JP2008115473A - シリコン含有膜の製造装置及び製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複雑な形状の部材であっても、部材加熱手段を設けて加熱することなしに、その表面に付着した膜を効率よく完全に除去可能な付着膜の除去ができるシリコン含有膜の製造装置を提供する。
【解決手段】処理室1の内部に、原料ガスとクリーニングガスとを切り換えて導入するためのガス導入切換手段と、発熱下において、前記原料ガス及びクリーニングガスを分解及び/又は活性化するための発熱体3とを有するリコン含有膜の製造装置とする。
【選択図】図1
【解決手段】処理室1の内部に、原料ガスとクリーニングガスとを切り換えて導入するためのガス導入切換手段と、発熱下において、前記原料ガス及びクリーニングガスを分解及び/又は活性化するための発熱体3とを有するリコン含有膜の製造装置とする。
【選択図】図1
Description
本発明は付着膜の除去方法に係り、特に、所定の温度に維持された発熱体を用いて所定の膜を作製する発熱体CVD装置であって、in situ(その場)クリーニング法を行うことができるシリコン含有膜の製造装置及び製造法に関する。
LSI(大規模集積回路)を始めとする各種半導体デバイスやLCD(液晶ディスプレイ)等の作製においては、基板上に所定の薄膜を作製するプロセスの1つとして化学気相堆積(Chemical Vapor Deposition,CVD)法が広く用いられている。
CVD法には、放電プラズマ中で原料ガスを分解及び/又は活性化させて成膜を行うプラズマCVD法や基板を加熱してその熱により化学反応を生じさせて成膜を行う熱CVD法等の他に、所定の高温に維持した発熱体により原料ガスを分解及び/又は活性化させて成膜を行う方式のCVD法(以下、発熱体CVD法と呼ぶ)がある。
発熱体CVD法を行う成膜処理装置(発熱体CVD装置)は、真空排気可能な処理室内に基板を配置し、処理室内に設けられたタングステン等の高融点金属からなる発熱体を1000〜1800℃程度の温度に維持しながら原料ガスを導入するよう構成されている。導入された原料ガスは、発熱体の表面を通過する際に分解や活性化され、これらが基板に到達することにより最終的な目的物である材料の膜が基板の表面に堆積する。なお、このような発熱体CVD法のうち、ワイヤ状の発熱体を用いるものについてはホットワイヤ(Hot Wire)CVD法と呼ばれ、また、発熱体による原料ガスの分解あるいは活性化において発熱体の触媒反応を利用していると考えられているものについては触媒CVD(またはCat−CVD:Catalytic−CVD)法と呼ばれる。
発熱体CVD法では原料ガスの分解や活性化は、発熱体の表面を通過する際に起こるため、基板の熱のみによって反応を生じさせる熱CVD法に比べて基板の温度を低くできるという長所がある。また、プラズマCVD法のようにプラズマを形成することがないので、プラズマによる基板のダメージといった問題からも無縁である。このようなことから、発熱体CVD法は、高集積化や高機能化が益々進む次世代の半導体デバイスや表示デバイス等の成膜方法として有望視されている。
ところで、CVD法に限らず各種成膜法により基板上に膜を堆積する成膜処理装置では、成膜中に、基板以外の成膜処理装置内部の構成部材にも膜が付着する。成膜処理装置の内部に付着した膜は、厚くなると剥離してゴミの原因となる。基板上の膜中に取り込まれたり膜表面に付着したゴミは、デバイスの欠陥原因となり製品歩留まりを低下させてしまう。そのため、基板上への膜堆積を連続して繰り返し行う途中で、付着膜が剥離する前に適宜なタイミングで成膜処理装置内部に付着した膜を除去する必要がある。
付着膜の剥離によるゴミの発生を防止する方法としては、成膜処理室内面を適当な防着板等の部材で覆い、この部材に膜を付着させて、これを定期的に交換する方法がある。しかし、例えば、CVD装置では狭い隙間やこれら部材の裏など細部にまで膜が付着するため、これらの膜の剥離によるゴミの発生を完全に防止することは困難である。
また、付着膜を除去する方法として、成膜処理室内に所定のクリーニングガスを導入してプラズマや熱のエネルギーの作用により、クリーニングガスと付着膜とを反応させ、付着膜を気体状の生成物にして排気除去する方法( in situ(その場)クリーニング法と呼ばれる)がある。この方法は、処理室内を大気に曝さずに処理できることから、安定した膜特性を継続して得ることができるとともに、部材交換、処理室を大気圧から所定の圧力まで排気する必要もないため、クリーニング工程に要する時間を短縮することができ、生産性において有利である。しかも、細部に付着した膜も除去できるのでゴミの発生を抑制するのに効果的である。
この in situ クリーニング法としては、例えばシリコンや窒化シリコンの成膜を行うプラズマCVD装置の場合、成膜を繰り返し行った後、適宜なタイミングで、処理室内にNF3やCF4、CCl4等のクリーニングガスを導入してプラズマを発生させる。プラズマにより分解及び/又は活性化したクリーニングガスは付着膜と反応し、シリコン膜の場合は四フッ化シリコン(SiF4)や四塩化シリコン(SiCl4)、窒化シリコン膜の場合はこれらと窒素(N2)と言った気体状の生成物にして排気除去する。一方、クリーニングガスにClF3のように分解しやすいガスを用いる場合は、プラズマを用いることなしに、成膜処理室を加熱するだけで、付着膜を気体状生成物として排気除去できる。しかしながら、実用上の除去速度を得るためには成膜室を200℃程度に加熱する必要があるため、真空シールの劣化の問題の他、成膜処理室の加熱、冷却に長時間を要し、実質的なクリーニング処理時間が長くなるという問題もある。
上述したように、成膜処理室の in situ クリーニングは、安定した膜特性を継続して堆積するためには極めて重要なプロセスである。そこで、本発明者は、今後発展が見込まれる発熱体CVD法によって膜堆積を行う成膜処理装置について in situ クリーニング方法の検討を行ったところ、上記した従来の in situクリーニング法では、発熱体自体がクリーニングガスと反応してしまい、ワイヤの線径が減少してしまうことが分かった。即ち、発熱体CVD装置の成膜処理室内に予めプラズマ発生用の電極を配設しておき、クリーニングガスを導入してプラズマを発生させてクリーニングを行うと、付着膜は除去できるものの、発熱体自身も細線化してしまい、次に成膜をしようとすると所望の発熱特性が得られなくなるという問題が起こることが分かった。
一方、クリーニングガスにClF3を用い、成膜処理室をヒータで外部から200℃に加熱し、ガスを導入してクリーニングを行った場合も、同様に発熱体がクリーニングガスと反応し、細線化するという問題が起こることが分かった。
以上のように、従来の in situ クリーニング法は発熱体CVD装置に適用することはできないことが明らかになった。しかし、発熱体CVD法による成膜を安定かつ継続して行い、常に高特性の膜を得るためには in situ クリーニングは不可欠な技術であることから、本発明者は、かかる in situ クリーニング技術を確立すべく、クリーニング条件の検討を行った。
本発明者は、種々のクリーニング条件の検討の一環として、発熱体自体を加熱してクリーニング処理を行ったところ、加熱すると発熱体の消耗は加速されるものの、極めて高温で処理すると、発熱体とクリーニングガスとの反応が抑制されることを見出した。この特異な現象が起こる理由の詳細は現在のところ明らかではないが、本発明者は、発熱体の温度が非常に高いと、クリーニングガスが発熱体表面に付着している時間が、クリーニングガスが発熱体と反応するのに要する時間よりも短く、実質上反応が生じなくなるためではないかと考えている。さらに、発熱体を所定の温度以上に加熱することで、プラズマを発生させなくても成膜処理装置の内部に付着した膜を効率よく除去できることも見出した。
本発明は、上記知見に基づいて初めて完成できたものであり、本発明の目的とするところは、複雑な形状の部材であっても、部材加熱手段を設けて加熱することなしに、その表面に付着した膜を効率よく完全に除去可能な付着膜の除去ができるシリコン含有膜の製造装置及び製造法を提供することにある。さらに、本発明の目的は、所定の温度に維持された発熱体を用いて所定の膜を作製する発熱体CVD装置で、処理室を大気に戻すことなく成膜処理室の内部に付着した膜を除去できる in situ クリーニング法を行うことができるシリコン含有膜の製造装置及び製造法を提供することにある。
本発明は、発明者が上記目的を達成するために鋭意研究した結果、完成するに至ったものであり、本発明のシリコン含有膜の製造装置は、
処理室、
前記処理室の内部を排気するための排気手段、
シリコン含有膜の原料となる原料ガスを供給する原料ガス供給手段、
クリーニングガスを供給するためのクリーニングガス供給手段、
前記処理室の内部に前記原料ガスを導入するための原料ガス導入手段、
前記処理室の内部に前記クリーニングガスを導入するためのクリーニングガス導入手段、
前記処理室の内部に、前記原料ガス供給手段の原料ガスと前記クリーニングガス供給手段のクリーニングガスとを切り換えて、導入するためのガス導入切換手段、並びに
発熱下において、前記原料ガス及び前記クリーニングガス導入クリーニングガスを分解及び/又は活性化するための発熱体
を有することを特徴とする。
処理室、
前記処理室の内部を排気するための排気手段、
シリコン含有膜の原料となる原料ガスを供給する原料ガス供給手段、
クリーニングガスを供給するためのクリーニングガス供給手段、
前記処理室の内部に前記原料ガスを導入するための原料ガス導入手段、
前記処理室の内部に前記クリーニングガスを導入するためのクリーニングガス導入手段、
前記処理室の内部に、前記原料ガス供給手段の原料ガスと前記クリーニングガス供給手段のクリーニングガスとを切り換えて、導入するためのガス導入切換手段、並びに
発熱下において、前記原料ガス及び前記クリーニングガス導入クリーニングガスを分解及び/又は活性化するための発熱体
を有することを特徴とする。
また、本発明のシリコン含有膜の製造法は、
処理室の内部に基板を用意する第1工程、
処理室の内部を排気する第2工程、
処理室の内部にシリコン含有ガスを供給する第3工程、
処理室の内部で、シリコン含有ガスを分解及び/又は活性化させるために、発熱体を発熱させ、該分解及び/又は活性化された成分を前記基板の上に堆積させることによって、シリコン含有膜を成膜する第4工程、及び
処理室の内部にクリーニングガスを供給する第5工程
処理室の内部で、クリーニングガスを分解及び/又は活性化させるために、発熱体を発熱させ、該分解及び/又は活性化された成分により、処理室の内部をクリーニングする第6工程
を有することを特徴とする。
処理室の内部に基板を用意する第1工程、
処理室の内部を排気する第2工程、
処理室の内部にシリコン含有ガスを供給する第3工程、
処理室の内部で、シリコン含有ガスを分解及び/又は活性化させるために、発熱体を発熱させ、該分解及び/又は活性化された成分を前記基板の上に堆積させることによって、シリコン含有膜を成膜する第4工程、及び
処理室の内部にクリーニングガスを供給する第5工程
処理室の内部で、クリーニングガスを分解及び/又は活性化させるために、発熱体を発熱させ、該分解及び/又は活性化された成分により、処理室の内部をクリーニングする第6工程
を有することを特徴とする。
以上のように、発熱体を2000℃以上の高温に加熱することにより、発熱体とクリーニングガスとの反応に伴う発熱体の消耗を実用上無視できる程度に抑制することが可能となる。しかも、2000℃以上とすることで、クリーニングガスの分解及び/又は活性化させて活性種の生成を効率よく行え、成膜処理装置の内部に付着した膜を効果的に除去することができる。また、このようにして得られる活性種の寿命は長く、複雑な形状やパイプの内部に付着した膜も除去することが可能となる。
従って、従来の発熱体CVD装置そのままの構成で、クリーニングガスの供給系をもうけるだけで、高特性膜の安定した継続成膜に必要不可欠な成膜処理室のin situ クリーニングが可能となる。
本発明において、前記クリーニングガスは、フッ素(F2)、塩素(C12)、三フッ化窒素(NF3)、四フッ化メタン(CF4)、六フッ化エタン(C2F6)、八フッ化プロパン(C3F8)、四塩化炭素(CC14)、五フッ化塩化エタン(C2ClF5)、三フッ化塩素(ClF3)、三フッ化塩化メタン(CClF3)、若しくは六フッ化硫黄(SF6)のいずれか、又は少なくとも1種を含む混合ガスとするのが好ましい。
これらのガスを用いることにより、2000℃以上に加熱保持された発熱体によりクリーニングガスは十分に分解及び/又は活性化し、付着膜と反応して気体状物質を効率よく生成することができ、付着膜を効果的に除去することが可能となる。
さらに本発明の付着膜の除去方法において、前記発熱体を、タングステン、タンタル、ニオブ、炭素、オスミウム、イリジウム、モリブデン若しくはルテニウムのいずれか、又はこれらの合金あるいはこれらの複合体とするのが好ましい。
これらの金属、若しくは合金又は複合体を用いることにより、2000℃以上でクリーニングガスを効率よく分解及び/又は活性化し、寿命が長くしかも付着膜との反応性の高い活性種を生成するため、付着膜を効率よく除去することができる。
本発明により、即ち、発熱体を2000℃以上に加熱し、この状態でクリーニングガスを作用させることにより、付着膜と反応性の高い活性種が生成し、かつ発熱体自体は安定に保てるため、種々の成膜装置や部材に付着した膜を効果的に除去し得る付着膜の除去方法を提供することが可能となる。さらに、発熱体CVD装置の in situ クリーニングが可能となり、その結果、高特性膜の作製手段として有望視されている発熱体CVD法による成膜を安定して行うことができ、半導体デバイス、表示デバイス等の一層の高特性化、その開発促進、生産性の向上に貢献することができる。
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る in situ クリーニング方法が実施可能な発熱体CVD法を用いた成膜処理装置(発熱体CVD装置)の一構成例を示す概念図である。
図1に示す成膜処理装置は、処理室1と、処理室内を真空排気するための排気系11と,膜堆積用原料ガス及びクリーニングガス供給系23,25と、基板を搬出入するためのゲートバルブ5とから構成され、処理室内部には、ガス供給系23,25と接続されたガス供給器2,基板ホルダー4、発熱体3が配設されている。
ここで、原料ガスとクリーニングガスのガス供給器2への供給切換は、バルブ22,24により行われる。また、ガスの供給量はガス供給系23,25のそれぞれに設けられた流量調整器(不図示)により制御される。ガス供給器2は中空構造となっており、基板ホルダー4と対向する面に多数のガス吹き出し口210が形成されている。一方、排気系11は、排気速度調整機能を有するメインバルブ12を介して処理室1と接続されており、この調整機能により処理室内の圧力が制御される。
発熱体3は、支持体31により保持され、所定の温度に加熱・維持するためのエネルギー供給機構30に接続されている。この発熱体を高温加熱することにより、成膜時には原料ガスを、クリーニング時にはクリーニングガスを分解及び/又は活性化し、成膜又はクリーニングを効率よく行うことができる。
次に、図1の装置を参照して成膜及びクリーニング方法の一例を説明する。
(成膜)
まず、ゲートバルブ5を介して不図示のロードロック室から基板を搬入し、基板ホルダー4の上に載置する。次に、処理室1内を排気系11により、所定の圧力まで真空排気した後、エネルギー供給機構30から発熱体3にエネルギーを供給し、所定の温度に加熱保持する。この温度は、堆積膜及び原料ガスの種類により適宜選択されるが、通常1000〜1800℃程度の温度が用いられる。
まず、ゲートバルブ5を介して不図示のロードロック室から基板を搬入し、基板ホルダー4の上に載置する。次に、処理室1内を排気系11により、所定の圧力まで真空排気した後、エネルギー供給機構30から発熱体3にエネルギーを供給し、所定の温度に加熱保持する。この温度は、堆積膜及び原料ガスの種類により適宜選択されるが、通常1000〜1800℃程度の温度が用いられる。
次に、バルブ22を開け、所定流量の原料ガスを処理室内に導入し、メインバルブ12の排気速度調整機能により、処理室内の圧力を所定の圧力に設定する。原料ガスは、所望の堆積膜に応じて適宜選択されるが、例えば、シリコン膜の場合はシラン(SiH4)と水素(H2)、窒化シリコン膜の場合はSiH4とH2とアンモニア(NH3)、炭化シリコンの場合はSiH4とH2とメタン(CH4)等が用いられる。
ガス供給器2に供給された原料ガスは、ガス吹き出し口210から発熱体方向に吹き出され、高温の発熱体により分解及び/又は活性化され、活性種を生成する。この活性種は、基板上に到達して所望の膜を堆積する。基板上に所望の膜厚が堆積した時点で、原料ガスの供給と発熱体へのエネルギー供給を停止し、処理室内部を真空排気した後、ゲートバルブ5を介して基板をロードロック室へ搬出して、成膜を終了する。
(クリーニング)
以上の成膜を繰り返し行うと、処理室内壁、基板ホルダー、ガス供給器、支持体等にも膜が付着することになる。この付着膜が厚くなると、剥離して成膜中に堆積膜に混入したり表面に付着して、膜特性を劣化させたりデバイスの欠陥原因となるため、付着膜が剥離しゴミを発生する厚さになる前に、以下に示すクリーニング処理を行う。なお、付着膜の膜厚は光学式モニタ等で監視してもよいし、また、トータルの堆積時間から見積るようにしてもよい。
以上の成膜を繰り返し行うと、処理室内壁、基板ホルダー、ガス供給器、支持体等にも膜が付着することになる。この付着膜が厚くなると、剥離して成膜中に堆積膜に混入したり表面に付着して、膜特性を劣化させたりデバイスの欠陥原因となるため、付着膜が剥離しゴミを発生する厚さになる前に、以下に示すクリーニング処理を行う。なお、付着膜の膜厚は光学式モニタ等で監視してもよいし、また、トータルの堆積時間から見積るようにしてもよい。
クリーニングは、まず、処理室内を真空排気し、その後エネルギー供給機構30からのエネルギーにより発熱体を2000℃以上の所定の温度に加熱・保持する。次に、バルブ24を開け、所定のクリーニングガスを処理室1に導入し、メインバルブ12により処理室内圧力を所定の圧力に設定する。
ガス吹き出し口210から吹き出されたガスは、2000℃以上に加熱された発熱体により、効率的に分解及び/又は活性化され、付着膜と反応性の高い活性種を生成する。この活性種は、処理室内壁、基板ホルダー等の上に付着した膜と反応し、気体状物質に変換させる。気体状物質は排気系により外部に排出されるため、付着膜は徐々に除去されることになる。
所定時間この状態を保ち、付着膜が完全に除去された後、バルブ24を閉じてクリーニングガスの供給を停止し、処理室内部を真空排気して、その後発熱体へのエネルギー供給を停止する。
以上で、クリーニング工程は終了であるが、このクリーニング工程で重要なことは、クリーニングガスを導入する際、発熱体の温度を2000℃以上に維持した状態にすることである。これは、クリーニングガスを導入した後に発熱体3を加熱すると、発熱体3が2000℃以上になるまでの間に発熱体とクリーニングガスとが反応して、線径等が減少してしまうからである。また、クリーニング終了時において、発熱体へのエネルギー供給を停止する場合も同様であり、クリーニングガスを排気した後に発熱体の温度を下げる必要がある。即ち、発熱体を2000℃より低い温度で反応性ガスと接触させないプロセスとする必要がある。また、発熱体は非常に酸化しやすい状態にあるため、発熱体の長寿命化の観点から、処理室内の酸素分圧はできる限り低くするのが好ましい。
以上、発熱体CVD装置の in situ クリーニング法について説明したが、本発明はこれに限ることはなく、他の処理装置や種々の部材に付着した膜を除去する場合にも、好適に適用される。なお、ここで、部材とは真空装置に用いられる測定器具、センサー、バルブ等も含む意味である。
例えば、真空容器内部に付着した膜は、真空容器にクリーニングガス導入口を設け、そして容器内部に発熱体を外部から加熱可能に配置し、発熱体を2000℃以上に加熱保持した状態でクリーニングガスを流すことにより、付着膜を除去することができる。また、部材の場合は、この真空容器内に部材を配置し、同様に処理すればよい。また、ある程度の長さを有するパイプの場合は、パイプの上流側に発熱体を配設し、ガスがパイプ内部を流れるように構成すればよい。また、パイプ、部材で真空容器の一部を構成するようにしてもよい。
本発明により、複雑形状の部材の狭い隙間や配管の内部に付着した膜であっても、効率よく除去できるのは、発熱体を2000℃以上に加熱することにより、クリーニングガスを付着膜と反応性が極めて高い活性種とすることができることと、このようにして生成した活性種は寿命が長いためであると考えられる。
本発明の付着膜の除去方法は、クリ−ニングガスの種類やクリーニング条件を適切に選択することにより、種々の付着膜に適用することができる。例えば、フッ素系若しくは塩素系のクリーニングガスを用いた場合は、上記したシリコン、炭化シリコン、窒化シリコン等の種々の半導体や絶縁物の付着膜の他、W、Ta、Ti等の金属付着膜等、成膜により付着する膜に適用することができる。
本発明の発熱体は、少なくとも2000℃より高い温度に耐えるものであればどのような材料であってもよいが、特に、タングステン、タンタル、ニオブ、炭素、オスミウム、イリジウム、モリブデン又はルテニウムを好適に用いることができる。また、これらの合金であってよい。さらには、これらの単体や合金を多層に積層した複合体であってもよい。特に、例えばタングステンのように一旦高温度に加熱するともろくなる金属の場合は、他の金属と複合体にするのが好ましい。また、絶縁物との複合体であってもよい。発熱体は、線状、棒状、板状、筒状、箔状等、種々の形状のものが用いられ、また、さらに、例えば線状の発熱体を、鋸歯状、コイル状等にして配置してもよい。
また、クリーニングガスも付着膜の種類、処理条件、処理室の材質等により、適宜選択されるが、特にフッ素系ガス、塩素系ガスが好適に用いられ、この中でもNF3、F2、Cl2、CF4、C2F6、C3F8、CCl4、C2ClF5、ClF3、CClF3又はSF6を用いるのがより好ましい。これらのガスは100%として用いても、また、例えばAr,He等のガスで希釈したもの、あるいはこれらの混合ガスとして用いてもよい。
さらに、本発明の方法は、処理室1内にプラズマ発生用の電極を設け、これにより発生させたプラズマと併用してクリーニングを行ってもよいことはいうまでもない。
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明が以下の実施例に限定されないことはいうまでもない。本実施例では、上述した方法により、まずシリコン膜を繰り返し成膜し、その後処理室内部に付着した膜の除去処理を行った。
図1に示した構成の装置を用いて、シラン(SiH4)と水素(H2)を原料ガスとして用いシリコン膜を成膜した。ここで、発熱体3には、直径0.5mmのタングステン線を用い、エネルギー供給機構30に直流電源を用いた。タングステン線に直流電源より直流電流約13Aを流し、約1800℃に通電加熱して成膜を行った。処理室1内の全面に厚さ約2μmのシリコン膜が付着するまで成膜を繰り返し行った。
最後の基板をゲートバルブを介して取り出した後、メインバルブ12を全開にして排気系11により処理室1内を真空排気した。次いで、タングステン線に直流電流22Aを流し、タングステン線を約2500℃に通電加熱した。この状態でバルブ24を開け、クリーニングガス供給系25よりNF3ガスをガス供給器2を介して処理室1内に導入した。処理室1内の圧力は、メインバルブ12の排気速度調整機構により40Paに制御した。この状態を10分間維持して処理室1内の付着膜の除去を行った。10分経過後、バルブ24を閉じてクリーニングガスの導入を停止し、メインバルブ12を全開にして処理室1内を排気系11により真空排気し、発熱体への通電を停止した。
その後、処理室内を大気に戻してタングステン線を取り出し、その線径をマイクロメータで測定したところ、クリーニング前後で線径は全く変化していないことが確認された。また、処理室内壁、及び構成部材表面を詳細に調べたところ、付着膜は完全に除去されていることが分かった。
本実施例の構成で、処理室内に付着したシリコン膜が完全に除去され、しかもクリーニング中も発熱体であるタングステン線が安定であった理由について以下に説明する。
先ず、付着シリコン膜が除去される理由であるが、クリーニングガスとして用いたNF3は、その性質上、400℃程度で分解及び/又は活性化する。このため導入したNF3は、この温度よりも遥かに高い2500℃という温度に維持した発熱体であるタングステン線により十分に分解及び/又は活性化される。これによって発生したフッ素が処理室内に付着したシリコン膜と反応して常温で気体状の生成物、四フッ化シリコン(SiF4)を形成する。この反応を利用することにより、処理室内に付着したシリコン膜をSiF4の形で完全に排気除去してしまうことが可能となる。また、このようにして生成したフッ素は長寿命であるため細部まで行き渡り、付着膜と反応してSiF4を形成し隙間等に付着した膜も完全に除去できるものと考えられる。
次に、発熱体であるタングステン線がクリーニング処理中も安定であった理由であるが、通常タングステンはフッ素と反応して常温で気体状の生成物、六フッ化タングステン(WF6)となる。もしこの反応が生じてしまうと、発熱体であるタングステン線は付着シリコン膜と同様に排気除去され、細線化してしまうことになる。しかし、タングステン線の温度を2500℃にすると、反応は実質上起こらなくなる。これは、発熱体の温度が非常に高温であるため、フッ素が発熱体表面に付着している時間が発熱体と反応するのに要する時間よりも短いという条件を満たすためであると考えられる。
本実施例の付着膜除去効率が極めて高いことは、本実施例のクリーニング処理と同様の条件で行ったシリコンウエハのエッチング実験からも確認された。即ち、図1の装置で、発熱体と15cm離れた位置にシリコンウエハを置き、同様の条件でクリーニング処理を行ったところ、10分間の処理で結晶シリコンが2μmエッチングされていることが分かり、本発明の除去効率が極めて高いことが確認された。
次に、クリーニング時の発熱体の加熱温度を2000℃とした以外は、上記実施例と同様にして成膜とクリーニングを行ったところ、10分間のクリーニングにより、付着膜は完全に除去されることが分かった。また、クリーニング処理後のタングステン線は支持体との接触部で外見上若干変化があるように見えるものの、マイクロメータの測定では変化はみられず、少なくとも2000℃に加熱することにより、実用上問題がないことが確認された。
なお、本実施例では、処理室内の圧力を40Paとしてクリーニング処理を行ったが、本発明はこれに限ることはなく、これよりも高くても低くてもよい。特に、プラズマクリーニング法と異なり、放電を起こす必要がないことから、プラズマが発生し得ないどのような圧力であろうと、クリーニング処理可能であり、除去対象膜の種類及び処理室又は部材の材質、形状等に応じ、実用上適切な圧力を選択することが可能である。また、上記実施例では、エネルギー供給機構30に直流電源を用いたが、交流電源も好適に用いることができる。
なお、上記実施例では、クリーニング処理対象である処理室1の内壁、基板ホルダー4、ガス供給器2等の温度については特に記述しなかったが、クリーニングガスの付着膜との反応速度は温度が高いほど速いので、クリーニング工程の時間短縮のために、これらにヒーターを付設して加熱しながら処理することもできる。しかしながら、上述したように、本発明は、加熱しなくても十分短時間で処理が可能であるため、必要に応じて加熱の有無を選択すればよい。ClF3ガスのようなガス種の場合でも、従来は実質的な除去速度を得るのに成膜処理室の加熱を必要としていたが、本発明ではその必要がなく、長時間を要していた成膜処理室の加熱、冷却が省け、実質的なクリーニング処理時間を短縮できる。
1 処理室、
2 ガス供給器、
3 発熱体、
4 基板ホルダー、
11 排気系、
12 メインバルブ、
22 バルブ、
23 原料ガス供給系、
24 バルブ、
25 クリーニングガス供給系、
30 エネルギー供給機構、
31 支持体、
201 吹き出し口。
2 ガス供給器、
3 発熱体、
4 基板ホルダー、
11 排気系、
12 メインバルブ、
22 バルブ、
23 原料ガス供給系、
24 バルブ、
25 クリーニングガス供給系、
30 エネルギー供給機構、
31 支持体、
201 吹き出し口。
Claims (10)
- 処理室、
前記処理室の内部を排気するための排気手段、
シリコン含有膜の原料となる原料ガスを供給する原料ガス供給手段、
クリーニングガスを供給するためのクリーニングガス供給手段、
前記処理室の内部に前記原料ガスを導入するための原料ガス導入手段、
前記処理室の内部に前記クリーニングガスを導入するためのクリーニングガス導入手段、
前記処理室の内部に、前記原料ガス供給手段の原料ガスと前記クリーニングガス供給手段のクリーニングガスとを切り換えて、導入するためのガス導入切換手段、並びに
発熱下において、前記原料ガス及び前記クリーニングガス導入クリーニングガスを分解及び/又は活性化するための発熱体
を有することを特徴とするシリコン含有膜の製造装置。 - 前記クリーニングガス供給手段からクリーニングガスが前記処理室に供給されている時、前記発熱体は、2000℃以上に発熱することを特徴とする請求項1に記載のシリコン含有膜の製造装置。
- 前記発熱体は、タングステン、タンタル、ニオブ、炭素、オスミウム、イリジウム、モリブデン若しくはルテニウム、又はこれらの合金で形成されていることを特徴とする請求項2に記載のシリコン含有膜の製造装置。
- 前記原料ガス供給手段から原料ガスが前記処理室に供給されている時、前記発熱体は、1000℃〜1800℃に発熱することを特徴とする請求項1に記載のシリコン含有膜の製造装置。
- 処理室の内部に基板を用意する第1工程、
処理室の内部を排気する第2工程、
処理室の内部にシリコン含有ガスを供給する第3工程、
処理室の内部で、シリコン含有ガスを分解及び/又は活性化させるために、発熱体を発熱させ、該分解及び/又は活性化された成分を前記基板の上に堆積させることによって、シリコン含有膜を成膜する第4工程、及び
処理室の内部にクリーニングガスを供給する第5工程
処理室の内部で、クリーニングガスを分解及び/又は活性化させるために、発熱体を発熱させ、該分解及び/又は活性化された成分により、処理室の内部をクリーニングする第6工程
を有することを特徴とするシリコン含有膜の製造法。 - 前記第6工程の発熱体は、2000℃以上で発熱させることを特徴とする請求項5に記載のシリコン含有膜の製造法。
- 前記第6工程の発熱体は、タングステン、タンタル、ニオブ、炭素、オスミウム、イリジウム、モリブデン若しくはルテニウム、又はこれらの合金で形成されていることを特徴とする請求項5に記載のシリコン含有膜の製造法。
- 前記第4工程の発熱体は、1000℃〜1800℃で発熱させることを特徴とする請求項5に記載のシリコン含有膜の製造法。
- 前記第4工程の発熱体は、タングステン、タンタル、ニオブ、炭素、オスミウム、イリジウム、モリブデン若しくはルテニウム、又はこれらの合金で形成されていることを特徴とする請求項5に記載のシリコン含有膜の製造法。
- 前記シリコン含有膜は、シリコン膜、窒化シリコン膜又は炭化シリコン膜であることを特徴とする請求項5に記載のシリコン含有膜の製造法。
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