WO2014122979A1

WO2014122979A1 - パンツ型おむつ

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Publication number: WO2014122979A1
Application number: PCT/JP2014/051043
Authority: WO
Inventors: 麻穂福澤; 俊介正木
Original assignee: ユニ・チャーム株式会社
Priority date: 2013-02-06
Filing date: 2014-01-21
Publication date: 2014-08-14
Also published as: PH12015501180A1; CN104902860A; PH12015501180B1; AU2014215337B2; CN104902860B; KR20150114993A; MY164340A; US20150374559A1; JP6124613B2; US10123913B2; JP2014150908A; EP2954881A1; US20190015266A1; EP2954881A4; BR112015013961A2; KR101759815B1; AU2014215337A1; BR112015013961B1; EP2954881B1

Abstract

低月齢児のＭ字型に開いた両脚に無理なく通せるパンツ型おむつの提供。ウエスト弾性体を備える前後ウエストパネル（１８，１９）の側縁部どうしがシーム部（２０）において接合され、前後ウエストパネルの外端縁（１８ａ，１９ａ）によりウエスト開口縁（２２）が形成され、前後ウエストパネルの内端縁（１８ｂ，１９ｂ）とクロッチパネル（１３）の両側縁部（１３ｃ，１３ｄ）とで一対のレッグ開口縁（２３）が形成される低月齢児用のパンツ型おむつ（１０）であって、シーム部での連結を解いて平面状に伸展したとき、外端縁間の離間寸法（Ｌ１）が３００～４００ｍｍの範囲にあり、シーム部を横切るウエスト弾性体のうち、前ウエストパネルの内端縁に最も近い前ウエストパネル側のウエスト弾性体と、後ウエストパネルの内端縁に最も近い後ウエストパネル側のウエスト弾性体との離間寸法（Ｌ２）が、外端縁間の離間寸法の少なくとも５５％である。

Description

パンツ型おむつ

　本発明は、パンツ型おむつに関し、特に、使い捨ての低月齢児用として好適なパンツ型おむつに関する。

　従来、パンツ型おむつは公知である。例えば、特許文献１には、股下域に位置する体液吸収パネルが前後方向へ伸びて、前後胴周り域それぞれの内面を形成しているシート部材に固定され、体液吸収性パネルは、その両側に形成されているフラップ部の自由縁部に股部弾性部材が伸長状態で取り付けられており、前後胴周り域の脚周り開口縁部には下方弾性体が伸長状態で取り付けられている構成の使い捨てパンツ型おむつが開示されている。

特開２００９－６１０５２号公報

　特許文献１に開示されているような従来のパンツ型おむつは、幼児が起立した状態や、はいはいが出来る成長段階から着用させることを想定して設計されている。従来のおむつの設計は、重力や排泄物の重さでおむつがずれ落ちることを防ぐため、ウエストを締める必要があるとの考えに基づいている。しかし、低月齢児は、仰向けに寝た姿勢でいることが多く、立ち上がったり歩いたりすることは無いこと、両脚がＭ字型に開いていること、股関節が未発達であることなど、起立可能な幼児には見られない特徴を有している。そのため、そもそも低月齢児向けの製品はテープ型おむつしかなく、低月齢児向けのパンツ型おむつは提供されていない。本発明者らは、この低月齢児特有の特徴に着目して鋭意研究した結果、低月齢児用おむつの場合、重力や排泄物の重さでずれ落ちないようにするためにウエストを従来のおむつのように締める必要は無いこと、おむつの吸収体は低月齢児の体にフィットさせるために軽く抑える程度でよいこと、おむつを履かせるとき低月齢児の脚に負担を与えず、また母親が不安を感じずに低月齢児の脚をおむつに楽に通せるようにするには、大きい脚ぐり寸法であることが好ましいことを見出した。しかし、特許文献１に開示されているような従来のパンツ型おむつにおいて、前後ウエスト域の脚回り開口縁部の寸法を大きくして脚ぐり寸法を広げようとすると、低月齢児の脚回りにフィットさせるために、下方弾性体の伸長倍率を上げる必要が出てくる。しかし、下方弾性体の伸長倍率を上げることは、上述の低月齢児に適したおむつの条件に反する。このように、低月齢児に適したパンツ型おむつの条件を満たすことは困難なため、低月齢児に適したサイズのパンツ型おむつが待ち望まれている。

　本発明の目的は、仰向けに寝た状態の新生児等の低月齢児のＭ字型に開いた両脚に負担をかけることなく、また母親に不安を感じさせることなく楽に着用可能な使い捨ての低月齢児用として好適なパンツ型おむつの提供にある。

　前記課題を解決するために、本発明は、互いに直交する横方向及び縦方向を有し、前記横方向に延びる前ウエストパネル及び後ウエストパネルと、前記縦方向に延びて前記前後ウエストパネルに接合されるクロッチパネルとを備え、前記前後ウエストパネルのそれぞれに、前記横方向に延びる複数条のウエスト弾性体が伸長状態で収縮可能に固定され、前記クロッチパネルの両側縁部にレッグ弾性体が伸長状態で収縮可能に固定されており、前記前後ウエストパネルの側縁部がシーム部において互いに連結されて、前記前後ウエストパネルの外端縁によりレッグ開口縁が形成され、前記前後ウエストパネルの内端縁と前記クロッチパネルの両側縁とにより一対のレッグ開口縁が形成されるパンツ型おむつに関する。

　本発明に係るパンツ型おむつは、前記前後ウエストパネルの前記側縁部の連結を解いて前記おむつを平面状に伸展したとき、前記前後ウエストパネルの前記外端縁の離間寸法が３００ｍｍ～４００ｍｍの範囲にあり、前記シーム部を横切る前記ウエスト弾性体のうち、前記前ウエストパネルの前記内端縁に最も近い前記前ウエストパネル側の前記ウエスト弾性体と、前記後ウエストパネルの前記内端縁に最も近い前記後ウエストパネル側の前記ウエスト弾性体との離間寸法が、前記前後ウエストパネルの前記外端縁の離間寸法の少なくとも５５％であることを特徴とする。

　本発明に係るパンツ型おむつにおいては、前後ウエストパネルの外端縁の離間寸法が３００ｍｍ～４００ｍｍの範囲にあり、シーム部を横切るウエスト弾性体のうち、前ウエストパネルの内端縁に最も近い前ウエストパネル側のウエスト弾性体と、後ウエストパネルの内端縁に最も近い後ウエストパネル側のウエスト弾性体との離間寸法が、前後ウエストパネルの外端縁の離間寸法の少なくとも５５％であるため、パンツを着用させる際に脚を通す箇所の伸縮可能範囲が大きくなる結果、仰向けに寝た状態の低月齢児のＭ字型に開いた両脚を無理なく通して着用させることができるパンツ型おむつが提供される。本発明に係るパンツ型おむつによれば、低月齢児に着用させるパンツ型おむつとして好適である。

　図面は、本発明の特定の実施形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
本発明に係るパンツ型おむつの一例の斜視図。パンツ型おむつを平面状に伸展したときの一部破断平面図。おむつの分解斜視図。図２のＩＶ－ＩＶ線模式断面図。図２のＶ－Ｖ線模式断面図。

　図１、図２を参照すると、本発明に係るパンツ型おむつ１０は、互いに直交する横方向Ｘ及び縦方向Ｙと、着用者の肌に対向する肌対向面及びその反対側に位置する非肌対向面とを有し、横方向Ｘに延びる前ウエストパネル１８及び後ウエストパネル１９と、縦方向Ｙに延びて前後ウエストパネル１８，１９に連結される吸収性シャシーとして機能するクロッチパネル１３とを備える。前ウエストパネル１８及び後ウエストパネル１９は、一対のシーム部２０において側縁部が互いに連結されることにより、環状のベルトを形成している。クロッチパネル１３は、その前後端部１３ａ，１３ｂ（図２参照）が、それぞれ前ウエストパネル１８及び後ウエストパネル１９の中央部に接合されている。また、おむつ１０は、前ウエストパネル１８の外端縁１８ａと後ウエストパネル１９の外端縁１９ａとにより形成されるウエスト開口縁２２と、クロッチパネル１３の両側縁１３ｃ，１３ｄと、前ウエストパネル１８及び後ウエストパネル１９の内端縁１８ｂ及び内端縁１９ｂとにより形成される一対のレッグ開口縁２３とを有する。

　図２は、図１のおむつ１０のシーム部２０における前ウエストパネル１８と後ウエストパネル１９の両側縁部の連結を解き、平面状に伸展したときのおむつ１０の一部破断平面図である。前ウエストパネル１８と後ウエストパネル１９は同形同大の矩形形状を有する。前ウエストパネル１８は、横方向Ｘに延びる外端縁１８ａ及び内端縁１８ｂと、外内端縁１８ａ，１８ｂに直交する両側縁１８ｃ，１８ｄとを有し、後ウエストパネル１９は、横方向Ｘに延びる外端縁１９ａ及び内端縁１９ｂと、外端縁１９ａ及び内端縁１９ｂに直交する両側縁１９ｃ，１９ｄとを有する。互いに対応する前ウエストパネル１８の両側縁部１８ｃ，１８ｄと後ウエストパネル１９の両側縁部１９ｃ，１９ｄの肌対向面を互いに重ね合わせて、縦方向Ｙに延びるシーム部２０において、例えば熱エンボス／デボス加工、超音波溶着などの公知の熱溶着手段によって接合されることにより、前後ウエストパネル１８，１９の外端縁１８ａ，１９ａとで、おむつ１０のウエスト開口縁２２が形成される。前後ウエストパネル１８，１９には横方向Ｘに延びる複数条のウエスト弾性体３０が伸長状態で収縮可能に固定されており、クロッチパネル１３の両側縁部１３ｃ，１３ｄには縦方向Ｙに延びる複数条の第１レッグ弾性体３２が伸長状態で収縮可能に固定されている。

　図３に示すように、前後ウエストパネル１８，１９は、それぞれ、１枚の前シート２４及び１枚の後シート２５を半分に折り返したその間に、横方向Ｘに延びる複数条のウエスト弾性体３０を伸長状態でホットメルト接着剤により収縮可能に固定して形成されている。ただし、前後ウエストパネル１８，１９は、それぞれ、肌対向面側に位置する内側シートと、非肌対向面側に位置する外側シートとで形成することもできる。

　前シート２４及び後シート２５は、通気性を有する熱可塑性樹脂製の繊維不織布またはプラスチックシートを用いて形成することが好ましい。熱可塑性樹脂製の繊維不織布またはプラスチックシートとして、例えば、単位面積当り質量が約１５～３０ｇ／ｍ^２のＳＭＳ（スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド）繊維不織布、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、通気性プラスチックシートから成る群から１種または２種以上を選択して用いることができる。

　前シート２４及び後シート２５において横方向Ｘに延びる複数条のウエスト弾性体３０は、それぞれ、ストランド状又はストリング状の弾性材で形成されており、ホットメルト接着剤を用いて、折り返されたシート間に伸長状態で固定されている。このようにして前後ウエストパネル１８，１９に取り付けられたウエスト弾性体３０は、前後ウエストパネル１８，１９において横方向Ｘに延び、前後ウエストパネル１８，１９を連結したときにシーム部２０を横切る。シーム部２０を横切るウエスト弾性体３０のうち、前後ウエストパネル１８，１９の外端縁１８ａ，１９ａに最も近いウエスト弾性体３０ａは、外端縁１８ａ，１９ａに重なり合って延在する。一方、シーム部２０を横切るウエスト弾性体３０のうち、前後ウエストパネル１８，１９の内端縁１８ｂ，１９ｂに最も近いウエスト弾性体３０ｂは、内端縁１８ｂ，１９ｂから５～１０ｍｍ離間した位置で横方向Ｘに延在する。複数条の弾性材として、例えば、繊度３１０～６２０ｄｔｅｘ、好ましくは繊度４００～６００ｄｔｅｘのゴム紐等の弾性材を用いて、伸長倍率２．０～３．５倍、好ましくは伸長倍率２．０～２．５倍、さらに好ましくは２．２～２．３倍において、折り返した前シート２４及び後シート２５の間に固定することができる。ウエスト弾性体３０は、前後ウエストパネル１８，１９を低月齢児のウエストに適度にフィットさせる機能を有する。低月齢児の肌は、高月齢児と比較すると柔らかいので、ウエスト弾性体３０の伸長倍率を、高月齢の幼児用の場合よりも低くすることが好ましい。ここで低月齢児とは、月齢が誕生から１２ヶ月まで、特に８ヶ月までであって、起立したり這ったりしない幼児をいい、かつ、高月齢児とは、前記低月齢児以外の幼児をいう。

　図２，３を参照して、クロッチパネル１３は矩形形状を有し、吸収構造体１１と、吸収構造体１１の少なくとも肌対向面を覆う内面カバー１２と、肌対向面側に吸収構造体１１が配置される底面シート４４と、底面シート４４の非肌対向面側に配置される外面カバー４５とを含む。クロッチパネル１３は、横方向Ｘに延びる前後端部１３ａ，１３ｂと、縦方向Ｙに延びる両側縁部１３ｃ，１３ｄを有し、クロッチパネル１３の前後端部１３ａ，１３ｂの非肌対向面が、それぞれ、前ウエストパネル１８及び後ウエストパネル１９の肌対向面の中央部にホットメルト接着剤により接合されている。この実施形態では、ホットメルト接着剤は、前ウエストパネル１８及び後ウエストパネル１９と、クロッチパネル１３の前後端部１３ａ，１３ｂとの間に、縦方向Ｙと平行な方向にストライプ状に塗布されている（図示せず）。また、クロッチパネル１３の両側縁部１３ｃ，１３ｄには、縦方向Ｙに延びる第１レッグ弾性体３２が伸長状態で収縮可能に固定されている。さらに、クロッチパネル１３の肌対向面側には、両側縁部１３ｃ，１３ｄに並行に延びる一対のレッグカフス４０が設けられている。

　底面シート４４は、吸収構造体１１の非肌対向面を完全に覆うことができる面積を有しており、液不透過性かつ通気性のプラスチックフィルムから形成されている。外面カバー４５は、おむつ１０の内外面の一部を構成するので、通気性があり肌触りの良い繊維不織布で形成することが好ましい。吸収構造体１１は、縦方向Ｙにおける中央部が内側に凹曲する形状を有し、例えば、木材フラッフパルプ及び超吸収性ポリマー粒子（ＳＡＰ）等の公知の体液吸収性材料をティッシュペーパで包んだ吸収性コア１１ａと、これを液透過性と柔軟性を有する繊維不織布で形成される身体側ライナ１１ｂで覆うことにより形成することができるが、これに限定されない。吸収構造体１１は、底面シート４４の肌対向面にホットメルト接着剤により接合されている。また、吸収構造体１１の端部１１ｃ，１１ｄは、それぞれ前後ウエストパネル１８，１９のウエスト弾性体３０が存在する部分と重なり合っており、ウエスト弾性体３０の伸縮に伴い、吸収構造体１１の端部１１ｃ，１１ｄの横方向Ｘにおける見掛け上の寸法も変化し得る。

　クロッチパネル１３を構成する外面カバー４５は、横方向Ｘにおける寸法が底面シート４４よりも大きく、底面シート４４に重ね合わされて接合されたとき、横方向Ｘにおいて底面シート４４の両外側に延びる一対の延出部４６を有する。吸収構造体１１は一対の延出部４６の間に位置する。各延出部４６において、底面シート４４の側縁に沿って延びる領域には、縦方向Ｙに延びる複数条の第１レッグ弾性体３２が伸長状態でホットメルト接着剤により固定されている。第１レッグ弾性体３２には、横方向Ｘにおいて吸収構造体１１に最も近い内側弾性体３２ａと、吸収構造体１１から最も遠い外側弾性体３２ｂとが含まれている。

　外面カバー４５の両側縁部では、肌対向面を内側にして折り返して形成されるスリーブ４３の中に、縦方向Ｙに延びる複数条の第２レッグ弾性体４２が伸長状態でホットメルト接着剤により収縮可能に固定されている。スリーブ４３は、レッグカフ４０の自由縁部４０ｄとして機能する。第１レッグ弾性体３２及び第２レッグ弾性体４２には、ウエスト弾性体３０と同様の弾性材を用いることができる。第１レッグ弾性体３２及び第２レッグ弾性体４２の伸長倍率は、２．０～３．５倍の範囲にすることができる。第２レッグ弾性体４２の伸長倍率を、ウエスト弾性体３０の伸長倍率より高くすることが好ましく、例えば、第２レッグ弾性体４２の伸長倍率の値を、ウエスト弾性体３０の伸長倍率の値よりも１．１～１．３倍高い値にすることが好ましい。これにより、第２レッグ弾性体４２をウエスト弾性体３０よりも大きく収縮可能にしてレッグカフ４０を低月齢児の脚にフィットさせることができるので、脚を通すための箇所の寸法を大きくしたおむつ１０の脚回りからの体液の漏れを防止することができる。

　図４に示すように、外面カバー４５は外側弾性体３２ｂに沿って肌対向面を内側にして折り返され、折り返された外面カバー４５の間には、内側弾性体３２ａを含む第１レッグ弾性体３２と、底面シート４４の側縁とが挟み込まれる。折り返した外面カバー４５の対向面どうしの外側弾性体３２ｂから内側弾性体３２ａに至る部分が、ホットメルト接着剤により貼り合わされている。なお、図４では外面カバー４５の折り返し線を一点鎖線で示している。おむつ１０が着用されたとき、外面カバー４５を折り返して外側弾性体３２ｂを伸長状態で挟み込んだ部分が、レッグ開口縁２３の一部を形成して低月齢児の脚にフィットすることにより漏れを防止する。なお、クロッチパネル１３の横方向Ｘにおける寸法は、おむつ１０を平面状に伸展したときの一対の外側弾性体３２ｂ間の距離に相当する。

　一方、縦方向Ｙに延びる内側弾性体３２ａは、平面視においてレッグカフ４０の固定縁部４０ｃとほぼ重なり合う。レッグカフ４０は、クロッチパネル１３の両側縁部１３ｃ，１３ｄに沿って延び、固定縁部４０ｃを基端部として身体側ライナ１１ｂから着用者側へ離間可能である。レッグカフ４０の両端部４０ａ，４０ｂは、それぞれ前ウエストパネル１８上と後ウエストパネル１９上とに位置し、図５に示すように、自由縁部４０ｄ（スリーブ４３）をおむつ１０の外方に向けて折り返した状態で、吸収構造体１１の肌対向面にホットメルト接着剤により接合されることにより、前ウエストパネル１８及び後ウエストパネル１９に対し接合される。レッグカフ４０の残余の部分は他の部材に接合されていないため、おむつ１０が着用されたとき、図４に仮想線で示すように、第２レッグ弾性体４２の収縮によりクロッチパネル１３に対し起立した状態になる。また、両端部４０ａ，４０ｂにおいて自由縁部４０ｄがおむつ１０の外方に向けて折り返された状態で接合されているため、レッグカフ４０は、起立した状態からおむつ１０の外方に向けて倒れ易くなる。これにより、低月齢児におむつ１０を着用させるとき、低月齢児の脚がレッグカフ４０に引っかかることが防止される。

　また、第２レッグ弾性体４２の伸長倍率を、第１レッグ弾性体３２の伸長倍率の伸長倍率と同じにすることが好ましい。これにより、低月齢児の脚に対して同等の収縮力で第１レッグ弾性体３２及び第２レッグ弾性体４２が接するので、脚回りからの漏れ防止効果を高めることができる。また、低月齢児の脚に対するフィット性を確保するために必要な収縮力を、第１レッグ弾性体３２及び第２レッグ弾性体４２に均等に配分することで、どちらか一方のギャザー跡が悪化するようなことがない。第１レッグ弾性体３２の伸長倍率を第２レッグ弾性体４２より高くすると、おむつ１０を着用させたとき第２レッグ弾性体４２がたるんでしまい低月齢児の体に密着し難くなる結果漏れ防止効果が低下し、また、レッグ開口部を通して尿便が透けて見えてしまい、漏れが生じているように見えてしまう。一方、第１レッグ弾性体３２の伸長倍率を第２レッグ弾性体４２より低くすると、第１レッグ弾性体３２が低月齢児の体に密着せず隙間が出来るため漏れ防止効果が低下する。また、第２レッグ弾性体４２の伸長倍率が第１レッグ弾性体３２よりも高くなるので、低月齢児の股間にレッグカフ４０が食い込み易くなる。

　再び図２を参照して、本発明のおむつ１０では、前後ウエストパネル１８，１９のシーム部２０における連結を解いておむつ１０を平面状に伸展したとき、前後ウエストパネル１８，１９の外端縁１８ａ，１９ａどうしの間の離間寸法Ｌ１が３００ｍｍ～４００ｍｍの範囲にある。また、シーム部２０を横切るウエスト弾性体３０のうち、前ウエストパネル１８の内端縁１８ｂに最も近い前ウエストパネル１８側のウエスト弾性体３０ｂと、後ウエストパネル１９の内端縁１９ｂに最も近い後ウエストパネル１９側のウエスト弾性体３０ｂの間の離間寸法Ｌ２が、外端縁１８ａ，１９ａの離間寸法Ｌ１の少なくとも５５％である。好ましくは、離間寸法Ｌ２は、離間寸法Ｌ１の６０％～８０％の範囲であり、より好ましくは６０％～７０％の範囲である。離間寸法Ｌ１及び離間寸法Ｌ２をこのような範囲にすることにより、レッグ開口縁２３の伸長可能範囲を大きくすることができるので、仰向けに寝た状態の低月齢児におむつ１０を着用させる際に脚を通すための箇所の寸法を大きくすることが可能となり、低月齢児のＭ字型に開いた両脚を無理なく通して着用させることができるパンツ型おむつが提供される。なお、離間寸法Ｌ２が離間寸法Ｌ１の５５％未満の場合、レッグ開口縁２３の伸長可能範囲を十分大きくすることができないため、低月齢児の脚を通し難くなる。一方、離間寸法Ｌ２が離間寸法Ｌ１の８０％を超えると、レッグ開口縁２３から漏れが生じやすくなる。また、離間寸法Ｌ１が４００ｍｍを超えると、クロッチ部のもたつきにより外観が悪くなるばかりでなく、レッグ開口縁２３に隙間ができ易くなること、及び排尿口と吸収構造体１１との距離が遠くなることにより、漏れが生じ易くなる。

　また、本発明の一態様では、第１レッグ弾性体３２及びウエスト弾性体３０が伸長状態にあるとき、各レッグ開口縁２３の周長が３３０ｍｍ～４３０ｍｍの範囲にあることが好ましい。ここでいう「レッグ開口縁２３の周長」とは、図２の紙面左側のレッグ開口縁２３を例にとると、第１レッグ弾性体３２及びウエスト弾性体３０が伸長状態にあるときの、前ウエストパネル１８の内端縁１８ｂに最も近いウエスト弾性体３０ｂと、シーム部２０の内側２１との交点から出発して、前ウエストパネル１８側のウエスト弾性体３０ｂ、クロッチパネル１３の側縁部１３ｃに最も近い第１レッグ弾性体３２、後ウエストパネル１９の内端縁１９ｂに最も近いウエスト弾性体３０ｂを経由して、後ウエストパネル１９側のウエスト弾性体３０ｂと、シーム部２０の内側２１との交点に至る経路の長さを意味する。ここで、前ウエストパネル１８の内端縁１８ｂに最も近いウエスト弾性体３０ｂとは、シーム部２０を横切るウエスト弾性体３０のうち、前ウエストパネル１８の内端縁１８ｂに最も近い前ウエストパネル１８側のウエスト弾性体３０ｂを意味し、後ウエストパネル１９の内端縁１９ｂに最も近いウエスト弾性体３０ｂとは、シーム部２０を横切るウエスト弾性体３０のうち、後ウエストパネル１９の内端縁１９ｂに最も近い後ウエストパネル１９側のウエスト弾性体３０ｂを意味する。紙面右側のレッグ開口縁２３についても同様である。レッグ開口縁２３の周長が４３０ｍｍを超えると、おむつ１０の脚回りから体液が漏れ易くなり、３３０ｍｍ未満の場合は、低月齢児におむつ１０を着用させるとき、脚を通し難くなる。

　本発明の別の態様では、ウエスト弾性体３０が伸長状態にあるとき、ウエスト開口縁２２の周長が５５０ｍｍ～６５０ｍｍの範囲であることが好ましい。ここでいう「ウエスト開口縁２２の周長」とはシーム部２０の内側２１を起点とする周長であり、詳しくは、ウエスト弾性体３０が伸長状態にあるとき、いずれか一方のシーム部２０の内側２１から前後ウエストパネル１８，１９の外端縁１８ａ，１９ａを経由して元のシーム部２０の内側２１に戻る経路における周長を意味する。ウエスト開口縁２２の周長が６５０ｍｍを超えると、低月齢児の細い体にフィットさせるためにウエスト弾性体３０の伸長倍率を大きくする必要が生じ、低月齢児の腹部にウエスト弾性体３０で押された跡がつく可能性があるため、好ましくない。ウエスト開口縁２２の周長が５５０ｍｍ未満の場合には、低月齢児におむつ１０を着用させる際に、Ｍ字型に開いた脚を通し難くなる。

　本発明の別の態様では、前後ウエストパネル１８，１９の横方向Ｘにおける寸法に対するクロッチパネル１３の横方向Ｘにおける寸法の比率が少なくとも５０％であり、好ましくは５０％～７０％の範囲である。この寸法の比率が５０％未満の場合は、低月齢児のＭ字型に開いた脚とクロッチパネル１３との間に隙間が生じ易く、漏れの原因となる。なお、前後ウエストパネル１８，１９の横方向Ｘにおける寸法とは、おむつ１０を平面状に伸展したときの、前ウエストパネル１８または後ウエストパネル１９における一対のシーム部２０の内側２１の間の最小離間距離を意味する。また、クロッチパネル１３の横方向Ｘにおける寸法とは、おむつ１０を平面状に伸展したときのクロッチパネル１３の両側縁１３ｃ，１３ｄの間の寸法を意味する。

　低月齢児のＭ字型に開いた両脚を通して無理なく着用させることを目的としておむつ１０の脚回りの寸法を大きくすると、脚回りから体液の漏れが生じるおそれがあるが、レッグカフ４０を設けることにより、このような漏れを防止できるので好ましい。また前述のように、第２レッグ弾性体４２の伸長倍率をウエスト弾性体３０の伸長倍率より高くするとともに、レッグカフ４０を起立した状態からおむつ１０の外方に向けて倒れ易くすることにより、おむつ１０の漏れ防止と履かせやすさを両立させることができる。

　上記では、矩形の前後ウエストパネル１８，１９、及びクロッチパネル１３からなるパンツ型おむつ１０の例について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば前後ウエストパネル１８，１９の内端縁１８ｂ，１９ｂが下方に向けて台形状又は円弧状に突き出す形状であってもよい。また、前ウエストパネル１８と後ウエストパネル１９の縦方向Ｙにおける寸法が等しい例について説明したが、例えば縦方向Ｙにおける寸法が、前ウエストパネル１８よりも後ウエストパネル１９の方が大きい形状であってもよい。

　おむつ１０を構成する各構成部材には、特に明記されていない限りにおいて、本明細書に記載されている材料のほかに、この種の分野において通常用いられている、各種公知の材料を制限なく用いることができる。また、「ホットメルト接着剤により接合」とは、特に断りの無い限り、スパイラル状、ドット状、ストライプ状等、公知のパターンでホットメルト接着剤を塗布して接合することを意味する。

　以上に記載した本発明に関する開示は、少なくとも下記事項に要約することができる。
　互いに直交する横方向及び縦方向を有し、横方向に延びる前ウエストパネル及び後ウエストパネルと、縦方向に延びて前後ウエストパネルに接合されるクロッチパネルとを備え、前後ウエストパネルのそれぞれに、横方向に延びる複数条のウエスト弾性体が伸長状態で収縮可能に固定され、クロッチパネルの両側縁部にレッグ弾性体が伸長状態で収縮可能に固定されており、前後ウエストパネルの側縁部がシーム部において互いに連結されて、前後ウエストパネルの外端縁によりウエスト開口縁が形成され、前後ウエストパネルの内端縁とクロッチパネルの両側縁部とにより一対のレッグ開口縁が形成されるパンツ型おむつであって、前後ウエストパネルのシーム部における連結を解いておむつを平面状に伸展したとき、前後ウエストパネルの外端縁の離間寸法が３００ｍｍ～４００ｍｍの範囲にあり、シーム部を横切るウエスト弾性体のうち、前ウエストパネルの内端縁に最も近い前ウエストパネル側のウエスト弾性体と、後ウエストパネルの内端縁に最も近い後ウエストパネル側のウエスト弾性体との離間寸法が、前後ウエストパネルの外端縁の離間寸法の少なくとも５５％である。

　上記の本発明は、少なくとも下記の実施の形態を含むことができ、かつ、該各形態を単独又は組み合わせることができる。
（１）レッグ弾性体及びウエスト弾性体が伸長状態にあるとき、一対のレッグ開口縁のそれぞれの周長が３３０ｍｍ～４３０ｍｍの範囲にある。
（２）ウエスト弾性体が伸長状態にあるとき、ウエスト開口縁の周長が５５０ｍｍ～６５０ｍｍの範囲である。
（３）前後ウエストパネルの横方向の寸法に対するクロッチパネルの横方向の寸法の比率が少なくとも５０％である。
（４）ウエスト弾性体の伸長倍率よりも、レッグ弾性体の伸長倍率の方が高い。
（５）おむつを前後ウエストパネルの側縁部の連結を解いて平面状に伸展したとき、クロッチパネルの両側縁部に沿って一対のレッグカフスが設けられ、レッグカフスはクロッチパネルの両側縁部に並行に延びる固定縁部及び自由縁部と、固定縁部及び自由縁部に直交する両端部とを有し、自由縁部には第２レッグ弾性体が伸長状態で収縮可能に固定され、両端部において、自由縁部がおむつの横方向における外方に向けて折り返されて前後ウエストパネルに対し接合されている。
（６）第１レッグ弾性体と第２レッグ弾性体の伸長倍率が互いに等しい。

１０　　パンツ型おむつ
１１　　吸収構造体
１３　　クロッチパネル
１３ｃ，１３ｄ　クロッチパネルの側縁部
１８　　前ウエストパネル
１８ａ　前ウエストパネルの外端縁
１８ｂ　前ウエストパネルの内端縁
１８ｃ，１８ｄ　前ウエストパネルの側縁部
１９　　後ウエストパネル
１９ａ　後ウエストパネルの外端縁
１９ｂ　後ウエストパネルの内端縁
１９ｃ，１９ｄ　後ウエストパネルの側縁部
２０　　シーム部
２２　　ウエスト開口縁
２３　　レッグ開口縁
３０　　ウエスト弾性体
３０ｂ　内端縁に最も近い弾性体
３２　　第１レッグ弾性体
４０　　レッグカフ
４０ａ，４０ｂ　レッグカフの両端部
４０ｃ　固定縁部
４０ｄ　自由縁部
４２　　第２レッグ弾性体
Ｘ　　　横方向
Ｙ　　　縦方向

Claims

　互いに直交する横方向及び縦方向を有し、前記横方向に延びる前ウエストパネル及び後ウエストパネルと、前記縦方向に延びて前記前後ウエストパネルに接合されるクロッチパネルとを備え、
　前記前後ウエストパネルのそれぞれに、前記横方向に延びる複数条のウエスト弾性体が伸長状態で収縮可能に固定され、前記クロッチパネルの両側縁部に第１レッグ弾性体が伸長状態で収縮可能に固定されており、前記前後ウエストパネルの側縁部が互いにシーム部において連結されて、前記前後ウエストパネルの外端縁によりウエスト開口縁が形成され、前記前後ウエストパネルの内端縁と前記クロッチパネルの両側縁部とにより一対のレッグ開口縁が形成されるパンツ型おむつであって、
　前記前後ウエストパネルの前記シーム部における連結を解いて前記おむつを平面状に伸展したとき、前記前後ウエストパネルの前記外端縁の離間寸法が３００ｍｍ～４００ｍｍの範囲にあり、
　前記シーム部を横切る前記ウエスト弾性体のうち、前記前ウエストパネルの前記内端縁に最も近い前記前ウエストパネル側の前記ウエスト弾性体と、前記後ウエストパネルの前記内端縁に最も近い前記後ウエストパネル側の前記ウエスト弾性体との離間寸法が、前記前後ウエストパネルの前記外端縁の離間寸法の少なくとも５５％であることを特徴とする前記おむつ。
　前記第１レッグ弾性体及び前記ウエスト弾性体が前記伸長状態にあるとき、前記一対のレッグ開口縁のそれぞれの周長が３３０ｍｍ～４３０ｍｍの範囲にある請求項１記載のおむつ。
　前記ウエスト弾性体が前記伸長状態にあるとき、前記ウエスト開口縁の周長が５５０ｍｍ～６５０ｍｍの範囲である請求項１または２記載のおむつ。
　前記前後ウエストパネルの前記横方向の寸法に対する前記クロッチパネルの前記横方向の寸法の比率が少なくとも５０％である、請求項１～３のいずれか１項に記載のおむつ。
　前記ウエスト弾性体の伸長倍率よりも、前記第１レッグ弾性体の伸長倍率の方が高い、請求項１～４のいずれか１項に記載のおむつ。
　前記おむつを前記前後ウエストパネルの前記側縁部の連結を解いて平面状に伸展したとき、前記クロッチパネルの前記両側縁部に沿って一対のレッグカフスが設けられ、前記レッグカフスはクロッチパネルの両側縁部に並行に延びる固定縁部及び自由縁部と、前記固定縁部及び前記自由縁部に直交する両端部とを有し、前記自由縁部には第２レッグ弾性体が伸長状態で収縮可能に固定され、前記両端部において、前記自由縁部が前記おむつの横方向における外方に向けて折り返されて前記前後ウエストパネルに対し接合されている、請求項１～５のいずれか１項に記載のおむつ。
　前記第１レッグ弾性体と前記第２レッグ弾性体の伸長倍率が互いに等しい、請求項６に記載のおむつ。