方法の作用等について、ポリウレタンシートの平坦化を中心に説明する。
本実施形態では、湿式成膜法で形成されたポリウレタンシートの保持面P(スキン層4の表面)に、密着工程でフィルム状基材63を加圧して密着させ、密着体が形成される。巻取工程で密着体が正のドラフトで巻き取られ巻取体が形成され、熱処理工程で巻取体が所定温度下で所定時間加熱される。この加熱により、ポリウレタンシート2の保持面P側が変形することから、フィルム状基材63の平坦な表面が保持面Pに転写される。このため、成膜工程で生じたポリウレタンシート2の厚さバラツキが矯正されるので、保持面Pの平坦性を向上させることができる。また、本実施形態では、密着工程でフィルム状基材63を密着するときの加圧力が0.1〜1.0MPaに設定される。この加圧力は、通常の研磨加工時に被研磨物にかけられる研磨圧と同等のため、得られたポリウレタンシート2では、研磨加工時に研磨圧をかけても更に変形することが抑制される。これにより、平坦化された保持面Pで被研磨物を確実に保持することができる。
また、本実施形態では、加熱工程で、フィルム状基材63が密着したポリウレタンシート2が温度30〜50°Cの温度下で12〜48時間加熱される。このため、フィルム状基材63が密着した状態(加圧下)で加熱されることから、保持面Pが平坦化した状態で熱固定(ヒートセット)される。これにより、ポリウレタンシート2が弾力性の作用で平坦化した状態から凹凸を有する状態に戻ることを抑制することができる。また、本実施形態では、密着工程でポリウレタンシートとフィルム状基材63とを密着させた密着体が巻取工程で巻き取られて巻取体が形成され、巻き取られた状態のポリウレタンシートが加熱される。このため、所望の大きさに裁断したポリウレタンシートを1枚ずつ加圧加熱する従来の方法と比較して、生産性(製造効率)を向上させることができる。更に、本実施形態では、巻取工程で加圧ローラ66およびローラ68の間の巻取ドラフトが1.01〜1.10の範囲に調整される。このため、ポリウレタンシートとフィルム状基材63との密着体が張力をかけながら巻き取られるので、密着工程で0.1〜1.0MPaの圧力下で密着させた密着体を加圧された状態のまま巻き取ることができる。
更に、本実施形態では、ポリウレタンシート2にフィルム状基材63を密着させ熱処理した後、保持面Pの背面側がバフ処理される。バフ処理では、フィルム状基材63の表面にプラテンローラ74を圧接することで背面側に出現する凹凸が除去される。このため、スキン層4を減少させることなくポリウレタンシート2の厚さ精度を向上(成膜時に生じた厚さバラツキを減少)させることができる。また、バフ処理時にはポリウレタンシート2の長手方向に張力がかかることから、ポリウレタンシート2のみをバフ処理する場合、内部に形成された発泡3の変形により伸縮しやすい部分とそうでない部分とで厚さバラツキが生じてしまう。本実施形態では、ポリウレタンシート2にフィルム状基材63が密着した状態でバフ処理が施されるため、ポリウレタンシート2の伸縮がフィルム状基材63で抑制されるので、厚さ精度を一層向上させることができる。この結果、被研磨物保持性に優れるスキン層4を残しつつ厚さ精度を向上させ、保持面Pの平坦性を向上させたポリウレタンシート2を得ることができる。このポリウレタンシート2を使用した保持パッド1では、被研磨物を略平坦、かつ、確実に保持する(保持力を向上させる)ことができる。また、被研磨物が確実に保持されることから、研磨加工時に供給される研磨液(研磨粒子を含む)が被研磨物および保持パッド1間に浸入することが抑制されるので、研磨粒子の浸入による被研磨物の損傷(いわゆる「ヤケ」)を抑制することができる。これにより、保持パッド1の使用可能期間を延長し、寿命を向上させることができる。
また更に、本実施形態では、保持パッド1の製造時に、ポリウレタンシート2の厚さ精度向上、保持面Pの平坦性向上が実現されるため、研磨加工の直前に保持面Pを平坦化する作業を不要とすることができ、研磨作業全体の効率を向上させることができる。また、本実施形態では、保持パッド1を完成させた後、フィルム状基材63が保持面Pに密着した状態のまま残されている。このため、保持パッド1の保管時に保持面Pにゴミ等が付着することや、搬送時、保持定盤への装着時に不用意に保持面Pを損傷することを防止することができ、保持パッド1の取り扱いを容易にすることができる。
従来保持パッドの製造に用いられる湿式成膜法では、粘性を有するポリウレタン樹脂溶液を基材に塗布するときに搬送速度のバラツキや塗布装置の振れ等が生じ、塗布されたポリウレタン樹脂溶液の厚さにバラツキが生じるため、得られるポリウレタンシートに厚さバラツキが残される。また、凝固液中での脱溶媒が不均一になった場合には、厚さバラツキが増大する。厚さバラツキが生じたポリウレタンシートを使用した保持パッドでは、厚さの大きな部分で被研磨物にかかる圧力が大きくなるため、被研磨物の平坦性が損なわれる。このような厚さバラツキを減少させるために保持パッドの表面がバフ処理されるが、厚さバラツキを解消する程バフ処理すると被研磨物の保持に有効なスキン層が消失してしまうため、被研磨物保持性が低下する。また、スキン層を残したままではポリウレタンシートの厚さバラツキを解消することができない。更に、保持パッド表面の平坦性を1枚ずつ矯正する方法もあるが、研磨加工全体の作業効率が低下する。本実施形態は、これらの問題を解決することができる保持パッドである。
なお、本実施形態では、成膜工程、密着工程(巻取工程を含む)、バフ処理工程で処理されたポリウレタンシートをそれぞれ巻き取る例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、一連の工程を連続して行い、バフ処理工程後に巻き取るようにしてもよい。また、本実施形態では、加熱工程後にバフ処理する例を示したが、本発明はこれに制限されるものではなく、バフ処理工程後に加熱するようにしてもよい。更に、本実施形態では、密着工程でPETフィルムを用いたフィルム状基材63を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン等の可撓性フィルムを用いてもよい。
また、本実施形態では、ポリウレタンシート2のバフ処理された面側に両面テープ7を貼り合わせる例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、ポリウレタンシート2と両面テープ7との間に、ポリウレタンシート2を支持するための支持材を貼り合わせるようにしてもよい。支持材としては、特に限定されるものではなく、例えば、PET製等の可撓性フィルム、不織布、織布等を使用することができる。このようにすれば、搬送時や保持定盤への装着時に保持パッド1の取り扱いを一層容易にすることができる。また、本実施形態では、ポリウレタンシート2のバフ処理された面側で発泡3が開口している例を示したが、湿式成膜時の厚さバラツキが小さくなれば、バフ処理で除去する厚さを小さくすることができるため、発泡3が必ずしも開口することはない。
更に、本実施形態では、ポリウレタン樹脂溶液45の塗布にナイフコータ46を例示したが、例えば、リバースコータ、ロールコータ等を用いてもよく、基材43に略均一な厚さに塗布可能であれば特に制限されるものではない。また、本実施形態では、ポリウレタン樹脂の乾燥にシリンダ乾燥機50を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、熱風乾燥機等を用いてもよい。
また更に、本実施形態では、バフ処理工程でポリウレタンシート2の保持面Pの背面側がバフ処理されるが、バフ処理量はポリウレタンシート2の厚さの範囲(最大厚さと最小厚さとの差)の2倍以上の厚み分とすることが望ましい。バフ機80では、バフローラ72として、表面にサンドペーパーを巻き付けたローラやダイヤモンドバフローラ等の種々のものが使用されるが、均一なバフ処理(研削除去)ができるものであればいずれも使用できる。このとき、バフ番手(砥粒の粗さを示す番号)を高くする程、細かな砥粒で研削でき均一なバフ処理ができる。更に、バフ処理を、1回目で低いバフ番手(粗い砥粒)で研削をし、2回目で1回目より高いバフ番手のものでバフ処理量を小さくしてバフ仕上げ処理することで、厚み精度を更に上げることもできる。
以下、本実施形態に従い製造した保持パッド1の実施例について説明する。なお、比較のために製造した比較例の保持パッドについても併記する。
(実施例1)
下表1に示すように、実施例1では、ポリウレタン樹脂として、100%モジュラスが10MPaのポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂を用いた。このポリウレタン樹脂のDMF溶液100部に対して、粘度調整用のDMFの45部、顔料のカーボンブラックを30%含むDMF分散液の40部、界面活性剤(大日本インキ株式会社製、商品名:クリスボンSD−11)の2部を混合してポリウレタン樹脂溶液45を調製し、湿式成膜法で厚さ1mmのポリウレタンシートを得た。このポリウレタンシートのスキン層4側の表面と、表面粗さRaが0.39μmのフィルム状基材63の表面とを加圧力0.5MPaで密着させ、巻取ドラフト1.06で巻き取って巻取体を得た。得られた巻取体を40℃で24時間加熱した。
Figure 2008119861
(実施例2〜実施例5)
表1に示すように、実施例2〜実施例5では、加圧力、加熱温度、加熱時間、巻取ドラフトを変える以外は実施例1と同様にしてそれぞれ保持パッド1を製造した。実施例2では、加圧力0.1MPa、巻取ドラフト1.01、加熱温度30℃、加熱時間48時間とし、実施例3では、加圧力0.3MPa、巻取ドラフト1.08、加熱温度50℃、加熱時間30時間とし、実施例4では、加圧力0.8MPa、巻取ドラフト1.02、加熱温度40℃、加熱時間24時間とし、実施例5では、加圧力1.0MPa、巻取ドラフト1.10、加熱温度50℃、加熱時間12時間とした。
(比較例1〜比較例7)
表1に示すように、比較例1〜比較例7では、加圧力、加熱温度、加熱時間、巻取ドラフト、フィルム状基材63の表面粗さRaを変える以外は実施例1と同様にして保持パッドを製造した。比較例1では、表面粗さRaを0.39、加圧力0.5MPa、巻取ドラフト1.06、加熱温度20℃、加熱時間48時間とし、比較例2では、表面粗さRaを0.39、加圧力0.5MPa、巻取ドラフト1.01、加熱温度30℃、加熱時間50時間とし、比較例3では、表面粗さRaを0.39、加圧力0.3MPa、巻取ドラフト1.08、加熱温度60℃、加熱時間48時間とし、比較例4では、表面粗さRaを0.39、加圧力0.05MPa、巻取ドラフト1.00、加熱温度40℃、加熱時間24時間とし、比較例5では、表面粗さRaを0.39、加圧力1.2MPa、巻取ドラフト1.12、加熱温度50℃、加熱時間12時間とし、比較例6では、表面粗さRaを0.08、加圧力0.5MPa、巻取ドラフト1.05、加熱温度40℃、加熱時間24時間とし、比較例7では、表面粗さRaを0.63、加圧力0.5MPa、巻取ドラフト1.05、加熱温度40℃、加熱時間24時間とした。
(比較例8)
表1に示すように、比較例8では、密着処理および加熱処理を行わない以外は実施例1と同様にして保持パッドを製造した。
(評価)
各実施例及び比較例で作製したポリウレタンシートについて、表面粗さRa及び被研磨物の吸着力を以下のようにして測定した。表面粗さRa及び吸着力の測定結果を下表2に示した。
(1)表面粗さRaの測定:表面粗さ測定機(Mitutoyo製、SURFTEST SV−402)を用い、日本工業規格JIS B 0601−1994に基づき測定した。
(2)吸着力の測定:図7に示すように、直径4インチに打ち抜いたポリウレタンシートを定盤91に、スキン層の反対面で貼付した。ポリウレタンシート上に直径4インチのウェハ92を重ねて置き、ウェハ92に150g/cmの荷重がかかるようにおもり93を載せ1分間放置した。1分後におもり93を取り除き、ウェハ92を垂直方向(矢印A方向)に引っ張り、ウェハ92がポリウレタンシートから外れたときの引張力のピーク値(最大値)を測定した。測定は5回行い、平均値を算出した。測定には、引っ張り試験機(ORIENTEC製、TENSILON RTC−1210A)を用いた。
Figure 2008119861
表2に示すように、比較例1では加熱温度が低く、比較例4では加圧力と巻取ドラフトが低く、比較例7ではフィルム状基材の表面粗さRaが大きいため、ポリウレタンシートの表面粗さRaが1.34〜1.35μm、吸着力が1.25〜1.30kgとなった。また、比較例2では加熱時間が長く、比較例3では加熱温度が高く、比較例5では加圧力と巻取ドラフトが高く、比較例6ではフィルム状基材の表面粗さRaが小さい条件で実施したが、ポリウレタンシートの表面粗さRaが1.10〜1.14μm、吸着力が3.83〜4.02kgとなった。比較例1〜比較例7では、いずれも、ポリウレタンシートとフィルム状基材との密着性が高くなり、ポリウレタンシートからフィルム状基材を剥離しにくくなった。また、ポリウレタンシートの表面粗さRaおよび被研磨物の吸着力が同時に優れる効果を得ることができなかった。
これに対して、本実施形態の表面平坦化方法を用いて平坦化した実施例1〜実施例5のポリウレタンシート2では、フィルム状基材63の平坦な表面が転写されたため、表面粗さRaが1.09〜1.18μmを示し、かつ、吸着力が3.78〜4.01kgを示しており、平坦性および吸着力共に優れることが明らかとなった。従って、ポリウレタンシート2を使用した保持パッド1では、被研磨物を確実に保持することができ、加工表面を高精度に平坦化することが期待できる。
本発明は、保持面の平坦性を向上させることができ、被研磨物を確実に保持することができる保持パッド用ポリウレタンシートの表面平坦化方法を提供するため、保持パッドの製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
本発明を適用した実施形態の保持パッドを示す断面図である。 保持パッドの製造工程を示す工程図である。 成膜工程で使用する成膜装置の概略構成を示す正面図である。 密着工程で使用する密着処理機の概略構成を示す正面図である。 バフ処理工程で使用するバフ処理機の概略構成を示す正面図である。 製造工程の各段階でのポリウレタンシートの状態を示す断面図であり、(A)は成膜工程後の基材の片面に形成されたポリウレタンシート、(B)は密着工程後のフィルム状基材が密着したポリウレタンシート、(C)はバフ処理工程でプラテンローラに圧接したときのポリウレタンシート、(D)はバフ処理工程後のポリウレタンシートをそれぞれ示す。 保持パッドに用いたポリウレタンシートの吸着力を測定するときのポリウレタンシート及び被研磨物の位置関係を模式的に示す断面図である。
符号の説明
P 保持面
1 保持パッド
2 ポリウレタンシート
4 スキン層
63 フィルム状基材

Claims (9)

  1. 被研磨物を保持するための保持面を有し前記保持面側に微多孔が形成された保持パッド用ポリウレタンシートの表面平坦化方法であって、
    湿式成膜法で形成されたポリウレタンシートの前記保持面に、平坦な表面を有し前記ポリウレタンシートより硬いフィルム状基材を加圧して密着させ、密着体を形成する密着体形成ステップと、
    前記密着体形成ステップで形成された密着体を正のドラフトで巻き取って巻取体を形成する巻取体形成ステップと、
    前記巻取体形成ステップで形成された巻取体を所定時間加熱する加熱ステップと、
    を含む表面平坦化方法。
  2. 前記密着体形成ステップと前記巻取体形成ステップとが連続して行われることを特徴とする請求項1に記載の表面平坦化方法。
  3. 前記密着体形成ステップで、前記保持面に前記基材を0.1〜1.0MPaで加圧して密着することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表面平坦化方法。
  4. 前記巻取体形成ステップで、前記ドラフトを1.01〜1.10として巻き取ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の表面平坦化方法。
  5. 前記基材は、表面粗さRaが0.1〜0.5μmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の表面平坦化方法。
  6. 前記加熱ステップでの加熱温度および所定時間が、30〜50℃で12〜48時間であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の表面平坦化方法。
  7. 前記巻取体形成ステップ後または前記加熱ステップ後に、前記ポリウレタンシートの保持面の背面側を前記ポリウレタンシートの厚さが一様となるようにバフ処理するバフ処理ステップを更に含むことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の表面平坦化方法。
  8. 前記基材のショアA硬度が、40〜95°であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の表面平坦化方法。
  9. 前記基材が、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の表面平坦化方法。
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