JP2008119720A - ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】 半自動溶接で使用した場合の水平すみ肉ビード形状が良好で、同時に立向上進、立向下進および上向姿勢でも良好なすみ肉ビード形状が得られるガスシールドアーク肉溶接用フラックス入りワイヤを提供する。
【解決手段】 ワイヤ全質量に対して、Ti酸化物のTiO換算値を2.5〜3.9%、Si酸化物のSiO換算値を0.6〜1.1%、Zr酸化物のZrO換算値を0.1〜0.6%、Fe酸化物のFeO換算値を0.4〜1.2%、Alを0.4〜0.9%、かつ、AlとFe酸化物のFeO換算値の比Al/FeOを0.5〜1.5、Na化合物およびK化合物のNaO換算値およびKO換算値の合計を0.03〜0.20%、弗素化合物のF換算値を0.01〜0.15%、さらに必要に応じてBiおよびBi酸化物の一方または両方のBi換算値を0.005〜0.040%を含有する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、軟鋼および490〜590N/mm級高張力鋼、耐候性鋼および低温用鋼などの溶接構造物を製造する際に使用するガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤに係るもので、特に半自動溶接で使用した場合の水平すみ肉ビード形状および耐気孔性が良好で、同時に立向や上向姿勢溶接でも良好なすみ肉ビード形状が得られるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ(以下、フラックス入りワイヤという)に関する。
造船分野などにおける、高速度の溶接施工条件で水平すみ肉溶接される長尺、かつ大型構造物を製造する場合は、水平すみ肉溶接専用に設計されたフラックス入りワイヤが自動溶接で使用されている。他方、水平すみ肉溶接とともに立向姿勢(上進、下進)や上向姿勢ですみ肉溶接する箇所が混在する鉄骨、橋梁分野、あるいは比較的小構造物の製造には、ワイヤを送り出す溶接トーチを手持ちで操作する半自動溶接が一般的に行われ、水平すみ肉溶接専用(下向可)と全姿勢溶接用の2タイプのフラックス入ワイヤを使い分けて用いられているのが現状である。
これは、水平すみ肉溶接専用フラックス入りワイヤが高速度の溶接施工条件で用いられるので溶融スラグの粘性を低くしており、立向や上向姿勢で使用するとメタルが垂れて溶接が困難になることによる。一方、全姿勢溶接用フラックス入りワイヤはTiO主体のスラグ形成剤を多目に含有しているので、立向や上向姿勢でメタルが垂れにくく良好なビード形状が得られるが、水平すみ肉溶接では下板側止端部が膨らんだビード形状になりやすく、またブライマ塗装鋼板の水平すみ肉溶接ではピットやガス溝などの耐気孔性が劣ることによる。
溶接箇所によりワイヤを交換する煩雑さは生産性の著しい低下をもたらすことから、半自動溶接で使用した場合において下向や水平すみ肉溶接だけでなく立向や上向姿勢溶接でも良好なすみ肉ビード形状が得られるフラックス入りワイヤの提供が強く求められている。このような要望に対し、特開平9−94692号公報(特許文献1)や特開平9−94693号公報(特許文献2)には、水平すみ肉溶接および立向上進溶接に好適なフラックス入りワイヤの提案があり、自動高速水平すみ肉溶接と半自動立向上進すみ肉溶接が可能であることが記載されている。
しかし、この種の水平すみ肉専用と全姿勢用との中間タイプのフラックス入りワイヤは、水平すみ肉溶接と立向や上向姿勢溶接のどちらに比重をおいて設計されているかが溶接現場にとって極めて重要な問題となる。上記提案は水平すみ肉専用フラックス入りワイヤが含有すべきビード形状および耐気孔性の改善に有効な成分組成については全く留意していないことから、半自動溶接で行う立向上進溶接性を重視したフラックス入りワイヤであり、水平すみ肉溶接時のビード形状は下板側止端部が膨らみ、耐気孔性も劣るものである。
特開平9−94692号公報 特開平9−94693号公報
本発明は、半自動溶接で使用した場合の水平すみ肉ビード形状および耐気孔性が良好で、同時に立向上進、立向下進および上向姿勢でも良好なすみ肉ビード形状が得られるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供することを目的とする。
本発明の要旨は、鋼製外皮内にフラックスを充填してなるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全質量に対する質量%で、Ti酸化物のTiO換算値を2.5〜3.9%、Si酸化物のSiO換算値を0.6〜1.1%、Zr酸化物のZrO換算値を0.1〜0.6%、Fe酸化物のFeO換算値を0.4〜1.2%、Alを0.4〜0.9%、かつ、AlとFe酸化物のFeO換算値の比Al/FeOで0.5〜1.5、Na化合物およびK化合物のNaO換算値およびKO換算値の合計を0.03〜0.20%、弗素化合物のF換算値を0.01〜0.15%含有し、残部は鉄粉、合金剤、脱酸剤および不可避的不純物からなることを特徴とする。
またさらに、BiおよびBi酸化物の一方または両方のBi換算値を0.005〜0.040%含有することも特徴とするガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにある。
本発明のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤによれば、半自動溶接で使用して、水平すみ肉溶接のビード形状や耐気孔性が良好で、同一ワイヤを使用して立向上進、立向下進および上向姿勢でも良好なすみ肉ビード形状が得られるので、溶接部の品質向上とともに各種構造物の生産性向上が図れる。
半自動で水平すみ肉溶接を行う場合、自動溶接のように一定の溶接速度で進行せず、目標脚長によってはウィービングすることによりアーク点や溶融プールを揺動させながら溶接が進行する。このため立板側ビード上脚部にアンダーカットが発生しやすくなるので、ある程度のスラグ生成量が必要となるが多すぎると下脚側止端部が膨らんで下板とのなじみ性の劣化やピットやガス溝が発生しやすくなる。
一方、半自動で立向上進、立向下進および上向姿勢ですみ肉溶接を行う場合は、メタル垂れが発生しないように適度に粘性のある溶融スラグにして、スラグ生成量も多い方が有利である。なお、各姿勢溶接におけるアーク安定性およびスラグ剥離性は必須要件である。
本発明者らは、溶接姿勢によって相反する課題を1タイプのフラックス入りワイヤで解決するために、使用比率の高い水平すみ肉溶接性を重視して、少ないスラグ生成量で十分なスラグ被包性をもたせること、同時に耐気孔性も確保すること、さらに立向上進、立向下進および上向すみ肉溶接に対してはその少ない溶融スラグの粘性を調整して耐メタル垂れ性を高めるという観点から種々のフラックス入りワイヤを試作して、各姿勢溶接におけるすみ肉ビード形状改善について検討した。
その結果、特にTiOを主成分とするスラグ形成剤とともにフラックスに含有させるFe酸化物とAlの含有量および両者の比率を限定したことによって、十分なスラグ被包性、耐気孔性および耐メタル垂れ性を得られることを見出した。
以下に、本発明のフラックス入りワイヤの成分限定理由を述べる。
[Ti酸化物のTiO換算値:2.5〜3.9%]
ルチール、チタンスラグ等のTi酸化物は、溶融スラグの粘性を高めスラグ被包性を向上させる作用を有する。Ti酸化物のTiO換算値が2.5質量%(以下、%という)未満ではスラグ生成量が少なすぎて、水平すみ肉溶接でビード上脚部のスラグ被包性が不十分となり立板にアンダーカットが発生しやすく、スラグ焼き付きによりスラグ剥離性も不良となる。立向上進や上向すみ肉溶接では溶融スラグの粘性が足りず、メタル垂れが発生しやすく平滑なビード形状が得られずスラグの剥離もしにくくなる。一方、Ti酸化物のTiO換算値が3.9%を超えると溶融スラグの粘性が過大となり、水平すみ肉ビードの下板側止端部が膨らみビード形状が不良となり、ピットも発生しやすくなる。したがって、Ti酸化物のTiO換算値は2.5〜3.9%とする。
[Si酸化物のSiO換算値:0.6〜1.1%]
珪砂やジルコンサンド、珪酸ソーダ等のSi酸化物は、スラグ形成剤として溶融スラグの粘性を高め、また、厚みのあるスラグにしてスラグ剥離性を改善する作用を有する。Si酸化物のSiO換算値が0.6%未満では溶融スラグの粘性が不足して、水平すみ肉ビード上脚部のスラグ被包性が不十分となりアンダーカットが発生しやすく、スラグ剥離性も不良となる。一方、Si酸化物のSiO換算値が1.1%を超えると、水平すみ肉溶接でピットが発生しやすく、立向下進や上向すみ肉溶接で溶融スラグの凝固が遅れメタル垂れが発生してビード形状およびスラグ剥離性が不良となる。したがって、Si酸化物のSiO換算値は0.6〜1.1%とする。
[Zr酸化物のZrO換算値:0.1〜0.6%]
ジルコンサンド、酸化ジルコンなどのZr酸化物は、溶融スラグの凝固温度を高くして立向上進、立向下進および上向すみ肉溶接でメタルを垂れにくくし、水平すみ肉溶接でスラグ被包性を高めてビード形状を平滑にする作用を有する。Zr酸化物のZrO換算値が0.1%未満では、水平すみ肉溶接でビード形状が平滑にならず、立向上進、立向下進および上向すみ肉溶接でメタルを垂れが発生しやすくなり、凸状のビード形状となるとともにスラグ剥離性が不良になる。一方、Zr酸化物のZrO換算値が0.6%を超えると、水平すみ肉溶接のビード形状が凸状になり、立向下進や上向すみ肉溶接ではメタル垂れが発生しやすくビード形状が不良となる。また、各姿勢溶接でスラグが緻密で固くなり剥離性が劣化する。したがって、Zr酸化物のZrO換算値は0.1〜0.6%とする。
[Fe酸化物のFeO換算値:0.4〜1.2%]
酸化鉄、ミルスケール、鉄粉表面の酸化鉄等のFe酸化物は溶融スラグの粘性および凝固温度を調整して、水平すみ肉溶接のビード形状を良好にする作用を有する。Fe酸化物のFeO換算値が0.4%未満では水平すみ肉ビードの止端部の不揃いや下板とのなじみ性の不良が生じ、ピットが発生しやすくなる。一方、Fe酸化物のFeO換算値が1.2%を超えると立向上進、立向下進および上向すみ肉溶接でメタル垂れが発生し良好なビード形状が得られない。また、スラグ剥離性も不良となる。したがって、Fe酸化物のFeO換算値は0.4〜1.2%とする。
[Al:0.4〜0.9%]
金属AlやFe−Al等のAlは多くの部分が酸化して溶融スラグの主要な成分となり、スラグの粘性を高めて立向上進、立向下進および上向すみ肉溶接で耐メタル垂れ性を向上させ、また水平すみ肉溶接で溶融プールの後退を抑制し十分なスラグ被包性を保持する作用を有する。Alが0.4%未満では、立向上進や上向すみ肉溶接でメタル垂れが発生し良好なビード形状が得られず、スラグ剥離性も不良となる。また、水平すみ肉溶接でビードの凸状化とともに上脚部にアンダーカットやスラグ焼き付きが発生する。一方、Alが0.9%を超えると水平すみ肉ビードの滑らかさがなくなり止端部が膨らんだ形状となり、ピットが発生しやすくなる。また、溶融スラグの凝固むらが生じてスラグ剥離性が不良となる。立向下進すみ肉溶接ではメタル垂れが発生し良好なビード形状が得られずスラグ剥離性も不良となる。したがって、Alは0.4〜0.9%とする。
なお、アルミナやカリ長石等のAl酸化物も溶融スラグの成分となるが、スラグ生成量の少ない本発明のフラックス入りワイヤにおいては、特に立向下進溶接でメタル垂れが発生しやすくなるので0.3%以下にすることが好ましい。
[Al/FeO:0.5〜1.5]
水平すみ肉溶接ならびに立向上進、立向下進および上向姿勢すみ肉溶接の両方ともビード形状を良好にするためには、AlとFe酸化物のFeO換算値の比Al/FeOが重要である。Al/FeOが0.5未満では立向上進、立向下進および上向すみ肉溶接でメタル垂れが発生し、ビード形状およびスラグ剥離性が不良となる。一方、Al/FeOが1.5を超えると水平すみ肉ビード形状および耐気孔性が不良となる。したがって、Al/FeOは0.5〜1.5とする。
[Na化合物およびK化合物のNaO換算値およびKO換算値の合計:0.03〜0.20%]
カリ長石、また珪酸ソーダや珪酸カリからなる水ガラスの固質成分、弗化ソーダや珪弗化カリ等の弗素化合物等からのNaおよびKは、アーク安定剤およびスラグ形成剤として作用する。NaやKの化合物、すなわち酸化物、弗化物などのNaO換算値およびKO換算値の合計が0.03%未満では、アークが不安定でスパッタが増加する。また、平滑なビード形状が得られない。一方、Na化合物およびK化合物のNaO換算値およびKO換算値の合計が0.20%を超えると水平すみ肉溶接でビード上脚部にアンダーカットが発生しやすく、スパッタの発生量も増加する。また、立向下進や上向すみ肉溶接でメタル垂れが発生しやすくなりビード形状およびスラグ剥離性が不良となる。したがって、Na化合物およびK化合物のNaO換算値およびKO換算値の合計は0.06〜0.20%とする。
[弗素化合物のF換算値:0.01〜0.15%]
弗化ソーダや珪弗化カリ等の弗素化合物は、アークの指向性を高めて安定した溶融プールにするとともにスラグの粘性を調整してビード形状を平滑にする作用を有する。弗素化合物のF換算値が0.01%未満では、アーク長が長くアーク力の弱いアーク状態となり、水平すみ肉溶接で立板側上脚部にアンダーカットが発生し、また下板側ビード止端部のなじみ性が不良で、さらにピットやガス溝も発生しやすくなる。また、立向下進や上向すみ肉溶接でメタル垂れが発生してビード形状およびスラグ剥離性が不良となる。一方、弗素化合物のF換算値が0.15%を超えると、スラグの粘性が低下して水平すみ肉溶接でビード上脚部に除去しにくい薄いスラグが残りスラグ剥離性が不良となり、ビード形状は凸状になる。立向上進、立向下進およびや上向すみ肉溶接ではメタル垂れが発生してビード形状およびスラグ剥離性が不良となる。したがって、弗素化合物のF換算値は0.01〜0.15%とする。
[BiおよびBi酸化物の一方または両方のBi換算値の合計:0.005〜0.040%]
金属Biや酸化Bi等によるBiは、スラグ剥離性を向上させる作用を有する。本発明のフラックス入りワイヤはプライマー塗装鋼板だけでなく、薄鋼板(6〜10mm程度)の黒皮鋼板のすみ肉溶接に使用した場合でもスラグ剥離性が劣化しないようにBiを含有させることができる。BiおよびBi酸化物のBi換算値が0.005%未満ではその効果が認められず、0.040%を超えると水平すみ肉溶接でスラグ被包性が劣化し、ビード上脚部にアンダーカットも発生しやすくなる。したがって、BiおよびBi酸化物の一方または両方のBi換算値は0.005〜0.040%が好ましい。
以上、本発明のフラックス入りワイヤの構成要件の限定理由を述べたが、品種毎に規定されている溶着金属試験の機械的性質および化学成分に適合するように合金剤および脱酸剤を含有するものである。
C、Si、Mnについては外皮成分との合計でC:0.04〜0.12%、Si:0.3〜1.0%、Mn:1.0〜3.5%であることが好ましい。また、Ni、Cu、Cr、Moなどの合金成分の単体またはそれらの合金鉄を含有することができる。溶接金属の衝撃値向上のためにMgを強脱酸剤として含有させる場合は、立向や上向すみ肉溶接でメタル垂れが発生しやすくなるので0.2%以下であることが好ましい。残部は主に外皮のFeおよびフラックス中の鉄粉と不可避不純物である。
本発明のフラックス入りワイヤは、フラックス充填後の伸線加工性が良好な軟鋼または低合金鋼の外皮内に、前記限定した成分のフラックスをワイヤ全質量に対して8〜18%程度充填後、孔ダイス伸線やローラ圧延加工により所定のワイヤ径(0.9〜1.6mm)に縮径して製造する。
以下、実施例により本発明の効果をさらに詳細に説明する。
軟鋼外皮(C:0.02%、Si:0.01%、Mn:0.30%、Al:0.01%)にフラックスを充填後、縮径して(外皮の軟化および脱水素のための中間焼鈍を1回実施)、フラックス充填率15%で表1および表2に示すワイヤ径1.2mmのシームレスタイプの、すなわち鋼製外皮に貫通した隙間がないタイプのフラックス入りワイヤを各種試作した。
Figure 2008119720
Figure 2008119720
これら試作ワイヤについて、ブライマ塗装鋼板(490N/mm級高張力鋼、板厚12mm)のT字すみ肉試験体を用いて、表3に示す各姿勢(水平、立向上進、立向下進、上向)の溶接条件で半自動によるすみ肉溶接を行った。
Figure 2008119720
各試作ワイヤについて、アーク安定性、スラグ被包性、スラグ剥離性、ビード形状、アンダーカットおよび耐気孔性を評価した。各試験の評価基準は、各姿勢のアーク安定性は、○:アークが安定しスパッタも少ない、×:不安定を示す。スラグ被包性は、○:良好、×:不良を示す。スラグ剥離性は、○:良好、×:不良を示す。ビード形状は、○:良好、×:不良を示す。アンダーカットは、○:有り、×:無しを示す。耐気孔性は、○:ピットやガス溝の発生なし、×:ピット、ガス溝の発生ありを示す。耐メタル垂れ性は、○:メタル垂れなし、×:メタル垂れ有りをそれぞれ示す。表4および表5はそれらの結果をまとめたものである。
Figure 2008119720
Figure 2008119720
表4および表5中ワイヤ記号W1〜W10が本発明例、ワイヤ記号W11〜W24は比較例である。
本発明例であるワイヤ記号W1〜W10は、フラックスに各成分を適量含有しているので、各姿勢溶接におけるアーク安定性、スラグ剥離性、ビード形状、アンダーカット、耐気孔性および耐メタル垂れ性がいずれも良好で極めて満足な結果であった。
比較例中ワイヤ記号W11は、Ti酸化物のTiO換算値が多いので、水平すみ肉溶接でビード形状が不良でピットも発生した。また、BiおよびBi酸化物のBi換算値が多いので、水平すみ肉溶接でスラグ被包性が不良でアンダーカットが生じた。
ワイヤ記号W12は、Ti酸化物のTiO換算値が少ないので、水平すみ肉溶接でスラグ被包性およびスラグ剥離性が不良で、アンダーカットも生じた。また、立向上進および上向すみ肉溶接でメタル垂れによりビード形状およびスラグ剥離性が不良であった。
ワイヤ記号W13は、Si酸化物のSiO換算値が多いので、水平すみ肉溶接でピットが発生し、立向下進および上向すみ肉溶接でメタル垂れによりビード形状およびスラグ剥離性が不良であった。
ワイヤ記号W14は、Si酸化物のSiO換算値が少ないので、水平すみ肉溶接でスラグ被包性、スラグ剥離性が不良でアンダーカットも生じた。また、Fe酸化物のFeOが多いので、立向上進、立向下進および上向すみ肉溶接でメタル垂れによりビード形状およびスラグ剥離性が不良であった。
ワイヤ記号W15は、Zr酸化物のZrO換算値が多いので、水平すみ肉溶接でビード形状およびスラグ剥離性が不良であった。立向下進および上向すみ肉溶接でメタル垂れによりビード形状が不良でスラグ剥離性も不良であった。また、立向上進すみ肉溶接ではスラグ剥離性が不良であった。
ワイヤ記号W16は、Zr酸化物のZrO換算値が少ないので、水平すみ肉溶接でビード形状不良であった。また、立向上進、立向下進および上向すみ肉溶接でメタル垂れによりビード形状およびスラグ剥離性が不良であった。
ワイヤ記号W17は、Alが多いので、水平すみ肉溶接でビード形状およびスラグ剥離性が不良でピットも発生した。立向下進すみ肉溶接でメタル垂れによりビード形状およびスラグ剥離性が不良であった。
ワイヤ記号W18は、Alが少ないので、水平すみ肉溶接でビード形状およびスラグ剥離性が不良でアンダーカットも生じた。また、立向上進および上向すみ肉溶接でメタル垂れによりビード形状が不良でスラグ剥離性も不良であった。
ワイヤ記号W19は、Al/FeOが高いので、水平すみ肉溶接でビード形状が不良でピットも発生した。
ワイヤ記号W20は、Al/FeOが低いので、立向上進、立向下進および上向すみ肉溶接でメタル垂れによりビード形状およびスラグ剥離性が不良であった。
ワイヤ記号W21は、Fe酸化物のFeO換算値が低いので、水平すみ肉溶接でビード形状が不良でピットも生じた。また、Na化合物およびK化合物のNaO換算値とKO換算値の合計が多いので、水平すみ肉溶接でアンダーカットが生じスパッタ発生量も多かった。さらに、立向下進および上向すみ肉溶接でメタル垂れによってビード形状が不良でスラグ剥離性も不良であった。
ワイヤ記号W22は、Na化合物およびK化合物のNaO換算値とKO換算値の合計が少ないので、各姿勢ともアークが不安定でスパッタ発生量が多く、水平すみ肉溶接でビード形状が不良であった。また、BiおよびBi酸化物のBi換算値が少ないので、水平すみ肉溶接でスラグ剥離性が不良であった。
ワイヤ記号W23は、弗素化合物のF換算値が多いので、全姿勢ともアークが弱く、水平すみ肉溶接でスラグ剥離性およびビード形状が不良であった。また、立向上進および上向すみ肉溶接でメタル垂れによりビード形状およびスラグ剥離性が不良であった。
ワイヤ記号W24は、弗素化合物のF換算値が少ないので、アーク力が弱く水平すみ肉溶接でアンダーカットが生じ下板部のなじみも不良であった。また、立向下進および上向すみ肉溶接でメタル垂れによりビード形状およびスラグ剥離性が不良であった。

Claims (2)

  1. 鋼製外皮内にフラックスを充填してなるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全質量に対する質量%で、
    Ti酸化物のTiO換算値を2.5〜3.9%、
    Si酸化物のSiO換算値を0.6〜1.1%、
    Zr酸化物のZrO換算値を0.1〜0.6%、
    Fe酸化物のFeO換算値を0.4〜1.2%、
    Alを0.4〜0.9%、かつ、
    AlとFe酸化物のFeO換算値の比Al/FeOで0.5〜1.5、
    Na化合物およびK化合物のNaO換算値およびKO換算値の合計を0.03〜0.20%、
    弗素化合物のF換算値を0.01〜0.15%
    含有し、残部は鉄粉、合金剤、脱酸剤および不可避的不純物からなることを特徴とするガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  2. さらに、BiおよびBi酸化物の一方または両方のBi換算値を0.005〜0.040%含有することを特徴とする請求項1記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
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