JP2008119408A - 使い捨てのパンツ型おむつ - Google Patents

Abstract

【課題】股下域の両側縁部分を脚周りに密着させることが容易な使い捨てのパンツ型おむつ。
【解決手段】パンツ型おむつ１の股下域６の内面における前胴周り域７寄りの部位と、後胴周り域８寄りの部位とのそれぞれに、股下域６における体液吸収部４を横断する帯状部材２１，２２が設けられる。帯状部材２１，２２のそれぞれは両先端部分が体液吸収部４の両側縁部に形成された防漏部４３_Ｒ，４３_Ｌに接合される。両先端部分の間は股下域６の内面から離間可能に形成される。帯状部材２１と２２とは、幅方向Ｘの中央部分２１ｃ，２２ｃにおいてのみ一体化される。
【選択図】図２

Description

この発明は、使い捨てのパンツ型おむつに関し、より詳しくは股下域の両側縁部を脚周りに密着させることが容易な前記パンツ型おむつに関する。

従来、使い捨ておむつにおける股下域の両側縁部分に脚周りに沿って延びるように弾性部材を伸長状態で取り付けることは周知である。この弾性部材は、それが収縮するときに股下域の両側縁部分を脚周りに密着させて体液が脚周りから漏れることを防止するように作用する。

例えば、特表平９−５１０３８５号公報（特許文献１）に記載の開放型おむつは、吸収体を被覆する透液性の内方ケーシングシートの内面側に一対のフラップを有する。フラップは、おむつの縦方向対称軸の両側にあり、おむつの縦方向側縁に沿って内方ケーシングシートに接合されるとともに、縦方向側縁から縦方向対称軸に向かって横方向へ延びる部分が股部分において連結されている。股部分の前方および後方においては、一対のフラップが横方向へ離間して尿を通過させることが可能な開口と、便を通過させることが可能な開口とを形成している。一対のフラップそれぞれには、これらの開口の縁に沿って前後方向へ延びる弾性糸が伸長状態で取り付けられている。弾性糸が収縮すると、おむつは、前後方向と幅方向とにおいて湾曲する。幅方向における湾曲は、おむつの両側を脚周りに密着させるように作用して、体液の脚周りからの漏れを防止することに役立つ。
特表平９−５１０３８５号公報

前記従来のおむつでは、尿や便が開口を通過してから吸収体に吸収されるという予定どおりの流れ方をとらずにフラップの上に流れると、吸収体と接触する機会がなくなり、肌を汚すとか脚周りから漏れるという問題が生じる。

このような従来技術に鑑みて、この発明が課題とするところの一つは、おむつの股下域における両側縁部分を脚周りに密着させることが容易なパンツ型おむつの提供である。また、そのようなおむつに対して体液が脚周りから漏れることを防ぐ手段を提供することもこの発明の課題の一つである。

前記課題を解決するために、この発明が対象とするのは、股下域と前記股下域の前方に形成された前胴周り域と前記股下域の後方に形成された後胴周り域とを有し、前記前胴周り域と前記後胴周り域との側縁部どうしが接合してパンツ型の肌被覆部が形成されており、前記股下域の幅方向中央域には、体液吸収性材料の集合体である体液吸収部を有し、前記体液吸収部の両側縁部にはシート材料によって形成されていて前記股下域の前後方向へ伸長された状態の弾性部材を含む防漏部を有する使い捨てのパンツ型おむつである。

かかるパンツ型おむつにおいて、この発明が特徴とするところは、次のとおりである。前記前後胴周り域の内面どうしが重なり合うように畳まれた前記パンツ型おむつにおける前記股下域の内面には、前記股下域の底部から見て前記前胴周り域寄りの部位と前記後胴周り域寄りの部位とのそれぞれに、前記体液吸収部を横断して前記幅方向へ直状に延びていて両先端部分が前記防漏部に接合される一方、前記両先端部分の間が前記体液吸収部における前記内面から離間可能に形成されている前後一対の帯状部材が設けられ、前記帯状部材どうしが前記幅方向の中央部分においてのみ接合していて前記中央部分と前記両先端部分それぞれとの間において離間している。

この発明の好ましい実施態様の一つでは、 一対の前記帯状部材の間において、前記両先端部分が、前記パンツ型おむつの前記内面に沿う前後方向の寸法を二等分する幅方向中心線から等しい距離のところにある。

この発明の好ましい実施態様の一つにおいて、前記帯状部材が弾性的に伸長・収縮可能なものであって、前記幅方向へ伸長された状態にある。

この発明の好ましい実施態様の他の一つにおいて、前記前胴周り域と前記後胴周り域の前記側縁部どうしが剥離可能かつ再結合可能に接合していて、はかせようとするときには予めパンツ型の形状をとらせるものである。

この発明の好ましい実施態様の他の一つにおいて、前記防漏部が前記体液吸収部の両側部分から前記幅方向へ延びるように形成されたフラップである。

この発明の好ましい実施態様の他の一つにおいて、前記防漏部が前記体液吸収部の両側部分において、前記内面から起立可能に形成された防漏カフである。

この発明における使い捨てのパンツ型おむつは、前後胴周り域の内面どうしが重なり合うように畳まれた状態から、前後胴周り域が円形の胴周り開口を形成するように広がると、幅方向へ直状に延びていた前後一対の帯状部材が変形しておむつ内面から離間し、互いに接合している中央部分をＶ字形の谷底とするように前方に向かって拡開するＶ字形と後方に向かって拡開するＶ字形とを画く。その変形に伴って、体液吸収部の両側縁部に形成されている防漏部がおむつ着用者の脚周りに密着するように起立する。起立した防漏部は、脚周りからの体液の漏れを防止することができる。また、前方の帯状部材が画くＶ字形の内側には、おむつ着用者が排泄する尿を進入させ、後方の帯状部材が画くＶ字形の内側には、便を進入させることができる。前後の帯状部材は、中央部分と先端部分との間において互いに離間して間隙を作るから、Ｖ字形の内側へ進入することのできなかった排泄物は、その間隙へ進入して、間隙の下方の体液吸収部に吸収される。

帯状部材が伸長・収縮可能なものであって、それが伸長された状態でおむつに取り付けられている態様のこの発明では、帯状部材の収縮力によって防漏部が起立し易くなる。また、帯状部材は、身体に触れたときに伸長したり収縮したりするので、身体の動きの妨げになることがない。

この発明におけるその他の実施態様と、それによって得られる効果とは、以下において説明される。

添付の図面を参照して、この発明に係る使い捨てのパンツ型おむつの詳細を説明すると、以下のとおりである。

図１は、着用状態にある使い捨てのパンツ型おむつ１の斜視図であって、幅方向と前後方向と上下方向とが矢印Ｘ，Ｙ，Ｚで示されている。パンツ型おむつ１は、股下域６と、股下域６の前方にある前胴周り域７と、股下域６の後方にある後胴周り域８とがパンツ型の肌被覆部１Ａを形成している。前後胴周り域７，８は、側縁部７ａ，８ａどうしが部位９において溶着または接着により接合して胴周り開口１１を形成するとともに、股下域６と協働して一対の脚周り開口１２を形成している。胴周り開口１１の周縁部を画成している前胴周りフラップ４１_Ｆと後胴周りフラップ４１_Ｂとには、前胴周り弾性部材１３_Ｆと後胴周り弾性部材１３_Ｂとからなる胴周り弾性部材１３が伸長状態で取り付けられており、脚周り開口１２の周縁部を画成している右脚周りフラップ４３_Ｒ（図３参照）と左脚周りフラップ４３_Ｌとには、右脚周り弾性部材１４_Ｒ（図３参照）と左脚周り弾性部材１４_Ｌとからなる脚周り弾性部材１４が伸長状態で取り付けられている。

図２は、図１のパンツ型おむつ１を部分的に破断して示す図である。パンツ型おむつ１は、内面側が透液性のトップシート２によって形成されていて外面側が不透液性のバックシート３によって形成されている肌被覆部１Ａと、これら両シート２，３間に介在する体液吸収部１Ｂとを含んでいる。肌被覆部１Ａにおける前後胴周り弾性部材１３_Ｆ，１３_Ｂと右脚周り弾性部材１４_Ｒと左脚周り弾性部材１４_Ｌとは、トップシート２とバックシート３との間にあって、これら両シート２，３の少なくとも一方にホットメルト接着剤（図示せず）を介して接合している。ただし、図１，２では、これら弾性部材１３_Ｆ，１３_Ｂ，１４_Ｒ，１４_Ｌが収縮することによって、前後胴周りフラップ４１_Ｆ，４１_Ｂと右脚周りフラップ４３_Ｒと左脚周りフラップ４３_Ｌとにギャザー１５，１６が形成されている。

パンツ型おむつ１はまた、肌被覆部１Ａの他に、体液吸収部１Ｂを横断して右脚周りフラップ４３_Ｒと左脚周りフラップ４３_Ｌとの間に延びる帯状の前方横断部材２１と後方横断部材２２とを含んでいる。これら前方横断部材２１と後方横断部材２２とは、パンツ型おむつ１の幅方向Ｘの寸法を二等分する前後方向中心線Ｃ−Ｃ上に位置するそれぞれの中央部分２１ｃ，２２ｃにおいて接着や溶着、両面粘着テープ等の接合手段（図示せず）を介して接合している。前方横断部材２１は、中央部分２１ｃをＶ字形の底部とするように右半体２１_Ｒと左半体２１_ＬとがＶ字形を画いて前方へ延びていて、これら両半体２１_Ｒ，２１_Ｌの先端部分２３_Ｒ，２３_Ｌのそれぞれが右脚周りフラップ４３_Ｒと左脚周りフラップ４３_Ｌとの内面に接合している（図３参照）。後方横断部材２２は、中央部分２２ｃをＶ字形の底部とするように右半体２２_Ｒと左半体２２_ＬとがＶ字形を画いて後方へ延びていて、これら両半体２２_Ｒ，２２_Ｌの先端部分２４_Ｒ，２４_Ｌのそれぞれが右脚周りフラップ４３_Ｒと左脚周りフラップ４３_Ｌとの内面に接合している（図３参照）。右脚周りフラップ４３_Ｒと左脚周りフラップ４３_Ｌとは、これら前方横断部材２１と後方横断部材２２とによって、パンツ型おむつ１の内側へ引っ張られている。

体液吸収部１Ｂは、パンツ型おむつ１の幅方向Ｘの中央に設けられた体液吸収性材料の集合体であって、粉砕パルプや高吸水性ポリマー粒子等からなる複数の体液吸収性パーティクル４ａがティシュペーパや不織布等であって透液性に優れた、より好ましくは透液性と液拡散性とに優れたシート材料４ｂで被覆されている。

図３は、図１，２のパンツ型おむつ１において、前後胴周り域７，８の部位９における接合を外すとともに、前方横断部材２１と後方横断部材２２との中央部分２１ｃ，２２ｃどうしの接合を外して、股下域６と前後胴周り域７，８とを幅方向Ｘと前後方向Ｙとに伸展することによって得られるパンツ型おむつ１ａの部分破断平面図である。図中の体液吸収部１Ｂは、砂時計型を成していて幅方向Ｘの中央域に位置し、幅方向Ｘへ延びる前縁部３１と後縁部３２と、前後方向Ｙへ延びる右側縁部３３_Ｒと左側縁部３３_Ｌとを有する。トップシート２とバックシート３とは、同形同大に形成されており、体液吸収部１Ｂの前後縁部３１，３２と左右側縁部３３_Ｌ，３３_Ｒとから延出する部分において重なり合っていて、接着または溶着により互いに接合して前胴周りフラップ４１_Ｆと、後胴周りフラップ４１_Ｂと、右脚周りフラップ４３_Ｒと、左脚周りフラップ４３_Ｌとを形成している。前後胴周りフラップ４１_Ｆ，４１_Ｂにおいては、前後胴周り弾性部材１３_Ｆ，１３_Ｂとこれらの近傍に位置するトップシート２とバックシート３とが、前後胴周り弾性部材１３_Ｆ，１３_Ｂの収縮によってギャザー１５（図１参照）の生じる前後胴周り弾性域４５，４６を形成している。右脚周りフラップ４３_Ｒと左脚周りフラップ４３_Ｌとにおいては、右脚周り弾性部材１４_Ｒと左脚周り弾性部材１４_Ｌとこれらの近傍に位置するトップシート２とバックシート３とが、右脚周り弾性部材１４_Ｒと左脚周り弾性部材１４_Ｌの収縮によってギャザー１６（図１参照）の生じる右脚周り弾性域４７_Ｒと左脚周り弾性域４７_Ｌとを形成している。トップシート２とバックシート３との間に介在する体液吸収部１Ｂは、これら両シート２，３の少なくとも一方に接着または溶着により接合している。

図３において、前方横断部材２１は、先端部分２３_Ｒと２３_Ｌとが右脚周り弾性域４７_Ｒと左脚周り弾性域４７_Ｌとの内面に対して接着または溶着により接合しているが、これら両先端部分２３_Ｒと２３_Ｌとの間はトップシート２に接合しておらず、トップシート２から離間可能な状態にある。後方横断部材２２は、先端部分２４_Ｒと２４_Ｌとが右脚周り弾性域４７_Ｒと左脚周り弾性域４７_Ｌとの内面に対して接着または溶着によって接合しているが、これら両先端部分２４_Ｒと２４_Ｌとの間はトップシート２に接合しておらず、トップシート２から離間可能な状態にある。これら前方横断部材２１と後方横断部材２２との前後方向Ｙにおける寸法は、好ましくは５〜２０ｍｍの範囲にある。また、幅方向中心線Ｄ−Ｄから前方横断部材２１の先端部分２３_Ｒ、２３_Ｌまでと、後方横断部材２２の先端部分２４_Ｒ，２４_Ｌまでとの、肌被覆部１Ａの内面に沿う離間距離Ｈ_ＦとＨ_Ｂとは等しく、それゆえ、図２では、これら両横断部材２１，２２が幅方向中心線Ｄ−Ｄから同じ高さの所にほぼ水平に形成されている。パンツ型おむつ１が乳幼児用のものである場合の好ましい離間距離Ｈ_ＦとＨ_Ｂとは、２０〜１５０ｍｍ、より好ましくは４０〜８０ｍｍの範囲にある。

図３のパンツ型おむつ１ａは、前後方向の寸法を二等分する幅方向中心線Ｄ−Ｄに沿って、トップシート２を内側にして折り重ねながら、前方横断部材２１と後方横断部材２２とをそれらの中央部分２１ｃ，２２ｃどうしで接合するとともに、肌被覆部１Ａの前後胴周り域７，８をそれらの側縁部７ａ，８ａどうしで接合することによって平面的に畳まれた状態のパンツ型おむつ１となる。そのパンツ型おむつ１は、胴周り開口１１と脚周り開口１２とを図１，２の如くほぼ円形に広げて着用状態にすると、弧を画くようにパンツ型おむつ１の外側に向かって凸に変形した股下域６と前後胴周り域７，８とが、それら各域の幅を見掛け上は図３における幅よりも小さくなるように変化させることに伴い、前方横断部材２１と後方横断部材２２とがＶ字形を画くように変形して、前方横断部材２１とトップシート２との間に前方間隙５１が形成され、後方横断部材２２とトップシート２との間に後方間隙５２が形成される（図２参照）。また、前方横断部材２１と後方横断部材２２との間では、右半体２１_Ｒと２２_Ｒとの間に右側方間隙５３が形成され、左半体２１_Ｌと２２_Ｌとの間に左側方間隙５４が形成される（図２参照）。パンツ型おむつ１を着用するときには、右側方間隙５３に右脚を挿入し、左側方間隙５４に左脚を挿入する。そのように着用すると、前方横断部材２１と後方横断部材２２との中央部分２１ｃ，２２ｃが外性器と肛門との間に来るから、前方間隙５１に向かって尿が排泄され、後方間隙５２に向かって便が排泄されるようになる。

前方横断部材２１と後方横断部材２２とはまた、パンツ型おむつ１が平面的に畳まれた状態から図２の如き立体的な状態へ変化するときに、幅方向Ｘにおいて緊張状態となるように作られている。そのような状態にある右半体２１_Ｒと２２_Ｒとは協働して、右脚周り弾性域４７_Ｒをパンツ型おむつ１の前後方向中心線Ｃ−Ｃへ接近するように引っ張って、右脚周りフラップ４３_Ｒが体液吸収部１Ｂの右側縁部３３_Ｒ近傍を基端にしてパンツ型おむつ１の上下方向Ｚに向かって起立することを助ける（図２参照）。右脚周りフラップ４３_Ｒではまた、右脚周り弾性部材１４_Ｒの収縮が、右脚周りフラップ４３_Ｒのそのような起立を促進する。それゆえ、パンツ型おむつ１では、右脚周りフラップ４３_Ｒが体液吸収部１Ｂの右側縁部３３_Ｒに沿って起立して、パンツ型おむつ１における体液の横漏れを防止する防漏部、換言すると防漏堤として機能する。特に、股下域６の底部６ａ（図２参照）において起立した右脚周りフラップ４３_Ｒは、着用者の脚の付け根の近傍に密着して、肌を伝って体液が漏れるのを防止することに効果を発揮する。前方および後方横断部材２１，２２の左半体２１_Ｌと２２_Ｌとについても、右半体２１_Ｒ，２２_Ｒと同様な効果を得ることができる。即ち、胴周り開口１１が広げられて、これら左半体２１_Ｌ，２２_Ｌが幅方向Ｘにおいて緊張状態になるとともに、左脚周り弾性部材１４_Ｌが収縮すると、左脚周りフラップ４３_Ｌが体液吸収部１Ｂの左側縁部３３_Ｌに沿って起立して、防漏堤を形成し、その防漏堤が股下域６の底部６ａの近傍では足の付け根の近傍に容易に密着する。

かようなパンツ型おむつ１において、前方横断部材２１と後方横断部材２２とは、非伸長性の不織布や織布、プラスチックフィルムによって作ることができる他に、幅方向Ｘに弾性的な伸長性を有する不織布やプラスチックフィルム、ゴムシート等のシート片によって作ることができる。弾性的な伸長性を有するシート片を伸長状態でパンツ型おむつ１に取り付けると、パンツ型おむつ１を着用したときに、左右の脚周りフラップ４３_Ｒ，４３_Ｌを起立させることが一層容易になる。トップシート２には、体液透過性の不織布や開孔プラスチックフィルムが使用され、バックシート３には、体液不透液性のプラスチックフィルムや不織布等のシート材料が使用される。前方横断部材２１と後方横断部材２２とはまた、図３の場合とは異なり、幅方向中心線Ｄ−Ｄからの距離Ｈ_ＦとＨ_Ｂとに差をつけて、例えば、距離Ｈ_Ｂを距離Ｈ_Ｆよりも大きくして、パンツ型おむつ１の着用者に対する適合状態を変化させることができる。

図４は、実施態様の他の一例を示すパンツ型おむつ１の部分破断斜視図であって、図１のパンツ型おむつ１と同じ機能を有する部分には、図１の参照符号と同じものが使用されている。図４のパンツ型おむつ１は、パンツ型に形成された肌被覆部１Ａと、その内面に取り付けられた体液吸収部１Ｂとを有し、肌被覆部１Ａの胴周り開口１１の周縁部には複数条の胴周り弾性部材１３が伸長状態で取り付けられている。脚周り開口１２では、前後胴周り域７，８を形成するとともに脚周り開口１２の上側約半分の周縁部を形成している前部シート２７０と後部シート２８０とに、ほぼ半円形を画くように複数条の脚周り弾性部材１４が伸長状態で取り付けられている。体液吸収部１Ｂは、肌被覆部１Ａの内面側にある。

図５，６は、図４のパンツ型おむつ１を前後胴周り域７，８の接合部位９において剥離し、股下域６と前後胴周り域７，８とを幅方向Ｘと前後方向Ｙとへ伸展して得られるパンツ型おむつ１ａの部分破断平面図と、図５の状態にあるパンツ型おむつ１ａの分解斜視図である。伸展した状態のパンツ型おむつ１ａには、前後方向中心線Ｃ−Ｃに直交し、図の上下方向の寸法を二等分する幅方向中心線Ｄ−Ｄも示されている。

肌被覆部１Ａは、前胴周り域７と股下域６の一部分とを形成する六角形の前部シート２７０と、後胴周り域８と股下域６の一部分とを形成する六角形の後部シート２８０と、股下域６の一部分を形成する矩形のセンターシート２６０とを有する。前後部シート２７０，２８０の内面には、胴周り弾性部材１３と脚周り弾性部材１４とが取り付けられている。センターシート２６０は、その前後両端部が前後部シート２７０，２８０の内面（図６における上面）にホットメルト接着剤（図示せず）を介して接合して、前後部シート２７０，２８０を連結している。センターシート２６０の内面側には矩形の不透水性プラスチックフィルムからなり不透液性バックシートとして機能する中間部シート２６１が重なり、中間部シート２６１の内面側には砂時計型の内部シート２６２が重なっている。中間部シート２６１は、センターシート２６０とほぼ同形ではあるがセンターシート２６０よりもやや小さく、内部シート２６２は、前後部シート２７０，２８０とセンターシート２６０とが互いに連結して形成する砂時計型の形状とほぼ同形同大である。これらシート２７０，２８０，２６０，２６１および２６２は、互いに重なり合う部分において間欠的に接合している。内部シート２６２の内面には、体液吸収部１Ｂが接合している。体液吸収部１Ｂは、内部シート２６２に塗布されたホットメルト接着剤２６３によって、外面のほぼ全体が間欠的に内部シート２６２に接合している。

図５に示されているように、体液吸収部１Ｂは前後方向Ｙに長い矩形を呈し、前後方向中心線Ｃ−Ｃに並行する一対の側縁部３３３_Ｒ，３３３_Ｌと、側縁部３３３_Ｒ，３３３_Ｌと直交してパンツ型おむつ１の幅方向Ｘへ延びる前後端縁部３３１，３３２とを有し、側縁部３３３_Ｒ，３３３_Ｌのそれぞれに沿って不織布製の防漏カフ３６０が形成されている。かかる体液吸収部１Ｂは、粉砕パルプとの体液吸収性パーティクル４ａをティシューペーパ４ｂで被覆してから体液透過性の肌当接シート４ｃでさらに被覆することにより形成された体液吸収性材料の集合体である（図８参照）。複数のパーティクル４ａは、股下域６で幅が狭く、前後胴周り域７，８で幅が広くなる砂時計型を呈するようにティシューペーパ４ｂの上に分布しており、股下域６の両側に凹欠部３３４を有する。肌当接シート４ｃは、股下域６において凹欠部３３４の縁部から側方へ延出し、その延出する部分では肌当接シート４ｃどうしが重なり合い、好ましくはホットメルト接着剤（図示せず）を介して互いに接合している。

体液吸収部１Ｂにはまた、前方横断部材２１と後方横断部材２２とが設けられている。前方横断部材２１の先端部分２３_Ｒと２３_Ｌとは、前後方向中心線Ｃ−Ｃに関して対称な右防漏カフ３６０_Ｒと左防漏カフ３６０_Ｌとからなる防漏カフ３６０のそれぞれに対して接着または溶着により接合しており、後方横断部材２２の先端部分２４_Ｒと２４_Ｌも防漏カフ３６０のそれぞれに対して接合している（図９参照）。おむつ１ａが幅方向中心線Ｄ−Ｄに沿って折り重ねられ、前後胴周り域７，８が部位９において接合されてパンツ型おむつ１となるときに、前方横断部材２１と後方横断部材２２とは、接着または溶着により互いの中央部分２１ｃ，２２ｃにおいて接合される。このようにして得られたパンツ型おむつ１は、図４の如くに胴周り開口１１を広げて、股下域６と前後胴周り域７，８とを外側に向かって凸となるように湾曲させると、前方横断部材２１は右半体２１_Ｒと左半体２１_ＬとがＶ字形を画くように変形し、後方横断部材２２は右半体２２_Ｒと左半体２２_ＬとがＶ字形を画くように変形する。変形した前方横断部材２１と後方横断部材２２とによって、防漏カフ３６０のそれぞれが前後方向中心線Ｃ−Ｃに向かって引っ張られ、体液吸収部１Ｂの側縁部３３３_Ｒ、３３３_Ｌから起立し易くなる（図９参照）。

図７，８，９，１０は、体液吸収部１Ｂの部分破断斜視図と、図７のＶＩＩＩ−ＶＩＩＩ線、ＩＸ−ＩＸ線およびＸ−Ｘ線それぞれに沿う切断面とを示す図である。防漏カフ３６０のそれぞれは、シート材料で形成されていて、体液吸収部１Ｂの側縁部３３３_Ｒ，３３３_Ｌに沿って延びている。そのシート材料には、疎水性、好ましくは疎水性かつ不透液性、より好ましくは疎水性かつ通気不透液性の不織布またはプラスチックフィルムが使用される。防漏カフ３６０は、体液吸収部１Ｂの幅方向ＸにおいてＺ字型または逆Ｚ字型に折曲されており、体液吸収部１Ｂの外面側に位置する外側縁部３６１と、内面側に位置する内側縁部３６２とを有し、外側縁部３６１は、接着剤３６５を介して肌当接シート４ｃに固定されている。その外側縁部３６１には、体液吸収部１Ｂの凹欠部３３４に位置する部位に１条または複数条の股部弾性部材３７０がホットメルト接着剤（図示せず）を介して伸長状態または非伸長状態で取り付けられている。図８，９において、左防漏カフ３６０_Ｌの内側縁部３６２は、体液吸収部１Ｂの内面の上方に位置して、図の上下方向と左右方向とに変形可能であり、内側縁部３６２の袋状折り返し部には体液吸収部１Ｂの長手方向へ延びる第１弾性部材３７１が伸長状態で取り付けられている。左防漏カフ３６０_Ｌは、図１０に示されているように、体液吸収部１Ｂの前後端縁部３３１，３３２において、左防漏カフ３６０_Ｌの外側縁部３６１と内側縁部３６２とが逆Ｚ字型に重ねられ、左防漏カフ３６０_Ｌどうし、および肌当接シート４ｃと左防漏カフ３６０_Ｌとが接着剤３６５を介して接合している。第１弾性部材３７１は、両端部のそれぞれが防漏カフ３６０_Ｌを介して体液吸収部１Ｂの前後端縁部３３１，３３２に固定されている。このような第１弾性部材３７１の他に、左防漏カフ３６０_Ｌには、その幅方向における外側縁部３６１と内側縁部３６２との中間部位であって、体液吸収部１Ｂの内面の上方に第２弾性部材３７２を伸長状態で取り付けることが可能である。第２弾性部材３７２は、第１弾性部材３７１に平行するもので、左防漏カフ３６０_Ｌの前後端縁部３６３と３６４との間のうちの少なくとも股下域６に設けることが好ましい。左防漏カフ３６０_Ｌでは、第１弾性部材３７１に沿う部分と第２弾性部材３７２に沿う部分とに、前後方向Ｙへ弾性的に伸長・収縮可能な弾性域３７１ａ，３７２ａが形成されている。前方横断部材２１における先端部分２３_Ｒ，２３_Ｌと、後方横断部材２２における先端部分２４_Ｒ，２４_Ｌとは、右防漏カフ３６０_Ｒと左防漏カフ３６０_Ｌとの内面に対して接合されるのであるが（図９参照）、好ましくは、図示例の左防漏カフ３６０_Ｌにおけるように、弾性域３７１ａまたは３７２ａに対して、より好ましくは弾性域３７１ａ，３７２ａにおける第１弾性部材３７１または第２弾性部材３７２と重なり合うようにして左防漏カフ３６０_Ｌに接合される。図９では、後方横断部材２２の先端部分２４_Ｌが第２弾性部材３７２と重なるようにして左防漏カフ３６０_Ｌに取り付けられる例が示されている。図８，９に仮想線で示された左防漏カフ３６０_Ｌは、弛緩状態にあった第１、第２弾性部材３７１，３７２がパンツ型おむつ１の着用時に伸長されて緊張状態になることによって、体液吸収部１Ｂの内面から起立したときの状態を示している。前方横断部材２１もまた、それが緊張状態になるときに、左防漏カフ３６０_Ｌが起立することを促進するとともに、起立した左防漏カフ３６０_Ｌが倒伏することを防いでいる。起立した両防漏カフ３６０_Ｒ，３６０_Ｌは、図１のパンツ型おむつ１の防漏堤と同様に、着用者の脚周りに密着して排泄物が横漏れしたり、脚周りに沿って流れ落ちたりすることを防止することができる。

図１１は、この発明の実施態様の一例を示す図１と同様な図である。図１１のパンツ型おむつ１は、後胴周り域８の側縁部８ａにファスナ４６が取り付けられていることにおいてのみ図１のパンツ型おむつ１と異なっている。ファスナ４６は、側縁部８ａの上下両端部にまで延びていて、前胴周り域７における側縁部７ａの外面に対して剥離可能かつ再結合可能な状態で結合している。このパンツ型おむつ１を乳幼児にはかせるときには、ファスナ４６によって前後胴周り域７，８を予め連結し、パンツ型になっているおむつ１の胴周り開口１１を大きく広げた後に、図１のパンツ型おむつ１と同様な着用手順に従う。着用後のパンツ型おむつ１は、前胴周り域７からファスナ４６を剥離することによって、排泄物の有無を点検したり、排泄物で汚れたパンツ型おむつ１を脱がせたりすることが容易になる。ファスナ４６には、商品名マジックテープ等で知られるメカニカルファスナのフック部材やループ部材、粘着テープ等を使用することができる。前胴周り域７の側縁部７ａの外面には、ファスナ４６の相手方となり得る不織布やプラスチックフィルム等の適宜の材料を使用することができる。なお、図示例のファスナ４６は、その周縁部につかみ代４６ａが設けられている。

この発明によれば、パンツ型おむつにおける体液吸収部の両側縁部に形成された防漏部をおむつ着用者の脚周りに密着させることが容易なパンツ型おむつの製造が可能になる。

パンツ型おむつの斜視図。 パンツ型おむつ部分破断斜視図。 図１のパンツ型おむつを伸展して示す図。 実施態様の一例を示す図１と同様な図。 図４のパンツ型おむつについての図３と同様な図。 図４のパンツ型おむつの分解斜視図。 体液吸収部の部分破断斜視図。 図７のＶＩＩＩ−ＶＩＩＩ線切断面を示す図。 図７のＩＸ−ＩＸ線切断面を示す図。 図７のＸ−Ｘ線切断面を示す図。 実施態様の一例を示す図１と同様な図。

符号の説明

１ パンツ型おむつ
１Ａ 肌被覆部
１Ｂ 体液吸収部
６ 股下域
７ 前胴周り域
７ａ 側縁部
８ 後胴周り域
８ａ 側縁部
１４，１４_Ｒ，１４_Ｌ 弾性部材
２１ｃ 中央部分
２２ｃ 中央部分
２３_Ｒ，２３_Ｌ 先端部分
２４_Ｒ，２４_Ｌ 先端部分
３３_Ｒ，３３_Ｌ 側縁部
４３，４３_Ｒ，４３_Ｌ 防漏部（フラップ）
６２ 底部
３３３_Ｒ，３３３_Ｌ 側縁部
３６０，３６０_Ｒ，３６０_Ｌ 防漏部（防漏カフ）
３７１ 弾性部材
Ｈ_Ｆ 距離
Ｈ_Ｂ 距離
Ｘ 幅方向
Ｙ 前後方向

Claims (6)

1. 股下域と前記股下域の前方に形成された前胴周り域と前記股下域の後方に形成された後胴周り域とを有し、前記前胴周り域と前記後胴周り域との側縁部どうしが接合してパンツ型の肌被覆部が形成されており、前記股下域の幅方向中央域には、体液吸収性材料の集合体である体液吸収部を有し、前記体液吸収部の両側縁部にはシート材料によって形成されていて前記股下域の前後方向へ伸長された状態の弾性部材を含む防漏部を有する使い捨てのパンツ型おむつであって、
   前記前後胴周り域の内面どうしが重なり合うように畳まれた前記パンツ型おむつにおける前記股下域の内面には、前記股下域の底部から見て前記前胴周り域寄りの部位と前記後胴周り域寄りの部位とのそれぞれに、前記体液吸収部を横断して前記幅方向へ直状に延びていて両先端部分が前記防漏部に接合される一方、前記両先端部分の間が前記体液吸収部における前記内面から離間可能に形成されている前後一対の帯状部材が設けられ、前記帯状部材どうしが前記幅方向の中央部分においてのみ一体化していて前記中央部分と前記両先端部分それぞれとの間においては離間していることを特徴とする前記パンツ型おむつ。
2. 一対の前記帯状部材の間において、前記両先端部分は、前記パンツ型おむつの前記内面に沿う前後方向の寸法を二等分する幅方向中心線からの距離が等しいところにある請求項１記載のパンツ型おむつ。
3. 前記帯状部材が弾性的に伸長・収縮可能なものであって、前記幅方向へ伸長された状態にある請求項１または２記載のパンツ型おむつ。
4. 前記前胴周り域と前記後胴周り域との前記側縁部どうしが剥離可能かつ再結合可能に接合していて、はかせようとするときには予めパンツ型の形状をとらせるものである請求項１〜３のいずれかに記載のパンツ型おむつ。
5. 前記防漏部が前記体液吸収部の両側部分から前記幅方向へ延びるように形成されたフラップである請求項１〜４のいずれかに記載のパンツ型おむつ。
6. 前記防漏部が前記体液吸収部の両側部分において、前記内面から起立可能に形成された防漏カフである請求項１〜５のいずれかに記載のパンツ型おむつ。

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