JP2008115317A - ポリスチレン系樹脂組成物、ポリスチレン系樹脂シート及び包装用容器 - Google Patents

ポリスチレン系樹脂組成物、ポリスチレン系樹脂シート及び包装用容器 Download PDF

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Abstract

【課題】耐衝撃性と剛性とを維持しながら、樹脂やけの発生し難いポリスチレン系樹脂組成物、該樹脂を用いたポリスチレン系樹脂シート及び包装用容器の提供。
【解決手段】次の各成分
(A)ポリスチレン系樹脂20〜76質量%、
(B)ハイインパクトポリスチレン系樹脂20〜50質量%、
(C)スチレン−共役ジオレフィン系熱可塑性エラストマー1〜5質量%、および
(D)スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン系熱可塑性エラストマー3〜25質量%、を必須成分として含むポリスチレン系樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐衝撃性と剛性を維持しながら、樹脂やけの発生しにくいポリスチレン系樹脂組成物と、該樹脂組成物を主成分として含む樹脂からなるポリスチレン系樹脂シート及び包装用容器に関する。
ポリスチレン系樹脂シートを熱成形して得られる包装用容器は、耐衝撃性が劣るので割れやすいために、従来より、耐衝撃性を改良した組成物からなるシートを熱成形した包装用容器が知られている。
特許文献1には、ホモポリスチレンと硬質ポリスチレン(ゴム変性ポリスチレン)とゴム状ブロック共重合体からなる組成物及び容器が開示されている。
特許文献2にも同様の組成物からなるシートとそれを熱成形した容器が開示されている。
特許文献1,2に開示された樹脂組成物は、ジエン系結合を有するゴム分を多量に含有しているので、シート成形時にこのゴム分が押出機内に滞留して熱劣化し、黒色の焼け異物がシートに混入して不良品が発生する問題がある。特に、一度押出したシートを容器に成形して打ち抜いた残りの部分(スケルトン)等を再利用するために、再押出してシート化する際には、この焼け異物の発生が顕著になる。
本発明者が試験した結果、90mm押出機でシートを押出しながら樹脂やけを確認したところ、ポリスチレン系樹脂組成物中のハイインパクトポリスチレン(以下、HIPSと略記する。)の含有量が50質量%を超えると、或いはスチレン−共役ジオレフィン系熱可塑性エラストマー(以下、SBSと略記する)の含有量が5質量%を超えると、押出機内で熱劣化や酸化劣化を起こし、50時間程度の稼働で顕著な着色や劣化物が現れ始め、そのシートを成形すると、成形品に穴明きが発生する場合があった。この劣化発生状態は、押出機を停止して再スタートを繰り返すと顕著になる(後述する実施例中の試験において、「樹脂やけ」で褐色ランクに相当する。)。
このように、従来より使用されているポリスチレンとHIPSとからなる樹脂組成物、ポリスチレンとSBSとからなる樹脂組成物、或いはポリスチレンとHIPSとSBSとからなる樹脂組成物は、耐衝撃性と剛性を兼ね備えてはいるが、シートの樹脂やけによる着色や異物発生、シート成形時の成形不良(穴明き等)などの問題を解決することはできなかった。
また、食品用の包装容器においては、購買意欲を高めるために、容器の内面や外面に美麗な意匠の柄を施した容器が用いられている。こうした容器の成形には、収容した食品に印刷インクが直接接触しないように、透明のフィルムに裏印刷して印刷層を間にして基材シートを貼り合わせた積層シートが用いられる。その場合、ポリスチレン系樹脂組成物としてブタジエン分を含むエラストマーを過剰に使用したポリスチレン系基材シートを用いてフィルムとラミネートすると、十分な接合強度が得られず、フィルムと基材シート或いは、フィルムと印刷面と基材シートの界面で剥離が発生することがあった。
特開昭48−81938号公報 特開2006−176670号公報
本発明は前記事情に鑑みてなされ、耐衝撃性と剛性とを維持しながら、樹脂やけの発生し難いポリスチレン系樹脂組成物、該樹脂組成物を主成分として含む樹脂からなるポリスチレン系樹脂シート及び該樹脂シートを熱成形してなる包装用容器の提供を目的とする。
また本発明は、フィルムをラミネートしても剥離し難いポリスチレン系樹脂シート及び該樹脂シートを熱成形してなる包装用容器の提供を目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、次の各成分
(A)ポリスチレン系樹脂20〜76質量%、
(B)ハイインパクトポリスチレン系樹脂20〜50質量%、
(C)スチレン−共役ジオレフィン系熱可塑性エラストマー1〜5質量%、および
(D)スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン系熱可塑性エラストマー3〜25質量%、
を必須成分として含むポリスチレン系樹脂組成物(1)を提供する。
また本発明は、前記ポリスチレン系樹脂組成物(1)99〜65質量%と、(E)ポリオレフィン系樹脂1〜35質量%を必須成分として含むポリスチレン系樹脂組成物(2)を提供する。
また本発明は、前記ポリスチレン系樹脂組成物(1)99〜65質量%と、(F)スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン系熱可塑性エラストマー1〜35質量%を必須成分として含むポリスチレン系樹脂組成物(3)を提供する。
また本発明は、前記ポリスチレン系樹脂組成物(1)99〜65質量%と、(E)ポリオレフィン系樹脂と、(F)スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン系熱可塑性エラストマーとを必須成分として含み、(E)と(F)の合計量が1〜35質量%であるポリスチレン系樹脂組成物(4)を提供する。
また本発明は、前記ポリスチレン系樹脂組成物(1),(2),(3)又は(4)100質量部に対して、滑剤を0.01〜3質量部の範囲で添加してなるポリスチレン系樹脂組成物(5)を提供する。
また本発明は、前記ポリスチレン系樹脂組成物(1)〜(5)のいずれかを主成分として含む樹脂からなるポリスチレン系樹脂シート(I)を提供する。
また本発明は、前記ポリスチレン系樹脂組成物(1)〜(5)のいずれかを主成分として含む樹脂からなる基材シートの表裏いずれか一方又は両方に、透明な熱可塑性樹脂フィルムを積層してなるポリスチレン系樹脂シート(II)を提供する。
本発明のポリスチレン系樹脂シート(II)において、前記基材シートと前記熱可塑性フィルムの少なくとも一方に設けた印刷層を挟んで積層してなることが好ましい。
また本発明は、前述した本発明に係るポリスチレン系樹脂シートを熱成形してなる包装用容器を提供する。
本発明のポリスチレン系樹脂組成物は、前記(A)〜(D)の各成分を必須成分として、特定の比率で含むものなので、樹脂やけの減少と耐衝撃性の向上を比較的安価に達成することができる。
また前記(A)〜(D)の各成分を必須成分として含むポリスチレン系樹脂組成物(1)と、(F)スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン系熱可塑性エラストマーを必須成分として特定の比率で含むポリスチレン系樹脂組成物(3)は、樹脂やけを減少させることができ、さらにフィルムとシートのラミネート強度を向上させることができる。
また前記(A)〜(D)の各成分を必須成分として含むポリスチレン系樹脂組成物(1)と、(E)ポリオレフィン系樹脂と、(F)スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン系熱可塑性エラストマーとを必須成分として特定の比率で含むポリスチレン系樹脂組成物(4)は、樹脂やけの減少と耐衝撃性の向上を達成できることに加えて、ポリスチレン系樹脂フィルムやポリオレフィン系樹脂フィルムなどの広範囲のフィルムとのラミネート性を改善することができる。
本発明のポリスチレン系樹脂シートは、前述した本発明に係るポリスチレン系樹脂組成物(1)〜(5)のいずれかを主成分として含む樹脂からなるものなので、シートを熱成形することにより容器を作成する場合に、樹脂やけによる異物混入や穴明き不良等の問題を防ぐことができ、耐衝撃性と剛性を兼ね備えた包装用容器を安定して製造することができる。
[ポリスチレン系樹脂組成物(1)]
本発明のポリスチレン系樹脂組成物(1)は、次の各成分、
(A)ポリスチレン系樹脂20〜76質量%、
(B)ハイインパクトポリスチレン系樹脂20〜50質量%、
(C)スチレン−共役ジオレフィン系熱可塑性エラストマー1〜5質量%、および
(D)スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン系熱可塑性エラストマー3〜25質量%、を必須成分として含んでいる。
((A)成分)
本発明のポリスチレン系樹脂組成物(1)において必須の成分である(A)ポリスチレン系樹脂(以下、PSと記する。)としては、スチレン系モノマー、例えば、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、パラメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等のモノマーを単独重合した樹脂、多分岐ポリスチレン系樹脂類(大日本インキ化学工業社製のディックスチレンHP500M等)或いは、前記スチレン系モノマーの2種以上を共重合した樹脂が挙げられる。特に、ホモポリスチレンが好ましい。また、耐熱性が必要な場合は、例えば、前記スチレン系モノマーと、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸などの他の共重合可能なモノマーの1種以上とを共重合させて得られた耐熱性ポリスチレン系共重合体を使用してもよい。この場合、モノマー全体量に対する他の共重合可能なモノマーの割合は、3〜15質量部の範囲とすることが好ましい。
PSは、安価な樹脂であり、多量に使用でき、熱成形性が良好で剛性が高く、光沢のある美麗な成形体が得られるので、ポリスチレン系樹脂組成物(1)の主体として使用できる。本発明のポリスチレン系樹脂組成物(1)におけるPSの含有量は、20〜76質量%の範囲である。PSの含有量が20質量%未満であると、得られる樹脂組成物の剛性を十分に確保することができなくなる。一方、PSの含有量が76質量%を超えると、得られる樹脂組成物は必要な耐衝撃性を確保できなくなり、樹脂やけと剛性を兼ね備える樹脂組成物を調製することができなくなる。本発明のポリスチレン系樹脂組成物(1)において、PSの含有量は30〜76質量%の範囲がより好ましい。
((B)成分)
本発明のポリスチレン系樹脂組成物(1)において必須の成分である(B)ハイインパクトポリスチレン系樹脂(以下、HIPSと記する。)とは、ポリブタジエン又はスチレン−ブタジエン系ブロック共重合体などのゴム系重合体をスチレン系モノマーに溶解した後、ゴム状重合体にスチレンをグラフト重合したゴム変性ポリスチレンがサラミ構造でポリスチレン内に分散したものであって、サラミ構造内のゴム分とサラミ外のポリスチレンの一部が結合しているゴム変性ポリスチレン樹脂、或いは、スチレン系モノマーを塊状重合法又は懸濁重合法により重合させて得られるポリスチレンとスチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムを一軸又は多軸押出機またはバンバリーミキサーなどの汎用混練機を用いて加熱混練して得られるゴム変性ポリスチレン系樹脂を言う。ここで使用されるスチレン系モノマーとしては、スチレンが一般的であるが、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレンなども使用できる。このHIPSに含有されるスチレン成分は、91〜97質量%が好ましい。
HIPSは、比較的安価で剛性も保ちやすいので、本発明のポリスチレン系樹脂組成物(1)において、PSとほぼ対等に近い量で使用できるが、これだけでは十分な耐衝撃性を確保するのは難しい。本発明のポリスチレン系樹脂組成物(1)におけるHIPSの含有量は、20〜50質量%の範囲である。HIPSの含有量が20質量%未満であると、得られる樹脂組成物の耐衝撃性が不足するので、それを補うために後述する(C)成分等の他のエラストマー成分を多く配合すると、得られる樹脂組成物の剛性と耐衝撃性のバランス調整が難しくなる上に、組成によっては樹脂やけし易くなる。また、後述する(C)成分や(D)成分などの他のエラストマーのPSに対する分散が悪くなり、耐衝撃性などの性能のバラツキが大きくなる。一方、50質量%を超えてHIPSを配合しても、HIPSだけでは耐衝撃性の改善効果が十分でなく、それを補うためには他のエラストマー成分を必要とし、その結果、剛性や耐衝撃性が不足することになる。本発明のポリスチレン系樹脂組成物(1)において、HIPSの含有量は20〜40質量%の範囲がより好ましい。
((C)成分)
本発明のポリスチレン系樹脂組成物(1)において必須の成分である(C)スチレン−共役ジオレフィン系熱可塑性エラストマー(以下、SBSと記する。)とは、スチレン系重合体ブロックと共役ジオレフィン系重合体ブロックとから構成される熱可塑性エラストマーであって、スチレン−ブタジエン系熱可塑性エラストマーに代表されるように、主鎖に共役二重結合を持つ。スチレン系重合体ブロックを構成するモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等であり、特にスチレンが挙げられる。これらのモノマーは、目的に応じて単独で又は二種以上の混合物として用いることができる。まあた、共役ジオレフィン系重合体ブロックを構成するモノマーは、共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは目的に応じて単独で又は二種以上の混合物として用いることができる。これらのブロック共重合体の中では、スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体が特に好ましい。SBSに含有されるスチレン成分の量は、10〜70質量%が好ましい。
SBSは、比較的少量の使用でポリスチレン系樹脂組成物の耐衝撃性を向上させることができ、得られた樹脂を用いて容器を製造した場合に、容器の剛性と耐衝撃性のバランスを確保しやすい。本発明のポリスチレン系樹脂組成物(1)におけるSBSの含有量は、1〜5質量%の範囲である。SBSの含有量が1質量%未満であると、得られる樹脂組成物の耐衝撃性を確保し難くなる。樹脂組成物の耐衝撃性を確保するべく他のエラストマー系樹脂を使用すると、容器の剛性が不足する。一方、SBSの含有量が5質量%を超えると、樹脂やけを生じ易くなる。本発明のポリスチレン系樹脂組成物(1)において、SBSの含有量は2〜5質量%の範囲がより好ましい。
((D)成分)
スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン系熱可塑性エラストマー(以下、SBBSと記する。)とは、スチレン−ブタジエンブロックポリマーの二重結合の特定の部分を選択的に水素化したポリマーに代表される、3種類以上のモノマーからなる共重合体で、分子の一部に二重結合を持つ共重合体のことを言う。本発明のポリスチレン系樹脂組成物(1)において使用するSBBSは、ハードセグメントである両端末のスチレン系重合体ブロックとその中間にありソフトセグメントであるオレフィン重合体(ブタジエン/ブチレン)ブロックとからなり、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体エラストマーのブタジエンブロックに水素を部分添加して得られる。ここで用いられるスチレン系重合体の例としては、スチレン、メチルスチレン、p−メチルスチレンのうちの一種又は二種以上のモノマーの重合体である。SBBSに含まれるスチレン成分の量は、30〜70質量%の範囲が好ましい。
本発明のポリスチレン系樹脂組成物(1)において、HIPSやSBSなどの成分をSBBSに置き換えて使用すると、得られる樹脂組成物の耐衝撃性を維持しながら、樹脂やけを改善することができる。同じ程度の耐衝撃性を確保するためには、SBSより多めに使用する。従って、本発明のポリスチレン系樹脂組成物(1)におけるSBBSの含有量は3〜25質量%の範囲とする。SBBSの含有量が3質量%未満であると、得られる樹脂組成物の耐衝撃性確保のために、HIPSやSBSを多めに使用する必要があり、樹脂やけが発生し易くなる。一方、SBBSの含有量が25質量%を超えると、得られる樹脂組成物が柔らかくなりすぎて、該樹脂組成物からなるシートを容器に成形した場合に、容器の剛性が不足する。また、樹脂組成物の価格が高価になってしまう。本発明のポリスチレン系樹脂組成物(1)において、SBBSの含有量は3〜20質量%の範囲がより好ましい。
[ポリスチレン系樹脂組成物(2)]
本発明のポリスチレン系樹脂組成物(2)は、前記ポリスチレン系樹脂組成物(1)99〜65質量%と、(E)ポリオレフィン系樹脂1〜35質量%を必須成分として含むものである。
((E)成分)
本発明のポリスチレン系樹脂組成物(2)において必須の成分である(E)ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、アイソスタティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレンなどのポリプロピレン、エチレン・プロピレンランダムポリマー、エチレン・プロピレンブロック共重合体、エチレン・プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体(例えばエチレン−メチルメタクリレート共重合体)、エチレン−不飽和カルボン酸金属塩共重合体(例えばエチレン−アクリル酸マグネシウム(又は亜鉛)共重合体)、プロピレン−塩化ビニル共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−オレフィン共重合体(プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体)、ポリエチレン又はポリプロピレンの不飽和カルボン酸(例えば無水マレイン酸)変性物、及びこれらの二種以上の混合物などが挙げられる。これらの中でも、特に、ポリプロピレンが好ましい。
本発明のポリスチレン系樹脂組成物(2)においてポリオレフィン樹脂を添加すると、樹脂やけと耐衝撃性を比較的安価に改善することができる。ポリスチレン系樹脂組成物(2)におけるポリオレフィン樹脂の含有量は、1〜35質量%の範囲とする。ポリオレフィン樹脂が1質量%未満であると、ポリスチレン系樹脂組成物(1)との違いが見られなくなる。ポリオレフィン樹脂の含有量が35質量%を超えると、得られる樹脂組成物の剛性が低下し、また、フィルム、特に、ポリスチレン系樹脂フィルムとのラミネート適性が悪くなる。本発明のポリスチレン系樹脂組成物(2)において、ポリオレフィン系樹脂の含有量は10〜30質量%の範囲がより好ましい。
[ポリスチレン系樹脂組成物(3)]
本発明のポリスチレン系樹脂組成物(3)は、前記ポリスチレン系樹脂組成物(1)99〜65質量%と、(F)スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン系熱可塑性エラストマー1〜35質量%を必須成分として含むものである。
((F)成分)
本発明のポリスチレン系樹脂組成物(3)において必須の成分である(F)スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン系熱可塑性エラストマー(以下、SEBSと記する。)は、ハードセグメントである両末端のスチレン系重合体ブロックとその中間にあるソフトセグメントであるオレフィン重合体(エチレン/ブチレン)ブロックとからなり、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体エラストマーのブタジエンブロックを完全水素化して得られる。ここで用いられるスチレン系重合体の例としては、スチレン、メチルスチレン、p−メチルスチレン及びそれらの混合物である。SEBSに含まれるスチレン成分の量は、10〜70質量%の範囲が好ましい。
本発明のポリスチレン系樹脂組成物(3)においてSEBSを添加すると、得られる樹脂組成物の樹脂やけを改善できるとともに、フィルムとのラミネート適性を向上させることができる。同じ程度の耐衝撃性を確保するためには、SBBSより更に多めに使用する必要がある。
ポリスチレン系樹脂組成物(3)におけるSEBSの添加量は、1〜35質量%の範囲とする。SEBSが1質量%未満であると、ポリスチレン系樹脂組成物(1)との違いが見られなくなる。SEBSの含有量が35質量%を超えると、得られる樹脂組成物が樹脂やけし易くなる恐れがあり、またシートが柔らかくなりすぎて、例えば、容器に下場合に剛性が不足する。また、樹脂組成物の価格が高価になってしまう。本発明のポリスチレン系樹脂組成物(3)において、SEBSの含有量は10〜30質量%の範囲がより好ましい。
[ポリスチレン系樹脂組成物(4)]
本発明のポリスチレン系樹脂組成物(4)は、前記ポリスチレン系樹脂組成物(1)99〜65質量%と、(E)ポリオレフィン系樹脂と、(F)SEBSとを必須成分として含み、(E)と(F)の合計量が1〜35質量%である。
このポリスチレン系樹脂組成物(4)は、ポリスチレン系樹脂組成物(1)に、ポリオレフィン樹脂を添加することによって、樹脂やけと耐衝撃性を比較的安価に改善することができ、またSEBSを添加することによって、得られる樹脂組成物の樹脂やけを改善できるとともに、フィルムとのラミネート適性を向上させることができる。本発明のポリスチレン系樹脂組成物(4)において、(E)成分と(F)成分の合計の含有量は10〜30質量%の範囲がより好ましい。
[ポリスチレン系樹脂組成物(5)]
本発明のポリスチレン系樹脂組成物(5)は、前記ポリスチレン系樹脂組成物(1),(2),(3)又は(4)100質量部に対して、滑剤を0.01〜3質量部の範囲で添加してなるものである。
本発明のポリスチレン系樹脂組成物(1),(2),(3)又は(4)に滑剤を添加することにより、樹脂やけの発生を更に減少させることができる。滑剤は分散剤として働くこともあるが、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸、ラウリン酸、エチレンビスステアリン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ジンクステアレート、カルシウムステアレート、ポリエチレングリコール等が挙げられ、これらを単独で、或いは二種以上を混合して樹脂組成物中に添加することができる。滑剤はまた、無機充填材を樹脂に練り込む場合にも使用される。
本発明のポリスチレン系樹脂組成物(5)における滑剤の添加量は、ポリスチレン系樹脂組成物(1),(2),(3)又は(4)100質量部に対し、0.01〜3質量部の範囲とする。滑剤の添加量が前記範囲未満であると、滑剤添加による樹脂やけ改善効果が不十分となり、未添加の樹脂組成物との差が見られなくなる。一方、滑剤の添加量が前記範囲を超えると、金型リップ部に目ヤニが付着し、シートに傷がつき、フィルムの外観を阻害する恐れがある。また樹脂組成物の価格が高価になってしまう。
一例として、滑剤としてカルシウムステアレートを用い、HIPS60質量%、SBS5質量%を含むポリスチレン系樹脂に2000ppm(樹脂100質量部に対して0.2質量部程度添加したところ、90mm押出機内で樹脂を劣化させた場合(その条件は後述する実施例において詳述する)、カルシウムステアレート未添加の場合には50時間の稼働で劣化物が出現し始めたが、前記カルシウムステアレートを2000ppm添加した樹脂の場合には、劣化物出現が80時間に延びた結果が得られた。さらに、カルシウムステアレートは200ppmレベルでも、樹脂やけ防止効果が認められた。
(任意添加成分)
前述した本発明のポリスチレン系樹脂組成物(1)〜(5)において、それぞれの必須成分の他に、ポリスチレン系樹脂等の合成樹脂の製造や加工成形の分野で一般に使用されている、従来より公知の各種添加剤を、必要に応じて一種以上添加することができる。本発明のポリスチレン系樹脂組成物に添加する添加剤としては、例えば、着色料、タルク、クレー、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、シラスバルーン、ガラス粉末、大谷石粉末、無機繊維などの無機充填剤、抗菌剤、アルミニウム、鉄、亜鉛などの金属粉末などが挙げられる。
[ポリスチレン系樹脂シート]
(ポリスチレン系樹脂シート(I))
本発明のポリスチレン系樹脂シート(I)は、前述した本発明に係るポリスチレン系樹脂組成物(1)〜(5)のいずれかを主成分として含む樹脂からなる樹脂シートである。ここで、「主成分として含む」とは、ポリスチレン系樹脂組成物(1)〜(5)のいずれかの樹脂組成物のみからシートを作製してもよいし、該樹脂組成物に副成分として各種の添加剤等をブレンドした樹脂組成物でシートを作製してもよいことを意味する。この添加剤としては、前記任意添加成分に記した各種添加剤の1種以上を用いることができる。
(ポリスチレン系樹脂シート(II))
本発明のポリスチレン系樹脂シート(II)は、前述した本発明に係るポリスチレン系樹脂組成物(1)〜(5)のいずれかを主成分として含む樹脂からなる基材シートの表裏いずれか一方又は両方に、透明な熱可塑性樹脂フィルムを積層してなる樹脂シートである。
本発明のポリスチレン系樹脂シート(II)において、前記基材シートと前記熱可塑性フィルムの少なくとも一方に設けた印刷層を挟んで積層してもよい。
(ポリスチレン系樹脂シートの製造方法)
本発明のポリスチレン系樹脂シートの製造方法は、Tダイを使用する押出成形法が好ましいが、特に限定する必要はない。従来より樹脂シートの製造方法として公知の方法、例えば、インフレーション法やカレンダー法でもよい。
(本発明シートの層構成)
本発明のポリスチレン系樹脂シートは、前記ポリスチレン系樹脂組成物(1)〜(5)のいずれかを主成分として含む樹脂からなる単層シート、印刷したフィルムとのラミネート(後述する)が好ましい。或いは、前記ポリスチレン系樹脂組成物(1)〜(5)のいずれかを主成分として含む樹脂からなる単層シート同士の積層シートでもよい。更に、本発明の樹脂組成物以外の樹脂組成物からなるシートとの積層シートであってもよい。
ラミネートの方法は特に限定されないが、共押出や熱ラミネート、ドライラミネート、接着ラミネートなどが利用できる。
(シートの厚さ)
本発明のポリスチレン系樹脂シートの厚さは、0.1mm〜1.5mmの範囲が好ましい。0.1mm未満であると、容器などに成形したときの剛性が不足して、収容物の重さで容器が変形したり、強度は不足して破損したりする恐れがあり、実用性がない。通常の包装用容器成形用としては、厚さ1.5mmで十分である。
(ラミネート適性)
本発明のポリスチレン系樹脂シート(II)において用いる熱可塑性フィルムとしては、ポリスチレン系フィルム、2軸延伸ポリスチレン系フィルム、多分岐ポリスチレン系樹脂(大日本インキ化学工業社製のディックスチレンHP500M等)フィルム、スチレン系共重合体(耐衝撃性ポリスチレン、ポリブタジエンの分散が光の波長より小さい透明性のあるもの等)、その他、前記樹脂組成物の成分として用いられるゴム成分含有樹脂からなるフィルム、スチレン−メタクリル酸共重合体、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン(アイソスタティックPP、シンジオタクティクPP,アタクティクPP)、エチレンプロピレンランダムポリマー、エチレン・プロピレンブロックポリマー、エチレン・プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体(例えば、エチレン−メチルメタクリレート共重合体)、エチレン−不飽和カルボン酸金属塩共重合体(例えばエチレン−アクリル酸マグネシウム(又は亜鉛)共重合体)、プロピレン−塩化ビニル共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−オレフィン共重合体(プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体)、ポリエチレン又はポリプロピレンの不飽和カルボン酸(例えば無水マレイン酸)変性物等からなるフィルムなど、或いは、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体及びこれらの二種以上の混合物やポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のフィルム及びこれらの多層フィルムが挙げられる。また、ポリプロピレンフィルムは、無延伸、一軸、二軸延伸いずれも使用できる。ガスバリヤフィルムとしては、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、塩化ビニリデン系・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル系メチルメタクリレート・ブタジエン共重合体、ナイロン6、二軸延伸ナイロン、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、アイオノマー樹脂、或いは、金属蒸着フィルム、これらの積層或いは他樹脂との積層フィルムが挙げられる。
また、これらのフィルムに揮発性有機化合物を用いたインキ、又は水とアルコールを用いた一般に称される水性インキを使用した印刷を施して使用することもできる。また、印刷時、フィルムの印刷面にコロナ処理を施してもよい。これらのフィルムをラミネートする場合は、印刷面を本発明のポリスチレン系樹脂シート側に向けラミネートすることが、食品衛生上望まれる。
本発明のポリスチレン系樹脂シートに直接印刷した場合には、その印刷面上に透明フィルムをラミネートして使用できる。即ち、容器を成形した場合に、食品が印刷インキと直接接触しないようにすることが必要である。
使用する熱可塑性フィルム(ラミネートフィルム)の厚さは5μm〜150μmであり、好ましくは10μm〜80μmである。
ラミネートの方法は、特に限定されないが、フィルムがポリスチレン系などの場合は、押出ラミネートや熱ラミネートによってフィルムと機材シートを直接貼り合わせることができる。また、ラミネート面にアンカーコートや接着剤を塗布してラミネートしてもよい。
これらのフィルムに自己粘着性を必要とする場合は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等及びこれらを必要に応じて他樹脂と混合して使用できる。
ラミネート方法としては、金型リップからシートを押出し、そのシートを固化させる冷却ロールに、シートがタッチする間にフィルムを挟み、ラミネートする方法(押出時ラミネート)と、押出したシートをロール状に巻き取って、そのシートを成形する前にラミネートしておき、又は成形機前で熱ロール等でラミネートしながら成形する方法(成形前ラミネート、成形時ラミネート)があるが、いずれの方法でもほぼ同様の結果であった。但し、フィルムにバインダーをコートし、そのフィルムをシートにラミネートする場合は、そのシート内にゴム系樹脂及びポリオレフィン系樹脂を混合してあっても、問題なく接着できることを確認している。
[包装用容器]
本発明の包装用容器は、前述した本発明に係るポリスチレン系樹脂シート(I)又は(II)を熱成形してなるものである。本発明の包装用容器の大きさや形状は限定されず、四辺形、多角形、円形、楕円形等の種々の平面形状や深さの容器とすることができる。また、本発明の包装用容器は、容器本体と蓋とがヒンジ部を介して一体化された蓋付き容器とすることもできる。さらに、容器本体と別体の蓋を取り付ける構造の包装用容器において、容器本体と同種のポリスチレン系樹脂シート(I)又は(II)を熱成形して作製した蓋を組み合わせて包装用容器としてもよい。
(成形品の成形方法)
本発明のポリスチレン系樹脂シート(I)又は(II)を熱成形して包装用容器とする場合、成形方法は特に限定されず、例えば、当該技術分野で周知の一般的な成形法である真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法、熱盤成形法などを用いることができる。
成形用のポリスチレン系シートは、耐衝撃性を確保するために、ポリスチレン系樹脂に通常ゴム系の樹脂を混合して押出成形することが行われている。混合するゴム成分含有樹脂(HIPS、SBS,SBBS等、及びそれに類似するものの総称として使用する)としては、一般的には、HIPSやSBS系が使用されるが、これらの樹脂中のゴム成分は二重結合を持っているために、押出機内に樹脂が滞留したときに樹脂やけを起こし、シートに未溶融物として排出され、時にはシートに穴が開き、品質を大きく損ないロスも大きい。従って、これらのゴム系を使用する場合、頻繁に押出装置の分解掃除が必要で、生産の時間や材料のロスを増大する。
そこで、次の試験により、本発明の樹脂組成物に用いている各樹脂材料について、樹脂別の耐熱変化を調べた。
<試験1:樹脂別の耐熱変化試験>
表1中に記す各樹脂(A)〜(F)のペレットをアルミ皿に乗せて、250℃に調整しギヤーオーブンに入れ、経時的に取り出して樹脂やけの度合を色変化により観察した。
評価は、次の通りとした。
○:着色せず、
□:着色
△:茶色、
×:褐色。
Figure 2008115317
褐色(評価:×)にまで変色した樹脂は、著しく熱劣化しており、シート内に溶けずに固形分として混入し、成形すると成形品に穴が開く。
表1に結果から、熱劣化はHIPSとSBSが早い。着色はSBSが早いが、HIPSは変化が急激であった。
<試験2:樹脂混合による耐熱性の変化>
前記の樹脂別の耐熱性の傾向を考慮して、樹脂混合による熱劣化の改良を試みた。
(使用した樹脂)
以下の記載において「ゴム分」とは、その樹脂の全体量からスチレン分を差し引いた残分の割合を言う。
(A)ポリスチレン系樹脂(PS)
(A)−1:大日本インキ化学工業社製、ディックスチレンXC−515(MFR1.5g/10min)
(B)HIPS
(B)−1:東洋スチレン社製、トーヨースチロールS−85(ゴム分6.0質量%)
(B)−2:大日本インキ化学工業社製、ディックスチレンGH8300−1(ゴム分7.5質量%、MFR3g/10min)
(B)−3:大日本インキ化学工業社製、ディックスチレンGH9600−1(ゴム分6.0質量%、MFR3.5g/10min)
(B)−4:大日本インキ化学工業社製、ディックスチレンHIPS試作品(ゴム分7.7質量%、MFR3.3g/10min)
(B)−5:大日本インキ化学工業社製、ディックスチレンGH6300−1(ゴム分5.7質量%、MFR9g/10min)
(C)SBS
(C)−1:旭化成ケミカルズ社製、タフプレンA(ゴム分60質量%、MFR13g/10min)
(C)−2:旭化成ケミカルズ社製、アサフレックス815(ゴム分25質量%、MFR6g/10min)
(C)−3:旭化成ケミカルズ社製、アサフレックス835(ゴム分30質量%、MFR5g/10min)
(D)SBBS
(D)−1:旭化成ケミカルズ社製、タフテック試作品(ゴム分55質量%、MFR2.2g/10min)
(D)−2:旭化成ケミカルズ社製、タフテックP2000(ゴム分33質量%、MFR3g/10min)
(E)ポリオレフィン系樹脂としてポリプロピレン(PP)
(E)−1:日本ポリプロ社製、ノバテックFY−6(MFR2.5g/10min)
(F)SEBS
(F)−1:旭化成ケミカルズ社製、タフテックH1051(ゴム分58質量%、MFR0.5g/10min)
(試験方法)
樹脂やけ(耐熱性)は、表2中に示す樹脂組成の通り、各樹脂を種々の比率で混ぜて30mmツイン押出機に供給し、シリンダー温度250℃でφ10mmの円孔ダイから押出し、溶融した樹脂組成物が安定して出始めたところでスクリューの回転を止めてシリンダー内に樹脂組成物を滞留させ、60分経過後にスクリューを回転させてシリンダー内の滞留樹脂を押出して、その色変化により樹脂やけの度合を評価した。なお、表2中の樹脂組成における数字は質量%を表す。
樹脂やけの評価は、次の通りとした。結果を表2に示す。
○:薄黄色に変色、
△:黄色に着色、
×:褐色で不合格。
Figure 2008115317
表2の結果から、樹脂の混合により耐熱性が変化するので、樹脂組成により耐熱性の改良が可能であることが分かった。PSとHIPSの組成物は、HIPSが60質量%以上で樹脂やけが発生した。またPSとSBSの組成物は、SBSが6質量%以上で樹脂やけが発生する。さらに、SBBSでSBSやHIPSの一部を置換して使用することにより、樹脂やけが改善される。しかし、SBBS35質量%を単独でPS65質量%に混合した樹脂組成物(参考例8)は樹脂やけを発生した。
<試験3:脆性の改良>
前記樹脂混合による耐熱性の実験結果を参考にして、耐熱性を向上させながら、シートの耐衝撃性及びそのシートで容器を成形したときの剛性を確保する組成物の検討を行った。使用樹脂は、前記試験2において用いた樹脂と同じであり、これらの樹脂を表3に示す組成となるように配合し、押出機内で溶融・混練して樹脂組成物とした。なお、表3中の樹脂組成に関する数字は質量%を表す。
(樹脂やけ)
樹脂やけは、表3に記載した割合で各樹脂を混合した樹脂組成物を30mmツイン押出機に供給し、シリンダー温度250℃で押し出してφ10mmの円孔ダイから溶融した樹脂が安定して出始めたところでスクリューの回転を止め、シリンダー内に樹脂組成物を滞留させ、60分経過後にスクリューを回転させて、シリンダー内の滞留樹脂を押出して、その色変化により樹脂やけの度合を評価した。
樹脂やけの評価は、次の通りとした。結果を表3に示す。
○:薄黄色に変色、
△:黄色に着色、
×:褐色で不合格。
(耐衝撃性)
耐衝撃性は、各樹脂組成物を押出成形により、厚さ約0.5mm、幅300mmのシートを試作し、落球試験で5段階に評価した。JIS−K7211−1976「硬質プラスチックの落錘衝撃試験方法通則」に準じ、サンプルは口径125mmφの架台にセットし、1000gの球を用いて50%破壊高さを測定した。シート脆性の評価は、次の通りとした。結果を表3に示す。
◎:50%破壊高さが0.5m以上、
○:50%破壊高さが0.5〜0.4m、
□:50%破壊高さが0.3〜0.4m、
△:50%破壊高さが0.2〜0.3m、
×:50%破壊高さが0.2m未満。
(圧縮強度)
圧縮強度は、各樹脂組成物を押出成形により、厚さ約0.5mm、幅300mmのシートを真空圧空法により、長さ196mm×幅122mm×高さ25mmの平面視略長方形状の容器を成形した。成形した容器を、その短辺を縦方向にして測定装置(島津製作所社製、オートグラフAG−1)にセットし、上下方向に10mm圧縮したときの応力(単位:N)で、5段階の評価をした。圧縮強度の評価は、次の通りとした。結果を表3に示す。
◎:応力が11N以上、
○:応力が9〜11N、
□:応力が7〜9N、
△:応力が5〜7N、
×:応力が5N未満。
Figure 2008115317
本発明に係る実施例は、耐熱性(樹脂やけし難さ)と耐衝撃性と剛性のバランスのとれた性能を有していた。
耐熱性を向上させるために、HIPSとSBSをできるだけ少なくし、その結果生じるゴム分不足をSBBSで補うことが望ましい。HIPS20〜50質量%とSBS1〜5質量%とを混合する場合は、少なくともSBBS3〜25質量%を使用することが好ましい。
更に、SEBSを利用してもよい。材料費を低減するために、PPのようなポリオレフィン系樹脂を併用してもよい。しかし、SEBSもPPも共に、過剰に使用すると、シートの剛性が低下する。
ポリオレフィン系樹脂を5%以上使用する場合は、ポリオレフィン系樹脂を相溶化する為にSEBSを併用するのが好ましい。
SBBSは、SBSのビニル結合を一部水素化しているために、樹脂組成物における耐衝撃性改善効果が水素化していないSBSよりも落ちるようである(SBSにスチレン分量質量%を合わせた場合約60%〜70%の効果のようである)。又、HIPSが20質量%を切ると、他のゴム分SBS、SBBSの分散が悪くなる傾向が見られた。
SBBSを主に使用すると、耐熱性は良好だったが、耐衝撃性を確保するために添加量を増やし、なおかつSBSやHIPSを補助的に使用する必要がある。
ポリオレフィンやSEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン完全水添スチレン系エラストマー)を添加すると、脆性の改善効果があるが、多く添加するとシートが柔らかくなる。ポリオレフィンは35質量%、SEBSも35質量%が限度である。
<試験4:ラミネート強度>
本発明の樹脂組成物からなる基材シートにフィルムをラミネートした時のフィルムと基材シートの密着性を試験した。
ラミネート方法は、ロール状に巻いた厚さ約500μmの基材シートをほどきながら、熱ロールで厚さ25μmのOPSフィルムをラミネートした。
フィルムとシートの剥離試験方法は、シートを流れ方向(MD方向)に180mm、幅(TD)方向に25mmの大きさ切り出したサンプルを、フィルムとシートの端を約10mm剥がし、フィルムとシートを治具で挟み、テンシロン(島津製作所社製、オートグラフAG−1)で500mm/minで引っ張り、サンプル中心60mm間の平均剥離強度(単位:N)を測定した。
ラミネート適性の評価は、次の通りとした。結果を表4に示す。
○:剥離強度が6.0Nを超えるもの、
□:剥離強度が4.5〜6.0N、
△:剥離強度が3.0〜4.5N、
×:剥離強度が3.0N未満。
Figure 2008115317
本発明のポリスチレン系樹脂シートを基材シートとして用いた実施例は、OPSフィルムを熱ラミネートしたときに良好な剥離強度を有する。
基材シートにPP系樹脂を35質量%を超えて過剰に混合すると、ラミネート特性が悪くなる。

Claims (9)

  1. 次の各成分
    (A)ポリスチレン系樹脂20〜76質量%、
    (B)ハイインパクトポリスチレン系樹脂20〜50質量%、
    (C)スチレン−共役ジオレフィン系熱可塑性エラストマー1〜5質量%、および
    (D)スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン系熱可塑性エラストマー3〜25質量%、
    を必須成分として含むポリスチレン系樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載のポリスチレン系樹脂組成物99〜65質量%と、(E)ポリオレフィン系樹脂1〜35質量%を必須成分として含むポリスチレン系樹脂組成物。
  3. 請求項1に記載のポリスチレン系樹脂組成物99〜65質量%と、(F)スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン系熱可塑性エラストマー1〜35質量%を必須成分として含むポリスチレン系樹脂組成物。
  4. 請求項1に記載のポリスチレン系樹脂組成物99〜65質量%と、(E)ポリオレフィン系樹脂と、(F)スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン系熱可塑性エラストマーとを必須成分として含み、(E)と(F)の合計量が1〜35質量%であるポリスチレン系樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂組成物100質量部に対して、滑剤を0.01〜3質量部の範囲で添加してなるポリスチレン系樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂組成物を主成分として含む樹脂からなるポリスチレン系樹脂シート。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂組成物を主成分として含む樹脂からなる基材シートの表裏いずれか一方又は両方に、透明な熱可塑性樹脂フィルムを積層してなるポリスチレン系樹脂シート。
  8. 前記基材シートと前記熱可塑性フィルムの少なくとも一方に設けた印刷層を挟んで積層してなる請求項7に記載のポリスチレン系樹脂シート。
  9. 請求項6〜8のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂シートを熱成形してなる包装用容器。
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