JP2006131693A - 透明スチレン系樹脂組成物及びそのシート並びに電子部品搬送用容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】シート打ち抜き時やスリット時にバリや毛羽の発生がない、透明スチレン系樹脂組成物からなるプラスチックシート及びそれを成形して得られる電子部品搬送用容器を提供する。
【解決手段】(a)スチレン系樹脂5〜30重量部、(b)一般ポリスチレン樹脂50〜90重量部、及び(c)スチレンブタジエン共重合体系樹脂5〜20重量部を含有する樹脂組成物であって、(a)スチレン系樹脂が可視光の波長(0.38μm)より細かく分散したゴム状弾性体からなる分散相を含むことを特徴とする透明スチレン系樹脂組成物及び、その透明スチレン系樹脂組成物からなるプラスチックシート及びそれを成形して得られる電子部品搬送用容器。

Description

本発明は、透明スチレン系樹脂組成物及びそのシート並びに電子部品搬送用容器に関するものである。
従来、ゴム状弾性体からなる分散相が含まれたポリスチレン系プラスチックシートを打ち抜いたり、細幅等にスリットしたりする際、打ち抜きバリやスリット毛羽が発生するといった問題があった。特に電子部品搬送用容器であるキャリアテープに成形する場合は、このバリや毛羽の脱落物が内容物であるIC等に付着し、絶緑されているべき箇所の間のショート(短絡)や、汚染の原因になるため重大な問題となっている。また外観上においても、バリや毛羽の発生は好ましくない。そこで、バリを低減するため手段として、特許文献1、2に記載されているように、パンチングにより発生したバリをプラズマ照射や熱風により除去する方法が取られているが、設備の改造には多大な費用が必要であった。またキャリアテープとして使用する際には内容物の確認のために透明性が必要な用途もあり、透明でバリや毛羽の発生が少ないプラスチックシートが求められている。
特開2002−321229号公報 特開平10−129623号公報
本発明は、シート打ち抜き時やスリット時にバリや毛羽の発生が少ない透明スチレン系樹脂組成物及び、その透明スチレン系樹脂組成物からなるプラスチックシート並びにそれを成形して得られる電子部品搬送用容器を提供することにある。
本発明は、
(1)(a)スチレン系樹脂5〜30重量部、(b)一般ポリスチレン樹脂(以下、GPPSという。)50〜90重量部、及び(c)スチレンブタジエン共重合体系樹脂(以下、SBR系樹脂という。)5〜20重量部を含有する樹脂組成物であって、(a)スチレン系樹脂が可視光の波長(0.38μm)より細かく分散したゴム状弾性体からなる分散相を含むことを特徴とする透明スチレン系樹脂組成物、
(2)(1)項記載の透明スチレン系樹脂組成物からなる透明スチレン系プラスチックシート、
(3)(2)項記載の透明スチレン系プラスチックシートの片面又は両面に、カバーテープとのシール性が良好な透明耐衝撃性ポリスチレン樹脂(以下、透明HIPSという。)を積層したプラスチックシートであって、透明HIPS層の厚みの合計が該プラスチックシート全体の厚みの40%以下である透明スチレン系プラスチックシート、
(4)(2)又は(3)項に記載の透明スチレン系プラスチックシートを成形してなる電子部品搬送用容器、
である。
本発明に従うと、得られた透明スチレン系樹脂組成物は、シートの打ち抜き時やスリット時にバリや毛羽の発生が少ない透明スチレン系プラスチックシート及びそれを成形して得られる電子部品搬送用容器を提供できる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明は、(a)スチレン系樹脂5〜30重量部、(b)GPPS50〜90重量部、及び(c)SBR系樹脂5〜20重量部を含有する樹脂組成物であって、(a)スチレン系樹脂が可視光の波長(0.38μm)より細かく分散したゴム状弾性体からなる分散相を含むことを特徴とする透明スチレン系樹脂組成物である。
スチレン系樹脂は、スチレン系の樹脂に可視光の波長(0.38μm)より細かく分散したゴム状弾性体からなる分散相が含まれる樹脂組成物である。ゴム状弾性体からなる分散相が可視光の波長(0.38μm)より大きくなると、透明性が悪くなるばかりでなく、シートの打ち抜き時のバリやスリット時の毛羽が目立つようになる。
スチレン系樹脂に含まれるゴム状弾性体は、ここでは特に規定しないが、ブタジエンを主な成分とするものが好ましい。また、耐熱性や耐候性を向上させるために、ブタジエンの二重結合部に選択的に水素添加したものを用いても良い。分散相の形態としては、このゴム状弾性体が網の目状に分散したものが好ましい。
スチレン系樹脂の配合量が下限値未満になると、バリや毛羽が目立つようになると共にシートの耐折強度が低下しワレやすくなる。上限値を超えると特に髭(繊維)状のバリや毛羽が目立つようになる。
GPPSとは一般的に用いられるポリスチレンを主体とした樹脂であり、分子量、可塑剤、添加剤等を目的に応じて選定し、使用する事ができる。
SBR系樹脂とはスチレンとブタジエン系成分を主体とするもので、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、SBRの耐熱性や耐候性を向上させるためブタジエンの二重結合部に選択的に水素添加した、スチレンブタジエンブチレンスチレン共重合体(SBBS)、スチレンエチレンブチレンスチレン共重合体(SEBS)等であり、これらのSBR系樹脂を混合して用いても良い。
SBR系樹脂の配合量が下限値未満になると、特に髭(繊維)状のバリや毛羽が目立つようになると共にシートの耐折強度が低下しワレやすくなる。上限値を超えるとバリや毛羽が目立つようになり、透明性も低下する。
透明HIPS樹脂は、連続相をアルキル(メタ)アクリレートスチレン共重合体とすることで、ポリブタジエン又はスチレンブタジエン共重合体からなる分散相と屈折率を一致させ、分散相を可視光線の波長より小さくしたHIPSであり、一般的にヘイズ値が10%未満である。
カバーテープとのシール性が良好であるとは、使用するシール条件で、シール強度が0.2〜1Nの範囲に入っているものである。カバーテープとのシール性が良好な透明HIPS樹脂を積層することで、キャリアテープとして使用する際に、透明性を維持したまま安定したシール性を保つことができる。
透明HIPS層の厚みの合計がシート全体の厚みの40%を超えると、シートの打ち抜き時やスリット時のバリや毛羽が目立つようになる。
一般的なゴム状弾性体ではシートの打ち抜き時やスリット時のバリや毛羽の発生を押えられないため、スチレン系樹脂中の可視光の波長(0.38μm)より細かく分散したゴム状弾性体からなる分散相が、バリや毛羽の発生を押えるために、特に、効果がある。また、ゴム状弾性体を可視光の波長(0.38μm)よりも細かく分散させることで、透明性にも寄与する。しかしながら、可視光の波長(0.38μm)よりも細かく分散したゴム状弾性体だけでは、耐衝撃性が低いため、SBR系樹脂を添加する必要がある。また汎用のSBR系樹脂の添加により、高価なスチレン系樹脂の使用量を減らすことができるため、コスト的にも有利となる。
シートの打ち抜き時やスリット時のバリや毛羽の低減に関しては、可視光の波長(0.38μm)よりも細かく分散したゴム状弾性体を樹脂中に分散させることで、打ち抜き時やスリット時の衝撃を均一分散させる効果があり、その為に、これまではある部分に負荷がかかり結果としてバリや毛羽となっていたものが、均一に切れるようになったためバリや毛羽の発生が抑制される。可視光の波長(0.38μm)よりも細かく分散したゴム状弾性体だけでは打ち抜き時やスリット時に髭状のバリや毛羽が発生することから、SBR系樹脂中のゴム状弾性体が、髭状のバリや毛羽の発生を押えている。これは、樹脂中の可視光(0.38μm)の波長より細かく分散したゴム弾性体の中に、SBR系樹脂中のゴム弾性体が島状に存在し、可視光(0.38μm)の波長より細かく分散したゴム弾性体より伝わった衝撃を吸収する役目がある。この効果により、打ち抜きやスリット箇所の、可視光(0.38μm)の波長より細かく分散したゴム弾性体の剥がれ落ちを抑制し、髭状のバリの発生を抑制する。
本発明の透明スチレン系樹脂組成物には、必要に応じて流動性や力学的特性を改善するために、滑剤、可塑剤、加工助剤、相容化剤及び補強剤等の各種添加剤や樹脂等を添加することが可能である。また、静電気除去が必要な場合には帯電防止剤を練りこんだり、表面に導電性の塗料等を塗布したりすることも可能である。
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、これは単なる例示であり、本発明はこれにより限定されるものではない。
以下の<実施例><比較例>において、特に指定が無い場合は、(a)スチレン系樹脂(旭化成製 810)、(b)GPPS(PSジャパン製 HF77)、(c)SBR系樹脂(旭化成製 125)、透明HIPS(PSジャパン製 SX100)を用いた。
<実施例1>
(a)スチレン系樹脂10重量部、(b)GPPS80重量部、(c)SBR系樹脂10重量部からなる透明スチレン系樹脂組成物を用い、20mmφの押出機で厚み0.2mmの透明スチレン系プラスチックシートを得た。
<実施例2>
(a)スチレン系樹脂10重量部、(b)GPPS75重量部、(c)SBR系樹脂15重量部からなる透明スチレン系樹脂組成物を用い、20mmφの押出機で厚み0.2mmの透明スチレン系プラスチックシートを得た。
<実施例3>
(a)スチレン系樹脂(旭化成製 825を使用)20重量部、(b)GPPS70重量部、(c)SBR系樹脂10重量部からなる透明スチレン系樹脂組成物を用い、20mmφの押出機で厚み0.2mmの透明スチレン系プラスチックシートを得た。
<実施例4>
(a)スチレン系樹脂20重量部、(b)GPPS70重量部、(c)SBR系樹脂10重量部からなる透明スチレン系樹脂組成物を基材層として、透明HIPSを表裏層として用い20mmφの押出機2台を用いた2種3層の押出装置で、層比率が表層/基材層/裏層=10/80/10で厚み0.2mmの透明スチレン系プラスチックシートを得た。
<比較例1>
(a)スチレン系樹脂3重量部、(b)GPPS87重量部、(c)SBR系樹脂10重量部からなる透明スチレン系樹脂組成物を用い、20mmφの押出機で厚み0.2mmの透明スチレン系プラスチックシートを得た。
<比較例2>
(a)スチレン系樹脂40重量部、(b)GPPS50重量部、(c)SBR系樹脂10重量部からなる透明スチレン系樹脂組成物を用い、20mmφの押出機で厚み0.2mmの透明スチレン系プラスチックシートを得た。
<比較例3>
(a)スチレン系樹脂10重量部、(b)GPPS87重量部、(c)SBR系樹脂3重量部からなる透明スチレン系樹脂組成物を用い、20mmφの押出機で厚み0.2mmの透明スチレン系プラスチックシートを得た。
<比較例4>
(a)スチレン系樹脂10重量部、(b)GPPS60重量部、(c)SBR系樹脂30重量部からなる透明スチレン系樹脂組成物を用い、20mmφの押出機で厚み0.2mmの透明スチレン系プラスチックシートを得た。
<比較例5>
(a)スチレン系樹脂10重量部、(b)GPPS80重量部、(c)SBR系樹脂10重量部からなる透明スチレン系樹脂組成物を基材層として、透明HIPSを表裏層として用い20mmφの押出機2台を用いた2種3層の押出装置で、層比率が表層/基材層/裏層=25/50/25で厚み0.2mmの透明スチレン系プラスチックシートを得た。
得られた透明スチレン系プラスチックシートのバリ・毛羽、透明性、ワレに関する評価を行い、表1にその評価結果を示した。
バリ・毛羽の評価は、シート打ち抜き後の穴、スリット後のシート端面を観察し、バリや毛羽がほとんど目立たないものを○、目立つものを×とした。
透明性の評価は、シートの光線透過率が80%以上でヘイズが40%以下のものを○、それ以外を×とした。
ワレの評価は、シートのMD方向及びTD方向の耐折強度が10回以上のものを○、どちらか一方でも10より小さなものを×とした。耐折強度の測定は、荷重500gで屈曲角度135度、175rpmで行った。
得られた透明スチレン系樹脂組成物からは、シート打ち抜き時やスリット時のバリや毛羽の発生がない透明スチレン系プラスチックシートが得られ、また、それを成形して得られる電子部品搬送用容器はバリや毛羽の発生がなく、求められるコンタミがない電子部品搬送用容器を提供でき、これらは優れた特性をもったものであり、広く便利に効率的に利用できる。

Claims (4)

  1. (a)スチレン系樹脂5〜30重量部、(b)一般ポリスチレン樹脂50〜90重量部、及び(c)スチレンブタジエン共重合体系樹脂5〜20重量部を含有する樹脂組成物であって、(a)スチレン系樹脂が可視光の波長(0.38μm)より細かく分散したゴム状弾性体からなる分散相を含むことを特徴とする透明スチレン系樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の透明スチレン系樹脂組成物からなる透明スチレン系プラスチックシート。
  3. 請求項2記載の透明スチレン系プラスチックシートの片面又は両面に、カバーテープとのシール性が良好な透明耐衝撃性ポリスチレン樹脂を積層したプラスチックシートであって、透明耐衝撃性ポリスチレン樹脂層の厚みの合計が該プラスチックシート全体の厚みの40%以下である透明スチレン系プラスチックシート。
  4. 請求項2又は3記載の透明スチレン系プラスチックシートを成形してなる電子部品搬送用容器。
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